2007/04/27

Google Is Now Top Brand

Millward Brownから2007年のBrandz top 100が発表された。Millward Brownのブランドランクが面白いのは他のランキングとは違い、財務データに加え、ユーザのロイヤリティ、ブランドの成長力などを加味したランキングになっていることだ。
世間で注目されるのは昨年の7位からランキングトップにGoogleが躍り出たことだろうが、そちらはReutersのニュースを伝えているCNN Moneyを参照していただくことにして、アジア地域と携帯業界のランキングを見てみる。

アジアのトップブランドは、日本ではなく、中国のChina Mobile。エレクトロニクスメーカーも日本ではなくSamsungが上位に来ている。
携帯ブランドもChina Mobileがトップ、DoCoMoは3位で、ブランド価値に変化がないとされている。
車ブランドでは、Toyotaがトップを占めるが、その他のアパレル、ビール、贅沢ブランドは言うまでもなく、金融機関のトップ10に日本からランクインはなしという結果だ。

Source:Millward Brown / BRANDZ Top 100 Report 2007 (pdf)
Source:CNN Money /Google tops list of most valuable brands

日本からはトップ100に7ブランドがランクインしているが、どうしても寂しさが隠せない。経済摩擦解消のため、少子高齢化が顕在化するずっと前から世界へ進出し、グローバル化、現地化を進めていた日本企業のブランドはToyotaなど少数の例外を除けば、まったく確立していないようだ。

つい最近アップした「Brand Barometer」でもブランドロゴマーク・IDの認知が90%以下の企業が4社もいた。今度とも一層グローバル化が要求される状況で、ブランディング、特にオンラインブランディングの必要性を感じている企業はいないのだろうか?

参考:Brand Barometer

2007/04/26

Timeline : Alan Johnston Missing

BBCがガザで誘拐されたレポーター、Alan Johnstonの解放を支援してもらうためのWebやBlog用ボタンをアップしていることをMicropersuasionが伝えていた。

BBCによれば、3月12日、ガザ市内のオフィスから帰宅途中のJohnstonが誘拐されてから7週目に入る。3月以来、BBCは「Timeline : Alan Johnston Missing」で彼の早期解放を要求し、様々な関係筋の情報、働きかけを伝えていた。

5週目には、父親からの手紙が掲載されていたが、ショッキングなことに週末に殺害の未確認情報が飛び込んできた。その後、パレスチナのアッバス議長の軍関係者が彼の生存を確認してはいたが、まだまだ予断は許さないようだ。

そこで4月17日、「Timeline : Alan Johnston Missing」は、彼の早期解放を支援してもらうため、WebやBlogに追加するボタンを公開し、より多くの力を借りることになった。25日時点ですでに52,000人以上が嘆願書にサインしているし、220人以上がボタンをBlogなどに追加している。

Alan Johnston banner

過去3年間、ガザに拠点を置くメジャーなメディアの中で、唯一の外国人ジャーナリストとして、昼夜を問わず記事を送り続けてきた彼の解放を支援したい。Sourceリンクのうち、「How you can help」へいくと、ボタン用のHTMLがあるので、是非、協力していただきたい。

彼の無事な解放を願うばかりだ。

Source:Micorpersuasion / links for 2007-04-25
Source:BBC / Timeline : Alan Johnston Missing
Source:BBC / How you can help

Web 2.0、Crowd Sourcingの時代と呼ばれる今、そのパワーを既成メディアの代表格であるBBCが借りてまでAlan Johnstonの解放を働きかけようとしている。その支援を求める声に呼応して、彼の無事な解放を願う世界中の人々が意思を表明し始めている。既成メディアを上回るほど圧倒的な影響力を与えるメディア自体が我々であり、インターネットであり、そこには人種、言語、国境はないと信じたい。

2007/04/25

SNS: What You Need to Know

Ad Age GroupのCustom ProgramsにMarketing Intelligence Centerがある。ここにAkamaiがスポンサーとなっているSocial Networking Channelがあり、「SNSおよびCGCアプリケーション:知っておくべきこと」というホワイトペーパーがある。

「なぜAkamaiがSNS...?」という質問の前に、Executive Summaryを見ると次のように書いてある;

爆発的に急増し、注目を集めるSNS(ソシアルネットワーキングサイト)は、個人々が創る画像、動画などのリッチコンテンツを後押ししている。数百万に及ぶブロードバンド化された消費者はSNSにコンテンツをアップし、広告収入を増やし、ブランドを確立している。しかし、大きな可能性を実現する以前に、立ちはだかる技術的な壁、コンテンツ配信、保存、そしてユニークでダイナミックなコンテンツ、かつ膨大なコンテンツを管理する必要がある。

そこでAkamaiのホワイトペーパーは、SNSによってもたらされた劇的な変化を取り上げ、どのように各企業がこの革新に対応する投資を行っているかを説明する。また、SNSサイト運営のビジネスおよび技術的な問題を分析し、Akamaiのユニークはネットワークソリューションを提案するとしている。

さて、YouTubeは2006年上半期にユーザ滞在時間は17分から28分へ64%増加、PV (Page View) は515%増加している。これだけのトラフィックが広告収入を支えている。だから、「SNSはトラフィックを収入に変換する必要がある」ということで、SNSサイトのトラフィックの伸びを見ている。

ユニークビジター数が最も伸びたトップ10のWebサイトのうち、5つがSNS系サイトとなっている。その伸びも前年比倍増するような伸びになっている。このユーザ数伸張を継続させ、滞在時間、PVを延ばす必要があると説く。それが広告収入の鍵だという。
そして、ケーススタディとしてAkamaiが担当したFriendster.comを上げている。Friendsterはトップ40に入るサイトで、3,100万人以上のメンバー間で友達を作ったり、今の友達とコミュニケートしたり、情報共有やデートサービスを提供することで急拡大しているSNSだ。Friendsterはトラフィックピークの増大を見越していたが、それに伴うシステム増強や管理コストをできる限り押さえながら、リッチメディアコンテンツをストレスなく使えるようなインフラ整備を検討していた。そこでAkamaiが、Friendster自体のサーバ負荷を低減させ、コンテンツ配信を最適化し、PVを増加させるソリューション提案を行っている。

Friendster.comの場合、伸び悩んでいたPVが、Akamaiのシステム導入により急激に伸びているのが明白だ。下のAlexaのグラフではPVが600@million前後から1,800@million前後へ伸びている。(Alexaのデータは、Alexaツールバーをダウンロードし、使用しているユーザデータに基づく)
Source:Ad Age / Social Networking Channel (Sponsored by AKAMAI)
(注:URLは、http://mediakit.adage.com/aamarketing/_custompage/custom_mic_akamai.html
だが、直リンクでアクセスできないかもしれない。その場合、まずhttp://www.adage.comへアクセスし、左サイドバーにある「BRANDED CONTENT」の「White Papers & Marketing Information」をクリックし、Akamaiがスポンサーとなっている「Social Networking Channel」をクリックしていただきたい。どちらにしてもダウンロードにはユーザ登録必要)

Friendster自体のデータによれば、たった一月で3倍の2,750万PVへ伸びたそうだ。AkamaiのソリューションがFriendsterのビジネスに大きな影響を与えたことよりも、インフラ、コンテンツ配信ビジネス側からSNSに切り込んでいるAkamaiの目のつけどころに感心する。

2007/04/24

World Broadband Statistics Report - Q4 2006

Point Topicから2006年Q4のブロードバンドレポートが出ているので忘れないうちにアップしておく。

2006年末までに全世界のBBは2億8,150万回線に達し、前四半期から1,770万回線(6.7%)の増加、年率では31.1%増となっている。普及率を見ると、100人当たり5.4人に達したが、伸び率を見ると2004年Q4の13.3%から6.8%へと落ち着いてきている。特にアジアパシフィック、北米で成熟してきているようだ。

地域的には東欧が14.2%の伸びで断トツ、中でもロシア、ポーランド、ルーマニアは合計で280万契約者が増えたことにより東欧の伸びの61.9%を占めている。次にMEA (Middle East & Africa)が続いている。しかし、世界7地域のうち2005年Q4の伸び率を上回ったのは、西欧、東欧、MEAだけだ。
ブロードバンド普及国トップ10で変化があったのは、ドイツと韓国の順位が逆転した。2006年Q3ではドイツに50万契約者の差をつけていた韓国だが、伸び率が1.04%と世界全体の6.7%からすると大きく落ち込み、1,400万契約者数に留まり、ドイツに60万の差をつけられた。他に順位の変動はないが、米国と中国の差が縮まってきている。2006年Q3で590万の差が、Q4で540万になっている。早晩、中国が米国を抜き、世界第一のブロードバンド国になるのは間違いない。日本は3位で変わらないが、DSLからFTTxへの移行が顕著だ。
次に世帯普及率を見ると、イスラエルとオランダの順位が逆転している。2006年Q3にオランダはイスラエルとの差0.06%で抜かれていたが、Q4にオランダは69.4%の普及率で6位となっている。

...と、Point Topicは書いている。が、下の図を見る限り、オランダは5位となっている。
Source:Point Topic / World Broadband Statistics Report - Q4 2006 (pdf)

2007/04/23

Click Fraud Q1 2007

3,500以上のオンライン広告主、広告代理店が加盟するClick Fraud Network(CFN)を主催し、クリック詐欺インデックスを発表しているClick Forensicsによると、2007年Q1の結果は以下の通り。
  • 2007年Q1のクリック詐欺率は14.8%(前年同期は13.7%)
  • CFN参加企業のPPC広告におけるクリック詐欺率は21.9%(2006年Q4は19.2%)
  • 2㌦以上の高額キーワードに対するクリック詐欺率は22.2%(2006年Q4は20.9%)
Click ForensicsのCEOによれば、「クリック詐欺は、検索エンジン側が被害防止に努めるにつれて、一層巧妙になってきた」、「クリック詐欺はSPAMや、Phisingのようなオンライン詐欺と同じ進化の道をたどっている様に見える-詐欺が巧妙になればなるほど問題は大きくなっている」と語っている。
Source:Click Forensics / Click Fraud Index

今まで取り上げたクリック詐欺に関する記事だけでも5本ある。2006年Q4のクリック詐欺率が14.2%で最高になったと2月1日に書いたばかりだが、もうそれを追い越して2007年Q1は14.8%に達してしまった。

検索広告に予算を投下し始めたGM、Wal-Martなどの大企業がクリック詐欺の被害にあう可能性もある。しかし、彼らには、ロングテール企業など及びもつかないリソースがある。被害の防止、被害の特定、補償交渉など予算規模に即して検索エンジン側からの対応も厚いだろう。

しかし、ロングテール神話に踊らされてPPC広告に予算をつぎ込む中小・零細企業、SOHOはコンバージョン率低下に悩まされるだけではなく、クリック詐欺の被害者にもなっている。そして、予算規模が小さく、数少ないキーワードしか買えない彼らの行き先は、Blogやニッチなショッピングサイトになってしまうのかもしれない。

参考:Click Fraud Record High 14.2%
参考:Big Brand for Search
参考:Click Fraud : Al Qaida, Hezbollah and Fallujah?
参考:Click Fraud -2
参考:Click Fraud

実は、2月28日にInside AdWord'sにGoogleがどのようにクリック詐欺を防止・探知しているかという書込みがある。Googleは、フィルタリング、オフライン解析、調査の3段階を踏み、クリック詐欺を未然に防止しているとしている。
そして、最終的にクリック詐欺として判定された率を、「0.02%」としている。
Source:Inside Adwords /Invalid Clicks – Google’s Overall Numbers
参考:MediaPost's Search Insider /Don’t Think Click Fraud, Think Negative ROI

ただし、この0.02%はGoogleがクリック詐欺だと判定した割合だ。1、2段目の自動アルゴリズム判定で見落とされたもの、3段目で見落とされたものがあった場合、それは対象外だ。そして3段目の解析で初めてクライアントからの苦情が調査対象となっている。1、2段目で正常クリックと判定されたものは、クライアントがクリック詐欺だと立証する必要があるようだ。

Click Forensicsの結果から、どうしても、このGoogleの書込みに納得がいかないクライアントもいるだろう。

2007/04/20

Netvibes Universe Launched

NetvibesはAjaxを用い、個人が如何様にもカスタマイズできるパーソナライズドページサービスを提供している。非常に使い易く、筆者も利用している一人だ。そのNetvibesが4月17日に、「Netvibes Universe」をリリースした。ポイントを以下に挙げる。

パーソナルユニバース
Netvibesユーザがカスタマイズしたページを世界のNetvibesユーザに公開することができるようになる。現状は、右図のサイドバーにある「Suggest」、「Browse」、「Create」ボタンのうち、「Create」は「(soon)」と但し書きがあり、まだ使えない。しかし、今後、Netvibesユーザはプライベートと、パブリックの2つのページを持つことになる。このうちパブリックページのコンテンツやWidget、フィードなどを公開できるようになる。

ブランドユニバース
すでにBen Harper、Moby、Deftones、Mandy Moore、50 cent、Snoop Dogg、そして、CBS、CNN Money、Newsweekなどいくつかのブランドユニバースが公開されている。上記、パブリックページをブランドのユニバースとして公開している。そしてのこのブランドユニバースのコンポーネントを自由に、自分のプライベートにでも、パブリックページにでも追加することができる。(今の所、自分のユニバースは作れないので、従来のページに追加される)

ユニバースナビ
Netbivesのサイドバーに「ユニバース」ボタンが追加され、プライベートと、パブリックページの行き来をさせる。◎アイコンが「ユニバース」ボタンだ。

Source:blog.netvibes.com

すでにCBS、Time、LA Times、LeFigaro.fr、Les Echos、Forbes、USA TodayなどメディアがNetbivesユニバースに参加して、ページを公開している。今後、多くのブランドユニバースや個人のパブリックページがリストアップされ、簡単にコンテンツのコピー、移動、削除が可能となる。そして、メディア企業だけではなく、例えば著名人が利用しているフィード、コンテンツやWidgetが世界中で共有されるようになる。

コンテンツやWidget、フィードを総まとめして参照できたり、自分のプライベート、あるいはパブリックページに取り込むことができるこのサービスは、クチコミ効果と重層露出面でブランドにとって大きな可能性を秘めている。また、個人ユーザが創造するNetbivesユニバースのコンテンツ内にブランドが入り込み、露出できるスペースとしても意味がある。

マーケターやブランドが殺到するSecond Lifeよりも、もっと効果測定が可能であり、コンバージョンも計れるはずだ。

2007/04/19

Loose Lips Sink Ships

ことの始まりは4月13日(金)にSteve Rubel(MSなどをクライアントに持つPR会社、Edelmanの一部門、me2revolutionのSVP)がTwitterで書いた下の一言だ。
「PC Magもそうだ。無料購読誌が来るけどゴミ箱行きさ」
それに対して4月17日のStrumpetteに、PC Magazineの編集長、Jim LouderbackがRubelへの無料購読を取り消すことから始まり、Edelman、Edelmanのクライアントをブラックリスト、Spamlistに載せてコンタクトを遮断してしまおうかなど、一種脅迫とも取れるコメントを書いている。
驚いたSteve Rubelが同日、A Lesson Learned Twitteringを書いて謝罪している。
Source:Twitter / Steverubel 05:44 AM April 13, 2007 from im
Source:Strumpette / EXCLUSIVE: PC Magazine Considers Edelman Boycott
Source:Micropersuation / Open Letter : A Lesson Learned Twittering

なお、PC MagのLouderbackからは当日、RubelのOpen Letterから50分ほどたって直接、Blogへ書込みがある。謝罪に謝意を示し、雑誌内容をRubelの個人的な技術情報ニーズにもマッチさせたいと書いている。

以前、「Wal-Marting Across America」というEdelmanが仕込んだやらせBlogが発覚し、その騒ぎの中、EdelmanのCEOが自身のBlogで「コミットメント」と いうコメントを出していた。しかし、謝罪の言葉はない。それに比べれば今回のRubelはきちんと謝罪し、関係が正常化したように見える。

参考:Wal-Mart enlists Bloggers in P.R. Campaign
参考:Richard Edelman / A Commitment

ところがRubelは、最初にあげたPC Magazineについて書いたコメントの1分前に、CNETについても下のように書いている。

「まだCNETを読んでる奴いるの?Webwareはいいけど、でもアクセスするのはそのサイトだけ」
このコメントがあり、「PC Mag is another.」というコメントへ続いているのだ。

Rubelの謝罪Blog、「A Lesson Learned Twittering」のコメントにも「Is your apology to C/NET next?」という書込みがあるが、これについては何のリアクションもまだない。

Source:Twitter / Steverubel 05:43 AM April 13, 2007 from im

さて、謝罪の内容だが、「A Lesson Learned Twittering」で彼は、「Twitterのコメントは自身のメディア消費すべてを言っているのではない。PC Mag系オンラインサイトのRSSフィードは受けているし、記事にもリンクしている」と書いている。続けて、「自分のメディア消費習慣や意見は多くの人々の行動を反映したものではなく、印刷媒体よりもBlogを読むというユーザのサブセットがいるけれど、2月に取り上げた雑誌の広告ページ数増加が意味するように、クライアントおよびEdelmanにとりオーディエンスにリーチする雑誌は重要だ」としている。

が、彼は雑誌を読んでいるとは一言も書いていない。また、以前、Poynterの調査に関連して、「これをPRに当てはめて考えてみると、もしクライアントに関する記事がAPニュースに掲載された場合、印刷媒体に同じ記事が掲載されるよりも価値が高いことになる」とRubelが書いていることを紹介した。どうしてもデジタルでのホリゾンタルな対話をプロモートするme2revolutionのSVPとして、クロスメディアミックスの相乗効果を過小評価していることに気づいていないように見える。

参考:Online Users Read More than Print Readers
Source:Micropersuasion / The Long and the Short of Media

また、PC Magへのコメントの前に、同じ流れのコメントを発したCNETに対して誠実に、オープンに対話していないように見える。これでは騒ぎの大きくなったPC Magazineにだけ謝罪文を出し、まだ何も言ってこないCNETには頬かむりを決め込んでいると見える。そうだとすると、謝罪文の重みがなくなってしまう。

2007/04/18

Brand Barometer

2006年1月に発表されたちょっと古いデータだが、GMI (Global Marketing Insite) が、全世界18カ国で18~64歳までの17,502人に対して、15のグローバルブランド(エレクトロニクス製品)を対象に行ったブランドの認識や意識調査がある。
この調査は以下の6項目をカバーしている。
  1. Recall
    ブランドロゴマーク・IDの認知
  2. Response
    ブランドが呼び起こす意識やイメージ
  3. Recognition of heritage/country of origin
    どこの国のブランドであり、それによる好感度
  4. Reliability - delivering the benefits
    消費者が期待するメリットを生成するブランドの信頼性
  5. Regional marketing
    ローカルブランドとしてのマーケティング成果
  6. Relevance
    消費者が感じるブランドの重要性
この6項目の中からいくつか拾ってみる。

ブランドロゴマーク・IDの認知
右図のようにMSがトップ、Hitachiが最下位となっている。

Hitachi、Pioneer、Sanyoは同じように18カ国でばらばらなロゴ認知しか得られていない。

国別に見ると、中国での全ブランドの認知率は平均で77%にしか過ぎない。可処分所得が今後も伸びると見られる中国でのブランド露出、認知、想起を積極的に行うことで、ブランド認知率を上げるしかない。
インド、そしてポーランドでは、急激に経済が拡大しており、ステータスとしてブランドが活用されている。しかし、全ブランドの認知率は非常に低く、それぞれ40%、20%しか認知されていない。ここにもブランディングの必要性がある。

ブランドが呼び起こす意識やイメージ
Appleが、Most Exclusive、Mysterious、Risk-taking、Ethicalというイメージを想起されている。反面、SanyoはMost stagnant、dull、irrelevant、weak、cheapと評価されている。

NokiaがFriendly、Engaging、Customer focused、Listeningという項目で高いスコアを上げているのに対して、SanyoはIntelligent、Engaging、Trustworthy、Customer focused、Listeningで最も低い評価を得ている。

消費者が期待するメリットを生成するブランドの信頼性
Sony、Nokia、HP、Canonが高い信頼性を勝ち得ているが、SanyoとHitachiは低い評価となっている。評価の低い企業は製品のクオリティを上げるか、消費者の期待にマッチするようブランドが約束するものを改善する必要がある。
消費者が感じるブランドの重要性
Mexico、China、Brazil、India、Russiaなどの国々では、消費者にとってブランド名が最も重要だ。Russiaでの悪評ブランドは米国(Dell、Apple、HP)だが、Mexicoでは日本(Hitachi、Pioneer)だ。
ブランド名がその国で重要であるにも関わらず、ブランド認知とローカルマーケティングが弱い場合、早急にブランド認知を向上させるマーケティングが必要だ。Hitachi、Sanyo、そしてSharpはMexicoで、Casio、Sanyo、PioneerはChinaで改善する必要がある。

Source:GMI /Press Release (BrandBarometer)

なお、GMIのプレスリリースのページには、pdfファイルへのリンクがない。以前、ダウンロードしておいたファイルをBox.netに上げておいたので興味のある方は以下へ。

参考:Box.net / Stewart-Allen BrandBarometer Powered by GMI (pdf)

2007/04/17

Blogger :No Response When Reporting Critical Trouble

なぜ昨日、記事をアップしなかったかと言うと、アップできなかったからだ。

下の画面はBloggerの通常の「作成」モード編集画面だ。
そして次の画面はBloggerの「HTML」モード編集画面だ。
ところが先週の金曜日から、書きかけの記事を開くと以下の画面が表示され、「b」、「i」などの編集ボタンがない。「HTML」、「作成」モードの表示もない。そして、「下書きとして保存」、「公開」のボタンも全く機能しなかった。
どうやらヒンズー語対応にするため、金曜日に5分程度のメインテナンス後、日本語インタフェースが崩れたらしい。

そこでBloggerのサポートにEmailを、金、土、月(早朝)曜日に出したが、無しのツブテだった。それが月曜日の午後遅く(4時以降に)なってようやく復旧したようだ。結果として、約3日間、Bloggerの日本語インタフェースは使えず、新規記事の編集も下書き記事の編集・公開もできなかったことになる。また、そのトラブルが公表されていない。Bloggerの日本ユーザ数は分からないが、少なくとも1人は、このトラブルによって記事をアップすることができなかったことになる。

さて、ここから何を学習すればいいのだろう。例えば、企業Webサイトが3日間、何の通告もなくサービスを停止した場合、ステークホルダー(顧客、従業員、株主・金融機関、ビジネスパートナー、地方自治体など)はどのように判断するのだろう。ビジネスを継続する意思無しとみなすか、重大な告知義務違反とみなすのか。これがECサイトやオークションサイトなら、とんでもない問題となることは明らかだ。

Bloggerは無料サービスではあるけれど、実質は違う。GoogleからするとBloggerはAdSenseなどの広告媒体でもある。Bloggerの日本語インタフェースがトラブルを起こし、約3日間新しいページ追加ができないことで発生した損失は如何ほどだろう。BloggerのトラブルがBlogger部門内だけに留まるという縦割り弊害の象徴だ、大企業病がGoogleにも蔓延してきたと断定するのは行き過ぎだろうか?

何にしてもオンライン広告業界で最大手とみなされる企業のビジネスとしてはいただけない。

2007/04/13

Global Warming Footprints

CSI (Center for Sustainable Innovation) が先週、オンラインで使えるGlobal Warming Footprint Calculateorをリリースした。これは温室効果ガスを計測し、レポートするシステムで、企業の排出量と大気中で許容される二酸化炭素量を安定させるために必要な排出パターンを比較するものだ。

CSIが用いたのは、2150年に安全だとされる蓄積二酸化炭素量を安定させるために必要なグローバルな排出パターンを示すWRE350だ。WRE350が求めるのは、産業革命以前の280ppm、現状の385ppmに対して350ppmだ。

Global Warming Footprintが他の指標と違うのは、地球上の大気を安全なレベルに保つため、蓄積される二酸化炭素量を安定させるパフォーマンス指標と組み合わせ、それをパフォーマンスと比較する点だ。ここが、GRI (Global Reportin Initiative)、温室ガスプロトコルなどと違う。

すでに公に公開されているデータから、いくつかの多国籍企業の排出パフォーマンスを発表している。(クリックで拡大)
黄色でハイライトされている数値は、2005年レベルのもので、≦1は持続可能、>1は持続不可能となる。Alcoaが1.165、GMが1.046、STMicroelectronicsが1.031、DuPontが1.026と1を上回っており、このままの排出パターンでは二酸化炭素量を安定できず、持続不可能だと判定されている。

Source:LOHAS / Global Warming Footprint Tool Goes Online
Source:Center For Sustainable Innovation / Global Warming Footprints

日本のグローバル企業はどれくらいの数値になるのだろう。また、Special Footprint Masterclassが、5月9~11日まで開催される。果たして日本企業からの参加はあるのだろうか?

そもそも参加を呼びかけているCorporate Responsibility / Sustainability Managerという部署や役職者がいるのだろうか?

2007/04/12

Internet in Spain

今年に入り、EIAA (European Interactive Advertising Association) が独、スペイン、仏でオンラインマーケティング、およびE-Commerceに関するコンファレンスを開催していた。英語版資料は独とスペインのものがあるが、ヨーロッパの中でも取り上げられることの少ないスペインの資料を紹介する。

まず、ヨーロッパの11カ国中でまだまだインターネット普及率の低かったスペインだが、2005年から2006年の一年間で23%増と最も利用が進んでいる。ブロードバンドの普及(スペインは71%)に後押しされ、今年中には少なくとも欧州平均および独を抜くのではないだろうか。
次にスペインに特有かと思われるデータがある。時間帯ごとに最も接触しているメディアを見ると、欧州平均では午前中と日中はラジオ、夕方以降はTVとなっているが、スペインの場合、夕方にインターネットが最も接触するメディアとなっている。
インターネットの普及、利用が進むことにより他メディアの消費時間が減っている。欧州全体では2004年と2006年を比較すると、TVは6%アップ、ラジオも14%アップ、インターネットが28%アップ、新聞が2%ダウン、雑誌が11%ダウンという結果に対して、スペインはTVも、ラジオもダウンしている。
また、アクセスするWebサイトもスペイン特有のものが見られる。それは音楽、スポーツ、そして映画サイトへのアクセスが明らかに欧州平均よりも多い。また別スライドにある有料音楽ダウンロードでもスペインは、UKの23%、ドイツの15%を上回る25%に達している。
Source:EIAA / Online Marketing España 2007 (ppt)

紹介したデータ以外に、オンラインショッピングに関するもの、Web2.0に関するものもある。このスペインに加え、ドイツ、フランスのデータを合わせると、欧州の現状理解がもっと進む。EU27としてみると4.9億のうち51.3%(2.5億人)に普及するインターネットはTVやラジオに勝るとも劣らないメディアとして確立しつつある。パンメディアとして活用するマーケティング、TVなどとのクロスメディアミックスが必要になっている。

2007/04/11

Second Life Disappointed

ハンブルグのリサーチ会社、Komjunitiがマーケティングに関するSecond Life住人の初めての調査結果を発表した。この調査と、2004年にYankelovich Partnersが行ったインターネット広告に関する調査を合わせて、GigaOMがSecond Lifeでの広告、マーケティング活動に関して書いている。

2004年1月、英国の広告代理店が初めてSecond Life (SL) に拠点を開いたところ、抗議のプラカードをかざした数多くの住人からデモをかけられた。それから、数年経ち、SLはまるでドットコムバブルのような状況を 呈している。擬似3D世界でマーケティング活動を行っているのは様々で、MTV、Coke、Dellもいれば、衣料、金融、車関係のブランドもある。しか し、これらSLに参加する数多くの企業に、「一体、Second Lifeに参加したというアナウンス効果以外に、どんな効果、メリットが得られるのか」という厳しい質問を投げかけたケースはあまりない。

ということでGigaOMは、まずKomjunitiの調査結果:(SLの住人200人が調査対象)を持ち出してきている。それによれば;
  • 72% SL参加者はブランド企業が行う活動に失望している

  • 40% これらブランド企業が行う活動は長続きしないと思う

  • 7%  ブランドイメージにポジティブな影響を与え、将来の購買に影響する
Yankelovichの調査結果:(2004年)によれば、表にある1964年の広告に対する感じ方との差に加え、
  • 65% いつもオンライン広告に爆撃されているような気持ちになる

  • 60% オンラインのマーケティングおよび広告に関してかなりネガティブな意見を持つ

  • 41% オンライン広告が消費者にとって少なくとも何らかの意味を持つと考えている
という結果が出ている。

Yankelovichの41%と比べると、SLベースのプロモーションが将来の購買行動に対してポジティブなインパクトを持つと答えたのはKomjunitiでは7%となっている。SLでのプロモーションが期待する効果を発揮できていないのは明らかだ。しかし、Komjunitiの調査対象者は、「SLに出先を持つブランドともっとつき合える様になることを希望」してはいるが、実際のところ、ホテルや小売が、最もポジティブなアクションを獲得しているだけだ。

ということでGigaOMは、Komjunitiがカバーしていない3つのポイントを挙げ、SLでのプロモーションの困難さを指摘している。

Source:GigaOM / Marketing in Second Life doesn't work... here is why!
Source:Komjuniti / Press Release ( published on openPR.com : pdf)
Source:InternetNews.com / Consumers Becoming Marketing-Resistant

GigaOMがあげる3点は、日本語版SLを計画している人たちに検討していただくとして、下の図をご覧いただきたい。これはK Zeroが作成したSecond Lifeのブランドマップだ。これを見ると、まるで住宅展示場のように様々なブランドが出展しており、異様な感じさえする。どのブランドも競合に後れてはならじと、後先を考えず、「まず出展しろ」といったトップからの「天の声」があったのかと思ってしまうほどだ。(クリックで拡大)
Source:K Zero / Second Life Brand Map

SLという擬似3D世界に殺到する世界中のブランドがいる。それら種々雑多のブランドと住人が疑似体験を繰り返し、混沌と呼ぶしかない世界がある。一日に24時間、週に7日間ぶっ通しで踊り明かすヒップホップダンスパーティ、大蛙のフォークロック、サムライの果し合いがあり、時として、その3つが同時に行われるような世界で、ブランドを確立することが必要なのだろうか?

2007/04/10

Copyrighted Clips Not That Important To YouTube?

3月31日、Vidmeter.comがYouTubeにおける著作権侵害ビデオの人気を数字に基づいて出すこと、そして自作ビデオの人気を計る目的で「YouTubeにおける著作権ビデオの分析」というレポートを出している。ただし、YouTubeから削除されなかった著作権侵害ビデオはカウントしていないし、法的な評価や推測、仮定を行うものではないと書き出している。その結果、YouTubeにアップされている著作権侵害ビデオは全体からするとわずかな割合しかないという結果を発表した。

Videmeter.comは、昨年12月9日から今年3月22日まで、もっとも人気のある視聴回数の多い6,725ビデオクリップを調査した。これらは合計15.9億回の視聴回数を獲得していた。そのうち621本(全体の10%以下)がViacomなどの訴えを受けて著作権侵害ビデオとして削除されている。これら削除されたクリップは合計9,400万回の視聴回数で、YouTube全体の6%にしか過ぎない。
次にYouTubeから削除されたビデオの本数、視聴回数を著作権所有者ごとにブレークダウンしている。それぞれYouTube全体のビデオ本数、全視聴回数に対する比率を出している。
そして削除されたビデオの視聴回数を著作権所有者ごとの比率をグラフ化している。72本のビデオが削除され、合計3,768万回視聴されていたViacomは全体の40%に達している。
続けてViacomを筆頭に、各著作権者ごとにトップ5ビデオとショートコメントを載せている。例えば、Viacomが削除要求を出したビデオの大半、およびもっとも視聴された回数の多いビデオは「Panic! At The Disco - I write Sins Not...」、「hips don't lie」などのミュージックビデオだ。また「Daily Show」、「Colbert Report」、「South Park」などのコメディも含まれる。

最後に「(削除された)著作権侵害ビデオ本数は、YouTubeでもっとも人気のあるビデオ本数からすると相対的に小さな比率であり、視聴回数にいたってはもっと少ない比率だ」。また、「TV番組や映画から録られた長尺・完全版の盗作ビデオもあるが、削除された大半のビデオで視聴されているのはミュージックビデオおよびコメディやスポーツシーンのショートクリップだ」という結論を出している。

Source:MediaPost / Just an Online Minute
Source:Vidmeter / Copyright Report (pdf)

そして4月5日にフォローアップのコメントを出している。これはMedia Postが伝えるようにViacomは、YouTubeは依然として著作権侵害ビデオをアップしており、Viacomの要求に応じて削除した数は少なく、調査結果と方法に異議を唱えているからだ。
  1. 削除されたビデオだけをカウントしたこと
    削除されたビデオだけをカウントし、削除されていないビデオをカウントしていないという批判には、「その通り」と答えている。ただし、調査の目的、「『YouTubeのトラフィックの大半は著作権侵害ビデオへいっているのか』という問いに対する基本的な推測」を提供することから考えれば目的を果たしていると答え、もしもっとも人気のあるビデオの三分の一が削除されたとしても視聴回数は18%にしか過ぎず、全体から見れば過半数には程遠いとしている。
  2. 削除されていないビデオに有利な見方
    削除されたビデオは視聴回数を伸ばすことはできないが、削除されていないビデオの視聴回数は伸びるため削除されていないビデオに有利だという点に対しては、「その通り」としている。ただし、全体的に見れば削除ビデオへのトラフィックはYouTubeに対して大きな貢献はしていないとしている。
  3. ランダムなサンプルではないこと
    視聴回数の多いビデオだけを取り上げていることに対しては、YouTubeのトラフィックパターンはロングテールであり、もっとも人気のあるビデオへのトラフィックは人気のないビデオに比べ多い。だからトラフィックパターンを良く理解するためには最も視聴されたビデオを取り上げる必要があるとしている。
  4. 大げさに推測しすぎている
    このレポートは数字に基づいた推測を提供することにあり、YouTubeトラフィックの6%が著作権侵害ビデオへ行っているのではなく、Vidmeterがモニターした最も人気のあるビデオへのトラフィックの6%が著作権侵害ビデオへ向かっていること、そしてYouTubeの大半のトラフィックはちゃんとしたビデオへ向かっていることを結論しているのがレポートだと強調している。
Source:Vidmeter / Copyright Report

どう見てもVidmeterの調査は納得できない。簡単にデータが出せる方法を取ったため、ぼやけたといよりは、違った結論に結びついてしまったような気がする。特にVidemeterは、YouTubeへのトラフィックの大半は著作権侵害のない、ちゃんとしたビデオへ向かっているとしているが、以前取り上げたAd Ageの「Who's Really Viewing YouTube」によれば人気のある、視聴されているビデオは以下のタイプだ。これを見ると著作権侵害ビデオだろうと思われる、ニュース、天気、ミュージック、スポーツなどが上位に来ている。(映画プレビュー、TV番組のクリップ・プレビューなどは著作権者がアップしていると見られるので除外)

特にニュース、天気ビデオをTV・新聞社以外の著作権者がアップするとは考えられない。これらは完璧に著作権侵害ビデオだ。何もAd Ageの記事が絶対というわけではないが、もう少し詳しい調査方法と精査した結論を出す次のレポートに期待したい。

参考:Who's Really Viewing YouTube

2007/04/09

Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness

Greenpeaceが「Guide to Greener Electronics」ランキングでAppleを最下位に選出した。これは有害化学物質を製品から排除し、破棄された製品やリサイクルの製造者責任をどう取るかという携帯・モバイル端末やPCメーカーのグローバルポリシーを評価したランキングだ。各メーカーのWebサイトに掲載されている公の情報を元に評価を行っている。

昨年の8月に初めてのランキングが発表され、12月、そして今年4月に3回目が発表された。それによると、Lenovoが7社をゴボウ抜きする快挙でトップに躍り出ている。一方、得点の低い赤いエリアに1社ぽつんと離れてAppleがランクしている。14社中最下位の評価だ。(クリックで拡大)
Greenpeaceの各社ごとの評価を見てみる。
  1. Lenovo:もっとも改善が進んだと評価されてトップ
  2. Nokia:全評価基準で高得点を上げているが製品からPVC除去の時期明確化必要
  3. Sony Erricsson:有害化学物質除去を初めて2008年としたが、廃棄・リサイクル情報なし
  4. Dell:上位をキープするが、有害化学物質なしの製品なし
  5. Samsung:ランクアップ、廃棄・リサイクルがグローバルで実行されていない
  6. Motorola:有害化学物質排除の予定なし
  7. Fujitsu-Siemens:廃棄・リサイクルの改善必要
  8. HP:特に除去予定など化学物質基準改善必要
  9. Acer:化学物質基準は改善したが、有害物質なしの製品なし
  10. Toshiba:有害物質なしの製品や除去予定で得点するも廃棄・リサイクルで失点
  11. Sony:有害物質なしの製品はあるが、廃棄・リサイクル方針に一貫性なし
  12. LGE:廃棄・リサイクル方針に一貫性ないが、携帯で高得点
  13. Panasonic:他社の動きから遅れ、有害化学物質排除のコミットメントなし
  14. Apple:最下位を死守、ほとんどすべての判定基準で低スコア、改善なし
さて、右のバナーをクリックすると相当刺激的で、辛らつなGreenpeaceの「Greener Apple」というページへ飛ぶ。そこには「Take Action」、そして「View the best ProCreations」がある。

「Take Action」へいくと、すでに43,034人(4月5日時点)のMacファンがSteve JobsへEmailを送っていることがわかる。「View the best ProCreations」にはAppleをGreenにするためのリソースがあり、それを使ったデザイン集を見ることができる。こちらも相当刺激的だ。

Yahoo!によると、Appleの広報は、「このランキングを拒否する。(Green Electronics Councilによる、より技術的な評価では)当社の製品は市場でもっとも"Greennest"な製品」だと語っている。Green Electronics Councilによる評価ではAppleは、LenovoやDellよりも高い評価を得ている。

Source:Greenpeace / Guide to Greener Electronics
Source:Greenpeace / Guide to Greener Electronics (Full report : pdf)
Source:Yahoo! Finance / Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness

なお、Appleの広報が言うGreen Electronics CouncilはDesk Top/Note book PCの評価、判定はしているが、携帯・モバイル端末はカバーしていない。

NYTimes.comが伝えるところによると、全米5,000万世帯に配信しているCATVオペレーターのDiscovery Communicationは、来年から「PlanetGreen」イニシャティブを中心にすえたチャネルへ変身するようだ。CEOのZaslavは、「5年前なら、『環境なんかを口にする左翼は誰だ』となったはずだ」が、「今日、環境は責任を意味する」と話している。

それはAl Goreの「Inconvenient Truth」、豹変したBush大統領のエネルギー・環境政策、世界中で叫ばれる地球温暖化など「Green(環境)」に関する注目が集まっていることと無関係ではない。今、環境から目をそらすことはビジネス戦略足りえず、メーカーではなくともコンテンツメーカー・プロバイダーも環境を意識したチャネル、プログラム、コンテンツへ舵を切る必要性に迫られている。

Source:NYTimes.com / Discovery to Start Channel Focusing on Green Movement

しかし、これは環境で終わる話ではなく、経済、社会、環境を包含し、それぞれのステークホルダーの利益を最大化するCSR (Corporate Social Responsibility) なのだ。日本企業の中にはCSRに負のベクトルしか見出せないケースもあるようだ。しかし、欧米ではCSRをビジネスケースとして、CSRがビジネスに必要な戦略であることを十分認識し、CSRマーケティングを展開する企業も多い。それに加えグローバルな大企業は販売促進はもちろんだが、オンラインでの企業広告を開始しているし、CEOなどがBlogを書き、オープンなコミュニケーションチャネルを確立している。Greenpeaceのようなゲリラ的キャンペーンを開始されたとしても、懐の深い対応が可能だ。

世界的に影響力のあるGreenpeaceが仕掛けるキャンペーンは多様だ。以前にも書いたが、日本ではペットボトル詰めビールの販売を休止に追い込んだ こともある。そのGreenpeaceの矛先が日本企業に向けられたとき、企業はどうするのだろう、どう対応できるのだろうか。世界中から飛んでくる数万にも及 ぶEmailがCEOのメールボックスを溢れさせた場合、どう対処するのだろう。Appleのように本社広報が、(よくあるパターンだが、ことの是非は別として)別評価を持ち出し、毅然とした(あるいは傲慢な)態度で臨むのか、それとも...?

参考:Web Accessibility and CSR
参考:Global Compact and ISO 26000 (CSR)

2007/04/06

Ipsos Study: Americans Love Streaming Video

Ipsosの新しいデジタルビデオ調査が発表された。12歳以上の米国ユーザを対象に年2回行われているもので今回の調査は2006年12月に行われ、2007年1月にフォローアップが行われている。今回は846人が対象となっている。

それによると、対象の58%がオンラインでストリーミングビデオを視聴しており、12歳以上の全米国人の44%(約1億人)にあたる。 28%はデジタルビデオファイルをダウンロードしている。年代別に見ると、ティーン(12-17歳)、およびヤングアダルト(18-24歳)の四分の三がオンラインでストリーミングビデオを視聴した経験がある。

また、これらティーンとヤングアダルトは、自分が持つビデオライブラリの20%をHDD/DVD-Rで所有している。今のところライブラリの大半は購入したDVDやVHSカセットだが、ユーザのデジタルビデオライブラリは、ストリーミングやダウンロードが普及するにつれて拡大する。

オンラインで提供される多様なビデオストリーミングだが、YouTubeなどで共有されているショートビデオクリップがもっとも人気が高い。事実、四分の三のユーザはショートニュースやスポーツ、三分の二のユーザはアマチュア、あるいは自作ビデオクリップを視聴している。

約40%がYouTubeで視聴したり、ダウンロードしている。MySpaceおよびGoogle Videoも人気の高いサイトで、約20%がこれらサイトへアクセスしている。

しかし、フルサイズのTV番組や映画のダウンロードはまだこれからだ。ストリーミングやダウンロードするユーザの43%は、将来的にフルサイズ映画のダウンロードに興味を持ち、38%はTV番組に興味を持っている。

Source:Ipsos / Press Release Latest MOTION Study
Source:MarketingVox / Ipsos Study: Americans Love Streaming Video

IpsosのEVP、Cruikshankは、「フルサイズダウンロードに障害となるのは、料金とDVDへ落とすことができるかどうか」で、「新しく開発される技術によって現在の障害はある程度取り除かれるだろう」。しかし、「まあまあの料金、あるいは広告がついて無料で利用できる24時間/7日間アクセスという現在のショートビデオクリップ特有のメリットもある(ため、全面的にフルサイズダウンロードへ移行するわけでもない)」と語っている。

2007/04/05

New Metrics from comScore and Compete

comScoreから「Visit」、そしてCompeteから「Attention」というWebサイトの評価やマーケティングに活用できる指標が出てきた。

comScoreの「Visit」は、アクセス頻度指標であり、特定Webサイトでの個別行動セットとして規定されるユーザEngagementのインジケーターだ。もしユーザが特定サイト内で30分間、何も行動しなければVisitが終了したと判定され、次にユーザが同じサイトにアクセスしたときに次のVisitとしてカウントされる。Visit指標には、Visit合計、平均滞在時間@Visit、平均Visit数@ビジター、平均Visit@日などがある。

comScoreヨーロッパのマネジングディレクター、Bob Ivinsは、「Ajaxなどの利用増によりEngagement指標としてのページビューの価値が下がっている」、そこで「技術の進歩に合わせ、顧客に最適なWeb利用統計を提供するため、Visitをベースとする指標を導入する」と語っている。

通常のユニークビジター指標で2月のUKのトップ10Webサイトを見ると、普段どおりの名前が並んで知る。(Table 1)

しかし、これを平均Visit数@ビジターで見ると様相が違う。(Table 2)

Google、MSは同じだが、3位にBEBO、7位にTiscaliが入ってくる。BEBOはサイトランクでは15位、Tiscaliは65位だ。

BEBOはSNS、Tiscaliは伊ベースの通信・ISPだがデート紹介や画像共有、求人、ハードコア系のエリアもありSNS的なサイトだ。こういったサイトが、ビジターあたりの平均Visit数では一般的な大規模サイトに肩を伍してくる。

次にCompeteの場合、「Engagement(Webサイト滞在時間)」と「Traffic(ユニークビジター数)」から「Attention」という指標を導き出したものだ。そしてCompte.comへアクセスすれば、無償で使うことができる。なお、Competeはデータ収集にツールバーを利用しており、200万人以上のアクティブなユーザのトラフィックデータが元になっている。

Attentionで見ると、Yahoo!、MSN、Googleを抜いて、MySpaceがトップを占めているし、一般的な指標では436位のRunescape.comが15位に顔を出している。
このAttentionという指標には、Visitors、Engagement、Growthの3要素があり、以下のように分かれている。
  • Vistiors
    • People Counts - Monthly (ユーザ数)
    • Rank - Monthly
    • Visits - Monthly (アクセス回数)
  • Engagement
    • Attention - Daily(全米インターネットユーザの総時間に占めるサイト滞在時間の割合)
    • Average Stay - Monthly(分)
    • Pages/Visit - Monthly
  • Growth
    • Velocity - Daily(毎日のAttentionの伸び)
そこでYahoo.comとYelp.comをVelocity - Dailyで比較している。Yahooは2月にユニークビジターが3.8%伸びているが、過去45日間のVelocityは減少している。一方、Yelpは毎日のようにVelocityが伸びていることがわかる。

Source:comScore / Announces New "Visit" Metric for Measuring User Engagement
Source:Compete.com (Blog)/ Compete.com Announces the only Attention-Based Web Metrics
Source:Compete.com (Press Release)/Compete Introduces the Only Attention-Based Web Metrics for Online Marketers

上のプレスリリースで、Competeは、「多くのトップWebサイトの規模は拡大しているが、消費者(ユーザ)はより小規模なサイトでリサーチしたり、ショッピングしたり、ソーシャライズしている。このインターネットテールが伸びることにより、Webサイトの勢力図は分散されつつある。そのため従来からの一般的なオンラインメディア指標を使うマーケターにとり頭の痛い問題となっている。消費者(ユーザ)が広範なニッチサイトで時間を消費し、ポータルサイトで相対的に短い時間を消費している中で、オンラインマーケターは予算を大規模サイトに集中し続けるという矛盾が生じている」と、書いている。

これはAlexaのグラフなどを見ても大規模サイトのリーチが下がっていることからもうなづける。
インターネットのロングテール化が大規模サイトにも影響し、アクセスやトラフィックの分散化が顕在化している。大規模サイトの重要性がなくなるわけではないが、中小ニッチサイトのトラフィックにも目を配る必要がある。

2007/04/04

Data Leaks and Productivity Concerns

Clearswiftが、SNS経由での情報漏えい、そして労働生産性の低下に警鐘を鳴らしている。

Clearswiftの調査は827人のオフィスワーカーを対象に行われ、その25%は社員数10万人以上の企業、26%は同1,000~1万人未満の企業で働く人々だ。それによると46%は仕事に関連した事柄をSNSやサービスを使って話している。もっとも人気のあるのはBlog、フォーラム・チャット、IM、WebベースのEmailを使っている。

企業によっては、「アクセス規定」などを制定して社員の行動規範を提示しているが、29%の企業は職場からSNSサイトへのアクセスは禁止しているようだ。Clearswiftは、Blog、フォーラム、WebEmail、IM、SNS、Podcast、オンラインビデオサイト、画像共有サイト、そしてSecond LifeをSNSサイト・サービスとして規定している。

それによると;
  • 87% 毎週、Web2.0サイトへアクセス、そのうち
  • 63% 毎日、数回アクセス
  • 51% 週に一時間以上、職場からWeb2.0サイトへアクセス
  • 43% 日に数回、職場から個人目的でSNSサイト・サービスへアクセスし、
  • 13% 一週間に5時間以上アクセス
  • 46% 職場からWikipediaにアクセス、他にもYouTube、Flickr、IM、Blogなどが人気
  • 46% 仕事に関連する事柄をSNSサイトで議論
  • 71% 職場から個人目的でWebベースEmailを利用
  • 50% 職場から個人目的でWeb2.0サイトへアクセスする権利があると考えている
Source:Web Worker Daily / The Two-Edged Sword of Web 2.0
Source:Clearswift / Survey Shows Organization Susceptible to Data Leaks through Social Media Sites

このClearswiftというのは、Email、Webアプリ向けのMIMEsweeperを持ち、Military、Defenseなどのセキュリティ製品・サービスなどをやっている企業なだけに、SNS、Web 2.0の職場での普及による情報漏えい、労働生産性低下に警鐘を鳴らしているわけだ。

ところが他社が社員のインターネットアクセスを制限する中、IBMは1997年から積極的にネットへ出て行くことを奨励していたし、2004年12月には社内Blogを開始、2005年春にはBlogガイドラインを制定、2005年6月14日時点で3,612の内部Blog、30,429のポスティングにまで急拡大している。そして、現在、IBMはSecond Lifeに3,000人も貼り付けている。そんな企業がいる一方、SNSサイトへのアクセスを禁止する29%もの企業もいるわけだ。

新しいトレンドに即応し、ニュービジネスの芽を育て、競合企業と差異化しながら、大きなビジネスチャンスに育て上げることができる企業もあれば、旧来からの業界地位に安住し、新規ビジネスを開発、育成することなど検討すらしない企業もあるということだろう。

しかし、社会生活に大きな変革を与え、影響を続けるインターネット、そしてそのインターネットで様々に沸き起こってくるビジネスの種を拾わずに、どうしてビッグビジネスに育て上げることができるのだろう。当然、必要な倫理規定、セキュリティ対策を講じることは必要だが。

参考:Why Should CEOs Learn to Love the Blogs

2007/04/03

Link from MSM

以前、WashingtonPost.comの記事、2006年12月27日の「Google Set To Expand Newspaper Ad Program」を引用して、今年1月8日に、「Google Print Ad and Beyond」を書いたことがある。そのソースが以下のWebページだ。
もう書いたことさえ忘れていた記事なのだが、最近、本BlogへWashingtonpost.comをReferring sourceとしたアクセスが1件あった。

実は、このBlogではSitemeter、Hitstats、Google Analyticsなどを使ってアクセスをモニターしている。そのSitemeterのログを見ると、左のようにReferring URLとしてwashingtonpostがあり、AR2006122600787.htmlが表示されている。このAR2006122600787.htmlが「Google Set To Expand Newspaper Ad Program」のURLだ。WashingtonPost.comの記事から本Blogへ飛んでくるのはどういう訳だ?と思い、再度、ソース記事へアクセスしてみた。

そうすると、ソース記事をBlogしたリストがあり、その中に「Online Ad」も表示されている。(注:このリストはどういう選択基準でBlogを選出しているのか不明だから、このリストから「Online Ad」が消えるのは時間の問題だと思う)

そのため、WashingtonPost.comの記事へアクセスしたユーザが、その記事をBlogったユーザはどんなことを書いているのかとアクセスしてきたということだ。ただし、アクセスしてみたのはいいが、日本語で書かれたBlogに仰天し、あっという間にいなくなってしまったということだろう。

それはさておき、合計で59のリンクが張られているこの記事だが、WashingtonPost.comユーザ以外にも露出しているということだ。

リストにある「Idaho Radio News」は直接的にWPの記事に言及せず、Googleの新聞広告への取り組みを取り上げたニュースソースとしてリンク、「Content Bridges」はWPが取り上げたGoogleの広告ブローカリングとして書いている。「Online Ad」はより詳細にWPの記事を説明している。その他のBlogでも程度の差こそあれ、WPに言及したり、リンクを張っているはずだ。

WPの記事にリンクしている名の知れたBlogは、2,899BlogからリンクのあるSearch Engine Land、1,781のMarketingPilgrim、1,186のZDNetなどだ。これらBlogへのトラフィックはMSM (Main Stream Media) のそれと肩を並べるか、それ以上のケースもある。

MSMとしては個人、団体、企業Blogなどからリンクを張ってもらうことで露出を拡大、拡散できる。だから、WSJやNYTのパーソナライズドページ提供や、最近のUSA Todayの動きのようにWeb2.0対応を積極化し、記事へのコメント、コミュニティーやフォーラムで発言、写真提供などをユーザに開放している。固有ユーザ以外に様々なリンク、露出をクロスメッシュさせてWebサイトの価値を高めようとしている。PVやUA (Unique Audience)、滞在時間、ユーザあたりの消費ページ数など様々な指標は、Webサイト単体での指標だ。その意味でWeb 1.0的な指標だ。しかし、ユーザリンク、ソーシャルブックマーク 、Google/Yahoo!のパーソナライズドページへのブックマーキング、SNSでの記事共有を行わせることによる外的ハブ指標、すなわちWeb 2.0的な指標をあげることこそがWebサイトの価値を高めることになる。

これと同じことが企業Webにも言える。が...。

参考:Google Print Ad and Beyond