2007/07/31

Greenpeace Ranks Sony Worst in Greenness

Greenpeaceの最新のGuide to Greener Electronics (2007年7月27日付け) によると、Sonyが最下位となった。

5月のエントリ、「Panasonic and LGE Will Be the Worst in Greenness」で心配していたようにPanasonicとLGEが最下位になるのではなく、Sonyが最下位にランクされている。これはヨーロッパと米国におけるIPR (Individual Producer Responsibility) への対応の違い、ダブルスタンダードを持ち、米国でIPR反対のロビー活動をしているためのペナルティがひとつ。そしてPVC (Polyvinyl Chloride: ポリ塩化ビニル)、BFR (brominated flame retardants : 臭素系難燃剤) といった 有害物質の使用中止時期を公表していないことによる。また、資源のリサイクル率も公表していないことも今回の評価として挙げられている。
2006年8月から4回目を数える今回の調査まで一貫してランクを落としてきているのは、HP、LGE、Sonyの3社だ。Sonyは部品・材料における環境管理物質管理規定などで高スコアを挙げているが、上述の評価により最下位となっている。
Source:Greenpeace / How the companies line up
Source:Greenpeace / Guide to Greener Electronics (pdf)

今年3月、Appleが最下位にランクされたあと、5月に入りSteve Jobsが有害化学物質排除と製品リサイクルに関してオープンレターを公開していた。その努力を評価して今回のランキングでは評価2.7から5.0へ、14位から10位へランクアップした。

参考:Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness (Online Ad 2007/4/9)
参考:Panasonic and LGE Will Be the Worst in Greenness (Online Ad 2007/5/7)

PanasonicやLGEが最下位になるのではないかと心配した5月7日のエントリで以下のように書いた。
  • 特に日本企業ではPanasonicが最下位になりそうなわけだが、Greenpeaceキャンペーンや、Appleの動きなどをモニターしているのだろ うか?この頃、日本であまりGreenpeaceの動きが報道されることがないが、どんな次の手を検討しているのだろうか?
  • もしPanasonicを対象とした次のキャンペーンが行われた場合、PanasonicのCEOはどんなOpen Letterを出すのだろうか?それもJobsのように役職名なしのOpen Letterを書けるのだろうか?
  • グローバルなブランディングのリスク管理として興味が尽きない。
今度はPanasonicを、Sonyに置き換えて期待してみたい。

2007/07/30

EIAA : Silver Surfer Report

EIAAから「中高年(シルバーサーファー)のインターネット利用」に関して新しい調査データが出てきた。

サマリ
ブロードバンド化
ヨーロッパ10カ国で調査対象の4,007人のうち、711人(17.7%)が55歳以上のシルバーサーファーだが、そのブロードバンド化率は 2005/2006年で26%増の68%に達している。全体では前期の66%から14%増の75%となっている中、シルバーサーファーのブロードバンド化 が進んでいる。
メディア消費時間&インターネットのインパクト
  • シルバーサーファーは平均すると週に8.8時間オンラインでアクセス、2004年から18%増加
  • 消費時間の78%は仕事ではなく、個人目的
  • 55歳以上の61%は欲しいものを素早く、時間を掛けずに手にできる「使えるメディア」と応えている

これを昨年末に紹介したExecutive Summary Mediascope 2006の全体像と比較すると
  • シルバーサーファー61% 対 全体47% 「使えるメディア」
  • シフバーサーファー55% 対 全体44% 「欲しいものがあるメディア」

アクセスWebサイト&EC
  • 53% シルバーサーファーはオンラインバンキング、ファイナンスサイトを利用
  • 60% トラベルサイト利用
  • 55% ホリディサイト利用


  • サイト利用が進んでいるため旅行チケット購入などのコンバージョンへ帰結している。

結論
  • 多様で中身の濃いサービスを提供できるブロードバンド化によりシルバーサーファーは、余裕のある時間に消費するメディアとしてインターネットを利用し、新しい経験を積んでいる
  • シルバーサーファーはオンラインコンテンツとのより密な関係を構築し始め、オンラインツールやサービスを利用して友人や家族とコミュニケーションをとっている。フォーラム利用は2005年の113%となり、18%はSNSへも最低月一回はアクセスしている
  • シルバーサーファーは、他世代よりも旅行(60%)、休暇(55%)サイトを利用しているし、オンラインショッピング、書籍、電化製品サイトへのアクセスも増えている。

Source:EIAA / Rapid Broadband Growth Helps Close the Digital Divide
Source:EIAa / Silver Surfer Report (pdf)
参考:EIAA Mediascope Europe 2006 (Online Ad)

MySpace、Facebook、Friendsterなどでもユーザ年齢は上昇している。へたをすると35歳以上の中高年ユーザが大半を占めている。同じ流れがヨーロッパでも明らかだ。55歳以上のシルバーサーファーに限らず、インターネットから最も訴求できる年代層はひょっとすると35歳以上なのかもしれない。

参考:SNS Demographics Continue To Shift, Getting Older (Online Ad)

2007/07/27

Browser War: FF2 (FireFox 2) pulls ahead of IE7 in Europe

IE7とFF2 の普及率を比較したデータがXiti Monitorから出ている。

まず、昨年4月時点でヨーロッパで19.4%の普及率だったFF2は今年3月には24.1%に達している。全世界での普及率を見ると以下の図の通りとなっている。今年3月のデータと昨年11月と比べると
  • オセアニア 23.4%→24.8%
  • ヨーロッパ  23.2%→24.1%
  • 北米     14.5%→15.1%
  • アフリカ   12.4%→13.1%
  • 南米     11.1%→11.9%
  • アジア    11.8%→11.9%
そして今年7月の調査も出ている。昨年11月、今年3月と合わせて比べると、FFはどの地域でもシェアを伸ばしている。%ポイントではオセアニアが4.1ポイント延びてトップだが、伸び率では南米が30%増でトップとなっている。
  • オセアニア 23.4%→24.8%→28.9%
  • ヨーロッパ  23.2%→24.1%→27.8%
  • 北米     14.5%→15.1%→18.7%
  • アフリカ   12.4%→13.1%→14.7%
  • 南米     11.1%→11.9%→15.5%
  • アジア    11.8%→11.9%→14.3%
ヨーロッパ32カ国だけを見ると、3月は15.6%のFF2、19.0%のIE7だが、7月に入るとFF2が23.1%、IE7が22.6%のシェアとなっている。FF1、IE6ユーザもいるためこれが即、FFとIEのシェア逆転とはならないが、最新バージョンでのシェアでは逆転している。
そして、ここで面白い調査をやっている。それは家庭内での普及率だ。FF2にしても、IE7にしてもそれぞれ旧バージョンユーザがあるわけだが、家庭内で最新バージョンを見ると、FF2は83.2%にまで達しているが、IE7はまだ33.9%でしかない。
Source:Xiti Monitor / Close to 25% of Use Rate in Europe for Firefox (pdf)
Source:Xiti Monitor / Firebox narrowly misses 28% use in Europe, Internet Explorer under 70% (pdf)
Source:XiTi Monitor / Browser War: FF2 pulls ahead of IE7 in Europe (pdf)

家庭内で普及せずに世界中で新バージョンに移行するわけもない。ということでIEはFFに急追され、IE7の普及が進んでいない。あえてFF2をアーリーアダプターからアーリーマジョリティーのステージへ到達しつつあるとすると、レイトマジョリティのステージにIE6で留まっているため、IE7への切り替えがうまく行っていないように見える。

個人的にはIE7の不安定さや、インストール後の他アプリとの相性の悪さからFF2をメインに使っている実情だが、その辺はどうなのだろうか?

2007/07/26

Samsung Leaves Motorola Behind on Mobile Phone

7月23日、NHKスペシャルで「デザインウォーズ ケータイ開発の舞台裏」という特集があった。

特集の中心はLG電子とソニーエリクソン、NECだったが、世界のマーケットシェアを確認してみる。いつものようにXbit Laboratoriesで確認すると、ちょうど17日にQ2時点での比較があった。

それによると、長年、Nokiaが市場をリードし、MotorolaとSamsungが2位、3位として続いていた。が、直近の数四半期では米市場の需要が弱含みのため、2007年Q2でSamsungがMotorolaを台数で追い越したようだ。まだ、Nokia、LG、その他の業績が発表されていないが、Motorola、Samasung、Sony Ericssonの3社を見るとMotorolaの販売台数が急降下している、それに比べるとSamsung、Sony Ericssonは堅調に販売台数を伸ばしてSamsungがMotorolaを追い越している。

すでに販売額では世界2位の座についていたSamsungだが、Motorolaの落ち込みを受けての台数増ではなく、Sony Ericsson同様に独自の販売戦略の結果だろう。Motorolaの落ち込みを最大に享受するのはNokiaだとの見方がされている。
それにしても日本メーカーはその他に括られているだけというのは寂しい。
以下は、全社のデータが出揃っていないため、2007年Q1までの販売台数の市場シェアだ。各社の公表数字によると、SamsungはQ2に3,740万台を出荷、Motorolaは3,500~3,600万台、Sony Ericssonは2,490万台を出荷している。Motorolaの落ち込み分の大半をNokiaが受け止めるとするとNokiha36%以上、Samsungが12.8~9%、Sony Ericssonが8.6%程度だろうか。

Samsungは強気の予想を立てており、今年中に1.5億台、マーケットシェアも伸ばすと公表しているが、2億台としているMotorolaの販売予測に赤信号がともっている。Gartnerによると、Motorolaは昨年Q2、Q3と低調で、今年Q2の販売台数は2005年Q2と同レベルに落ち込んでいるらしい。
さて、ちょうど、約1年前Xbitが掲載していたGartnerの同様データがあったので再掲する。これは昨年8月28日に掲出されたものだ。(上図は販売台数のシェアで、下図は販売額のシェア)
今年の販売台数(上)、昨年の販売額(下)をどう見てもNokiaの販売台数、販売額シェアが上がっている。一人勝ちに近いシェアを獲得しているのが分かる。
Source:Xbit Laboratories / Samsung Leaves Motorola Behind on the Cell Phone Market in Q2. Samsung May Become the World’s No. 2 Maker of Handsets

NHKの特集ではチョコレート人気を日本へもと意気込むデザイン優先経営でのLG電子、技術からデザイン重視へシフトするNEC、LGを抜いて世界第4位に躍進したSony Ericssonの開発話が取り上げられていた。しかし、今のところ、どう逆立ちしてもLGもSony Ericssonも、Nokia、Motorolaはおろか、Samsungに追いつくことさえも難しそうに見える。またNECは前述のようにシェアランクに顔を出してもいない。

話はちょっと変わるがスペインのTelfonicaの子会社、O2が英国でのi-modeサービスを終了するという話をGuardian Unlimiedが今月中頃に書いていた。ドイツでもi-modeリリースは棚上げとなっているし、SamsungやLG、そして米国などで元気の良いT-Mobileなどと比べ日本の通信会社や携帯ベンダーの内弁慶さが際立っている。

少子高齢化、人口減少が始まっている日本国内で同規模ビジネスが今後も継続できるだろうか?
海外進出というよりは、グローバル化。日本を核とするグローバル化というよりは、PricewaterhouseCoopersが10回目のグローバルCEOサーベイで書いているように、「グローバリゼーションは金融資本の移転においてまだまだ重要なドライバーではあるが、世界市場における経済価値創造を行う要素のひとつでしかないと認識されている。その代わり、リターンを生成し、リスクを緩和するため、知識、人々、文化やステークホルダーが協力・共同する関わり方が、グローバリゼーションを深化させるために重要」なわけだ。この関わり方を知るには、NokiaのWebサイトを見るだけでいい。日本企業との違いが明らかだ。

ところで、昨年8月、Nokiaがハリーポッターシリーズに登場するOldmanを担ぎ出してN93のキャンペーンを実施したときに、よもや今年に入り、AppleからiPhoneといった新顔が登場するとは夢にも考えていなかっただろう。ただし今年10億台以上が販売されると予想される携帯電話市場において、iPhoneの販売目標は今年400万台、2008年でも1,000万台レベルでしかない。Nokia単独でも3.5億から4億台近く販売するだろうから、当分、Nokiaのトップシェアは揺るぎそうにもない。

Guardianが伝えるところでは、iPhone発売後の最初の週末に携帯をアクティベートした台数はアナリストが予想した20万~50万からは程遠い146,000台に留まり、Appleの株価は4%下落している。これはeBay経由で購入したユーザのアクティベーションが遅れているとか、アクティベーションに問題が発生していることもあるだろうが、第二世代機としての接続スピードが最大の問題のようだ。ということでXmas商戦を控えた11月には第三世代機が発売されるだろうが、Appleは第二世代機ユーザをどこまで考えているのだろう?ま、iPodに黒電話がついてると考えてくれればいいのだが...?

Source:Guardian Unlimited /O2 drops i-mode mobile internet service in Britain
Souce:Pricewaterhouse Coopers / The 10th Annual Global CEO Survey (pdf:ダウンロードには登録必要)
参考:Nokia calls up Oldman for ad campaign (Online Ad)
Source:Guardian Unlimited /Apple shares fall on iPhone news

2007/07/25

UK B2B Marketers Value Email

UKのNewsweaverというemailマーケティングプロバイダーから、B2Bマーケティングにおけるemailの調査データが出ている。

SPAMや個人のメールボックスが大量のジャンクemailで溢れかえっている現状にもかかわらず、UKのB2Bマーケターはより一層、予算を計上して、より頻繁にemailを送出するという結果が出ている。

Criticalが21%、Very Importantが43%、Importantが23%で合計すると87%がemailマーケティングの重要性を認識しており、認めていないのはわずかに13%だ。前年と比べると77%はemailキャンペーンを増やしており、67%は対象ターゲットも増やしている。68%のB2Bマーケターは少なくとも1ヶ月に一度はemailキャンペーンを実施している。そのうち半分近く(47%)が一回に送出するemailは1,000通以下だ。
ところがまだまだemail予算は少ない。50%は前年比予算を増やしてはいるが、三分の二は全予算の10%以下がemailとなっている。また、8%はemail予算が全くない。

FIG 3にあるようにEmailはブランド構築、潜在顧客向け、アップセルなど多様な目的で利用されているが、心配事はSPAMとその副作用(SPAMフィルター)が多くあげられている。
調査対象のB2Bマーケターの41%は今後、email量および予算が増えると見込み、56%は、将来、emailをより選択的、ターゲッティングした利用が行われると答えている。
Source:Newsweaver / Email continues to be the marketing tool of choice for B2B marketers in the UK
Source:Newsweaver / Email Goes From Strength to Strength (pdf)

さて本調査はemail開封率についても書いている。既存顧客のemail開封率はかなり高いと期待しているB2Bマーケターの願望が明らかだ。見込み客を含む全ターゲットへ送出したemailの開封率を見ると、調査対象の三分の二は30%以下だと見ている。しかし既存顧客の場合、調査対象の55%は開封率が20%~50%にも上ると見ている。

つい最近、eROIのemail開封・クリック率を紹介したが、それによると日中の開封率は30%以下のようだ。深夜、早朝に40%を越えることもあるがこれはB2Cも含んでの数字だから割り引いて考える必要がある。(B2Bのターゲットも深夜、早朝に仕事用メールをチェックするだろうが...?)

それと比べると非常に高い期待を掛けているわけだが、昨日アップした「Connecting Through Content」で紹介したようにマーケターとテクノロジーバイヤーにはコンテンツに対する温度差が存在する。マーケターがバイヤーに対して訴求したいとするコンテンツと、バイヤーが求めるコンテンツはかみ合わないところがあるわけで、マーケターが期待する開封率にもそれが言える。B2Cに比べれば高い開封率、クリック率を期待できるのは事実かもしれないが、今回の調査結果をそのまま鵜呑みにしてしまうと期待する開封率には程遠い結果となるだろう。

とにかく開封率だけしか調査せず、クリック率を調査していないのは片手落ちだと言えるし、マーケターとバイヤーの間に存在する温度差を考慮していない調査の価値は半減してしまう。

参考:Email Marketing Statistics by Day and Time (Online Ad)
参考:Connecting Through Content (Online Ad)

2007/07/24

Connecting Through Content

「Connecting Through Content」という3本もののシリーズのうち、すでに2本がKnowledgestormとMarketing Sherpaから公表されている。
今回はシリーズ最初の「How Technology Marketers Meet Buyers' Appetite For Content」を取り上げる。

サマリ
  • テクノロジーバイヤーは信頼できるソースとしてベンダー情報に依存
  • ホワイトペーパーは最も頻繁に読まれるコンテンツ
  • ホワイトペーパーは同僚などに回覧するリストのトップコンテンツ
  • WebcastよりもBlogやオンラインビデオ
  • テクノロジーバイヤーにはフリーケンシーが重要
  • フレッシュなコンテンツが重要
  • テクノロジーバイヤーとマーケターのギャップ
  • コンテンツのカスタマイズ化が重要
  • 特定職業・業界にターゲットされたコンテンツがベスト
詳細
レポートは個別項目ごとに詳細を挙げているが、テクノロジーバイヤーが要求するコンテンツとマーケターが提供するコンテンツとの違いを中心に紹介する。

まずテクノロジーバイヤーが調査するメディアはオンラインが74%に対して、マーケターが行うオンラインでのコンテンツマーケティングは59%だ。(クリックで拡大。以下同)
テクノロジーバイヤーが最も消費するコンテンツは、ホワイトペーパー。次にケーススタディ、製品パンフ、業界記者の記事と続いている。一方、マーケターが重視するのはケーススタディ、製品パンフ、コーポレートサイト、ホワイトペーパーの順だ。
そしてテクノロジーバイヤーが社内で回覧するのはホワイトペーパーが57%とトップを占めている。マーケターが最重要視するケーススタディは5番目で回覧されている。
テクノロジーバイヤーからすると新製品やITソリューションを理解するために必要なコンテンツ(アナリストレポート、ホワイトペーパー、業界誌の記事など)は何本くらい必要かと問われて67%が3~5本と応えている。この点、マーケターが用意しているコンテンツは89%が5本以上と応えておりバイヤーの期待に応えている。
しかし、バイヤーの要求は厳しい。79%のバイヤーは新しいテクノロジー情報を入手するため少なくとも週に一回は情報検索を行っている。しかし、マーケター側は週単位でコンテンツ更新を行うのはわずか11%でしかなく。大半は月、あるいは四半期単位での更新しか行っていない。これはホワイトペーパーやケーススタディなどのように編集、作成に時間を必要とするコンテンツがあるためだが、バイヤーが求めるフレッシュなコンテンツを提供できていない。
また何がテクノロジーバイヤーにテクノロジー情報検索を行わせた原因となっているかを見ると、72%が「今抱えている問題のソリューション調査」と答えている。マーケターにとってこれら「調査者」は、潜在購入者と初期段階でコンタクトし、引き合いにつなげる高い可能性を意味している。
また、66%のバイヤーは自分の専門領域で最新情報を仕入れるため、定期的に情報検索をしている。そして56%は業界ニュース、トレンド、あるいは自分の職、会社、業界に関連するホットなトピックをモニターしている。

ところがマーケター側がコンテンツを更新するきっかけは、新製品・サービスのリリースやアップデート、新しいマーケティング戦略を挙げている。これらが87%、75%を占め、ようやく3番目にテクノロジーバイヤーが情報検索のトリガーとしている業界ニュース、トレンドが62%で入っている。
業界ニュース、トレンドを先取りするマーケティングが求められている。
結論
ますまずテクノロジーバイヤーは、業界の全体的な概要、ベンダー企業のニュースや製品比較、そして実装におけるヒントやコツなど全てをインターネットに依存してきている。タイムリーな情報、利用可能なリソースの質と量を評価しているが、特定業務や直近のニーズに応えるコンテンツへのアクセスを求めている。単にコンテンツが欲しいのではなく、彼らの製品購入サイクルの特定ポイントで、彼らにダイレクトにターゲットされた特定タイプのコンテンツを求めているのだ。
  • マーケターとテクノロジーバイヤーがマッチするセグメントとフォーマット
    マーケターはテクノロジーバイヤーが最も役に立つと考えるコンテンツ、特定職種・業界に固有の問題に対応するマテリアルをカスタマイズする方向を向き始めている。しかし、一方、マーケターはバイヤーがあまり役立たないと考える地理的、企業サイズに応じたセグメント別コンテンツを提供している。
    マーケターは幅広いフォーマットで情報提供を行っている。バイヤーの注目はホワイトペーパー、ケーススタディ、製品パンフ、専門記者による記事、アナリストレポートへ向かい、その多くを同僚へ回覧、共有している。
    Blogやオンラインビデオなど新興メディアに対してマーケターおよびバイヤーの両方が目を向けている。マーケターはバイヤーがこれらメディアへアクセスするのと同様に、新興メディアの利用を増やしてきている。

  • マーケターはフレッシュで、教育的なコンテンツをオンラインで求められている需要を過小評価している
    マーケターはテクノロジーバイヤーが求めるいくつかの領域、特にオンラインコンテンツを消費する点になるとバイヤーに大きく後れを取っている。バイヤーは主たる情報ソースとしてベンダーWebサイトを上げ、87%が自分達を教育してくれるようなコンテンツを求めている。ここがマーケターにとって最も貴重な機会となる。教育的なコンテンツを評価し、オンラインマテリアルを作成し、それをプレゼンクオリティへ編集する点になると、60%以下のマーケターしか高い価値を認識していない。
    バイヤーが調査の大半を毎日のようにインターネットで行うため、マーケターはコンテンツへの注目を集め、引き合いに結実させるチャレンジを前にしている。BlogやRSSなど新興メディアを使うことで、ホワイトペーパーやケーススタディだけではつなぎとめられないバイヤーのエンゲージメントを獲得することもできる。
    バランスの取れたコンテンツ開発には、テクノロジーバイヤーが新しい製品やプロセスの評価を開始するために必要となる詳細な分析を提供しながら、オーディエンスのマインドシェアを獲得する最新、インタラクティブなエレメントが必要だ。
    マーケターがバランスの取れたコンテンツを開発するには、社内的な製品、機能、企業構成や戦略を中心にするのではなく、テクノロジーバイヤーの視点に立ち、必要とされるコンテンツを見極めることが重要だ。バイヤーは製品プロモーションではなく、ニュース、そしてソリューションを求めている。
Source:Knowledgestorm & Marketing Sherpa / Connecting through Content (pdfのダウンロードにはユーザ登録必要)
Issue One : How Technology Marketers Meet Buyers' Appetite For Content
Issue Two :
Content Distribution -- Where Information Intersects With Interest
Issue Three : 夏ごろリリース予定

マーケターのアプローチと、テクノロジーバイヤーのニーズの乖離を明らかにした資料として役に立つ。基本的にこの調査はB2Bマーケターとバイヤーの関係を明らかにしているが、B2Cでも同様に有効活用ができるのではないだろうか。

2007/07/23

The Top 100 brands in social media

世界のトップ100ブランドを調査し、これらグローバルブランドの体制にどのようにソーシャルメディアが影響しているのかを明らかにする調査が英国のImmediate futureから出ている。

ソーシャルメディアとして定義されるのは以下の通り
  • Blog
  • 掲示板
  • フォーラム
  • ソーシャルネットワーク(MySpace、Facebook)
  • ビデオ共有サイト(YouTube)
  • 画像共有サイト(Photobucket)
  • Podcasts
  • Vidcasts
  • Wikis
  • グループ
  • バーチャルワールド(Second life)
ソーシャルメディアでの露出と、2006年のインターブランドトップ100を比べると大きな違いがある。インターブランド5位のIntelはソーシャルメディアでは22位、Toyotaは7位が22位だが、Canonは35位が5位となっている。また、ソーシャルメディアでの露出トップブランドのうち36%しかインターブランド25に顔を出していない。

ソーシャルメディアでの露出立ち上がりはアーリーアダプター層に因っている。このグループはテクノロジーに強く、情報や分析を共有する傾向が認められている。だからこそ、Google、Yahoo!、Apple、MSなどが上位を占めている。MS、Disney、BMWは両方のランキングで同様位置を占め、経済指標とソーシャルメディアでの消費者認知が整合していることを示している。ところが、Shell、Starbucks、そしてLGは
ソーシャルメディアでの消費者認知がインターブランドランキングを大きく上回っている。
次に各ブランドごとにソーシャルメディアでの露出詳細を見ていくと、各社の露出偏向が見えてくる。CanonとSamsungは、画像共有サイトとの関連を反映してFlickrでのブランド露出が多い。Disneyも撮った写真をテーマに会話が弾むことになるのでFlickr露出が多い。

Del.icio.usやMagnoliaなどのソーシャルブックマーキングサイトを独占しているのはテクノロジー系ブランドで、Blogサイト露出が最大なのはKraft、そしてReutersが続いている。Kraftは食品、従業員のコメント、そしてスポンサーシップまで幅広い露出があり、今年の「米国で最も信頼できるブランド」に選出されていることが興味深い。

最後にLGが目を惹く。インターブランドでは94位だがソーシャルメディア露出は25位だ。このところBlog社会で積極的にエンゲージメントを行ってきた効果が見える。

企業ランクのトップ10にはGoogle、Yahoo!、Apple、MS、Canon、Sony、Dellというテクノロジーブランド7社が入っている。これら企業は消費者との対話が持つ価値、ブランドの評判と対話との関連性、そしてブランドエクイティを理解しているといえる。彼らは素早く動き、消費者の声を聞き、迅速に対応している。
業界別に見るとテクノロジーが34%でリードしているが、FMCGが19%、車が15%で続いている。インターブランドは、FMCGに対して、「『何があなたにとってベストか?』という矛盾し、相反する意見を前にして消費者の要求に応えることはますます難しくなってきている」コメントを出している。だからこそ、オンラインでの会話をモニターすることで、FMCGは消費者意見やトレンドを拾い集めて、その中からデマンドを見出すことができるとしている。

ところで、テクノロジー系や車系にしたところで他社との差別化要素は無限にあるわけではない。OTC商品とまでは行かずとも、それに近いコモディティ感覚になりつつある製品、車種もある。このカテゴリでもオンラインの対話モニターを積極化させる必要は大きい。
次にオンラインでの会話がブランドとどのようにリンクされているかを見る。アドボケータ(主唱者)や中傷者を特定し、会話に登場するブランドの影響を評価するため、UKで最も人気のあるサイト、Flickr、Facebook、MySpaceで、ポジティブ、中立、ネガティブに分けて分析している。
トップ25ブランドの会話内容の登場パターンを見ると、Disneyが飛びぬけてポジティブな評価をもらっている。NintendoもWiiの成功で評価が高い。

テクノロジー系ではMSに対して厳しい評価が多い。また車系でもToyotaに対するネガティブ評価が実数、比率ともに高い。これは判官びいきの逆かとも見えるが、検索エンジンで一人勝ちのGoogleにはそういった評価はない。コンテンツのないブランドという意味ではeBayもそうだろうが、eBayはそこそこネガティブ会話が存在している。この点、Googleに絞った分析が欲しい。

LG、Kraft、Amazon、Reutersは全体での評価とは違い、今回の評価ベースとなっている特定ソーシャルネットワークではアクティブではないため会話そのものも少なくなっている。
さて、ここまで見てくるとインターブランドトップ100と、ソーシャルメディアでのブランド露出には大きな隔たりがあることが分かる。消費者、ユーザはブランドを取り上げた会話をしている。オンラインでの会話は全Webへ広がってゆく。情報、経験、噂が混在一体となった意見が、
マーケターのコントロール不能な領域でフィルターされず、要求もしないのに増加している。

ソーシャルメディアはその数だけではなく、影響力が拡大している。ソーシャルメディアでの露出をMSM (Main Stream Media) の記事・ニュースが追いかけている。ポジティブ、ネガティブ意見が検索結果で大半を占め、ソーシャルメディアでのブランド評価が購入意思にインパクトを与えている。DoubleClickの「Influencing the Influencers」、Hitwiseの「Consumer Generated Media Report」を見るまでもなく、消費者の購入意思決定に最も大きな影響力を持つのはWebであり、人の集まるのはソーシャルメディアサイトなのだ。

Agency.comの最近の調査によると、UKのインターネットユーザの8%(230万人)がアクティブにコンテンツをアップロードしている。この8%がブランドにとって極めて重要となる。彼らはインフルエンサーであり、単純に考えれば残りの92%(2,645万人)の購入意思決定に関与しているわけだ。このグループを特定し、ブランドが公正、平等、オープンな対話を通して、ブランドの主唱者を増やす努力が鍵となる。

ブランドはオンラインの会話に参加すべきだ。質問やトラブルに直接、答えることが必要だ。人的リソース、コストを考える前に、ネガティブコメントがオンライン上を駆け巡り、CEOのメールボックスから抗議メール、嘆願メールが溢れかえることを考えたほうがいい。ネガティブコメントを打ち消すコストを考えるだけでいい。CEOに届くビジネスパートナーからのメールが行方不明になる確率を考えるだけでいい。

Source:Immediate future / The Top 100 brands in social media
Source:Immediate future / Presentation on brands in social media
参考:
DoubleClick : Influencing the Influencers (Online Ad)
参考:Hitwise CGM Report
(Online Ad)
参考:Wal-Marting Across America (Online Ad)
参考:Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness
(Online Ad)

2つめのソースとして挙げているプレゼン資料はpdfではなく、スライドショーだが、非常に重要な資料だ。Immediate future自体がSony EuropeのPRエージェンシーであるためケーススタディとしてBRAVIAを取り上げており参考になる。是非、一度、アクセスされることをお薦めする。

2007/07/20

Whole Foods boss rumbled for anonymous postings

ご存知の方も多いと思うが従業員数3万7千を超え、ハイエンドのオーガニック食材を扱うスーパーマーケット、Whole Foods Marketが米国にある。ここが今年初めの2月に競合のWild Oatsを5.65億㌦で買収するという案を発表し、着々と買収作業を進めていた。
ところが独占禁止法がらみでFTCが買収案の調査に乗り出していて、6月に入り地裁に買収差し止めを求める訴訟を提訴した。

そこからWhole Foods Marketの逆襲が始まる。FTCの決定に際し、データの取扱ミス、評価ミスなどをあげつらったpdfを公表したり、LA TimesやWall Street Journal、その他ローカルメディアがWhole Foods Market寄りの記事を書けば転載許可を取ってWebに掲載したりと、十数本のメディア露出をアップし、FTCに対抗する強烈なPR活動を行っていた。

このまま行けばFTCの敗戦も決まりか?といった状況で、Whole Foods Marketの勢いが7月に入って尻すぼみとなってしまった。何故ならFTCの調査過程で、CEOのJohn Mackeyが、夫人の名前Deborahをもじった「Rahodeb」という匿名を使い、Yahooの株式相場メッセージフォーラムでWild Oatsをこき下ろす書込みを1999年から行っていたのが明らかになったからだ。7月12日には多くのBlogでその件が取り上げられていた。


2000年の書込み

「私はMackeyのグルーピーじゃないが、彼の実績には頭が下がる」


2005年の書込み

「Whole Foods MarketがOatsを買収するってのはあり?今の株価じゃ絶対ありえない。一体、何の徳があるの?」

「(Wild Oatsの経営陣は)一体、何をしているのか分かっていない。Oatsに価値も将来もない」

7月17日になり、今度はSECが株式市場への影響を考慮してこの書込みに関する聞き取り調査に入った。同日、John Mackeyの謝罪コメントがアップされ、また取締役会による内部の独立した調査も開始されたことを伝えている。

Source:Strumpette / World's Most Ethical Grocer Caught in Serious Ethical Flap
Source:e-consultancy / Whole Foods boss rumbled for anonymous postings
Source:MediaPost /Just An Online Minute… Whole Foods Blog ‘Scandal’
参考:CEO's Blog

e-consultancyのRichard Mavenは、「これはオンライン、そしてオフラインにおけるPRの悪夢だ。PR関係者から、この状況でどんなアドバイスをするのか聞いてみたい。我々は本当に企業Blogに書かれていることを真実だと信じるべきなのか?」と締めくくっている。

独立系の最大手PR会社Edelemanの事業部を統括し、著名なBlogであるMicropersuasionから大きな影響力を発揮しているSteve Rubelが何をコメントするのか数日待ってみたが、今のところ彼のBlogにはまだ何も関連したエントリがない。Edelmanが仕掛けた「Wal-Marting Across America」がFrogだと暴露された昨年は5行で片付け、自分の口を滑らせて災禍を招いた今年、PC Magazineには謝罪したがCNET分は放置している彼に、どんなアドバイスが可能なのか訊いてみたい。

いや、彼だけではなく、世界中のPR関係者に訊いてみたい。Whole Foods MarketのようにCEOのBlog(コメント含む)を休止し、嵐が過ぎ去るのを待つだけで良いのか?それとも?
とにかくこのような経営者の倫理観にも関わってくる危機管理のひとつのパターンとできるアドバイスが欲しい。

参考:Wall-Mart Enlists Bloggers in P.R. Campaign
 (Online Ad)
参考:On Edelman and Wal-Mart (Micropersuasion)
参考:Loose Lips Sink Ships (Online Ad)
参考:Open Letter: A Lesson Learned Twittering (Micropersuasion)

上記「Wall-Mart Enlists Bloggers in P. R. Campaign」のエントリで、「なお、今回の教訓により、偏向した情報操作をやろうという企業はそう出てはこないだろうし、それらしい、おかしなBlogにはチェックがもっと入るようにもなるだろう。オンラインでの市民メディアが確立する産みの苦しみかもしれない」と書いたが、懲りない連中はいるようだ。

幸いなことに今回もチェックが入ってはいるが、企業経営者の個人的な資質まではなかなか面倒を見切れない。

2007/07/19

Marketers Can Buy Blog “Buzz”

Nielsen BuzzMetrics と、NielsenのBASESリサーチ部門から「広告やペイドパブと、WOMを切り離しているマーケティング戦略は間違っている」という調査が発表されている。

Blogバズのボリューム、広告支出、購入意思、そして実際の製品購入を解析したところ、新発売商品の場合、広告支出とBlogバズに強い関連性があり、Blogバズは広告支出に大きく影響されているとしている。

2005年と2006年に新発売されたCPG (Consumer Packaged Goods) の80ブランド(複数セグメント製品)を調査したところ、トップ10%のバズを生成した(された)製品は平均すると2,000万㌦の広告支出をしているが、ボトム50%のバズ製品は500万㌦しか支出していない。
ところが広告支出が多ければ多いほどバズが生成されるかというとそうでもない。トップ10%のバズを生成した(された)製品は、全体のBlogバズのうち85%を占めているが、ボトム50%のバズ製品はBlogバズの2%しか生成できていない。これは特定製品は広告支出量以上にユーザの関心を惹き、Blogバズを生成しているということだ。ユーザと関係性の深いOTC (Over-the-counter) ドラッグや際立ったブランドはトップ10%に入り、広告支出以上のBlogバズ露出を獲得している。
大量のバズボリュームを生成する製品ごとの追加ポイント
  • CPG製品のバズは販売を先取りする
    Blogバズは新商品発売の初期段階で発生し、製品販売ピークが到来する三分の二の期間でバズピークが到来する

  • 大量のバズボリュームは販売を増加し、販売予測を上方修正させる
    バズボリュームの多い製品の場合、バズボリュームが販売に大きく影響することが実証された。回帰分析による販売予測とバズレベルの実績を統合すると、最大20%にも達する予測モデルの精度向上が得られた

  • ブランドのユビキタス性と特徴はバズ予想を助ける
    今のところまだバズを予想する正式モデルはないが、特定ファクターは予想価値を持つと考えられる。メディア支出と露出以上に、カテゴリの親近性や製品の特徴などがバズ予想に価値を持つと考えられる
Source:MediaWeek / Study: Link Between Ad Spend, Blog Buzz
Source:Nielsen BuzzMetrics / Marketers Can Buy Blog “Buzz,” Nielsen Reports

バズ予想の正式モデルがまだ構築されていないので、「広告やペイドパブと、WOMを切り離しているマーケティング戦略は間違っている」というテーマにしては若干物足りない調査結果だ。

しかし、WOMが重要性を増してきているのは十分に理解できる。広告やペイドパブという売り手側からの情報発信に対して、受け手側からの情報発信と共有が広告費に数倍する効果を上げることも期待できるわけだ。この「受け手側からの情報発信と共有」に必要なのは「送り手側」の公正、平等でオープンな対話だろう。それなくして「Marketers Can Buy Blog "Buzz"」はありえない。

2007/07/18

Virtual World to Kids and Young Adult

今、最も急拡大しているバーチャルワールドを開始したのは誰、以下から選びなさい?
  1. Blizzard (World of Warcraft)
  2. Linden Labs (Second Life)
  3. Mattel (Hot Wheels、Barbie Girls、他)
という問題をScientific Americanが7月13日に出していた。当然それはMattelで、Barbie Girls(ベータ版)は運用開始60日で300万人の会員を集め、毎日5万人が加わっている。Second Lifeが100万人に到達するまでに1年かかったことを考えるととてつもないスピードで会員数が増加している。

NYTは6月6日の記事でキッヅ向けバーチャルワードのトップサイトを上げていた。Nielsen//NetRatingsのデータによればClub Penguinが2007年4月時点で400万人以上、Webkinzが約390万人、Stardollが124万人となっている。前年同期の数倍から10倍以上の伸びを見せている。
以前、SonyがClub Penguinを5億㌦で買収するという噂があったが、あながち噂でもなさそうと思えてしまう。
また、GigaOMがトップ10MMO (Massively multiplayer online worlds) として以下をリストアップしている。このうち半数近く(Habbo Hotel、Club Penguin、Webkinz、Gaia Online)はキッヅ向けバーチャルワールドとなっている。これにはキッヅ中心のソーシャルネットワークであるZwinky、NeoPetsなどは含まれていない。
  1. World of Warcraft, released 2004 - 8.5 million subscribers
  2. Habbo Hotel, released 2000 - 7.5 million active users.
  3. RuneScape, released 2001 - 5 million active users.
  4. Club Penguin, released 2006 - 4 million active users.
  5. Webkinz, released 2005 - 3.8 million active users.
  6. Gaia Online, released 2003 - 2 million active users.
  7. Guild Wars, released 2005 - 2 million active users.
  8. Puzzle Pirates, released 2003 - 1.5 million active users.
  9. Lineage I/II, released 1998 - 1 million subscribers.
  10. Second Life, released 2003 - 500,000 active users.

Source:NYT / Doll Web Sites Drive Girls to Stay Home and Play
Source:Scientific American / Guess who just launched fastest-growing virtual world ever?
Source:GigaOM /GigaOM Top 10 Most Popular MMOs
Source:GigaOM /World of Barbie-craft: 3 Million Sign-Ups in 2 Months!

インタラクティブゲームからアバター、バーチャルアイテム、チャット、山や洞穴まであるおとぎの国までそろっているバーチャルワールドに若年層ユーザが集まっている。

NYT(Hitwiseのコメント)によればキッヅやティーンエージ向けサイトは前年比68%のトラフィック増、
夏休みや学校が休みの時期にビジターが急増、(Forrester Researchのコメント)WOM (Word of Mouth) の効果によりインフルエンザでクラス閉鎖するようなスピードでキッヅ向けサイトへのアクセスが急増しているという。Gartnerはユーザ数を2,000万人と推定している。

キッヅ向けのバーチャルサイトには広告や製品プレースメントベースのところもあれば、バーチャルアイテム販売によるビジネスモデルを構築していたり、Club Penguinのようにバーチャルアイテム販売に会費制を追加したところもある。携帯 電話のクレジットで支払わせるモデルもあるので、ティーンエージャーよりも年齢の高いヤングアダルトまでカバーするサイトもある。

キッヅやティーンエージャーに加えヤングアダルトの関心も集め、自身のネットワークを広げ、自己を表現し、コミュニケーションをとることができるスペースを提供しているバーチャルワールドの動きに注目すべきだ。このバーチャルワールドでは特に「女の子」がアクティブだし、以下の書込みにもあるようにインターネットと女性の距離が狭まっている。

「女の子」から「デジタルマム」までを統合するマーケティング戦略の構築は、クライアントにとっても、マーケターにとっても非常に魅力的だ。Second Lifeに閑古鳥が鳴く出店を出すよりは大きな可能性が開けている。

参考:EIAA Digital Mums & Top 10 Hints
参考:Women: Internet Is Indispensable

2007/07/17

Email Marketing Statistics by Day and Time

2007年Q1におけるEmailの開封率、クリック率がeROIから出ている。
昨年Q2時点での調査と比べてみる。

上が2006年Q2、下が2007年Q1での曜日における開封率とクリック率だ。一見して土日の開封率が今年になって下がっているのがわかる。昨年はそれぞれ38.3%、37.1%と曜日別の開封率でもっと高かったわけだが今年は12%と14%だ。クリック率は昨年はだいたい5%(4.4%から5.4%の間)だったが、今年は平均すると3.5%強(2%から5%の間)と大きく落ち込んでいる。

eROIはこの原因としてまず季節要因を挙げている。季節がよくなると土日に外出する機会も多くなり、メールを開封しなくなるという説明だ。しかし、それなら月曜日の開封率が上がってもよさそうなものだが、月曜日も昨年の35.7%から今年は26%へと落ち込んでいる。

もうひとつeROIが原因として挙げているのは、Yahoo、AOLといったフリーメールプロバイダーが「画像off」をデフォルト設定としたため、土日の開封率が落ち込んだのは無理もないとしている。しかし、メールを開封しない限りonであろうと、offであろうと画像を目にすることはないわけで、画像off設定が開封率に関係するとは思えない。

また昨年の調査によると、、パーソナルユースのメーラーとしてはGmailがトップ、Yahooが2位だが、AOLは2%にしか過ぎない。AOLがどんなにユーザ数を伸ばしたとしてもYahooとAOLが設定をoffとしたからという説明に力はない。
次に上が2006年Q2、下が2007年Q1での時間帯ごとの開封率とクリック率だ。
深夜・早朝の時間帯では、深夜帯の開封・クリック率が上がり、早朝帯で若干開封・クリック率が下がっているように見える。
日中では総じて開封・クリック率ともに平均的に落ちているように見える。
Source:eROI /Email Marketing Statistics By Day and Time (pdf)
Source:eROI / Q2'06 eROI Email Statistics (pdf)
(pdfダウンロードには登録必要)

メールはオンラインマーケティングにおいて重要な位置を占めているが、個人ユーザの受信メール総数の増加、それに伴うSPAMの増加や画像off設定などによりROIが下がり続ける問題を抱えている。eROIなどが提供するエンタープライズベースのemailマーケティングシステムなどを使い、曜日や時間帯を特定し、コンテンツや仕掛けに力を入れ、LPOも最適化したとしても急激な改善は難しいように見える。

それだからこそeROIには納得できる調査分析を提供してもらいたいのだが...。

2007/07/16

Power to the People

Universal McCannが「Power to the People」というレポートを公表している。
これは全世界21カ国で、16歳から54歳までの約9,500名を対象とした調査だ。
サマリとして次が挙げられている。
  • ユーザは今、コンテンツ制作をリード
    • 全世界で1億7,000万人がBlogコンテンツを書いている
    • 21%はビデオをアップロードしたことがある
    • 46%のBlog読者は、自身でもBlog書込みを開始
    • 41%は写真のアップロード・共有したことがある

  • ソーシャルメディアがエンゲージメントをドライブ
    • 9ヶ月間でオンラインビデオの視聴経験は31%から62%へと倍増
      全世界の推定では3億3,000万人
    • 全世界の推定ではBlog読者は3億4,000万人
      最大のBlog読者を抱えるのは米国で6,400万人
    • ソーシャルネットワークを利用する16~54歳は推定1億9400万人

  • インターネット利用はアジアと新興市場がリード
    • 自己主張やCGMへのアクセス急増により中国が世界のソーシャルメディア消費を牽引
    • アジア圏ユーザがコンテンツ制作に最もアクティブ
さて全調査対象者の平均を100として、性別、年代、職業別ごとにインデックスで比較している。それを見ると、男性は平均よりROMが多く、女性はライターが多い。16~34歳まではROM、ライターともに多いが、年代が上がるとROMもライターも平均より大きく落ち込んでいる。学生および中間管理職手前の社員はROM、ライターともに多いが、年代の上がる中間管理職はROMもライターも平均より下がっている。上級管理職でROMが平均を若干上回っているのは、外部にアンテナを張っているということだろう。非事務職、自営、主婦、失業中はいずれもROM、ライターともに平均より落ちる。

若年層がBlogを読み、書き込む一方、わずかばかりの上級管理職がROMっているということだろう。(クリックで拡大)
全世界平均を見ると、60%近くがBlogに積極的な自己表示の意味を認めている。40%は重要なソーシャルツールだとし、39%はお気に入りのBlogがあると答えている。そして34%がBloggerの意見を信頼できるとし、33%はBlogを公表している企業に対する認識に肯定的なインパクトがあるとしている。

ところで英、米、豪、独の4カ国はBlogに対して自己表示、自己表現と認識している比率は低い。一方、アジア、南ヨーロッパ、ラテンアメリカではBlogを自己表示、自己表現と認識している。特に中国では他国に飛びぬけていて90%近くがそのように認識しているが、日本は50%に留まり、他のアジア諸国と比べても低い数字となっている。(注:Universal McCannのpdfでは日本を30%としている)
次にソーシャルネットワーキングを見ると、全世界でBlogの普及率31%に比べると若干それを上回る36%となっている。これはアジアでSNSよりもBlogの関心、普及が高いことが影響している。(下は前回調査と比較できる14カ国での数値)
さて21カ国のユニバースで1億4,600万人がSNSに参加し、全世界では1億9,400万人と推定されているが、目を惹くのは米国の4,127万人に次ぐ3,097万人を数える中国だ。そして1,261万人のブラジルも際立っている。
このレポートも参照しているInternetWorldStats.comによれば、中国のインターネットユーザは1.44億人だから22%、ブラジルは3,900万人の32%という高率だ。すでに成熟していると見られる米国の19.5%を上回っている。インターネットの普及がアジアや新興国で進めば、進むほどSNS参加率も上がって行くのだろう。
SNSを新しい人達との出会いの場としているかという面白いデータがある。全世界の平均は50%を若干下回っているが、フィリピン、中国、インド、ブラジルといった国が70%を超えている。しかし、ダントツの最下位は日本の20%以下だ。日本でもSNSは急拡大しているが、見知った友人、知人との旧交を温めるだけのスペースなのかしら?
この他に、「IMを使ったことがある」、「VoIPを使ったことがある」という調査で最下位は日本だ。そしてビデオクリップを鑑賞したことがある、SNSにプロファイルがある、ニュース記事を投稿したことがある、Podcastをダウンロードしたことがあるなど18項目におよぶ比較をすると、中国、ブラジル、メキシコ、韓国がトップ4、最下位争いは米国、パキスタン、日本、ドイツの4カ国だ。ここでもアジア、南ヨーロッパ、ラテンアメリカが上位を占めている。
レポートは最後にこの調査が指し示すものとして以下を挙げている。

ソーシャルインターネットのルール
ソーシャル志向のインターネットは、適切に対応すればブランド、広告主、マーケターにとって大きな機会を提供する。本当のメリットが創造される場所で消費者とより積極的な関係を構築する。それには対応すべき3つのテーマがある。
  • クリエイティビティ
    • グローバルなソーシャルメディアプラットフォームで流通されるべきブランドコンテンツを創造すること。消費者は自身をブランドコンテンツとして実行している。リソースに富むブランドが実行しない、できないという言い訳はあり得ない
    • スタティック(固定的)で、一方的なクリエイティブを捨て、消費者との対話を産み出せ
    • 真の意味での消費者メリットを創造するアプリケーション、サービス、そしてプラットフォームを開発し、エンゲージメントを加速せよ

  • 参加
    • 縦割り(孤立サイロ)型ブランドサイトを捨てろ。重なり合い、織り合わされたプラットフォームとコンテンツの世界では、孤立したブランドサイトはエンゲージできない
    • グローバルを志向しろ。すでに消費者は実行している。メディア消費およびソーシャルな相互関係は、国境ではなく言語で制限されているだけで国際化している。
      グローバルなブランドアイデンティティ、マルチマーケットキャンペーン、そしてグローバルな体制が喫緊の課題だ
    • ソーシャルプラットフォームをコミュニケーションミックスに取り込め。Bloggingプラットフォーム、SNS、ビデオそして画像共有サイトこそ、消費者が時間を過ごす場所であり、そしてエンゲージメントを獲得する機会がある場所だ

  • 相互作用
    • 消費者がブランドと相互に関係を創造できるようにせよ。ユーザ独自開発の広告、ブランドのBlog、そして継続するフィードバックが必要だ
    • 消費者に彼ら自身のブランドをオンラインで管理するツールを提供せよ
    • ソーシャルネットワークの中に存在しろ。プロファイルを作り、ネットワークを広げ、コンテンツを流通させ、そして広告やスポンサーシップを展開せよ
Source:Universal McCann / Social Media - Power to the People (pdf)

と、ここまで言われて日本のグローバル企業はどこまでグローバル戦略を構築できるのだろうか?本社の広報・宣伝部、ブランド担当部署、経営企画室などにグローバルなオンラインメディアの専門家がいる企業は何社あるのだろう?CMOがいる企業は何社あるのだろう?

メディアミックス・プランをすべて代理店に任せているだけなので、代理店が海外の提携先に丸投げしている実態があったとしても、企業側では上がってきた提案を精査することもできない。代理店は手離れの良いメディア、ROIの良いメディアを優先的にリストアップしてくるわけで、メディアミックス時点、および出稿後に工数が掛かるオンラインを中心に据えることはない。

NYTなどの著名メディアも紙の売上減をオンラインで補えてはいない。売上が伸びているオンラインに注力すればするほど紙の売上が落ちてしまうというジレンマを抱えている。これは代理店にも言える。オンラインを売っても、紙・TVの売上を担保することはできないからオンライン中心の提案はしない。

ここにあるのは「何がクライアントにとって最適なメディアミックスであり、ブランディング提案か」という問いが欠落していることだ。

また企業側も出稿エビデンスとしてティアシートやTVCFを積み重ねることができる既成メディアを偏重し、メディア消費の変革を無視している。海外子会社から上がってくる販促支援要請に従うだけで、ブランドの露出からオンラインユーザとのエンゲージメントへつなげる戦略構築は二の次となり、従来からの予算パターンで消化しているだけだ。

ここにも「消費者、ユーザとオンラインでエンゲージするためにはどうすればいいのか」という問いが欠落している。

1971年にJohn Lennonが発表した「Power to the People」は、確か「人々に勇気を」と訳されていた。

しかし、このレポートが意味することは2つある。

ひとつはLetting Consumers Control Marketing : Pricelessや、Mindset Shift Requiredで書いたように、背景としてすでにブランドのコントロールはブランド自身の手を離れ始めているし、パワーは消費者が握っているという理解が世界のCEO達にあることだ。また、直に消費者の変化、メディアトレンドを理解し、表層的な対応をするのではなく、コアの変化を理解した上で、もっとも求められている誠実で、平等な対話を、オープンに行うコミュニケーションやマーケティング戦略が必要とされていることだ。
そうすると「(Media) Power (is shifted) to the People」という意味が見えてくる。

そして2つ目は「(広告主、広告代理店の人々に勇気を」ということだ。

参考:Letting Consumers Control Marketing : Priceless
参考:Mindset Shift Required

2007/07/13

8 Seconds to Capture Attention

MarketingSherpaによると、Emailなどからテキストリンクをクリックしてアクセスしてくるユーザの50%は、8秒でランディングページのコンテンツを判断し、アクセスを継続するのか、中止するのかを判断するそうだ。また、Emailキャンペーンによる平均的ランディングページコンバージョン率は、無料の景品応募の場合5.67%から11.31%、E-commerceの場合5.67%から7.63%となっている。

もし、コンバージョン率がこれらの底に近い数字なら、是非、emailマーケティングの戦術転換を検討しなさいということで、SilverPopがランディングページのレポートを公表している。

その中のからいくつか拾ってみる。

Emailプロモーションコピーの繰り返しが鍵
クリックを誘導するemailのcall-to-actionとプロモーションコピーをマッチさせるランディングページは、コンバージョン率を向上させる。しかし、45%のランディングページはemail内のプロモーションコピーを、ヘッドラインで繰り返して使ってはいない。ランディングページの場所、位置
Emailのcall-to-actionをクリックしてくるユーザを、キャンペーンとは全く無関係なホームページへ誘導することは、ユーザが期待する結果と相違するため一般的にコンバージョン率を低下させる。しかし、17%のマーケターはまだ、ホームページにアクセスを誘導しているだけだ。
Emailキャンペーン独自のランディングページを構築すべきなのだが、B2Cで32%、B2Bで33%にしか過ぎない。リンクをクリックしてくれたユーザが示している信頼に応えておらず、コンバージョン率を向上させる結果につながっていない。
EmailとWebページは別物?
Emailをクリックしたユーザが期待している内容やページデザインと、ランディングページが全く違う場合、ユーザは引く。しかし、10人中3人のマーケターはemailにマッチしないランディングページにユーザを誘導し、彼らを混乱させている。
質問攻め
ランディングページに到着したユーザを見込み客として、個人情報や購入予定時期など、質問攻めにするのは間違い。途中で逃げ出されるのがオチだ。しかし、42%のマーケターは10個以上も質問事項を記入させている。
長文はだめ
よく言われるように簡潔に短くテキストを配置すべきだ。約三分の二が250字以下で説明しているが、25%は2回もページをスクロールする必要があるほどのテキストを書き込んでいる。
Source:Silverpop / Email Marketing Campaigns Need Better Landing Pages
(pdfを入手するにはemailのユーザ登録が必要)

SEMに加え、LPOが言われているがざっと見たところコンバージョンを上げるためのLPOを理解していないマーケターの方が多いようだ。B2CもB2Bも最適化されたLPOには程遠く、B2Cよりは少しましなB2Bもまだまだ改善の余地がある。