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2011/02/07

Global Head of Digital Marketing and Social Media

Pete BlackshawAd AgeによるとFMCGジャイアントのNestleが、NielsenとMcKinseyが共同出資しているNM InciteのCMOであるPete Blackshawをデジタルマーケティング+ソーシャルメディアのヘッドとして3月1日から迎えると伝えている。

今後、彼はMarketing & Consumer Communication部門長のTom Buday、そして、Corporate Communications部門長のRudolf Ramsauerの下で活動し、報告するそうだ。

Source:AdAge / Nestle Hires Pete Blackshaw as Global Digital Chief

Nestleと言えば昨年4月に取上げたGreenpeaceのキャンペーンが記憶に新しい。

参考:Greenpeace Campaign Against Nestle (Online Ad 2010/04/19)

株主総会に合わせて、会場周辺での実力行使、Email、Twitter、Facebook、YouTubeなどで行われていたパーム油の使用禁止キャンペーンにより、サプライチェーンの見直し、パーム油円卓会議への参加、果ては会長によるビデオ声明にまで追い込まれたNestleが、1年かけて出した答えがこれだ。

YouTubeにアップされたビデオの削除要請、Facebookのコメント削除警告など、火に油を注ぐ対応しかできなかったNestleが出した答えが、部門新設と彼だ。


それまでNestleに「Digital Marketing & Social Media」といった部門はなかったはずだ。新しい部門を立ち上げて、そのトップに昔PlanetFeedback.comをやっていたBlackshawを据えるわけだ。

既存のMarketing & Consumer Communication、Corporate Communicationsに数多あるであろう下部組織・部門では昨年のブランド危機に対処できないことが証明された。その後、Nestle社内で行われたのは、まず、新しいメディア=オンライン、ソーシャルメディアのパワー、波及力、拡散力の分析であり、1対Nとは真逆に近いP2Pといったコミュニケーションチャネルや信頼・共感・協力を増幅するチャネルの把握、そして既存レガシーメディアのOne Wayに対するTwo wayコミュニケーションとの対比、ソーシャルメディアを構成するP2Pの人間つながりを把握した上で、今後の見通しやあるべき対応・組織・リソースが議論されたことだろう。

その結果、部門新設が決定され、Blackshawが選ばれた。1年という長いようで短い期間にどれだけの時間が費やされたのだろう、マーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層で。

Nestleは、巨額の広告・マーケティング予算を支出し、どこにもでも顔を出すP&GやUnileverと比べると、あまり姿の見えないブランドだ。だから、まずGreenpeaceがパーム油で最初に標的にしたのもUnileverだった。Unileverは2009年にさっさと問題視されたSinar Masとの取引を中止したため、二の矢に選ばれたNestleが火だるまになってしまった。

この危機意識のなさはマーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層が火種なのだから。パラダイムシフトを理解、把握するブランドと、していなかったブランドの差は途方もなく深く、広い。また、火傷から学ぶブランドと、学ばないブランドの差はこれからも開いてゆく。担当部署ではなく、経営層の理解が不足し、危機意識のない場合はとくに。

ツール主導で先走りがちな担当部署を抑え、組織的な改革と外部からのリソース注入により風通しのよい横断組織、あるいは組織新設に至るまで、企業の根幹を変えるのは経営層、CEOでしかあり得ない。いくら担当部署を監督する役職者が理解を示していたとしても、CEOの理解、決断がなければ、その企業はこれからのビジネスに脆弱性がついて回る。理解を示す役職者がいても、彼がCEOを動かさなければ企業は何も変わらない。

特に、担当部署が実施するOne Wayコミュニケーションのオンライン化、ソーシャル化を目指すだけの施策を見るにつけてもそう感ぜざるを得ない。例えば、企業広報部、グローバルブランド管理部、広告宣伝部、コーポレートなんとかといった組織そのもの、あるいはその下部組織を、根幹から変革し、担当分野や上下関係を変え、名称もデジタルとか、インタラクティブとか、ソーシャルメディアへと変えるのはCEOしかいないと思うのだが...。

それとも、やはり、他山の石ではなく、Domino Pizza、UA、Nestleのように業績やブランド価値・評価が実際に傷つかない限り、学ばない、学べないものなのだろうか、中でも日本企業と、そのCEOは...?

参考:Open Letter to CEOs in Japan (Online Ad 2010/08/17)

2010/07/22

Crisis Management

Goldman Sacksであれ、BPであれ、Toyotaであれ、いかなる企業も企業としての存在が危ぶまれる危急存亡の時を迎える可能性がある。

そしてその対応を間違えると以下のようなビデオの餌食になってしまう。


つい先日、ソーシャルメディア対応を紹介したばかりのJohnson & Johnsonだが、小児用タイレノールのリコール問題で揺れている。

参考:Johnson & Johnson in Social Media (Online Ad 2010/05/06)

J&JのCEOは米議会の公聴会で証言させられたし、CNNによれば刑事告発、起訴の可能性もあると伝えている。なんだか、ついこの間、Toyotaのリコールに関連して演じられたシーンが再現されているような気がする。

Source:Pharmalot / How Can J&J Recover From The Recall Scandal
Source:CNN / Tylenol recalls referred to FDA crime division

さて、IPR (Institute for Public Relations)から、Crisis Management and Communicationsというレポートが出ている。2007年10月30日付けなのでもう3年も前のものだが、基本中の基本が列挙されている。

その中に、「コミュニケーションチャネル」というセクションがある。危機発生時には専用Webサイトを立ち上げて必要情報を供給し、社員などに情報提供するイントラネットを立ち上げ、そして、社員および他ステークホルダーに情報提供するマス通知システムを準備することが挙げられている。
そして、「初期対応」セクションの中には、「インターネット、イントラネット、そしてマス通知システムを含み、利用可能な全てのコミュニケーションチャネルを利用すべし」とある。
Source:Institute for Public Relations / Crisis Management and Communications

3年前に作成されたため、このレポートにはソーシャルメディアが考慮されていない。揚げ足取りのビデオ、悪意のこもったSMやBlog、Facebook、Twitterなどでの書込み。それらが共有されるスピードや広がりが考慮されていない。そして、それら膨大な露出と共有により、生起されるブランド価値の毀損、ブランド損失の大きさが考慮されていない。

また、企業・ブランドのファン、ロイヤルユーザといったホワイトナイトに活躍してもらうプランが見えない。Toyotaがリコールでやり玉にあげられていた時、米国のトヨタ車オーナーが何を言い、書いていたのか知っていますか?大半のオーナーはトヨタ車の信頼性、安全性、経済性、乗りやすさなどブランド体験を書き連ね、リコールは一部のものだとトヨタを擁護していた。金では買えないそんなオーナー、ユーザの声を危機発生時にどう活かせるのか、どう活かすべきかのプランが見えない。また、危機が鎮静化した後のブランドレピュテーション回復時にもこういったホワイトナイトユーザに活躍してもらうステージがあるはずだが、そういった面でのプランも検討されていない。

この3年間の間に起こったパラダイムシフトは、企業・ブランドが活用していたコミュニケーションチャネル自体を変革し、ソーシャルメディアチャネルの存在を大きくクローズアップした。このソーシャルメディアチャネルに対応する新しい危機管理計画が必要だ。そして、それは国内向けというよりも、日本国内以上にソーシャルメディアが席巻している海外市場を第一に考えたものであるべきだ。

2010/07/06

Online Newsroom

iPressroomからとてもコンパクト、的を得たオンラインニュースルーム構築のガイドが出ている。
オンラインニュースルームは企業・ブランドの顔であり、現在、必要とされるコミュニケーション、エンゲージメントを構築するための最前線基地だ。ユーザがコンテンツを見聞きし、最新コンテンツを求めて何度も足を運ぶ場所にすべきだ。
ということで、オンラインニュースルームの基本10カ条をあげている。

それを筆者流に意訳させていただくと;
  1. 頻繁に、価値が高く、関連性があり、エンゲージし易いコンテンツを発信し、共有・拡散しているオンラインニュースルームですか?

    それとも苔むしたプレスリリースを既存レガシーメディアに配信するだけですか?

  2. 記者、消費者、投資家、ステークホルダーなど多様なオーディエンスを考慮したオンラインニュースルームですか?

    それとも苔むした既存レガシーメディアだけを対象としていますか?

  3. 今、もっともユーザが求めている多様なフォーム(テキスト、画像、ビデオ、オーディオ、pdf、Blog、Podcasts、RSSフィード、他)を提供するオンラインニュースルームですか?

    それともテキストだけですか?

  4. アクセスユーザが友人・知人・家族・同僚たちとコンテンツを共有し、議論し、コンテンツを活用して発信できるようなオンラインニュースルームですか?

    それともコンテンツを単に印刷できるだけですか?

  5. 検索エンジンが定期的にクロールした結果が効果的に検索ユーザに伝わるようなオンラインニュースルームですか?

    それとも検索結果の下位にしか顔を出していませんか?

  6. 最新のWebデザインや他社事例を参考にして、簡単なナビゲートや検索を提供しているオンラインニュースルームですか?

    それともテキストベースのプレスリリースしかなく、それも見つけにくいものですか?

  7. アクセスユーザがサイト、コンテンツ、データフォーム、配信チャネルなどに対する評価、意見を書き込んだり、担当者にコンタクトできるようなオンラインニュースルームですか?

    それとも担当者名も、写真も、コンタクト先もありませんか?

  8. Spam Botsなどからコンタクト情報などを保護する作りになっていますか?

    それともコンタクトemailはSpamメールに血祭りにあげられていますか?

  9. 検索エンジン、Email、Facebook、Twitter、Blog、YouTube、Flickr、SlideShare/Scribdなどオーディエンスがいつも活用しているコミュニケーションチャネルにコンテンツを配信する仕組みを装備したオンラインニュースルームですか?

    それともこれら仕組みを追加、編集するにはすべてIT、情シス部門、あるいはWebマスターにお伺いを立てなければなりませんか?

  10. ユーザがWebサイトのどこへアクセスし、どんなコンテンツを消費、共有、コメントし、Email・RSSフィードに登録したのかトラッキングしているオンラインニュースルームですか?

    それともIT、情シス部門、あるいはWebマスターに聞いたところで、答えが返ってきませんか?
ということになる。

Source:iPressroom / Ten Actions that Leads to a Better Online Newsroom

マーケティング側から考えれば、至極当然、やっていなければ大ブーイングを浴びて、最悪の場合は「君はもういらないよ」と最終宣告されそうな基本中の基本だ。

この10カ条に付け加えることはまだまだあるが、その前に確認すべきことがある。それは、広報部門およびPRエージェンシーの現状把握と、PRエージェンシーの企画・提案力だ。

日本が誇る世界的な自動車メーカーのニュースレターがテキストベースなのを知ってますか?昨年1月に登録してからもう1年半が過ぎたが、時々に来るニュー スレターがテキストベースのまま変わっていない。また、やれ販売台数が過去最高を記録したとか、どこそこに工場を建設したとか、コンテンツは旧態依然、言 いたいことを書き連ねるだけで、会話を始めようとか、ユーザとエンゲージしようともしておらず、コンテンツを拡散してもらうためのツールも装備していないWebページに飛ばされるだけだ。これがすべての日本企業・ブランドに当てはまりそうな気がする。

そして、企業・ブランドにお聞きしたい。PRエージェンシーから上の10カ条と類似した提案をされていますか?その上で、追加、補強施策を提案されたことがありますか?それとも、プレスリリースをオンライン化することだけしか提案されていませんか?今のテキストベースのオンラインニュースに関して何も改善提案をされたことがありませんか?競合他社のオンラインニュースルームの分析を提示されたことはありますか?と。

こんな状況で日本のブランドはどうしたら良いんでしょうね?

2010/06/29

Outsourcing for Social Media

MarketingSherpaのChart of the Dayに、「マーケティング機能のアウトソーシング」があった。

それこそ、PRからソーシャルメディアまで各マーケティング項目で、どれくらい「実際にアウトソースしているか、予定しているか、今は検討していない」という3つに分類している。

その全てでアウトソースされており、現状アウトソース率の高い上位は31%でPR、29%でSEO、23%でEmailが来ている。

これから予定しているマーケティング上位には、16%でSEO、15%でソーシャルメディアが来ている。
Source:MarketingSherpa / Outsourceing for Key Marketing Functions

現状のアウトソース率よりも、これから検討しているアウトソース項目が重要だろう。SEOとソーシャルメディアという項目は、社内リソースのスキル、必要とされるクオリティ、ROI、拡張性、専門性などを考えるとアウトソースするに越したことはないのかもしれない。

ただし、ソーシャルメディアと言っても広い。MarketingSherpaはPR 2.0を指して、PRのソーシャルメディア対応をアウトソースする可能性を見ているようだ。ソーシャルメディアによって、「企業が語る企業自身」ではなく、「消費者・顧客、インフルエンサー・アドボケーターが語る企業」のほうが重きを成してきた。その時代に、会話に参加しなければ、情報・コンテンツを共有してもらわなければ、話にならないわけだ。参加したり、会話するために必要なスキルやリソースに欠ける、特に中堅、及び大企業がPRサービスをアウトソースする可能性をあげている。

「見る、聞く」、「トレーニング」、「各種情報収集」、「競合比較・分析」、「効果測定」などはまだよしとしても、「会話する、エンゲージする」ことまでもアウトソースに含まれているのだろうか?もし、そうだとすると、それこそ、もっともソーシャルメディアユーザや、PR 2.0からは遠くなってしまう。担当部署だけが、あるいは担当者だけがスキルを獲得するのではなく、全社的なパラダイムシフトの取り組みをした方が、スキルの蓄積やROI的にも、コスト的にも最適とは考えないのだろうか?

どうも、一筋縄では行かない縦割りサイロ組織の逆襲はまだまだ続きそうだ。

2010/06/16

Tell Dell to honor commitments

Nestleへのアクションが成功裏に終了したと思ったら、今度の標的はDellのようだ。

下はGreenpeaceから5月末に届いたemailで、「2006年にDellは有害化学物質を製品から2009年までに除去すると宣言したにもかかわらず、2010年の6月になろうかという現在でもPVCプラスティック、臭素系難燃剤(BFRs)がまだ使われている。他メーカーはすでにクリアしているがDellはまだだ。CEOのMichael Dellに約束を守るようメールしよう」とある。
tell CEO Michael Dell to honor his commitments」をクリックすると、Dell本社に垂れ幕をかけるGreepeaceの活動家の写真をフィーチャーし、CEOにemailを送るためのページへ飛ばされる。
その模様はTwitterでも発信されていた。
Source:Greenpeace / Toxics Action at Dell HQ Texas
Source:Twitter / Greenpeace

さて、Greenpeaceには、Cool IT Leaderboardというランキングがある。世界のトップIT企業に対してITをベースにして提供する様々な排出削減策のソリューション、IT企業自体のフットプリント、そしてCEOや企業自体によるアドボカシーなどを得点化している。

その最新版version3には世界のIT企業15社が取上げられており、日本企業はFujitsu、Panasonic、Sharp、Sony、そしてToshibaが入っている。最高得点はCiscoの62点で、36点で5位に入ったFujitsuを除き、他の日本企業の得点は低い。
Source:Greenpeace / Cool IT Leaderboard v3 (pdf)

あとはもう想像力の世界だ。

自社本社ビルに大きな横断幕を垂らされたり、5万人を越えるフォロワーを抱えるTwitterアカウントでつぶやかれたり、CEOに世界中からemailが飛んできたり、YouTubeのチャネルやFacebookのファンページを占拠されたり、BlogやForumで書込み露出が急増したり、世界各地で抗議行動を起こされたりと、いろんなことが想像できる。

そうそう、もうひとつある。最近、Greenpeaceのサイトは更新され、ソーシャルメディア対応が強化された。まるで、キャンペーンのオンライン化、ソーシャルメディア化を中心にすると宣言しているかのように。

2010/06/09

Nonprofit-Corporate Partnership

先週、Coneのレポート、Cone Shared Responsibility Studyを取上げたばかりだが、もうひとつ2010 Cone Nonprofit Marketing Trend Trackerというレポートがある。

参考:2010 Cone Shared Responsibility Study (Online Ad 2010/06/04)

それによると、米国人の78%は彼らが信頼する企業・ブランドと非営利団体が連携することにより、社会貢献活動がそのものが目立つ、際立つと回答している。
非営利団体が企業・ブランドと連携すると、56%は団体に対する印象がよくなり、59%は連携している企業・ブランドの製品を購買する可能性が高くなる。
ただし、米消費者の75%はまず企業・ブランド+非営利団体の連携結果を知りたいと思っているし、61%は支援する前に時間をかけて連携の詳細を確認したいと思っているのだが、連携や寄付などに関する情報開示が十分だと考えているのは45%にしかすぎない。
最後に非営利団体が米消費者に訴求するチャネルとして以下をあげている。上位にはWOM(81%)、レガシーマスメディア(80%)、広告(74%)が来ている。下位にEmailが59%、SNSが49%、モバイルが29%で来ている。
Source:Cone / Nonprofit Marketing Trend Tracker

基本的には非営利団体がその活動を多くの消費者に知らしめ、寄付や支援の輪を広げるために企業・ブランドと連携してプレゼンスを露出しなさいと言っている。

社会、環境、その他の目的であれ、団体単独による啓発、活動、普及には限界があり、今まではそれを補完してくれるのは賛同者の寄付や支援活動だった。一人の声を次の人につなげ、その人からその次のひとにつなげてもらう非常に地味な活動にマスメディアの光が当たるのはごく稀だった。だから活動目的に賛同してくれる企業・ブランドと連携しなさいと。

なお、最後の図にあるように、WOM、レガシーマスメディア、広告が消費者に社会貢献活動を効果的に知らしめるチャネルとして70%以上があげている。反面、ソーシャルメディアチャネルは下から二番目の49%でしかない。これからやはり社会貢献活動にとってもレガシーマスメディアや広告は不滅だと短絡される向きもあるかもしれない。
しかし、実際のところGreenpeaceやOxfamなど事業会社顔負けのオンラインマーケティングを実行しているNGO、各種団体はほんの一握りだ。OxfamにしたところでFacebookのファンは3万人以下、Twitterのフォロワーも5万人以下、YouTubeチャネルの購読者も2,000人ちょっとしかいない。これらの数字と、本格的にソーシャルメディアに取り組み始めているグローバル企業・ブランドと比べると如何に少ないかがわかる。

マサチューセッツ大学ダートマス校のマーケティングリサーチセンターが行った調査によれば、2008年時点で慈善団体のBlog利用は57%には達しているのだが、その訴求や絶対的露出、情報・コンテンツの共有、再露出とは別物なのだ。
参考:Social Media in College and Univ. (Online Ad 2010/06/02)

ということは、マインドセットを切り替えていない他の一般的なNGO、各種団体のソーシャルメディアスペースでのプレゼンスはなきがごとしということだ。多くの場合、彼ら自体も、一般企業・ブランドと同じようにレガシーマーケティングの落とし穴にはまっているため、オンライン、特に、ソーシャルメディアスペースでの情報・コンテンツ発信や共有、再露出からの拡散ができていないのだ。

ここを改善しない限り、企業・ブランドと連携したところで大きな効果、結果は期待できない。

2010/06/01

BP Reputation Management Challenged -3

BPGlobalPRを2度取上げてきた。

参考:BP Reputation Management Challenged (Online Ad 2010/05/26)
参考:BP Reputation Management Challenged -2 (Online Ad 2010/05/28)

上で紹介したようにWiredやAdAgeが@BPGlobalPRを取上げていたが、まだ限定的だった。しかし、グローバルで毎月2.8億impression(英1.7億)、3,337万ユニークブラウザ(英1,419万)を抱える英Guardianに飛び火した。こうとなると事は簡単ではない。

BPGlobalPRによれば、英Guardianから「PRに関して寄稿してくれと」話がきたそうだ。
そこで、BPGlobalPRは下のヨタ記事を寄稿している。
Source:Twitter / BPGlobalPR
Source:Guardian /A Crash course in PR from the folks at @BPGlobalPR

28日に5万弱だったBPGlobalPRのフォロワーは、31日には9万を越えている。そして、Guardianや他のマスメディアサイトが取り上げれば取上げるほど、この数字は急上昇してゆく。

Source:TwitterCounter / BPGlobalPR

フォロワーが増えてゆくということは、BPに対するネガティブセンチメントが世界中で増えることを意味し、あるいは少なくともBPというブランド価値が日々損なわれてゆくことを意味する。今まで放置し、累積したツケはこれからも増えてゆく、もし、このまま放置を続ければ...。

もはや1対1といった対処・鎮火可能状況ではなく、ソーシャルメディアスペースでの露出が、共有、消費されて、複雑にリンク、拡散され、マスメディアに飛び火した後に実施可能なPR戦略はない。

企業のFacebook、Twitterアカウントを確保していますか?企業・ブランド名だけですか?PR、マーケティング、イベント、キャンペーンアカウントはどうですか?類似アカウントの存在、コンテンツ、フォロワー数推移などをモニタリングしていますか?競合企業・ブランドの状況は把握していますか?LinkedInのCCネットワークなどでのディスカッションを聴いていますか?ソーシャルメディアクラッシュコース、トレーニングを実施していますか?

少なくとも、今回、BPGlobalPRが生起、提起した問題を検討していますか、していませんか?BPGlobalPRがBPブランドに与える損害、被害を算出してみますか、しませんか?

BPGlobalPRに対応できないから対応していなかったとしか見えないBPのPR、法務の責任は、どれほどのものだと考えますか?

いや、ソーシャルメディアスペース・ユーザのパワーを認識し、マインドセットを切り替える必要を自覚された方はどれくらいおられますか?また、ソーシャルメディアスペース・ユーザに対するエンゲージメントは、外部エージェンシーを活用して従来通り、手離れよく、対応できるものだと考えている方はどれくらいおられますか?

2010/05/28

BP Reputation Management Challenged -2

一昨日アップした「BP Reputation Management Challenged」のアップデート。

参考:BP Reputation Management Challenged (Online Ad 2010/05/26)

25日までTwitterCounterが、BPGlobalPRをカウントしておらずBP_Americaとの比較グラフが描けなかったが、26日から可能となったので比較してみる。

TwitterのBP_Americaアカウントは、26日昼ごろで4,751人のフォロワーを持ち、25日から275人増、Twitterランクは33,430位となっている。27日には5,547人、26日から796人増となって30,263位に上昇してきた。

一方、BPGlobalPRは5月19日にTwitterアカウントを開設したばかりにも関らず、すでに26日に3.3万人、そして27日には4.6万人以上のフォロワーを抱え、これからの30日間で35万人以上になると予想されている(TwitterCounterは26日からカウントしているため、この予想は大幅に割り引く必要がある)。そして、そのTwitterランクは26日で12,148位、27日で5,414位だ。

この2つのTwitterアカウントのフォロワーを比較すると下図のようになる。低空飛行を続けていたBP_Ameriaを横目に、BGGlobalPRは1週間やそこらであっというまに5万人に手が届くレベルまで増えている。BP_Ameriaもその影響で今週から増加傾向が見られる。(クリックで拡大)
そして、BPGlobalPRアカウントへアクセスしたTwitterユーザには以下のような人達がいる。米、伊、蘭の彼ら、彼女たちには最低261人、最大で54,000人以上のフォロワーがついている。彼らが肯定、否定、中立的なTweetをするだけでBPGlobalPR自体が露出してしまう。
BP_Americaアカウントにアクセスしたのは一昨日の彼女だけ。
Source:TwitterCounter / BPGlobaPR+BP_America

どちらが注目されているかは一目瞭然だ。BPGlobalPRが行うTweetをパロディとして捉えるユーザもいるし、性質の悪いいたずらと捉えるユーザもいる。一方、ブランド価値を毀損させるテロと捉えるべき企業・ブランドもいる。

ところがAdAgeによれば、
BPは、BPGlobalPRアカウントの存在を認識しているが、今のところ何らの対応を行ったこともない。BPGlobalPRアカウントが最初のようにBPと同じロゴを使っているわけでもなく、TweetもBPが特に目障りだと認識するものでもない。
そうだ。
ただし、このBPの対応の前提にあるのは、
(原油流出事故の)対応に対して人々がどのように感じるかは人々次第で、BPはそれを受け入れるしかない。今起こっていることに人々は不満を募らせているわけで、それを表現する方法のひとつだ(と認識している)。
ということだ。

Source:AdAge / Why BP Isn't Fretting Over Its Twitter Impostor

すなわち、BPはBPGlobalPRアカウントにかかずりあっている暇はないということだ。BPGlobalPRに関っているくらいなら原油流出をなんとかしろと言われるのは当然だとわかっているということだ。

しかし、平時に同じ対応を取れるだろうか?自社ロゴに類似したロゴを掲げ、Twitterの「なりすまし」、「パロディ」ガイドラインに抵触しているBPGlobalPRアカウントをそのままにしておけるだろうか?PRはともかく、法務が黙っていられるだろうか?法務が黙っているとしたら、それは職務怠慢、あるいは職務放棄と見なされるのではないだろうか?

さて、BPGlobalPRは、healthygulf.orgに「bp cares」Tシャツの収益を寄付すると宣言した。社会貢献団体に利益を寄付する「いいひと」なんですよというポーズをとっている。なかなか一筋縄ではいかない手強さが見て取れる。

揚げ足取り、パロディ、おふざけなど多様なTweetがこれからも発信されそうな状況だが、こんなイシューマネージメントを想定している企業・ブランドはいるだろうか?

2010/05/27

Integrated Communications

Integrated Communications(統合コミュニケーションズ)とはよく言われる言葉だ。CC、広報、広告、DM、販促、SMOであれ、ひとつの傘の下にコミュニケーションを統合しようとするものだ。

ところがVocusの「Blurring Lines, Turf Battles and Tweets: The Real Impact of Integrated Communications on Marketing and PR」を見ると、現実はなかなか思い通りには進んでいないようだ。

まず垣根をなくす意味でも、統合・合同キャンペーンをやるにしても必要な広報、マーケの全体会議を「いつもやる」のはたった11%、「やったことがない+めったにやらない+分からないの」は合計22%、「たまにやる」のが67%だ。
その理由はというと、最大の33%を占めるのは「組織の縦割りサイロ」、12%で「組織のカルチャーや抵抗」、「上職の理解不足」が7%、「社員の知識、スキル、能力不足」が6%となっている。
次に、ソーシャルメディアを担当すべきはどこかと訊いている。PR側はPRが担当すべきだと43%が考えているが、マーケ側でマーケが担当すべきと考えているのは35%。PRとマーケが合同で担当すべきと考えているのはPRで38%、マーケで42%だ。しかし、PRでも8%はマーケ、マーケでは11%はPRが担当すべきと考えている。いずれにせよPRやマーケ単独、そして合同でやるべきとするのは合計90%前後に達する。

しかし、PR、マーケの双方で引いている綱がその時々のイベントやキャンペーンであっちに行ったり、こっちに行ったりしているようで、意識統一はまだできていないようだ。
そして企業公式Blogになると話はもっとややこしいようだ。PRやマーケ単独、そして合同を合計しても60%前後で上の90%前後とは大きく違う。企業Blogになると、PR、マーケ以外に法務、財務、IT・情シスなど、その他の別部署がからんでくるのが分かる。
Source:Vocus / Blurring Lines, Turf Battles and Tweets

EdelmanのSVP Digital、David Armanoが「Social Media Is Dead」で示すように、ソーシャルメディアにはそれこそ、ありとあらゆる部署がからんでくる。
Source:Logic + Emotion / Social Media Is Dead

Integrated Communicationsを進めてゆくには、まず全社各組織に対する啓もうしかない。そして、既存組織のままではなく、まったく新しい部署、組織を作るしかない。Cokeはグローバル、ドメスティックのカウンシルを社内に作ったそうだが、縦割りサイロを温存しながら、横串をさせる組織、風通しを良くする部署が必ず必要になる。Social Media、Digital Marketing、Interactive Marketing、Online Marketingといった組織からCorporate Social Media Summitに講演者として参加することからも明らかだ。

参考:Insights from Coke (Online Ad 2010/04/13)
参考:Corporate Social Media Summit (Online Ad 2010/04/15)
参考:Corporate Social Media Summit -2 (Online Ad 2010/05/07)

このように社内意識を統一した上で企業・ブランドとして外部発信メッセージをソーシャルメディア化し、ユーザとエンゲージしてゆくしかない。しかし、この「ユーザとエンゲージ」することを忘れているケースが大半だ。新しい部署、組織ができたのは良いが、ソーシャルメディアを使って既存マーケティング手法、メガホン手法、ブロードキャスト手法をやるだけのケースが大半だ。

「エンゲージ」するということは、今までの広告や広報とは違い、予算を計上してROIを確かめたうえで支出するだけといった簡単な業務には収まりきらない業務になる。マインドセットを切り替え、パラダイムシフトを受け入れ、理解しない限り、ソーシャルメディアマーケティングは効果がないのだが...。

2010/05/26

BP Reputation Management Challenged

4月20日に爆発、その後沈没したBPの石油掘削プラットフォームのおかげでメキシコ湾での原油流出は今も続いている。いつ流出が止まるか分からない現状からすると、環境被害、漁業被害は天文学的な数字になるかもしれない(?)。

その当事者、BPのグローバルサイトは事故の最新情報、追加コンテンツ、ビデオアップデート、ダウンロードファイル、ツール、コンタクト先、プレスリリースなど、これでもかといった具合にコンテンツを供給している。
Source:BP.com

そして、Twitterはどうなっているかというと、BPで検索するとBPGlobalPRというアカウントがトップにきている。しかし、このアカウントはとても世界に冠たるBPとは思えないTweetを重ねている。

例えば、
  • I'm sorry, are people mad at us for drilling in the ocean?!? Maybe God shouldn't have put oil there in the first place. DUH. #bpcares
  • Please do NOT take or clean any oil you find on the beach. That is the property of British Petroleum and we WILL sue you.
といった具合だ。

「BPは事故を起こし、メキシコ湾全体にとてつもない影響、被害を及ぼしているのに、何だこのTweetは、とんでもない企業だ」と思うユーザがいるかもしれない。
しかし、BP_Americaという別なアカウントもある。こちらはまともなTweetだし、ちゃんとグローバルWebサイトへのリンクもある。
Source:Twitter / BPGlobalPR
Source:Twitter / BP_America

BPGlobalPRというアカウント名からして、BP_Americaといった現地子会社ではなく、BP本社の広報が運営しているアカウントのように見られなくもない。しかし、このBPGlobalPRというアカウントは、「bp cares」というロゴのインクがにじんで汚いTシャツも売ろうとしているStreetGigant.comというサイトがBPの揚げ足を取り、おふざけ的に、あるいは実利を兼ねてやっているようだ。

こんなアカウントがとんでもないTweetを重ねている。そしてBPGlobalPRのフォロワー数は25日時点で約18,000、約4,600のBP_Americaより4倍近くも多い。今朝は28,000以上となっている。一日で1万人以上のフォロワーが増えている。また、BPGlobalPRのTweetはいずれも100回以上RTされている。これがどんなことかわかるだろうか?

おふざけ的に受けてくれるだけならいいが、そうも行かないかもしれない。真に受けたユーザが憤慨してTweetやRTしたり、別ユーザが輪をかけた悪さをTweetすることでネガティブセンチメントが累積してゆく。そして、どうやら@Wiredが@BPGlobalPRの誘いに乗ってしまったようなので、マスメディア系への露出もこれから急増してゆくだろう。にもかかわらず、BP側からの対処はないようでBPGlobalPRのアカウントはまだ生きている。モニタリングをしていない企業・ブランド側が風評被害を見過ごし、レピュテーションマネージメントが危機に瀕している。

そして、そんな状況に輪をかけるのが、BPのグローバルサイトだ。前述のように一見すると、最善、最適、最新のニュース・情報・コンテンツを供給しているようだが、ソーシャルメディアスペースにおける共有機能は皆無だ。

辛うじてRSSフィードだけはあるが、Share This、Add Thisはもちろん、ユーザのFacebook、Twitter、YouTubeアカウントを利用してコンテンツを共有する機能、また、Email転送などの機能はWebサイトに装備されていない。

これでは、ソーシャルメディアスペースに参加するのではなく、我々のコンテンツを見たいのなら、Webサイトへアクセスしろと言っているということになる。あるいは、Webサイトに全ての情報・コンテンツを供給しているから、これで我々の責任と義務は十二分に履行されていると胸を張っているということになる。また、情報・コンテンツを制作・発信するパワーがユーザにシフトしたにも関らず、ソーシャルメディア時代以前に企業・ブランドが持っていた一方通行コミュニケーションを踏襲しているだけだということにもなる。

Nestleの株主総会を揺るがした原因はGreenpeaceかもしれないが、Nestleに抗議のEmailを送ったり、Facebookを乗っ取ったのはGreenpeaceの賛同者だけではない。ソーシャルメディアスペースで情報・コンテンツを消費、共有したその他大勢のユーザが参加したからこそ、NestleのCEOは対策を発表しなければならなかったわけだ。旧態依然の対処ではもう立ち行かない時代なのだが...?

参考:Greenpeace Campaign Against Nestle (Online Ad 2010/04/19)

なお、ToyotaやNestle、BPとは違い、わが社は人身事故の危険もなく、熱帯雨林の違法伐採を行うサプライヤーと取引もなく、一旦大規模事故が起これば未曾有の被害をもたらすような事業はやっていないと他人事を決め込んでいる企業・ブランドはいるだろう。

しかし、こんなブランドレピュテーションの危機を迎えることは絶対ないと断言できる企業・ブランドは存在し得ない。自社の故意、過失の別なく事件、事故は起こるし、BPGlobalPRのように火事場泥棒を決め込む輩はどこにでもいるのだから。彼らにとって、企業・ブランドに責任のない事件、事故であったとしても、それを利用、悪用することさえできればいいわけだ。そして、そんな輩は世界中に掃いて捨てるほどいる。今も、彼らはBPとBPGlobalPRのケースからせっせと学んでいる。一方、企業・ブランドはただBPから学ぶこともなく...。

2010/05/06

Johnson & Johnson in Social Media

「Ford: Online Monitoring」で引用したRonAmokに、Johnson & Johnsonのソーシャルメディア化を取上げたホワイトペーパーがある。今年で創業124年目を迎え、11.8万人の社員を抱え、関連企業250社、売上高640億㌦の超巨大企業であるJ & Jがどのようにソーシャルメディアスペースに参加したのかを解説している。

参考:Ford: Online Monitoring (Online Ad 2009/09/17)

世界中に名の知れたビッグブランドにありがちなように、「うちにソーシャルメディアは関係ない、そんなことをする必要はない、やるにしても社内調整が大変でできっこない」と、Johnson & Johnsonは考えなかった。

ただし、1996年にオープンした初めてのWebサイトは、まったく良いところはない。薬の説明書きをWeb化したかのように見出しとクリッカブルがあるだけだ。
その後、インターネットが次第に影響力を増すにつれて、Webサイトのコンテンツも改善されてきたのは当然だ。

マスメディア系Webサイトからの情報・コンテンツだけではなく、一般のユーザも情報・コンテンツの発信・制作を行うようになり、Blogが存在感を増してきた2006年7月、Kilmer Houseという最初のBlogを立ち上げている。これはJ&Jの最初のサイエンスディレクター、F. B. Kilmerの名を冠したBlogで、J&J創業当時の会社、働く人達を取上げて医療、衛生、健康、予防など幅広いトピックを紹介している。FDA(米食品医薬局)が出てくるまでもなく、J&Jが過去から培ってきた、過去に行った、人々の記憶に残っている事柄を分かりやすく説明している。

Blogという新しいメディアチャネルを企業としてどのように利用、活用できるのか、このBlogへのユーザの反応、評価といったものを時間をかけて理解しようというスタンスが見えてくる。
Source:Kilmer House

次に2番目のBlog、JNJ BTWを2007年7月に立ち上げている。こちらはJ&Jが今やっていること、自社に関するニュースへのコメント、公式発表の補足、その他を6人のスタッフが記事を書いているし、寄稿も受け付けているようだ。コンテンツを充実させ、多面的な情報を提供しようとするスタンスが見える。
Source:JNJ BTW

これら二つのBlogから多くのことを学んだのだろう。2008年7月には、YouTubeにチャネルを開設している。
Source:YouTube / Johnson & Johnson health channel

そして2009年3月にはTwitterアカウントが走り始め、
Source:Twitter / JNJComm

2009年4月にはFacebookのグループを立ち上がった。ただし、現在、グループはないようで、Johnson & Johnson + NetworkページとSafe Kidsなどのページがある。
Source:RonAmok / J&J Does New Media (pdf)

このようにJ&Jは、情報・コンテンツをデジタル化し、一般ユーザが集うスペース、ソーシャルメディアに参加し、対話を積み重ねてきている。最先端とは言わないが、標準的で模範的なソーシャルメディア戦略だと言える。いや、J&Jのような大企業、グローバル企業とすれば十分以上の対応だろう。

ただし、J&Jのように、初めてBlogを立ち上げた時点で、今何が起きているかを理解していた企業・ブランドは幸せだ。手探りながらも先進企業から半歩遅れ程度のギャップを意識しながら、トライ&エラーをやれる体制と組織が持て、予算が計上できた。だから、何年か経ってみると社内での意識も経験、実績もそこそこ累積している。2008年、2009年と立て続けに新しいステップを踏み出せているのがその証拠だ。

今、J&Jのように時間をかけ、トライ&エラーでやろうとしてもなかなかそうはいかない。あまりにも開いてしまった欧米企業とのギャップをどうやって埋めようかと検討しても、埋められる部分が少なく、小さくなってしまった競合の背中しか見えない分野ばかりといったケースもある。また、既存の広告、広報、マーケティング、戦略ブランディングといった部署だけでは手を出せない分野が多いことが明らかだ。既存の縦型サイロ組織に横串をささなければならないのだが、その音頭をとる人間にタスクが集中してしまい狙い通りに複数部署のコラボは動かない。猫の手も借りたいほどなのだが、外部支援エージェンシーはあまり頼りにならない。それどころか今まで通りの提案を持ってくるだけといった状況が続く。

そんな時、社内の有志を募るしか方法は残っていない。

今時、どんな企業・ブランドにもソーシャルメディアに詳しい人間が一人や二人、いや数百人、数千人のレベルでいるだろう。しかし、そういったエキスパートが企業・ブランドとしてのソーシャルメディアへの取り組みを他人事(ひとごと)としてとらえている。自分の担当ではない、部署ではない。いろいろな理屈、理由を持ち出してきて、自社がソーシャルメディアの潮流から遅れ、渦に巻き込まれ、海の底に沈んでいくのを黙って見ている。

このエキスパート達に現状を理解してもらい、積極的な参加、協力を募り、Cokeのようなカウンシルを立ち上げるしか、広がるばかりのソーシャルメディア対応ギャップを埋める手立てはない。欧米グローバル企業には、Social Media、Digital、Online、Interactiveという名称のついた部署があり、部長クラスが旗を振っているが、それは今までの既存組織と同様に孤立した組織ではないはずだ。風通しのいい情報・コンテンツの社内共有が前提にあることは明らかだ。

参考:Insights from Coke (Online Ad 2010/04/13)
参考:Corporate Social Media Summit (Online Ad 2010/04/15)

2010/04/27

Minimum Digitization Requirement -1

Siemensから定期的に以下のようなプレス・ニュースレターがemailで送られてくる。
これは一週間分のプレスリリースをまとめて送ってくれるサービスだ。基本的にはプレス関係者へ送られるものだが、登録さえしておけばプレス関係でなくとも送ってくれる。

今回のemailには、4月30日に開催予定のeMobilityの案内や上半期の業績発表予定と、16日から23日までに発信された発電所、人材雇用、Hanoverフェア、ベニスの新交通システムなどのプレスリリースがまとまっている。

そして、例えばeMobilityのリンクをクリックしたWebサイトのページには、当然のように共有ツールが装備されている。Digg、Delicious、Facebook、Twitterはもちろんだが、Yigg、Xingといった独ベースのちょっと耳慣れないサービス、ツールも装備している。
Source:Siemens / Emobility

Siemensは、テキスト、画像、動画、共有ツール、そしてFacebookにあるeMobilityへのリンク、そのWebコンテンツを幅広く配布するemailやRSSフィードなど最低限のコンテンツや機能がそろったWebページを準備している。

どこかのメーカーのニュースリリースのようにテキストだけで画像はなく、クリックしようと言う気さえ起こさせないケースとは違い、メリハリの付いたテキストと画像、クリッカブルの組み合わせなど、Siemensのやっていることは最低限のデジタル化だ。

さて、Viral Video from Ciscoで以下のように書いた。
デジタル化しただけではターゲットに届かないのだから、CSRレポートをpdf化してWebにアップしてもターゲットに近いス ペースに置いたことにはなら ない。プレス・ニュースリリースをデジタル化し、共有ボタンや画像・動画を張り付けただけではソーシャルメディア化したことにはならない。コンテンツを消 費してくれるターゲットが行動する範囲にそれは存在していないのだから。そして、以前からの広報や広告のように、リリースを発信したり、出稿したら手を出 さなくてもいいのものではなく、出した後の方が手間暇をかけてメンテナンスをしっかりとやっていかなければならないものなのだから。
参考:Viral Video from Cisco (Online Ad 2010/04/24)

Siemensが最低限のデジタル化に加えて行っていることがある。それは明日。

2010/04/19

Greenpeace Campaign Against Nestle

4月15日、スイス、ローザンヌで開催されたNestleの株主総会に合わせてGreenpeaceは様々なキャンペーンを実施していた。

Greenpeaceのメール登録者には下のメールが送られ、株主総会会場の内外でバナーを掲げたり、オランウータンの縫ぐるみを着てNestleの株主に「Give the orang-utans a break」と訴えていた。以前から行われていたEmailキャンペーンにより、20万通以上のメールがNestleのCEOなどに送られたそうだ。
下はGreenpeaceの対Nestleキャンペーンサイト。
Source:Greenpeace / Kitcat campaign

なお、Nestleに対するGreenpeaceのキャンペーンそのもの、NestleのYouTube、Facebookに関連する対応の顛末は以下に詳しく書かれている。

Source: 日本にソーシャルメディアの風を! / ネスレのFacebookページが炎上

さて、上のメールにはTwitterからの発信リンクもあり、以下のTweetが発信されることになる。
Good afternoon Nestle shareholders! You can act to protect rainforests, climate AND your investment: http://j.mp/nestlepalmoil
そして、他にもFacebook、YouTubeでもキャンペーンが行われている。

Greenpeaceは、Email、Twitter、Facebook、YouTube、RSSフィードで情報・メッセージ・コンテンツの露出、共有、再発信(露出)を図り、キャンペーン効果を最大化させている。そして、株主総会会場での実力行使となったわけだ。

一方、NestleはGreenpeaceのキャンペーンをただ黙って見過ごしていたのか、それとも?

下は、NestleのTwitterアカウントで、3月18日、3月20日、そして4月14日にパーム油関連Tweetがある。Facebookでもアナウンスされていたが、FacebookのページはアンチNestle派が乗っ取っているような状況だったので、「人殺し」といった書込みに紛れてしまっている。
Source:Twitter / Nestle

14日のTwitterで書かれていたアップデートは、13日付けでNestle会長名でGreenpeaceに送付したEmailレターについてだ。この中でNestleはインドネシアのSinar Masとのパーム油取引を中止、その他サプライヤーに対しても非持続可能ソースからのブレンドパーム油提供による取引中止を警告、パーム油円卓会議への参加などを説明していた。

そして、15日に再度アップデートがあり、株主総会での会長によるコメントまでビデオで流していた。
Source:Nestle / Statement on deforestation and palm oil

Nestleの対応は後手後手に回った感は否めない。特にYouTube、Facebookに関するひどい対応がバズ化した後の対応がまずい。自社Webサイトにアクセスするユーザを前提とした対応は、森の中で狩人が獲物を取るために仕掛けていた穴に自ら足を踏み入れるのに近い暴挙だ。彼らのスペース、セクション、エリアで、彼らの言葉を使って話をしなければいけないにも関わらず、大きなメガホンを口にし、大声で私は悪くないと言いまわっても誰も聞いてくれない。

ブランドレピュテーションや企業価値が音を立てて崩れていく様、あるいは少なくとも損なわれる様をオンラインで高みから見物できる現在、多くの企業・ブランドが今回のケースから学習するだろう。

車のようにオーナーの命に関るケースもあれば、エレクトロニクス製品からの出火や不具合、初期不良もあるし、今回のようにサプライチェーンの一部が原因となってほころびるケースもある。そして、発火点が自国だけとは限らず、外国のケースもある。それが世界中のインターネットユーザに波及してゆく。

なお、2009年にSinar Masの子会社とのパーム油取を取りやめていたUnileverは、ほっと胸をなで下ろしているのか、それとも...?

2010/04/06

CEO and Social Media

去年の6月とちょっと古いのだが、Fortune 100にランクされる企業のCEOと、そのソーシャルメディア活用について調べたレポートがSlideShareに上がっている。

その結果はというと;
  • Twitterアカウントを持っているのは2人だけ
  • LinkedInプロファイルを持っているのは13人(ただし、10人以上のコネクションがあるのは3人だけ)
  • 81%は個人のFacebookページを持っていない
  • 約四分の一はWikipediaにエントリがない(31%はエントリがあるが限られた内容だったり、アップデートされていない)
  • Blogは一人もやっていない
と、散々な結果となっている。

Twitterを使う一人として挙げられたBerkshire HathawayのWarren Buffettには3万人以上のフォロワーがついているが、2月に1回初めてTweetしただけで、後は音さたなしの状況だ。
Source:Twitter / W_Buffett

こんなにもひどいとはまったく想像もしていなかった状況だ。

Fortune 500の企業ユースに限れば、Twitterは137社(35%)、Blogは108社(22%)がやっており、少しずつだが数は増えている。それは顧客、ユーザのスペースに参加しなければコミュニケーションが成立しないことを学習しつつあるからだ。いままでのやり方、流儀ではユーザとのタッチポイント効果が減衰していることを実感しつつあるからだ。大量発信してきたブランドメッセージ・コンテンツを上回り思いもかけない効果をもたらすUGCとそのスペースが存在すること、それは対等の評価をベースとして共有されることを実体験しつつあるからだ。

参考:Fortune 500 and Social Media (Online Ad 2010/03/03)

そんな中、Fortune 100のCEOはデジタルイミグラントどころか、デジタルラガードといったところだ。社会の大勢がオンライン、ソーシャルメディア化するなかで、あくまでも今までの伝統、慣れ親しんだ流儀を貫き、最後までイノベーションを採用しないグループを構成している。

さて、レポートの結論は;
トップ100のCEOは、社員、パートナー、顧客とは違い、まったくコネクトされているとは言い難く、遠く離れ、興味を持たれることもエンゲージすることもない。

ただし、CEOにはソーシャルメディアに参加することで企業・ブランドの認知、可視性、ブランド体験にポジティブな効果を及ぼす可能性があり、ソーシャルメディアを使う、使わないではなく、問題は、もし、使うべきだとしたら、いつ、どうやってかということだ。
としている。

レポートが書いていない「CEOがソーシャルメディアを使うべき必要性」には、
  1. リーダーシップを発揮するため
  2. 直接、顧客、ユーザと対話するため
  3. フィルターされないフィードバックを受けるため
  4. 企業を見える化するため
などがある。

ここをCEOがどう判断するかだけだ。あるいは、状況の見えないCEOに根気強くその必要性を説く社内チーム、あるいは外部組織がいるかどうかだ。

2010/04/05

PR Tip

昔、「Stupid press release SPAM」で取上げたDavid Meermanが、「PR売り込みのコツ」を書いていた。

彼も以前はいくつかの企業でマーケティングやPRのVPをしていたとのこと。そして、現在、PR売り込みを受ける立場になって、如何に売り込まれるPRが的外れであり、役に立たないものかを実感しているらしい。

そこで、PR売り込みのコツを書いている。
  1. 製品を売り込むな
  2. 大抵のジャーナリストは製品に関心はない
  3. 客が抱える問題をどのようにして解決したかを教えてくれ
参考:Stupid press release SPAM (Online Ad 2009/11/05)
Source:Webinknow / Single most essential PR pitching tip

彼のように何冊も本を出し、各地で基調講演をし、日本にも招聘されるほどではなくとも、ソーシャルメディアスペースでインフルエンサーとされる人間のもとに、各社はこぞってプレスリリースを送ったり、Emailでのやり取りからBloggerミーティングなどを開催して、製品・サービスを取上げてもらおうと手を尽くしている。

そのため、製品カタログそのものに近いBlog記事を目にしたり、また、プレスリリースと一字一句違わない提灯記事を目にすることもある。反面、製品やサービスを購買することで客は何が得られるのかを並べている、比較している記事に出会うことは少ない。

提灯記事があるくらいなので、大抵のジャーナリストが製品に関心がないかどうかは異論のあるところだが、ユーザの興味を惹きつける記事はカタログやリリースベースのものでないことだけは確かだろう。

実際のところ製品を購買し、長時間利用しているユーザだからこそ気がつくメリットや問題がBlogやForumで取り上げられ、それをマスメディアが取上げてバズ化するケースがある。カタログやリリースでは取り上げない、分からない製品特性こそユーザの興味を惹くことは確かだ。

2010/03/19

German Search Engine

GfKから「Use of domains with search function and allocation of queries」というレポートが出ている。このレポートも読者から情報提供を受けてGfKにメールを送り、英語版を送ってもらった。GfKに感謝=Vielen Dank, GfK!

なお、「German Online Report 2010」で、「BVDWに感謝します」というところを「Ich danke für BVDW.」としていたが、これは文法的にミスだそうです。鋭いツッコミが入りましたので、Vielen Dank, BVDW!と訂正します。

追記:
「Ich danke für BVDW.」はInfoSeekのドイツ語翻訳を使ったわけだが、Exciteでも同じだった。というよりも日本語を外国語へ、あるいは外国語から日本語へ翻訳するのは無理なのかしら?

参考:German Online Report 2010 (Online Ad 2010 03/11)

さて、ドイツにおける検索エンジン(ポータル含む)ドメインのリーチを見ると、Googleがダントツで90.2%、続いてT-Onlineの45.8%、Yahooが39.8%となっている。そして、ファッションに関する検索は91%がGoogleで行われ、次はBingの4.2%、Yahooが2.8%となっている。

すくなくとも、ことファッションに関しては10人中9人がGoogleを使って検索していることになる。T-Onlineは半分近いドメインとしてのリーチがありながら、ファッション検索のシェアでは1.8%にしか過ぎないことになる。
Source:GfK (独語版pdf)
Source:GfK (Box.netにアップロードしてある英語版pdf)

検索シェア9割となると、どのドメイン、ポータルにいようと検索はGoogleでというパターンが出来上がっていることになる。T-OnlineやYahooは検索以外、emailやオークション、多様なコンテンツを提供することで生き残りを模索しなければならない。

ところが、3月16日にはFacebook Sportsが立ち上がっている。ポータル化を強化、推進しているFacebookというか、ソーシャルメディアがポータル化しつつある今、既存ポータルのメリットが失われつつある。
Silicon Alley Insiderは、Yahoo CEOのCarol Bartzの退陣は切迫しているといった記事を書いているが、CEOを挿げ替えたところで流れが変わるわけではない。

Source:Silicon Alley Insider / Carol Bartz Needs A Miracle

なお、ドイツ語の添削でお世話になり、GfKの情報をいただいた読者に、ドイツ人の迅速な対応を伝えたところ、
こういうありがたい対応は、「もっとたくさんのことを知りたい、そしてもっと多くの人に知ってほしい」という共通の、そして根幹を行く願いがあるからだと思います。

あとは、組織として、「知ってほしい」を実現するための広報部門がしっかりしていることですね。これって一流か二流かをわける大事な条件だと思います。
というコメントいただいた。

コンテンツを配信、供給するだけのマインドセット、広告を露出するだけのマインドセットは、BVDWやGfKには存在していないようだ。

2010/03/15

Social Media Policy Tool

ソーシャルメディアに関する企業ポリシーを簡単に作成してくれるツールがある。

これはrtractionというWeb制作、ソーシャルメディア&SEOなどのマーケティングもやっているところが、インターネット・ハイテクに強い弁護士と協力して作ったものだ。

まず企業名を入力し、企業内で全員あるいは特定社員だけがソーシャルメディアに参加できるのか、その際誰の許可を得るのか、ソーシャルメディア参加を支援する社内組織の有無、発言は企業を代表するものではないことを明記する義務など12項目に応えていくだけで社内ガイドライン、ソーシャルメディアポリシーが作成できる。
前文には、ソーシャルメディアの定義、ソーシャルメディアにおける行動はこのポリシーの規定に則ったものであること、参加の事前承諾を得ることなどが明記され、各章に落としている。例えば、機密保持、個人情報保護、著作権保護、オーディエンスおよび自社、社員の尊厳順守、トラブル対応、予想されうる結果を考えた上での投稿、断り書きを入れること、業務優先でのソーシャルメディア参加であること、そして、ポリシーに違反した場合は懲戒、解雇もあり得ることを明記している。

どこから見ても十分な内容になっている。

Source:rtraction
Source:Social Media Policy tool

こんなに簡単にできてしまうソーシャルメディアポリシーなど使い物にならないと考える向きもあるだろう。数万人を超えるわが社、そしてその社員がソーシャルメディアを使う際のガイドライン、ポリシーとするなら社内委員会を立ち上げ、外部の識者を招き、多くの国内・海外事例を基に...といったフローが必要だと考える向きもあるだろう。そして、ようやく出来上がった社内ポリシーをもとに、社員がソーシャルメディアを使い始めるには1年から2年、あるいは3年かかるのが普通なのかもしれない。

しかし、社内手続きをはしょるわけにはいかないが、もう時間はあまり残されていない。

2007年、Fordのソーシャルメディア対応は、YouTubeのみ。それも公式なチャネルではなく一部有志(?)が立ち上げたものだった。その時点でFordは最も遅れたグローバルブランドのひとつだった。しかし、それから3年がたった今年、FordはPR Weekの「Best Use of Social/Digital Media」を受賞した。それも世界中のマスメディアが報道したオーストラリア、クィーンズランド州の「Best Job in the world」を押しのけての受賞だ。

Source:PR Week / Awards finalists 2010

2007年であれば、まだまだソーシャルメディアの成功事例も少なく、時間をかけて立派なポリシーを策定し、社員教育をすることもできた。しかし、2010年の今年、ケーススタディは掃いて捨てるほどあり、企業規模の大小に関らず猫も杓子もソーシャルメディアと騒いでいる。その流れに乗って、このツールさえあれば基本的なガイドライン、ポリシーとして使うことが可能な世界中で数十万以上の企業、その数千万人の社員がソーシャルメディア化してくる。

広告やマスマーケティングからピアリレーションズ、コネクション、ネットワークへといったパラダイムシフトが進行する中、広告やマーケティングのみをソーシャルメディア化させても効果は薄くなるばかりだ。企業そのもの、企業を構成する社員そのものがソーシャルメディア化しなければ取り残される。

2010/03/05

Toyota Risk Management -2

先月末にBigResearchのFebruary Big Call (Webinar)があった。

消費マインド、雇用状況などに交じって、「購買意思...Toyota Recallの影響」というスライドがあった。

今年2月、これから半年間に自動車を購入しようと計画しているのは10.6%。昨年よりも回復してはいるが、2008年以前とはまだ開きがある。そんな中、トヨタのリコールの影響で40.2%は、最初、あるいは二番手の車として検討するブランドからトヨタを外している。

その結果、購入を検討する車ブランドのトップにFordが座り、Chevrolet、Honda、Nissanと続いてToyotaは最下位の7番手になっている。Source:BigResearch / February Big Call (Webinar)
参考:Toyota Risk Management (Online Ad 2010/01/25)

さて、米Toyotaは、社長のJim LentzがDiggを使って顧客からの質問に直接答えたり、プレスルームを拡張し、「Recall Information」セクションを充実させている。そこへ行けば10本のビデオが上っており、ETCの説明から、品質、急停止操作、フロアーマットの説明までしている。

参考:Corporate & CEO Blog (Online Ad 2010/02/08)
Source:Toyota.com/recall

そして、2月、米Toyotaは、下のような広告を大手新聞に掲載していたし、米公聴会前にはWSJに豊田章男社長が寄稿していた。
Customer.Letter.2また、Tweetmemeを使い、「Toyota Conversations」といったサイトを立ち上げ、トヨタ、リコールなどに関するTweetsをアグリゲートしている。
Source:ToyotaConversations.com

矢継ぎ早という形容がぴったりなほど迅速に対応している。

ただし、Jaff Juiceが言うように新聞を購読している読者向けではなく、トヨタ車オーナーおよびトヨタ車購入を検討している潜在顧客に伝えるには、レガシーメディアだけではなくソーシャルメディアスペースでの告知が必要だ。

WSJや大新聞だけでは足りない。また、FacebookやTwitterでの発信もまだ物足りない。

Source:Jaff Juice / How Toyota can Flip the Funnel

BigResarchの調査データにあるように企業・ブランドへの信頼感が崩壊した時、それを回復させるのはWSJや大新聞、TV、雑誌、ラジオなどのレガシーメディアだけでは足りない。それらレガシーメディアよりもユーザが集うソーシャルメディアスペースを活用しない限り、とても時間のかかる作業となる。一方通行のコミュニケーションだけではなく、オープン、対等、双方向のコミュニケーションに価値を見出しているユーザが増えているだけにソーシャルメディアスペースを活用しなければエンゲージメントも、新しいピアコネクション、リレーションズ、ネットワークはできない。

ソーシャルメディアスペースにおいて、Toyotaに対して好意的なコメント、書込みをしている多くの顧客、ユーザがいる。彼らの助けを借りずして、彼らのブランド体験を共有してもらわずして、企業・ブランド側の資金力に任せたコミュニケーションを行ったところで、競合コミュニケーションとの差し引きになるだけだ。

今回のケースでToyotaが復活する最も重要なポイントはソーシャルメディアスペースの活用如何にかかっていると見るが、いかがだろうか?

2010/03/04

Online News Room 2010

Verizonのニュースセンターがある。

Source:Verizon / Newscenter

ま、一目で他企業のニュースセクションとは違うのがおわかりだろう。
  • 注目させるグラフィック
  • 豊富なテキスト、ビデオ、オーディオコンテンツ
  • 検索機能提供
  • RSS登録
  • Email登録
  • Blogリンク
  • Twitterリンク
  • Press Kit提供
  • メディアコンタクト
などが、明確、正確、適切に配置され、提供されている。

オンラインニュースルームの目的、メリットと言えば、
  1. オンラインマルチメディアコンテンツ提供
  2. メディアカバレージ増加
  3. 検索エンジン対策
  4. メディアおよび消費者にメッセージを直接配信
  5. オンラインレピュテーション管理
  6. ソーシャルメディアコンテンツ追加
  7. 効果可視化、計測
などだ。これらのポイントを前提として、さて、ここで質問です。
  1. 御社のニュースルームは頻繁に、意味があり、適切でエンゲージするコンテンツを配信していますか?

    あるいは、単純に昔通りのプレスリリースを流すだけですか?

  2. ジャーナリスト、消費者、投資家、ステークホルダー、顧客・会員など広範なオーディエンスに向けたニュースルームですか?

    あるいは、既存レガシーメディアを考えているだけですか?

  3. 彼らオーディエンスにテキスト、画像、ビデオ、オーディオ、PDF、Blog、ニュースフィードなど多様なコンテンツを提供しているニュースルームですか?

    あるいは、テキストベースのプレスリリースだけですか?

  4. 彼らオーディエンスがニュースルームにアクセスした際、友人にクチコミしたり、コンテンツを共有できるニュースルームですか?

    あるいは、印刷物を提供するだけですか?

  5. 検索エンジンが巡回し、最新コンテンツを検索結果に表示し、検索ユーザに正しい情報を伝えているニュースルームですか?

    あるいは、主な検索エンジンでひどく下にランキングされていますか?

  6. 最新のWebデザインや事例を参考にしてアクセスユーザが迷子になることなくコンテンツを見つけ易く、保存したり、検索したり、並べ替えたりできるニュースルームですか?

    あるいは、テキストベースのプレスリリースだけですか?

  7. アクセスユーザの再訪を促進したり、メインセクションの製品、サービス、企業情報、ミッションへトラフィックを誘引したり、ユーザが企業とエンゲージするようになっているニュースルームですか?(コメント、フィードバック、募金、投資、登録、引用など)

    あるいは、テキストベースのプレスリリースだけですか?

  8. 企業のコンタクト情報などをSPAMから守るニュースルームですか?また、マルチプラットフォームからアクセスできるニュースルームですか?(PC、Email、携帯、ソーシャルメディアから)

    あるいは、PCアクセスだけを考えたニュースルームですか?

  9. アクセスユーザが求める多様なチャネルに応じてメッセージ、コンテンツを配信できるニュースルームですか?(検索エンジン、Email、Facebook、Twitter、Blog、YouTubeなど)
    そうして、それらのスペースからユーザのトラフィックを誘引できますか?

    あるいは、オンラインコンテンツはすべてWebマスターの許可が必要ですか?

  10. アクセスユーザのトラフィック、アクセス場所、ユーザが消費、共有、コメント、書込み、登録したアクセスコンテンツなどをトラッキングするニュースルームですか?

    あるいは、そんなデータを求めても無理ですか?

  11. 自社のオンラインブランドレピュテーション、リスクをモニタリングしていますか?また、競合のバズ、マーケティング戦略をモニタリングしていますか?

    あるいは、そんなことは考えたこともないですか?そんなことはPR部門には関係ありませんか?
Source:What is an Online Newsroom?
Source:iPressroom / 10 Reasons Why You Need a Better Online Newsroom in 2010

iPressroomの「10 Reasons why you need a better online newsroom in 2010」の10の箇条書きは内容を若干修正し、その上で11番目を追加している。

ソーシャルメディア対応を云々する以前の問題も多々ある。それはコンテンツのオンライン化、マルチメディア化、コンテンツのコンテキスト、検索エンジン対応、再訪促進策、レイアウトなどだ。それらに対応した前提で、ソーシャルメディア化やモバイル対策が求められている。そして、最後の11項目めにバズモニタリングを付け加えた。

広告やマーケティングなら今までもレガシーメディアにおける競合調査はやってきた。積み上げられたティアシートや出稿回数を比較し、NielsenのAdRelevanceで算出したimpression数、gifファイルや推定広告費を比較してきた。

しかし、下図にあるようにEmailマーケティング、SEOを除くと、Blogしたり、RSS・Podcast、ソーシャル検索、ソーシャルネットワーク、Twitter、Webコンテンツ管理を担当しているのは、ITやマーケティング部門ではなく、PR部門となっている。EmailマーケティングやSEOもPR部門の比率は高い。
この状況下で、PR、広報部門が最先端に近くデジタル化しなければ、競合や世界のグローバル企業・ブランドとのギャップは広がるばかりだ。デジタル化とはコンテンツをオンライン化、マルチメディア化することは当然、もちろんのことで、その先にあるソーシャルメディア化、そして、ピアエンゲージメント、リレーションズ、コネクションを見据えた体制が必要となる。

既存の組織で可能だと考えられますか?

Source:iPressroom / 2009 Digital Readiness Report

2010/02/16

World Digital Media Trend

WAN-IFRA(World Association of Newspapers and News Publishers)と言うところから昨年末に、World Digital Media Trendというレポートが出ていた。

世界的に見ると、メディア&エンタメ市場は2003年に1.21兆㌦、2007年に1.59兆㌦に達し、2009年に1.8兆㌦、そして2012年には2.1兆㌦を予想している。2009年に1,815億㌦のTV広告は2012年に2,158億㌦へ、そして771億㌦のインターネット広告は1,203億㌦へ伸びると予想している。

その間、TVCFは19%、インターネット広告は56%増となる。
そして、モバイルを含めたインターネット広告を地域別に見たものがある。2009年に米国は世界のインターネット広告の40%を占め、欧州は36%だ。

それが2012年には米国は43%増、欧州は67%増となり、欧州が世界シェアの38%、米国が37%と予想されている。
次に、デジタルホットスポットを示している。モバイル普及率が65%以上、かつインターネット普及率が40%以上のHottestに分類されるのは、欧米、韓国、日本、台湾、マレーシア、豪、乳、UAE、仏領ギアナなどだ。

次のHot in mobile、モバイル普及率65%以上、かつインターネット普及率40%未満に分類されるのは露、アフリカ、南米、中東諸国などがくる。
最後に、新聞とインターネットの広告費を比較している。2003年には大きく開いていた新聞広告とインターネット広告の差は2009年にシェア23%対14.6%にまで縮まり、2012年には21.6%対19%と、その差2.6%にまで接近すると予想されている。
Source:WAN-IFRA / World Digital Media Trend (pdf)

2012年、インターネット広告はTV広告の56%へ、欧州がインターネット広告で米国を抜き、ひょっとするとモバイル向けインターネット広告がPC向けを抜き、多分OECD諸国の大半ではすでに新聞広告をインターネット広告が抜いている。そんな年になる。

2012年というとあと700日くらいだろうか?

何年、何十年という積み重ねる年つきではなく、何日という単位で今までのメディアプラットフォームが音を立てて変化してゆく。そんな時代にいつまでもレガシーメディアにしがみつくしかない企業・ブランドと、オンライン、ソーシャルメディアに生きるユーザとのギャップは途方もなく大きくなる。

そして、広告、PRやマーケティングといったユーザアプローチではなく、エンゲージメントやコネクション、リレーションズといったピアアプローチが主流になる日があと700日に迫っている。