2007/02/28

The Internet and Web 2.0

1993年のTVドキュメンタリ、「The Internet」がYouTubeに上がっている。14年前の新しい現象、「いわゆるインターネット」として紹介されている。何時頃かは忘れたが、多分1993年よりも少し前、Niftyからダイアルアップして、NASAへアクセスし、どんなデータがあるのか見たことがあった。回線料金を気にしながら、ちまちまとアクセスしていた頃だ。一昔ではなく、大昔になってしまった、そんな時代のドキュメンタリだ。



この14年間に、ビジネスそして個人ユースが大きく盛り上がり、個人のメディア消費時間はインターネットへシフトした。そして検索広告、ターゲティング、SNS、ビデオ共有サイト、Web 2.0などが注目を集めている。そのWeb 2.0をまとめたビデオ、「Web 2.0 ... The Machine is Us/ing Us」もYouTubeに上がっている。
ビデオの終盤近くに表示されるテキストが印象的だ。

   The Web is linking people…
   Web 2.0 is linking people…
   …people sharing, tracing, and collaborating…



人をつなげるメディアだという関係性メディアの特徴が良く表われている。そして忘れてはならないのはインターネットはグローバルなメディアだということだし、ロングテールに属する個人であっても既成メディアと同様、いや、それ以上に露出できる可能性を持っていることだ。ロングテールが集まり、既成メディアを追い抜き、情報共有やコラボレーションを進化させる時代になってきた。

P&GのCEO、A. G. Lafleyが、昨年のANA (Association of National Advertisers) 総会で;
  • パワーは消費者が握っている
  • マーケターおよび小売業者は、消費者にしがみついて後れないようについて行っている
P&Gは長い間、消費者がどのように商品を理解、使用すべきかを教えてきたが、
  • DVRや衛星ラジオなどの技術を使った広告を、いつ見たり、いつ消すかを消費者が選択している今日、小売側は消費者とともに学んでいる段階だ
  • 消費者があらゆる意味で我々のブランドを所有し、ブランド創造にも参加している
  • 我々は、消費者や好きな製品の回りに築かれるオンラインコミュニティによってコマーシャルが創造されるこのトレンドを認めるべく学習すべきだし、それを歓迎すべきだ
と語っている。

「The Internet」時代から、「Web 2.0 ... The Machine is Us/ing Us」へシフトしたのは確実なようだ。上のビデオでも一瞬使われているが、The Internet Archiveという米国のプロジェクトが収集したWebページのアーカイブを公開しているWayback Machineというシステムがある。1996年から各Webサイトのページを収集しており、850億ページにもおよぶアーカイブには米国だけではなく世界中のWebサイトが含まれる。このシステムが明らかにするのはインターネット・Webの変遷だけではなく、メディアと人間の関係、そしてトップダウンからボトムアップ、あるいはグラスルーツへ移行するマーケティングの変遷も映し出しているのかもしれない。

参考:Letting Consumers Control Marketing : Priceless
参考:Wayback Machine

2007/02/27

Lufthansa Launched Blog Marketing

2月22日付けのBlogroll(右をクリックでリンク)に、Lufthansaが最初のインターナショナルブランドとして広告を開始したと誇らしげに発表している。


それによるLufthansaの広告は2月20日から始まり、3ヶ月程度継続されるようだ。このキャンペーンに関して、Business 2.0 や、iMedia Connectionで取り上げられていることも紹介している。

すでに右のSkyscraperが、Blogrollのディレクトリトラベルセクション、そしてBlogrollに参加している「This Non-American Life」や、「Travelhappy.info」などに掲出されている。

Blogrollは、昨年8月にビジネス、旅行、テクノロジ、環境、金融・ファイナンス関連のB2C向けBlogをWashingtonpost.com、Newsweek.comにリンクを開始し、9月にはTechnoratiともリンク、著名なAndrew SullivanをゲストBloggerとして迎えいれていた。そして12月からは広告配信も始めていた。

このLufthansaの広告は、Washingotonpost.Newsweek.Interactiveの広告ネットワークに参加している旅行関係、「This Non-American Life」、「LasVegasLogue.com」、「ParisLogue.com」、「MoreThanPoints.com」、「BaliBlog.com」など、100Blogすべてで掲出されるようだ。

Source:MediaPost / Lufthansa First Category Sponsor In Washington Post Blog Network
Source:MarketingVox /WaPo Blog Network Gets First Category Sponsor: Lufthansa
Source:Blogroll

Blogrollへの新規参加Blogとして、2月22日に20サイトが紹介されている。1月4日にも12サイトが参加しているので、ユーザの評価も固まりつつあり、Bloggerとメディアのコラボレーションが進んでいるようだ。広告主側からすると、メディア側のWeb・logサイトだけではなく、各Bloggerが抱える固有ユーザも総合的にカバーできる。

ところがTechnoratiで主要なBlogサイトのランクおよびリンク数を見ると;
  • This Non-American Life:ランク41,997位、86Blogから137リンク
  • LasVegasLogue.com:ランク92,763位、41Blogから1,508リンク
  • ParisLogue.com:ランク64,864位、57Blogから1,343リンク
  • MoreThanPoints.com:ランク1,699,776位、1Blogから1リンク
  • BaliBlog.com:ランク8,033位、356Blogから1,203リンク
MoreThanPoints.com以外は相応のランクとBlogリンクがあるため、Blog世界への露出を加速してくれる期待がある。しかし、MoreThanPoints.comはホテルや、カードのポイント加算・倍増アナウンスをやっているが、書込みも不定期、トラフィックやリンクも少ない。こういったこれからのBlogサイトもひっくるめたパッケージ販売になっているので、ちょっと納得の行かないところも残っている。特に立ち上げたばかりに等しいこのBlogサイトを広告ネットワークに参加させているのはよっぽどの理由が必要だろうが、それがわからない。

ところでLufthansaとJALのBlog露出を比較してみると(2月26日時点);
  • Lufthansa
    • 23,786(全言語Blog件数)
    • 12,377(英語:52%)
    • 4,668(独語:20%)
    • 803(仏語)
    • 681(日本語)
  • JAL
    • 152,703(全言語Blog件数)
    • 7,591(英語:5%)
    • 273(独語)
    • 852(仏語)
    • 128,476(日本語:84%)
まず、圧倒的にLufthansaのBlog露出が少ないことが分かる。しかし、その少ないBlog露出の大半は英語でドイツ語よりも多い。Lufthansaは、Blogrollの広告ネットワークだけではなく、Technorati.com自体にもテキストリンクを出しているので、とにかくBlog世界の中でも、英語、すなわち米国での露出を稼ぐ戦略のようだ。

伸びが落ちているとはいっても、米国は世界最大の市場だ。そして、旅行業界は数ある業界の中でもオンライン化が非常に進んでいる。ここで露出しなければどこで露出するのかということだろう。

さて、JALはとにかく日本語のBlog露出が多い。それを除くと24,000強となり、英語での露出数はLufthansaよりも少ない。ただ、これは何もJALに限った話ではなく、日本企業全てについて言えることだろう。どうしても日本本社からのグローバル露出が限られている。しかし、Lufthansaが積極的に英語Blog露出を稼ぐように、日本のグローバル企業は、少なくとも英語での露出を上げるマーケティングが求められているのではないだろうか。

Source:eMarketer / What On Earth Is Up With Online Travel? (July 28, 2006)
(注:アクセスは契約必要)

2007/02/26

Super Bowl Final Scorecard

Reprise MediaのSuper Bowl 2007のWhite paperがリリースされた。前回、Super Bowl Ad Effectで紹介した一枚ものではなく12ページの完全版だ。

まず様々な数値とトレンドを説明している。
  • Super Bowlの広告主はオフラインとオンライン広告を統合しようとしているが、かなりの数の広告主は機会を喪失し、必要な全てのエレメントを統合し、消費者の興味、BuzzをWebトラフィックへ誘導していたのは少数派
  • TVCFにおいてURLが明記されているが、視聴者にWebアクセスを強く呼びかけていたのは20%以下
  • Doritosのようにユーザの自作ビデオを活用したクチコミを期待し、プロモーションへの参加とブランドとの露出を計画していたケースもあるが、Webへユーザを誘導する点では不十分。事前に計画したユーザコミュニティを拡大する目的は不達成
  • CGMではないが、Pizza Hutのみ自社Webサイトではなく、検索エンジンとYouTubeを統合させ、広告と製品に関するユーザ体験を継続させていた
  • 自動車メーカーはかなりのTVCFを打ってはいるが、Google、Yahoo!などの検索エンジンとの統合はお粗末。クロスメディア統合に失敗
  • 広告主の半分はTVCFとオンラインコンテンツを結び付けてはいたが、Webサイトへアクセスしたユーザの様々なセグメントに対する特定コンテンツのターゲティングやメッセージのテストなどはされていない。ランディングページの充実が必要
Reprise Mediaは、タッチダウンしたケース、すなわちオフラインとオンライン露出をうまく統合し、Webへのトラフィック誘導、検索エンジンマーケティングも準備し、ランディングページコンテンツも的確で、広告効果を最大化したケースとして「Sales Genie」、「GoDaddy」、「King Pharmaceuticals」を挙げているが、参考になるのは広告効果を最大化できず、ファンブルしたと評価された「GM」、「IZOD」、そして「Doritos」だろう。その中でGMとDoritosを紹介する。

まずGMだが、組み立てラインのロボットが作業手順に失敗し、解雇され、様々なアルバイトを重ねるがうまく行かず、スクラップ工場で自分の将来を見せつけられたところで目が覚めるという、GMの10万マイル品質保証を謳うCFが放送された。(クリックでGMのWebへ。このロボットが実にカワイイ!!)

TVCFはキュートだが、フォローアップが欠如していた。CFでURLが表示されるのは最後に短く、小さなGM.comのクレジットが表示されるだけだ。キュートなCFダウンロードを呼びかけたり、ロボットの経歴や名前を提供することもできたが、Webへアクセスさせるインセンティブがなく、TVCFからインターネットへトラフィックを誘導する理由づけに失敗と評価している。

検索エンジンの場合、自然検索結果に当然のごとくGMは表示されるが、スポンサーリンクに顔は出していない。この点は他の自動車メーカーも同様で、検索エンジンマーケティングの統合が欠如しているとコメントしている。

WebサイトにTVCFの画像・ストリーミングがあるが、ユーザに次のステップを踏ませるための追加情報や広告コピーは表示されていない。このコンテンツでは折角、TVからWebサイトへアクセスしたユーザの興味に答えることはできないと切り捨てている。

Doritosの場合、「Crash the Super Bowl」プロモーションにより、ユーザ自作ビデオを募集し、試合中に優勝者を決めたり、他のビデオなども用意したりと、Reprise Mediaの評価基準では最高のスコアを記録する準備を整えていた。が、しかし...。

TVでは、優勝者ビデオにはDoritos、Crash the Super BowlのWebサイトURLはなし。TVCFは、プロモーションコンテストに対しても、他のビデオに関しても何の言及もなし。

検索エンジンも、Yahoo!での中途半端な露出以外、「Doritos」、「Crash the Super Bowl」、「User Generated Commercials」というキーワードでのスポンサーがない。

Webサイトでは、全体をFlashで構成しているため重く、遅い。ロードが終了してもユーザが自由にナビゲートすることができない。ユーザはどこがクリックできるのかマウスを動かさなければならないし、Super Bowl関連セクションがどこなのかも分からないと辛口の批評で結んでいる。

Source:Reprise Media / ScorecardWhitepaper_07.pdf
(注:http://www.reprisemedia.com/scorecard.aspxにてユーザ登録が必要)
参考:Super Bowl Ad Effect

2007/02/23

Business Trend toward Blending Advertising and Entertainment

「INNERSTATE」という58分のドキュメンタリ映画の試写会が2月21日、NYで開催された。今後、6月までに全米の14都市で公開される予定となっているが、入場は無料だ。

慢 性関節リウマチ、乾癬(訂正:全身性強皮症)とクローン病という難病と戦う3人の患者をフィーチャーしたこのドキュメンタリ映画は、これら難病治療に用いられるRemicade を出しているJohnson & Johnsonの医薬部門、Centocorがスポンサーとなり、映画制作の最初から配給までの全プロセスで資金提供されたものだ。ただし、 Remicadeという製品名を映画内で明示的に表示してはいない。その代わり、慢性関節リウマチ、乾癬(訂正:全身性強皮症)とクローン病など自己免疫障害の治療に認可された Remicadeとして焦点が当てられている。

以前にも特定疾病患者がドキュメンタリ映画を制作したことはあるが、専門家によれば、ここまで最初から最後まで資金提供を受けたドキュメンタリはないそうだ。

「INNERSTATE」は、発症、診断、そして闘病までを旅のイメージに重ね合わせ、患者が目指す最終目的地、すなわち難病とバランスを取りながら、どのような人生、生活を送ってゆくのかを力強く訴えかけている。

なお、映画に出演した3人にお金は支払われていないし、RemicadeはBiologic薬、生きている細胞の培養組織で造られる薬だということで映画は副作用についても説明している。

YouTubeに「INNERSTATE」のOfficial Trailerが上がっている。


Source:NYTimes.com / Drug Gets a Cameo in a Film Backed by Its Maker
参考:myINNERSTATE.com

Remicadeは米国で23億㌦、全世界で30億㌦の売上があるが、競合メーカーから類似品が発売され始めたため、熾烈な競争にあるらしい。そのためマーケターとして、競合との効果的な差異化を目指した末に、
  • プッシュ型ではなく、よりソフトなプル型のアプローチ
  • 難病を詳しく知ってもらい、理解してもらうためのCause Marketing、社会貢献型マーケティング手法を採用
  • 無料鑑賞という強烈なインセンティブを追加し
  • 闘病生活を送る3人のたくましい生き方を裏側から支える治療薬としてのスタンスを強くアピール
  • 独自サイトおよびYouTubeを活用したオンライン露出を最大化する
というプロモーションプランに結実したわけだ。このほかにも、他媒体を活用したプロモーションが予定されているのかもしれない。

社会貢献型のマーケティングでは、Dove Evolutionが有名だが、この「INNERSTATE」が同様に注目を集め、難病、そして患者に光が当たり、結果として治療薬の販売が増加すれば、広告とエンタテイメントを融合した手法が再度、脚光を浴びるだろう。

い つまでもゴリゴリのプッシュ型マーケティングではなく、プル型、そして参加型のマーケティングでなければ、共感も、共有もしてくれない。特に、社会貢献型 のパターンであれば共感、共有した人々が、通常以上に自主的にコンテンツを広め、拡散するという大きな貢献をしてくれる。そのためにも、敷居を低くし、難 病と闘う患者の声を聞いてもらうアドバテイメントは有効だ。

訂正:乾癬を全身性強皮症と訂正しました 2007/3/11
変更:本記事のURLをhttp://dramrollonline.blogspot.com/2007/02/business-trend-toward-blending.htmlへ変更しました。(変更前はbrendingとなっていました)2007/3/11

2007/02/22

AAF Study: New Media Gets More Marketing Money

1,000社近くの広告主、広告代理店、媒体、その他のセクターなどを対象に行ったAAF (American Advertising Federation) のメディア投資サーベイ2007が公表されている。

この調査の対象者は、38.1%が広告代理店、26.9%が媒体、13.6%が広告主となっている。そして役職を見ると19.1%がDirector、18%がOwner、17.6%がManagerとなっている。そしてこの調査対象者の30.9%はBDM (Business Decision Maker) であり、15.8%は対象者自身がBDを決定し、BD推薦にかかわる対象者は合計41.4%となっている。

様々なデータがあるが、その中からいくつか拾ってみる。

この調査結果のハイライトのトップにも出されているが、「新しい手法や媒体実験にどれぐらいの予算を確保しているか」という問いに、20%までの予算を割り当てる対象者が73.2%、そして40%までの予算を割くと答えたのが12.4%になっている。平均すると予算の15%がイノベーション用に投下されるようだ。(クリックで拡大)

次に「現在のメディア状況と今年、2007年の期待を元にした場合、メディアに対してどのようなアプローチを行うか」という問いに対して、
  • 78%が既成メディアを活用する新しい手法に前向き
  • 75.5%が既成と新興メディアのバランスをとった的確なメディアミックス
  • 57.7%がブランド力をアップする新興メディアを調査
  • 43.3%が「フレッシュで革新的」というブランドイメージを伝える革新的なメディアと提携
などと回答している。

調査内容には、2006年に広まった新しい動きや革新を、「予想していたのか、驚きをもって見たのか」という面白い問いがある。擬似CG社会の「Second Lifeへの殺到」が77%「YouTubeの巨大化」が61%、「Mash-ups」が一般化したことに対して51%が驚いたとしている。

逆に、「インターネットでのTV番組視聴」が86%、「テキストメッセージの大量採用」が80%、「コミュニケーション計画にソーシャルメディア導入」が77%、そして「CGC (Consumer Generated Content) の爆発」に対して65%がそうなるだろうと見ていたわけだ。

また、2006年のメディア変動を考えた場合、2007年のメディア状況はどうなるのかという問いに
  • 58% 2006年よりもメディア変動が加速
  • 39% 2006年とほほ同じペース
  • 3%  2006年よりもペースが落ちる
と答えている。

そして、最後に雑誌カテゴリの中でどのカテゴリに革新的な動きが必要かという問いと、雑誌を除くメディアカテゴリの中でどのカテゴリに革新的な動きが必要かという問いがある。雑誌カテゴリの中では46%が「ビジネス誌」、雑誌を除くメディアカテゴリの中では51%が「新聞」に革新的な動きが必要だとしている。

Source:MarketingVox / AAF Study: New Media Gets More Marketing Money
Source:AAF / Media Investment Survey 2007
Source:AAF / Full Summary (ppt)

こうしてみると米国のブランド企業は、いつも新しい動きに対処したり、新興メディアを利用するために15%程度の予算を確保し、既成メディアを使う広告手法だけではなく新しい手法、新しいメディア、ブランド力を高める新メディアとの提携を探ろうとしている。「Second Life」や「YouTube」には虚をつかれたかも知れないが、大きなうねりは的確に把握しているし、メディアの現状が変革期にあることを理解しているからこそ、半数以上が昨年よりもスピードアップするメディア変動を予想している。

米国のブランド企業は新興メディアを理解し、スピードアップする新しい動きに合わせた予算消化を行うことになる。これが一部の企業であろうと、その動きは他社に影響し、新しい露出が複合されて蓄積されてゆく。日本のグローバル企業本社からの露出がこの現状とスピードを理解したものでなければ、露出ギャップはますます拡大する一方だ。

2007/02/21

Latest Broadband Statistics

Point Topicの最新レポート、World Broadband Statistics Q3 2006 によると昨年Q3で全世界のブロードバンド回線数は2億6,380万、前Qから1,690万回線、6.5%増加している。前年比33.3%増となっており、2004Q2・2005Q2の伸び41.5%に次ぐ伸びを記録したようだ。Point Topicは2006Q3で全世界人口の4.74%、2006Q4には5%に達すると予想している。

BBトップは米国で5,450万回線、中国が4,860万回線、日本が2,580万回線となっている。5番目のドイツはBB回線数の伸びが落ちてきているのでQ4にはフランスに抜かれるかもしれない。
人口あたりの普及率はもっとも普及しているデンマークでも100人あたり30人を越えた程度だが、世帯普及率を見ると韓国が90%を超えている。香港が85%前後、シンガポールが70%、台湾が70%弱とアジア勢が一角を占め、アイスランド、イスラエル、デンマーク、オランダ、スイスなども60数%以上となっている。
さて、次にPark Associatesの最新レポート、 Digital Lifestyles: 2007 Outlook によると2006年、米国でのブロードバンド世帯普及率は前年比20%増加し、2007年には全世帯の55%、6,000万世帯に普及すると予想している。
Source:Point Topic / World Broadband Statistics Q3 2006 (pdf)
Source:Yohoo! News /Broadband Users Now the Majority in U.S.
Source:Park Associates / U.S. Residential Broadband Penetration to Exceed 50% in 2007

DSLであろうが、FTTHであろうがブロードバンド化することで常時接続、高速通信が一般化する。インターネットに存在する多種多様な情報、データへアクセスするユーザが増え、収集する情報の比較も行われる。ますます情報発信するユーザも増えてくるし、それにつれて膨大なCGMが流通するようになる。また、オンラインストリーミングビデオへのアクセスが一層増えることにもなってくる。

この状況でスタティック、クローズドなWebサイトからの情報発信や、PDFベースの広報、そして既成メディアに偏重した露出では、積極的にオンラインマーケティングを推進し、膨大な露出を投下している欧米企業とのオンライン露出ギャップは取り返しのつかないほど大きくなってゆく。

その膨大な露出ギャップを抱えながら従来通りのWebサイトでは、ユーザの興味や注目を惹き付けることは難しい。オープンなコミュニケーションチャネ ルとしてWebサイトやBlogを活用してゆかなければ消費者・ユーザとの対話は産まれないし、CGMコンポーネントを流通させなければ共有、配信してくれるユーザのパワーを借りることもできない。

なによりもオンライン露出が少ないままでは、オンラインでのブランド構築は不可能な話だ。そして、その影響範囲は、何も米国だけではない。全世界のインターネットユーザに影響が波及する。

2007/02/20

Radio and the Internet: Powerful Complements

Radio Ad Effectiveness Lab (RAEL) から「いかにラジオ広告がオンラインキャンペーンを補完するか」という新しい調査データが出ている。

調査はこれら2つのメディアがいかに交差しているかを示すため、最初にバックグラウンドとしていくつかのデータを提示している。

まず、TVのライトユーザのうち41%、雑誌のライトユーザのうち24%、新聞のライトユーザのうち29%はラジオとインターネットのヘビーユーザであること。
加えて、ラジオとインターネットはユニークなリーチパターンを持っており、それが組み合わさるとパワーが増している。インターネットと他メディアを組み合わせた場合、TVとの組み合わせに次いでラジオが18-54歳の82.9%のリーチすることができる。
また、メディアの同時利用を時間帯ごとに見た場合、月~金の午前6時~正午の間にインターネットユーザが同時に利用しているメディア(ラジオ、TV、両方ともなし)の中でラジオが33%、TVが22%と、断然ラジオとの同時利用が上回っている。


































これらを背景として、オンライン広告だけの場合、そしてオンライン広告とラジオ広告をミックスした場合のリーチ効果、自然想起、助成想起、ブランドごとの想起、そして性別・年代・人種・学歴別の想起データなどを出してきた。その中からいくつか拾ってみる。

例えば自然想起の場合、2つのオンライン広告(ラジオ広告なし)を露出されたグループの6%がブランドを想起することができたのに対して、オンラインとラジオ広告をひとつづつ露出されたグループは、その27%がブランドを想起することができている。これはオンライン広告だけの露出に比べて4.5倍の結果となっている。

また助成想起の場合、2つのオンライン広告(ラジオ広告なし)を露出されたグループの25%がブランドを想起することができたのに対して、オンラインとラジオ広告をひとつづつ露出されたグループは、その58%がブランドを想起することができている。これはオンライン広告だけの露出に比べて2倍強の結果となっている。

次に年代ごとの自然想起を見る。オンライン広告だけを露出されたグループよりも、オンラインとラジオ広告をひとつづつ露出されたグループは、
18-34歳で5倍
25-44歳で7倍
35-54歳で7.5倍
ブランドを想起することができている。

その他、性別、人種、学歴によらず、RAELの調査では、複合露出することにより、オンラインだけの露出に数倍する結果が出ている。

当然、調査された8ブランドすべてを見ると、ばらつきが出ている。業種や、「買う物」、「使うもの」といった製品・サービスの違いによって、Webサイトへのアクセス、想起や購入意思にばらつきがある。

しかし、広告を露出された結果、「Webサイトへ必ずアクセスする」、あるいは「多分アクセスする」という調査を見ると5ブランドで複合露出したほうがオンラインだけの露出よりも上回っている。また、「製品・サービスを必ず購入する」、あるいは「多分購入する」という調査でも5ブランドで複合露出したほうがオンラインだけの露出よりも上回っている。
Source:Radio Ad Effectiveness Lab / Raido and the Internet: Powerful Complements for Advertisers (full report: pdf)
Source:Executive Summary: Raido and the Internet: Powerful Complements for Advertisers (pdf)

クロスメディアミックス効果による想起度アップ調査でよく目にするのはTVや雑誌と複合させた場合だ。EIAA、OPA、IAB、DoubleClickなどから多くの資料が出されている。しかし、ラジオとのクロスメディアミックス資料は珍しい。そしてのその効果がTVや雑誌の数10%レベルとは違い、数倍レベルに達しているラジオとの複合効果は注目すべきだ。特に、EIAAのデータに良く出てくるようにヨーロッパのインターネットユーザのメディア消費時間でラジオが大きな割合を占めているが、地域特性メディアとしてラジオを検討すべきだろう。

今回はCBSラジオなど通常ラジオ局をベースにした調査だが、ぜひ、衛星ラジオ、あるいはインターネットラジオなどを含めた調査に期待したい。

参考:X Media Impact

2007/02/19

Megapixel Myth

2月8日、NYTimes.comのTechnologyにDavid Pogueが、「Breaking the Myth of Megapixels」というコラム記事を書いていた。これは5メガよりも8メガ、8メガよりも16メガカメラのほうが良い写真、きれいな写真が撮れるという画素数戦争がもたらした「神話は真っ赤なうそ」だとした記事だ。

それによると彼は5、8、13メガピクセルカメラで子供の写真を撮り、プロのプリントで16 x 24インチのポスターサイズに引き伸ばし、それをマンハッタンのユニオンスクエアで道行く人々に違いを訊くという実験を行った。結果、3つの写真の違いを指摘できたのはたったひとり、他の人たちは違いを指摘できなかったり、あきらめたり、違いはないと認めた。

その結果をBlogにアップした翌日、450人からコメントやメールが殺到したそうだ。大半は彼の意見に賛成したが、少数が比較方法などに異議を唱えたりしたため、プロのカメラマン・編集者の助けを借りて追加テストを行うことになった。2回目のテストは7、10、そして16.7メガピクセルカメラで、鮮やかな背景、カーリーヘア、極彩色の刺青、そして毛むくじゃらの被写体を写真に撮り、前回同様に引き伸ばして50人に比較してもらった。結果は、3人だけが違いを指摘できたが、残りは違いを見分けることができなかった。

その結果を元に、一般のカメラユーザーにとって、「高画素数は写真の出来とは無関係」としていた。ただ、彼はメガピクセルのメリットなども書いていたし、一般のカメラユーザにとってメガピクセルが選択基準にならないとした場合、何を基準にすればいいのかについても言及していた。ただし、友人からのアドバイスや、CNETやDPREVIEW、DCRESOURCEなどのレビューを参考にしたらというものだが。

そして、2月15日に後日談が掲載された。「16 x 24インチに引き伸ばすには5、6メガのカメラで十分で、画素数神話はウソだ」という前回のコラムは大きな反響を呼び、多くのエキスパートやエンジニアを含む700通に達したEmailの大半は、「メガピクセル戦争は(カメラ販売店やカメラメーカーによって)プロモートされ、長いこと誤解を与えてきたマーケティングのカラクリだ」という点に同意したようだ。

しかし、まだ得心のいかない人たちがいるため、その人たちを納得させるため、そして前回のコラムで書ききれなかったカメラ・写真の良し悪しや購入を決めるポイントとして画素数を使う不都合を書き加えている。それは何かというと;
  • 5メガピクセルより10メガピクセルは何倍大きくプリントできるか?
    • 2倍、4倍と答えた人は間違い、縦横20%しか大きくならないが正解
    • 一般ユーザがポスター大に引き伸ばしたとしても、その差はあまりない
  • 画素集積の悪影響
    • 画素を集積すればするほど写真品質を低下させる
    • 画素集積が高まると集光能力が低下し、暗がりや停止した写真を撮る際、パフォーマンスが低下する
  • センサーサイズ
    • センサーサイズが写真の良し悪しに大きく影響
    • プロユースのNikon D40 digital S.L.R.のセンサーは23.6 x 15.8mm
    • 一般消費者向けカメラのセンサーは1/1.8"(対角線)程度とされ、集光能力に劣る
などだ。

最初のコラムで彼はカメラを選ぶ際の基準として、画素数が適当でないなら何が基準になるかを考えあぐねていた。そこで2番目のコラムで彼にImatest Softwareの開発者から助言があったことを書き、それも書き出している。

Source:NYTimes.com / Breaking the Myth of Megapixels (Feb 8)
Source:NYTimes.com / Last Notes on the Megapixel Myth (Feb 15)

このコラムをベースにメガピクセルカメラの情報に接したユーザはPogueの記事を読み、コメントしたり、Emailを送った人だけだろうか?

当然、NYT.comのユーザ、コラムの常連、あるいはたまたまアクセスしたユーザもいれば、del.icio.usやredditのソーシャルブックマー クから記事を目にしたユーザもいるだろう。del.icio.usで「megapixcel myth」を見ると90件のブックマークが確認され、もっとも多い場合、362人がブックマークを保存していた。また、Technoratiで 「Megapixcel Myth」という書込みをチェックしてみると最初のコラムが出た翌日、2月9日に45以上の書込みがある。彼自身のBlog (www.davidpogue.com) には342Blogからリンクがある。その他、様々なサイトでの露出が統合されて数多くのユーザに露出したであろうことは疑いがない。

現在、企業やメーカーが公表、提供する情報に数倍する情報が存在するし、その情報にアクセスできる消費者は大勢いる。インターネット時代に入り、消費者は、企業が提供する情報だけに頼って製品を購入することはない。企業Webはもとより、プロやエキスパートのアドバイス、製品レビューをチェックし、個人のWeb/Blogのユーザレビューなども参考にしている。今回のコラム記事が非常に大きな反響を呼んだことから、企業が提供する情報に疑問を持つ潜在購入者もいるだろう。もはや一方的な情報提供や、マーケティング主体の高画素数プロモーションでは受け入れられないのだ。

また、大勢が注目するテーマの記事や書込みに関して、様々な人々が意見や、コメントを出し、アドバイスや助けの手を差し伸べてくれる。オープンなコミュニケーションと対話する姿勢があれば、テーマに沿って対話が広がってゆく。今回のケースでは追加テストの手を差し伸べたプロのカメラマン・編集者、元カメラメーカーのマネージャ、写真のシャープさやイメージのクオリティを測定するソフト開発者などが対話に参加している。彼らの参加により、Pogueのコラムに幅ができ、納得する正当性や真実性が追加され、より多くの人々に理解されたことだろう。

さて、カメラメーカーは消費者・ユーザに画素数を伝えるだけでいいのだろうか?消費者が使う目的に最適なモデルを選択してもらうには、あるいは、顧客満足度を最大化するには何を伝えるべきなのだろうか?高画素モデルが売れるからそれを大声で唱えるだけでいいのだろうか?

Pogueのように問題を提起し、それを他のユーザと共にコンテンツを増やし、膨らませ、共有することこそが必要ではないのだろうか。それこそがトップダウンマーケティングではなく、ブランドを消費者・ユーザと共有するボトムアップ、グラスルーツのマーケティングになるのではないだろうか。

2007/02/15

Internet in School

HarvardのPatterson教授が中心になっている将来のジャーナリズム教育の姿を探るプロジェクトから面白いデータが出てきた。

これは米国の5年生から高校3年生までを受け持つ1,262人の教師を対象に行ったインターネット調査だ。それによると、57%の教師はインターネットベースのニュースを授業で取り上げている。それに比べるとTVは31%、新聞は28%でしかない。インターネットベースのニュースが、TVや新聞のニュースを差し置いて教室での学習に取り上げられている。

また、CNNおよびBBCといった全国および国際的なニュースサイトが、ローカルなニュースサイトを上回って学校教育で取り上げられている。

建国以来、米国では日常ニュースの大半はローカルニュースだったわけだ。1900年代以降ラジオやTVなど放送ニュースが誕生した以降もローカルニュースはその地位を保ってきた。しかし、インターネットのニュースサイト、CNN.comやNYT.comが多くのユーザを集め、それが授業にも反映されてきている。

ローカル新聞、ローカルTVの利用は、全国ニュースサイトや国際的なニュースサイトの利用よりも下回っている。利用される全国ニュースサイトも少数のトップサイト、CNN、PBS、New York Timesなどに利用が集中している。また、BBCのような国際サイトの利用も際立っている。

ローカルニュースの重要性がなくなるわけではないが、全国ニュース、国際ニュースに教師、生徒の興味や注目が移行してきているのだ。

さて、教師が教室で取り上げるニュースソースの中で、今後より、使うようになるというのは58%を占めるインターネットが最大だ。逆に、今後、使わなくなるというのは21%で新聞とTVが多く、インターネットを使わなくなるというのは5%にしか過ぎない。
様々な授業で使われ、引用され、課題提出を求められるニュースソースは、インターネットになりつつあるのだ。
次に教師と生徒別に、優先するメディアを見た場合、教師が優先するメディアのトップは新聞だが、生徒が優先するメディアのトップはインターネットとなっている。TVを優先する教師は18%だが、生徒は42%が優先している。逆にもっとも優先しないメディアは49%の教師がTV、76%の生徒が新聞となっている。
どのような見方をしても、インターネットの利用が増加することは疑いようのない事実だ。
Source:Carnegi-Knight Task Force on the Future of Journalism Education / The Internet and the Threat It Poses to Local Media (pdf)

Executive Summaryで、「教師や生徒が新聞やTVニュースから離れ、オンラインニュースへ移行しているとき、多くの新聞は紙媒体のプロモーションを継続している」と書いている。このシフトは学校だけではなく、通常ユーザのニュースソースとしてもインターネットは重要性を増している。また前日、前々日に書いたようにオンラインビデオの視聴カテゴリでもニュースがトップだ。

インターネットでのブランド露出を検討する際、ニュースというカテゴリは最重要検討項目になる。

最後に、それにしてもわずか1%ではあるが、Bloggerをニュースソースとして教育に取り上げている教師がいることには驚かされる。

Who's Really Viewing YouTube

昨日、Advertising.comが出しているオンラインビデオ調査のデータを紹介したが、新しいデータも出てきたので紹介する。これはFrank N. Magid AssociatesのVP-Managing DirectorのMike Vorhausが書いた、「YouTubeを誰が見てるのか」という短い記事で、Ad Ageに上がっている。

オンラインビデオが人気を博しているため、若い連中しかこういった類のコンテンツにアクセスせず、見ているビデオの大半はユーザ自作のものだという印象をもつ人が多いかもしれない。当然、12-64歳の44%以上が最低週に一回以上オンラインビデオを見ており、その中でも25-34歳の64%が最低週一回はオンラインビデオを視聴しているということから若年層が主体だということは分かる。しかし、実のところ、55-64歳の男性の43%、女性の27%も最低週一回はオンラインビデオを視聴しているという。

ビデオコンテンツはここでも、ニュースがトップで40%、天気と映画プレビューが30%となっているが、驚くのはユーザ自作のビデオは最下位のたった6%程度しかないことだ。

Source:Ad Age /Who's Really Viewing YouTube

12-64歳の44%以上が最低週に一回以上オンラインビデオを見ているということ、そしてもっとも見られているコンテンツがユーザ自作ビデオ、すなわちアマチュアコンテンツではなく、ニュースや天気・映画プレビュー、すなわちプロが制作したコンテンツだということが明らかになっている。この二つを重ね合わせると、ブランドとのタイアップでユーザ自作のビデオを募集し、YouTubeなどにアップさせ、露出やWebへのトラフィック増加を稼ぐ戦術にほころびが見えてくる。

確かにViral Video Chartがリンク数と視聴回数で選んだTop 10 Viral Videos of 2006のうち6本は自作ビデオ(*)だが、ブランドとのタイアップというか、宣伝・広報ベースのものはローカルFM局開局アナウンスを行った10位のTシャツ155枚重ね着男ぐらいだ。ナショナルブランドとのタイアップビデオは少なくともトップ10には顔を出していない。自作ビデオ募集段階でBuzz、クチコミを作り出せるほどの露出を投下しても、自作ビデオそのものが見られないのでは、ブランドとのタイアップによる自作ビデオ募集戦術は再検討する余地がありそうだ。
  1. Kelly Belittles U.S.Troops
  2. Free Hug*
  3. White & Nerdy
  4. Worst Burglar Ever*
  5. Evolution of Dance*
  6. Kiwi!*
  7. OK Go
  8. Colbert Roasts President Bush
  9. A Message From Chad and Steve*
  10. Guinness World Record for Most T-Shirt Worn at One Time*

2007/02/14

Online Video Study

米国最大の広告ネットワークであるAdvertising.comがオンラインビデオ視聴とビデオ広告へのレスポンスに関する調査データを公表している。InsightExpressのパネルを用い、今年1月5日から8日にかけ、18歳以上の500人を対象にいつ、何を、なぜユーザが視聴するかを調査したものだ。

メディア消費パターン
調査対象の84%は2006年は2005年と同じか、それ以上オンラインビデオを視聴したということで、66%は最低週に一回視聴し、その44%が18-34歳で、56%が35歳以上となっている。

82%はオンラインビデオを視聴することでTV視聴時間が削られることはないと答えている。しかし、32%はDVRを持ち、その86%はTVCFをスキップすると答えている。このグループは全体の66%より高い73%が最低週に一回オンラインビデオを視聴している。またこれは自分でビデオを作成したり、気に入ったビデオクリップを友人に転送するグループだ。加えて48%はTV番組を見損なったときはオンラインでエピソードを見ると答えている。

ストリーミング視聴の大半、87.9%は家庭で見られている。職場が8.5%、学校は3.6%でしかない。
そして視聴するビデオタイプは、ニュースクリップが48.6%、音楽ビデオが47.4%、映画トレーラーが32.6%となっている。(左図)

それをカテゴリ、年代別にインデックスで見ると、
18-34歳では音楽ビデオが138、TV番組が127、UGV (User Generated Video) が126、35歳以上はニュースクリップが124、スポーツクリップが112、映画が104となっている。若年層とそれ以外ではっきりと区分けされてている。

さてTVCFよりも短いビデオ広告がもっとも好まれるのが明らかだ。(左図)
30秒よりも15秒スポットのほうがいいわけで、30秒スポットのついたストリーミングビデオの視聴完了率(ビデオを最後まで視聴)は45%だが、15秒スポットのほうは54%となっている。

スポットの長さだけではない。ビデオコンテンツも視聴完了に関係している。キャリア、エンタテイメント、健康、スポーツ、ゲーム、自動車、ニュース・情報、旅行というカテゴリで見ると、ニュースのビデオクリップはもっとも人気の高いコンテンツだが、ビデオ視聴完了率はキャリアサイトが15秒であれ、30秒であれもっとも高い数字を残している。

また、ビデオを最後まで視聴する完了率もすべてのカテゴリで30秒スポットよりも15秒スポットもののほうが高くなっている。

次にCTRもカテゴリごとにばらついている。(左図)
ゲームの0.87%を筆頭にスポーツまでの7カテゴリが0.5%以上だが、旅行は0.12%、健康は0.06%と低い数字となっている。ニュース・情報やエンタテイメントサイトはもっとも視聴されるコンテンツだが、ゲーム、キャリア、自動車Webサイトのほうが高いCTRをたたき出している。これは情報コンテンツと、エンタテイメントコンテンツを比べると、情報コンテンツのほうが消費者はより広告を受け入れやすいと見られるからだ。例えば、消費者は自動車サイトで購入予定のサービスや製品を探しているわけだから、関連する広告を受け入れやすいとされる。

Source:Advertising.com / The State of Online Video (pdf)

特に18-34歳はメディア消費にオンラインストリーミングを取り入れつつある。中年以上は単純にニュースやスポーツクリップをオンラインで視聴するだけだが、若年層はTVエピソードをオンラインで視聴し、ビデオクリップを自作し、友人・知人に転送するセグメントだ。情報の発信と共有を行い、ブランド露出を拡大してくれるセグメントだ。

DVR普及が目の前に迫っている現状に加え、通常のオンライン広告の下がりつつあるCTRを考慮し、また消費者との密な関与や参加、そして対話を促すためにオンラインビデオを活用するのが得策だろう。ただし、TVの30秒CFをそのまま流すのがいいというわけではない。

2007/02/13

Measuring Consumer Generated Media

CGM (Consumer Generated Media) が個人の製品購入意思決定に与える影響をまとめ、その効果を定量化する最初のステップを提示するCompete.comの資料がIAB (Interactive Advertising Bureau) にあがっている。

消費者は10年前にはどんなマーケターも理解できなかった規模でブランドと相互作用し、マーケティングに参加している。CMOや広告代理店は人々への広告のインパクトを計測することから、広告に対する人々のインパクトへ重心を移行しつつある。新しいパラダイムの幕が開き、マーケターは自分達のマーケティングプログラムに対して、消費者が作り出すメディアのインパクトを計測するチャレンジに直面している。CGMの影響力を決定する簡単な方法はないが、CGMが個人の製品購入意思決定に与える影響を定量化する最初のステップがある、としている。

多くのブランド企業は、ブランド名引用数やYouTubeビデオへのビジター数をトラッキングしているが、それは業界や自身のブランドに対するCGMインパクトを理解するごく表面的なことでしかない。CGMインパクトを解く鍵は購入フェーズにある消費者の態度や行動だ。CGMインパクトの根幹や、それに影響を及ぼすマーケティングの可能性を推し測るには
  • 製品購入を検討している時、消費者はCGMを利用するのか
  • そのフェーズでCGMが持つ影響力は
  • CGMがその他メディアソースよりも影響力を持つのか、持たないのか
が重要な項目だとしている。

そこでCompeteは自動車と旅行・宿泊予約に関するCGMの影響を最近の調査数字を上げて実証していくのだが、いくつか拾ってみる。

四分の一近くの自動車・旅行サービス購入者は消費者レビューサイトが購入決定に影響し、12%はオンライン消費者のアドバイスが影響したと回答している。(左図)

CGMにより影響された購入者の半数は、CGMにより購入意思を変更し、最終購入品を決定したと回答。

CGMにより影響された71%はCGMは信用でき、73%はエキスパートを信用でき、企業を信用する35%を大きく上回っている。

そしてCGMの影響は購入だけに留まらない。CGMに影響されたという消費者の大半は、購入後に、その経験を友人達と共有したり、自分のBlogに書込んだり、消費者レビューサイトに評価を書き込んだりしている。(左図)

また、五分の一の自動車購入者は他の消費者オンラインのアドバイスに影響されている。それは自動車メーカーのWebサイトより、Autotrader、Edmunds、Carsdirect、Carsといった第三者機関的なWebサイトへのアクセスするユーザが多いことからも明らかだ。

毎月、5,000万人以上が旅行を計画したり、オンラインで目的地を調査し、500万人がオンラインで予約する旅行関連業界は米国で最大のE-Commerceを構成している。

CGMに影響された旅行者のうち三分の二は、それにインパクトがあったと回答している。それは予約あたり平均500㌦に値し、年間にすると20億㌦に達する。

左図にあるように消費者レビュー・評価サイトの影響は21.2%、消費者オンラインサイトのアドバイスが11.3%となっている。36%の影響を持っている友人・家族だが、彼ら自身が影響を受けるものの中には当然、オンラインの情報ソースがあるわけだから、数字に表れている以上にCGMインパクトは大きいということになる。

最後に、消費者がブランド対話に積極的に参加し、CGMの影響を測定することが一層複雑になってきている現状では、データ解析が非常に重要だとして、CGMの評価測定を行う際のアドバイスを3つをあげている。
  • In-marketの消費者を解析
  • 行動および質的なモニタリングプログラムを実施
  • 購入意思に対するCGMの影響力を計測
Source:IAB /Embracing Consumer Buzz Creates Measurement Challenges for Marketers

2007/02/12

Super Bowl Ad Effect

Super Bowlが終わったと思ったら先日のAkamaiではないが、即、様々なデータが各社から出ている。その中でReprise MediaのSearch Marketing Scorecardと、Hitwiseのデータを紹介する。

まずReprise MediaのデータはSuper BowlのTV広告主がどのように検索エンジンとマーケティングを統合しているか、ランディングページ構成はどうなっているか、あるいは全くオンラインを考慮していないのかなどをベースにスコアカード形式で検証したものだ。
  • ファンブル
    • ボール(広告効果)をファンブルしたと評価されたのは、Ford、Deritos、T-Mobile、Toshibaなどだ。
    • オンライン露出が無きに等しく、それにより生成されるトラフィックを全く無視している。
  • ヤードロス
    • 攻撃権を持っていたにもかかわらず前進できなかったのは、FedEx、GM、Sierra Mist、Chevroletなど。
    • オンライン露出はあったが、検索エンジンを使った統合マーケティングはされていない。
  • ファースト&ゴール
    • 最初に得点・ゴールをあげたが今一歩だとされたのは、Coke、Sprint、Nationwide Insurance、HPなど。
    • オンラインを統合したマーケティングを実施していたが、最大の効果を挙げるまでにはいたっていない。
  • タッチダウン
    • 大量点を上げて勝利したのは、SalesGenie.com、Snickers、GoDaddy.comなど。
    • TVCFは検索エンジンと統合され、ランディングページの付加価値コンテンツで最大効果をあげた。
この評価のベースとしているデータには次のものがある。
  • 58% 検索キーワードを購入、前年比16%増
  • 3/4  TVCFと検索広告を統合していない
  • 90% TVCFにURLを表示しているが、90%近くがトラフィックを誘導するための特定アクション表示はない
  • 1/4  [Super Bowl Ads]などのキーワードを購入
  • 70% ランディングページにはトラフィックを誘導したTVCFと関連するコンテンツがない
  • ランディングページ
    • 31% TVCFとの統合あり
    • 45% TVCFで特定アクション表示あり
    • 47% オンラインでTVCF提供
    • 45% 付加価値コンテンツ提供
    • 88% Web解析ソフト使用
    • 3%  特定ビジター用にページの最適化実施
TVCFを出し、検索キーワードを買っただけでは話は半分だ。ランディンページへのトラフィック、アクション、コンテンツ最適化までやっているのはまだまだ少数派だということになる。30秒260万㌦という高額の可視マーケティング予算に対して、一種不可視的なマーケティング予算はまだ追いついていないということだろうか。

Hitwiseのデータは、Super Bowl広告主のカスタムグループをつくり、試合前後のWebトラフィック増減を比較している。それによるとカスタムグループ全体のトラフィックは、その前の日曜日(1/28)に比べSuper Bowl当日(2/4)は5.2%増加している。しかし、前週月曜日(1/29)と試合翌日(2/5)を見ると4.6%増と若干伸びが落ちている。

Snickers、Budwiser、Bud Lightなどは大幅なトラフィック増を獲得したが、結局、ビールやスナック菓子サイトへアクセスする理由は、もう一度、Super BowlのTVCFを見ることだ。あるいはおまけの面白い広告や懸賞が目当てだ。ところが最近では普通のTVCFならYouTubeで、Super BowlのTVCFならYouTubeやCBS Sportslineなどで見ることができる。Super BowlのTVCFによりWebトラフィックが増加するのか、効果があるのかとHitwiseのLeeAnn Prescottは疑問を投げかけている。

Webベースビジネスの広告主はもっとも大きなトラフィック増加を期待する。今年の場合、GoDaddyとSalesgenie.comがそれぞれ75%、156%と大きな増加を記録している。しかし、CareerbuilderとE*Tradeの場合、求職者が殺到したり、投資家が取引を集中する試合翌日の月曜日は3%増加に留まっている。これは全体の4.6%増と比べても伸びが低い数字だ。Super Bowlの広告は7,000万人という巨大なマスマーケットへ露出できる反面、ターゲティングの面では効果が期待できない。ということで彼女はTVCFとオンライン広告に関するユーザの意見を募集している。
Source:Reprisemedia / Super Bowl Search Marketing Scorecard
Source:Hitwise / Super Bowl Advertising - A Way to Increase Web Traffic?

Reprise Mediaは積極的にXMM、TVCFと検索エンジンを統合したマーケティングを評価、査定している。が、一方、HitwiseはWebアクセス増加目的の妥当性、目的や業種によるTVCFの価値および効果、そしてマス露出とターゲティング露出のトレードオフに注目している。

両者のスタンスの違いといってしまえばそれまでだが、まずHiwiseの視点があり、Reprise Mediaの視点が来るのが妥当だろう。単純にXMMをすればいいというものでは決してない。XMMの期待できる効果をベースに最適解を求めてゆくがマーケターの本質だ。

2007/02/09

Super Bowl Resulting Web Traffic Surge

AkamaiがSuper Bowl広告主のWebサイトへのトラフィックデータを出してきた。Super BowlのTVCF出稿クライアントのうちAkamaiが管理する21社のWebトラフィックデータだ。
  • ゲーム前2~3週間の平均トラフィックは8万人@分
    • 1日で考えると21社合計で約1.2億人
  • ゲーム中の平均ビジターは16万人@分
    • 1日で考えると21社合計で約2.3億人
    • ゲーム時間を3時間とすると21社合計で約2,880万人
  • ハーフタイム直前(7:45p.m.)のピークは227,957人@分
    • このうち210,893人@分は米国からのアクセス
  • 最大のピークはゲーム終了15分後に記録した282,546人@分
  • 試合翌日の月曜日のトラフィックは、試合当日よりも多く、約30万人@分
  • Super BowlへのTVCFでWebサイトへのトラフィックを直接的に誘導していたケースはもっとも大きなトラフィック増加を獲得

Source:Akamai /Press Release
Source:Akamai / Net Usage Index : Advertising (Super Bowl終了後2週間有効)

Super BowlのTVCFという大きなメディア露出がWebトラフィックを通常の2倍にしたということだが、昨年2006年のデータを見るとトラフィックピークは4Qの782,679人@分となっている。しかし、ゲーム中の平均はどう見ても5万人@分程度だろうか。

対戦チーム、ゲーム内容や展開、TVCFが直接URLアクセスを誘導していたかどうか、またオンライン広告やその他媒体での露出によるURL認知などがどこまで行われていたかなど、不確定要素が沢山あり、今年との単純な比較はできない。

しかし、昨年のゲーム中5万人@分に比べれば、今年のゲーム中16万人@分、通常期の8万人@分というトラフィックは確実に増えている。これは少なくともクロスメディアミックス効果によるWebトラフィック増加が証明されているのではないだろうか。また、TVをつけながらインターネットアクセスを行うマルチタスクユーザが増加していることも見えている。今後、一層、クロスメディアミックスが実施されるだろうから、もはやシングルメディアで最適なユーザ訴求を行うことは難しくなってきている。

Source:Akamai / Net Usage Index : Advertising (Feb 2006)

2007/02/08

Deutschland Online 4

Deutsche Telekom AG、T-Com、Business Unit T-Onlineが「Deutschland Online : The Future of broadband Internet」という調査データを発表している。また、特別レポートとしてSocial Webも別途、用意されている。

各国のエキスパート115人、6,347人の消費者を対象に、トリプルプレイ、IPTV、Web 2.0、ブロードバンド、教育、そしてデジタルライフを取り上げている

それによるとドイツのブロードバンドは2010年に2,100万世帯、2015年に2,700万世帯に普及し、全世帯の70%に達するとされる。IPTVは2015年に700万人。SNSに関しては、ドイツは英・仏よりは開発が進んでいるが、米・日・韓・スウェーデンよりもかなり後れている。

Source:Deutschland Online 4 Study
参考:Digital Media Europe / Digital Lifestyle Design (DLD) 2007

まだまだ、貴重なデータが詰まった資料を公表しているの。いつもなら図表を示して紹介するところなのだが、巻末に

This work is copyrighted in its entirety. Any usage in violation of the narrow boundaries of copyright law without the prior approval of T-Com, Business Unit T-Online is prohibited and is punishable by law.
This applies especially to any copying, translation, microfilming or storage and processing in
electronic systems.

という注記があり、翻訳などは郵送で申し込まなければならない。

何のために独語資料を英語へ翻訳したのかとさえ思ってしまうし、いまどき、郵送ですか?と訊ねたくなる。また、このSocial Webレポートでは「情報を共有すること、そしてUGCおよびオンラインコミュニティが同程度の大きな意味をもっている」と書いているが、「All Rights Reserved」というスタンスはレポートが報告する、「今、必要なこと、意味を持つこと」を拒否しているように映る。

「All Rights Reserved」というスタンスでは情報コンテンツを消費してもらうことは期待できない。情報が世界へ拡散、波及することはない。ユーザが情報を消費し、それをコンポーネントとしてコンテンツを作成し、Web/Blogで発信することもない。コミュニティに提供されることもない。

「情報を共有してもらい、UGCとして発信し、消費してもらう」ことを目的とするならば「Creative Commons」という考え方を理解することが重要だ。

参考:Creative Commons vs. All Rights Reserved

2007/02/07

YouTube Users Watch Less TV

YouTubeでオンラインビデオを観ることにより、TVを見なくなったり、他のWebへアクセスしなくなったというデータがHarris Interactiveから出てきた。

まず、米成人の74%がオンラインビデオを視聴したことがあり、42%はYouTubeで観ている。TVやニュースWebサイトでビデオを視聴するよりもYouTubeでビデオを視聴するユーザが多いのだ。特に18~39歳までの層ではYouTubeがもっともユーザを惹き付けている。20代までのグループだけではなく、30代のユーザにも広く浸透していることがわかる。
次にYouTubeでビデオを視聴することで、あまりアクセスしなくなった、利用しなくなったものがあげられている。36%のYouTubeユーザは他Webサイトへのアクセスをあまりしなくなり、32%のユーザがあまりTVを視聴しなくなり、20%のユーザがEmail、Chat、Blogをしなくなったようだ。
既成メディアへの影響として、TV視聴が減っていることは重要だ。
Source:Harris Interactive / One-Third of Frequent YouTube Users are Watching Less TV to Watch Videos Online

Harris Interactiveは調査データの書き出しで、DVRの普及によりTV CFがスキップされる危険性をTVネットワークや広告主が恐れていたことに加え、最近、ワンストップのデジタルビデオ視聴ができるYouTubeから新たな脅威が生まれてきたと書いている。

YouTubeのユーザの32%はTVを犠牲にしてもオンラインビデオを視聴するわけだ。気に入ったビデオを自分のWeb/Blogに貼り付け、自作ビデオを投稿したり、他人のビデオにコメントしたり、評価したりするわけだ。この調査結果が出たからといって、すぐにTV広告が減るという話ではないが、マスメディアへの影響はこれからも大きくなるばかりだろう。

2007/02/06

Measure Blogging ROI

Forrester Researchが、企業Blogを開始するに当たってのリスクとリターンを計るロードマップやケーススタディを提供する新しい調査をリリースした。これは、「The ROI Of Blogging: The "Why" And "How" Of External Blog Accountability」 と、「Calculating The Roi Of Blogging: A Case Study, A Look At The ROI of General Motor's FastLane Blog」 の2つのレポートからなっている。

いずれもForresterのVP、主席アナリストのCharlene Liがまとめたものだ。最初のレポートのExecutive Summaryには、「多くの大企業がBlogを開始するか否かの瀬戸際に立っているが、飛び出すのをためらっている。一方、すでに開始している企業は、 ビジネスが向かうゴールに効果があることを示せずにいる」、「Blog価値を正確に測ることは難しいが、3つのステップを踏むことで、Blogのメリット、コ スト、リスクを正しく描くことができ、それによってビジネスの目的にどのようなインパクトを与えるかを理解できる」、結果として「Blogをすべきか、すべきではないのかといった質問への回答を得られ、あるいは既存Blogに関する正しい選択を行うことができる」と結んでいる。

MicropersuasionのRubelによれば、ForresterはRubelや、以前GMでFastlane Blogを立ち上げた同僚のMichael Wiley、そしてMS、Sun、BMC、Dell、HPなどFortune500の9社にもインタビューしたそうだ。Forresterのインタビューで企業Bloggingのメリットとしてもっとも頻繁に言及されたのは以下の点だったそうだ。
  • 既成メディアWebサイトでのより大きなブランドの可視性
  • クチコミ
  • 向上するブランド認識
  • 瞬時の消費者フィードバック
  • 販売効果増加
  • 企業カスタマーサービス主導のPR炎上
さて、Forresterは、万人が慣れ親しみ、メリットを価値として表わす方式を使うことをアドバイスしている。ひとつのアイディアとして大枠の提示を行っているのは、「企業Blogが獲得する効果を達成するために、企業はどれだけの広告、広報、その他の予算を費やさなければならないか」というものだ。例として、Forresterはクチコミマーケティング会社のサービスと、Blogとの比較ベンチマークを推奨している。

Forresterがインタビューした個人や企業がもっともあげたBlogのメリットは
  1. 増加するブランドの可視性
  2. 顧客からのフィードバック
  3. ネガティブCGC (Consumer Generated Content) からの影響減少
  4. 増加する販売効果
となっている。それをベースに外部向けBlogの影響を監視し、メリットを計るフレームワークを開発した。それが以下の図だ。

例としてGMのFastLane Blogを上げている。このBlogのゴールは製品情報を共有すること、そしてGMのリーダーと顧客間で対話を開始することだ。だから重要な指標は、顧客が何件コメントを書き込んだかということになる。FastLaneには毎月、100人がコメントしている。これは従来同様にフォーカスグループから製品に関する顧客の洞察を獲得していることと同じことになる。これを試算すると、毎月15,000㌦、一年で18万㌦を支出し、フォーカスグループを召集し、意見を求めているコストと同等ということになる。

Forresterによれば、GMはFastlane Blogの運営費として2005年に291,000㌦を支出し、578,000㌦、すなわち99%のリターンを獲得したことになるそうだ。

Source:Forrester Research / New ROI of blogging report
参考:Micropersuasion / Forrester Creates a Model to Measure Blogging ROI

このレポートをまとめたCharlene Liは、2006年3月にNewComm Forumにおいて彼女のBlogはForrester Researchの利益100万㌦に値すると発言したことがある。その後、どのようにBlogのROIを算出するかという質問の嵐に見舞われたようだ。

それを6月5日のポストで取り上げ、数量化の難しさを訴えていたが、10月2日のポストでROI算出のドラフトを提示し、Bloggerからのコメントを募集していた。その結果が、上のレポートに結実したわけだ。

彼女のBlogのFAQには、「Blogの標準的ROIはあるのか?」とか、「Blogはリスクがあるんじゃない?」とか、「CMO/CEO/CFOは決定的なBlog ROIを出さないとBlogを承認しない」とか沢山の項目が挙げられている。米国でもまだまだBlogに二の足を踏む企業が多いことを表わしている。しかし、彼女が掲げたフレームワークや、FAQに対する回答はひとつの参考になる。特にフレームワークを使った試算から始めてみるのはいかがだろうか?

2007/02/05

Trend of Online Marketing Tactics

昨年末にAd:TechとMarketingSherpaが行った「2006年、実施したどのマーケティング戦術に効果があり、2007年、どの戦術に集中し、予算を投下するか」という調査データがある。

Ad:Techに参加するアーリーアダプターを主とするマーケティング関係者だから、一般的なマーケター全体を現しているものではない。
しかし、2005年予算の47%を、2006年には49%へ増えているということ自体、オンラインの重要性が増していることが分かる。それにしても予算の40%以上をオンラインに投下していることに驚かされる。

まず2005年と2006年の予算振り分けを見ると、すでにオンライン広告に予算の大半を投下しているグループだから大きな変化は見られない。

ただ、効果が高かった戦術としてあげられている中で、2006年と2005年を比べると検索広告が3%ダウン、リッチメディア広告が10%ダウン、Pop-Up広告が7%ダウン、ニュースレター広告が3%ダウンしている。また、効果の得られなかった戦術としてあげられている中で、2006年と2005年を比べるとリスト借りEmailが4%アップ、Pop-Up広告が6%、ニュースレター広告が8%アップしている。それだけ期待した効果が得られなかったということだ。その中でバナー広告が効果がなかったというマーケターが39%から2006年には28%へ減っている。バナー広告効果が再認識されてきたのだろうか。

2006年に前年より5%以上の予算増を実施したマーケティング戦術で前年と比べられる項目の中で、マーケターの27%が実施した手持ちリストによるEmailマーケティングと、22%が実施した文脈・内容ターゲット広告だけが実施するマーケターが増えている。

検索広告を実施したマーケターが38%から4%減の34%、リッチメディアが28%から25%へ、行動ターゲティングが22%から18%へ落ちている。

手持ちリストEmailが大きく伸びる一方、リスト借りEmailが13%から10%へ落ちている。数ではなく少なくともリストのクオリティを自己査定できるほうを選択するということだ。

加えてどうやら、クリック詐欺などの影響が出ているのだろうか。検索広告からSEOへ、あるいはバナー広告を再認識したマーケターが多くなってきたということだろう。

最後に2007年のマーケティング計画だ。特に新しいマーケティング戦術を見ると、もっとも力を入れるのはBlog・Blogネットワークへの広告、SNS、RSSフィードへの広告、ビデオ広告となっている。

トップダウンマーケティングからグラスルーツ、あるいはボトムアップマーケティングへ移行する動きがある。企業あるいはCEO Blogからオープンコミュニケーションチャネルを開き、コメント・フィードバックを受け、それに対する迅速なレスポンスを返し、様々な流通、共有コンポーネントを配信して情報露出を拡散する新しい動きがある。

それに、サードパーティBlogやBlogネットワークへの広告をトリガーとして自社Blog露出とのシナジー効果を向上させようという狙いだろう。既成メディアサイトへのオンライン広告の比重が高いことは言うまでもないが、2007年は3rdパーティBlog・Blogネットワークへのオンライン広告を注目すべき年になる気がする。

Source:eMarketer / What Works, and What Doesn't, in Online Marketing
注:リンクは1~2週間のみ有効

2007/02/02

Online Exposure Gap Widening

少し古いが、日米欧各企業の2004年~2005年の2年間にわたる米国オンラインサイトへの広告impression数、推定広告費を出しているNielsen//NetRatingsのデータがある。Nielsen//NetRatingsは露出広告impressionを目的別に5つに分類している。Awarenessは認知向上目的、Drive TrafficはWebサイトへのトラフィック誘導目的、Drive Salesは販売目的、Positioningは製品コンセプト変更、No Strategyはそれ以外だ。
% of Awareness Impressionとは、全impression(以降、impと略)数に占めるAwareness (認知目的) の比率だ。(クリックで拡大)

一目瞭然とはこのことではないだろうか。
DellとSamsungaが頭抜けた露出impを投下し、他の日欧米企業は一桁少ない露出となっている。

Dellは2年間で1.9億㌦、505億impを露出し、認知目的は78億impで15.5%を占めている。日系ではSonyが87億impだがその大半は映画の告知広告だ。それを除くとToshibaが30億impを露出しており、欧米企業と肩を並べているが認知目的は少なく、その大半はLaptopの販売目的となっている。この2社を除いた大半の日系企業は2億imp弱、推定広告費100万~200万㌦圏内に入っている。

米国Webサイトでの話しだが、そのオンライン露出ギャップは驚くほど大きいし、2006年は一層拡大したのだろう。インターネットユーザが製品を購入する前には企業のWebサイトへアクセスし、製品情報を収集し、各種WebやBlogをあたり、業界やトピックに関するBlogも調べ、実際のショップなどで製品を確認している。オンライン露出が少ないということは、認知が低く、検索する際の想起にも浮かんでこないだろう。当然、企業Webサイトへアクセスするユーザは少なく、製品情報が消費されることは少ない。
また、オンライン露出が少ないということはBlogで取り上げられたりすることも少なく、情報を共有したり、再構築されて配信されることも少ない。

また、米国のトップWebサイトには世界中からのアクセスがある。DellやSamsungも当然、そういったトップサイトに広告を出しているから、米国のユーザに露出するだけではなく、世界中のユーザに広告が露出していることになる。(詳細は以下を参照)

参考:Global Online Marketing and Branding Available

露出ギャップは米国だけではなく、世界へ波及している。しかし、日本企業が広告、広報、その他の露出を総合したオンライン露出戦略を実行すれば、露出ギャップを解消するだけではなく、オンラインでグローバルにブランドを構築することができるわけだ。

EmailでGlobal Adの開始をアナウンスするHondaなど先進的企業がいる一方、まだまだ、大半の日本企業ではオンライン露出とその効果が理解されていないようだ。

2007/02/01

Click Fraud Record High 14.2%

Click Forensicsが、3,000社以上が参加するClick Fraud Networkのクリック詐欺に関する最新データをリリースした。


それによると、
  • 2006年のクリック詐欺率は14.2%
    • Q1 13.7%
    • Q2 14.1%
    • Q3 13.8%
    • Q4 19.2%

  • 2006年の高額キーワードに対するクリック詐欺率(2㌦以上のキーワード)
    • Q2 20.2%
    • Q3 20.9%
    • Q4 20.9%
となっている。

Q4の19.2%という被害率に驚かされる。そして、Q3からQ4は、年末に向けたショッピングシーズンだから、クリック詐欺は高額キーワードを獲得して売上につなげようとする広告主の懐を直撃しているのが良く分かる。

2006年12月のクリック詐欺のうち、米国以外からのものを国別に見ると、中国や韓国など常連が上位を占めているが、南ア、アラブ首長国連邦、バルバドスなどの新顔も見える。

Click Forensicsによると、2006年のクリック詐欺率は最大になったが、アフィリエートサイト経由のクリック詐欺率はその全体比率よりも大きいという。

Source:Click Forensics / Press Release (Jan 30, 2007)

Big Brand for Search」で取り上げたように、すでに検索広告から予算を引き上げる動きも始まっている。

クリック詐欺を何とかしてもらわないとオンライン広告の信頼性が損なわれてしまう。特に、検索広告に頼っている中小・零細企業にとっては死活問題だ。ロングテール神話が崩壊しかねない危機をはらんでいる。

参考:Big Brand for Search