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2010/07/07

Online TV Revenue

EIAAが6月10日にロンドンで、「Online Video Advertising Forum」を開催していた。いくつかプレゼン資料がアップされている中から、衛星・地上波TV局がこぞってオンライン化を促進し、積極的にマネタイズしようとしている現状と今後の売上予想をしているScreen Digestの「Emerging trends in Online video」を紹介する。

2009年、欧州におけるオンラインTV(番組)売上は前年比倍増している。中でもプリロールなどの広告付き番組ビデオが売上の大半を占めている。と言っても、最大の英国で1億ユーロを越えたばかりだ。スペインはまだ始まったばかりと言った状況だ。
そして、これからも行け行けどんどんかというとそうでもない。英国の視聴時間予想を見ると、2014年でも2010年の倍までは伸びそうにない。UGCビデオの伸びに頭を押さえつけられているかのようだ。と言っても、年間視聴時間が30億時間を越えるとUGCビデオも伸びは縮まってくる。そして、1時間番組当たりのスポット数を見ると大きくばらついている。米国のABCやCBSの倍近いスポットを入れているITV、Prosieben、Mediasetもあれば、TF1のように1本というところもある。これはスポット数を増やすと視聴者が減るのではないかと言う心配が頭をもたげてくるからだ。特にオンラインでは別タブ・ウィンドウへ移ることが簡単だし、第一、最初からマルチタブ・ウィンドウで視聴しているユーザもいるからだ。
最後に2014年での予想を立てている。欧米6カ国のいずれでもオンラインTV(番組)売上は3%以下とされている。通常TVスポット売上がどの国でもシェアが落ち、Pay TV Subscriptionがシェアを伸ばすと予想されている。
Source:EIAA / Online Video Advertising Forum - Screen Digest (pdf)

どうやらTV局にとってオンラインTV売上が救世主になるとも言えないようだ。

人口6,100万人の英国には4,700万人程度のインターネットユーザがいる。現行76%程度の普及率は2014年までに伸びたとしても80%程度までだろう。4,800万人強のユーザが32億時間オンラインTV(番組)を見ると、1日当たり約11分となる。それで3%以下の売上だとすると高が知れている。

これが1日当たり1時間になり、15%強の売上になったとしても、通常TVスポットが喰われるだけだろう。同じパイの喰い合いになるだけだ。UGCビデオをなんとか取り込むことでしかパイを大きくすることはできそうにない。

日本ではNHKなどもこぞってオンデマンド番組供給に舵を切っているが、将来予想はどこまで、どのようにしているのだろう?ま、NHKはよしとしても民放各局はちょっと心配。

2010/06/21

Japanese Brand Endangered

先週金曜日、Ascii総合研究所とWDEのセミナー「企業Twitterは誰が使うべきか」において、「欧米企業のソーシャルメディア化がもたらす日本ブランドの危機」というテーマで話をさせてもらいました。

2006年10月、ANA総会において「パワーは消費者が握っている。彼らは考えられる全ての意味で我々のブランドを所有し、ブランドコンテンツ制作にも参加し始めている」と語たり、企業が支配してきたマスメディアにソーシャルメディアが追いつき、追い越すさまを理解したCEOがいるP&Gにしても、2009年3月に「デジタルビジネス戦略チーム」が、マーケティング役員向けにクラッシュコースを開催している。トップがパラダイムシフトを理解していたとしても、実際にマーケティングを実行する事業部トップを揺り動かし、マインドセットを切り替えさせるのは容易ではない。トップ企業であっても3年もかかっているし、また、それをマインドセットが切り替えられない担当事業部、部署が主催することも非常に困難なのだ。

それはそうだろう。今まで巨額の広報・広告・マーケティング予算を握ってきた既存組織が、訳の分からないとしか理解できないオンライン、それも「オープンだとか、対等だとか、エンゲージメントだとか」といったバズワードを口に出し、ブームに浮かれているとしか見えない社内の人間、社外のエージェンシーの声に耳を傾けると言うことは自分の存在を危うくすることになる。予算を別組織、別キャンペーンに横取りされてしまうことになる。組織内での自分の存在や声、知見が役に立たなくなるような新しいことを社内に啓発することはあり得ない。

だから、P&Gは「デジタルビジネス戦略チーム」 がクラッシュコースを開催したし、FordのScott Monty、PepsiのBonin Boughは外部のエージェンシーからヘッドハントされてパラダイムシフト、IMCのイニシアティブをとっている。それこそマスメディア・エージェンシーに取りつかれ、アゴアシ接待を受けているような社内組織のドンの首を挿げ替えなければ将来はないのだ。それさえも理解していない企業・ブランドは多い。

さて、6月12日にVolkswagen InternationalはFacebookにファンページを開設した。これは2011 Polo GTIキャンペーンの核を成すもので唯一のものだ。すなわち、Facebookファンページだけで2011年モデルのキャンペーンをやるそうだ。そして、このファンページの言語は英語だ。Volkswagenのブランド体験を全世界のユーザと共有するため、「公式言語は英語」だと宣言している。

Volkswagenがどこまでパラダイムシフトを理解しているかは不明だ。しかし、少なくとも他マスメディアを使わずにFacebook一本に絞ってPolo GTIキャンペーンをやろうとしているのはGAPのケースから学習している。Vitamin Waterからも学習している。今、どこに顧客が集い、ブランド体験、情報・コンテンツを消費、共有、再拡散してくれているかは理解している。そして、Starbucks、Adidasの戦略も加味してFacebookをブランドポータルとして全世界のユーザに英語でコミュニケーション、エンゲージしようとしている。ここからも学習している。

一方、パラダイムシフトを理解しない日本のグローバル企業・ブランドが、従来通りの縦割りサイロ組織から苔むしたメガフォンマーケティングをソーシャルメディア化しても、ツール主導のマーケティングを行ったとしても、パラダイムシフトを把握し、オープン、対等、双方向のコミュニケーション、エンゲージメントを行い始めた欧米企業との間に広がり、深まり、離れてゆくブランド体験ギャップは埋めようもない。

製品・サービスの購買者があれこれとつぶやき、称賛し、苦情を言いたてている今、彼らに刺さらないマーケティングをやるしかない日本企業・ブランドと、プロファイル・アップデート・ビデオコミュニケーション・つぶやき・個人検索・RSSフィード・自動タグ機能などFacebook、MySpace、Twitterが備える機能を取り込んだ企業内コラボレーションプラットフォーム、Cisco Quadのベータテストを今秋にも開始するCiscoとの差は途方もない。

社内の縦割りサイロ組織を越えるコラボレーションと、70を数える部署横断のチーム制、それこそ営業リーダーが開発チームを率いるCiscoが、そのプラットフォームをシステム化して販売しようとしている。それを導入してくる企業・ブランドが否応もなく、瓦解する縦割り組織から解き放たれてオープン、対等、双方向のコラボレーション、コミュニケーションを行い、顧客・ユーザとエンゲージする時、もし、日本のグローバル企業・ブランドが今まで通りのコミュニケーションを続けるとすると、そのブランド価値は奈落の底に転落するしか道はない。

可能性を見出すとするとそれはマインドセットを転換させ、パラダイムシフトを理解させるクラッシュコース開催だろう。あるいは、Webビジター調査を導入し、SiemensやPhilipsのように全世界40カ国、あるいは32カ国の自社Webサイトへアクセスするユーザにコンテンツを評価してもらうとともに、どんな情報・コンテンツを希望するのか、どんなフォーマット、チャネルで発信し、どういったスペースでどのようなエンゲージメント体制を敷けばいいのか聞くことだ。また、バズモニタリングを行い、何が語られ、何が共有され、何が批判されているのかを知ることだ。といって、数の話でも、グラフの話でも、限界線を越えたらアラートを発信するといった話ではない。バズのコンテンツ、影響する範囲・会話への参加者・参加度・可能性などからその価値を判断し、ブランドへの影響を想像することだ。

クラッシュコース開催、Webビジター調査、バズモニタリングなしに、通常マーケティング手法をソーシャルメディア化したところで、Cisco Quadが提供するコラボレーション、それが否応なく開くパラダイムシフトを想像できない限り、日本ブランドに将来はない。

と、考えるが、みなさんはどうでしょう?
ご意見をお待ちします。

2010/06/03

Samsung 3D TV Promotion

4月20日付のGuardianによると、SamsungはUKだけで800万ポンドの広告費を投下して3DTVのプロモーションをやるようだ。4月27日から発売される3D TVに合わせてTV、プリント、OOH、オンライン広告が3か月間予定されている。

Sony BarviaのPaintや、Play-Dohを仕掛けたMikah Martin-CruzがSamsungに移って、マーケティングディレクターとして腕をふるったようだ。

Source:Guardian / Samsung to launch £8m 3D TV ad campaign

そして、4月30日、筆者が購読しているElectronic HouseというサイトのニュースレターにSamsungがバナーを出稿していた。広告をクリックすると350㌦相当の3Dスターターキットを無料でどうぞというSamsungのサイトへ飛ばされる。
Source:ElectronicHouse

また、5月20日には、オランダで歴史的建築物をスクリーンに見立てて3Dプロジェクターの映写会が開かれた。

この映写会へのトリガーのひとつとして、Foursquareで3Dイベント告知および誘引を行っていた。
もちろん、新しいTwitterアカウントもある。
Source:Foursquare / Samsung 3D event
Source:Twitter / Samsung3Devent

当然、日本のグローバル企業・ブランドも3D TV用プロモーションを行っている(はずだ?)が、どうも旗色が悪いようだ。

言えることは、
  1. 英国Samsungの3D TV露出は英国だけではなく、欧州に限らず全世界にも波及する。当然、米国Samsungの露出も同様。
  2. 広告費以上の効果、共有、再露出がソーシャルメディアスペースで生成される。
  3. レガシー、オンラインだけではなく可能な限りのタッチポイントを利用することで訴求を最大化している。
ということだ。そして、これらマーケティングを理解する役職者がいることだ。

ここが一番大きく、深く、長いギャップとして日本のグローバル企業・ブランドとの間に存在している。多分、ソーシャルメディアスペースから一番遠い存在である役職者の理解なくして、ソーシャルメディアマーケティングは実行できない。そのため、既存予算の一部を抜き出して実験的、トライアル的にやるしかなく、専属組織、人員、予算、外部支援エージェンシーのいない中では期待する結果を得ることは不可能に近い。

役職者にクラッシュコースを提供したP&Gのデジタルビジネス戦略チームのLucas Watsonは、
「P&Gのマーケティング役員に今まで学んだことがないようなやり方でデジタルメディアを学ぶ経験をしてもらい、彼らを鼓舞し、 デジタルメディアに曝したかった」
と語っている。

参考:P&G Digital Hack Night (2009/03/25)

既存の、従来通りの広報、広告、マーケティング、ブランディングだけではだめ。また、それをいか様に拡張したところで、アドホックなグループを作ったところで、ソーシャルメディアスペースには訴求しないことを理解してもらうためには、クラッシュコースを開催するしか道は残っていないのでは...?

2010/05/24

Walk on Water, 3D?

たまには気休めのビデオでも見たい気分だ。

ということでYouTubeに「Walk on Water」というビデオが上っていた。


Source:YouTube / Walk on Water

こんな馬鹿げたビデオでも3Dで撮ったらどうなるんだろうと考えてしまう。

下のグラフはモニター、PC、携帯なども含めた3Dディスプレイ全体の市場規模予想だが、DisplaySearchによれば、2009年に20万台の3D TVが2018年には6,400万台、170億㌦の規模になるとの予測が出ている。



Source:DisplaySearch / 3d revenues forecast

これほど期待される3DTVだが、SonyのEVPでConsumer product devices groupのPresident、Hiroshi Yoshioka氏は、
Poorly executed 3D is harmful, and it threatens its long-term success
と、べガスで開催されたNABコンベンションの基調講演で語っている。

ま、これは多分に、低い3Dクオリティを指摘されているワーナーブラザーズの「Clash of the Titans(タイタンの戦い)」が念頭にあるようだが、普段、我々人間が裸眼で見ている3D映像そのままのように、自然で素晴らしい3Dコンテンツが提供できるかどうかが3D TV普及の鍵になるということだ。

Source:The Hollywood Reporter / Sony exec : Poorly executed 3D threatens biz

ということで、一番の上のビデオを3D化してもあまり意味はなさそうだ。バイラルビデオを除けば。

2010/05/20

Look at yourself from head to toe after this

次のビデオを見ていただきたい。


日本には乙武さんがおられ、出版直後に「五体不満足」をむさぼるようにして読んだ記憶がある。

Source:Wikipedia / 乙武洋匡
Source:乙武洋匡公式サイト

このように心を揺さぶるビデオや、心が暖まったり、あっと息を飲むビデオ、思わず見入ってしまうビデオ、そして、講演者のメッセージを深く考えさせられるビデオがある。

参考:Free Hug Campaign : Global Viral Effect (Online Ad 2006/12/05)
参考:Amazing Ball Girl (Online Ad 2008/06/30)
参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)
参考:Anything Possible / Last Lecture by Randy Pausch (Online Ad 2008/07/30)

今更ながらビデオの力に脱帽するだけだ。

さて、日本のグローバル企業の中には世界中でCSRを実施しているケースが少なくない。各国の自治体、NGOと連携して多様な活動を実施している中から、年に2回でも、3回でもいい。ユーザの参加やコンテンツの共有を呼び掛けるビデオはできないのだろうか。

あるいはFlipがやっているキャンペーンをグローバルに共同で展開することもできなくはないはずだ。

参考:Online Video for NGO (Online Ad 2010/03/01)

価値を提供できて初めて情報・コンテンツは消費、共有、再露出してもらえるのだから。

2010/05/19

Viral Video from Newspaper Publishers

UKのThe Independent、The Sunがバイラルビデオを流している。
The Sunは昨年の11月、The Independentは今年の4月だ。





The Sunのビデオは、Engadget、Huffington Post、Gizmodo、Boing Boing、Technoratiなどが取上げ、11月30日にはDiggのフロントページにも取上げられた。今年4月時点で合計25万回以上のビデオ視聴、RT1,858回、Twitter上におけるCTRは5.2%、コメント154件、お気に入り1,098件という結果だ。期待、希望以上の結果をうけてThe Sunは、60秒のTVCFとして英国で放送したそうだ。

Source:Unruly Media / The Sun - Best Handheld for 40 Years

ま、それを目の当たりにしたIndependentが二匹目のドジョウをねらったという形だ。

新聞社、新聞そのもの、新聞社が新しく開発したサービス、サイトに価値がないわけではない。しかし、どの新聞社も一般事業会社と同じマインドセットなので、それらを旧態依然のコミュニケーションチャネルを通して広報、広告、マーケティングしているだけのように見受けられる。

そのコミュニケーションチャネルは数十年、いや百年以上をかけて築きあげてきたもので今までは効果が実証されてきたかもしれない。しかし、今は違う。情報・コンテンツの送信元が限られていたわが世の春といった時代ではない。この時代にそれを理解しないマーケティングをしても効果は薄い。

The Sunのキャンペーン詳細は上のソースに任せるが、この新しい読者獲得キャンペーンは新聞社に限らず、一般事業会社、企業・ブランドにとって何らかの参考にはなると思うが、どうだろう?

2010/04/21

Viral Video from Cisco

「The Future of Shopping」というビデオがある。YouTubeだけで視聴160万回を越え、Viral Video Chartによれば234のBlogが記事を書き、138件のコメントがあり、2,600のFacebook Shareをたたき出している。

ブティックで店員さんを横に、前後、左右、上下に右手を振りまわしている女性を見ると、ちょっと大丈夫かと思うが、少しすると合点が行く。鏡のようなディスプレイに向かい、バーチャルに服を試着したり、色違いを試したりした後、非接触カードで支払を済ませるまでを描いているビデオだ。


Source:YouTube / The Future of Shopping
Source:ViralVideoChart / The Future of Shopping

このビデオはBtoB OnlineがInteractive Marketing Guide 2010の中で、優秀バイラルビデオの最終候補としてHPとCiscoを選出しているが、そのCiscoのビデオだ。他にも「The Future of Healthcare」、「The Future of Education」があり、3本まとめて選出されている。

Source:BtoB Online / Interactive Marketing Guide 2010 (pdf)

Ciscoのバイラルビデオは、いずれも医療、教育、お買い物といった一般消費者の身近にある近い将来を描き出し、そのバックボーンを支えるCiscoのCatalystスイッチ、TrustSecセキュリティソリューション、G2ルーターを紹介するボーダレスネットワークのプレゼンへトラフィックを誘引している。

Ciscoによればビデオから6,000人がプレゼンへ誘引されたそうだ。SamsungのExtreme Sheep LED Artならいざ知らず、B2Bの総本山的なCiscoのバイラルビデオからIT・ネットワーク系の決定権者6,000人が誘引されたとすると大変な数字だ。

参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)

なぜ、「IT・ネットワーク系の決定権者6,000人が」と書いたかと言うと、簡単にプレゼンを見せてくれるわけではないのだ。氏名から始まり、所属部門、職位、業界、予算規模、世界の従業員数、職務詳細などを入力した後でなければプレゼンは見られないのだ。そこまで情報を入力してもプレゼンを見ようとする決定権者なのだ。

さて、3つのバイラルビデオを合計して約165万回の視聴、6,000回のアクセスからすると直接的CTRは0.36%ということになる。間接的にはFacebookユーザの平均友人数は130人なので2,600のFacebook ShareがあったことからするとFacebookだけで約34万人にビデオが露出した可能性があるし、234のBlogが記事を書いた露出も加えねばならない。BtoB Onlineのようなメディア系での露出もある。

従来からのB2Bマーケティングをやっている限り、こういった新しい試みは試されることもなく、先進企業・ブランドの後塵を拝するだけだ。この新しい試みとはバイラルマーケティングということではない。ターゲットにより近いスペースにタッチポイントを設置し、コンテンツやリンク、引用の共有や拡散を図り、ターゲットに自発的に独自コンテンツを作成してもらうことだ。その独自コンテンツをターゲットの個人的コネクション、リレーションズ、ネットワークで共有してもらうことだ。

B2Bというと対面営業・プレゼン、展示会、電話・Email、DMといったところがマーケティング上位を占め、ソーシャルメディアマーケティングの取り組みはまだまだ遅れている。そして、B2BやB2Cといった分類ではなく、広報、広告、総務、人事、CSR、環境・グリーン、顧客対応・サービスといった企業そのものの各部署の取り組みも遅れている。

デジタル化しただけではターゲットに届かないのだから、CSRレポートをpdf化してWebにアップしてもターゲットに近いスペースに置いたことにはならない。プレス・ニュースリリースをデジタル化し、共有ボタンや画像・動画を張り付けただけではソーシャルメディア化したことにはならない。コンテンツを消費してくれるターゲットが行動する範囲にそれは存在していないのだから。そして、以前からの広報や広告のように、リリースを発信したり、出稿したら手を出さなくてもいいのものではなく、出した後の方が手間暇をかけてメンテナンスをしっかりとやっていかなければならないものなのだから。

2010/03/01

Online Video for NGO

Scott Harrisonが31歳の時、誕生日に集まってくれる友人に誕生日プレゼントの代わりに20㌦を寄付してもらったときから活動が本格化した「charity: water」というNGOがある。その時、700人が20㌦を寄付し、そのお金はウガンダの難民キャンプにおいて6本の井戸掘りに使われた。

その後、賛同者も増え、オフィスを構え、展示会、Web開設、TVCFなどを駆使し、啓蒙を行って世界で安全、清潔な飲料水を必要とする10億を越える人々に様々な貢献を始めたわけだ。

学校・教会での募金も始まり、展示スペースを提供するブランドショップも現れ、Facebook、YouTube、Google、Twitter、TV、雑誌、新聞などでも「charity: water」の活動が取り上げられた。

彼の32歳の誕生日には誕生日パーティーに参加する人、そしてネットで32㌦の募金を呼び掛けたところ世界中から15万㌦が集まった。そのお金はケニアの病院、学校に清潔な飲料水を提供するために使われた。そして33歳の時、世界中から寄せられた募金は100万㌦近くにまで達した。そのお金はエチオピアで5万人に飲料水を提供するために使われた。

団体が活動を始めてから3年間で約1,000万㌦の募金を集め、合計15カ国721,000人に清潔な飲料水を提供している。

そんな活動を伝えるビデオがある。


Source:BivingsReport / Charity Water: A Great Use of Online Video
Source:CharityWater.org

これほどの成果を上げているNGOでなくとも、彼らの活動を伝え、現状とニーズを啓蒙し、活動への参加・支援を求めるビデオの威力は計り知れない。上のビデオのように4分を越える長尺であれ、30秒、60秒のスポット的な活動紹介、現地レポート、支援の輪の広がりを紹介したり、イベント告知などを行うビデオは、視聴者を「Involve」させる力がある。

企業・ブランドが行うマーケティング同様に、言葉や活動の結果だけではなく、参加させる力を与えるコンテンツを提供することが最も重要だ。
参考:Involve me and I'll understand (Online Ad 2009/11/12)

Webサイトだけではなく、Facebook、MySpace、YouTube、Vimeo、Twitter、Blog、Forumなどのソーシャルメディアスペースで共有され、消費されるビデオ、コンテンツによって、心の底から突き動かされる衝動を与えてこそ、NGO活動の本質のひとつでもある啓蒙ということになるし、活動への参加や支援を募ることもできる。

一方、企業・ブランド側からすると、衝撃を与え、参加を呼び掛けるビデオカメラをNGOに提供する取り組みは、ブランド露出、認知、好感度アップができ、販促にもつながると期待できる。だから、Flipは、Clinton元大統領が主催する「Clinton Global Initiative (CGI)」と提携し、Flipを100万台まで提供する「Spotlight」プログラムを行っている。

参考:Samsung and Flip (Online Ad 2009/07/10)

Flipを買収したCISCOがこのプログラムをグローバルに展開しているとは見られないだけに、こういった取り組みを日本のグローバル企業が二番煎じで行っても構わないはずだ。

そして、NGOも支援を要請する企業・ブランドとwin-winの関係を構築できる提案をするべきでは...?

2009/12/17

Amateur Video Power

Mashableの「The 10 Most Innovative Viral Video Ads of 2009」にSamsungの「YouTube HD Camera Trick Challenge」がピックアップされている。

Source:Mashable / The 10 Most Innovative Viral Video Ads of 2009

SamsungのHDカメラを使って室内を撮影している時、手に持ったカメラはないにも関わらず撮影が続けられる。そのトリックは...?


さて、このトリックは何かと言うと...


「なーんだ」、「やっぱり」、あるいは「ほらね」という結果だが、ここまで引きずったSamsungの勝ちだろう。

このビデオは、ViralVideoChartによれば4月14日に発見され、今までに117万回視聴されている。273のblogが記事を書き、コメントは2,111を記録している。(12月16日時点)

Source:ViralVideoChart / HD Camera Trick Challenge

3月にアップされ今までに1,100万回以上視聴された、Extreme Sheep LED Artもあり、Samsungはバイラルビデオをうまく使っている。

参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)

こんなバイラルビデオ上手のSamsungの上を行きそうなのが、日本の5歳の男の子がウクレレを奏でるビデオだ。


Source:YouTube / I'm Yours (ukulele)

このビデオはすでに492万回視聴され、921のBlogが取上げ、21,161件のコメント、6,890件のTweetsがある。(12月16日時点)

こんなビデオが多くのYouTubeユーザに支持されているのを見ると、膨大な予算をかけてプロが制作したビデオがかすんでしまう。

アマチュアのビデオパワーは、企業・ブランドのパワーをはるかに超えている。ユーザが思わず手をたたきたくなる、感情移入したくなる、われ知らず顔がほころび、声に出したくなる、コメントを書きたくなり、友人・知人にemailやTwitterで知らせたくなる、そんなパワーをもったビデオがアマチュアに作れるのだ。たった3カ月間だけ、NHKテレビのウクレレ教室でウクレレを覚えた5歳の子供が世界のユーザを揺り動かしている。この制作費タダに近いビデオが世界を駆け巡っている。

企業・ブランドが巨費を投じて制作する各種コンテンツをはるかに超えるエンゲージメントを獲得するアマチュアビデオは、今までのマーケティング、パブリックリレーションズ、広告などの法則、方式、基本、前提などすべてをひっくり返している。与えるものと、与えられるものといった固定観念や原則をひっくり返し、新しい観念、考え方を要求している。

そして、アマチュアビデオは今までの固定観念を払しょくするだけではなく、企業・ブランドに牙をむくこともある。United航空がかみつかれたように。

Source:ViralVideoChart / I'm Yours (ukulele)
参考:Bad Reputation Fly High (Online Ad 2009/07/29)

2009/11/30

Social Media in Inc. 500

マサチューセッツ大学ダートマス校のマーケティングリサーチセンターからInc.500に選出された急成長の未上場企業のソーシャルメディア対応に関するデータが出ている。

まず、どれくらいソーシャルメディアを知っているかと訊いている。SNSが75%、Blogが67%、そして今年から調査が開始されたTwitterが62%だ。掲示板とオンラインビデオの比率が下がっているだけで、その他は全て2007、2008、そして2009年と認知が上ってきている。
次にどのソーシャルメディアを実際に活用しているかを訊いている。SNSがトップの80%、Twitterが二位で52%、そしてBlogが45%だ。掲示板、オンラインビデオ、Wikis、Podcastの活用率が下がってきている。
そして、今使っていないとしたら、これから使おうと考えているのは、Blogがトップで44%、オンラインビデオが36%、掲示板が32%、TwitterはPodcastと同じで27%となっている。
そして、使っているソーシャルメディアがうまくいっているかどうかを訊いている。WikisからTwitterまで80%以上がうまくいっていると答えている。評価が落ちたのはオンラインビデオだけだ。
ただし、これらソーシャルメディアがビジネスやマーケティング戦略に関してどれくらい重要かという判断になると、まだ不明だったり、それほど、ほとんど重要ではないと答えている企業もいる。
しかし、非常に重要、あるいはそこそこ重要だと判断している企業が多いことは間違いがない。
最後に、「ソーシャルメディアで企業名、あるいはブランドをモニタリングしてますか?」もっとも重要な質問をしている。
Inc. 500に選出される企業の68%が「モニタリングしている」と答えている。2007年に50%だったものが68%にまで伸びている。
Source:UMASSD / Social Media in the 2009 Inc.500 (pdf)

どのように「モニタリング」しているのか、その中身は分からないが、少なくとも68%の企業はソーシャルメディアで自社・ブランドがどのように語られているのか「聞き耳」を立てている。

マスメディアキャンペーン後にフォーカスグループからある意味でコントロールされたフィードバックをもらうより、企業・ブランドコンテンツそのものがどのように味付けされ、焼かれたのか、煮られたのか、蒸されたのか、あるいはどんなソーシャルコネクションをたどってそこへ行きついたのかを知る方がよっぽどましだ。そのためには、「聞き耳」戦略しか使いようがない。

Inc.500に選出された未上場企業だからフリーツール・サービスを使っているのが大半だろうが、一部は有料ツール・サービスを使い、深堀しているのだろう。それは自社の潜在顧客、アドボケーター、インフルエンサーを知るというもっとも基本的なマーケティングを行っているだけだ。だが、この「聞き耳」は、予算をかけたレガシーマスメディアキャンペーン効果に匹敵する。

2009/10/07

Korea: 100 Sparkles

先日、YouTubeをうろついていたら、右下の広告があり、クリックするとKorea: 100 Sparklesというチャネルへ飛ばされた。
Korea: 100 Sparklesチャネル
Source:YouTube / Korea: 100 Sparkles

これはVisit Koreaキャンペーンの一部のようで、観光名所でも面白出来事でも、韓国に関係したビデオあるいは写真を10月11日までにアップし、12日から20日までは投票、30日に優勝者発表という「観光客誘致」キャンペーンとなっている。

英語、日本語、中国語(繁体字)のビデオアップロード用にグループがあり、それぞれ59人、8人、13人がメンバーになっている。それにしても、最大の参加国として見込んでいた日本からの参加が期待を大きく裏切っている(ようだ)。なお、簡体字は、http://www.korea100sparkles.com/cnへ飛ばされるがうまくビデオアップロードへは行けない(ようだ)。

コンテストは9月8日から開始されているので、それ以前からレガシーマスメディア、旅行業界誌・サイト、トラベルサイト、その他で広告、PRなどのマーケティングが行われてきたはずだ。が、YouTubeの各グループに参加しているメンバーの数を見るとちょっとどころではないくらい物足りない。
  1. それはソーシャルメディアスペースを有効に活用していないからだ。

    Facebook、Flickrにはプレゼンスがなく、557人のフォロワーを持つTwitterアカウントはあるが、8月19日に「Korea: 100 Sparkles」の告知が1本あるだけ。いまどき、1本のコミュニケーションチャネルで全てのターゲットに露出されるわけもない。マルチタスクのマルチチャネルユーザを前提とすべき視点が抜け落ちている。

  2. それはサイロ型の縦割り組織の弊害があるからだ。

    多分、担当が違うのだろう。広告担当とPR担当の間で調整されていないので、Twitterメッセージにティーザーもじらしもなく、ステップごとのトリガーにもなっていない。公式Webサイト、YouTube、Twitterの間に統合マーケティングが見られない。

  3. それはまだまだ一方的なメッセージ配信だからだ。

    Twitterのメッセージに「@xxx」、「RT」といったものが見られない。韓国観光公社の公式Webサイトのメッセージを配信するTwitterアカウントとして存在し、フォロワーとの会話、会話の起爆剤や会話から次の会話を引き出すフォームにはなっていないからだ。
さて、Visit Japanに関して何度か書いた。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)
参考:Proposal to Visit Japan -2 (Online Ad 2009/08/12)
参考:Visit Japan 2009 -5 -4 -3 -2 -1 (Online Ad 2009/06/26-06/23)

今回のKorea: 100 Sparkles、Visit KoreaキャンペーンはYouTubeを使い、観光客の目線で韓国を捉えたビデオや写真を募り、そのコンテンツを起爆剤として韓国訪問観光客を増やそうと企画されたはずだ。まだ手探りでトライアル的なソーシャルメディアスペース(SMS)活用だが、少なくとも、SMSユーザの存在を意識し、対象としたキャンペーンを企画し、オンライン広告・Twitter・YouTubeをからめたキャンペーンを実施している。この経験、実績、評価が次につながることは間違いない。

それを考えると、Visit JapanがKuroshio Seaを有効に活用できなかったり、YouTubeにあるVisit JapanチャネルのUIがアップデートされていないことと比べると、Visit Koreaに軍配を上げたくなる。

2009/10/05

Domino Pizza Lesson -2

以前、Domino Pizza Lessonを書いた。以下のビデオにあるように客に出すピザに唾を吐きかけたり、鼻の穴に突っ込んだチーズをピザにトッピングしていたわけだ。

参考:Domino Pizza Lesson (Online Ad 2009/05/7)

この事件をケーススタディとしてMarketingProfsが取上げていたので、紹介する。

まず、Domino Pizzaが執った対策は
  1. 犯人を捜し出して訴える
    全米のチェーン店へ通知し、ビデオに出ている男女2人を特定。チェーンオーナーに解雇を要請。保健所および警察に犯人を通報。
  2. YouTubeからビデオを削除する
    著作権者の要請が必要なため、犯人のうち女性の署名を警察署でもらいYouTubeにビデオ削除を要請。
  3. 顧客に対応する
    プレスリリースを出したり、ニュースカンファレンスを開くのはビデオ視聴を増やすだけで逆効果と判断し、会社への問合せは個別対応とした。しかし、結局、バズはTwitterで広がり始めたため、DominoはWebサイトに事件を公表、Twitterエントリをサイトへ誘引した。直後、YouTubeでのビデオ視聴回数は50万回へ到達した。
  4. バイラルビデオを消火する
    ビデオが投稿されてから3日後、Dominoは社長のPatrick Doyleが事件の顛末を説明するビデオをアップした。TwitterおよびFacebookページにはビデオへのリンクを装備した。
その結果
  1. Dominoからのビデオ投稿3時間後、オリジナルビデオの視聴は100万回を突破。当日、「Domino's」が「Paris Hilton」を検索キーワードで上回る。
  2. Dominoからのビデオ投稿後、米国メインストリームメディアが報道。その後、BBC、中国国営TV、オーストラリアやペルーなどDominoが出店していない国々でも報道された。Dominoによれば合計6,000万のメディアインプレッションとなった。
  3. 月曜日にオリジナルビデオを視聴した10万人は「Dominoのひどい奴らを見ろよ」と感じ、「Dominoは(これに対して)何か対策をしているのか?」へ変わり、Dominoからのビデオがアップされた後は「YouTube世界でどうやれば企業が自分を守れるのか」へ変化した。
この後、MarketingProfsは、Lessons Learnedとして
  1. Line up your ducks ahead of time
  2. Do what you can to curb the propagation
  3. Be honest and state your case
  4. Continue with 'business as ususal'
を挙げている。

Source:MarketingProfs / Case Study: How Domino's Managed a Viral Video Nightmare (要有料登録)

このようなケース、事件はこれからも起きる。その際、Dominoが行った危機対策・管理の前提として何があったのか考えてはいかがだろう。

それは;
  1. オリジナルのビデオが投稿された後、その他のビデオ共有サイトへもコピーがアップされ、The Consumeristでも取上げられたため、ビデオ投稿後数時間でDominoはビデオを知ることになった。ということは、モニタリングしていたということだ。
  2. Twitterで火の手が上がっていることを察知し、Webで公表し、誘引したということは、Twitterのリンク拡散力を理解していたということだ。
  3. その後もプレスリリースを流したり、ニュースカンファレンスを開かず、YouTubeに社長ビデオをアップしたということは、「真実を伝える顧客」はYouTube、すなわち、ソーシャルメディアスペースにいることを理解していたということだ。
そして、次を最後に付け加えなければならない。
  1. このソーシャルメディア時代に、自国対策だけでは不足・不十分
    米国内のビデオ共有サイトは対処できたかもしれないが、DailyMotionなど海外サイトまでは目が届いていない。(削除要請が受け入れられなかったのかもしれないが)
  2. このソーシャルメディア時代に、ブランド関連コンテンツを管理、コントロールすることは不可能
    この理解がない限り、従来型のマーケティング手法を繰り返してしまい、ソーシャルメディアスペースのユーザは離反する。
  3. ソーシャルメディアスペースに参加することが重要

2009/09/02

Viral Video and Twitter

4分を超える長尺だが、「PSA Texting and Driving 'COW' taster 001」というビデオに注目が集まっている。



上のビデオの視聴回数は174万回を超えており、YouTubeには4分フルのものから1~2分に編集されたビデオがいくつも上がっている。Break.comでは「Don't text and drive」として上がっており、視聴回数は約69万回にも上っている(8月29日時点)。

Viral Video Chart(YouTubeだけではなく、Break.comなど他のビデオサイトもモニターしている)ではここ一週間はトップ10に入っており、総視聴回数は385万回を超えている。なにより746のBlogがこのビデオを取上げ、9,231個のコメント、1,692個のTweetsが記録されている。(8月29日時点)

Source:Viral Video Chart

このビデオは英国のGwent Police Authorityが、全てのドライバーの交通事故撲滅、特に若年層や初心者に運転中の携帯電話操作の危険性を強く警告するために作成したものだ。

Source:Gwent Police Authority

ところでこのビデオがバイラル化した原因として、まず考えられるのは、実際の事故かと思わせるほどのリアルで衝撃的な映像がある。しかし、どんなにコンテンツが素晴らしく、感動的で、あるいは衝撃的なものであったとしても、それを伝えるチャネルがなければ画に描いた餅に終わってしまう。

バイラルビデオに関するTubeMogulの調査ではリフェラルトラフィックの大半はBlogからとなっている。(この調査にTwitterは含まれていない)
  • 80.88% Blog
  • 11.18% 検索エンジン
  • 3.66% ソーシャルネットワーク
  • 3.19% ソーシャルブックマーク
  • 0.63% ビデオ検索エンジン
  • 0.05% Email/IM
参考:Asics Viral Video Campaign (Online Ad 2009/06/30)

だから今までビデオのバイラル化を目指す場合、いかにしてタッチポイントを増やすかに各マーケターは注力していた。いかにして多くのBlogに取上げてもらうかが主眼だった。そのため、746のBlogが取上げ、9,231個のコメントを獲得している今回のビデオもバイラル化したといえる。

しかし、それを上回る効果を上げたのはTwitterだろう。1,692回もTweetされたコンテンツは、それぞれのTwitter達が抱えるフォロワー達に広がる。数人のフォロワーしかいないTwitterもいれば、数千人、数万人を超えるフォロワーを抱えるTwitter達もいる。このコネクションの広がりは、ビデオを取上げたBlogの数を凌ぐ。

今後、ビデオのバイラル化にTwitterは欠かせなくなるし、ひょっとするとBlogの影響力を上回る効果を発揮する可能性が高い。

2009/08/12

Proposal to Visit Japan -2

「Proposal to Visit Japan -1」で、
Visit Japanも、キャンペーンとして個人的コネクション、ソーシャルメディアスペースでのコネクションを拡大し、クチコミしてくれるサポーター、アドボケーターを増やすべきだと思うが、いかがだろうか?
と書いた。

そして、Visit Britainが2008年に実施した各国市場調査によれば、
「観光地を決定する際、頼りになる情報ソース」、「旅行前に旅程を決めるために利用した情報ソース」のどちらも、「友人あるいは知人からの情報=クチコミ」がトップになっている。
と書いた。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)

では、そのクチコミを増殖してくれるソーシャルメディアスペースについてもう少し詳しく見てみる。

Universal McCannが実施し、今回で4回目を迎えたWave 4がちょうどリリースされている。それによると、まずWave4を実施した38カ国のインターネット普及率はノルウェーの86%からインドの7.1%までばらついているが、「毎日、あるいは1日おきでインターネットにアクセスするアクティブな16~54歳までのオーディエンス」を全世界合計で6億2500万人と推定している。

2010年に1000万人の訪日を目指すVisit Japan Yearの重点12市場のうち、韓国、中国、米国、英国、ドイツにおけるBlogやSNSなどのソーシャルメディアスペースへの関与を見る。

Source:WARC / Email News
Source:Emoderation / Universal McCann Publish Wave 4
Source:Emoderation / Wave 4

いずれの国でもBlog読者数、Blogライター数、SNSプロファイル保持数、プロファイル管理数、友人のSNSプロファイル訪問数、オンラインビデオ視聴者数がWave1から4にかけて増加している。おおよそ3分の2がソーシャルメディアスペースに参加、関与し、コンテンツの消費、共有、再露出フローの一翼を担っていることになる。

特に中国ではBlog読者数が90%、オンラインビデオ視聴者数が89%と群を抜いている。それに続くのは韓国で、それぞれ88%、83%だ。また、ビデオ視聴者数で見ると、米83%、英79%、独74%と、それぞれの国で最も関与比率が高くなっている。

オンラインビデオはKuroshio Seaを引合いに出すまでもなく、最高のコンテンツとしてそのインパクトと、波及効果は計り知れない。その露出から様々な誘致活動を実施する可能性が開けてくる。


このようにソーシャルメディアスペースに首までどっぷりと浸かっている各国の潜在訪日観光客に対して、新聞・雑誌広告、旅行業界経由の露出や、専用Webからの情報発信だけで訴求するだろうか?ソーシャルメディアスペースで行われているコンテンツの消費、共有、再露出というフローに載せることができるだろうか?
Source:観光庁 / Visit Japan Year 概要 (pdf)

上期を終えての訪日外客数は前年比28.6%減の309万人だ。4月までは25%減の218万人だったので悪化してきた。
Source:日本政府観光局(JNTO) / 2009年訪日外客(総数) (pdf)

一方的な情報提供だけでは、発信したコンテンツを消費し、共有し、再露出のフローに載せてはくれない。各国のアクティブなインターネットユーザに訴求し、クチコミからコンテンツの流通フローに載せてもらうためにはどうしてもソーシャルメディアスペースへの参加が大前提となっているのだが...?

2009/08/06

Update of Kuroshio Sea

「Proposal to Visit Japan -1」、「Proposal to Churaumi Aquarium -1」で書いてきたKuroshio Sea - Second Larget Aquarium Tank in the Worldの露出、共有、再露出を総括して、Jon RawlinsonがTweetしていた。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)
参考:Proposal to Churaumi Aquarium -1 (Online Ad 2009/08/02)

それによると、
  • 550以上のBlog(Technorati Top100に入る5Blog含む)で取り上げられ
  • YouTube: 1,252,976回視聴、6,429評価、2,690コメント、16,651お気に入り
  • Vimeo: 647,000回視聴、3,650お気に入り、504コメント
  • Break: 604,393回視聴
Kuroshio Seaを取上げたメディア、Blogなど:
  • Businessweek:
  • Huffington Post:
  • Newteevee:
  • Canada.com
  • The Guardian:
  • Kottke.org(Technorati Top 100 Blog)
  • TorrentFreak(Technorati Top 100 Blog)
  • Sundance Channel
  • DailyDish(Technorati Top 100 Blog)
  • PDN
  • Planet5D
  • The Awesomer
  • Kontraband
  • Fubiz
  • Current.com
  • KanyeWest
  • 50Cent
  • Common
  • Netz-Schau(独TVのZDF)
  • Unhull
  • Trendsnow
  • DesignYouTrust
  • WebDesignerDepot
そして、様々な人々から送られたコメントが紹介され、最後にKuroshio Seaを取上げたBlogをリストアップしている。

Source:Twitter / jonrawlinson
Source:Jon Rawlinson

Jonが紹介しているコメントの中に次のものがある。

I sent the link to all of my friends - and we simply can’t stop watching it again and again and again.

Best regards from Cologne,
Sylvia

チェコやチュニジアからのコメントもあり、世界中のインターネットユーザが友人・知人にコンテンツを再露出している。それは同じ町、市、国のこともあれば、外国の友人・知人のこともある。YouTubeのStatistics & Dataを見ればバイラル化が世界に及んでいることがわかる。

お隣の韓国は日本より濃くなっていそうなので、沖縄の美ら海水族館を目指している観光客がたくさんいるのかもしれない。

せっかく、ここまで盛り上がってきた美ら海、Kuroshio Seaブームを活かさずにおくのは本当にもったいない。

2009/06/27

RIP MJ

まったくこのBlogの趣旨とは関係ないが、Michael Jacksonが亡くなったことについて書く。

6月27日午前7時、Viral Video Chartの「Top in 24 hours」にランクされる20本のビデオのうち20本すべてがMJのビデオだ。Viral Video Chartは、MJのビデオをそれぞれを「Spreading across the interweb like Wildfire!」と形容している。
(クリックでサイトへ)
Source:Viral Video Chart / Top 2o Viral Videos

Sillicon Alley Insiderは、MJのオフィシャルなミュージックビデオの視聴回数をグラフ化している。昨日以前は21.6万回の平均視聴回数だったが、昨日から1,000万回以上に跳ね上がっている。TubeMogulによると、24時間で1,145本のMJ関連ビデオがYouTubeにアップされ、1,460万回視聴されているようだ。

Source:Silicon Alley Insider / Chart of the day : Michael Jackson Lives On YouTube

一番思い出のあるビデオは何と言っても「Thriller」だ。友人の自宅でビデオを見た記憶がある。もう20年以上前の話で聴いたのはCDでも、DVDでも、HDD DVDでも、BluRayでもなかった。そんな時代だった。

NYTは、1971年から彼が出した曲のビルボードランキングを出している。いくつもピークがあるが、頂点は1983年から84年にかけてだろう。Billie Jean、Beat It、Say say sayとトップをとっている。が、Thrillerはトップをとっていないのをはじめて知って驚いた。
(クリックでサイトへ)
RIP(Rest In Peace)、MJ(Michael Jackson)

2009/05/12

Mobile Video in Europe

MSがEIAA関連で出した資料、「Video Everywhere」がある。

その中に、デバイスごとにその属性を明らかにし、取るべき施策のヒントを上げているものがある。まず、TV、PC、PSP/MP4、モバイルごとに、視聴されるパターン、コンテンツ属性を上げている。

TVはシリーズもの、ニュース・映画・ドラマ・スポーツ。PCはシリーズもの、ストリーミング系のニュース・スポーツ、YouTube、リピート、ハイライト、情報。モバイルはニュース、YouTube、UGCビデオとなっている。
そしてデバイスごとに相違するユーザ体験を反映した広告戦略を取るべきとしている。
Source:Microsoft Advertising / Video Everywhere (pdf)

デバイスごとに相違するユーザ体験を反映した広告戦略ということで、PCは「Integration」、モバイルは「Personalisation」がキーワードとされている。SNSもPCからモバイル化していることから、コンテンツ、ビデオの消費も個人化が進むことは間違いなく、発信チャネルとしてもモバイル化が進むだろう。

この資料はEIAA関連のコンファレンスで発表された(はず)ということもあり、欧州を前提としている。ビデオコンテンツがそこかしこに存在し、多くのユーザが消費している。欧州でもこのタッチポイントを活用することが必須になりつつあるようだ。

2009/04/14

Top Digital Marketing Tactics

Online Marketing Blogで、2009年のデジタルマーケティング手段のトップ10を発表していた。

「2009年に採用する、重きを置くデジタルマーケティングチャネル&戦術を3つ上げろ」という11日間の調査に対して、36,114人がアクセスし、532人が1559票を投じたものだ。
  • Blogging (34%, 183 Votes)
  • Microblogging (Twitter) (29%, 155 Votes)
  • Search engine optimization (28%, 151 Votes)
  • Social network participation (Facebook, LinkedIn) (26%, 137 Votes)
  • Email marketing (17%, 90 Votes)
  • Social media monitoring & outreach (17%, 88 Votes)
  • Pay per click (14%, 73 Votes)
  • Blogger relations (12%, 64 Votes)
  • Video marketing (10%, 51 Votes)
  • Social media advertising (7%, 39 Votes)
Source:Online Marketing Blog / Social Media Marketing Tops Digital Marketing Tactics for 2009

既成メディア予算が削減され、デジタルマーケティングに予算が回ってきたとき、何をおいても始めるのはBlog、そしてTwitter、SEO、SNS参加という形だ。

このトップ10の中で日本のグローバルブランドが世界のインターネットユーザに対して今、できることはあまりない。

BlogやTwitterしようにも人がいない。SNS参加も無理。日本からEmailを出そうにもリストがない。できるのはPPC、Video、そしてソーシャルメディア向け広告ぐらいだ。

欧米の競合企業・ブランドが積極的にデジタルマーケティングを展開していることからすると、これまでの単純なオンライン露出ギャップに加えて、この不況が続く限り、ソーシャルメディアスペースでの露出、会話、参加、共有、拡散というフローから全くと言っていいほど、置いていかれるのは明らかだ。

不況脱出時にレガシーメディアを駆使したマーケティングをやったところで、そのメディアスペースにもう人はいない。

2009/01/19

Online Video 2009

Permission TVからオンラインビデオに関する調査が昨年の12月に出ている。

まず、現在(昨年12月)どのような状況にあり、2009年Q2時点でどうあるべきかというデータがある。

現在は「オンラインビデオ戦略を検討中」が24.5%で最大。次に「オンラインビデオプロジェクトを実施中」が22.6%だ。昨年中はどうしたらオンラインビデオを効果的、効率的にマーケティング戦略に組み込むかを検討していた企業と、試験的あるいはより本格的にオンラインビデオを使ったマーケティングを実行中の企業を合わせて半分近くいたわけだ。

それに比べ2009年Q2には「オンラインビデオプロジェクトを実施中」が33.3%、「過去のオンラインプロジェクトを拡大中」が19.8%、「オンラインビデオキャンペーンの効果評価中」が15.1%だ。そういうレベルになっていたいと予想なのだが。昨年の戦略検討から、Q2までにはキャンペーンを実施していたいという希望が大きいし、試験段階からもう一歩進み、キャンペーンを拡大したり、効果検証までは行っていたいわけだ。

これらメインストリームの企業と比べると、「オンラインビデオ戦略を検討中」といった他社に大きく遅れをとっているのは9.8%になるようだ。一握りの企業はまだ踏み出せないらしい。
ここまでオンラインビデオが注目を集めているのは、「2009年、オンラインビデオが企業にとって重要な戦略目標」だからだ。「強く同意する」と「同意する」を合わせると約80%に達している。
それは2009年のデジタルマーケティング予算の配分を見ると良く分かる。オンラインビデオへの予算配分にフォーカスするというマーケターは67%にも達している。検索広告の倍近い予算が投下されようとしている。
ここまで注目を集めるオンラインビデオだが、クライアントにオンラインビデオを推奨する代理店側の自信のほどを見ると対照的だ。伝統的、あるいはフルサービス、総合広告代理店で「完全に自信がある」というのは38%、デジタル・インタラクティブな広告代理店の62%から大きく引き離されている。
Source:BtoB Online / Survey: Interactive video marketing to gain wide adoption this year
Source:PermissionTV / Adoption of Interactive Video in 2009

下の参考で取り上げたように「2008年、総合代理店を選ぶ比率は48%にまで下落」している。手間隙がかかるタスクをアウトソースしているうちに、ビッグビジネスから見放されてしまう代理店も出てくる。ただ、こういったトレンドを理解しないクライアントがいるうちは、まだまだ左団扇なのかもしれない。

参考:Client's Perspective on Agencies (Online Ad 2008/12/24)

2008/12/18

LG - YouTube

LGがブラジルで洗濯機とScarlet TVのキャンペーンを始めたようで、YouTubeにビデオがあがっている。

それぞれ1週間程度で25万回前後の視聴回数をたたき出している。下の参考「Viral Video Marketing」で書いたように代理店側は、25万回の視聴回数で成功だと考えているのは22.2%だ。1週間やそこらで25万回をたたき出したことからすれば十分成功した例だろう。



Source:DigitalStuffing / Videos 8 Dec 2008
Source:YouTube / LGdoBrazil
参考:Viral Video Marketing (Online Ad 2008/11/21)

TVCFなどもやっているのだろうが、メディア予算がなくともYouTubeでの露出で同等、あるいはそれ以上の露出が稼げるのは米国、欧州だけではなく、ブラジルでも同じようだ。どこの代理店も冬の時代に入ってきた。