2008/04/30

Critical Ad Placement : Above or Below Folds

Foldsとは、IAB (Interactive Advertising Bureau)によれば、

The line below which a user has to scroll to see content not immediately visible when a Web page loads in a browser. Ads or content displayed “above the fold” are visible without any end-user interaction. Monitor size and resolution determine where on a Web page the fold lies.

Source:IAB / Interactive Glosarry (pdf)

と いうことなので、フォールドとは、ユーザPCに表示されるWebページの「折り返し」とか「境界線」という意味になるだろうか。このフォールドより上にあるWebページコ ンテンツは可視化されているが、それより下のページコンテンツはスクロールダウンしなければ可視化されないということだ。

なぜこんなことを書くかというと、今月初めの8日のMedia Postに「フォールド以下の広告はビューワーの25%しか見ていない」という記事があった。NYTimes.comの19日にも取り上げられている。

Source:Media Post / Only 25% Of Viewers See Web Ads Below The Fold
Source:NYTimes.com / Trading on Testosterone


例えばCnn.com Internationalを筆者のノートPC(1280x800)で見ると、以下の画像を横切る黒線がフォールドになる。IEでもFFでもメニューバーやタブ、ブックマークツールバー、Yahooやその他のツールバーが何層にも重なってくるため以前のブラウザと比べるとWebページのコンテンツが表示されるエリアは狭まっている。Webページのフォールドより上のエリアは本当に狭い。
黒線(フォールド)よりも上の画像やテキストはすぐに眼にすることができ、リンクもクリックできるが、それよりも下のものはスクロールダウンしなければ一体、何があるのかも分からない。

広告impressionの配信に関して言えば、ブラウザにはWebコンテンツが配信されているため配信側でカウントされているが、フォールド以下のコンテ ンツがユーザの視線に晒されているかどうかは分からない。ブラウザに送りつけられたコンテンツであることは確かなため、ロゴが露出していなくても impressionとしてカウントされてしまうわけだ。

と いうことは、たとえば配信側で100万impressionがカウントされたバナー広告でも、もしそれがフォールドの下にあれば、ひょっとすると25万impression分 しか実際には露出されていない、ユーザに知覚されていないということになる。つまりCTRが同じ0.1%だとすると、100万impで1,000、25万 impで250クリックにしかならないということだ。

しかし、クライアントは100万imp分の広告費を請求されることになる。

このフォールドは、広告のプレースメントで特に注意すべき点だ。ニッチではあるが、これほどまでに重要な点を理解しない限り、クライアントは唯々諾々とサイトからの請求に予算を払い続けることになる。

2008/04/28

Video viewed more than 100 million times

皆さんも良くご存知の「Evolution of Dance」の視聴回数が1億回を越えた。

Vidmeterは100,112,011回、Viral Video Chartでも92,411,254回視聴されたとしている。


Source:Vidmeter / Evolution of Dance
Source:Viral Video Chart / Evolution of Dance

ビデオ自体がアップされているYouTubeでの視聴回数カウントは、83,217,817(4/26時点)だが、Vidmeterなどが指摘し、合計しているように数多くの複製ビデオがあり、合計するとその視聴回数が1億回を越えた。2006年の4月6日にYouTubeにアップされて以来、2年と少しで1億回以上も視聴されたわけだ。

この2年間に全世界のインターネットユーザは2億人以上増加し、2006Q2に2億4710万回線だったBBは、42%もアップし2007Q4に3億4998万回線へ伸びた。2年前、WSJ.comによれば登録ユーザの70%は米国だったYouTubeは世界にあまたあるWebサイトのOne of themからトップ3にまで登りつめた。そして今、AlexaによればYouTubeのアクセスユーザのトップは米国だが27.2%にしか過ぎない。日本は6.4%で二番目、独、英、ブラジル、メキシコ、インドなどと世界中から人々がアクセスしている。アクセスユーザが世界中に散らばっている。

この特性は何もYouTubeに限った話ではない。ユーザが求めるコンテンツを提供するWebサイトは世界からアクセスを獲得する。地理、言語の違いなど関係ない。求めるコンテンツがあるかないかだ。そして、国内サイトでは獲得できない最新の情報、ニュース、統計数値、トレンド、ユーザの声、ホワイトペーパーなどのコンテンツを提供するWebサイトへアクセスする世界中のアーリーアダプターがいる。

参考:YouTube (Online Ad 2006/9/12)
Source:Alexa / YouTube

2008/04/25

LinkedIn passed 20 Million users

MySpace、Facebook、Beboは言うに及ばず、MixiなどSNSは世界中に様々な形で普及、波及している。

その多様なSNSの中でもビジネスSNSといってもいいだろう。LinkedInが4月11日に、登録者数2,000万人を祝う写真をBlogに載せていた。
何年前かは正確ではないが、多分2005年前後に50万人を祝った写真に出てくるLinkedInのスタッフ数と上の写真を見比べると、その数は10倍にはなっているのだろうか。
Source:LinkedIn /LinkedIn Time Capsule: 500K, 2M, 5M, 20M users and counting...

上のBlogには、2つの写真の間にも200万、500万、1,300万人を祝う写真がある。

Alarm Clockによれば、2002年の12月に会社設立、2003年の5月に運用を開始したらしいので丸5年で2,000万人以上のプロフェッショナルが参加する世界最大のビジネスSNSへ成長してきたわけだ。そしてこのビジネスSNSに参加しているのはは何も米国ユーザに限った話ではない。Alarm ClockがLinkedInと比較するために挙げたryze.comや、ecademy.comにしたところで、Alexaで見ると30%から40%以上が米国以外からのアクセスユーザが占めている。

メディア系のWebサイトや、PC・IT・インターネット系Webサイトだけが全世界からアクセスを獲得しているわけではない。ニッチだと考えられるビジネスSNS系のWebサイトであっても、同じだ。カテゴリトップのWebサイトへは世界中からアーリーアダプターのアクセスが殺到する。

Source:Alarm Clock / LinkedIn

2008/04/24

USA Broadband Penetration

Scarborough Researchの新しいデータによると、USのBB普及率は2002年から300%以上の伸びを示している。

すでに全米の1.12億の成人ユーザは家庭にBBが接続されている。2002年、全米成人の12%がBB接続だったが、現在は約半分(49%)がBB接続となり、伸び率は300%以上だ。中でもケーブルモデムの普及率が188%増なのに比べ、DSLは575%増とBB普及を牽引している。

2002年の普及率はケーブルが8%、DSLが4%だったわけだが、2006年に逆転し、2007年にはDSLが27%、ケーブルが23%だ。
DMA (Designated Market Area) 単位で見ると、SF/Oakland/San Jose(CA)が62%、Boston(MA)が61%、San Diego(CA)が61%と高いBB普及率となっている。

Source:Scarborough Research / Press Release (pdf)

Broadband in Chinaで、2008Q1には中国が必ず米国を抜いてBBユーザ数トップになるだろうと書いたが、Point Topicの2007年Q4のデータでは、米国は7,290万契約者で前四半期から4.4%アップ、中国は6,650万で同5.4%アップだ。その差は650万契約者で前四半期から5%縮まっている。

しかし、2008年Q1で逆転とまでは行きそうにない。やはり、また早とちりでした。米国のBB化が急増しているだけに当分、BBトップは米国のままかもしれない。
Source:Broadband in China (Online Ad 2008/03/18)
Source:Point Topic / World Broadband Statistics Q4 2007 (pdf)

2008/04/23

Conversion Rate

ちょっと古いが、2006年2月のIntenetnews.comにコンバージョンに関する記事があった。

それによると全検索エンジンの平均コンバージョン率は1.97%で、主要な検索エンジンは以下の通り。
  • AOL   6.17%
  • MSN   6.03%
  • Yahoo! 4.07%
  • Google 3.83%
前回の「PPC Magic」でコンバージョン率13%でなければ収支が均衡しないと書いた。AOLの2倍のコンバージョン率があったとしても収支均衡しないわけだ。

しかし、ここでワンショットの購買ではなく、継続購買した場合を考えてみる。ダイエット補助食品(上代5,000円、粗利4,000円)を前回の数値([ダイエット]というEXACTキーワード、524円x253クリック、コスト13万2千円@日)を使い、AOLのコンバージョン率6.17%で計算すると、15.6回のコンバージョンとなる。16回とすると売上は8万円、粗利は6万4千円になる。PPCに13万2千円かかっているから6万8千円の赤字だ。ただし、補助食品が1ヶ月分だとすると、16人が翌月も買えばとんとん、それ以降も継続して買っててくれれば儲けが出ることになる。

平均コンバージョン率(1.97%)を2%として計算すると、253クリックで5回のコンバージョン、売上2万5千円、粗利2万円、11万2千円の赤字、5人がその後も6ヶ月買ってくれればとんとん、それ以降も買ってくれれば利益が出る。

ということはPPC広告をやり、新規顧客を開拓し、顧客を保持している限り、利益が出続けることになる。新規顧客開拓費用としてPPC広告費用を計上し、最低でもコンバージョン率が2%で、顧客になったユーザが全員、6ヶ月以上毎月、同じ補助食品を買い続けてくれれば左団扇の生活が送れることになる。

ところで健康補助食品はそれこそオニのようにあるから、消費者は「健康補助食品」をGoogleで検索した際、下のようなページを見ることになる。
サントリー、健康家族、DHCがトップに表示され、右サイドには協和発酵、味の素、アサヒ健康食品、小林製薬、山田養蜂場がきている。
この大手資本の激戦区にSOHO、パパママストア、中小企業が「健康補助食品」というキーワードで割って入ることは可能なのだろうか?

今時、検索広告の仕組みを理解している浮気性の消費者は、基礎情報をメーカーやショップのWebから仕入れ、オンラインショップで購入者レビューを読み、比較.comで成分と価格帯で絞込み、Blogやクチコミでアフターセールスのサービスもチェックする。様々な階層での露出がなければ、なかなか検索広告にリンクが出ていたとしてもクリックしてくれるのだろうか?また、クリックしてくれたとして購入してくれるのだろうか?
PPC広告さえやっておけば左団扇生活へ入ることができるのだろうか?

さて、Double Clickのデータを見ると、ROIは前年比低下気味だ。これはクリック単価が上昇していることと、競合企業の増加などがあるのだろう。2005年は平均すると120くらいだったROIインデックスが、2006年は100以下、2007年Q1には80強にまで下落している。

上の左団扇生活と、Double ClickのROIインデックスはかみ合っていないように見える。(また、早とちりになるかもしれないが)

Source:Internetnews.com / Search Engines Here to Convert You
Source:Double Click / Search Trend Report Q1 2007 (pdf)
Source:Double Click / Search Trend Report Q4 2006 (pdf)
参考:PPC Magic (Online Ad 2008/3/28)

2008/04/22

Alexa rankings changed

Alexaのランキングシステムが改良されたようだ。

先週あたりからサイトごとのトラフィックを確認すると、下のメガホンマークが表示されていた。
それをクリックすると下が表示される。
Source:Alexa / Announcement

それによると、Alexaは1998年からWebランキングを公表しているとあるので、11年目にはいったことになる。それはさておき、3つの改良点を挙げている。
  • データソース追加
  • 解析方法改善
  • ランキング改良
また、確か先週末までは5年間、最大期間でのグラフも描画してくれていたが、今日からは9ヶ月間のデータを元にしたグラフしか表示されていない。
この点は、今後、迅速に元に戻るようだが、注文をつけるとすると
  1. ツールバーダウンロード数
  2. アクティブツールバーユーザ数
  3. ツールバーユーザのジオグラフィックス、デモグラフィックス
  4. 追加されたデータソースの詳細
  5. ユーザ実数ベースのトラフィック
などを開示してくれるとありがたいのだが...?

HubSpotによると以前は15万程度だったランキングされるWebサイトが、28万以上に増えたそうだ。グローバルなWebサイトランキングを無償で提供し てくれるのはAlexaだけだ。マーケティング・調査会社としてみると最もWebサイトのグローバル特性を理解している。Nielsen、comScore、Hitwiseなどとは違い、ツールバーユーザのアクティブデータを元にWebランキングを提供しているAlexaは予算の限られたマーケターには強い味方だ。

Source:HubSpot / Alexa Rankings Change Dramatically: Initial Analysis From 10,000+ Websites

2008/04/21

Hitwise UK Blog

「Online Accountability -2」でHitwise UKのRobin GoadのBlogにあるおかしな点に関して、
  • Hitwiseがモニターする英国インターネットユーザ843万人は1/3ではなく、1/5にしか過ぎないだろうこと
  • ABCeはサーベイ/パネル方式ではなく、Webサイトの生Logデータをベースとしてオーディットしていること
  • とするとユーザ数などを推定しているのはABCeではなくHitwiseのほうだということ
に加え、英国統計局の資料へのリンクを含んだコメントを追加し、彼のレスポンスを期待する旨、書いた。

今朝もチェックしたが、そのコメントは公開されていない。

しかし、18日に、Matt WardmanからABCeはサーベイ/パネル方式ではないことなどのコメントがあり、それにはGoadはレスポンスしていた。彼はABCeの調査方法をパネル方式としたことについては、「I stand corrected(改めるにやぶさかではないといった意味になるだろうか?)」としている。

Source:Online Accountability -2
Source:Hitwise UK Blog

英国で政治、文化、テクノロジー、そしてスポーツに関してBlogを書き、BBC Radioなどの広告も出ているサイトオーナーからのコメントには回答するが、それ以外の都合の悪いコメントは臭い物にはふた的に無視するのかしら?

ま、Goadは匿名の筆者をABCeの関係者とでも思ったのかも...しれないけれど。

しかし、これではオープンな対話にはなりえない。一度は公開しても、突っ込まれると無視するというのでは、Hitwiseのアナリストとしてどうだろう?


ところでCNN.comのその後だが、19日のDDoS攻撃は行われなかったようだ。18日のアナウンス以降、関連する記事は何もない。

Source:CNN.com / CNN Web site targeted

2008/04/19

CNN.com attacked by Chinese Hacker

土曜日にBlogを書くことは今までなかったのだが、どうしても昨日のCNN.comが気になるので確認してみた。

早速、CNN.comへアクセスしてみたところ、今朝はいつもどおりにWebサイトへアクセスすることができる。

CNNから何かアナウンスはないかと探したところ、やはりDDoS攻撃を受けていたらしく、「CNN Web site targeted:some service disrupted」という記事があった。(日本時間で19日の午前4時半ごろアップされているようだ)

CNNによると、「木曜日の昼頃からアクセスが集中する現象に気づき、特定地域からのアクセスを制限する手段をとった」そうだ。結果として、「該当地域のユーザは一時的なスローダウン、あるいはアクセスできない」ことになったわけだ。

また、「金曜日の昼頃には正常に復旧した」と書いているので、日本時間で言えば土曜日の早朝頃には元に戻ったらしい。

Source:CNN.com / CNN Web site targeted

ところでCNNのスポークスマンは、「日常の利用に対するインパクトは軽微であり、サイト自体は一時もダウンしていない」と言っている。しかし、多分、日本からのアクセスはできなかったはずで、日本ユーザのアクセスがなくても軽微であるとするとサイトとしてはどうなんでしょうね?

さて、これで一件落着と行くかというとそうでもなさそうだ。

The Dark Visitor (中国黒客)によれば、(Computer Worldなどが報道している)予定されるCNN.comへのDDoS攻撃は
  • 北京時間の4月19日午後8時
  • www.cnn.comへのDDoS攻撃
  • 3時間以上の攻撃
だとされている。ということは、日本時間でいうと今日の午後9時から3時間以上の攻撃になる。

さてさて、今日はどうなりますことやら。

追記:
中国黒客によればQQのメンバーが関係しているらしく、定かではないがひょっとすると2,900万以上が参加するのかもしれない。アクティブユーザ数として考えるとイタリア一カ国の2,400万人を越えるユーザがCNN.comへDDoSツールを使ってアクセスすることになる。

Source:The Dark Visitor / Upcoming hacker attack on CNN building stream
Source:Computer World / Chinese hackers poised for anti CNN attack on April 19

2008/04/18

CNN.com Down? -5

「CNN.com Down?」にコメントがあり、ドイツ在住の方からの情報では「西部ヨーロッパ夏時間の9時には復旧してました」とのことだが、日本からはまだアクセスできない。

狼少年になるかもしれないが、先程NYTimes.comに一報を入れておいた。
どうなりますか?

CNN.com Down? -4

「CNN.com Down? -2」で引用したShanghaiistの書き込みに対してコメントがいくつかある。それを見ると、中国政府がCNN.comへのアクセスをブロックしているという見方をしているため、Shanghai、Xiamen、Kunshanなどではブロックされていないと書いている。また、Proxyを使うとアクセスできるとも書いている。

DDoS攻撃ならどこからアクセスしても接続できないはずだが...?

Source:Shanghaiist.com / comments

CNN.com Down? -3

先程の「CNN.com Down? -2」のSourceの中で引用しているComputer Worldの記事では4月19日に中国のハッカーグループがDDoS攻撃を仕掛ける予定だと書いているが、早まったのかしら?

Source:Computer World / Chinese hackers poised for anti CNN attack on April 19

CNN.com Down? -2

CNN.comはまだアクセスできない。pingにも応答がない。

どうやら中国のハッカーグループによるDDoS攻撃を受けているのかもしれない。

Source:Shanghaiist.com /CNN website blocked in China; Chinese hacker groups likely to blame?

CNN.com Down?

9時前からCNN.comがダウンしているようだ。pingにも応答がない。

Online Accountability -2

16日の「Online Accountability」で書いたように、Hitwise UKのRobin Goadが書いているBlogにコメントを加えておいたところ、彼からの返事がアップされていた。そのポイントは3つ;
  1. HitwiseはUKデータのみ、ABCeは海外を含んでいる
  2. HitwiseはISPからデータを収集し、英国インターネットユーザの三分の一にあたる843万人分をモニターしている
  3. ABCeはサーベイ/パネルユーザをベースとして推定している
だから順番や数字が違うと書いている。

1番に関してはその通りだ。しかし、国内データだけではそのWebサイトの真価は計れない。どこの国のWebサイトという位置づけではなく、どの国のWebサイトであれ、世界のインターネットユーザにアピールすることができるわけだ。だからこそYouTubeにしても、MySpace、Facebookなどしても米国ユーザよりもそれ以外の国のユーザ比率が高い。英国だけのWebサイト価値を判断してもしかたがないと思うのだが...。

2番に関して843万人で三分の一とすると、英国の全インターネットユーザ総数は2,780万人ということになる。
ところが、
  • InternetWorldStats.comによれば英国のインターネットユーザは4,000万人
  • 英国統計局の2007年の資料では16歳以上の成人インターネットユーザは3,180万人で、
  • 2006年から380万人も増えている
  • ということは、2006年のインターネットユーザは2,800万人
となると、2006年からの増加分がまるで加算されていないということだ。それに16歳以上で3,180万ということは全世代では多分InternetWorldStatsが言うように英国のインターネットユーザは4,000万、いやそれ以上になる。843万なら1/5しかモニターできていないことになる。

3番に関して彼はひどく誤解しているようだ。
なぜなら、
  • ABCeのオーディット契約、内容、方法などFAQ/Step by step guideや、Technical FAQに明記され、
  • ABCeはサーベイ/パネルではなく個別Webサイトと契約し、提出を受けた生Logデータをもとにオーディットしているし、
また、
  • Hitwiseが1/5しかモニターしていないのならユーザ数を推定しているのはHitwiseのほうだ
ということになる。

Source:Hitwise UK blog / Robin Goad : The Independent gains online market share in the UK
Source:InternetWorldStats.com
Source:UK Statics Authority / Internet Access - Individuals and households, 2007 (pdf)
Source:ABC Electronic
参考:Online Accountability (Online Ad 2008/4/16)

追加で英国統計局のpdf、1/5しかモニターしていない点、ABCeの生データの話を昨日コメントしておいたが、今朝の時点では公開されていない。遅くても明日までにはコメントが公開され、彼の返事も書き込まれることを期待しているが...。

2008/04/17

Fortune 500 Business Blogs

Why CEOs should learn to love the blog」で書いたようにFortune 500のCEOでBlogを始めたのはSun MicrosystemsのSchwartzが最初だとされている。この書き込み時点でFortune 500にランクされる企業のうち、Blogを開設していたのは40社(8%)だった。

それから約1年半たって何社増えたのだろうと思っていたら、アップデートがあった。Fortune 500 Business Blogging Wikiが、今年の4月8日に更新している。それによると57社(11.4%)で、17社増えたことになる。単純に計算すると月に1社増えたわけだ。新規に企業Blogを開設したのは以下の各社だ。
  1. Accenture
  2. Agilent Technologies
  3. Aon Corporation
  4. Avaya
  5. Boeing
  6. Countrywide
  7. Coca Cola
  8. Delta Airlines
  9. Emerson Electric
  10. BMC Corp
  11. Johnson Control
  12. Marriott International
  13. Newell Rubbermaid
  14. Owens Coming
  15. Pitney Bowes
  16. The Clorox Company
  17. Johnson & Johnson
参考:Why CEOs should learn to love the blog (Online Ad 2006/11/28)
Source:Fortune 500 Business Blogging Wiki

なお、Fortune 500の上位100社で取り残されている(と見られる)企業をリストアップしているBlogがあり、それを見ると、金融系、化学、重機・産業系が大半を占め、製薬大手のMerkもあった。
  • Merrill Lynch、Goldman Sachs、Lehman Brothers、Prudential、New York Life、Massachusetts Mutual Life、The Hartford、Washington Mutual
  • Dow Chemical、Dupont
  • Lockheed Martin、Northrop Grumman、Raytheon
  • Merk
B2B企業だから必要ないわけではなく、すでに企業Blog運用を開始している企業には、Cisco、GE、Oracle、Texas Instrumentsなどもいる。オープンな対話を顧客、ユーザと開始するかどうかの判断だし、コラボレーションによるコミュニティ、コミュニケーションの価値創造を目指すかだ。また、B2B企業であっても、いや、B2B企業だからこそGlobal CompactやISO 26000に関してイニシャティブを取る必要がある。その際のコミュニケーションチャネルとして企業Blogは絶好の窓口になるはずだ。

そういえば、Nikon USAに「Your Shot」というBlogが立ち上がっている。ここは企業Blogというよりは、リニューアルされたNikonusa.comのWebサイトに関するデザイン、レイアウト、コンテンツ表示、サイト改善のための提案・意見などを交換するフォーラムだが、すでに多様なユーザとオープンなチャネルで対話が始まっている。

Source:Fortune 500 Corporate Blogs: Companies 1-100 Leftovers
Source:Nikonusa Blog / Your Shot
参考:Global Compact and ISO 26000 (CSR) (Online Ad 2006/11/29)

2008/04/16

Online Accountability

現在、Webサイトのリーチ、オンラインユーザ数、PV数、滞在時間、CTRなど様々な調査データが、Alexa、Nielsen Netratings、comScore、Hitwise、Compete、Quantcast等など様々な会社から新しいデータが出されている。その時々の最新データ、レポートは真新しい切り口で参考になることが多いのだが、一方、comScoreのデータで1、2月とGoogleのクリック数が落ちたという話だけで株価が下落するといった大きな影響を与えることもある。

これは各社ともに基本的にISP経由でデータを収集し、パネルベースで推計しているからだ。Competeのようにアクティブサンプルが200万とか、Alexaのようにツールバーダウンロードが1,000万以上だとか、パネルベースだけではないデータ収集方法をとって独自性を出しているため、各社まちまちの収集方法となっている。

それじゃあオンラインパブリッシャーの出すデータ、数字がベストかというとそうでもない。払った金に見合ったimpressionが配信されていないと感じているクライアントは56%、広告代理店は58%もいるというレポート、「Online Accountability」をABC (Audit Burea of Circulation)が昨年出している。
また、オンラインの計測方法への信頼が年齢が上がるごとに落ちている。25歳以下のクライント、あるいは広告代理店の人間の75%はオンラインパブリッシャーの提供する計測値を信頼しているが、35-44歳は45%、55歳以上は22%しか信頼していない。
オンライン計測方法と結果に対する信頼も同様だ。年齢が上がればその信頼度は落ちている。
Source:ABCi / Audit Service
Source:ABCi / Online Accountability (pdf)

ABCは、だから第三者のオーディットを受けて信頼されるデータ、数字を使いましょうねと勧誘しているわけだ。ここまでデータを信用しないクライアントや代理店がいるのならパブリッシャーはもっとオーディットを受けるべきだろう。印刷やTV媒体と比べて計測できるデータが多いメディアだけに、クライアントや代理店の信頼を勝ち取る必要がある。

話は変わるが、Hitwise UKのRobin Goadが、英国の新聞、Independentはニュース&メディアセクターでのシェアを上げて、 Daily Mail, Times, Sun, Telegraph, Guardian そして FTに次ぎ、英国で7番目のニュースサイトになったと書いている。
Source:Hitwise Intelligense / The Independent gains online market share in the UK

そこで、ABC Electronicで各社のオーディットされたPage ImpressionsとUnique Users数を調べてみた。ただし、Independentはオーディットを受けていない。( )は最新オーディット日を示しているので、BBC、FT、Metro、Reutersは少なくとも今年、彼らが外部に公表する数字のオーディットを受けていないことになる。
  • BBC Online News and Sport(2007/3/31)
  • Daily Mail(2008/2/29)
  • FT(2007/9/30)
  • Guardian(2008/2/29)
  • Metro(2007/3/31)
  • Reuters(2007/9/30)
  • Telegraph(2008/2/29)
  • The Sun Online(2008/2/29)
  • Times Online(2008/2/29)
結果はUnique usersでは、1,950万人のGuaridanがトップ、Daily Mailが1,700万人、Times Onlineが1,450万人で続いている。Sunは1,250万人だ。フリーペーパーのMetro、ニュース配信のReutersを除くと、FTがどん尻で625万人となっている。
注:BBC Online News and Sportは5,035万人と頭抜けておりグラフ化しなかった。
Page ImpressionではSunが2.3億、Guardianが1.7億、Daily Mailが1.3億だ。Telegraphが1億強、Timesが1億弱となっている。今度もMetroとReutersを除くとFTが5,250万で最下位だ。
注:BBC Online News and Sportは19億2,340万だ。
Source:ABCe / Search Database

ABCのデータを信じれば、UKでのニュースサイトのトップはユーザ数ではGuardian、Page ImpressionではSunということになる。Hitwiseのコメントはユーザ数のようだから順番がおかしいことになる。GuardianなどがABCがオーディットしたデータを出している限り、Hitwiseのコメントよりも信じたくなる。一応、彼のエントリにコメントを書き込んでおいたが、内容確認後でなければ公開されないことになっているので、どうなるかしら。

ただし、Hitwiseにしろ他の調査会社のデータしろ、全体を見渡して、トレンドやトピックを知るには十分だし、データを駆使した分析レポートは非常に役に立つ。願わくば彼らの調査データの精度をもっと上げてもらいたい。

2008/04/15

Online Exhibition -2

昨日の「Online Exhibition」に関連して、米国の展示会業界のデータをCEIR (Center for Exhibition Industry Research)が出しているので紹介する。

それによると、5年連続で売上は増加し、2007年は3.2%増だった。これは米GDPの伸び2.2%を上回ってはいるが2006年の伸び率4.8%を下回っている。2000年から2007年までの動きを見ると、バブルのはじけた2001年から遅くても2004年までは停滞していたが、2005年から出展社数、入場者数、売上などすべての項目で2000年レベルを上回り、成長を続けている。
セクターごとに詳しく見ると、2006年から2007年の動きでは、官公庁・公共セクターが12.6%も伸びて全体を引っ張っている。続いてCITが6.9%で続いている。これを見ると、昨日書いたように「バーチャルイベント、バーチャルプライベートショーの時代はすぐそこに来ている」のでもなさそうだ。

しかし、2000年から2007年を通して見た場合、CITの平均年率成長は1.6%のダウンとなってセクターごとの最大の落ち込みを記録している。また、消費財・小売も0.4%のダウンだ。今後が期待されるビジネスサービスは2000年から2007年が2.9%の伸びだが、2006から2007年は0.5%へと落ち込んでいる。
Source:Marketing Charts / Exhibition Industry Grows 3.2% in 2007
Source:CEIR / 2008 CEIR Index
参考:Online Exhibition (Online Ad 2008/4/14)

どうやら「スポーツ、旅行、娯楽」、「輸送」、「資材」、「産業、重機」系は今後も伸びる余地がありそうだが、CIT、消費財・小売、ビジネスサービスなどの展示会はオンライン化する可能性が高いのではないだろうか。

2008/04/14

Online Exhibition

BtoB Onlineで、アクセスユーザにアンケートを行っている。
(4/14日、午前6時33分時点でBtoB Onlineはアクセスできない。pingにも応答しない)
(4/14日、午前10時時点で復旧している)

ユーザが属する業界の情報をどのソースから入手しているかを投票するものだ。
以下の5つの選択肢から選んで投票を行う。
  • 業界団体
  • 業界専門誌
  • 同僚
  • オンラインソース(上記を除く)
  • イベント(展示会)
結果は51.9%がオンラインソース、業界専門誌が37.0%で、同僚が7.4%、業界団体が3.7%、そして展示会が0%となっている。

このイベント(展示会)が0%というのは注意すべきだろう。数日、結果を見ていたが、イベントの数字が0%のまま変わらない。その代わりオンラインソースの比率が伸びてきている。イベントは対面で話が聞けるし、業界や同業の知り合いと情報を交換したり、カタログやパンフ、雑誌の特集号などもただで入手できる。情報収集ソースとして欠かせないのだが...。

さて、3月始めにMarketingProfsが開催したB2B-20.0 EXPOというオンラインのイベント、バーチャル展示会があった。オンラインでのB2Bマーケティングに関する展示会だが、わざわざ米国まで足を運ばなくても最新情報、トピック、トレンド、ホワイトペーパー、ケーススタディなど必要な情報をそろえることができた。
コンファレンスホールでは、「バーチャルイベントの引合生成」、「Email2.0の真実」「B2Bマーケティングに活用するソーシャルネットワーク」など演目が並んでいる。バーチャルイベント参加者は興味のあるテーマをクリックするだけだ。1時間程度のWebinarを視聴することができる。
バーチャルイベント会場内には出展している各社のブースが立ち並んでいる。面白そうな展示ブースへアクセスし、製品・サービスのカタログをダウンロードし、ブース担当員とChatし、ブース内でのプレゼン、セミナーも視聴することができる。また、後日の客先デモも登録することができし、ユーザ登録することで各社から最新情報をemailで受け取ることもできる。 Source:MarketingProf / B2B-2.0 EXPO (アクセスするには事前登録必要)

BtoB Onlineの投票が示す(リアルな)展示会の情報ソースとしての位置低下は、B2B-2.0 EXPOに参加してみると納得が行く。毎回、幕張やビッグサイトで展示会があると、バッグ一杯に詰め込まれたカタログ・パンフ・雑誌を会場出入り口付近にある宅配業者のブースから送る人たちが大勢いる。そんな光景が昔話になるのはそう遠くはなさそうだ。

また、バーチャル展示会はプライベートでも開催できる。世界中のB2C/B2Bバイヤー向けに期間を限定して開催することができるし、イベントをスケジュール化し、ホワイトペーパー、ケーススタディ、テスティモニアル、Podcast、Webcastなどを年中提供することもできる。コスト比較は必要だろうし、集客方法を検討し、入場者のクオリティを確保する必要もある。

が、宿泊施設を確保したり、イベント会場まで車・電車・飛行機に乗ってやってくる手間ひまを無駄、必要ないと考える多くのバイヤーがいそうだ。その傾向はWebを経由した情報提供や、ビジネス向けSNSの発達により、今後、否定できないトレンドどころではなく、積極的に導入、運用を検討すべき課題だろう。バーチャルイベント、バーチャルプライベートショーの時代はすぐそこに来ている。

2008/04/11

Global Online Branding

昨日まで、Aquos-world.comのトラフィックから話を起こし、米国サイトからの露出流出が米国のみならず世界各国に波及するグローバル時代にテリトリにこだわった現地主義ができることはないとした。

米グローバル企業が国内向けに膨大な露出を投下している。この規模に対抗できない限り、現地法人の露出は見落とされ、色あせ、忘れ去られるだけだ。そして米グローバル企業の露出は海外へ流出し、各国のアーリーアダプターへ波及する。このアーリーアダプターから各国内へ米グローバル企業が露出してゆく。これが意図しないグローバルブランディングとなってゆく。

この意図しないグローバルブランディングに対抗するには、米現地法人が限られた予算で「既成オフ+オンラインメディアを使っている限り」、この露出を米国内に閉じ込めることも、海外への流出も防ぐことはできない。また、米現地法人が日本本社のグローバルなブランディング戦略を肩代わりする必要も、責任もなく、予算もない。

となれば、日本本社が米グローバル企業の認知露出に対抗し、グローバルなブランディングを実施する必要性があると考える。

iMedia Connectionが、インタラクティブマーケターおよび代理店を集めた最近のブレークスルーサミットでの調査を発表している。それによると変革を推し 進めるのは消費者だと 86%が答えている。変革を推し進める消費者、ユーザが国内のWebサイトだけにしかアクセスしていないのか、それともカテゴリのトップサイトである米国Webサイトへアクセスしていないのか、どの国のメディアに最も近く、何を消費し、共有し、再発信しているのかを調査してはどうだろう。

Source:iMedia Connection / iMedia Survey result released

NikeのVPでブランド戦略を担当しているTrevor Edwardsが、「ブランド企業は、別にメディア企業を食わせるためにビジネスをしているのではない。我々はコンシューマーとコネクトするビジネスをやっているのだ」と、言っている。消費者、ユーザとコネクトすること、すなわち対話することがビジネスだとすると、そのビジネスは各国でクローズドに消費されているのか、世界でオープンに消費されているのか判断してはどうだろう。
Source:What's Next In Marketing & Advertising by Pauli Sakson

知ってました?
中国の人口の25%、最も高いIQを持つ人々は北米の人口よりも多いことをそして、もうすぐ中国が英語を話す世界でナンバーワンの国になるのを?
2006年9月時点でMySpaceの登録ユーザ数は1億600万人だから
もしMySpaceがひとつの国だとすると、世界で11番目に大きな国になることを?
Source:Shift Happens

2006年3月の人民網の日本語版によると、「英語専攻者と非専攻者を合わせて約3億人が英語を学習している。そのうち、小学校から大学までの学習者は1億人を越え、数年で英語を母国語とする国家の人口合計を超えると見込まれる」としている。英語が達者な中国の人々はどこへアクセスするのだろう?

日本とメキシコの間に入るような人口を持ったMySpaceという国は地球上のどこにも存在していない。どの国の現地法人がターゲットとすべき消費者、ユーザなのだろう?

参考:人民網日本語版

2008/04/10

Overwhelming exsposure and Spillover

最近、大きな動きがビッグブランドであった。

Ad Ageによれば、GMは今後3年間で年間30億㌦の広告予算の半分をデジタルへ移行させるし、BtoB OnlineによればMSも今回のWindows Server 2008、Visual Studio 2008、SQL Server 2008ではTVを使っていない。1億5千万㌦の大半をオンラインへ振り向けている。
GMはビッグ3の中でもオンラインをやっていたほうだが、それでも年間予算の半分をオンラインへ移行させるのはただ事ではない。MSは総予算の10%程度しかオンラインに使っていなかったので、これも大転換だ。

このビッグブランドの流れは止まらないだろう。当然、GMやMSの後に業界全体が引きずられてくる ことになるから、中途半端なオンライン露出ではあっという間に打ち消され、期待する、あるいは目標とする効果は出ない。

Source:Ad Age / 2008/03/17 (ユーザ登録必要)
Source:BtoB Online / 2008/03/10

もうひとつ新しいニュースがある。8日に配信されたNYTのニュースレターによれば、PhilipsがFunaiにTVブランドのライセンスを販売し、ロイヤルティを受け取る契約をしたそうだ。今後5年間はFunaiがPhilipsブランドのTVを製造し、米国でマーケティング、販売することになる。昨年、2,082㌦だった42inのLCDTV価格は今年、1,544㌦まで下落している。メーカーにもよるが利益率は9~16%らしい。下位メーカーになれば利益率は下がり、Philipsとしては利益を出せないという判断のようだ。

また、Wal-Martなど小売での展示スペースから締め出されたことも、その背景としてありそうだ。小売としてもオン+オフラインの各種メディアで露出される売れ線のTVを展示したいわけだから露出量が重要だ。だが、その露出が中途半端ならビッグブランドに打ち消されることになる。とてつもない激戦が戦われている。

Source:NYTimes.com / Philips Ending Production of TVs for U.S. Market

米グローバル企業がオンラインを中心に据えてきた場合、最重点ターゲットである米国の主要サイト、ニュース・情報、ポータル、IT、ビジネス、ファイナンス、音楽、ビデオ、ヘルスケア、旅行サイト等が彼らのバナー広告で埋め尽くされることになる。また、このオンライン露出はオフラインでの累計露出に重なってくるわけだから日本企業の米国子会社がどんなに予算を注ぎ込んでも圧倒的な露出ギャップを抱えることになる。

Aquos-world.comのトラフィックから始めた話だが、方向を変えざるを得ない。日本企業としてB2CやB2Bであれ、この膨大な露出ギャップを企業や単体ブランドとして解消するにはどうしたらいいのだろう。

その前に、この露出ギャップは米国 内だけのものだろうか?
以前、comScoreのリリースを紹介したが、米トップ25サイトのうち14サイトは米国内よりも海外からのアクセスが多いの だ。
参考:Global Online Marketing and Branding Avilable (Online Ad 2006/11/09)

Yahoo、Amazon、CNET、Monsterなどに掲出されたバナーは世界に露出していることになる。国内向けに出稿したバナーが世界からこの種サイトへアクセスする世界中のインターネットユーザに露出している。

また、この傾向はこういったブランドメディアサイトを経由しただけのものだけではなく、各国のアーリーアダプターがアクセスする米国サイトも同じだ。例えば、Facebookの海外ユーザは78%近く、Aboutの海外ユーザも64 %近くいる。カナダ、英国、豪など英語圏はあるが、中国、仏、トルコ、マレーシア、インドネシア、ブラジルなど世界各地の非英語圏からのユーザがアクセスしているのだ。

comScoreの2月のリリースではFacebookのUSユニークビジターを3,200万としていた。もしcomScoreが示すYahooと似たようなパターンだとすると、全世界で1億近いユーザがいることになる。とてつもなく巨大なメディアだといえる。
一方、日本のメディア、例えば朝日新聞のサイトや日経BPのサイトは、海外分はそれぞれ13%、8%前後しかいない。どう考えても現地の日本人がアクセスしているぐらいだろう。米国サイトであったとしても世界に訴求するサイトとは大きく違う。
Source:Alexa.com / Facebook
Source:Alexa.com / About
Source:Alexa.com / Asashi
Source:Alexa.com / NikkeiBP

こ こで、ひとつ疑問が出てくる。

米国子会社や欧州統括会社は、そのテリトリで担当事業領域の責任を負っているわけだ。米国企業が米国内の有力Webサイトを活用 したオンラインプロモーションを行った場合、そのブランド、製品・サービスは米国内ユーザだけではなく、海外からカテゴリトップのWebサイトへアクセス している全世界のインターネットユーザ、各国でのアーリーアダプターにも露出している。米本社とすれば国内向けの露出が海外へ流出してもOKだ。グローバルなブランディングとして世界へブランド認知向上が行えている。

しかし、日本などの現地法人が米国予算で米国内向けのキャンペーンを実施 しても、Geoターゲティングしていなければ、欧州や南米、アジアのアーリーアダプターに露出してしまう。Geoターゲティングはプレミアムがつくので実 施していないケースがほとんどだろう。企業全体としてはそれでいいのかもしれないが、米子会社はたまらない。折角、担当テリトリのターゲットに対して露出し、認知向上、トラフィック誘導、販売促進をかけているにもかかわらず、その露出が担当外のユーザに流出している。

今、 個人ユーザであれ、企業ユーザであれ、B2CあるいはB2Bマーケター、およびバイヤーは、IT、インターネット、ビジネス情報、コンテンツをどこから入手しているのだろう。日本や中国、サウジアラビアかアルゼンチンだろうか?そんなことはない。やはり、米国のWebサイトだろう。SaaSにしても、RFIDにし ても、SNSやBlogにしても、ビデオ共有サイトやTwitterにしても米国だ。米国の経済・ビジネストレンド、株価・為替情報は世界の経営者にとって必要不可欠の情報だ。こういったユーザ層が各国のアーリーアダプターを形成している。自国のWebサイト、コンテンツに満足できず、世界トップのコンテンツを持つWebサイトであれば、どこの国のサイトであれアクセスするグループだ。

こういったユーザは米国サイトから入手した情報を国内へ伝播、流布、拡散するから、米国グローバル企業が意図する以上にグローバルなブランディングが行える。いまどき、既成マスメディアよりもBlogの情報が早い時もあるし、既成マスメディアがBlog情報を引用していることもある。彼らの存在や、影響は今までのメディアではトレースできない。

整理すると;
  • 既成オン+オフラインメディアでの膨大な露出ギャップが累積
  • Web 1.0での露出ギャップに加え、Web 2.0での露出ギャップも拡大
  • GM、MSを先頭に業界全体がオンラインへ殺到
  • B2Cでは露出が小売の展示スペースに影響
  • 世界のアーリーアダプターは米国、カテゴリトップサイトへアクセス
  • 各国のアーリーアダプターは国内へ情報を伝播、流布、拡散
  • 米国露出は世界へ流出
  • 米グローバル企業は国内向け+海外へも露出し、認知向上
  • 米国現法は限られた予算の中で露出が海外へ流出、効果が減少

    それだけではなく、

  • 米国内向けオンライン露出のSpilloverが、世界各国に流出し、
  • 米国内の現法の問題だけではなく、欧州、南米、アジア、アフリカ、中近東など各地の子会社にも影響
が出るということになる。

事は大事になってきた。米国からの露出流出が世界へ影響するというグローバル化の時代なのだ。テリトリにこだわった現地主義でこの露出流出を何とかできるわけもない。グローバルなブランディングを検討する必要がある。

また長くなったので、続きは次回以降で。

2008/04/09

Aquos-world.com exposure to Web 2.0 -2

昨日の続きで、もう少しAquosとBraviaの露出を比較してみる。

Flickrの場合、Aquosは939件、Braviaは2,733件だ。

Aquosに関するDigg件数は1件、1,541Diggを獲得しているが、
Braviaに関するDigg件数は14件、12,091Diggに達している。それでは、いままでのデータとWebsitegraderなどを使って、Aquos-world.com、Aquos-sharp.com、そしてBraviaのEUサイトであるBravia.sony.euを比較してみる。
まずAlexaのトラフィックランクが大きく違う。Aquosの40万番台以降に比べBraviaは2万番台だ。インバウンドリンクも100件台に対して、1万件台と大きく違う。Digg、Google Indexed page、del.icio.us、MySpace、FlickrとすべてでAquosの露出は少ない。

また、AquosやBraviaという単体ブランドだけではなく、企業ブランドとしても露出ギャップはある。Immediate Futureが出したソーシャルメディアでのブランド露出を見ると、Googleは7,000万前後、Sonyの露出は2~300万、LGの露出でも100万弱くらいだろうか。
参考:Top 100 Brands in Social Media (Online Ad 2007/07/23)

こういった企業ブランドとしてのソーシャルメディアでの露出も、単体ブランド露出に相乗されてくるわけだから、ちょっとやそっとでは単体ブランドの露出ギャップは解消できそうにもない。

続きは次回以降へ。

2008/04/08

Aquos-world.com exposure to Web 2.0

昨日の「Aquos-world.com Current Status」の続きで、今日はAquosとBraviaを、Blog、YouTube、SNSといったWeb 2.0での露出を見てみる。

最初にTechnorati.comでAquosと、Braviaを検索してみる。

Aquosが37,046件、Braviaがg34,847件と若干、Aquosに関するBlog書込みが多い。

次にBlog PulseでAquosとBraviaのBlog露出を見るとAquosが昨年末以降、Braviaを上回っているようだ。
Source:Blog Pulse / Aquos + Bravia

ところが、Technoratiで言語別にBlog書き込み数を出すと、Aquosは全言語で37,046件、日本語で22,292件(60%)だが、 Braviaは全言語で34,847件中、日本語はたった7,728件しかない。Aquosの英語Blog書き込みは10,764件で29%だが、 Braviaは18,305件と53%を越えている。(4月7日時点)
日本語以外でBraviaのBlog露出はAquosを大きく上回っている。

さて、全世界でWebサーバは1.62億あり、1.12億のBlogがある。NetCraftが言うようにBlogやSNSプロバイダーがこのところのWebサーバ数増加の原因だ。スタティックなWebサーバではなく、BloggerやSNSメンバーがダイナミックなコンテンツを全世界に提供している。そのダイナミックなコンテンツの中でブランドが語られている。特にTVCFは語られることが多いし、ショップやカスタマーサポート、製品、そしてブランドが語られている。

そのブランドが語られるメディアには、以下のものがある。
  • Web 1.0系サイト
    • ニュース、情報サイト、ポータル
  • Web 2.o系サイト
    • Blog、SNS、Wiki、Chat、ソーシャルブックマーク
  • 企業Webサイト
  • 検索エンジン
  • その他
    • ニュースアラート、IM、携帯
Web 2.0系サイトの中心でもあるBlogでの露出が少ないということは、情報、コンテンツを消費、共有してもらっていないことになる。また、それらを再発信してもらっていないわけだ。

Source:NetCraft.com / Web Server Survey
Source:Technorati.com / About Us

次にYouTubeとDailymotionを見てみる。まずYouTubeだが、Aquosでの検索結果は205、Braviaでは1,540だ。

仏ベースのYouTubeであるDailymotionでは、Aquosはたったの4件、Braviaは367件だ。
Source:Dailymotion / Aquos

Alexaによれば、YouTubeのトラフィックリーチは2位、Dailymotionは28位だ。全世界をカバーするYouTubeと、仏が48.6%だが、英・独・西などの9.7%を加えて欧州が58.3%を占めるDailymotionでこの露出差は痛い。

最後にMySpace、Facebook、BeboなどSNSを見てみる。ただし、Facebook、Beboともにブランド的な露出はない。いずれも個人プロファイルとしてAquosやBraviaが個人名などとして出てきているだけで、MySpaceのようにビデオや製品について露出しているわけではない。
下のようにMySpaceで検索すると、Aquosは673件、Braviaは4,950件だ。
Blog、YouTube/Dailymotion、MySpaceと見てくると、圧倒的な露出を果たしているのはBraviaで、Aquosは露出が足りない。情報、コンテンツを消費、共有、再発信してもらっていない。情報、コンテンツを消費、共有、再発信してもらい、オンラインコミュニティにAquosブランドを確立し、認知向上を計り、Aquos-world.com/Aquos-sharp.comなどのブランドサイトへのトラフィック誘導を促進し、そこからのダウンリンクから販促につなげるにはどうしたら良いのだろう?

オンラインだけではなく、オフラインでも圧倒的な露出ギャップを抱え、予算的に対抗する手段が限られている時、どのようなマーケティングを導入してゆけばいいのだろう?

そこら辺は、次回以降に「To be continued」