2008/05/30

China Sichuan Earthquake -2

四川大地震の発生から少し時間が経ったけれど、まだまだ余震や伝染病、土砂ダムの崩壊など被害は治まりそうにない。中国に進出している各国企業は義援金を拠出し、様々な形で災害復旧に手を貸している。

そんな中で中国向けWebページのデザインを変更し、地震による被災者に哀悼の意を表している企業があることを、Global by DesignのJohn Yunkerが書いている。

最初のエントリでは、MS、Nokia、Sony、Apple、Amazonを挙げ、
2番目のエントリでは、McDonald's、Cisco、Intel、Oracleを挙げている。Source:Global by Design / Web sites go black in China
Source:Global by Design / Web sites go black in China (cont.)

各国企業が競うように拠出金を出しているが、Webページのデザインを変更してまで中国を襲ったこの未曾有の大災害に心を砕いた企業は少ない。また、IBMのようにより建設的な支援をしている企業もいる。IBMは災害管理システム「Sahana」を寄付し、一時期Webページでも紹介していた。SlideShareにそのプレゼン資料が上がっている。アップされてから1週間ほどで2,072回閲覧され、エンベッド版も431回閲覧されている。別にこれはIBMがアップしたのではなく、「Sahana」を説明しようという中国のユーザがアップしたのだろう。

心がつながっている。

Source:SlideShare / IBM的介绍Sahana减灾信息管理系统
Source:Japan.internet.com / 【中国】IBM、四川省へ災害管理システム「Sahana」関連機器を寄付

2008/05/29

Global Reach and Exposure

Branding Strategy InsiderというBlogがある。Ad Ageが選出したPower 150のひとつでもあるし、The Top 50 Marketing Blogs to WatchのBranding Marketing Blogにもリストアップされている。ただし、ブランディング戦略をテーマとするニッチなBlogだ。

下のマップはClustrMapコードを埋め込んだBrand Strategy Insider(BSI)へアクセスしたユーザのロケーションだ。この時点では2007年11月20日から2008年5月1日までの148,844ビジットを表している。一番大きな赤丸が1,000以上、小さくなるにつれて999-100、99-10、9-1のビジットを示している。

米国が真っ赤なのは当たり前だが、加、英、豪、インドを除くと、欧州、中近東、東南アジア、中国、南アフリカ、ブラジル、そして日本からも相応のアクセスがある。非常にニッチなBSIに世界各国、非英語圏からも相当なアクセスがあることが分かる。

Source:ClustrMaps
Source:Branding Strategy Insider
Source:Ad Age / Power 150
Source:Evan Carmichael / The Top 50 Marketing Blogs to Watch

このサイト側データから見えてくるのは以下の2つだ。
  1. 英語Blogであろうと非英語圏からアクセスがある
  2. ブランド戦略というニッチBlogであろうと世界からアクセスがある
ということだ。

そこで「Branding」、「Brand」、「Brands」、「Brand Building」というキーワードでの検索実績をGoogle Trendsで出してみる。「Brand」あるいは「Branding」を元に検索実績国をリストアップすると、「Brand(左図)」ではインド、オランダ、デンマーク、米国の順。「Branding(右図)」は南アフリカ、インド、シンガポール、マレーシアと続いている。どうやらBSIへアクセスする国の赤丸マップと重なってくるように見える。
しかし、「Brand」にしろ、「Branding」というキーワードでの検索にしろ、BSI (Branding Strategy Insider)が検索結果上位に上がってくるのは難しい。にもかかわらず、BSIへアクセスする国とキーワード検索の国が重なってくるのはなぜだろう。

そこで、Technoratiを使ってBSIのBlogランク、Blogリアクションを見てみる。AlexaのWebランクでは22万番台なのだが、Blogランクなら31,450位、242のBlogからリンクを受けている。
また、781のBlogリアクション(同一Bloggerから複数のリンク、引用など?)を受けている。
Source:Google Trends
Source:Technorati

また、Del.icio.usでも276個のブックマークがあった。全部とは言わないが、大半は「Branding Strategy Insider」の記事をブックマークしてあるようだ。そのほかのソーシャルメディア・サービスでも露出はあるだろうし、既成メディアを通した露出もあるだろう。

Webランクなら22万番台、Blogなら31,450位にしか過ぎないBSIだが、ひとつのBlogサイトとして存在しているのではなく、過去半年間に242のBlogからリンクを受け、781件の露出があり、それに加えた276件ブックマークや他のメディアでも露出しているからこそ、「Branding」、「Brand」、「Brands」、「Brand Building」といったキーワード検索を行った英語・非英語圏のインターネットユーザの分布に応じてアクセスを獲得しているのではないだろうか。それ以外、赤丸マップのアクセスユーザ分布を説明しきれない気がする。

2008/05/28

B2B Print Ad in 2007

BtoB OnlineからB2B向け印刷媒体への広告支出Top 100リストが出ている。

上位30社の中に、日本企業は、Sony、Fujitsu、Canon、Matsushita、Toshiba、Toyotaの6社が入っている。
100社合計で2006年は10.05億㌦、2007年は約7,686万㌦(7.6%)減の9.20億㌦だ。

上位のIBM、MS、HPの3社だけで減少分の55%、4,200万㌦も減らしている。1,900万㌦から1,000万㌦へ減らしたIntelを加えれば4社で5,100万㌦も減少させている。前年並みや若干広告費を減らす企業が大半を占めているが、大手であればあるほどB2Bの印刷媒体向け広告費を減少させているようだ。

ただし、その中で、印刷媒体広告費を増やしているAPC (American Power Conversion)は、約900万㌦から倍増以上の1,900万㌦を支出している。Accentureも約600万㌦弱から1,100万㌦へと倍増近い伸びだ。

Source:BtoB Online / Top 100 Print Advertisers in B-to-B Magazines: The Complete List

APCやAccentureなどの例外はあるが、新聞や一般紙誌が購読者減、広告売上減に苦しむ中、まだまだ健全だったB2B専門誌、業界誌も同じようにオンラインメディアの影響が如実に出てきている。特に名前の通った大手、グローバル企業が印刷媒体に見切りをつけてきたのかと思わせるほどの削減幅だ。

以前、紹介したようにMS、GMは広告費の大半、あるいは半分をオンラインに振り向けようとしている。当然、GMやMSの後に業界全体が引きずられてくる ことになるから、中途半端なオンライン露出ではあっという間に打ち消され、期待する、あるいは目標とする効果は出ない。また、MSやGMだけではなく大手企業ははLinkedIn、Technorati、ArsTechincaなどのWeb 2.0系メディア・サービスを積極的に活用し始めているようだ。

厳しい予算枠の中で最適のオンラインマーケティング、ブランディングが求められる。

参考:Overwheling exposure and Spillover (Online Ad 2008/04/10)

2008/05/27

YouTube, Global Media

YouTubeにWeezerの「Pork and Beans」というビデオが5月23日にアップされている。

ビデオを見ると、ここ何年かにバイラル化したビデオをパロッたシーンが沢山でてくる。コークとメントスの実験、155枚のTシャツ重ね着男、ミスティーンアメリカ、視聴回数最多を誇る「Evolution of Dance」などなど。


Viral Video Chartによると、このPork and BeansはTop 20 Viral Videoのカテゴリの24時間以内、7日以内、30日以内でトップを取っている。すでに4日間程度で290万回以上視聴されており、810のBlog書き込みがあり、19,000以上のコメントを獲得している。このコメント数がただものではない。

そしてこのビデオに関するバズだが、以下のように英語だけではなく、スペイン語、デンマーク語、フランス語でバズが発生している。
Source:Viral Video Chart / pork and beans

音楽とビデオという最適マッチではあるが、YouTubeのグローバルメディアとしての特性がよく出ている。では音楽とビデオだけかというとそうでもない。下はIBMのメインフレームをコミカルに取り上げたバイラルビデオだ。視聴回数は18万強と少ないが、バズは英語に加え韓国語、デンマーク語、スペイン語なども出ている。

B2Cだけではなく、B2Bでもバイラルビデオは可能だし、全世界のユーザに訴求することもできる。
Source:Viral Video Chart / Mainframe - The Art of the Sale, Lesson One

2008/05/26

Internet, New Primetime

comScore, Inc.の会長Gian Fulgoniが第54回広告研究機構年次総会において発表した「Online is the New Primetime」という資料をcomScoreのBlogでも取り上げている。

16歳以上が接触するメディアのシェアを見ると、朝の7時前から12時までインターネットはTVを上回っていたわけだが、午後6時少し前から7時半までの間もTVを上回っている。深夜から早朝を除く日中、インターネットはTVと互角に渡り合っている。職場や学校でTVが日中に利用されているわけではないから生産的な経済活動などに利用されているのはインターネットということだ。
資料の中にはいろいろ面白いものもあったが、そのなかで2つを紹介する。それはクッキーの削除とView Throughだ。
comScoreがYahoo!、Doubleclickと共同調査したところ、
  • 月に30%のインターネットユーザはクッキーを削除する
  • この30%のユーザは平均すると月に4回クッキーを削除する
    • すなわち、月に同じコンピュータに5個のクッキーが発生することになる
  • このクッキー削除はWebサイトおよびサードパーティのアドネットワークのクッキーに当てはまる
  • このクッキー削除は大きな問題をはらんでいる
    • サーバログだけではユニークビジターを2.5倍に計算してしまう
    • サーバログだけではリーチも2.5倍、フリーケンシーも同様程度膨らんだ結果となる
  • だから、パネルメトリックを使いサイトのサーバ統計を修正する必要がある
としている。
次に「View Through」に関する資料がある。バナーをクリックしたユーザと、クリックせずにバナーを視認しただけのユーザが、最終的な販売に結びついたシェアを出している。最終販売の14%がクリックしたユーザだが、残りの86%はバナーを視認しただけのユーザが貢献している。
これらのデータを元に、バナー広告のCTRが低いとしても、クリックはキャンペーン効果や累積効果を計るものではなく、バナー広告のブランドビルディング効果を反映していない。そのため、ディスプレイ(バナー)広告に対するクリックだけを販売効果の指標とするのは適当ではないとしている。

Source:comScore Inc. / Online is the New Prime time
Source:Online is the New Prime time Presentation request (pdf申請)

しばらくぶりに「View Through」という言葉を聞いた。SEM、SEO、LPOなど花盛りだが、「View Through」が及ぼすブランドの視認効果、認知効果、検索キーワードへの想起効果など、包括的な広告効果はオン・オフラインを問わず他既成メディアと同様に否定されるべきではない。

ロングテールに属するB2Cショップがブランドを構築する必要はない。しかし、各国のナショナルブランド、世界のグローバルブランドは競合との差異化を図るためオンラインでブランドを構築する必要はある。その際、B2Cであろうと、B2BであろうとSEMでブランドが構築できるわけもない。露出からコンテンツへトラフィックを誘導し、コンテンツの消費、共有を進め、マッシュアップやソーシャルメディア・サービスを利用した再発信から露出の拡散、拡大を図るべきだろう。

2008/05/23

China Sichuan Earthquake

SlideShareに四川大地震のスライドが上がっている。TVや新聞などでの速報、細切れ報道とは違い、各スライドが伝える悲惨さが波のように重なってくる。ただただ黙祷するのみだ。
スライドを見たい方は、下のをクリックしてください。
しかし、できることはいくらでもある。国際赤十字、Google Check、香港赤十字、日本赤十字、NHK、各TV局などが義援金を受け付けている。できることをしたい。

2008/05/22

LinkedIn Soaring

Nielsenのソーシャルネットワーキングサイトのレポートを伝えるC/NETによると、MySpaceおよびClub Penginのユーザ数は停滞し、ビジネスSNSの代表格であるLinkedInが急増している。
Source:Techmeme.com / Nielsen : Myspace, Club Penguin growth static, LinkedIn soaring
Source:C/Net News.com / Nielsen: MySpace, Club Penguin growth static, LinkedIn soaring

Virtual World of Kids and Young Adultで取り上げたClub Penguinは、2006年4月に79万人、昨年4月に407.3万人だったわけで、Nielsenが言うように停滞というよりは、数字どおりマイナス7%の減少だ。キッズ向けバーチャルワールドの有料ビジネスモデルではこれ以上の成長は望めないのかもしれない。

やはりHabbo Hotel、あるいはWebkinzといったバーチャルワードビジネスモデルが今後の中心になる。今年2月の「Virtual World Updates」で、「この調子ならHabboは今年中に1億の大台に乗るかもしれない」と書いたが、最新のHabboのデータを見ると、7月、遅くとも8月には大台に乗りそうだ。
  • ローカル化は32カ国
  • 登録ユーザ数:9,700万人
  • ユニークビジター:950万人@月
  • 年齢分布:90%が13~18歳
  • 平均ビジット時間:36分@セッション
参考:Virtual World to Kids and Young Adult (Online Ad 2007/07/18)
参考:Webkinz: The Next Club Penguin? (Online Ad 2007/08/13)
参考:Virtual World Updates (Online Ad 2008/02/06)
Source:Habbo - Where else?

それはさておき先日、「LinkedIn passed 20 Million users」で書いたLinkedInも有料サービスはあるが、大抵は無料で利用することができる。登録ユーザが2,000万人を越えたLinkeInに、米国で4月にアクセスした870万人以外の約1,200万人とは言わないが、1,000万人前後は米国以外の世界各国からのユーザだということだ。

過去や現在の会社・職業、得意分野などを登録すると、求人・求職のチャンスを開拓、仕事のネットワークを構築、仕事の質問を投げ、グループに所属し、仕事や人生設計に役立つコネクションとコラボレーションを行うことができる。

このコネクション、あるいはコラボレーションを世界中の登録ユーザと行うことができる。英語さえできればという前提はあるが、なぜ、これほどまでに世界中に登録ユーザが増えているのだろう。ソーシャルネットワーキングサイト、そしてオンラインコミュニティであるLinkedInに参加していなければならない理由は何だろう?

BtoB Onlineが提供するWebcastに、オンラインコミュニティのひとつであるITtoolboxがスポンサーとなっている「How to Leverage Online Communities for B2B Marketing」がある。そこでITtoolboxは、「なぜ、プロフェッショナルはオンラインコミュニティを利用するか」という説明をしている。
  1. 集合知による最適判断を下すため
    1. 問題解決
    2. ベンダー調査
    3. プロジェクト計画および実行
    4. キャリア管理
    5. 業務最前線にいながら全体動向把握
  2. 生産性・効率向上のため
    1. 毎日、デスクトップ上にオンラインコミュニティを持つ
    2. 日常業務の一部として
日本でも多くの登録ユーザがいる。LinkedInに登録し、「Build your network」を実行してみると、いかに多くの友人や知人、大学のクラスメート、昔・現在の同僚までもが登録していることが分かる。この傾向は日本だけではなく、世界中に広まっているのだ。グローバルなビジネス指向のオンラインコミュニティが誕生し、拡大を続けている。

一度、チェックして見ることをお勧めする。

参考:LinkedIn passed 20 Million users (Online Ad 2008/04/25)
Source:BtoB Online / How to Leverage Online Communities for B2B Marketing (注:pdfはWebcast画面から)

2008/05/21

Internet in UK 2007

Oxford大学から「The Internet in Britain 2007」というレポートが出ている。英国の2,350人を調査し、ユーザプロファイル、インターネットの利用パターンを調べたものだ。可能な限り、2003年、2005年との比較もしている。

目に付いたものをいつか紹介すると、BBが56%の世帯に普及している。そしてインターネットアクセス世帯の85%がBB化されている。そのためNB(ダイアルアップ)はほとんどいないとまで書いている。
インターネットユーザと非ユーザのメディア消費を比較している。週当たり24時間TVを視聴する非ユーザに比べ、インターネットユーザは16時間しか視聴していない。読書を除き、調査項目のすべてで非ユーザよりもインターネットユーザのメディア消費時間が減っている。
よく雑誌系メディアが他媒体との比較項目として、「媒体が信頼されているか、いないか」という項目を調査している。雑誌は入っていないが、インターネットユーザはTVと同じくらいインターネットを信頼し、大企業、新聞、そして政府よりも信用している。
Source:Oxford Internet Survey / The Internet in Britain 2007 (pdf)

ところでこのレポートは、WIP (World Internet Project)というインターネットの社会、経済、政治的な影響などを研究する団体に加盟しているOxford大学が出しているものだ。WIPには29カ国の大学などが参加している。日本からは東洋大学が参加している。

なお、Oxford大学の英国を含めレポートを発表しているのは8カ国にしか過ぎないが、東洋大学からOxford大学が行っているようなレポートはひとつも出てきていない。また、WIPから東洋大学へのリンクも切れている。日本のインターネットレポートを期待していただけに残念だ。

Source:WIP (World Internet Project)

蛇足だが、この調査にはCiscoがスポンサーとして名前を連ねていた。

2008/05/20

US SNS March 2008

HitwiseからUSAのSNS現状を説明するレポートが出ている。

ちょっと驚いたのはSNSカテゴリへのトラフィックが減少していることだ。2007年6月23日の週がピークで、全体シェアの9.01%を占めていたようだ。2008年2月と比べると53%も多い。2月のシェアは5.9%まで落ち込んでいる。
Hitwiseはこの落ち込みを、広告、プライバシー、そして過剰なfriends requestやnotificationだとしている。Facebookではアプリケーション経由のfriends requestやプライバシー違反に反対するグループができているくらいだから、その影響はなしとはしないが、それだけだろうか?

2008年1月のPVは15.3%も落ち込み、前年比は26%ダウンだ。2007年11月から「ショッピング&案内」セクターに抜かれている。好転する兆しが見えない。
ただ、Hitwiseはマーケットシェア下落にもかかわらず、滞在時間が延びているとしている。2月28日は20分44秒で前年の14分58秒から39%も増えているとしている。しかし、この滞在時間の増加は下にあるように年齢層が上がっていることと関係しているのだろう。
Source:Hitwise / US Social Network March 2008 (ユーザ登録必要)

移り気な消費者の中でも若年層は足が速い。それに比べ、レイトマジョリティの大半を占める中高年齢層は遅れてきた分だけ滞在時間が延びているのではないか。

2008/05/19

Havas Global Climate Change Survey

先週の5月12日、Havas MediaがClimate Changeに関するWebcastを行っていた。世界9ヶ国の11,800人および18のフォーカスグループを対象に11業界、200ブランドに関し、気候変動に対する消費者の認識を調査した結果を報告している。タイトルは「気候変動に関する消費者認識の変化とビジネスに及ぼす潜在的なインパクト」となっている。

6月までは視聴できそうなので、興味のある方は下をクリックのこと。
まずHavas Mediaは、消費者を3つのグループに分割している。
  • Eco-Apathetics(エコ無関心派)
    気候変動問題の影響を過小評価、気候変動メッセージに疑問、原因を自然災害と考える
  • Eco-Attentive(エコ関心派)
    問題をよく認識し、CO2が原因であることを理解、食料・水・健康など個人レベルへの影響に関心がある
  • Eco-Absorbed(エコ積極派)
    地球全体の問題だと認識し、その結果がローカルに及ぼす影響を考えている。エコ無関心派にも責任があると考える
調査対象全体では以下の通り。エコ関心+積極派を加えると78%にも達する。
  • 22% エコ無関心派
  • 43% エコ関心派
  • 35% エコ積極派
この3グループを調査対象9カ国で見てみると;
  • エコ無関心派
    • 米と英が最も高く、34%
  • エコ関心派
    • 独が53%、仏が50%、そして英も49%と高い
  • エコ積極派
    • ブラジル、メキシコ、インドが50%を越えている
  • 一般的に途上国はエコ積極派が多く、先進国にはエコ感心派が多い。また途上国にエコ無関心派は少ないが、先進国は多い
自国政府が気候変動に対する取り組みを聞いている。
「よくやっている」、「まあまあやっている」と
  • 高い評価を下しているのは、中国、インド、ドイツ
  • 低い評価を下しているのは、スペイン、メキシコ、米国

  • 各国政府よりも企業が積極的に問題解決に当たるべきだと考えているのは、
    • 独、仏、英、米、ブラジル、メキシコ
石油&燃料、航空、自動車、エネルギー、家庭用品、消費財、電気製品、小売、銀行、メディア、通信、その他の11業種に対する評価は;
グローバル評価を基準として、それよりも高い評価をグリーン、低い評価をレッドで示している。
  • 先進国は一般的に各業種に対して厳しい評価を下している
    • 英国は石油&燃料、その他を除き全業種がグローバル評価以下
    • フランスも6業種にグローバル以下の評価
  • 途上国は一般的に各業種に対して寛大な評価を下している
    • インドは電気製品とその他を除き、全業種が高い評価を得ている
自分でできることとして、いろいろな項目が挙げられている。環境問題を家族や友人に伝える、環境団体に献金する、公共交通機関を利用する、理沙サイクル、リユース、ゴミを減らすなどあるが;
  • 52.7% 環境に影響を与える製品・サービスは購入しない
  • 40.5% エコフレンドリーな製品・サービスを購入する
Source:Havas Media / Global Study Webcast
(注:pdfは上のリンク、Webcast画面からダウンロード可)

程度の差こそあれ78%が気候変動や環境保護に関心を持ち、自分でできる貢献は行おうとする消費者が増えてきている。個人が行える小さな貢献よりも環境へのインパクトが大きい企業にも自覚と行動を求める消費者も増えてきている。そのため、環境に配慮した開発、製造、物流、サプライチェーン、リサイクル・リユースなどの使用済み製品の回収まで責任を果たす企業の製品やサービスを購入するという消費者も増えてきている。

そしてこれら消費者は口も、耳も、眼もない存在ではない。Blog、SNS、Chat、Twitter、YouTubeなどを使うことで、個人のパワーが企業やメディアを超えつつある現在、彼らこそ最も注目しなければならないアーリーアダプターであり、アーリーマジョリティではないだろうか。また、Greenpeaceのようにエレクトロニクス製品・ゲーム機・TVに使用されている有害化学物質排除をキャンペーンしている環境団体もあれば、グリーンだ、グリーンだと叫ぶ企業をGreenwashing(見せ掛けの環境保護姿勢?)だと見透かすところもある。単純に企業からの一方的な情報提供だけで納得する消費者・ユーザは少ない。オープンで対等な対話チャネルを開かなければ彼らの耳にも、眼にも届かない。だから氾濫する情報の中に埋没するだけとなってしまう。

これはもはや「ビジネスに及ぼす潜在的なインパクト」どころの話ではないはずだ。既成メディアを通した一方的な情報提供だけで、消費者・ユーザからのタイムリーで真摯なフィードバックを受けとることはできない。Web 2.0と言われ始めて久しいが、グローバル企業の取り組みは遅い。

参考:Greener Electronics March 2008 (Online Ad 2008/05/09)
参考:Green Message or Greenwashing (Online Ad 2008/04/02)

2008/05/16

Yahoo! Buzz Overtakes Digg

comScoreのレポートを伝えるReade Write Webによれば、Yahoo! Buzzが4月のユニークビジター数でDiggを抜いたようだ。

Yahoo! Buzzが3月から74%増の約700万ユニークビジターを獲得している。Diggは若干ユーザ数を減らして600万を越えたところだろうか。
サイトでの合計消費時間もYahoo! Buzzがアップ、Diggはダウンとなっている。
このほかにYahoo! Buzzの男女比は、男性が50.7%、女性が49.3%でインターネットの男女比50.4%対49.6%と重なっている。一方、Diggの場合、男女比は61.0%対39.0%と男性に偏りが見られるというグラフもある。

Source:Read Write Web / Yahoo! Buzz Overtales Digg in April

同じcomScoreの3月のデータを見るとYahoo!は1.39億ユニークビジターを獲得している。そしてYahoo! BuzzはYahoo.comフロントページの左フレーム、フォールド(Folds)直前に位置していおり、ポータル特性を発揮してアクセス流入を促進している。約1.4億の母集団があるYahoo! BuzzがDiggを追い越すのは当然だろう。

参考:Critical Ad Placement : Above or Below Folds (Online Ad 2008/04/30)

ただし、原因はそれだけでもなさそうだ。Read Write Webの「The Decline and Fall of Tech on Digg」に、Diggでdiggされるコンテンツを分析した記事がある。

2006年6月以降テクノロジー比率が下がり、ビジネス、科学、そしてオフビート比率が上がっている。60%を越えていたテクノロジー比率が直近では20%を割っている。2006年6月のユニークユーザ数が300万以下で、2008年4月に600万だとすると倍増していることになる。当然の結果としてテクギーク比率が下がり、一般大衆ユーザが大半を占めて来たといえる。Read Write Webは結論として、「DiggはもはやSlashdotと同等サイトではなく、BusienssWeek、Peopleのようなメインストリームのニュースサイトに近いのではないか?」としている。
Source:Read Write Web / The Decline and Fall of Tech on Digg

メインストリームのニュースサイトというカテゴリに分類されてしまうと、Yahoo!という巨大ポータルをエントランスに持つYahoo! Buzzに太刀打ちできる独立系サイトはあり得ない。日本ではまだサービスが提供されていないが、Yahoo! Buzzが開始されると影響を受ける独立系サイトは次の手を考える必要がある。

2008/05/15

Internet in Belarus

ひょんなことからBelarusの e-belarus.org というサイトに行き当たった。

古いデータが多いのだが、眼を惹くものもある。その中からいくつか拾ってみる。
  • 人口970万人程度のBelarusだが、2010年には800万人の携帯ユーザが誕生すると予想されている。

  • 2010年には50万人のインターネットユーザがBB化
  • 現在740のオンラインショップが存在。月の販売実績は260億ベラルーシルーブル(1,200万US㌦)
  • Top Webサイト人気ランク (4月トップ20)
    表の一番右端の文字はドメイン(RU、BY、INT)
    ランキングのとり方がよくわからない。一番左橋の数字は4月の人気ランキングのようで、Traffic Rankは年間のトラフィックランキングのようだが、人気とトラフィックの違いはどうなっているのだろう?

  • SNSトラフィック (5月トップ20)
    これもNameの上にある「118,4456,177」が何を意味しているのか分からない。
    また、多分一番左端の数字は全体の人気ランキング順位で、Traffic Rankのそれとは違うのだろう?
    4月の人気ランクでOdnoklassniki.ruは、2位になっているが、下の表では4となっている。

Source:E-Belarus

2008/05/14

French sing a song in English

先日、「Hitwise UK Blog」で引用した「Matt Wardman」に面白いエントリがあった。

それはフランスからユーロビジョンコンテストに参加する曲が仏語ではなく、英語詩だというものだ。それに対して仏首相は、「国を代表してユーロビジョンで歌われる歌が英語の詩で歌われることに憤慨した」と、BBCが伝えている。


BBCによれば「Eurovision」とは、
  • 1956年から放映されている長寿TV番組
  • 優勝曲の大半は英語曲
  • Abbaが最も人気を博した優勝者(英語曲)
だそうで、そういえばAbbaの曲は覚えている。「Waterloo (恋のウォータールー)」、「Dancing Queen」などで、70年代後半から80年代の始めまで一世を風靡したグループだ。

Source:The Wardman Wire / French Eurovision entry to be sung in English
Source:BBC / Eurovision Song Sparks French Row

昨年、キプロスからのエントリ曲は仏語だったように、どこの国の曲がどの言葉で出てこようが自由なわけで、Sébastien Tellierは“Divine”をコンテストで勝つ曲、また売れる曲にするには英語がベストだと判断したのだろう。それは聴衆を仏国内あるいはアフリカなどの仏語圏だけと捉えるか、それとも仏を含んだ欧州全体、あるいは米国も含んだ全世界とするかの判断もあったということだ。

ローカル言語としての仏語ではなく、Lingua Franca(共通語)として仏語を越える英語を選択したことは、考えさせられる。Eurovisionで優勝した曲が非仏語圏でも売れるには英語のほうがいいわけだ。英語であれば全世界に流通しやすいし、ローカル化もしやすい。“Divine”が優勝するかどうかは定かではない。が、カッコいい曲を求めて世界中の音楽ファンはそこらじゅうに網を張り、聞き耳を立てている。もし、とんがっている彼らの眼、耳に留まり、共有され、再発信、ローカル化されれば、YouTube、DailyMotion、Flickr、Blog、SNS、Chat、Twitterなどで広がって行く可能性は限りない。

もし、このとんがった眼や耳を持っている音楽ファンをアーリーアダプターと呼んでもいいのなら、グローバルなターゲットを確実に掴むマーケティング戦略として、Sébastien Tellierは“Divine”を英語曲としたのだろう。ただし、アーリーアダプターがアクセスするサイトがEurovisionサイトだとしての話だが。

2008/05/13

Who do people trust?

ForresterのBlog、Groundswellが毎週公開しているデータに「Who do people trust?」と題して、オンラインの北米消費者が製品やサービスに関する情報のソースとして何を信頼しているのかというものがあった。

信頼しないを1、完全に信頼するを5とした5段階評価のうち、4あるいは5と回答した結果を集計したところ、当然、一位は友人や知人の意見で83%が信頼している。以降、新聞・雑誌・TVなどの記事、ベンダー企業のWebサイト、専門家の意見などが上げられている。
Source:Forrester Groundswell / What do people trust?

ForresterのJosh Bernoffは、69%が信頼するという専門家の意見にほんの少し劣り、60%が信頼すると回答した小売サイトに投稿される全く知らない他人のレビューを取り上げている。

ただし、消費者はレビューした他人個人を信頼しているのではなく、グループを信頼しているとしている。一人の意見やレビューでは信頼しないが、同様意見を上げる100人の声は信頼するのだ。

そうすると、「Influencers (影響者)」に的を絞っただけでは十分ではない。Influencersは多くのタッチポイントを使って他者に影響を及ぼすが、同様に、 YelpAmazon.comTripAdvisor などで同じ意見、レビューを行うグループの影響も無視できないとしている。

これはB2Cだけではなく、B2Bでも同じことだ。今時、展示会、DMやメディアサイトの記事だけを収集して新しいシステムを導入しようというバイヤーはいない。ユーザ会があればなんとか情報を入手しようとするだろうし、導入済みユーザの生の声が聞けるのであればEmailニュース、Blog、ビジネスSNS、オンラインセミナー、ホワイトペーパーなど様々なソースにコンタクトする。その中から取捨選択することが当たり前になっている。またスタティックなコンテンツよりもダイナミックなコンテンツ、すなわちオンデマンドでインタラクティブなコンテンツが求められている。それを提供するかどうか、できるかどうかがポイントだ。

一方、Dell Hellではないが、個人や企業としての体験を公表し、それを共有しようとするそれこそ途方もない数の個人やグループがいる。この流れに抗して独自情報、コンテンツを既存チャネルで流しまくることを考える企業もいるだろう。しかし、上グラフの10項目中、友人・知人、各種メディア、専門家の意見を除くオンライン関係は7項目、その中からベンダーWebサイト、メディアサイトの記事を除くと、1)小売サイトの消費者意見、2)メディアサイトの消費者レビュー、3)オンライン消費者意見サイトの情報、4)オンラインChat、5)Bloggerのレビューの5項目がオンラインで信頼するソースとして挙げられており、これらはグループおよび個人の意見やレビューだ。

この5チャンネルが提供する質量に匹敵する露出を、既存チャネルを活用して得ることは、どう考えても無理がある。だからこそ、多くの企業はパーツ、Widget、フィードなどを活用してこの流れのトレンドに後れず、露出を拡大しようとしている。

小売サイトに投稿される全く知らない他人のレビューだけではなく、インターネットが個人や会社の仕事に浸透してくれば浸透するだけ「グループおよび個人の声」は接触機会が増えている。もはや情報、コンテンツをコントロールしているのはメディアやベンダーではない。消費者・ユーザはブランドに加えてコンテンツも支配しつつある。

2008/05/12

Interactive World Maps of Media Coverage

WSJ.comのBlogは数字の取り方に問題があると言っているが、Interactive World Map of Media Coverageは、世界の164ヶ国のBlogで昨年取り上げられた10メディアの件数をインタラクティブなマップとして表示してくれる。エントリが多いと面積が増えて真っ赤になり、少ないと小さく、色が薄くなる。

下図の各メディアの頭にある●をクリックすると表示する。(Cliquez sur les petit buttons!が表示されている最初は2回クリックが必要)


上図では7メディアしか出ていないが、L'Observatoire des media へ行くと上に加えて、Slate、Economist、Australianも表示される。

Source:Cyber Journalist / Interactive World Maps of Media Coverage
Source:L'Observatoire des media
Source:WSJ.com / Why It's Hard to Map Media Coverage

ところでWSJはNicolas Kayer-BrilというBloggerに依頼して、WSJの注目度マップを作成している。下を見ると真っ赤になっているのは、カナダ、メキシコ、中国、日本、韓国、台湾、豪、イスラエル、イラン、イラク、英国だろうか。いかにWSJの記事を注目しているユーザが世界に多いのかが分かる。

しかし、本家本元の米国での注目度は低い。グローバルメディアとしてWSJの価値を下げかねない米国でのBlog界の注目度だ。米国を含めたグローバル戦略を練る際、この点は注記すべきだろう。

2008/05/09

Greener Electronics March 2008

3月にGreenpeaceの最新「Guide to Greener Electronics」が発表されている。(下画像の左隅の数字をクリックすると各回の評価を表示)


各社ごとの評価を見てみる;
  • Samsung
    有害化学物質ポリシーで高得点、不十分な引き取りポリシーでマイナス。
  • Toshiba
    継続して改善、特にe-wasteリサイクルポリシーで得点。
  • Nokia
    強力に有害化学物質排除を進めているが、欠陥品の引き取りポリシーで減点。
  • Sony
    多くの製品から有害PVCが除去され、特に米国でのリサイクル・引き取りポリシー改善が見られる。
  • Dell
    前回調査から変更なし。最悪化学物質なしの製品はまだ。
  • Lenovo
    前回調査から変更なし。最悪化学物質なしの製品はまだ。
  • Sony Ericsson
    e-wasteリサイクルポリシにより6ランク落ち。
  • LGE
    リサイクルポリシーで失点、2ランク落ち。
  • Apple
    継続して改善、新製品の有害化学物質排除、グローバルな引き取りプログラムが必要。
  • Fujitsu-Siemens
    有害物質排除、リサイクル量公開ポリシー必要。ランク落ち。
  • HP
    最悪有害化学物質排除のスケジュールを公開したが全製品対象ではない。引き取り範囲改善が必要。
  • Motorola
    不十分な引き取りポリシー取り消しによる減点。最悪有害化学物質排除スケジュールなし。
  • Acer
    ランク落ち。最悪化学物質なしの製品はまだ、引き取りおよびリサイクル量公開ポリシー必要。
  • Sharp
    有害化学物質排除、引き取りポリシー改善でプラスポイント。
  • Panasonic
    有害化学物質排除で得点するも、引き取りポリシーが不十分。
  • Microsoft
    2010年までに有害化学物質排除ポリシースケジュール公開、しかし引き取りポリシー不十分。
  • Philips
    有害化学物質排除ポリシースケジュール改善、しかしe-wasteリサイクルポリシーでゼロ得点。
  • Nintendo
    ほんのわずかの改善がみられるが、大きく遅れている。
いままで行われた7回のレポートをまとめてみると、各社とも基本的に毎回得点を上げてきているが、Dell、Toshiba、Apple以外はどこかでマイナスポイントを食らっている。6回目から(強制)参加しているMSとPhilipsは必要資料、データを公開したと見えて大きく得点を伸ばしたが、Nintendoだけは蚊帳の外といった状況だ。(下をクリックで拡大)
さて、Greenpeaceでは、「Clash of the Consoles」として各ゲーム機メーカーのCEOにemailを送り、「有害物質排除、リサイクルなどを強く推し進めるよう努力して欲しい」と要請するEmailを出すよう勧めている。これまでに送られたemail数は以下の通り。(前回3/14時点--->今回5/8時点)
  • PS3
    1,724 ---> 3,757
  • Xbox
    1,567 ---> 3,380
  • Nintendo
    2,033 ---> 3,995

参考:Mindset Shift Required-2 (Online Ad 2008/03/14)

ポイントを積み重ねてきているDell、Toshiba、Apple以外にも、失点がないわけではないが各社は改善努力を続けている。が、それに比べるとNintendoの対応が遅いように見える。MicrosoftとPhilipsは第6回目から2ポイント前後得点を伸ばしているのに比べ、Nintendoの伸びはたった0.3だ。

「Green Message or Greenwashing」でオンラインユーザは、環境的な持続可能性に対する企業の透明性を強く求めてきているというNNRのレポートを紹介したばかりだ。また、これだけ原油価格が上がり、バイオ燃料製造の影響による穀物価格上昇、世界的な食料価格高騰、そして先ごろのミヤンマーを襲ったサイクロンなどの自然災害の裏にある地球温暖化と、表裏一体の環境保護に対する意識は高まるばかりだ。

PS3やXboxに比べれば消費電力は少ない。しかし、有害化学物質利用、有害化学物質排除ポリシー、引き取りポリシーでまったく得点を上げられていないNintendoへの注目は、Emailを送った約4,000人だけのものではないはずだが...。

参考:Green Message or Greenwashing (Online Ad 2008/04/02)

2008/05/08

Internet in Africa

アフリカのインターネット利用に関してあまり情報がない。ということで、スウェーデンのPoyal Pingdomがちょっと調べたデータを公開していた。

IXP(Internet eXchange Points)の帯域を見るとPingdomが言うように、アフリカのIXPは最大450Mbpsで細いところでは200kbpsでしかない。先進国のIXPであれば数百Gbpsが当然だから、いかに帯域が細いかがわかる。
(訂正:アフリカのIXPの最大帯域を14Mbpsとしていたのを450Mbpsへ変更:2008/5/10)
ITUのデータを見ても2002年に3カ国しかなかったBB接続国が、2006年に30カ国に増えてはいるが、アフリカには53カ国がある。まだまだBB接続さえできない国がある。ただし、2006年に2048kbpsのBB接続が最大シェアになっていることは明るい兆しではある。
InternetWorldStatsによればアフリカで最も多いインターネットユーザを抱える国はナイジェリアで800万人、モロッコ、エジプトと続いている。南アフリカはひょっとしたら最大のインターネット国かと思っていただけに、510万人で四位というのはちょっと驚いた。
Source:Pingdom / Africa's internet still VERY far behind
Source:ITU / Competitiveness and ICTs in Africa
Source:InternetWorldStats.com

InternetWorldStatsによれば、アフリカのインターネット普及率は4.7%、全世界平均の20%からは大きく離れている。世界のインターネットユーザの3.4%、4,434万人にしか過ぎない。ただし、2000年から2007年までの普及率の伸びは882.8%だ。中近東の920.2%には劣っているが先進国の伸びは2~300%にしか過ぎないだけにアフリカのニーズは高い。

最初に華々しく報道されたナイジェリアで100万台、リビアで120万台というXO(OLPC)の導入はそれほどうまく行ってはいないようだが、これがスムーズに動き始めるとして、数年後には大きな伸びが期待できるだろう。

Source:OLPC News
参考:One Laptop Per Child (Online Ad 2007/03/09)

2008/05/07

Siemens Global Branding

Siemensは2007年11月28日に新しい組織構造を発表している。

組織改革の前提となっているのは、世界中で進む都市化が要求するインフラ、寿命延長によるヘルスケア、そして気候変動だ。
それまで8グループに分割していた体制を、産業、エネルギー、ヘルスケアという3つのセクターに分類しなおし、合計15部門として、2008年1月から新体制で臨むというものだ。
ここまで簡潔、分かり易い企業資料をあまり見たことがない。また、ドイツ国内売上は全体の17%でしかなく、米が27%、欧が32%、アジアが15%というシェアからしても当然といえば当然だが、Webサイトは英語資料を豊富に提供している。ここに国内だけではなく、世界のステークホルダーを大きく意識した企業経営が見て取れる。

Source:Siemens The company 2008 (pdf)

そしてSiemensは1.45億㌦の広告キャンペーンを開始している。これは上の3つのセクター、産業、エネルギー、ヘルスケアからの「アンサー」として展開されている。オンライン広告のバナーとして見つけたものには以下の3パターンがある。
先月から、いくつかの新しいTVCFを流しているようだ。

Source:BtoB Online / An inconvenient lack of metrics

1.45億㌦という予算は、MSが1.5億㌦をかけているWindows Server 2008などのキャンペーンと同等規模で、B2Bの代名詞のようなSiemensとしても大規模なものだろう。だが、Siemens.comへ行くと分かるようにWebビジター調査もやっており、バナー広告をクリックしてやってくるユーザの目的、コンテンツ、デモグラフィック、ジオグラフィックなどをきちんと収集している。単純に金をかけて新しいSiemensを告知し、認知向上、トラフィック誘導だけを目的としてはいない。少しでもユーザを理解しようという態度がある。

リニューアルされたWebサイト、バナー広告、出稿メディアなどを見ると、グローバルなステークホルダーに訴えかける姿勢がある。そしてこの露出は出稿国のメディアや対象ターゲットに留まらない。特に米国Webサイトでの露出は世界へ流出してゆく。この点、Siemensはそれを意識しているかのように見える。上記のWebビジター調査は独語と英語で行われており、英語Webサイトから飛んでくるユーザも考慮している。そしてその英語Webサイトから飛んでくるユーザが該当国のユーザだけではないことも意識したジオグラフィック設問もある。

参考:Overwhelming exposure and Spillover (Online Ad 2008/04/10)

ただし、Siemens自体は2000~2006年にかけての19億㌦もの不正支出が明らかとなり、大きなスキャンダルとなった。昨年、会長やCEOが辞任し、国内ではすでに2.9億㌦の制裁金を課され、米国でも何らかの課徴金が課されるようだ。今年に入っても前会長のHeinrich von Piererが、1998年に20億㌦で受注し、99年にキャンセルされたアルゼンチン内務省に電子ID文書納入契約の復活を目的として支払われた1,000万㌦の賄賂を承認したのではないかという話が持ち上がってきている。

Source:Spiegel / Electronics Giant Braces for a Slap from Uncle Sam
Source:Spiegel / Witness Links Pierer to Illicit Payments

このダークサイドを打ち消したいという意図も否定はできないが、新生Simensが実施するこのB2Bブランドキャンペーンの今後に期待したい。

2008/05/02

EIAA Digital Family

EIAAから「Digital Families」というレポートが出ている。

調査対象の子持ち2,400人の73%が毎週インターネットにアクセスしているのに比べ、子供のいない3,208人の52%しかインターネットにアクセスしていない。また、週末に限った場合、子持ちのデジタルファミリの58%はインターネットへアクセスするが、子供のいないケースでは40%に留まる。
国別では北欧諸国のアクセス率が高く、スウェーデンでは子持ちと子供のいないケースの開きが30%もある。子供がいるとおいそれと外食やショッピングもできず、以前なら自宅でTVでも見るしかなかった。

しかし、現在はインターネットでニュースを見て、オンラインショッピングをし、乳幼児向けのレシピを検索したり、同年齢の子供を持つ友人・知人とEmail、Chat、Skypeでコミュニケーションをとり、写真やビデオをアップロードして離れた所に住むおじいちゃんやおばあちゃんに見せることもできる。離乳食、オムツ、肌着などのレビューを自分のBlogに書き込んだり、好きな音楽、映画やビデオのクリップをダウンロードすることもできる。

だから2004年と比べると2007年のデジタルファミリがインターネットに費やす時間は36%も増えて11.6時間に達している。そしてデジタルファミリの27%はヘビーユーザだ。
普通なら年代が上がると様々な行動に制限がついたり、若い世代が飛びつくトレンドに遅れをとりそうなものだが、デジタルファミリはちょっと違う。16-18歳の子供を持つデジファミの47%はIMを使っている。その他の年代の子供を持つデジファミが37-38%なのを考えると跳びぬけている。検索、Email、SNS、音楽ダウンロード、映画・TV・ビデオクリップなど、どのカテゴリで見ても16-18歳の子供を持つデジファミの行動が最も多い。
結果的に、TVを見なくなり、本や新聞も読まず、電話の回数も減り、新聞も読まないといういつものパターンが示されている。
Source:EIAA / Digital Families (pdf)