2009/01/30

Ogilvy Innovation Labs

Ogilvyは2007年、シンガポールに最初のDigital Innovation Labを開設し、2008年にはNY、LDN、Beijing、Sao Pauloに展開している。

Digital Innovation Labは、デジタルマーケティングにおける最新の技術や展開をクライアントが体験できる環境を備え、クライアントのコミュニケーション戦略にどのように活かしていくかを理解してもらう場所だ。
ogilvy_target-original.gif
  • NY - モバイル、ゲームおよび全面的なメディア
  • シンガポール - モバイルおよびデジタル小売・OOH
  • LDN - ロケーションベースのサービスおよびモバイル
  • 北京 - ソーシャルメディア
  • Sao Paulo - ビデオでの説得
ogilvy_bp.gifLabで最新技術を体験したクライアントの中にBP (British Petroleum)がいる。体験後、モバイルアプリおよびBluetoothを使い、BPのワールドラリーチャンピオンシップで非常に革新的なモバイルキャンペーンを実施している。そして、来年にむけて面白いキャンペーンを計画中だ。

Guinessは、シンガポールのLabが開発した「Rugby 7 Tournament Guide」を使ったキャンペーンを実施している。

Unileverは、Lab訪問し、最新技術を体験したことに感激し、独自のLabを開設することになった。

Source:MobiAdNews / Ogilvy Media Labs - Engaging Clients in the Digital Future

Ogilvy UKモバイル部門の責任者、Scott Seabornはブランドに対するLabの価値を、「船に乗り遅れないため、テストしたり、勉強したりしなければいけないと理解しているブランドはたくさんいる。Ogilvyは必要なテストをすべて一堂に集めて実施でき、そしてブランドの全体戦略の枠組みの中でできるのだ」とまとめている。

北京には、ソーシャルメディアを実体験できるLabがあるらしいが、日本の企業は招待されたことがあるのかしら。

2009/01/29

Best and Worst Mobile Web 2008

Mobile Webサイトを採点している資料がmobiThinkingから出ている。OPAのPresident、Yahooのシニアディレクター、Gartnerのリサーチディレクター、Yankeeグループのディレクターなど16人が選考委員として参加している。

まずWinnerに選ばれたのはBBCだ。コンテンツが簡潔、明瞭、そしてコンテンツ検索の操作性が良い。また、モバイルデバイスを自動検知してモバイル用コンテンツをWebから配信する点が高く評価された。
次にESPNが選ばれている。ESPNは最もアクセスされるサイトのトップ10に入っており、時にはWebサイトよりもビジターを集めているようだ。タイムリーなアップデートやファンの好きなスポーツ情報が簡単にゲットできる点が評価されている。
さて上のMobile Webサイト以外にもWinnerとして挙げられたサイトはあるが、Sinnerとして挙げられたサイトから2つ拾ってみる。まず、United Airlinesがある。選考委員の一人によると、「Browserはクラッシュするし、情報表示がダサく、機能が限られている」そうで辛口の結果となった。
次はFinancial Timesだ。どう見ても検索機能付きの最新情報リストといった画面で、画像がないのでロードは早いが、FTというブランド価値を反映せず、ユーザ体験を改善する余地が大きいとのことでSinnerリスト入りしている。
Source:Mobile Marketer
Source:MobiThinking (pdf)

モバイルはまだニッチだと見なされている。しかし、決してそんなことはない。これからひょっとするとESPNのようにWebサイトを上回るトラフィックが予想されるモバイルWebを準備していかなければならない。最適なモバイルWebサイト構築の参考にどうぞ。

参考:Go Mobile for 2009 (Online Ad 2009/01/05)
参考:US Mobile (Online Ad 2008/08/22)
参考:Big Mobile Wave in Asia (Online Ad 2008/06/25)
参考:Mobile in India (Online Ad 2008/06/23)

2009/01/28

Using Soial Media

InforとPeppers & Rogers GroupからWhite Paper、「The Value of Having Conversations」が出ている。サブタイトルとして、「Using Social Media to Deepen Your Customer Relationships」とある。

この資料は、「企業とは企業が自身を語るものではなく、顧客が語るものだ。従来、会話は企業が始めるものだという理解をソーシャルメディアが変革している。昔なら企業が顧客に何が欲しいのかを聞き、ニーズを解析し、企業の戦略を決定していた。今日、会話は顧客が先導している。顧客がデータやリソースおよび洞察を提供することで、企業がネットワークを資本および人的リソースとして使いながら変身する手助けをしている」、この現状に向き合えと書き始めている。

ソーシャルメディアは何ぞやから始まり、ソーシャルメディアの理解度を2007年と2008年で比較している。いずれのサービスであれ理解が進んでいる。これはとりもなおさず各サービスを利用するユーザが増えているということだ。
Source:1to1 Media / Using Social Media to Deepen Your Customer relations
(要登録)

この資料では
  1. Listen
  2. Consider
  3. Participate
  4. Create
  5. Measure
を上げてソーシャルメディアを説明している。

さて、この資料に限らず、様々なところから各種のHOW TOものが出てきている。それだけ欧米企業はWeb 2.0現象が一時的なものではなく、今後のビジネス戦略に欠くべからざるものであるという理解をしており、Web 2.0を掌中にするため調査、分析、検討をしているということだ。

今般の金融危機に端を発したマーケティング予算、広告予算の削減はかなり大きなものになる。その削減された予算をどのように最適化、効率の最大化を図るかが最優先課題となってくる。その場合、従来どおりのマスメディア広告を使った一方的なメッセージ配信では予算に応じた露出しか獲得できないことは自明の理だ。とすると、どうするかという答えが「Web 2.0を掌中にするため調査、分析、検討」だ。

先進的な欧米企業ではすでに先を行っている。Lenovo、Dell、HP、IBM、果てはマスメディアの代表格であるNYTにしてもソーシャルメディアを活用したマーケティングを行い始めている。チーフBlogger、ソーシャルマーケティングマネージャ、コミュニティ&会話担当副社長を置いて、新しいコミュニケーション、会話を始めている。

これら先進企業に引きずられ、今後、多くの企業は、「Web 2.0を掌中にするため調査、分析、検討」を終え、「どこの誰に露出したのかさえ分からないマスメディア広告やWeb 1.0広告とは違い、顧客・ユーザとオープンな会話やコンテンツの共有をベースとした新しい戦略」を打ち出してくる。

翻って日本のグローバル企業はどのレベルまで、インターネットやWeb 2.0を理解しているのだろうか?また、大手広告代理店もどのレベルまで、インターネットやWeb 2.0を理解しているのだろうか?

このままでは日本ブランドに暗黒時代がやってくる気がする。

2009/01/27

Volvo Advergame

Volvoのトラックを運転するゲームがある。
(下をクリックでサイトへ)
直接、ゲームをやってみたい方はどうぞ。

Source:AdverBlog / Experience a Volvo Truck

俗にいうAdvergameといわれるジャンルに入ってくるものだが、Adverblogがコメントしているように、どれだけ本当のトラックドライバーがアクセスし、販促につながるのかは疑問だ。ただし、このゲームサイトをアナウンスするプロモーションが行われているだろうから、単純に18歳までの少年達だけがゲームにのめり込むサイトにはならないはずだ。

こんなアプローチも「あると思います」。

2009/01/26

Pope in a Box

先週23日の「the World Day of Communications」に合わせて、ローマ法王Benedict XVIは、「FacebookやMySpaceなどのソーシャルネットワークは、我々すべてがつながり合わなければならないという基本的な願いに訴えかける"贈り物"だ」とするステートメントを発表した。

ということで、法王庁は早速、YouTubeにバチカンのチャネルを設けて、すでに12本のビデオがアップされている。その中で1万回を越えて最も視聴されているビデオのタイトルは「Benedict XVI: internet a new way to speak of God」だ。(クリックでYouTubeへ)
Source:ReadWriteWeb / Pope in a Box: The Vatican Comes to YouTube
Source:朝日新聞 / ローマ法王、ユーチューブに公式チャンネル

法王が、「インターネットは神について話す新しい方法」とまで語る時代に、神ではない下々の民に話しかけ、会話する手段としてインターネットを十分に使いこなしている日本企業はどれほどいるのだろう。

米赤十字などは、Blog、Flickr、YouTube、LinkedIn、Facebook、Twitter、Podcastなどに進出している。国の機関である米国務省のFlickrもある。Twitterもある。お堅い企業の代名詞でもある銀行のひとつ、Bank of Americaは先々週、Twitterを始めている。

Source:American Red Cross / Social Media
Source:NYTimes.com Blog Bits / Problems With Your Checking Account? Try Twitter
Source:BofA_help

しかし、日本のグローバル企業は、世界のステークホルダーとはお話をしたくないようだ。いろいろと越えなければならない垣根が縦割りの社内に存在しているのは事実だろうが、「Return on Ignoring:何もしないことの効果(損失)」を考えてみる必要もあるはずだ。

参考:Return on Ignoring (Online Ad 2009/01/16)

なお、残念ながらバチカンのビデオすべてはエンベッドできないようにしてある。これはもったいないと思う。

2009/01/23

Eight business technology trends to watch

McKinsey Quarterlyから、「Eight Business Technology Trends to Watch」というペーパーが出ている。

Information Technology, Applications Article, business technology trends

その中に「2. Using Consumers as Innovators」がある。

簡単に紹介すると、

「インターネットが爆発的に普及し、Web 2.0テクノロジーのおかげで、やり取り、コミュニケーション、そして行動が革新された。消費者はますますオンラインで互いにエンゲージするようになり、企業ともエンゲージしようとしている。企業はこの消費者と協働することで利益を得ることができる」

「消費者をデザイン、試験、マーケティングに参加してもらう企業は、顧客ニーズや消費行動を的確に判断することができ、そして消費者獲得コストを低減させ、顧客ロイヤルティを向上させ、開発サイクルを短縮することもできる」

ということだ。

Source:McKinsey Quarterly / Eight business technology trends to watch (要登録)

事例として2つ紹介されている。韓国のOhmyNewsは、6万人の「市民レポーター」が記事を寄稿する韓国の人気オンライン新聞で毎日70万ビジッ トを上げている。米国のThreadlessはオンラインの衣料品ショップで、ユーザからTシャツのデザインを募集している。毎週、数百というユーザがデ ザインを投稿し、最も人気のあるデザインを商品化している。2007年9月にはシカゴにリアルショップを立ち上げるまで成長したそうだ。

顧客・ユーザ・消費者にイノベーターとして協働してもらうためには、当然、オープンな会話が必要だし、企業側にその体制が必要となる。そんな協働は不要だという企業がB2Cでも、B2Bでもいるのだろうか?

多分、日本には沢山いるかもしれない。

2009/01/22

CES & Internet

Venture Beatが今年のCESの入場者は11万人、前年比22%減だったと伝えている。下の会場風景もなんだか寒々、閑散としている。














昨年は141,150人の入場者があった。ただし、金融危機を見込み、主催者側は若干の減少は避けられず13万人と予想していたが、22%の激減になったわけだ。

Source:VentureBeat / CES attendance figures are grim at 110,000, down 22 percent

そして、出展製品はすべてインターネットを向いている。「生活に関わるすべてのデバイスはインターネットにつながるコンピュータになる」とAPが出展製品をまとめている。また、SonyのCEO、Howard Stringerは、「(2年以内に)すべてのSony製品はインターネットに接続する」と予想している。

Source:MarketingVox / Consensus at CES: Internet Will Be Everywhere

旅費や時間のかかる展示会は、出展社にも入場者にとっても負担が大きい。また、出展製品がすべてインターネットにつながることになった場合、わざわざ会場にまで足を運ぶ必要があるのだろうか?そんな製品を発表し、引合を取ったり、実演したり、サポートを提供するのは、オフラインよりもオンラインチャネルが適している。

一度、出展を取りやめて再開するのは大変だ。今後はオンラインの展示会がもっと検討されるだろうし、インターネットにつながる製品をプリント媒体を使って広告するのだろうか?

2009/01/21

I Have a Dream

Obama氏が大統領に就任する前から、1963年8月28日、リンカーン記念公園において、集まった25万人の公民権運動支持者を前に故Martin Luther King Jr.が行った歴史的な演説、「I Have a Dream」が注目されていた。


Viral Video Chartによると、このビデオは2006年に9月に発見され、以来、約720万回視聴されている。1週間ほどの間にこのビデオを取り上げたBlog数が急増している。

Source:Viral Video Chart

1863年、リンカーンが奴隷解放宣言に署名してから「彼の夢」はあった。彼は自由平等を求め、非暴力を前面に押し出して、公民権運動を率い、このリンカーン記念公園でその夢の実現を高らかに宣言している。この演説の2ヵ月後、議会は法案を通して翌年、公民権法が成立している。そして、師はノーベル平和賞を受賞した。

師の夢や言葉、演説や活動が数多くの人々に共有され、拡散されたことで、大きなうねりとなり、議会、国民、国を動かしたことは間違いない。トップダウンではなく、ボトムアップの運動の力が全国民に伝わったわけだ。

そしてそれから数十年がたった今日、「師の夢」を現実のものとしたボトムアップのパワーを理解しない人々がいる。Web 2.0スペースのパワーがオフラインやWeb 1.0を凌駕しているにも関わらず、いまだにトップダウンのメッセージ配信を続けている人々がいる。

一体、いつになったら「師の夢」を見ることができるのだろう?

2009/01/20

Greenwash list

英Guardianのサイトに「Fred Pearce's Greenwash」というセクションがある。

Fred Pearce's Greenwash
2007年の9月から22本の記事が上がっているが、これは様々な企業が行うGreenwash(ことさらにグリーンを謳う欺瞞的な広告、メッセージ、キャンペーンなど)を取り上げて紹介しているセクションだ。

以前、このBlogで取り上げたExxonMobileもあるし、AppleやNintendoも入っているが、ToyotaのLexusも9月の記事で槍玉に挙げられていた。
Still from Lexus ad
上のプリント広告の右下に「PERFECT FOR TODAY'S ECONOMIC CLIMATE」「(AND TOMORROW'S)」とある。(クリックで拡大)

この広告コピーに対して、「車が環境に対してほんの少し、あるいはまったく影響を与えていないというイメージを抱かせ、他車との比較でCO2排出に関して誤った印象を与える」という4件の苦情が、「ASA(Advertising Standards Authority)」に寄せられた。

ASAは、「この広告は他車との比較で排出量が少ないことを示唆し、車が環境に対してほんの少し、あるいはまったく影響を与えていないという理解を読者がし易い」とし、この広告を禁止したそうだ。

Source:Guardian / Fred Pearce's Greenwash

グリーンへと草木もなびく今日この頃だ。機能、性能をことさら消費者に伝えたいメーカーがいるが、たった4件の苦情でそのメッセージを変えなければいけない時代だ。

マスメディアを使ったメッセージ配信に、Web 2.0スペースでの参加型会話を組み合わせなければコンテンツを消費してくれない。そして、その背景や苦情、対応がすべて見えている。この時代にWeb 2.0対応部署を持たない企業・ブランドはブランド価値が落ちていかざるを得ない。

2009/01/19

Online Video 2009

Permission TVからオンラインビデオに関する調査が昨年の12月に出ている。

まず、現在(昨年12月)どのような状況にあり、2009年Q2時点でどうあるべきかというデータがある。

現在は「オンラインビデオ戦略を検討中」が24.5%で最大。次に「オンラインビデオプロジェクトを実施中」が22.6%だ。昨年中はどうしたらオンラインビデオを効果的、効率的にマーケティング戦略に組み込むかを検討していた企業と、試験的あるいはより本格的にオンラインビデオを使ったマーケティングを実行中の企業を合わせて半分近くいたわけだ。

それに比べ2009年Q2には「オンラインビデオプロジェクトを実施中」が33.3%、「過去のオンラインプロジェクトを拡大中」が19.8%、「オンラインビデオキャンペーンの効果評価中」が15.1%だ。そういうレベルになっていたいと予想なのだが。昨年の戦略検討から、Q2までにはキャンペーンを実施していたいという希望が大きいし、試験段階からもう一歩進み、キャンペーンを拡大したり、効果検証までは行っていたいわけだ。

これらメインストリームの企業と比べると、「オンラインビデオ戦略を検討中」といった他社に大きく遅れをとっているのは9.8%になるようだ。一握りの企業はまだ踏み出せないらしい。
ここまでオンラインビデオが注目を集めているのは、「2009年、オンラインビデオが企業にとって重要な戦略目標」だからだ。「強く同意する」と「同意する」を合わせると約80%に達している。
それは2009年のデジタルマーケティング予算の配分を見ると良く分かる。オンラインビデオへの予算配分にフォーカスするというマーケターは67%にも達している。検索広告の倍近い予算が投下されようとしている。
ここまで注目を集めるオンラインビデオだが、クライアントにオンラインビデオを推奨する代理店側の自信のほどを見ると対照的だ。伝統的、あるいはフルサービス、総合広告代理店で「完全に自信がある」というのは38%、デジタル・インタラクティブな広告代理店の62%から大きく引き離されている。
Source:BtoB Online / Survey: Interactive video marketing to gain wide adoption this year
Source:PermissionTV / Adoption of Interactive Video in 2009

下の参考で取り上げたように「2008年、総合代理店を選ぶ比率は48%にまで下落」している。手間隙がかかるタスクをアウトソースしているうちに、ビッグビジネスから見放されてしまう代理店も出てくる。ただ、こういったトレンドを理解しないクライアントがいるうちは、まだまだ左団扇なのかもしれない。

参考:Client's Perspective on Agencies (Online Ad 2008/12/24)

2009/01/16

Return on Ignoring

投資対効果、ROIとは良く使われる言葉だし、特にソーシャルメディアへの投資に関して最も聞かれる言葉ではないだろうか。大幅な削減が予想されるマーケティング予算の中で、その効果を最適化、最大化する必要があるのだが、そのひとつのオプションとしてソーシャルメディアを使ったマーケティングを提案されると、雲をつかむような話をされていると感じるマーケターもまだまだ多い。

しかし、逆に見るとソーシャルメディアに対して「Return on Ignoring:何もしないことの効果(損失)」は、はっきりしている。ビッグブランドがソーシャルメディアを活用、駆使し、結果を出してゆく中で、ソーシャルメディアを使ったマーケティングを検討も、実験もしなければ何の見返りも期待できないわけだ。

そこで「Return on Ignoring:何もしないことの効果(損失)」をエキスパートが語っている。

改革する必要性を無視すること(の危険性):
Sean McDonald from Dell:


顧客を無視すること(の危険性):
Frank Eliason:


将来を無視すること(の危険性):
Connie Reece:


Source:MarketingProfs / Social Media ROI - What's the "Return on Ignoring?" (有料コンテンツ)

「ソーシャルメディアはビジネスを変革している。我々が理解し、知っていると思っているプロセス、カスタマー・サービス、そしてコミュニケーションを変身させ、革新させている。ソーシャルメディアのROIを検討することはビジネスのフレームワークとして有効だし、必要だ。しかし、[何もしないことの効果(損失)を注意深く精査することも同じように重要だ]」とMarketingProfsの記事は締めくくっている。

2009/01/15

How Can We Improve the Honda Worldwide Site?

Hondaの英文Emailニュースレターに登録している。1月14日付けで「How Can We Improve the Honda Worldwide Site?」というレターが来た。

HondaのWorldwideサイトを改善するため、Emailニュースレター登録者にアンケートをお願いするものだ。(下をクリックでアンケートサイトへ)
サイトへ行くと性別、年齢、職業、地位、国、ホンダ製品を所有しているか、インターネット回線接続速度などを確認した後、Honda Updateというemailニュースレターについて3項目質問がある。その後、HondaのWorldwideサイトに関して11項目の質問がある。

その8番目に「見たいコンテンツを下の候補からひとつ、あるいはそれ以上」上げる質問があった。候補コンテンツとして、ムービー、エンタテイメント(ゲーム)、デジタルノベルティ(壁紙、スクリーンセイバー、他)などに混じってコミュニティコンテンツ(SNS)があった。

アンケートが終了すると下のスクリーンセイバーがダウンロードできる。
コミュニティコンテンツ(SNS)を選択肢にあげ、加えてHondaの日本語サイトでは、「Hondaトップページのベータ版」を公開し、意見を募集している。

「ユーザの意見に耳を傾ける」ことがWeb 2.0スペースへ進出する最初のステップだし、それこそが最大の手段であり、最終目的でもある。ようやく日本のグローバルブランドも欧米企業の背中だけを見続けるのではなく、大きく開いたギャップを埋めるステージに足を進めたということだ。

ただし、SNSを公式Webサイトで運営するには組織改革が必要だ。BlogやSNSのガイドラインも制定しなければならない。まだまだ問題が山積しているかもしれないが、ぜひとも公式Webサイト内でSNSを立ち上げて欲しいし、輝かしい成功を期待したい。

2009/01/14

Students Online

eROIから新しい調査データが出てきた。全米283の高校、大学、大学院の学生を対象にどのようなコミュニケーションをオンラインで行っているかを明らかにしたものだ。

まず彼らは2.4個のemailアドレスを持ち、約8年間emailを使っており、最初にemailアドレスを取得したのは13歳だ。この現状がお分かりだろうか?

中心としてよく使っているemailアドレスは以下のとおり。Gmailが32%でトップだ。
次にコミュニケーション手段として何を使っているかというデータがある。モバイルのテキストメッセージが37%でトップ、26%でEmailが続いている。
Source:eROI / Q4 2008 How Students Communicate Survey Results (要登録)

eROIは、DMNews、Bokardo、Skype、Harris Interactiveが出した「Emailは死につつある。特に学生は」というレポートに反論するために今回の調査を公表している。そのためにいろいろとデータを切り出してきて説明している。

13歳からemailを使い始め、複数のemailアドレスを使い分け、アーリーアダプターとしてSNSの草分けとなった学生は、これから就職し、家庭を持ち、企業の中核をなすことになる。だからemailのマーケティングビークルとしての地位は揺らぎない。

しかし、この調査結果から見えてくるもうひとつのポイントは、モバイルの存在感はそれに優位していることだ。ユビキタスなデバイスとしてPCを上回るモバイルは今後の中心的なコミュニケーションデバイスとなる。

参考:Go Mobile for 2009 (Online Ad 2009/01/05)
参考:Mobile boosting in 2009 (Online Ad 2009/01/06)

2009/01/13

Facebook in UK

Digital Media WireがHitwiseのデータを伝えている。

それによると英国のXmas時期にFacebookは4.65%のトラフィックシェアを獲得している。これはGoogle UKの8.63%に次いで2番目のシェアだ。
Facebook_UK_Internet_traffic_christmas_2008_2007_chart.png

また、UKトラフィックの1割をソーシャルネットワークが占めた。過去12ヶ月間で20%もトラフィックを増やしている。結果として、エンタメ、検索エンジン、ショッピング、案内広告に次ぐ位置にまで上昇してきた。
Social_networking_UK_Internet_traffic_chistmas_2008_2007_chart.png
Source:Digitalmedia Wire / Social Xmas

UKのSNS内でのシェアを見ると、Facebookがプロファイルを持っているユーザ、およびメインのSNSとして使っているユーザの両方で最大のシェアだ。
また、プロファイルを持っているユーザの年齢構成を見ると、Beboは8-17歳のユーザに偏っている。反面、Facebookは8-17歳の子供を持つユーザに偏っている。
参考:Social Networking Profile by Ofcom (Online Ad 2008/04/04)

8-17歳の子供を持つユーザ数は74なのでサンプル数としては低すぎるが、子供から大人までFacebookに夢中といったところだろうか。

様々な企業やブランドがFacebookを活用して露出を広げようとしている。が、Facebookにプレゼンス、ページを持つだけといったケースもままある。広告と同じように出すだけで結果がでる(と思われている)わけではない。Facebookのページをベースにオープンな会話をしなければならないのだが…。

2009/01/09

Blog Power

昨年12月にNYTがBuzzLogicの調査データを取り上げていた。

2004年からすると300%の伸びを示し、2008年では47%のオンラインユーザはBlogを読んでいて、その半分は「何か買おうと考えている時にBlogを読むのが便利」だと答え、その半分以上は「何かを買う前にBlogを参照する」と答えている。

また、オンラインユーザはソーシャルネットワークの広告(19%)よりもBlogの広告(25%)を信用すると答えている。

Source:NYT / Blogs Find Favor as Buying Guides

ソーシャルネットワークは広告ビークルというよりは、オープンな会話を成立させるコミュニケーションチャネルであり、コンテンツを出版し、会話を成立させて、参加を促進し、共有、共感を醸成させる場所ということだろうか。

2009/01/08

Fortune 500 Business Blogs - updates

昨年の4月に「Fortune 500 Business Blogs」を書いたが11月にアップデートがあったようだ。それによると11月15日時点で64社、12.8%になっている。
  • 2006年11月 40社(8%)
  • 2008年4月  57社(11.4%)
  • 2008年11月 64社(12.8%)
半年強で7社増えている。少しは企業Blogを導入するスピードが上がってきたように見える。見逃せなくなった企業Blogの価値および効果がようやく認識されてきたということだ。

Source:Fortune 500 Business Blogging Wiki
参考:Fortune 500 Business Blogs (Online Ad 2008/04/17)

「Hyper Technology Cycle 2008」で企業Blogが、ここ2年以内に本格導入を迎えると見ているGartnerの見方を紹介した。2年以内にFortune 500の20%が企業Blogを導入し、全世界のユーザに対して英語で情報、コンテンツを提供する時、日本のグローバル企業はまだ「オンライン広告」だけを行う時代遅れのマーケティングをしているのだろうか?
参考:Hyper Techology Cycle 2008 (Online Ad 2008/11/11)

その時にはもう誰も振り向きもしない「オンラインディスプレイ広告」のCTRは0.01%を切り、今のTVや新聞、雑誌広告よりも低い位置しか与えられていないだろ う。また、検索広告も同様だ。すでに昨年の11月のデータを見るとGoogle本体の検索回数が2%減少している。YouTube/その他、MSの一部、eBay、Amazonを除くすべてでの検索回数が減少している。検索広告といっても「広告は広告」なのだ。Web 2.0スペースでのユーザとの参加や共有、共感そして再露出を演出してくれるものではない。
comscore-search-engine-share-expanded-query-report-november-2008.jpg
Source:MarketingChart / Nov Search

ディスプレイ広告も、検索広告も期待する効果を上げられず、それでも、Web 2.0スペースへの進出を果たすことができない企業・ブランドが生き残る道は非常に少ない。いや、全くないのかもしれない。

2009/01/07

Twitter Stats 2008Q4

HubSpotがTwitterのデータを出してきた。ただし、Twitter自体がちゃんとしたデータを公開しているわけではないので推定、推測が多くある。大づかみではあるがTwitterを理解する助けにはなる。
  • Twitterユーザの70%は2008年に参加
     20%は過去60日以内に参加
     平均的ユーザはTwitter経験が275日
     80%はプロファイルに個人情報を掲載
     62%はプロファイルに写真を掲載
  • Twitterは400~500万人の登録ユーザがいる
     30%は参加したばかり、あるいはまったく活動していない
     毎日、5千から1万人がアカウントを開設
  • Twitterのトラフィックは過去12ヶ月で600%の伸び(Compete.com)
     Twitter.comは2008年5月にAlexaのトップ1000Webサイトに仲間入り
上のようにHubSpotはCompete.comのデータを取り出しているが、Quantcastのデータでは以下のようになる。
ま、どちらにしてもモバイルやクライアントアプリケーションからアクセスするユーザを拾いきれていないわけで、HubSpotや他の推測が400~500万人とするのも分かる。
  • Twitterユーザの35%は10人以下のフォロワーを持つ
     平均的なフォロワー数は70人
     平均的にフォローしている人数は69人
     Twitterユーザの9%は誰もフォローしていない
  • 水・木曜日がTwitter日
     週末より週中のほうが50%以上もTwitter活動は活発
     (ということは仕事中にTweetしているユーザが多いということだ)
Source:HubSpot /State of the Twittersphere

HubSpotは四半期ごとにこのレポートを出す予定のようで、トレンドに関しては2009年Q1のレポートを待つしかない。

しかし、その種レポートを待つまでもなく、Twitterを使ったマーケティング、Twitter類似サービス、速報サービスなど各種サービスやマーケティングに実装されてゆくTwitterは、昨年以上に注目を集めるはずだ。Obamaさんが10万人のフォロワーを集めてキャンペーンニュースや速報をTwitterしていたり、CNNのRick Sanchezが視聴者とTwitterしている効果と影響を見たマーケターが何も考えないわけには行かない。

参考:themediaisdying (Online Ad 2008/12/26)
参考:Twitter drives real revenue (Online Ad 2008/12/25)
参考:Yammer - Corporate Twitter (Online Ad 2008/11/18)

なお、HubSpotは「Twitter Grader」というツールを公開している。

Source:HubSpot / Twitter Grader

2009/01/06

Mobile Boosting in 2009

itsmy.comというモバイルのSNSがある。(下をクリックでサイトへ)
ここはROSのCPMが4㌦なのだが、40万㌦分のモバイル広告、1億impression分を苦境に喘ぐUSの車業界に無償で提供するそうだ。2009年の1月から3月にかけて、この無償広告枠を申し込んだすべてに対して均等に提供されることになる。

Source:MediaPost / Mobile Social Network Itsmy.com Gives Automakers Free Ads

Media Postが伝えるようにAdMobも一昨年、100万㌦分の無償のモバイル広告を提供したように、今回のitsmy.comのオファーもモバイル広告をもっと広く認知させるためのマーケティングの一環だろう。

PEWが昨年末に出した「Furture Internet III」という資料のトップに上げられている予想がある。それは「2020年にはモバイルが、世界中の人々の主要な(インターネット)コネクションツールとなる」だ。

578人のエキスパートの77%、その他合計1,196人の81%が大方でこの予想に同意している。
Source:PEW / Future Internet III (pdf)

2020年まで待たずとも、今年にも爆発しそうなのがモバイルだろう。PC用コンテンツ、スピード、アプリケーションなど多くの差はあるが、モバイルが持つユビキタス性、直接ターゲティングの可能性は非常に大きい。SMS、バナー広告などのソリューションが大きく花開く今年、昨年同様に欧米各社から置いてきぼりを食らうのが日本のグローバルブランドであることは間違いのないところだ。

2009/01/05

Go Mobile for 2009

PEWの「様々なプラットフォームや通信ツールのうち、消費者が利用を中止することに抵抗感を最も感じるものは何か?」という調査によると、携帯電話が51%でトップになっている。

抵抗感がないのはTV、固定電話だけで、インターネット、Email、Blackberry/モバイルEmailも抵抗感が大きい。特にBlackberry/モバイルEmailの伸びが急だ。最大の抵抗感を示す携帯電話と急激に伸びているBlackberry/モバイルEmailを合わせれば答えは明らかだ。


さて、IBMが昨年の10月に発表した調査がある。それによると;
  • 2011年には、インターネット利用の40%ぐらいまでモバイルを使うという消費者は39%
  • 71%は地図、方角、IM、SNS、Email、ニュースなどの通信サービスを利用することが多くなる。特に中国やインドなどでこの傾向は急
  • Gen XおよびGen Yでモバイルインターネットが人気
  • 50%以上の消費者(15-30歳)はPCの替わりにモバイルデバイスを使うようになる
  • 現在の携帯普及率50%から2013年には80%、すなわち58億人がモバイルデバイスを利用してインターネットを利用するようになる
Source:iMedia Connection / A risk worth taking during the downturn
Source:IBM / Study finds consumers prefer a mobile device over the PC

今年がモバイル元年になるのは間違いなさそうだ。