消費者が「ソーシャルサイトを通じて企業と相互やり取りをする理由」の上位に来るのは割引と製品購入だが、企業側が考えている「消費者が企業をフォローする理由」では最下位にランクされている。
もう、これは一目瞭然だ。
この大きな認識のずれを意識、把握することなく、企業側は今日も新製品情報、一般情報を発信し続けている。
しかし、それを受け取る消費者側のプライオリティは低い。企業側が「新製品情報、一般情報」に70%以上のプライオリティをつけているにも関わらず、消費者側は50%台前半のプライオリティでしかない。
また、「コミュニティへの参加」が目的だとする消費者は20%しかいないのに対して、企業側はその3倍を超える61%が「消費者はコミュニティへの参加に興味を持っている」と考えていることになる。同じように「(企業と)つながっている気分」になる消費者に比べて、企業側はその2倍もそうだと思っている。
IBMは次のように書いている。
消費者は、もし自分達のメリットになったり、企業を信頼できたり、そして、自分達が求める価値を獲得するために必要なチャネルがソーシャルメディアだと決断すれば、企業側と相互のやり取りを行う。消費者が求める価値は、クーポンであったり、特別な情報のこともある。ソーシャルメディアを通じて企業側とエンゲージすることにより、消費者は企業とつながっているという気分になることもあるが、親密になりたい(つながりたい)という思いが相互やり取りの理由ではない。企業側が期待するように、今時の消費者は決してナイーブではない。計算高く、損得を考え、割に合わなければ、あるいは、得られる価値が期待ほどでなければ、迷うことなく「unlike」や「unfollow」をクリックする。なぜなら消費者自身が価値を比較、判断するための情報・コンテンツを入手することができるし、参考とする友人・知人・ネットの知り合いやアーリーアダプター、エバンジェリストがいるからだ。
その逆に、ソーシャルメディアチャネルを駆使して情報を発信すること、読者・ファン・フォロワーを増やすことにより、ロイヤルユーザが増え、売上にも好影響が表れると考えるナイーブな企業側が如何に多いのだろう。
企業側のロジックで何も進まないのは、どんなに膨大な広告・宣伝費をかけた処で新製品が予想・期待以上に売れることなどないことは何度も経験しているはずだ。にもかかわらず、企業のナイーブさは頑固なほどに変わらない。
企業側が垂れ流す「新製品情報、一般情報」に価値を認める消費者は期待するほどいないのだ。消費者があの製品・サービスは自分のメリットになると評価する「新製品情報、一般情報」は少ないのだ。
また、信頼できる「企業」はあまり多くはないのだ。それはそうだろう。Facebookページのファンになってもユーザが独自にWallに書き込むことを禁止している企業を誰が信頼できるのだろう。
そして、既成レガシーメディアを経由する情報発信と同じたぐいの情報をソーシャルチャネルから垂れ流している企業とわざわざ、ソーシャルチャネルから「つながろう」とする消費者も多くはないのだ。
参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2011/08/03)