2009/05/30

Susan Boyle - 5

Susan Boyleに関しては今まで4度書いてきた。

参考:Amazing Voice : Susan Boyle (Online Ad 2009/04/20)
参考:Susan Boyle -2 (Online Ad 2009/04/21)
参考:Susan Boyle -3 (Online Ad 2009/04/27)
参考:Susan Boyle -4 (Online Ad 2009/05/02)

その彼女が5月23日の準決勝を勝ち上がり、30日の決勝でどうなるかと楽しみにしていたところ、5月29日の朝、Susanが決勝から降りるという噂を打ち消すFacebookの書き込みがあった。(クリックでFacebookの彼女のページへ)
英国の人気番組に参加した一人の女性としての生活は、予選を突破してから180度変わってしまった。ねたみ、そねみや、容姿に関する蔑視のコメントがインターネットのそこかしこに散見されるし、リアルワールドでは47年間注目されなかった彼女の人生を反転させる出来事ばかり、果ては信頼する審査員が対抗馬を推すと聞いたり、批評家の辛口コメント、そして見知らぬ2人との出会いがあって切れたらしい。

Source:DailyRecord / Susan Boyle tried to quit Britain's Got Talent

しかし、どうやら気を取り直して決勝に参加するようなので一安心だ。

彼女が決勝で勝つことを祈るし、オンラインマーケティングのヒントを与えてくれるよう期待する。

追加:
Susan Boyle -Final (Online Ad 2009/06/01)

2009/05/29

Press Release ROI

昨日の「Customer Care in the age of Social Media」に続き、同じくSNCRから「ROI of Online Press Releases」という資料が出ている。

参考:Customer Care in the age of Social Media (Online Ad 2009/05/28)

オンラインのコミュニケーションチャネルを活用したプレスリリースを以下の角度から検証している。
  1. オンラインプレスリリースの達成・訴求目標
  2. オンラインプレスリリースのターゲット
  3. オンラインプレスリリースのの目標達成評価条件
  4. オンラインプレスリリースを出すにあたっての戦術、可能性、課題
まず最初に来るのはオンラインプレスリリースの達成・訴求目標だ。当然、従来のプレスリリースで目標としていた「オーディエンスに対する可視性および信頼を向上させる」「ニュースのアナウンス」は、新しいオンラインプレスリリースでも上位に位置している。

しかし、オンラインの場合は、「顧客・消費者に(直接)訴求する」「利用できるオンラインコンテンツを創造」「SEO」が入ってくる。
オンラインプレスリリースのターゲットだが、従来メディアがトップ、そしてBloggerやニューメディアサイトが2番に食い込んでいる。ただし、マーケティング部門がニューメディアサイトやB2C・B2Bの顧客などに訴求したいと考えているのに比べ、PR部門はより従来メディアへのリーチを重要視しているそうだ。
オンラインプレスリリースの目標達成評価条件のトップに挙げられているのは「NR(ニュースリリース)がWebサイトで発表された回数」で79.6%。「リリースの閲覧回数」が76.8%。「リリースを元にした記事数」が75.4%。「リリースを元にしたメディアの取材回数」が74.2%。
最後にプレスリリースをオンラインで流通させるために取っている戦術として、いろいろ挙げられている。これら上位4項目からすると大きく引き離された57.8%でSEOが来ている。
Source:SNCR / ROI of Online Press Releases (pdf)

SNCRは、マーケ部門とPR部門のオンラインプレスリリースのターゲットの違いにより、PR部門から配信されるオンラインプレスリリースのコンテンツがオンラインに最適化されていないのではと推測している。

また、マーケ部門とPR部門で違いはないが、担当者が30歳以下の場合、BlogやSNSでオンラインプレスリリースを取り上げられることを評価している。

オンラインプレスリリースの目標達成評価条件はどう見ても従来メディアでの引用、露出回数でしかない。

最後の戦術は、広報・PR部門はSEOに対する理解、知識が少ないことをうかがわせる。ソーシャルメディアフォーマットでのプレスリリースを上げるのは26.3%、ビデオやオーディオを装備したプレスリリースを上げるのはそれぞれ12.8%、9%にしか過ぎないのだ。

オンラインマーケティングを担当するものからするとPR担当者のオンライン、SEO、ソーシャルメディア、コンテンツの所有者・コントロールを行うのはブランドではなく、消費者だというパラダイムシフトに関する理解が少ないように見える。

リンク先、ダウンロードファイル、ビデオ・オーディオがなく、従来メディア(の担当者)に最適化されたプレスリリースコンテンツをオンライン、ソーシャルメディアへ送っても、それを取り上げてくれる機会、可能性は低い。また、ソーシャルメディアスペースを共有している一般ユーザにコンテンツを拡散してもらうためのツールを装備していなければ意味がない。

画像やグラフもなく、長文のテキストが長々と続いているニュースリリースが飛んできたり、新製品のリリースがpdfだけだったり、リソースセクションに行くとタイトルだけのpdfが転がっていたり、プレスリリースのRSSフィードもなかったりと、オンラインPR部門・コンテンツ・フォーマットの改善はどこの企業・ブランドも重要だ。

2009/05/28

Customer Care in the age of Social Media

ちょっと古いが2008年の8月にSNCR(Society of New Communications Research)から、「Exploring the Link Between Customer Care and Brand Reputation in the Age of Social Media」という資料が出ていた。

ソーシャルメディアや新しいコミュニケーションツールなどを使うことで、消費者は彼ら自身が受けた企業の顧客対応を今までよりも他の消費者と共有することができる。そこで、ソーシャルメディア、顧客満足、ブランド評価、顧客忠誠心にどのようなリンクが存在するかを明らかにしようとした資料だ。

製品・サービスの購入を検討する際、どれくらいソーシャルメディアを使って企業の顧客対応を調べているかというと、「いつも」「しばしば」「たまに」を合計すると72%となる。「めったに」の19%、「しない」の9%を合わせても28%。
製品・サービスの購入を検討する際、企業の顧客対応の質を検討対象としたり、調査するかというと、「いつも」「しばしば」「たまに」を合わせて84%。「めったに」「しない」は16%でしかない。
次に製品・サービスの購入を決定する際、どんなサイトの情報を最も重要視しているかというと、「検索エンジンが」3.79(説明がないため、推測だが、0から5までの5段階評価をさせているはず)でトップだ。しかし、オンラインの評価システム、フォーラム、Blog、SNS、RSS、YouTube、Twitterも情報を調査、入手するサイト・サービスとしてあげられている。
そして、「オンラインで共有されている企業の顧客対応をベースに製品・サービスを購入する企業・ブランドを決める」に賛成する消費者は、「非常に同意」「同意」で74%、「不同意」「非常に不同意」が8%でしかない。
Source:SNCR / Customer Care Study

調査対象者は、320人の男女、その四分の三は経営管理職、コミュニケーション、コンサルティング、教育関係者や中小企業経営者、ソーシャルメディアに不慣れ(13%)からパワーユーザ(35%)までいるが、40%近くは自分のBlogを持たずにBlogエントリやソーシャルメディアコンテンツを閲覧している。

こういった普通の消費者は、製品やサービスを購入する前にソーシャルメディアを使って企業の顧客対応、その質を調べている。そして調査のソースは検索エンジンや企業のWebだけではなくSNSからTwitterまで幅広く、最終的に購入する製品・サービスを決定する際に企業の顧客対応が占める比率は高くなってきている。

ここまでソーシャルメディアスペースで語られている企業の顧客対応が重要になっているのはなぜかというと;
  • 「一般に、企業が顧客の意見を真摯に受け止めている」というコメントに同意するのは三分の一以下しかいない。
  • 「企業の顧客対応を共有するためになぜソーシャルメディアを使うのか」と問われて、もっとも得票を集めたのは「他の顧客を保護するため」だ。
という状況がある。

企業・ブランドに都合の良い情報だけが流通するのではなく、耳に痛い話のほうが広まっているということだ。製品・サービスを購入し、使用している消費者の声を聞くのは他の消費者だけで、製品・サービスを販売・提供している企業・ブランド側が聞く耳を持たないのは自殺行為に等しい。

押し付けや一方的なメッセージではなく、オープンかつ対等をベースに消費者・顧客の意見、洞察を得るために多くの企業がソーシャルメディアスペースをモニターしている。ソーシャルメディアスペースを理解せず、無視する企業・ブランドには世界同時不況が回復しても、戻ってくる消費者・顧客はいるのだろうか?

2009/05/27

National Mourning

先週の土曜日、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が自殺した。29日には国民葬が予定されており、韓国全土・在外公館に設置された焼香所に弔問に訪れる人が絶えないようだ。

そういった国内事情を勘案して、韓国のポータル系4サイトは、トップページのデザイン、カラーを変えて哀悼の意を表している。



Source:Adverblog / Korean Portals Unite

今回とは若干違うが、これと似たようなことは昨年、中国の四川大地震が起こった際にあった。MS、Nokia、Sony、Apple、Amazon、McDonald's、Cisco、Intel、Oracleなどは中国向けWebサイトのデザインやカラーを変更し、哀悼の意を表していた。

参考:China Sichuan Earthquake -2 (Online Ad 2008/05/30)

将来、必要があれば、顔の見える企業・ブランドとして消費者、顧客とエンゲージするためにソーシャルメディアスペースに進出し、オープンで対等な会話を開始した欧米企業が、Webだけではなく、Facebookなどのソーシャルメディアスペースを使って取るであろう対応と、日本の企業・ブランドが取れる対応にギャップが生じている。

四川大地震の時、Sony以外にも哀悼の意を表していた日本企業はあった。しかし、何の対応もしない多くの企業があった。現在の消費者、顧客が使うメディアは既成マスメディアだけではなく、ソーシャルメディア、モバイルになりつつあることをまだ理解しないのだろうか。既成マスメディアが配信するコンテンツ以上にユーザが創造するコンテンツが流通、拡散していることをまだ理解しないのだろうか。

2009/05/26

Consumer Insights Report 2009

モバイルゲーム配信会社、GreyStripeが最新の「Consumer Insight」調査を発表したとMobiAdNewsが伝えている。

この調査はGreyStripeのiPhoneユーザを対象として、ゲームジャンル、ゲームタイトル、機種、iPhoneのエンゲージメント指標などに関して行われている。

まず、調査対象者の
  • 年齢:25-34歳(27%)、35-44歳(25%)
  • 性別:女(48%)、男(52%)
  • 学歴:BS/BA(32%)、大卒(31%)
  • 収入:$32-78K(35%)、$78-165K(27%)
ときて「購入理由」がある。この購入理由はゲームに限らず、すべての製品の購入にかかわる理由だ。ここで、広告が購入理由の45%を占め、メーカーや販売店のWebサイトは44%だが、「友人の推薦」、すなわちWOMが70%でトップだ。
次にPC購入予定について聞いている。
そして、購入する予定のPCに関する情報を入手する信頼できるソースは、メーカーWebや地元小売店などを押さえて、「友人・家族」がトップで77%に達している。

「友人・家族」=「Someone like me」で、かつ、よく知る人間のWOMがトップだ。
Source:MobiAdNews / Cosumer Insight Study

全製品の購入理由、および購入予定のPC情報入手の信頼できるソースのトップに「WOM」が挙げられている。このWOMをどうやって醸成すべきなのだろう?

それはPRですと言いたい向きもあるだろうが、広告にしろPRにしろ、総体的なマーケティングとして考えれば、いかにメッセージやコンテンツを消費してもらうかだ。そのチャネルが何であってもかまわない。そして、今の消費者=インターネット(モバイル)ユーザの存在スペースを見れば、訴求チャネルというよりは、存在スペースを共有することこそが重要だ。

共有する存在スペースで継続的にメッセージ、コンテンツを消費してもらうことがWOMにつながり、購入決定へと期待できるのではないだろうか。

それを実行している企業・ブランドのひとつがKodakだと考える。

参考:Kodak Facebook Strategy (Online Ad 2009/04/17)

2009/05/25

Display Ad, SEM and Social Media

Forrester Consultingの委託を受けてiProspectが行ったオンラインディスプレイ広告と検索エンジンマーケティングに関するユーザ行動の調査結果が公表されている。

それによると、まず31%のインターネットユーザはディスプレイ広告をクリックしている。また、27%はディスプレイ広告を露出された後に検索行動を起こしている。

加えて、21%は直接URLを入力して企業Webサイトを訪問しているし、9%はソーシャルメディアスペースで製品、ブランド、企業などを調査している。
次にディスプレイ広告を露出された後の検索行動を行ったユーザの14%は製品を購入している。ただし、関連製品を検索し、別サイトを訪問しているのはそれよりも多い38%に達している。
Source:MarketingVox / Online Ads Trigger Nearly as many as Search as Clicks
Source:iProspect / Search Engine Marketing and Online Display Advertising Integration Study
Source:iProspect / Search Engine Marketing and Online Display Advertising Integration Study (pdf)

この調査結果は、「ディスプレイ広告はそれ自体で効果が明らかだ。しかしそれは検索エンジンマーケティングとペアとなって実質的に改善される」としている。

当然、ユーザは何らかのトリガーがなければ検索しない。そのトリガーがオンライン広告のこともあれば、レガシーメディアでの露出、あるいはWOM(オンラインWOM含む)かもしれない。こういったトリガーがあって初めてユーザは検索してみようかとなる。

オンライン検索とディスプレイ広告の親和性を見ればディスプレイ広告が大きなトリガーになっているのは事実だろう。

ただし、今のところ「ソーシャルメディアスペースで製品、ブランド、企業などを調査しているのは9%」にしか過ぎないが、「Someone Like Me」をベースとしたWOM(オンラインWOM含む)はどのトリガーよりも影響力は大きい。ディスプレイ広告とSEMだけではなく、ソーシャルメディアスペースでのエンゲージメントがますます重要性を増してくる。

2009/05/22

comScore Data Passport 1H 2009

comScoreから「Data Passport First Half 2009」という資料が出ている。

中にはグローバルなインターネット人口、Web利用分類、ソーシャルネットワークなどに関する11項目のデータがある。その中から「モバイルのインターネット利用」を取り上げたい。

下は米と、英、独、仏、西、伊のEU5カ国におけるインターネットを利用する携帯ユーザ数だ。ニュース、情報、そしてエンタメ情報を閲覧するユーザを2007年11月と2008年11月で比べると、米国で52%増、EU5カ国で42%も増えている。

どちらにしても一年間で急激にユーザ数が増えている。iPhoneのおかげでモバイルインターネットが大きく立ち上がってきている。
次は英国でのモバイルのトップサイトと、PCのトップサイトを比較したものだ。当然、モバイルの場合、キャリアサイトがトップだが、2番目にはYouTubeを含めたGoogle、3番目にはFacebookが来ている。

PCならGoogle、MS、Yahooに続いて4番目のFacebookがYahoo、MSを差し置いて順番を上げている。
Source:comScore / Data Passport First Half 2009

2番目のデータは英国のみだが、日本同様にモバイルでのSNSアクセスが、米・欧でも明らかになりつつあるようだ。そして、Facebookでの一日当たりの滞在時間がPCの27.5分にさほど差のない24分となっていて、この点ではGoogleを上回っている。

英国ユーザの68%が携帯キャリアへアクセスしているため、そう簡単にトップへ立つことはないだろうが、FacebookへのアクセスがGoogleを抜くのは時間の問題だろう。そして携帯キャリアとの差を徐々にではあるが詰めてゆくのも明らかだ。

モバイルとソーシャルメディアというキーワードがつながってくる。

2009/05/21

Airline Branding -2

「Airline Branding」で紹介したShashank Nigamが書いているSimpliFlyingというBlogは、「World's Largest Airline Branding Resource」とあるように様々なトピック、データ、情報を提供してくれる。

参考:Airline Branding (Online Ad 2009/02/12)

彼が最近取り上げた中で目を惹いたのはAir New ZealandのTVCFだ。

どこかの航空会社のように何か要求すると追加料金を請求されるのではなく、すべてをありのままに包み隠さず出すのがAir New Zealandということで、「Air New Zealand staff have nothing to hide」というこのビデオに登場するNZ航空関係者全員がヌードになっている。当然、ボディペインティングで隠してはいるが。


メイキングはこちら。


Source:SimpliFlying / The Air New Zealand brand bares all - CEO and Staff go nude in latest TV advertisement

Viral Video Chartによるとビデオは5月11日に発見され、5月20日時点で738,408回視聴され、93のBlogが取り上げ、116個のコメントがある。メイキングのほうのビデオは141,168回視聴され、21のBlogが取り上げ、57個のコメントがある。

そして、言語別のバズは以下の通り。英語を押さえてポルトガル語が43%のバズを発生させている。

メイキングのビデオ;
こちらは英語バズが67%だが、ポルトガル語とセルビア語が17%づつとなっている。

Source:Viral Video Chart / Air New Zealand Staff have nothing to hide
Source:Viral Video Chart / Air New staff bare almost all - behind the scenes

これが本格的にバイラル化するかどうかも興味があるが、それは別として、TVCFの活用法が固まってきたようだ。YouTubeにチャネルを作り、そこで一連のTVCFやメイキングビデオをアップする。YouTubeに装備されているEmail転送、コメント追加、チャネル共有、友人として追加、そしてブックマークやiGoogleへの追加機能などを使って露出を拡散してもらうという方法だ。

(クリックでYouTubeのチャネルへ)
Source:YouTube/ Air New Zealand Nothing to Hide

ただし、残念ながらFacebook、Twitterなど他のソーシャルメディアサイト、ツールは今回のキャンペーンに統合されていなようだ。もったいない。

2009/05/20

Intel : Sponsors of Tomorrow

Intelが「Sponsors of Tomorrow」という新しいブランドキャンペーンを開始している。

この3年間で最大のキャンペーンで、CPUではなく、企業としてのブランドキャンペーンとしては初めてのものだ。プリント、オンライン、OOHを使うようだ。

5月11日から米国、独、英で開始され、YouTubeのチャネルでティーザー広告も開始されている。

Intelの公式Webサイト(クリックでサイトへ)
キャンペーンサイト(クリックでサイトへ)
YouTubeのチャネル(クリックでサイトへ)
Source:The Inspiration Room Daily / Intel Sponsors of Tomorrow
Source:BtoB Online / Sponsors of Tomorrow
Source:Sponsors of Tomorrow
Source:Intel YouTube Channel

Intelと言えば、知らない者はいないほどのブランドだが、そのIntelにして、このグローバルなブランディングキャンペーンを実行している。そして既成マスメディアは言うに及ばず、オンライン広告に加え、Engadget、FacebookなどにTVCFもアップしている。

接触や露出だけではなく、参加、共有、拡散という関係と、ソーシャルメディアというプラットフォームを活用しなければ消費してくれるコンテンツは少ない。Intelでなくとも既成メディアとソーシャルメディアを同等にマーケティング戦略に組み入れるのは必須だが、日本の企業・ブランドはまだまだこれからだ。

2009/05/19

Pepsi: Social Media Marketing

昨年秋、Pepsiに代理店から転職し、Twitter、Blog、YouTube関連までのソーシャル+デジタルメディアの責任者であるBonin Boughのインタビュー記事をBrand Weekが書いている。

Gatoradeの「Replay」から、Pepsiの「Dear Mr. President」といったバイラルビデオキャンペーンをしかけ、デジタルおよびソーシャルメディアに大きな波紋を投げかけている当事者が彼だ。

彼の職責は、「全社組織にソーシャルメディアをどのように統合するか」だ。それは、「ブランドマーケティングだけではなく、社内コミュニケーションから対外的なマーケティング戦略にかかわるすべてが該当」し、「検証すべき新しい戦略やプラットフォームは何か?」といったものも含んでいる。



彼が取り組んでいるプロジェクトのトップ3は何かと問われ、次の3つを上げている。
  1. Trop50(カロリーと糖分を50%カットしたオレンジジュース)とBlogHerとの関係構築
  2. どのようにインフルエンサーの声を社内に取り入れるか
  3. The Juice (Trop50、BlogHer、iVillageが提携したオンラインコミュニティ)の育成、拡大

Source:Brand Week / Pepsi Sees a Chance to Fill Newspapers' Void

Brand Weekがまとめているように、彼がソーシャルメディアを活用してPepsiを導いている方向は、
  1. キャンペーンからカンバセーションへどのように移行するか?
  2. インプレッションからコネクションへどのように移行するか?
ということだ。

BlogHerという女性Blogネットワークに参加するインフルエンサー、アドボケーターのパワー、影響力、波及力を理解した上で、彼女たちの会話に参加する。その会話やプラットフォーム自体から企業内部に取り込めるアイディア、アイテムを探り、社内に還元してゆく。また、短期的な予算ベースでのキャンペーンコンタクトではなく、対等な永続的対話から新しいプラットフォームを構築してゆく、ということになるだろうか。

つまり、いままでのマーケティングで考えられていた接触や露出ではなく、インターネットやソーシャルメディアが新しく構築したユーザとの関係(性)やプラットフォームを活用するということだ。そして、それを社内組織にも反映しようとしている。

ソーシャルメディアをマーケティングチャネルやツールとして考え、実行しているマーケターは数多いが、社内組織の改革にまで言及している例はめったにない。「縦割りの複数サイロ組織・部署から、フラットで風通しのよい社内組織へ変革する」とはよく聞かれる言葉だが、実際のところ、ソーシャルメディア(マーケティング)を取り入れるには、いくつもの縦割りサイロを横断する必要がある。その点、デジタル+ソーシャルメディアの担当者直々にそれを聞くのは初めてだし、彼の言葉の裏にはマーケティングに留まらない広がりがあるようだ。

そして、「ソーシャルメディアが突然、なくなってしまった場合、その隙間を埋めるメディアはあるのか?」とBrand Weekが尋ねると、「モバイル」と答えているのが印象的だ。そして、それは正しい。

2009/05/18

Mobile Handset Shipment 2009Q1

Strategy Analyticsの「Global mobile handset shipment」によると、2009年Q1の携帯端末出荷台数は前年比13%減の2億4500万台となった。これは27年間で最も急激な下落だ。

景気悪化に足を引きずられた小売業者の在庫圧縮・削減で出荷台数が大きく落ち込んだということだ。
Nokiaが2,230万台(19.3%)、Motorolaが1,270万台(46.4%)、Sony Ericssonが780万台(34.9%)減らしている。

トップ5でのシェアは以下の通り。Nokia、Motorola、Sony Ericssonがシェアを減らし、SamsungとLGがシェアを伸ばしている。
Appleは2009年Q1に380万台を出荷し、2008年Q1の170万台から123%増を勝ち取っている。このAppleのiPhoneは、タッチスクリーンのライバルであるNokia 5800の出荷台数260万台弱を大きく上回っている。

Source:Cellular News / Global Handset Shipments Fall at Fastest Rate in History During Q1 2009

1200万台以上を減らしたMotorolaは前々からいろいろと騒がしかったが、780万台も減らしたSony Ericssonに関して、昨今、様々な情報が駆け巡っているのも納得できる。

Gartnerのデータを伝えるCNETによれば、2008年スマートフォンの販売台数は約1.4億台(前年比13.9%増)となっており、そのOS別の台数、シェアは以下の通り。
Source:CNET / Mobile OS wars: Symbian leads globally; Mac OS X surges

Symbian、RIM、MWMが3強だが、Mac OS Xが今年、その一角に食い込むのは間違いなさそうだ。

そして見えてくるのは、3G、スマートフォンの普及だ。2008年に販売された携帯電話11億8000万台のうち、3G、スマートフォンが1億3900万台で11.8%のシェアということだ。SMSやMMSだけではなく、アプリ、ゲーム、ビデオ、TVなど多様な展開が可能となる3G、スマートフォンが、今後の新しいメディアチャネルとして、そして個人をターゲットとしたタッチポイントとしての重要性が高まってくる。

2009/05/15

Mobile Web March 2009

Operaから2009年3月のMobile Webレポートが出ている。

2009年2月からするとユーザ数で12.1%、Page viewは17.4%もアップしている。データ消費は19.3%アップだ。前年同月比ではユーザ数が157%増、Page viewは255%、データ消費は319%増となっている。
とにかく猛烈な勢いでモバイルがメインストリーム化しつつある。

さて、それまでトップ10の10位だった独を抜き去ったナイジェリアの場合、2008年3月比でPage viewは4,322%増、Unique user数は1,472%増になっている。そのため他のトップ10カ国と同じスケールでグラフを描くと分かりにくいので、ナイジェリアを除外したトップ9ヶ国のステータスは下図のようになる。
page view @ userのグラフはナイジェリアも含めたトップ10だ。
もうひとつ、面白いデータがある。各国ごとにどの時間帯でOpera Miniを使っているかというものだ。インドネシアおよび中国を除き、他の8カ国では午後8時以降の時間帯での利用シェアが最大となっている。
Source:Opera / State of the Mobile Web, March 2009 (pdf)

Operaによれば2009年3月、2,300万人がモバイルWebをOpera Miniを使ってブラウズし、86億ページを配信(閲覧)している。

昨年、Mobile SNSで、「2008年3月にOpera Miniのユーザは24億ページを閲覧」したと、同じOperaのデータを紹介した。

参考:Mobile SNS (Online Ad 2008/06/05)

ということは、前年比で358%増だ。このとんでもない伸びは、インターネットの創生期にも見られたことがないような超強烈な伸びだ。この勢いを背景にして、個人メディアとしても、出版メディアやソーシャルメディアスペースへのタッチポイントとしても機能し始めている。

2009/05/14

Social Media Marketing Approaches

Marketing 2.0のBlogに、「13 pragmatic social media marketing approaches」という書き込みがある。

ソーシャルメディアと聞くと、FacebookやBlogを思い浮かべる企業が多いが、それだけでは決してない。そこでソーシャルメディアに対する13のアプローチを提示し、それぞれの価値とコストに関するアセスメントを行っている。
  1. ソーシャルタグ装備   価値:高、コスト:低
  2. 企業コンテンツのソーシャル化   価値:高、コスト:中 
  3. バッジ、ウィジェット、着メロ提供   価値:低、コスト:低
  4. ユーザレビューをエンベッド   価値:高、コスト:中
  5. YouTubeチャネル開設   価値:中、コスト:中~高
  6. 公式Blogのオープン化   価値:中、コスト:中
  7. ソーシャル共有サイト活用   価値:低、コスト:低
  8. Twitterチャネル開設   価値:中、コスト:低~中
  9. アンバサダープログラム開始   価値:高、コスト:中~高
  10. ソーシャルメディアのモニターシステム開発   価値:中~高、コスト:低~中
  11. クラウド・ウイズダム活用   価値:中~高、コスト:中~高
  12. ソーシャルメディアエコシステム分析   価値:低~中、コスト:低~中
  13. コミュニティ活用   価値:高、コスト:中~高
Source:Marketing 2.0 / 13 pragmatic social media marketing approaches
(注:上はMarketingtwo.netのBlog、M 2.o Blogへのリンクだが、現在、アクセスできない)

(5月22日追加:このエントリをアップしてからリンクが切れていたが、今日ようやくM2.0Blogが復活したようだ。ただし、リンク自体は「Error 404 - Not Found」となっている)

簡単といえば簡単だが、実際に実行するとなるとそう簡単には行かない。何をやるにしてソーシャルメディア担当者が必要だし、予算、上司・組織の承認が必要だ。

しかし、これをやらずして、今、何をすべきなのだろうか?

2009/05/13

Fortune and Inc. Blogs

今年の初めにFortune 500のBlog導入について書いた。

参考:Fortune 500 Business Blogs - updates (Online Ad 2009/01/08)

最近、Fortune 500だけではなく、Inc.500のBlog導入を比較した資料がアップされていた。

それによるとまず、Fortune 500企業のうち、81社(16%)が企業Blogを導入している。業種ごとではPC関連が8社、通信および食品などが5社ずついる。銀行、保険も4社ずつだ。
それをFortuneのランクごとに見たのが下図だ。1~100位にランクされる企業のうち31社がBlogを導入し、101~200位では20社となっている。企業規模がでかいほど導入が進んでいる。ただし、トップ5のWal-mart(1位)、Chevron(3位)、GM(4位)は導入しているが、ExxonMobil(2位)、Conoco Philips(5位)はBlogがない。
この81社のBlogのうち、90%以上がコメントを受け、RSSフィードを提供し、購読を受け付けている。また、23社(28%)は持っている企業アカウントのTwitterにリンクしている。

そして、Inc. 500との比較がある。加えてForbesでリストアップされている米国の大学、慈善団体のBlog導入比との比較している。
次にFortune 500と、Inc. 500のPodcastingおよびVideo Bloggingも比較している。
Source:BtoB Online / ‘Fortune' 500 slow to adopt blogs as communication tools
Source:Society for New Communications Research / The Fortune 500 and Blogging: Slow and Steady (pdf)

企業規模が違うということはあるが、ユーザ・顧客・消費者と近い企業、ステークホルダーとオープンな会話を必要とする企業哲学、内部の組織構造などの違いが原因だろう。

さて、世界同時不況の昨今、広告も広報も予算を削られる企業が続出している。削減された予算で昨年と同等の効果を上げるのは難しい。となると、顧客と新しいコミュニケーションチャネルを通して会話することで昨年同等の効果、結果を上げなければならない、と、考える企業はあるだろう。

その新しいチャネルがBlogなどのソーシャルメディアになるのか、それとも...。

2009/05/12

Mobile Video in Europe

MSがEIAA関連で出した資料、「Video Everywhere」がある。

その中に、デバイスごとにその属性を明らかにし、取るべき施策のヒントを上げているものがある。まず、TV、PC、PSP/MP4、モバイルごとに、視聴されるパターン、コンテンツ属性を上げている。

TVはシリーズもの、ニュース・映画・ドラマ・スポーツ。PCはシリーズもの、ストリーミング系のニュース・スポーツ、YouTube、リピート、ハイライト、情報。モバイルはニュース、YouTube、UGCビデオとなっている。
そしてデバイスごとに相違するユーザ体験を反映した広告戦略を取るべきとしている。
Source:Microsoft Advertising / Video Everywhere (pdf)

デバイスごとに相違するユーザ体験を反映した広告戦略ということで、PCは「Integration」、モバイルは「Personalisation」がキーワードとされている。SNSもPCからモバイル化していることから、コンテンツ、ビデオの消費も個人化が進むことは間違いなく、発信チャネルとしてもモバイル化が進むだろう。

この資料はEIAA関連のコンファレンスで発表された(はず)ということもあり、欧州を前提としている。ビデオコンテンツがそこかしこに存在し、多くのユーザが消費している。欧州でもこのタッチポイントを活用することが必須になりつつあるようだ。

2009/05/11

Dramatic Shift in Marketing

面白いビデオがアップされている。

企業、マーケター、広告代理店は、マーケティングの現実で起こっている劇的変化に直面している。そして一般消費者へメッセージを伝えることができなくなってきている。

まず、次のビデオをご覧くださいと、Viral Blogは枕をふっている。


この大きな変化は、交換の効く、別ブランドと取り換えができる製品があふれ、ソーシャルメディアが勃興し、成熟しブランドに懐疑的な消費者がいる時代に起こった。だから今、マーケターは人々が製品、広告、ブランドともう一度、エンゲージする新しい方法を見つけなければならないと、Viral Blogは続けている。

Source:Viral Blog / The Dramatic Shift in Marketing Reality

ビデオは、「Let's get the people engaged again!」というテキストで幕を閉じる。

エンゲージしてもらうため、するために必要なことは、対等、オープン、双方向のスペースに参加し、対話することだろう。マス媒体にそのスペースは存在せず、ソーシャルメディアにしか存在しない。そしてコミュニケーションメッセージを一方的に配信する代わりに、ユーザ・顧客・消費者と対話する担当部署、担当者が必要となる。

まだ多くの担当者は劇的変化を無視している。このビデオを鼻で笑い飛ばす担当者のほうが多いだろう。それは洋の東西を問わない。しかし、すでに先進企業は新しい部署、担当者を配置している。それを笑い飛ばすことができるだろうか?

2009/05/08

Internet Ad Barometer 2009

EIAAから「Marketers' Internet Ad Barometer 2009」という資料が出ている。

欧州の自動車、娯楽、旅行、エレクトロニクス、FMCG、通信、ファイナンス、小売セクターのマーケター300人以上を調査し、オンライン広告予算、オンラインメディア戦略、メディア選択、予算プロセス、ビジネスインパクトなどを明らかにしている。

まず2009年のオンライン広告が増えると回答したマーケターは70%もいる。全体としてオンライン広告費の伸びを18%増、2010年には21%、2011年には15%と回答している。そんなに増えるオンライン広告費がどこから来るかというと、これは雑誌、TV、新聞のマス媒体だ。2008年、オンライン広告費を増やすとしたマーケターが予算を調達したのは雑誌で40%がそうすると回答していた。2009年、その比率は46%にまで増えている。TVも2008年は39%、2009年は37%、新聞は2008年は40%、2009年は32%だ。
調達した予算をどういったフォーマット、ツールなどに投下しているかというと、検索、Email、ディスプレイ、ビデオだ。
Source:EIAA / Internet Ad Barometer 2009 (pdf)

他にもクライアントがオンライン広告の効果をどう見ているか、ターゲティングに関したデータもあるが、大きな動きとして注意しておくべきは、モバイル、パンヨーロッパだ。
  • モバイル
    オンライン広告を必須とするクライアントはモバイル広告を増やしている
    これはオンライン広告(マーケティング)を行ってきたクライアントはオンラインの効果、メリットを実感し、最新のフォーマットおよび革新を先導していることを示している。
    30%のクライアントはモバイルを広告戦略に統合している。全欧州で87%以上の普及率に達しているモバイル抜きに戦略は考えられないのだ。

  • パンヨーロッパ
    平均するとオンライン広告予算の16%がパンヨーロッパに向けられている。
    また、平均すると国別予算を増やすクライアントが69%なのに対して、パン予算を増やすのは82%だ。
EUだけでも27カ国、人口は約5億人になっている。欧州として括ると53カ国、8億人、このうち約4億人がインターネットユーザだ。効率的にパンヨーロッパに網をかけるにはオンラインだし、モバイルだろう。

特にモバイルかもしれない。何故なら、EU27でモバイルの浸透率は83%、そして、下図のように固定電話を持たず、モバイルしかない世帯は全体で24%に達しているからだ。国によって大きくばらついてはいるが、英独仏が10%台なのに対して西、伊、ポルトガルなどは平均を超えている。また、EU15で見ると20%だが、EU27で新規加盟した国は39%もモバイルしか通信手段を持っていない。
モバイルという携帯個人メディアを活用する必要がある。
Source:EC / E-Communications Household Survey June 2008 (pdf)

2009/05/07

Domino Pizza Lesson

まず、下のビデオを見て、「えーっ。とんでもない」と思わない人はいないだろう。特にDomino Pizzaの客は。

この上のビデオ(YouTubeのオリジナルは削除されている)がアップされた後、間髪をいれずDomino Pizza USAの社長、Patrick Doyleは謝罪し、ビデオに出た従業員を解雇したこと、そして対応策を発表したビデオをアップした。

通常、最初のビデオがもたらす緊急事態に企業がどのように対応するかというと、MSM (Main Stream Media)を使った公式の発表だ。「このようなことは事実ではありません。弊社は食品衛生法に則り…」といった内容を発表するだけだ。

4月13日にアップされたビデオは48時間以内に100万回視聴され、YouTube以外のサイトへもリポストされていき、タッチポイントはますます増えていくといった状況でMSM、あるいは予算をかけた打ち消し広告を出稿したところで何の効果もなかったろうし、そんなに時間をかけてはいられない。

なんとかしなければと頭を絞ったDomino Pizzaが取ったのは「目には目、歯には歯」の戦術だ。16日にYouTubeに社長のビデオを、最初のビデオを視聴した同じユーザスペースで企業からの公式ビデオとして公表したわけだ。

Source:San Francisco Chronicle / More Marketers are counting on social media

これと同じようなことは昔にもあった。劣悪な気象条件による運航停・休止に追い込まれたJetBlueのCEOが、YouTubeで迷惑をかけた乗客に謝罪したことがある。

参考:JetBlue: Our Promise to You (Online Ad 2007/03/08)

さて、Domino Pizza従業員のビデオがアップされた後、ビデオを見てもピザを頼もうというユーザは15%しかいなかった。社長のビデオがアップされた後、その比率は24%にまでアップした。社長が直々に謝罪したビデオの効果はある程度あったといえるだろう。

しかし、24%にしかアップしていないと見ると、一度落ちたブランドイメージは短期的な修復ではなく、MSMも使った長期的な修復作業、過程が必要だとも言える。

また、社長の謝罪ビデオがあったからこそ、ブランドイメージの急落を一定程度で抑えたということも言える。

どちらにしても、MSMとソーシャルメディアのいずれであろうと、片肺飛行ではもう立ち行かないということだ。ユーザがMSMとソーシャルメディアの両方でコンテンツを消費し、ソーシャルメディアスペースでコンテンツを作成し、共有し、拡散している時代に、MSMだけでコミュニケーションメッセージを配信しているとすると、それはもうレガシーマーケティングであり、レガシー広告であり、レガシーPRだ。

B2Cは無論のこと、B2Bメーカーも、YouTube、Facebook、Twitter、FriendFeed等など、様々なソーシャルメディアスペースに進出している意味を、今、注目を浴びているメディアだからとか、先走っているだけだとか、何の意味があるんだとか考えている方は、次のDomino Pizzaになった場合、ブランドイメージ回復にかかる時間はとてつもなく長期間にわたるだろう。

2009/05/02

Susan Boyle -4

実は、4月30日にDailyRecord.co.ukが、今から25年前、Susanが22歳の時のビデオ、そして14年前の33歳の時のビデオをアップしていた。

あまり注目されているようには見えなかったが、昨日、CNNなどが報道したおかげでアクセスが殺到しているようだ。

Source:DailyRecord.co.uk / Video exclusive: Susan Boyle's earliest singing performance on film revealed

<22歳:I don't know how to love him>

<33歳:The Way We Were>

個人的には充実し、ハリのある33歳の歌声がいいが、Michael Barrymoreというとんでもない番組司会者の悪ふざけには目を覆いたくなる。

ただし、「47(あるいは48)歳になるまでキスもしたことのない」というSusanの神話はこのビデオの最後で明らかになる。

それにしても、Britain's Got Talentでの彼女の「I dreamed a dream」は、今日時点で165本の複製ビデオがアップされ、合計1億2832万回視聴され、12,022のBlogが記事を書き、コメントは443,866本にまで伸びている。どこまで伸びるのだろう。

Source:Viral Video Chart

今まで世界で最も視聴されたのは「Evolution of Dance」で合計1億3400万回以上視聴されている(はずだ)。この視聴回数を遅くとも、今月中に抜き去るのは間違いがない。


参考:Amazing Voice : Susan Boyle (Online Ad 2009/04/20)
参考:Susan Boyle -2 (Online Ad 2009/04/21)
参考:Susan Boyle -3 (Online Ad 2009/04/27)

訂正:
上で「今まで世界で最も視聴されたのは「Evolution of Dance」で合計1億3400万回以上視聴されている(はずだ)。」と書いたのは、以下のデータ(5月7日時点)があったからだ。
これはVisible MeasuresがRSSで提供している(いた)数字だ。いつからかは忘れたが、このデータが更新されたり、されなくなったりしていた。ただし、ここ何日かは更新されていたので、それを元に上のように書いた。

しかし、Visible Measuresの「The 100 Million View Club」を見ると、トップはSoulja Boyで3.56億回以上の視聴となっている。
Source:Visible Measures / The 100 Million View Club

そこで、「今まで世界で最も視聴されたのは「Soulja Boy: Crank That」で合計3億5600万回以上視聴されている」と、訂正します。また、「この視聴回数(Evolution of Dance)を遅くとも、今月中に抜き去るのは間違いがない。」は、「5月7日時点ですでに抜いている」と訂正します。

2009/05/01

1.6 Billion Internet Users

InternetWorldStats.comが、3月31日時点でのインターネットユーザ数を15億9,627万人だと発表した。世界人口67億人の23.8%がインターネットユーザだということになる。
筆者が保存していたデータでは2005年末で世界人口65億人の15.4%、10億人がインターネットユーザとなっていた。それから3年と3ヶ月で世界人口は2億人、インターネットユーザは6億人増えたことになる。

Source:InternetWorldStats.com Blog
Source:InternetWorldStats.com / World Stats

このネットワークはメディアとして確立し、人々の日常生活を変えている。メディア消費パターンを変えている。変わらないのは既成メディアを使った広告手法だけではないだろうか。

オンライン広告を実施しても既成メディアのオンラインサイトしか検討されていない。これではメディア消費チャネルを変えただけで、一方的なコミュニケーションメッセージを企業が消費者に配信しているだけだ。昔とちっとも変らない。

情報・コンテンツの出し手は何もマスメディアを使った企業・ブランドだけではなくなった。Blog、Twitter、Podcast、Video、SNS等など、様々な無料チャネルが一般ユーザに開放されて、彼らが日々送りだす情報、コンテンツ量は企業が送り出す量の比ではない。また、そのインパクトも企業側に勝ち目はない。

だから欧米企業は聞き耳を立て、ユーザスペースに参加しようとしている。Kodakなどはそのいい例だ。

参考:Kodak Facebook Strategy (Online Ad 2009/04/17)

この大きな戦略転換がなければ、日本企業・ブランド価値は下がるしかないと思う。