2008/02/29

The Brand Lift of Search

視線トラッキングのヒートマップでおなじみのEnquiroがGoogleと共同して行った「The Brand Lift of Search」というレポートが出ている。これは、来年中には新車購入を検討している25歳以上の2,722人を対象に行った検索結果とスポンサー広告、およびオーガニック検索結果と、ブランドの連想や自然想起などとの相関性を明らかにしたものだ。

被験者は、「fuel efficient car」というブランド色のない検索を行い、次のうちのいずれかのSERP(Search Engine Results Pages)を視認したグループに分類される。
  1. コントロール(SERPにHondaはない)
  2. サイドスポンサー広告にHonda
  3. オーガニック結果トップにHonda
  4. スポンサー広告トップにHonda
  5. スポンサー広告およびオーガニック結果トップにHonda
また、それとは別に「ブランド色のある検索」を行い、次のいずれかのSERPを視認したグループを出している。
  1. オーガニック結果トップにHonda
  2. スポンサー広告およびオーガニック結果トップにHonda
そして、100人の被験者を対象に視線ヒートマップ調査をしている。

さて、最初のグループでの結果だが、
  • 「fuel efficient car」を考えてHondaを連想する時、コントロールグループとスポンサー広告およびオーガニック結果トップにHondaがあるグループを比べると、その連想度は16%Up(他社との差は42%)
  • 「fuel efficient car」を検索して想起するブランドを訊ねると、スポンサー広告トップにHondaが来たグループはサイドスポンサー広告にHondaが来るグループの1.5倍、スポンサー広告およびオーガニック結果トップにHondaが来たグループは2.2倍の想起
  • コントロールグループと比べ、スポンサー広告およびオーガニック結果トップにHondaが来たグループは、Hondaを購入検討対象とする率が8%向上
  • SERPに広告のないブランドの購入検討する率は16%減少する
次の「ブランド色のある検索」を行ったグループでも;
  • オーガニック結果トップにあるグループよりも、スポンサー広告およびオーガニック結果トップにHondaが来たグループの購入意思は8%向上
している。

最後に、視線ヒートマップを行ったグループの考察が面白い。

下図上は、SERPで示された検索結果リストのどこに視線およびクリックが行っているかを示している。それによるとリスト項目の内容ではなく、URLおよびリストタイトルに視線が集中している。それゆえに、ブランドはオーガニック結果のタイトル、URL、そして内容の先頭に来るようにしたほうがベスト。

下図下はSERPでの全体的な視線分布、集中度を示している。それによるとブランドとの親近感が確立している被験者の場合、確立していない被験者よりも、スポンサー広告トップ周辺で視線を消費する時間は25%少なく、オーガニック結果リストへ移動するのが73%も早い。広告掲出により、それと関連するオーガニック結果に素早く移動しているわけで、購買プロセス上部地帯にいるユーザの情報検索に力を発揮しそうだ。
Source:Enruiro / The Brand Lift of Search
(注:ユーザ登録必要)

2008/02/28

Click Forensics Special Reports

「Class Action to Ask」で書いたようにクリック詐欺は留まることを知らず、Ask.comへの集団訴訟沙汰にまで発展している。

参考:Class Action to Ask (Online Ad 2008/1/22)

そこでClick Fraud Indexを出しているClick Forensicsから広告主と、出版メディア側へのレポートが出ている。

広告主向けの「7 Ways to stop & prevent click fraud」に7つの対策が挙げられている。しかし、右にあるように、毎日、広告主ごとにGoogleが14セント払い戻しているのが事実なら大変なことだ。
  1. クオリティの低いサイトへ広告出稿は中止
  2. クリックをモニター、コンバージョンのクオリティを日々の広告費と比較
  3. ターゲットしている地域のみに広告を出稿
  4. クオリティの低いトラフィックの時間をモニターし、コンバージョン向上と詐欺を減らすために広告出稿時間を変更
  5. クリック詐欺やクオリティの低いトラフィックを誘引するキーワードを排除
  6. 競合企業を特定し、ドメイン・IPでブロックして別のページへ誘導
  7. クリック監査プロと協力
次に、「How to boost your earnings per click」に出版側への対策が7つ示されている。
  1. ボットトラフィックをブロック
  2. 低いトラフィックをブロック
  3. クリックファームからのトラフィックをブロック
  4. 曜日、時間ごとにインバウンドトラフィックを最適化
  5. 地域ごとにインバウンドトラフィックを最適化
  6. サイトスコアを認識
  7. 関連情報を開示
Source:Click Forensics / 7 Ways to stop & prevent click fraud
Source:Click Forensics / How to boost your earnings per click

「Class Action to Ask」で示した2007年Q3のClick Fraud Indexで日本は中位程度の危険度だったが、Q4になると危険度は上がっているようだ。企業もメディア側も日本では、どこまでクリック詐欺対策をしているのだろうか?

Source:Click Forensics / Click Fraud Index

2008/02/27

Changing Expectations about the Web

SildeshareにIBMの「Enterprise 2.0 : Practical Tools and Approaches」というPPTが上がっていたので紹介する。

内容は下のスライドをクリックしていただきたい。(クリックでSlideshareへ)
目を惹いたのは次のスライドだ。
Lotus Connections用のプレゼン資料だが、ソフトウエア、コミュニティ、Web2.0を組み合わせて現状を説明している。

Webに対する変化する期待
Webに関係するコンポーネットとして「SaaS (Software as a Service)」、「Community力学」、そして「Web2.0」を挙げている。

  • SaaS
    • もはやパッケージソフトではなく、ASPでもなく、SaaS
    • ユーザが促進する採用
    • オンデマンドの価値
    • 低額な参入費用
    • 公共的インフラとして確立
    • プロバイダーと消費者間でタイトなフィードバック
  • Community
    • ユーザと価値
    • 推奨
    • SN機能
    • タグ
    • ユーザコメント
    • コミュニティでの権利管理
  • Web 2.0
    • 使い易く、レミックスし易い
    • AjaxなどのUI
    • フィード
    • 簡単な拡張
    • マッシュアップ

変革する世界
「(垂直・水平)階層」から「ネットワーク化された階層」へと図を示し、ビジネスに即応するソーシャルソフトウェアとして「Lotus Connections」を説明している。
Source:Slideshare / Enterprise 2.0 : Practical Tools and Approaches
Source:Slideshare

パッケージソフトやASPを既存メディア、広告代理店と置き換え、SaaSをオンラインマーケティングと読み替えれば、そのままグローバル企業に対するオンラインブランディングのプレゼン資料に使えそうだ。

2008/02/26

Mobile China

昨日に続き、M:Metricsから出された中国の携帯市場データを紹介する。

USやEU各国と同じ項目で比較した場合、携帯で音楽を聴取する率が極めて高いのが分かる。また、ゲームをダウンロードする比率も高い。
携帯市場シェアではNokiaが30.9%を押さえてトップだ。Analysys Internationalによれば2007年Q2では29.5%だったからQ4でもじりじりとシェアを伸ばしているようだ。

昨年9月に発表されたAnalysys Internationalの報告、「2007年Q2中国携帯市場」を見ると、3,485万台が販売されている。

内訳はGSMハンドセットが3,224万台、CDMAハンドセットが261万台だ。GSMは前期比7.4%減、CDMAは同24.9%増となっている。

やはりNokiaがトップシェアの29.5%、Motorolaが18.5%、そしてSamsungが10.8%となっており、この3社で58.8%を占めている。しかし、Nokiaは四半期ベースで1.8%増だが、他の2社はシェアを落としている。

ただ、CDMAではSamsungがトップシェアの24.1%、Huaweiが18.4%で追っている。

さて、中国市場では携帯で音楽を聴くユーザが驚くほど多いのだが、携帯メーカーごとにユーザの利用形態を見ると、Sony Ericssonと他社ユーザの違いが大きい。

ニュース・情報、ゲームダウンロード、写真送受信、着メロ、音楽といずれのカテゴリでもSony Ericssonユーザが他社ユーザを圧倒している。
Source:M:Metrics / China, the World's Largest Mobile Market (pdf)
Source:Analysys International / Mobile Phone Market in Q2 2007

2008/02/25

Growth in Mobile Music Adaption

M:Metricsから「Growth in Mobile Music Adaption」というデータが出ている。

まず米、EU、仏、独、伊、西、英の携帯関連の基礎データとカテゴリごとの比率を見てみる。

  • US、EUともにカテゴリの中でSMS広告受信が最大
    • EUは携帯所有者の53.3%が受信
    • USは携帯所有者の20.6%が受信
    • ただし独は34.3%でEU内では最低
  • 次に多いのは写真やビデオの送受信
    • EUで27.5%
    • USは20.5%
    • 西は全体で最大の31.7%
  • 三番目に多いのはUE、USで分かれている
    • EUでは音楽が15.8%
    • EUの中でも西がだんとつの20.0%
    • USはニュース・情報で12.6%
となっている。

そこでEU、USの携帯による音楽消費を見ると、USの5.7%から20%と最大の西まで、全体の10.7%が携帯で音楽を消費している。ただし、携帯へ直接ダウンロードするよりはPCからダウンロードしているのが大半、84%前後だ。そして友人・知人から携帯へ送られてきた音楽を消費することが多い。特にUKと仏は12.5%にもなる。
Source:M:Metrics / Growth in Mobile Music Adaption (pdf)

2006年11月と2007年11月を比較すると、携帯での音楽消費は50.7%も伸びており、特にUSは63.6%と最大だそうだ。

Morgan Stanleyの資料を見るとオンライン音楽販売は2006年に前年比107%増の200億㌦に達し、2007年Q3でもiTunesからの音楽・ビデオダウンロードは前年比111%増を予想している。
Source:Moragan Stanley / Future of Media Conference (pdf)

2008/02/22

Growth through CSR

IBM Global Business Servicesというところから、「Attaining Sustainable Growth Through Corporate Social Responsibility」という資料が出ている。

CSRやGC、Fair Trade、環境などに関して以前も書いてきた。その中でも「Global Compact and ISO 26000 (CSR)」で触れていたように欧州ではEUが音頭をとった「Business Case for CSR」というセミナーが2004年に開催されており、Shell、Uniliverなどが倫理的な側面ではなく、CSRをビジネスコアのひとつとして捉え、企業価値を高めながらビジネスとして推進してゆく姿を紹介した。

参考:Global Compact and ISO 26000 (CSR) (Online Ad 2006/11/29)
参考:CSR (Online Ad)

それから約4年たった今年、IBMが行った調査の対象である全世界250社の対応は、合計すると;
  • 68%は新しい収益源としてCSR活動にフォーカスしている。(右図)

  • 54%はCSRが競合他社に対する優位性をすでに発揮している
と回答している。

68%が多いのか、それとも少ないのかは別として、確実に「CSR」が企業活動に組み込まれてきているのではないだろうか。

ただし、そうなるためにはいくつかのステップが必要だ。下図のように、左から右へ右肩上がりのカーブをたどり、成長軌道に乗るためには時間がかかり、マインドセットの転換、ROI算出など難題もある。

特に踊り場的な「Efficiency」段階で、ビジネス効率やWin-Winシナリオから計測できるコスト削減をやりぬくにはCEOなど経営陣の英断が必要なのかもしれない。さて、日本のグローバル企業はこの「CRS価値カーブ」のどこまで到達しているのだろう。
Source:Marketing Charts / Businesses Find Case for Social Responsibility
Source:IBM / Attaining Sustainable Growth Through Corporate Social Responsibility
Source:IBM / pdf (pdf)

資料には「情報:可視性から透明性へ」というセクションがある。「10年前に比べると今日の消費者は情報の雑食動物で、驚くべきスピードで情報を食い尽くしている」と書いている。

その興味は栄養、健康、サステイナビリティなど多岐にわたり、2年前と比べると自分が買う食べ物に関する情報が英国で57%、米国で59%も増えているそうだ。

また、インターネットのおかげで企業活動がより可視化されているのと同じように、消費者や他のステークホルダーはその可視性に慣れている。だからこそもう一段上の「透明性」を求めている。
  • 調査対象企業の75%は、彼らの事業に関する情報を収集するアドボカシーグループの数が過去3年間で増加した

  • 同じ75%は、彼らが販売する製品やサービスの原材料、社会的および環境への影響に関する情報提供が過去3年間で増加した
と回答している。

もはや情報提供を十分に行うことだけでは消費者・ステークホルダーの満足は得られない。アドボカシーグループとの共同作業、Crowdsourcingなども必要かもしれない。

2008/02/21

Top 10 Application-Design Mistakes

Jakob NielsenのWebサイト、Useit.comに「アプリケーションデザインで犯す10大ミステイク」というのがあがっていた。
基本的にWebベースのアプリケーション、UIを取り上げて、開発意図とユーザ理解の違いから起こる間違いを教えてくれる。
  1. 標準的ではないGUIコントロール
    リンクしないコマンドリンク、チェックのつかないラジオボタン、リストが表示されないプルダウンメニューなどは論外だが、クリッカブルだと思うボタンがクリックできないことはたまにある。

  2. 矛盾するデザイン
    同じものを説明する際、別の言葉、表現、パターンを使うケースもたまに見る。

  3. 知覚できない操作方法
    チェックボックスならチェックし、スライドバーならドラッグすることは理解できる。が、全く初めてのUIに直面した際、どこに何があるのかも分からず、手当たり次第にクリックしたことはありませんか?

  4. フィードバックなし
    システムが何らかの処理を実行している際、それをフィードバックしないことが多々ある。そのためユーザは何がおきているのか分からない。「1秒以上コマンド処理がかかる場合=ビジー」、「10秒以上かかるなら=プログレスバーを表示」するだけでユーザを逃がすことはない。

  5. 分からないエラーメッセージ
    これは結構出くわすことがある。「何かがうまく行っていない」とはメッセージが表示されるが、「なぜ、どうして」という理由を説明してくれるメッセージは少ない。

  6. 同じ情報を何度も入力させる
    折角、十数個の個人情報を入力した何ページか後で、同じ情報を入力させるシステムはある。

  7. デフォルト値なし
    デフォルトは「選択スピードを上げ」、「サンプルとしてユーザに伝え」、「初心者を導く」ことができる。それがないと移り気で、ワンクリックで逃げ出してしまうユーザの気を引き、次へ進ませるのは難しい。

  8. 分かり易いコンセプトなしでユーザにアプリを使わせる
    PowerPointなら大抵の人はそのコンセプトを理解しているし、分からないところは誰かに聞ける。が、アドバイスやアシスタントがいない環境で全く初めてのUIを理解することは難しい。

  9. 情報利用目的を告知しない
    何も知らせずZipコードを入れたら次のページを見せるようなケースは、個人情報の悪用を恐れるユーザは逃げ出してしまう。

  10. システムセントリックな機能
    開発側が意図する機能、フォーム、データの見方をベースとしたアプリは、ユーザ視点が欠落している可能性が高い。

  11. ボーナス:Webフォームでのリセットボタン
    フォームで様々な情報を入力させる際、リセットボタンだけを置いておくのは間違い。ユーザが費やした時間と労力に敬意を表するためには「再確認」ボタンも必要。
Source:Useit.com / Top 10 Application-Design Mistakes

このアプリデザインとユーザの関係をマーケターとカスタマー・プロスペクトに置き換えてみるとなんだか同じような問題、ミスを犯しているように思える。

2008/02/20

Social Researchers

Power reviewsから「Merchant and Customer Perspectives On Customer Reviews and User-Generated Content」という新しい調査が出ている。これは文字通り、Eコマースにおける消費者の製品・サービスレビュー効果を分析したものだ。

その調査の消費者セクションに、「ソーシャルリサーチャー」という定義がある。これは製品・サービスの購入前に、必ずあるいは大抵、カスタマーレビューを探し、読むことにしている消費者、オンラインショッパーを言う。Power reviewsの調査では65%が「ソーシャルリサーチャー」に当てはまるとしている。またこのグループは、アクセスする領域のすべてでレビューに関与、関係する率が、平均的なオンラインショッパーより20%も高い、彼らの特徴は以下の通り。
  • 78% 10分以上レビューを読む
  • 86% レビューは非常に重要、あるいはとても重要だと判断している
  • 76% レビューの「最高評価を受けている製品」リストは非常に重要、あるいはとても重要だと判断している
  • 64% 買う予定の製品の半分以上をオンラインでリサーチする(ショップ・Web・通販で買おうとも)
この背景を元に小売側はWebサイトにレビューセクションを設け、積極的に「ソーシャルリサーチャー」を支援している。カスタマーレビューを追加することによるもっとも期待する項目3つを以下にあげている。上位3項目は58%:カスタマーの経験、47%:カスタマーロイヤルティ構築、42%:販売増加となっており、製品・サービスを購入したカスタマーのユーザ経験を活用し、コミュニティ構築からエンゲージメントを増強、拡張したいということが明らかだ。だが、当然のごとく、その効果を推し測ることはそう簡単ではない。下のように効果が分からないというのが63%にも達している。ただし、「レビューが多ければ、ないものよりと同等あるいはそれ以上売上が伸び、一方では返品が減少している。それはカスタマーがより告知されているからだ」というコメントが多くの小売業者から寄せられているようだ。
また、平均購買単価に関して次のコメントもある。「評価の高いレビューがあると、カスタマーは松竹梅のうち、松や竹を選択するので単価があがる」

Source:Powerreviews.com
Source:Power Reviews / New Study (pdf)
注:ダウンロードにはユーザ登録必要

このソーシャルリサーチャーという点はB2Cだけに特異な傾向、現象だろうか。当然、B2Bにも適用される。購買プロセスがB2Cに比べ長期、多人数、かつ多様な権限による決定プロセス、そして大きな予算規模に見合うROIが求められるだけに、「既存ユーザの声」はB2Bバイヤーにとってそれこそ「天の声」になる。

また、カスタマーレビューとは、「someone like me」 が評価するため、もっとも信頼がおけると多くの調査でも判断されている。これもB2Cであれ、B2Bであれ同様に適用される。

この調査は最後に「ロイヤルティ」を取り上げている。「カスタマーレビューがカスタマーロイヤルティにインパクトを与えている明白な証拠はあるか?」という設問に対して、量販店大手は、「レビューを書き込んだカスタマーは通常より20%~30%もリピート率が高い」と回答し、別の業者は「リピート客が20%増加した」と答えている。新規顧客を獲得するには既存顧客保持に必要なコストの5倍がかかるといわれているが、そのROIは明らかではないだろうか。

2008/02/19

Public Service Advertising

去る1月30日から、米国の赤十字は、「Change a Life」という今年のPSA(National Public Service Advertising)キャンペーンを開始している。

これは印刷、TV、ラジオ、オンライン、屋外向けに英語とスペイン語で用意された広告原稿を提供し、キャンペーンの意図に賛同するメディアにスペース、時間などを寄付してもらうことで(広告)キャンペーンを実施するものだ。このキャンペーンに賛同したメディア企業は、赤十字が行うキャンペーンメッセージを米国の人々と共有することで、企業価値を広く知らしめることができる。

最後のソースでリンクしているページへ行くと、TV、ラジオ、印刷、オンライン、そして朗読用の広告素材が選択できるようになっている。

Source:PR Newswire / American Red Cross Launches 2008 National Public Service Advertising Campaign
Source:American Red Cross / PSA Launch
Source:American Red Cross / Public Service Advertising

このPSAキャンペーンの対象はメディアだが、これを一般企業そして、インターネットユーザに広げることはできないだろうか。一般企業の場合、何らかの企業広告の一翼を担いかねないため、そして一般のインターネットユーザも何らかのひも付きになる可能性を否定できないために踏み出していないのだろう。

だが、メディア企業だからといってもリターンなしでこのキャンペーンに賛同しているわけではない。また、そのリターンをテコに賛同、支援を促進しているわけだ。そうであれば、是非、一般企業およびインターネットユーザにも開放してほしいキャンペーンだ。

2008/02/18

Deutschland Online 5 -2

先週の12日に「Deutschland Online 5?」を書いた。

昨年の「Deutschland Online 4」は厳格な著作権で紹介できず、「Deutshland Online 5」では4ページしかないpdfだと噛み付いたわけだが、その後、ドイツ在住の読者から突然emailをいただいた。

ご親切に52ページものの「Deutshland Online 5」本編へのリンクをおしえていただいたので下にあげさせていただきます。

参考:Deutschland Online 5? (Online Ad 2008/02/12)
参考:Deutschland Online 4 (Online Ad 2007/02/08)
Source:Deutchland Online 5 (pdf)

なお、前回は以下のように書いた。

要約の最後に「世界経済発展の起爆剤としての国際的なブロードバンドの成長」という一節がある。「ブロードバンド化は世界各国で進み、国際競争力に重要度 を増している。将来、情報社会における米国の占有力は弱まる」と書きながら、「コミュニケーションとエンタテイメントが国際面からももっとも注目される サービスだ」としている。 このコミュニケーションとエンタテイメントのリソースが米国である限り、米国の占有力は弱まるどころか、一層、強固になると考えているだけに、もっと詳しいデータやアナリストの意見が聞きたい。

が、本編を見ると、同じ文脈で語られてはいなかった。

米国の占有率が弱まるというのは、「今後数年、ブロードバンド化されたインターネットマーケット、そして情報社会への発展に中心的な役割を果たす国・地域はどこか」という設問に対して、非常に重要、重要と回答された合計%を見ると、米国は2007年の82.9%をピークとして2015年には77.1%へ低下、アジアは28.6%が82.8%へ、そしてEUは54.3%が74.3%へ上昇するという結果を要約したものだ。

そしてこれを推し進めるのは「コミュニケーションとエンタテイメント」というわけではなく、各国・地域のインフラ整備によるブロードバンド普及率だとしている。

「コミュニケーションとエンタテイメント」が国際面でもっとも注目されるというのは、VoIP、モバイルインターネット、ビデオオンデマンド、Eコマース、トリプルプレイ、IPTVなどのブロードバンドサービスが上げられており、米国のコンテンツ産業を引き合いに出したものではなかった。

前回の書き込みは、筆者の早とちりだった。

2008/02/15

Winning In a Web 2.0 World

Coremetricsから「Winning in a Web 2.0 World : Metics-Driven Success」というホワイトペーパーが出ている。

これはLIVE(Lifetime Individual Visitor Experience)プロファイルというオンラインでのビジター行動を指標として使い、クロスチャネルでの行動を理解し、カスタマーとマーケティング活動両方の価値を正確に測ろうとするものだ。

LIVEプロファイルを理解するためにひとつのシナリオを挙げている。
  • ビジターであるトムが検索エンジン広告経由でサイトへアクセス
    トムは何ページか見た後に、RSSフィードとEmailニュースレターを登録してサイトを去る
  • トムは定期的にRSSフィードを読み、ファイナンスに関する新しい「How to」ものへアクセスする
    彼は記事を読み、不動産ローンページを見て、サイトを去る
  • 企業はここでトムに最近の不動産ローン利率をEmailでプロモート
    トムはサイトにアクセスし、利率をチェック、計算シミュレーションを試して、サイトを去る
  • トムはファイナンスサイトのBlogエントリを読み、ぺーじにあった企業の広告をクリックし、
    利率を再びチェック、シミュレーションをチェックして、サイトを去る
  • トムはその後、直接、企業サイトへアクセスし不動産ローンを申し込む
このシナリオをセッションベースで見ると、企業側のマーケティング活動を過小評価することになる。あるいは最後のトムの行動によるコンバージョンを過大評価してしまう。
そこでCoremetricsは、シナリオをセッションベースの視点で再評価する。
  • 検索エンジン広告はコンバートせず
  • RSSはコンバートせず
  • Emailはコンバートせず
  • Blogはコンバートせず
  • 直接アクセスがコンバートした
セッションベースのデータからはコンバージョン率は20%となってしまう。コンバージョン結果につながらなかった80%のセッションは、明白な価値はないことになる。

しかし、ビジターベースの視点で見ると;
  • 検索エンジン広告、RSS、Email、Blogそして直接アクセスのすべてがひとつのコンバージョンに貢献しており、結果的に100%のコンバージョン率を達成している
  • ビジターの100%が顧客にコンバートしたことになる
Source:Coremetrics / Winning In a Web 2.0 World (pdf)

セッションベースをとると、検索広告、RSS、Blog、そしてEmailマーケティング予算を削減することになるかもしれない。しかし、それらの露出、接触はトータルとしてトムがコンバートする要因であり、そのいずれかが欠けていたとするとタッチポイント不足で最終的なコンバージョンに結びつかなかったはずだ。

Web2.0が叫ばれて久しいが、まだまだ従来からの既成メディアを利用したプッシュ型マーケティングをそのままWeb世界へ移行させただけの実践が幅を利かせている。特定メディアでの露出、ひとつのタッチポイントがすぐさまコンバージョンへ帰結する昔とは違い、メディアやその消費パターンをユーザがコントロールし、そして自身がメディア化することで無限のタッチポイントが発生、波及している。この現状では、輻輳する多様なチャネルをカバーする指標が必要だ。また、それを前提としたクロスメディアマーケティングが重要になっている。

参考:Infinite Touch Points (Online Ad 2008/01/16)

2008/02/14

B2B Blogging

Forrester Resarchが、Web 2.0およびカスタマーマーケティングに関してB2Bマーケティングの調査を行っていた。その中で、「企業におけるBlog活用に関する状況」を示すものがある。

それによると、以下のような結果となっている。
  • 7%   Blogはマーケティングの重要なエレメント
  • 8%   アクティブにBlogをプロモート
  • 14%  Blogの価値が不明だが、役に立つと考える
  • 5%   Blogをしてはみたが、うまく機能せず、期待する効果が得られない
  • 11%  Blog効果を活用できない
  • 36%  Blog実験中
  • 20%  Blog必要性を認めず
Source:BtoB Online / More than half B2B markters don't have corporate Blogs
Source:Forrester Research / Forrester's B2B Syrvey : Web 2.0 and Customer Marketing

上でForresterのグラフと項目の順番を変えたのは、ロジャースのベルカーブと比較するためだ。

ロジャースによると、イノベーターおよびアーリーアダプター層を合計すると16%となる。それをForresterの項目、1番目と2番目だとすると15%となる。
また、アーリーマジョリティは34%だが、Forresterの3、4、5番目を合計すると30%となる。
そして、レイトマジョリティは34%だが、Forresterの6番目は36%となっている。
最後にラガードは16%で、Forresterの7番目は20%となっている。

B2BにおけるBlogも、おおよそロジャースの分類比率と同じような比率になっているのではないだろうか。
  1. イノベーター(革新的採用者)--------------2.5%
  2. アーリーアダプター(初期採用者)---------13.5%
  3. アーリーマジョリティ(初期大量採用者)----34%
  4. レイトマジョリティ(後期大量採用者)-------34%
  5. ラガード(伝統的懐疑主義者)-------------16%
どの時代にも新しい技術、製品、サービスが誕生し、それが社会へ普及してゆく。それが電話機であったり、TVだったりしたが、今、世界を変革しつつある新しい技術やサービスというとインターネットであり、Blogだろう。この技術やサービスを使って個人がメディアとして、啓蒙者として、インフルエンサーとして、共有者として情報を発信、拡散、伝播している。

そしてB2C企業もこの大きなうねりの中で、スタティックなWebページではなく、ダイナミック、かつオープンで、公正、平等な会話を行うツールとしてBlogを活用し始めている。B2BでのBlog、企業CEOによるBlogや製品・サービスBlogも、今、ようやく普及期を迎えているのではないだろうか。

以前、「The Future of the Internet」で書いたように;
技術の進歩に後れてしまうラガードはいつの時代にも存在する。ロジャースの「Diffusion of Innovation (Innovation普及学)」が示しているように; ラガードは、社会システム内で孤立し、彼らが原点とするのは過去だ。決定権を握るのは前はどうだったかということで、比較対照する情報が不足しているため技術革新、新製品に疑いを持っている。だから最後まで、新製品や技術革新を採用することはない。
今、イノベーターとアーリーアダプターがBlogを積極的にマーケティングに取り入れている。若干のアーリーマジョリティ層がそれを追随している状況だ。今年中には、レイトマジョリティとラガードとの大きなギャップが可視化されるのではないだろうか。

参考:The Future of the Internet II (Online Ad 2006/09/27)
参考:Why CEOs should learn to love the blog (Online Ad 2006/11/28)
参考:Best Blogs of 2007 (Online Ad 2008/01/17)

2008/02/13

Web2.0 Experience

Adobeの一部であるScene 7から「Web 2.0 Experience 2008 and Beyond」という調査データが出ている。

2008年、オンラインビジネスはユーザー経験を強化するためにどういった手法、中でもWeb 2.0と呼ばれる手法、ツール、技術、そしてどういったタイムフレームで採用するかを調べたものだ。
  • 三分の一はズーム、複数視点からの代替図を採用しており、他の手法と比べ10%から30%も効果が高いと評価

  • 25%はマイクロサイト、ビデオ、オンラインカタログ、Blog、色変更、RSSなどを上記同様に効果が高いと評価
  • 50%以上はWeb2.0系のRIA(Rich Internet Application)を今後6ヶ月以内に採用予定、93%は1年以内に採用予定

  • 360度スピンを非常に効果が高い機能の一つと評価
  • 採用予定機能として、M-Commerce、URL/Widget共有、360度スピン、ユーザレビューが人気
  • 機能強化の前提としてクリック・コンバージョン増を指標とするが、40%以上は質の高いフィードバック、売上増加を機能強化の効果指標としている

Source:Scene 7 / News (pdfはユーザ登録必要)

この調査の対象となった347社の55%は、小売、広告代理店、コンピュータハード・ソフト・サービス、そして消費財メーカーとなっている。特に小売が25%を占めているので若干B2Cに偏重している傾向はあるだろうが、ビジネスサービスが3.5%、産業機材メーカーが4.3%となっているのでB2B系もカバーはしている。

計画したWeb2.0採用(一番上の図)で1番目は「複数視点の代替図」、2番目に来るのは「ユーザ評価、ランキング、コメント」、3番目が「ビデオ」、4番目が「Blog」となっている。これは、押し付けではないユーザセントリックな対話、マルチメディアを活用した情報共有と消費促進、そしてユーザ・消費者からの情報発信による情報伝播がB2BでもB2Cでも変わらずにテーマになっていることをうかがわせる。

いつまでもスタティックなWebページで情報の共有、消費、発信ができないことを理解しているのだろう。

2008/02/12

Deutschland Online 5?

昨年、「Deutschland Online 4 (2007)」を紹介したが、今年もDeutsche Telekom AGから「Deutchland Online」が出ている。

昨年は50ページの英語版pdfを紹介しようにも厳格な著作権による制約があり果たせなかった。今年はどうなるのかと期待と不安で待っていたが、不安が現実になってしまった。今年は英文4ページで終わり、グラフも表もなく、概要の要約しかない。

一体全体、何のための英語Webページ、英語pdfなのだろうか。仕方がないので4ページpdfから幾つか拾ってみる。
  • ブロードバンド
    • 2015年までに3,000万弱のブロードバンド回線
    • 30%前後は16Mbps以上の帯域利用
    • ITC業界規模は独GDPの12%弱に達する

  • モバイル&Web2.0
    • 2015年までにモバイルブロードバンドは20万回線以上
    • ソーシャルネットワーク、フォーラムの存在感増大

  • バンドルサービス
    • 2015年までにトリプルプレイ、クアドプルサービスが50%前後
Source:Deutschland Online
Source:Deutschland Online (pdf)
参考:Deutschland Online 4 (Online Ad)

要約の最後に「世界経済発展の起爆剤としての国際的なブロードバンドの成長」という一節がある。「ブロードバンド化は世界各国で進み、国際競争力に重要度を増している。将来、情報社会における米国の占有力は弱まる」と書きながら、「コミュニケーションとエンタテイメントが国際面からももっとも注目されるサービスだ」としている。

このコミュニケーションとエンタテイメントのリソースが米国である限り、米国の占有力は弱まるどころか、一層、強固になると考えているだけに、もっと詳しいデータやアナリストの意見が聞きたい。

2008/02/08

Super Bowl 2008

Super Bowl 20が終わり、いろいろなところからレポートが出てきているので紹介する。

まずUSA TodayのAd Meter resultがある。これは視聴者パネルが判断する広告の好き嫌いのレスポンスを1秒ごとに集計した人気投票だ。それによればBudweiserの犬と馬のロッキーものが8.73でトップ、DoritosのKina Grannisのミュージックビデオが4.50で最下位となっている。下図のように55個の広告ごとにビデオが視聴でき、視聴時間ごとに総合スコア、視聴者の年齢、性別、年収が表示される。
Source:USA Today / Ad Meter

ForresterのJeremiah Owyangは、twitter.com/superbowladsを立ち上げ、スーパーボール広告を5星評価させていた。合計すると試合中に2,500件以上の評価が集まった。それを同僚のJosh Bernoffが分析している。

どの広告も肯定、否定的な評価があるが、Joshは4つ星以上の評価%から2つ星以下の評価%を引いたネット肯定というランキングを行っている。平均値として4.32をあげたCo-ca ColaのCoke Ballonがトップになっている。
個人的にも下のCoke風船はお気に入りだ。


Source:Web Strategy by Jeremiah / Rate the SuperBowl ads
Source:Twitter.com / Superbowlads
Source:Forrester Groundswell /Analyzing the Twitterati's take on the Super Bowl Commercials

次にViral Video ChartのSuper Bowl 2008を見ると、Pepsiの「Magnetic Attraction」が170万回以上の視聴、338のBlogエントリ、2,000本以上のコメントを獲得してトップとなっている。

Source:Viral Video Chart / Super Bowl 2008

最後にRepriseMediaのSearch Marketing Scorecardを見ると、昨年同様4つのカテゴリに分けて各ブランドの広告戦略を評価している。
  • タッチダウン
    • Pepsi、GoDaddy、Cars.com、T-Mobile、Tide、CareerBuilder
  • ファースト&ゴール
    • Chase、Diet Pepsi Max、Gatorade G2、GMC Yukon Hybrid、New Line Cinema、Bridgestone、Salesgenie.com、UnderArmour
  • ヤードロス
    • NFL、Dell、DunkinDonuts、Nissan Murano、Ford Edge、Toyota、Toshibaなど
  • ファンブル
    • Paramount、Chevrolet、Taco Bell、Fedex、Disney、IdeaCast、Prudentialなど
加えてRepriseMediaは勝者と敗者という記事も出している。昨年同様にFinal Scorecardが出てくるだろうからそれを待ちたい。

Source:RepriseMedia / Super Bowl 2008 : The Winning Brands
Source:RepriseMedia / Super Bowl 2008 : The Losing Brands
Source:Reprise Media / SearchMarketingScorecard (pdf)
参考:Super Bowl Final Scorecard(Online Ad)
参考:Super Bowl Ad Effect (Online Ad)

2008/02/07

Firefox2 vs. IE7

以前、「Browser War」でXiTi Monitorを紹介したが、昨年末での普及率データがある。過去のFFデータと合わせて紹介する。
  • 地域    6年11月→7年3月→7年7月→7年12月(FF普及率%)
  • オセアニア 23.4%→24.8%→28.9%→31.1%
  • ヨーロッパ  23.2%→24.1%→27.8%→28.0%
  • 北米     14.5%→15.1%→18.7%→21.0%
  • アフリカ   12.4%→13.1%→14.7%→16.6%
  • 南米     11.1%→11.9%→15.5%→20.2%
  • アジア    11.8%→11.9%→14.3%→16.5%
FF2はじわりじわりと、着実に普及シェアを伸ばしている。北米および南米が大きく伸びて20%の大台を超えている。欧州では昨年7月に安定期に入ったと判断されていたが、シェアを小幅ながら積み上げてきているのはFF2の認知が高まったからだろう。またIE7が欧州でも躓いているということだ。とにかく今後も、他地域での普及向上は止められないレベルだ。
欧州32カ国だけのシェアを見ると、IEがシェアを66.9%から66.1%へ減らしている。Mozilla(FF)が27.3%から28.0%へ2%アップしている。
欧州32カ国の家庭内での普及率は、FFそしてIEのバージョンごとのシェアだが、FF2は93%(昨年7月比10.2ポイントアップ)、IE7は46%(同12.1ポイントアップ)となっている。

確か2006年11月からIE7の提供をしていたはずだが、XPを対象としているといっても1年がかりで50%に届いていない。まだXP以前のOSを利用しているユーザが多いし、Vistaもこれらか普及を迎えるということだろうか。
Source:XiTi Monitor
Source:XiTi Monitor / Browsers Barometer (pdf)
参考:Browser War (Online Ad)

これから2~3カ月中にはFF3のリリースが予定されているが、その際、FF2からFF3への移行具合によって、FF3の真価が問われることになる。

2008/02/06

Virtual World Updates

K Zeroがバーチャルワールドの登録ユーザ数予想を行っていた。

上図は1月23日にアップされたものだ。実は10月14日(Metaverse growth forecasts)でもやっていて、それではClub Penguinが3,000万、Second Lifeが2,000万と予想していた。それからすると今回はより現実に近い予想のようだ。今回はClub Penguinが1,500万、SLが1,200万となっている。しかし、目を惹くのはHabboの大躍進だ。

2000年にフィンランドで生まれたHabboはティーネイジャー向けのバーチャルワールド、SNSだ。現在までに日本を含む31カ国にローカルサイトが誕生している。

2007年10月に8,000万、2008年1月で8,600万登録ユーザを記録している。この調子なら今年中にK Zeroの予想を大きく上回り、ひょっとして1億の大台に乗るかもしれない。10代前半のユーザにとって「must」に近いサイトになりつつあるのだろうか。

ユニークビジターは毎月830万人、Page Impressionが8億@月、そして平均滞在時間が36分@セッションと聞けば、B2CあるいはB2Bのマーケターでなくてもよだれが垂れるような数字だ。これほどのエンゲージメント、StickinessこそSNSの真髄だろう。

さて、K Zeroは各ブランドごとのバーチャルワールド進出比較表も挙げている。それによれば、ToyotaはSecond Lifeなど5箇所に進出していることが分かる。他社では最大2箇所なのでToyotaのバーチャルワールド参加が飛び抜けている。様子見や、及び腰の他社に比べれば、腰の入ったマーケティングだと思われる。ただし、ROIはどうなっているのだろう?
Source:K Zero / Metaverse growth forecasts
Source:K Zero / Looking across the metaverses. Total registered accounts. 
Source:K Zero / The Explorers. Marketing activity across multiple worlds
Source:Sulake / Habbo's Avatar Count Rise to 80 Million
Source:Sulake / Habbo - Where else?
参考:Automobiles in Second Life (Online Ad)

ところでSecond Lifeの現状を見ると、経済指標であるLindenXも、ユーザ消費時間&同時ユーザ数も2007年後半に入ってから停滞している。LindenXのグラフには右肩上がりの赤矢印があるがどう見ても昨年は停滞している。これは昨年7月のギャンブル禁止やVAT導入などが影響しているのは事実だが、テクニカルトラブルが多いこともその一因ではないだろうか。これにサブプライム問題の影響が大きくなれば今年の更なる飛躍はあまり望めないのでは...。
Source:Second Life Blog / Solid growth in Q4

2008/02/05

World Internet Users Update

WorldInternetStats.comによると2007年12月でインターネットユーザは13億を超えている。2005年末で10億1,834万人、2006年末で11億1,427万人、そして2007年末で13億1,987万人になったわけだ。この1年間で2億人以上も増えた勘定になる。

地域的にはアジアが5.1億人、欧州が3.5億人、北米が2.4億人と三強だが、アジアのシェアは2006年末の36%から2.7ポイントもアップし、他地域を圧倒しつつある。しかし、シェアを減らす欧州や北米と比べ、アフリカや中南米が元気だ。いよいよインターネットが途上国でもメディアとして人気を博してきたようだ。

国別では中国が2.1億人、米国(11月30日時点)が2.15億人だが、それこそいつ中国が米国を抜いてもおかしくない。今年春前後には中国が世界一のインターネット大国になるのではないだろうか。

前回の書き込みで注意しておく必要があるかもしれないと書いたアラビア語が10位から8位へ躍進している。そしてスペイン語ユーザは2,400万人近くも増えている。しかし、中国語ユーザの伸びは2,600万人だが、それを越える伸びを見せているのは英語だ。1年間で5,100万人も増えている。
参考:InternetWorldStats.com (Online Ad)
Source:WorldInternetStats.com

InternetWorldStats.comでは、全世界の言語人口において英語人口を20億、中国語を13.5億としている。これは「The Future of English? (pdf)」でDavid Graddolが推測したL1(第一あるいはネイティブ言語)が7.5億人、「Asian Englishes」でBraj Kachruが推測した中国とインドだけで5.53億人が英語を使うというデータなどを元に推測している。

どこまで信頼できるかという疑問は残るが、今後も英語ユーザは言語別ユーザのトップに居座るのではないだろうか。英語コンテンツは他言語のそれを大きく凌駕しているし、インターネットによって世界がグローバル化することで英語の地位は下がるどころか一層上がることも明らかだ。

参考:Lingua Franca & Internet/Online Marketing (Online Ad)

2008/02/04

Global Incident Map Displaying Terroist Acts

世間は、MSが提案したYahoo!の買収話、それをもとにMSとYahoo!が合体した場合のGoogleとの検索エンジン覇権争いなど、どのメディア、Blogも騒がしい。

それはさておき、ちょっと面白い世界地図があるので紹介する。下は、世界中で報道されているテロ事件およびテロ関連が疑われる事件、事故を表示している世界地図だ。(クリックでオリジナルへリンク)

実際のところ、テロ事件や関連だけではなく、航空機、鉄道、バス、ダム、橋などでの事故、暗殺、有害・化学物質、石油関連や原発事故などもリストアップされ、毎日更新されているようだ。

Source:CyberJournalist.net / Global Incident Map displaying terrorist acts
Source:GlobalIncidentMap.com

今後、「鳥インフルエンザの発生」や「米での学校発砲事件」マップなども予定されているようだ。ただし、このサイトでは「献金、募金がなければサイトは90日以内に停止する」というテロップが流れているので多分今年中になくなってしまうだろう。

2008/02/01

Impact of Social Networking in the UK

Hitwise UKから「Impact of Social Networking in the UK」が出ている。

目を惹くのは、SNSがEmailのメッセージ市場を食い始めていることだ。UKのオンラインユーザはemailではなく、SNSを通して友人、知人とコミュニケートしていることだ。2007年10月、SNSへアクセスするユーザが、Webベースのemailサービスサイトへアクセスするユーザを上回った。また、2007年11月、Hitwise UKがカテゴリ化するトップ25のSNSサイトへのアクセスはUK全体の5.21%、コンピュータ&インターネットというカテゴリは4.92%となっている。このコンピュータ&インターネットにはHotmail、Yahoo、Googleなどその他のemailサービスも含まれている。

コンピュータ&インターネットカテゴリよりもSNSカテゴリへのアクセスが上回ったということは、ポータルの集客力に陰りが見えるということなのだろうか。あらゆるサービスへのゲートウェイとしてあるポータルよりも深い、密なリレーションをSNSが提供し、それを利用したアクセスパターンができつつあるのだろうか。
以前SNSの年齢層について書いた。

参考:Profitable SNS with GEN Y, GEN X and BB? (Online Ad)
参考:SNS Demographics Continue to Shift, Getting Older (Online Ad)

UKでもSNSの年齢層は上がっている。グラフにはないが25-54歳が中心なのは変わらないとしても、55歳以上の伸びが1年間で6.1%というのは高齢化が進んでいる。というよりは、UKの人口分布通りにインターネット、SNSの利用が進んできたということだ。そして高齢者の利用時間が一層増えてくるのだろう。それにより可処分所得の多い中高年が集うSNSがますます注目を集める。
次に、2007年10月でSNSからのアップストリームトラフィックは、全Webサイトへの7.7%のトラフィックとなっている。これは検索エンジンに次いで2番目のカテゴリとなる。SNSからのアップストリームはエンタメ、教育へが多いが、3番目にニュース&メディアが来ている。SNSという個の存在としても、他カテゴリサイトへの影響力からしてもSNSはマーケティングに欠かせないようだ。
Source:Hitwise UK / Impact of Socila Networking in the UK
注:ダウンロードにはユーザ登録必要

Hitwise UKは、2008年のSNSを以下のように予想している。
  • SNSはバイラルマーケティングの主チャンネルとなる
  • SNSはターゲットマーケティングと広告の主エリアとなる
  • 消費者パワーはSNSを通して現れる
  • ニッチSNSは増加するが、既存SNSとの共存が鍵
  • SNSは機能を向上する、特に検索
バーチカルなSNS検索エンジンが出てくると一層ターゲッティングが可能となる。そんなエンジンが早く欲しい。