2007/03/30

Online Users Read More than Print Readers

Poynterが、EyeTrack07という調査データをWashingtonで開催されたAmerican Society of Newspaper Editors (ASNE)で3月28日に公表した。

これはStarTribune、Daily Newsなどの新聞5紙と、その読者約600人を対象に視線動態調査を行ったものだ。このうち70%は新聞、あるいはオンラインで週に4回はニュースを読む人たちだ。

読者の視線を15分間トラッキングすることで、読み始めた記事をどれぐらい読者が読んでいるのか、また読者の閲覧パターンの詳細についても明らかにしている。

調査対象者のデモグラフィックなどは以下の通り:
  • 平均年齢:39歳 (56%:18-41歳、44%:42-65歳)
  • 男女比は男性49%、女性51%
  • 29%:週に1-2回新聞やオンラインを閲覧、71%:週に4回以上閲覧
  • 87%:大卒以上、75%:有職者
新聞や、オンラインの記事テキストのどれくらいのボリュームを読者が読んでいるかを見ると、タブロイド紙は57%、ブロードシート紙は62%、そしてオンラインは77%が読まれている。

印刷媒体よりも、オンライン媒体の記事テキストが、より多く読まれているという結果が出ている。約三分の二近くのオンライン読者は一度、読むと決めた記事は、その全ての記事テキストを読了している。

また、ジャンプ記事(日本ではあまりないが、米国などでは記事が複数ページに飛んで掲載される)の場合、ブロードシート紙の読者は59%、タブロイド紙の読者は68%が読了している。

次に、記事を上から下へ順序良く読むMethodicalと、見出しや記事、写真などをスキャンするScanningタイプの読者について調べている。
Methodical読者は、あまりスキャンすることなく、順序良く記事を読み、記事を二度読みすることもある。オンラインの場合、ドロップダウンメニューやナビゲーションバーを利用して読む記事を決めている。
Scanning読者は、紙面、見出し、その他表示項目をスキャンし、記事を読むことはあまりない。記事の一部を読み、写真やその他の表示項目へ飛び、もとの記事に戻ることはない。オンラインの場合、記事リストを確認し、記事をクリックして読み始める。

印刷媒体の読者のうち約75%はMethodical読者、オンライン読者のうち約半数はScanning読者だ。しかし、その読んだ記事ボリュームを見ると、右図のようにオンライン読者の場合、Methodicalでも、Scanningでもボリュームに大差はない。

反面、印刷媒体読者の場合、MethodicalがScanningよりも多くボリュームを消費している。特にタブロイド紙読者のうち、Scanningする読者はかなり記事を読んでいないようだ。

その他、Q&A、スケジュール、囲み記事などが読者の注意を惹き、読後も記憶していること、写真や画像の視認率、新聞見出しや写真の認識、オンラインのツールバーなど道しるべの重要性なども取り上げている。

Source:Editor & Publisher / Surprise : Study Finds Online Users Finish More Stories Than Print Readers
Source:PoynterOnline / EyeTrack07: The Myth of Short Attention Spans
Source:PoynterOnline / Presentation at ASNE (pdf)

この調査データはまだ最初のもので、今後、様々な詳細データが公表される予定だ。その内容にも期待したいが、今度は雑誌、新聞、オンラインを含めた視線動態調査を行い、各媒体ごとの特性や特徴を明確にするような調査を期待したい。

ところでMiropersuasionのRubelが、Poynterのデータを引いて、「これをPRに当てはめて考えてみると、もしクライアントに関する記事がAPニュースに掲載された場合、印刷媒体に同じ記事が掲載されるよりも価値が高いことになる」と書いている。

これはちょっと短絡というよりも、MicrosoftなどのPRを手がけているEdelmanに属し、SVPとしてm2resolutionという事業部を率いるRubelが意図した我田引水という感じがある。Poynterのデータは、読者が興味を持った記事をどれくらい読むのか、読むボリュームは、最後まで読むのかといったデータとともに、読者ごとの記事閲覧パターンを明らかにしているだけだ。APニュースに載ったクライアントの記事が読者の興味を惹かなければ読まれることはない。読まれたとしてもScanning読者は最後まで読了することなく、他の記事、項目へ飛んでしまうかもしれない。記事が掲載されただけでは、何の価値もない。

Source:Micropersuasion / The Long and the Short of Media

2007/03/29

Next Generation Consoles -2

月曜日に「Next Generation Consoles」を書いたばかりだが、Video Game Chartsのデータを引用したCompeteのデータが出ていた。
Competeのコメントは以下の通り。
  • WiiおよびXbox 360は、1月から2月にかけて根強い需要があり、年末商戦以降の通常期レベルに入っている
  • PS3の需要は、同時期に30%も低下しているため、Xbox 360の販売数よりも大きく下回る
  • Wiiはオンラインの小売需要を依然として独占しており、PS3の約2倍、Xbox 360の60%増しとなっている
  • Xbox 360リリース時と比べ、WiiおよびPS3は年末商戦時期にトータルな需要を喚起したが、PS3の急激な需要減は、あおられた人気がしぼんだことをしめしている
Source:Compete /Xbox360 vs. Wii vs. PS3: Demand doesn’t lie

Competeは、上のコメントの後に続けて、Wii、PS3、Xbox 360を擬人化した座談会を開いているが、それはおくとして、データソースのVG Chartを見てみる。その最新データによると、Xbox 360の総販売台数が977万台、Wiiが625万台、PS3が280万台となっている。1年以上前にリリースされたXbox 360を昨年11月19日に米国でリリースされたWiiが追っている。Wiiは今年末までにはXbox 360を追い抜くのではないかと思わせるほど差を詰めている。しかし、PS3は米国はまあまあとしても、日本、その他で実績が上がっていない。

Competeのコメントが言うように、オンラインショッピングで独走するWiiが、次世代機の王者になるのではないだろうか。やはり、「Next Generation Consoles」で書いたように、オンライン露出が現実社会で重要性を増しているだけに、その視点をマーケティングのコアに据える必要があると思うのだが...。

Source:VG Charts / Next Gen Wars - The Latest Worldwide Console Sales

2007/03/28

Guardian moves towards digital future

英国のThe Guardian、The Observer、そしてGuardian Unlimitedを所有するGuardian News & Media (GNM) がデジタル化戦略を加速するようだ。

GNM は来年10月、新社屋への引越しが決まっているが、それに合わせて3月初旬に「24時間/7日体制」と人員削減も予定していることを社員に通知した。そして、デジタル技術をジャーナリズムのコアに据えるという企業としての改革方針を社員に宣言した。

このデジタル化戦略加速により、強制解雇を防止し、2週間に9日の出勤という新聞編集スタッフの就業条件を取り決めている労組協定の見直しも必然のようだ。すでに英国ジャーナリスト労働組合と会合を持ち、協定見直しの話し合いを始めている。

The Guardianの編集長、Alan Rusbridgeによると、Guardian News & Media はまだThe Guardian、The Observer、そしてGuardian Unlimitedという3つのサイロで運営されており、「旧メディアメンタリティ」によって融合が妨げられている。新社屋への引越しと、それに合わせた従業員リストラにより、読者が一層、求める柔軟性を獲得する事ができるという。

GNMの取締役、Tim Brooksは、「組織改革とリニューアルによる難しい判断を下すことになる」としている。新社屋ではWifiアクセス、マルチメディアファシリティなどが活用できるようになり、今後12ヶ月間にデジタルメディア部門で100人の新規雇用が発生するが、それ以上に新聞部門でのリストラが予想されている。

Source:Guardian Unlimited /Guardian moves towards digital future

以前、「The Net benefit of digital publishing」で紹介したように、デジタルビジネスランキングでBBCに次ぐ2位の地位を占めているのがGuardianだ。2005年度でデジタル部門が黒字化してはいるが、欧州を席巻するフリーペーパーの拡大を見れば、それに安住しているわけにはいかない。一層の組織のスリム化と、変革するメディア状況に適合した優先的な改革を断行する必要に迫られての判断だ。

現実に、26日付けのBrand Republicによれば、Guardian Media Groupは、ApaxにAuto Traderなど70誌を含むTrade Media Group部門の未公開株式49.9%を£6.75億で売却するようだ。

参考:The Net benefit of digital publishing
Source:Brand Republic / Guardian selling half of Trader Media to Apax

Tim Brooksは、英国の新聞社としてではなくグローバルマーケットを視野に入れ、「世界の先頭を切るリベラルメディア」となる意思、目標を持っていると語っている。そんな大風呂敷を広げても大丈夫かと心配したくなるが、ここがデジタルビジネス部門で2位を占めているGuardianの先見の明ではないだろうか。また、その理由もありそうだ。

まだまだ最終決定には程遠いが、BBCはWebサイトでの広告掲載を戦略に挙げている。これからの紆余曲折は予断を許さないが、他ニュースメディアサイトへの影響は計り知れないものとなる。また、通信社・TV・ポータル・ニュースアグリゲータ系の影響を考慮すれば、欧州の英国に本拠を持つ新聞社のWebサイトといった属性だけでは将来は見通せない。英語ニュースサイトとして、英国だけではなく世界のインターネットユーザに訴求する戦略が求められるはずだ。

さて、ABC ElectronicによるとGuardian Unlimited (GU) のユーザ数は、今年2月には1,376万人と若干落ちこんだが、1月に1,570万人を超えている。このユーザ数は英国のみならず、全世界からアクセスするユニークユーザ数だ。(下のURLから、「Just want the numberのClick hereから、Searchをクリック。ABCEが公査している全てのWebサイトに関するデータが、More details...からアクセス可」)
そして、例えばNYTimes.comのユーザ数はNYTのメディアキット(Nielsen @Plan Fall 2006)によれば、1,337万人だ。この数字はUSユーザのみの数字で、全世界からのユーザ数はこの数十%増しになるから全世界では、1,600万とか、1,800万人になるはずだ。

まだまだNYTimes.comには及ばない規模ではあるが、他英国新聞社系Webサイトの2倍から5割増のユーザがアクセスするGUは、英語ニュースサイトとして世界のインターネットユーザに訴求する可能性を持っている。GUのAd Infoを見るとUKユーザ数が2月で約484万となっている。全体ユーザ数が1,376万となっているので、900万人前後のユーザは英国外のユーザだということだ。当然、米国ユーザが大半を占めるだろうし、欧州、アジアなど世界各地域からもトラフィックを稼いでいるはずだ。他ニュース、新聞、雑誌サイトの地域別ユーザ比率の詳細は不明だが、ここまでグローバル化しているサイトは他に例を見ないのではないだろうか。

だからこそ、これがTim Brooksが語る「目標」を支えているのだろう。

Source:ABC Electronic
Source:NYTimes.com / Media Kit (pdf)
Source:Guardian Unlimited / Ad Info

2007/03/27

EIAA: Wireless Users Executive Summary 2007

EIAA (European Interactive Advertising Association) から、新しく無線・モバイルユーザに関する調査のExecutive Summaryが出てきたので、それを紹介する。

いつものように、英、独、仏、西、伊、北欧は1,000人前後、ベルギー、オランダは500人前後、合計で7,036人に電話インタビューを実施したものだ。
  • 無線・モバイルユーザは
    • 37%が常にSNSサイトへアクセス
    • 三分の一以上が自身のコンテンツを共有し、他のサイトに対するレビューや評価を行う
    • 通常ユーザよりも、オンラインラジオ(49%)、IP電話(34%)を利用する率が高い

  • 48%の無線・モバイルユーザはインターネットを利用する影響でTVをあまり見ない
  • 無線・モバイルユーザはオンラインショッピングが好き
    • 通常のオンラインユーザは、平均10品目を購入し、合計750ユーロ
    • 無線・モバイルユーザは、平均20品目を購入し、合計1,396ユーロ
  • 無線・モバイルワークスタイル(25-44歳)
    • 83% 通常の66%と比べてニュースサイト利用が多い
    • 79% 通常の55%と比べて銀行、ファイナンスサイト利用が多い
    • 70% 通常の43%と比べてテクノロジーサイト利用が多い
    • 43% 通常の34%と比べて自動車関連サイト利用が多い

  • PDA/Wifiによるインターネット利用者の94%が利用するメインアクセスはブロードバンド
  • テクノロジー利用
    • 94% DVDレコーダー所有
    • 81% 家庭にPC所有
    • 68% MP3/iPod所有
    • 61% 家庭にWifi接続あり
Source:EIAA / Wireless Users Executive Summary 2007

インターネットユーザの中でも、アーリーアダプターといえる無線・モバイルユーザの情報感度は高く、積極的にオンラインショッピングを行い、HDTVやPlasmaTVなどの新しいエレクトロニクス製品にも通常ユーザよりも高い興味を示しているのがわかる。また、フォーラム、SNS、Ratings & Reviewsなどにも積極的に参加し、BlogやPodcast、ビデオストリーミングやRSSを一般ユーザよりも利用している。

特にニュースサイトへのアクセスが83%、テクノロジーサイトへのアクセスが70%だという点に注目したい。無線・モバイルユーザが求めるニュースやテクノロジーの最新情報は欧州国内サイトにあるのだろうか。日本でも海外からのニュース、テクノロジー情報が多くのWebサイトで見受けられる。また、有名なBlogでは海外サイトから直接、多くの最新情報をアップしている。

欧州ユーザの英語能力を考えれば、直接、米国のトップニュース・テクノロジーサイトへアクセス、RSSフィードを受けたり、Blogやソーシャルブックマークをチェックしているのは明らかだ。ここに英語トップサイトを活用し、日本からオンラインブランディングや、マーケティングを行う理由がある。米国トップWeb、あるいはBlogサイトでの露出は、世界へ波及している。「Global Online Marketing and Branding Available」で紹介したように米国のトップ25Webサイトへのトラフィックの大半は米国以外からのものだ。また、「Blogs in UK、Germany、France and Italy」で書いたように米国トップBlogへは世界各国からリンクが張られている。

これら英語・米国トップのWeb/Blogサイトを活用することでグローバルなオンラインブランディンが可能だ。

参考:Global Online Marketing and Branding Available
参考:Blogs in UK、Germany、France and Italy

2007/03/26

Next Generation Consoles

ScreenDigestが、「Next Generation Concoles:Games publishing, hardware analysis and forecasts to 2010」というレポートに関するEmailニュースを配信してきた。

このレポートは次世代ゲーム機のハード、ソフトの販売予想、ハードおよびソフト開発メーカーの将来性などを調査している。大手ソフトメーカーの調査によりサードパーティ側がどのハード向けのソフト開発を計画し、主要市場である米国でどれくらいの販売台数を稼げば損益分岐点を越えるか、またゲーム開発費が高騰する中、ハードメーカー側への影響などもカバーしているようだ。

それによると;
  • 2009年にソフトウェア販売はピークの139億㌦に達すると予想(図はScreen DigestからのEmailニュースより)
  • PS2がなし得た独占的なシェアは次世代機では繰り返されず、地域ごとの競合は一層激しさを増す
  • 高騰する開発コストの影響で、ハードメーカーがリリースするソフトの重要性が増し、サードパーティのソフトメーカーは、開発リスクを軽減する戦略を模索する
  • PS2用ゲームの販売はPS3発売後も継続し、主要市場で2008年末までは続くと予想
上のグラフを見ると、Xbox 360の販売予想額、シェアが前モデル時代よりも高くなっている。特に2007年にブレークするような予想だ。それに比べるとWiiのシェアは低く、PS3もPS2時代ほどではない。また、どのハード向けのソフトも2009年にピークを迎えると予想している。

さて、PS3が3月16日にUKで発売されたのをうけて、Hitwise UKが面白いデータを出している。それによるとPS3は先週、もっとも検索されたキーワードではあったが、検索の中身を見ると価格関連、価格比較関連が主で、また、Xbox360やWiiが発売された当時の検索実績よりも低い結果だったようだ。

UKでの「Playstation 3」という検索は過去4週間で14%増加しているそうだが、ようやくWiiの実績を上回った程度だ。また、US小売価格と比べて£120も高い、£425という価格から検索内容は、「cheap playstation 3」、「free ps3」、「cheap ps3」、「ps3 price in dubai」、「60g ps3 price in north america」といった検索キーワードが上位に入っている。Sonyは繰り返し、価格の値下げについて言及しているが、PS3がブレークするには小売価格が大きな障害になっているようだ。

また、「Xbox 360」の検索もシェアは0.0046%で、大きな動きは見られない。

また、Nielsen//NetRatingsが、ゲームコンソールのWebサイトへのトラフィックデータを出している。それによると、Nintendoサイトが2006年2月の85.6万ユニークオーディエンス(UA)から2007年2月には163.1万UAへと91%も増加している。Xboxサイトは同47%増を果たしているが、Playstationサイトは前年比8%減となっている。

米国で次世代ゲーム機の先陣を切ったXboxサイトが健闘し、最後発のNintendo(米国発売は2006/11/19)サイトが先頭を走る中、Playstation(同2006/11/17)サイトはPS2時代を上回るトラフィックを獲得できず、伸び悩みといった状況だ。

Source:Screen Digest / Next Generation Consoles
Source:Hitwise UK / PlayStation 3 UK Launch - Top Searched Console but Muted Enthusiasm
Source:Nielsen//NetRatings / News Release (Mar 13, 2007) (pdf)

こと、オンライン露出に関してPS3はUKでの発売開始を大きな転機とできていないように見えるし、米国でもWebサイトへのトラフィック増加にブレーキがかかっているようだ。また、XboxサイトへのトラフィックはPlaystationより健闘しているとは言っても、2007年のブレークを予感させるような力強いものではない。XboxとNintendoサイトへのトラフィックを見ると、Wii人気が上回っているように見える。

Screen Digestのレポートは、目次を見ると開発コスト、損益分岐点、ソフトメーカーの戦略、オンラインビジネスモデル、ソフト分析・評価などを取り上げている。レポート自体を見ていないので間違っているだろうが、どうもオンライン露出という視点が欠けているように思える。それによるソフト販売への影響が考慮されていないように見える。

オンライン露出と、それによるリンク、派生露出、オンラインのクチコミから実生活でのクチコミなど、以前よりも一層、オンライン露出は重要性を増している。マーケティングや調査、レポートはこの点を考慮する必要が非常にあると考えるのだが...。

3月22日のReutersによれば、Sonyは欧州での発売開始当初で100万台を予想しているが、アナリストは「供給サイドというよりは需要の関係で、50万~70 万台と見ている」としている。現在までの所、米国での販売台数はPS3が110万台、Xbox 360が220万台、Wiiが190万台だ。また、J.P.Morganのアナリストによると、PS3の将来にわたる累積販売台数は 6,000~6,500万台、Xboxが4,000~4,500万台、そしてWiiは1億台と予想している。

Source:Reuters /European blitz needs to kick PlayStation 3 in gear

Screen Digest、Reutersのどちらが正しいというわけではなく、筆者の独断、独りよがり的な解釈ではオンライン露出の多いWiiに軍配を上げたくなる。間違っている可能性も大いにあるが。

2007/03/23

Baidu Will Surpass Sina in 2007

Analysys Internationalが発表した「The Development Trend of Internet Advertisement in 2007」によると、
  • 2006年
    • オンライン広告市場規模は前年比41.2%増の45.6億元
    • 検索広告は同69.1%増の15.7億元、全体の34%を占める
  • 5大サイト
    • Sina、Baidu、Sohu、YahooそしてNeteaseの順
    • 5大サイト合計で3億元前後の売上
  • 2007年
    • オンライン広告市場規模は同23.8%増の56.45億元と予想
  • 検索エンジン市場
    • Analysys Internationalの予想では検索エンジンプロバイダはオンライン広告市場でのシェアを伸ばし、BaiduがSinaを抜くだろう
    • Tencent、あるいはGoogle (中国) がトップ5入りを果たす
  • キーワード検索
    • オンライン広告市場においてキーワード検索広告はますます重要な役割を果たすことになる。
    • 2005年、キーワード検索の市場シェアは29%
    • 2006年、同34%
    • 2007年、同36%
    • ブランド広告市場よりも検索エンジン市場が拡大する
  • Baidu対Sina
    • 2006年 Baiduは検索エンジン市場でトップ
    • 市場シェアは2005年の33.1%から、20%ポイント増の53.3%へ
    • 四半期ごとの増加率はBaiduの30%に対して、Sinaは20%
    • 2005年時点でBaiduとSinaの広告収入ギャップは3.5億元、2006年に5,000万元に縮小
    • 2007年、BaiduがSinaを追い抜くと予想されるが、成長率は鈍化
  • Google(China)
    • 2006年、Google (China) の売上は2005年の倍増
    • 市場シェアは16.1%へ伸び、Yahooを抜いて検索エンジン市場2位へ
    • Yahooは2005年の27%から2006年は15%へダウンし、3位へ陥落
    • オンライン広告市場全体で、Googleは7位、2.5億元
    • 2007年、Google (China) はオンライン広告市場で5位以内へ躍進
Source:Analysys International / Internet & Media

どこを見てもGoogleの勢いは止まらないようだ。ただし、Power of Internetで書いたように中国当局が行うインターネットアクセス規制と検閲のからみから、どのWebサイト、検索エンジン、Blogも問題を抱えている。つい最近も、Asia MediaによるとBlog削除問題があり、4人の弁護士がSina.comへ公開質問状を送っている。

Googleも過去に中国政府からアクセスを遮断されたり、ニュース配信をブロックされた経験がある。今は当局のオンライン検閲に従うことでアクセスが担保されているが、いつ、どうなるかは誰も知りようがない。ただし、来年のオリンピックを控えている関係から、アクセス遮断といった極端な問題はひと段落だろうか。

参考:Power of Internet
Source:Asia Media / China: Legap Experts slam portal's censorship

2007/03/22

Compete's Insight on JetBlue

JetBlueのトラブル、トラブル対処に関してはこれまで2度も書いているが、Compete.comから面白い調査データが出ているので紹介する。

Compete.comは、JetBlueの既存顧客および潜在顧客400名以上に対して、今回のトラブルを知っているかどうか、JetBlueの対処方法に対する意見、JetBlueの今後に関して訊いている。

調査結果
  • 78%はJetBlueの顧客の権利を含む新しい方針変更を認知、
    82%は新しい方針により運行が改善されると感じている
  • ほとんどの消費者は今回のトラブルを、将来どの航空会社を利用するかという点に直接関係するものというよりは、パブリックリレーションの問題ととらえている
    42%が否定的なインパクトを感じているが、
    将来JetBlueを利用しないほどのインパクトは30%に留まり、
    14%は将来JetBlueを利用する肯定的なインパクトを受けている
  • JetBlueトラブルが公になり旅行者は驚き、
    35%は遅延通知の不十分さを指摘、しかし、
    48%は新しい方針変更と旅行者の権利擁護を特に評価している
  • JetBlueトラブルのインパクトは、顧客と潜在顧客で違い(下図)、
    21%の既存顧客は将来の利用に否定的なインパクトがあるとしたが、
    潜在顧客では37%にも上っている。
    潜在顧客に対する需要創出、認知などが鍵となる
Compete.comは、JetBlueのトラブル対応は、同様にパブリックリレーションで苦境に陥った他企業のモデルになるとしている。

参考:JetBlue: Our Promise to You
参考:JetBlue - Second Round
Source:Compete.com / Travel Trends (Feb 2007) (pdf)

Technorati.comでJetBlueに関する書込みを調べてみた。2月16日頃から急増し、21日頃には700件以上にも達している。これはjetbluehostage.blogspot.comなど非常に注目を浴びたBlogが立ち上がり、それを拾い上げた既成メディアでの露出とも重なり、Blog社会に風が吹いたのだろう。今回に限らず、事と次第によってはそよ風もあれば、突風、竜巻にもなる風が吹く。
ネガティブとしか言いようのない今回の露出だが、大掛かりなクロスメディアミックスキャンペーンにより、被害を被った乗客への謝罪、保証、返金を約束し、そしてよりよい航空会社としての信頼を取り戻すと訴えたCEOのTV出演がなければ、どこまで信頼と評価が落ちたのだろう。それは分からないが、既存顧客で16%、潜在顧客で10%に達したポジティブなインパクトは、少なくとも今回のキャンペーン成果だといえる。

早期沈静化を計るため、必要最小限のコメント、情報しか提供せず、逆に消費者および社会の反発、反感を買う例は多々ある。これは企業が情報の提供者として君臨できた時代の話だ。以前なら情報提供側と情報消費者の間にギャップが存在していたし、それを矯正する手段がなかった。出された情報を消費するだけの消費者、ユーザがいただけだ。だからネガティブな情報を出さずに顔を隠していることもできた。

しかし、現在、メディア化した市民、ユーザの情報発信量、そしてその影響力は既成メディアのそれを上回ることさえある。そのため、既成メディアサイトは様々な改修を加え、そのパワーを吸収しようともしている。CGMの評価、信頼性が上がってきている。

この時代に企業側が提供する情報を絞ったとしても、すでにその種情報の価値や評価は、ユーザ発信情報のそれと比べて低く、情報を消費してくれるユーザがいないということにもなりかねない。それに比べれば、今回のJetBlueの対応は評価され、露出情報を消費してもらえた、共有してもらえたということになる。

2007/03/21

InternetWorldStats.com

InternetWorldStats.comによると全世界のインターネットユーザは11億を超えたようだ。

2005年末で10億1,834万人のインターネットユーザが、2006年末には11億1,427万人に達している。全世界の伸び率は9.4%、各地域の中でもアフリカの45.9%、南米の23.9%、カリブ海の21%が上位を占めている。(表はInternetWorldStats.comのEmailニュースから)

北米、欧州、アジアはひと桁台の伸びとなり、アジアを除けば今後急増は見込めないだろう。ただし、アジアの中心である中国も500万人増と若干伸びが鈍ってきた感じは否めない。沿岸部の高所得、高学歴、BDM層への普及もひと段落ついたのだろうか。
地域別ではアジアの36%を筆頭に、欧州の29%、北米の21%が続いている。
言語別ユーザ数で大きな変化が出ている。昨年12月にSunのCEOのBlogに関して書いた記事で取り上げたデータでは、英語が3億2,900万人、中国語が1億4,400万人、日本語8,600万人となっていたが、今回のデータでは、増加実数は中国語の1,500万人には及ばないが、スペイン語が800万人も増えて8,900万人となり、日本語を抜いて3位に躍り出ている。スペイン自体のユーザ数は1,900万人でさほど伸びているとは見られない。先日アップしたGLOBAL MOBILE MINDSETにあるように携帯端末の普及率で南米がトップを占めている。南米のインターネットユーザの伸びが23.9%で1,200万人以上増加している。このおおよそ三分の二をスペイン語ユーザが占めているということだろう。

また、前回2,300万人のロシア語が10位だったが、今回はアラビア語が2,800万人で10位に顔を出している。この点も注意しておく必要があるかもしれない。
Source:InternetWorldStats.com
参考:Sun CEO's Blog
参考:GLOBAL MOBILE MINDSET

English Nextによるネイティブスピーカーの世界言語比率を見ると、スペイン語、ヒンディー・ウルドゥ語、そしてアラビア語が上昇するようだ。英語もこの集団に飲み込まれてはいるが、第二集団の先頭をキープするようだ。英語と合わせてこの4言語の比率が上昇する中で、中国語は大きく比率を下げると見られている。

世界人口が大きく伸びる中で、比率をあげるこれら4言語のユーザは自国内だけではなく、世界規模でユーザが存在する言語だ。そして、英語は、Lingua Francaとして非英語圏ユーザをつなぐ言語でもある。

中国語は単独対応が求められるかもしれないが、英語を中心として、これら4言語に対応した情報発信が重要だ。

Source:British Council Learning
Source:English Next (pdf)
参考:Lingua Franca & Internet/Online Marketing

2007/03/20

Marriott on the move

約2ヶ月ぶりにMarriott InternationalのCEO、Bill MarriottのBlog、Marriott on the moveをのぞいてみた。ちょっと高い彼の肉声が聞けるようになっていたし、1月22日にリンク数12だった彼のBlogは、現在(3月16日)、あっという間に411のリンクを受けるまでに成長していた。

リンクしているBlogの有名所としては、被リンク数4,151を誇るEdelmanのRubelのBlogを始め、3,927リンクのScobleizer、BloombergのマーケティングBlogなどからもリンクがある。Marriott自体のブランド力に加え、これら有名Bloggerがリンクを張ったことによる露出が大きく貢献しているのだろう。

また、Bill Marriott(Exact検索)に関する書込みも1月22日に227件だったのが、414件に増えている。185件だった英語が353件へ、17件だった独語が38件へ、6件だった西語が12件へ増えている。

Eduation、Personal、Technology、Environmentとカテゴリもでき、コンテンツが充実するにつれて順調にオーディエンスを増やしていることが見て取れる。

さて、2月12日の「Not Blowing Any Smoke」で、彼は、昨年、北米のすべてのMarriott関連ホテルで、客室内での喫煙を禁止したことについて書いている。

このBlogエントリに114件という今まででもっとも多いコメントが寄せられている。そして114件中、6件のコメントに対してレスポンスを返している。「客室の禁煙は賛成だが、バーなど特定エリアで喫煙できないか」などという4件の質問に対して、「空調設備などの関係で特定エリアのみを喫煙許可できない」こと、「環境に優しいリサイクルの提案」に対して、「全世界2800の系列ホテルで2008年初めから新しいプログラムを開始する予定です」というレスポンスを返している。

また、「国旗が掲げられていない」という場違いのコメントにも、「小さな宿泊施設では場所がないケースもあります」と丁寧にレスポンスを返している。

3月7日には環境問題に関して、「A Leader In Our Industry」を書いている。米環境省から3年連続で「Energy Star Award」を受賞したこと、2010年までに温室効果ガスを6%削減すること、白熱灯から蛍光灯に換えて照明費を65%削減したことなどを挙げている。

ここでも「温室効果ガスの6%削減では足りない」などといった4件のコメントに対して、「6%は過去5年間に達成した11%削減に追加するものです」と補足し、そして「今後も新しい環境対策ができ次第、アナウンスします」とレスポンスを返している。

Source:Marriott on the move / Not Blowing Any Smoke
Source:Marriott on the move / A Leader In Our Industry
参考:Marriott's CEO Blog Launched
参考:Corporate/CEO Blogging
(Blogリンク数、Blog書込み数はTechnorati.comによる)

Fortune 500に属する大企業のCEOが、平易に、自然に、カスタマーファーストで、対話を始めたとき、諸手を上げて賞賛したユーザ達がいた。約2ヶ月が経ち、露出が広がるとともに、ちょっとしたツッコミを入れる輩も出てきたようだが、彼の姿勢は変わらない。

誠実に、真摯に、オープンなコミュニケーションチャネルから「Management by walking around」という父親譲りの経営哲学を実践し、必要なコメントにはレスポンスを返して顧客、ゲストと対話している。(レスポンスはすべて彼が口述をしたものを秘書なりが入力している)

彼のファンが増え、Marriottのファンが増え、ブランドが開花してゆく。

eMarketerが伝えるHospitality eBusiness Strategiesのデータによると、ホテル業界はオフラインから、オンラインメディアへマーケティング予算をシフトしている。その中で、Webサイトの改修、最適化、PPC広告が上位を占めているが、CGM、Blogといったニューメディアにも全体で3.7%の予算が付けられている。米国は2.3%だが、世界展開をしているホテルは4.8%だ。
ただし、今後の伸び率はWebサイトの最適化が3.8%増、リンク提携戦略の3.8%増に続いて、2.3%増が予想されるニューメディアが3番目に来ている。

また、ホテル側が信じるROIの高さを見ると、ニューメディアはバナー広告の16.2%よりも高い16.8%をあげている。ニューメディアによる露出のバイラル化を推し進めれば検索時の想起も当然上がってくる。また、ニューメディアでの露出が既成メディアへのリンク、引用、露出へつながってくる。このシナジーが効果的に発揮されれば、されるほどニューメディアのROIが高くなるのは理解できる。

Marriottは、期待される高いROIと、全体的トレンドをいち早く取り入れ、顧客、ユーザとオープンな対話チャネルを開設したのだろう。オフ・オンラインでの露出を考えれば、CEO Blogということで専従職員を貼り付け、リンクするBlogをチェックしたり、Blog開始と運営に関わる初期コストは、この約2ヶ月で回収しているのではないだろうか。

Source:eMarketer / Hotel Sites Go Back to Basics
Source:Hospitality eBusiness Strategies / A Benchmark Survey on Hotel Internet Marketing Budget Planning and Best Practices in Hospitality

2007/03/19

Recommendations from Bivings

Bivings ReportのTodd Zeiglerが、MPA (Magazine Publishers of America) でプレゼンした際のPPTファイルが上がっている。

まず背景説明として、Blogが5,500万にも達し、ソーシャルネットワークの急成長、ソーシャルニュースの増大を挙げて、インターネットは人々がニュースや情報を入手する方法を変えつつあるとしている。そこで、MSM (Main Stream Media) はこの変化にどう対応しているのかと質問を投げかけている。

ということで、雑誌のトップ50Webサイトを 1) 購読部数と一部売りを合わせてランク付けし、2) Web 2.0と関連する典型的なフィーチャーを検証、3) 以前発表した新聞のトップ100Webサイトと比較した結果を元に様々なフィーチャーごとの現状分析と提案を行っている。
  • RSSフィード対応-現状
    • 雑誌 48%がRSSフィードを提供
    • 新聞 78%
    • フィードは全文フィードではなく一部分のみ
    • フィードに雑誌、新聞ともに広告なし
  • RSSフィード対応-提案
    • RSSフィードがコンテンツ配信メカニズムとして確立しているので、雑誌メディアとしてそれを利用した売上策を検討すべき
      • 購読者には全文フィードを提供
      • フィードに広告も配信
      • ユーザ作成RSSフィードも配信
  • 人気記事-現状
    • 雑誌 10%がもっとも閲覧された記事リストを提供
    • 新聞 42%
    • Digg、Newsvine、Memeorandum、Netscapeなどのサイトが新しい記事を入手する代替方法として人気を博している
  • 人気記事-提案
    • 伝統的な編集観点を補完するものとして、雑誌Webサイトはコンテンツの代替露出方法を検討すべき
      • もっともコメント、Email、閲覧された記事のリスト
      • Blogosphereでもっとも議論された記事のリスト
      • ユーザ投票を有効化
  • ビデオ・ポッドキャスティング-現状
    • 雑誌 34%がオンラインビデオを提供
    • 新聞 78%
    • 雑誌 14%がポッドキャストを提供
    • 新聞 36%
  • ビデオ・ポッドキャスティング-提案
    • 雑誌コンテンツを補完するマルチメディアを利用すべき
      • ソースマテリアルをつける
      • CNNのように号外、臨時ニュースに値するビデオをユーザから受け付ける
      • ビデオやオーディオに対するコメントをユーザから受け付ける
      • オーディオ版の雑誌を検討
Source:Bivings Report / Magazine Presentation Recap
Source:Bivings Report / The Presence of Magazines on the Internet (ppt)

他にもタグ、モバイル、Blog、記事コメント、ブックマーク、掲示板などの現状分析と提案がある。それぞれの雑誌メディアで対応できること、できないことがあるだろうが、新聞に比べてWeb 2.0対応が遅れているのが良く分かる。

ただし、これらは何も雑誌メディアに限った話ではない。企業のオンライン露出にも同じことが言える。何年もスタティックなWebページを露出し、RSSフィードや企業Blogも行っていない企業はインターネットに露出していないのも同じだ。

消費者、ユーザとの対話に参加するにはまず、露出が肝心だ。それもオープンなコミュニケーションでなければ効果はない。

2007/03/16

GLOBAL MOBILE MINDSET

FAME (Forum to Advance the Mobile Experience) が、37カ国、1万5,000人の消費者を対象に行った携帯端末に関する「Global Mobile Mindset」という調査があり、それに基づきバルセロナで開催された3GSM World Congressで使われたプレゼンデータ、エグゼクティブサマリなどを公表している。

それによると、全世界の携帯端末は2006年9月に25億台を突破、IDCが2006年10月に発表したところによると2006年1年間の出荷台数は10億台を上回るという。

地域別、携帯端末ごとの普及率を見ると、驚くことに南米の携帯電話、MP3/iPod(西欧と同率)、スマートフォーン普及率がトップ、そしてBlackberryなどのPDAは西欧に次ぎ2位、米国の10%を上回っている。また、南米、アジア、東欧諸国の人々は、北米や西欧諸国の人々より携帯端末を使いこなしている考えており、米国の50%、西欧の58%と比べ、南米で73%、東欧で69%、アジアで63%の人々が携帯テクノロジに熟練していると答えている。
購入者が直面する問題を見ると、そのトップに「使わない機能が多い」が挙げられている。次にどの製品でもそうだろうが「マニュアルの中身・質」が続き、「設定・パーソナル化が難しい」と「ボリュームが小さい」が挙げられている。
他にもいろいろ面白いデータがあるが、まとめると以下のようになる。
2番目の「Pain begins at the point-of-purchase」は、デモがない、機能説明不足、製品知識なし、サービスが遅い、在庫なしなどだ。
3番目の「Internet eclipses friends & family」は、携帯端末を使うインターネットアクセスが友人や家族とのコミュニケーション時間に食い込んできていることを指す。
5番目の「Personalization powers after-market sales」は、購入後に端末のパーソナル化、カスタマイズ化ができるかどうかが重要だということになる。

Source:FAME / Global Mobile Mindset Initiative

6番目の「Willingness to pay for many premium services」に注目したい。Executive Summaryによると全世界のユーザは、仕事と家庭生活をブレンドしてくれるSMSテキストメッセージ、無線email、モバイルIMなどのプレミアムサービスに喜んでお金を払うと回 答している。加えて40%の西欧ユーザは携帯端末への依存性が高いことを認めており、15%は今以上に携帯利用を増やすと答えている。また、途上国でもマルチメディアコンテンツ、メッセージング、端末のパーソナル化が差別化の大きな要因だとされている。

人と人をつなぐメッセージング機能をテコに、マルチメディアやパーソナル端末が充実してくると、一層、携帯端末が個人のメディア化を促進するだろう。また、世界の半数近くにも普及する携帯端末はブランドメディアビークルとして重要性を増してくる。

2007/03/15

Piper Jaffray : The User Revolution

PiperJaffrayのインターネット&マーケティングリサーチチームが「The User Revolution」というレポートを出している。

レポートでは12個のテーマが議論されている。
  1. グローバルオンライン広告費は2011年に811億㌦に達する
  2. Communitainment:コミュニティ、コミュニケーション、エンタテイメントにとってインターネットはますます主要なメディアとなってきた--これら3つのエリアが衝突し、それぞれの成長にインパクトを与えている--新しい行動:コミュニテイメントを生み出している。コミュニテイメントはインターネットにおける他の、既成のコンテンツ消費時間を奪い始めている
  3. Usites--Piper JaffrayがUsitesと呼び、ますます人気が上がっているユーザ生成サイトカテゴリは、他からトラフィックを奪い、広告主および出版社に難題を投げかけている
  4. 今、インターネットはメインストリームメディアだ:Webは職場でのトップメディアであり、家庭ではTVに次ぐ2番目のメディアだ
  5. インターネット利用パターンは変化し、、既存ポータルサイトからUsites、コミュニテイメントサイト、検索サイトへ利用がシフトしている
  6. ユーザ生成ブランド。消費者はコンテンツ消費およびブランドのコントロールを手にしている
  7. メディアのフラグメンテーション:広告主は期待するインパクトを獲得するには、ほとんど全てのメディアタイプ、特にインターネットのインベントリを購入する必要がますます増大する
  8. ゴールデン検索:検索は新しいポータルとなった
  9. ブランド親和性の良循環を作り出す広範な非検索関連製品のおかげで、Googleの独占はより拡大しそうだ
  10. ビデオ広告はブランド広告の次の重要なドライバとなり、既成メディアからオンラインへ広告費をシフトさせることになる
  11. 広告ネットワークは増加するインターネットフラグメンテーション、よりターゲットしたインベントリ要求、ブランディングやサイトの可視性を高めるためにネットワークを活用する利用増などにより、ますます増加する需要にさらされている
  12. 広告代理店は最適なサービス提供を行うために技術を中心とし、洗練された企業へと急速に生まれ変わりつつある
Source:PiperJaffray / The User Revolution

拙い英語力では上にある9番の翻訳が精一杯なのだが、言わんとすることは現状のロングテールクライアントだけではなく、検索リスティング広告とは直接、関係しないようなブランド企業との連携、タイアップからGoogleが享受するメリットを指摘している(のだと思う)。

しかし、10番であげられているようにこれからはオンラインビデオの時代だ。以前、MSとパートナー契約を締結したBlinkxを紹介した。Blinkx は通常のテキスト検索ではなく、音声認識、画像、内容解析によってコンテンツ検索が可能で、ユーザはビデオ中に使用された言語によって検索ができる。通常 の検索エンジンではビデオのタイトルやテキスト情報をベースに検索するが、ビデオを見ても何がなんだか判断できない。しかし、Blinkxはオーディオト ラックに録音されている言葉をベースに検索することができる。

また、レポートは、このユーザ革命において注目すべき重要な企業を挙げているが、その中にHakiaも含まれている。Hakiaは「自然言語検索エンジ ン」で、ベータ版が公開されている。キーワード、フレーズ、そして「頭痛に効く鎮痛剤は?」といった質問形式でも検索することができる。文章の意味を理解して検索するエンジンだ。これによってキーワード検索よりも検索結果の精度を向上させられるとしている。

ことビデオ検索に関して、BlinkxはGoogleに対抗しうる存在のようだし、キーワード検索にもひょっとして強敵が出現しそうな状況だ。オンラインビデオ検索や自然言語検索でトップにならない限り、レポートにある9番目に影が差すことにならないのだろうか。

参考:Web Video Search Site Blinkx singns MS pact
参考:Hakia

2007/03/14

JetBlue - Second Round

3月8日に、「JetBlue : Our Promiset to You」を書いたが、実際のところ、JetBlueの1,000便がキャンセルされ、10万人以上が影響を受けたようだ。足止めされた乗客の中には、11時間も機内に閉じ込められ、電力は切れ、食べ物・飲み物もなくなり、詰まったトイレからあふれ出る異臭に憤懣やるかたのない人たちもいたようだ。

YouTubeにアップされているJetBlueの謝罪ビデオのコメントに延々と不満をぶちまけているユーザもいた。加えて、2月15日*に「JET BLUE A VALENTINE'S DAY HOSTAGE」というBlogを立ち上げたGenevieve McCawもいた。彼女のBlogを乗客がアクセスし、メディアもアクセスし、謝罪広告、ビデオ、CEOのTV出演以降も大きな露出となったようだ。とうとうJetBlueは対応をエスカレートせざるを得ず、3月2日、CEOのNeelemanと面会をセッティングしたとInsideBayArea.comが伝えている。

面会したことでMcCawが持参した長文の質問事項全てに回答を得たわけではないが、謝罪や返金、往復チケットなどの対応だけではなく、それまでどこの誰かも知らないBloogerとの面会後、CEOがJFKに飛んで乗組員達とオープンなフォーラムを持たせるまでに彼女のBlogが影響したことは確かだ。

ところでMcCawは、Walt Disneyで3年間働き、Blogやネットワークコミュニティを活用し、オンラインでのWOM (Word of Mouth:クチコミ) を広げる専門家だ。

(*注:InsideBayArea.comは2月16日としているが、彼女のBlogエントリは15日となっている)

Source:KOMOTV.com / Toilets, tempers overflow as passengers left stuck on plane for 11 hours
Source:InsideBayArea.com / JetBlue 'hostage' unhappy with CEO
Source:jetbluehostage.blogspot.com
参考:JetBlue: Our Promise to You

YouTubeのビデオのコメントは現在(3月13日)、467件。実数は分からないが、その半分くらいはpunchpixieというユーザがコメントしているのではないかと思える。それほど頻繁にコメントを書き加えている。彼(女)は11時間機内に閉じ込められた被害者だ。Leemanと面会したMcCawと同じ機の乗客なのかもしれない。この2人を比較してみる。
  • punchpixie
    • 2週間前からYouTubeにコメントを発し続け、
    • JetBlue寄りのコメントだと判断した他ユーザにも噛み付き、
    • あまりのしつこさに他のユーザから総スカンを食らっている。
    • 近頃は、四文字語の連発となり、自分自身を貶めている。
  • McCaw
    • WOMのプロらしく、2月15日にBlogを開設し、2月だけで163件のエントリ、
    • 同じトラブルを経験した乗客、ユーザなどから沢山のアクセス、アドバイスを獲得し、
    • ナショナルメディアにも露出した結果、JetBlueを動かし、
    • 先週にはJetBlueのCEOと面会するまでの影響力を発揮した。
この違いはいうまでもなく、一人相撲を取ったpunchpixieと、インターネットユーザとオープンなコミュニケーションチャネルを構築したMcCawの差だ。そしてJetBlueに対して直接的にメッセージを発信したMcCawと、間接的に苦情を言い募ったpunchpixieの違いでもある。また、これは実質的な個人の力、パワーに差があったのではなく、punchpixieが利用したのはYouTubeのコメントという非常に限定されたスペースであり、McCawが利用したのはコメントよりも拡張性に優れ、他ユーザとのコラボレーションや、インターネットユーザおよびメディアへの露出に優れているBlogスペースを利用した違いでもある。

InsideBayArea.comの記事にEdelmanのRubelは、「過去2~3年の間にパワーは消費者に移っている」とコメントを寄せている。また、彼のBlogでも「このケースはPR、あるいはカスタマーサービスにとって重要なモデル」だし、「ファーストフードレストランに行って、出てきたのが冷めたフライドポテトだったら客は頭に来て、苦情を並べ立てる。そのとき、カウンターにいる店員がa) 苦情を聞き、b) 問題をできる限り解決しようと努力すれば、客の怒りを治められる可能性がある。Bloggerが剣をかざして来た時にも同じことが当てはまる」と書いている。

Source:Micropersuasion /JetBlue CEO Meets with Disgruntled Customer Turned Blogger

パワーは自前のメディアを持つ消費者へシフトしている。その自前メディアをソースとして既成メディアが露出を広げてゆく。企業に対して直接的にメッセージを発信するユーザが存在し、それが大きな露出を獲得してゆくとき、おざなりの対応はできない。ナショナルメディアが取り上げるまで露出が拡大すれば、対応をエスカレートしなけれならない。

ブランドが真摯に、誠実に、そしてオープンに対話しなければ、また時宜を得たエスカレーションがなければ、JetBlueのQ1利益率は修正予想を下回るのは確実だったのではないだろうか。また、その影響はQ1だけとは限らない。

2007/03/13

Going Mobile

OPAが新しい調査データを公表した。

OPAとOPA Europeが共同で、米、英、仏、伊、独、西の6カ国、合計で6,000人以上を対象として、モバイルの人気コンテンツ、モバイルコンテンツ・アプリ利用を促進するメディア、モバイルスペースでのオン・オフラインのコンテンツブランドが果たす役割、モバイル広告の効果とインパクト、モバイルインタフェースの改善などを明らかにするオンライン調査を実施したものだ。

モバイルインターネット
  • モバイル端末所有者の75%以上がWebへアクセス可能
    • 国ごとでは伊が83%、独・西が81%、英が76%、米が71%、仏が64%
  • そのうちモバイルでインターネットを利用するのは32%
    • 国ごとでは英が54%、米・伊が41%、独・西が40%、仏が34%
  • 2007年インターネット利用時間
    • 増えると回答したのは全調査対象国で18%、58%が同じ、13%が減る
    • 利用時間が増えると回答したのは米で25%、伊で22%、英で20%
モバイルコンテンツ
  • 利用するコンテンツ上位
    • 天気、スポーツ、国内ニュース、株価、エンタテイメント
      • 天気、スポーツ、国内ニュース、エンタテイメント、国際ニュース
      • 天気、スポーツ、株価、国内ニュース、エンタテイメント
  • 株価を除き、どのコンテンツカテゴリでも米国ユーザの利用比率は欧州ユーザを上回る
  • パーソナライズドコンテンツの上位
      • 天気、スポーツ、株価
      • 株価、天気、スポーツ
  • 有料コンテンツの上位
      • テクノロジー、製品情報、ライフスタイル
      • スポーツ、ビジネス、テクノロジー
  • PCのみ、モバイルのみ、両方で利用するコンテンツ
    • PCのみでのコンテンツ利用
      • 製品情報、国内ニュース・テクノロジ情報・ライフスタイル・健康が上位
    • モバイルのみでのコンテンツ利用
      • 天気、スポーツ、製品情報・エンタテイメントが上位
    • 両方利用
      • 国内ニュース、天気、製品情報、テクノロジ情報が上位
  • 米:モバイルのみ、および両方利用パターンが大きいカテゴリ
    • 天気、国内ニュース
  • 欧:統合利用パターンが大きいカテゴリ
    • 国内ニュース、天気
コンテンツのブランド
  • PCでアクセスするコンテンツのブランドへモバイルからもアクセス
    • PCアクセスの中心コンテンツブランドであるテクノロジ情報、株価、ビジネスニュースなどアクセス
    • モバイルでのみアクセスするコンテンツブランドの上位はエンタテイメント、スポーツ、天気
    • PC・モバイル以外のオフラインブランドコンテンツ上位はビジネスニュース、国内ニュース
    • オン、およびオフラインのコンテンツブランドがクロスメッシュしている
  • モバイルインターネットアクセスはPCからのアクセスを代替せず、総合Web利用を増加
    • 全調査対象国でPC利用時間が減った層は最大9%
    • PC利用時間が変わらない層は75%~85%
    • PC利用時間が増えた層が15%以上
  • PC利用時間が増えた層
    • 全調査対象国で16~55歳以上を4つのグループに分けて分析
    • もっともPC利用時間が増えた層は若年層(16~24歳)
      • 全調査対象国で平均24%を構成
モバイル広告&マーケティング
  • 消費者はコンテンツ利用と無料サービスと引き換えにモバイル広告を受け入れる
    • 34% 無料モバイルコンテンツと引き換えに広告を見る
    • 32% 無料コンテンツを提供する広告を好感
  • 人気インタラクティブ機能
    • 34% 着メロ・壁紙ダウンロード
    • 36% モバイルアラートを受信
    • 25% コンテンツへアクセス
    • 13% クーポン・特売情報受信
  • モバイル端末を利用した商品購入や行動を誘導するメディア
    • PC
      • 商品・サービス購入、クーポン・特売情報受信、コンテンツアクセス、アラート受信、着メロ・壁紙ダウンロード、人気投票などをモバイルで行う際、PCの影響力が最大
    • TV
      • コンテスト参加、ゲームなどをモバイルで行う際、TVの影響力が最大
結論
  • モバイルWebへのアクセスは広範に普及。2007年も増加の見通し
  • モバイルWebで広告は機能する-受け入れ度とその後の行動
  • モバイルWebコンテンツのブランドがWeb行動を誘導する大きな役割を果たす
  • モバイルユーザはWebコンテンツを登録し、パーソナライズ化し、有料コンテンツへアクセスする
  • モバイルからのWebアクセスはPC利用の延長-PCで利用するブランドコンテンツへモバイルからもアクセス、総合Web利用時間が増える
Source:OPA / Going Mobile (pdf)

こと携帯に関しては日本が先進国だが、オフライン、モバイルとPCの相関関係にまで踏み込んだクロスメディアミックス調査はあるのだろうか。毎日、クロスメディアからの露出に晒されている我々を、縦割りの複数サイロ単位でしか調査していないような気がする。

2007/03/12

Search : Paid or Organic?

Hitwise UKのリサーチディレクター、Heather Hopkinsが昨年11月に「Search Landscape in the UK 1 of 2」を書いていた。

前半にUKでの検索エンジンの市場シェアを書き出し、Googleが78%のシェアを獲得し、他を圧倒していることを説明していた。しかし、重要なのは後半部分だ。

彼女は後半部分で、検索エンジンから旅行代理店、電化製品&エレクトロニクス、そして保険関連Webサイトへのアップストリームトラフィックを下の図で示していた。旅行代理店のWebサイトへアクセスするアップストリームトラフィックのうち検索エンジンから39%を獲得しており、それ以前の6ヶ月間と比べると7%増という結果だ。

図のように何もアップストリームトラフィックの増加は旅行代理店だけではない。電化製品&エレクトロニクス、そして保険といった長期間にわたり確立されてきたカテゴリ部門でも、検索エンジンからのアクセスが目だって増えていることが分かる。

ただし、これは自然検索結果をクリックしてアクセスしてくるオーガニックによるものだ。

そこで2弾目として、翌日、「Search Engine Landscape in the UK 2 of 2」をアップしている。それによると;

検索リスティング不要企業
  • 多くの有名UKサイトは検索リスティング広告からのトラフィックは非常に少ない。MySpace、Bebo、BBCなどはすべて検索リスティング広告からのトラフィックは1%以下
  • AutotraderというUKでの自動車関連Webサイトの#1は、検索リスティング広告からのトラフィックは5%にしか過ぎない
  • 旅行代理店、電化製品&エレクトロニクス、そして保険関連Webサイトのそれぞれトップ10サイトを調査した結果によれば、検索リスティング広告によるトラフィックの比率とWebサイトのカテゴリごとのトラフィックシェアに明らかな相関関係はない。すなわち、カテゴリのトップ企業にとり、検索リスティング広告は重要ファクターではない。
Eコマースサイトは必要
  • Amazon UKは検索リスティング広告から13%のトラフィック、eBay UKは37%を獲得
  • 旅行代理店、電化製品&エレクトロニクス、そして保険関連Webサイトのトラフィックシェアトップ10を見ると、リスティング広告とオーガニックによるトラフィックの割合を見ると大きくばらついている。それを明らかにしたのが下の散布図だ。旅行代理店のトップ10Webサイトを、オーガニック検索結果からのアップストリームと、検索リスティング広告からの比率を比較したものだ。
  • Cheapflights.co.ukが、トップ10の中ではオーガニック検索結果からのアップストリーム比率が高い割りに、検索リスティング広告比率が低いケースとして目立つ。
同じカテゴリ内でもオーガニックと、検索リスティング広告によるアップストリームトラフィック比率が変動するため、ROIを判断したり、テストを継続し、キャンペーンを修正しながら検索リスティング広告を実行するようアドバイスしていた。

そして最近(3月8日)、「検索リスティング広告とオーガニックによるトラフィックの最適バランスは?」という記事をアップした。

まず、保険、および電化製品とエレクトロニクスカテゴリのWebサイトの英国市場におけるトラフィックのマーケットシェア(横軸)と、検索エンジンからのアップストリームトラフィックの比率(縦軸)、そして検索リスティング広告からのトラフィック比率を円の大きさで示している。

検索リスティング広告比率が低いのは、BUPAが5%、DABSとPixmaniaが9%。高いのはChurchill Insuranceの57%、Confused.comの56%、T-Mobileの53%と非常にばらついている。

また、直接競合しているCurrys(検索リスティング広告比率50%)とComet UK(同18%)の場合、Currysのカテゴリごとのトラフィックマーケットシェアは7%、Comet UKは6%弱だが、検索エンジンからのアップストリームトラフィックはどちらも45%前後だ。

他にもChurchillとConfusedを比較しているが、「タイトル」への回答として、前と同様にROIを判断したり、テストを継続し、キャンペーンを修正しながら検索リスティング広告を実行するようアドバイスしている。

Source:Hitwise / Search Landscape in the UK 1 of 2
Source:Hitwise /Search Engine Landscape in the UK 2 of 2
Source:Hitwise / What is the Optimal Balance of Paid and Organic Search Traffic?

しかし、このBlog記事から見えて来るのは以下のようなことではないだろうか。
  1. オーガニックが検索リスティング広告よりもトラフィックのアップストリームを獲得している
  2. オーガニックからのトラフィックが増加傾向にある
  3. カテゴリトップの企業にとって検索リスティング広告は重要ではない
  4. しかしEコマースサイトなどの場合、オーガニックと検索リスティング広告比率は企業によって変動するため、トライ&エラーでの最適化が求められる
  5. カテゴリごとのシェアトップ企業サイトはオーガニック+検索リスティング広告によるアップストリームトラフィック比率は低い(例:Money Supermarket)
    = 他媒体による露出から、URL直接アクセス、あるいは他Web・Blogサイトからのリンクが多いのではないかと推測できる
  6. またカテゴリごとのシェアトップ企業ではなくても、ブランド力のある企業関連Webサイトは、オーガニック+検索リスティング広告によるアップストリームトラフィック比率は低い(例:Tesco Personal Finance(Tescoは英最大のスーパーマーケット)、The Orange Shop(Orangeは仏テレコム))
    = 他媒体による露出から、URL直接アクセス、あるいは他Web・Blogサイトからのリンク、特に親会社経由のリンクが多いのではないかと推測できる
Hitwiseの調査には、他媒体での露出量が考慮されていない。それがあればもっと明確にパターンが明らかになったのではないだろうか。しかし、結果として、やはり、ロングテール企業にとって、あるいはEコマース関連サイトにとってリスティング広告は効果があるだろうが、どう見てもビッグブランドが検索リスティング広告を使う必要性は薄いと思われるのだが...。

参考:Big Brand for Search

2007/03/09

One Laptop Per Child

MIT Media Laboratoryの元ディレクタ(現在は休職中のようだ)、Nicolas Negroponteが会長を務めるOne Laptop per ChildというNGOがある。超低価格、100㌦のLaptop PCを開発し、発展途上国の子供達に提供することで、世界を探検したり、経験したり、自分自身を発信することを学ぶ機会を提供しようという教育プロジェク トだ。このプロジェクトはUNとも提携している。

その最初のモデル、500万台が今年夏、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ナイジェ リア、リビア、パキスタン、そしてタイなどの国へ出荷されるようだ。基本的に各国政府が購入し、児童に貸与する。2007年夏までに生産を委託するメー カーを決定する予定だとBBCが1月に伝えていた。

Source:BBC / $100 laptop could sell to public
Source:OLPC / Wiki

2 月に入り、トライアルとして2,500台を8カ国に出荷予定、7月までには500万台の生産も予定され、来年には5,000万台生産し、製造原価を一台 100㌦、2010年までには100㌦以下で1.5億台を貧しい国の子供達に配布したい予定だとReutersが伝えていた。

Source:Reuters / Developing nations to test new $150 laptops

そ して、OLPC Wikiの最新情報によると、どうやらナイジェリアの子供達に約100台のLaptopが手渡されたようだ。Laptopは子供達の笑 顔、好奇心、笑い声で迎えられ、ナイジェリアの約100家族は、自慢げに家族に操作を説明する子供達と団欒を楽しむようだ。

Source:OLPC Wiki / Latest News

さ て、本当に今年の7月から500万台の生産が始まるのか、来年、5,000万台も生産できるのかは全く不明だ。しかし、このOne Laptop Per ChildプロジェクトはUNと提携しているし、ルワンダも参加を表明してきた。うまくこのプロジェクトが進めば、子供達の自由な発想でインターネットを 活用し、国や人種、言語を越えた様々なコミュニケーションが巻き起こりそうだ。それをいくらかでも手助けしたくなる。寄付はこちらへ

現 在、インターネットユーザは11億人に迫り、世界総人口65億の16.6%にも達している。そして、計画通りなら2010年には発展途上国で1.5億人の インターネットユーザが誕生することになる。それ以外の増加を含め、全世界で合計14~15億人、ひょっとすると普及率20%に達するのではないだろう か。その頃には米国を抜き、中国が世界最大のインターネットユーザを抱えていたり、インターネットTVのJoostが軌道に乗り、全く新しいインターネッ ト社会が生まれているのかもしれない。ここ2~3年、インターネットの動きから目が離せない。

変更:本記事のURLをhttp://dramrollonline.blogspot.com/2007/03/one-laptop-per-child.htmlへ変更しました。2007/3/11

2007/03/08

JetBlue: Our Promise to You

バレンタインデーの週に、嵐、豪雪による航空機の運行を休止、停止したことにより、乗客に多大な迷惑をかけたことを受けて、JetBlueは東海岸のほとんど全ての新聞に謝罪広告を掲載し、YouTubeには謝罪ビデオをアップ、そしてCEOがTV番組に出演して謝罪するといった大掛かりなクロスメディアキャンペーンを展開した。

YouTubeのビデオでは、創立者のDavid Neelemanが状況を説明し、再発防止を確約、今後30日間に実施する改善策などを語り、より良いサービスを提供する航空会社として信頼を回復したいと語っている。

また、個別乗客への謝罪Email送信、返金、来年まで有効の往復チケット提供などもなされたため、YouTubeにアップされているビデオにはポジティブなコメントもあるとSearchViewは書いている。

Source:Searchviews /JetBlue Launches Cross-Media Apology Campaign

JetBlueといえば2005年9月に前輪故障が判明し、LAXに緊急着陸したニュースをご記憶の方もおられるだろう。後輪が着地したJetBlue機がゆっくりと機首を下げ、横を向いた前輪が着地するとともに白煙と炎を上げながらも、無事に停止するまでをリアルタイムでTVが放送していた。

その時のTVニュースがYouTubeにもアップされており、今までJetBlueとして一番視聴されたビデオ(10万回以上)だった。しかし、2月19日にアップされた「Our Promist to You」は、SearchViewsがチェックした時点では4万回(2月21日時点)、2週間ちょっと経った3月6日時点で26万回以上視聴されている。

真摯な謝罪と影響を被った乗客に対する返金などの措置、素早い対応に対してSearchViewsは好意的に解釈している。が、Jetblueにすればそれしかないといった瀬戸際だったと考えられる。運行停止による他航空会社への振り替えなどに対応できず、6日経ったあとでも便数の25%をキャンセルせざるを得なかったダメージは大きく、2月21日にJetblueはQ1の予想利益率を-2%~-4%へと修正している。これ以上、旅行客の信頼を失えば、会社が成り立たないとの判断があったのだろう。

参考:Forbes / JetBlue Predicts Q1 Loss

乗客の信頼を得るには、真摯に、誠実に、オープンに対話しなければならない。昨日、「Mindset Shift Required」でも書いたが、消費者に対して、誠実で、平等な対話を、オープンに行うコミュニケーションやマーケティング戦略が求められている。このオープンなコミュニケーションチャネルを持たない企業は、B評価どころかDマイナスにもなりかねない。また、Web 2.0が「人々をリンクし、結びつけ、共有、コラボレーション」する時代に生き残ることは難しい。

参考:Mindset Shift Required
参考:The Internet and Web 2.0

2007/03/07

Mindset Shift Required

4年前のAAAA (American Association of Advertising Agencies) 総会でP&GのCMO、Jim Stengelは「技術的革新に対応できない広告業界をCマイナス」と評した。今年の総会では「B」へ改善したが、「このような評価レポート自体、時代遅れ」と切り捨てた。
加えて、「技術革新に追いついていくだけでは成功を推し測ることはできない。なぜなら追いついていくこと自体が不可能だからだ」とした。

「消費者は、信頼に基づき"正直で"、"本物の"関係を切望している」、だから「我々に必要なのはマインドセットの切り替え」であり、「消費者にとり何が重要なのか、どうすれば誠実に消費者と関係できるのか。我々は本当のパートナーシップを構築するにはどうしたらいいかというマインドセットに切り替える必要がある」と述べた。

Source:Ad Week / 4A's: Stengel Calls for 'Mindset Shift'

この「マインドセットを切り替えろ」という話は、昨年のANA総会で、同じP&GのCEO、A. G. Lafleyが述べたように、「P&Gは長い間、消費者がどのように商品を理解し、使用すべき教えてきた」という観点から、「オンラインコミュニティによってコマーシャルが創造されるこのトレンドを認めるべく学習すべきだし、それを歓迎すべきだ」という観点への移行を指している。

参考:Letting Consumers Control Marketing: Priceless

また、「消費者との対話に関与し、参加することは、消費者の信頼を勝ち取ること」であり、「消費者と関与するためには、我々のメッセージは彼らの言葉でなければならない」し、「特に、ブランドは消費者のコミュニティ意識において、正直、誠実でなければならない」と続けるStengelの講演内容は、直に消費者の変化、メディアトレンドを理解し、表層的な対応をするのではなく、コアの変化を理解した上で、もっとも求められている誠実で、平等な対話を、オープンに行うコミュニケーションやマーケティング戦略が見えてくる。

大きければ大きいほどいいとか、多ければ多いほどいいといった製品メッセージは単純明快のように見えるが、果たして消費者にとって誠実なメッセージなのだろうか。消費者が理解する言葉で語られているのか、あるいは消費者の信頼を得ながら、対話が醸成されているのかどうかが問われている。

2007/03/06

Samsung's Disclosure

昨年11月、シンガポールのオリエンタルホテルで開催された「Samsung Tech Forum 2006」という、IR (Investor Relations) の一環であるプライベートフォーラムがあった。IRといってもSamsungの場合、AR、財務報告、Fact BookやForm 20-Fなり、株価や株主総会に関する情報だけを提供しているのではなく、カンファレンスとして、Nomura CEO Forum、Lehman Brothers Tech Conference、Prudential Investor Forumなど、そして毎年のTech Forum情報なども提供している。

昨年のアジェンダを見ると、SVPのWoo-Sik Chuの開会の辞から始まり、半導体、通信、LCD、デジタルメディアなど、9:30から16:30まで丸一日を費やしたフォーラムを開催している。

その中で「LCD:Samsung LCD's Technology and Business Development Plan (pdf)」がある。この中身を見てみると;
  • I. Growth
    • USのデジタルTV化、世界の動向
    • 世界のTV販売台数、金額予想
    • LCD、PlasmaTVごとの予想
  • II. Competition (between Technologies)
    • LCDTV規格の現状
    • 周波数向上、コントラスト比向上
    • LCDTVサイズごとの販売台数予想
    • PlasmaTV規格の現状
    • 1080P、コントラスト
    • PlasmaTVサイズごとの販売台数予想
    • 販売価格推移
  • II. Competition (between Companies)
    • LCDTV
      • Sony、Sharp、Philipsの現状
      • Samsungの仕様・機能
      • USマーケットシェア比較
    • PlasmaTV
      • Panasonic、Pioneerの現状
      • Samsungの仕様・機能
      • USマーケットシェア比較
    • 効率的サプライチェーン、充実したチャネルパートナー
  • III.Potential
    • 豊富な商品群とそれをネットワークするディスプレイ、そして戦略パートナーを紹介
    • Mobile TV現状とリーダーシップ
    • 次世代OLEDTV紹介
    • 家庭、部屋、車、個人ユースへ拡大するDisplay Industryの潜在力
  • IV.Summary
サマリとしてのスライドは右のたった一枚だけで、このスライドを示してSamsungのプレゼンターがどんな言葉で締めくくったのか聞いてみたい。(WMAファイルもあるのだが、残念なことにこれが[Not Found]になっている。それも韓国語表示なので最初は何がなにやらさっぱり分からない。上手の手から水が零れていた)

Source:Samsung Tech Forum 2006

これはLCDだけではなく、半導体、通信機器なども同じように濃い内容のプレゼンデータが提供されている。半導体のプレゼンでは第四世代携帯電話、WiBro(Mobile WiMAX)、ユビキタスネットワーク、デバイスのコンバージョンなどのビジョンを語り、将来の提供サービス・モバイルライフ、そして今後の開発ロードマップまで説明している。

日本企業は事業部ごとの売上高、全体に占める比率程度の情報開示はあるが、Samsungのプレゼン資料と比べるべくもない。日本の大手自動車メーカーがニューヨークやロンドンで機関投資家対象のミーティングを開き、そのコンテンツをPDFや動画で提供しているケースはある。しかし、エレクトロニクスメーカーのIRページにこのようなコンテンツは見かけない。見ていないだけかもしれないが...。

グローバルなステークホルダーに対する情報開示を行い、それを分かりやすく説明するスタンスはSamsungに軍配が上がる。オンラインでの露出という点から見ると、これも立派な露出だ。オンライン広告からの露出ギャップに加え、広報やIRからの露出ギャップも積み重ねられていることになる。

Samsungは2004~2005年の2年間で155億impressionをオンライン広告で露出している。一部を除いた日本のグローバル企業の大半は1~2億impressionレベルだ。まさに桁違いの露出だ。このオンライン広告ギャップに加え、総合的なオンライン露出ギャップは2桁以上に達するだろう。ますます、オンラインでのブランド露出と、それによるブランド価値に差がついてくる。

参考:Online Exposure Gap Widening

2007/03/05

B2B Search Activity

2004年6月と少し古いが、EnquiroとMarketing Sherpaが実施したB2Bにおける検索エンジンの利用に関するデータがある。B2C同様にB2Bでも検索エンジンの役割は重要で、調査対象者の93.4%がB2Bの購入調査のためインターネットを利用するし、63.9%はまず最初に検索エンジンを利用すると答えている。

B2Bの購入決定に大きくかかわってくるインターネットだが、まず職場でインターネットへアクセスしている時間は、右のようにばらつきがあるが、平均すると4時間となっている。

家庭と職場でのアクセス比率を見ると、100%職場というのは3%、家庭25対職場75が52.4%、家庭50対職場50が29.7%となっている。

次に購入予算規模別にどういったサイトへアクセスしているかを見ると、
  • 最大のアクセス先は検索エンジン
  • 一般的に高額になるほどメーカー、および業界ポータルサイトへのアクセスが増える
  • 5万㌦以上の予算を除き、独立レビューサイトと業界ポータルサイトへのアクセスがほぼ同じ
となっているが、どのようなサイトへアクセスしようと、検索エンジンサイトへ行くユーザが86.9%に達している。

購入製品決定フローのどういう時期に検索エンジンを使うかと見ると
  • 46.2% 製品やサービスの知識が少ない、ごく初期段階
  • 30.2% ある程度情報が集まってきたが、候補製品・サービスの比較が必要な後半段階
となっている。それ以外は、購入製品の最終確認と、購入先をどこにするかというもので、検索エンジン利用の大半は、まず情報収集であり、5カテゴリのサイトで入手した新しい情報を再度検索したり、他サイト情報と比較をするためだということが分かる。

この調査では触れられていないが、当然、展示会やプライベートデモ、業界誌などでの調査も行われ、それらのフィードも加えた検索や、検討も行われているはずだ。

さて、B2Bの製品購入決定において、非常に重要な役割を果たしている検索エンジンだが、その中身を見るとやはり、オーガニックな検索結果にクリックが集中している。右は最初の検索結果と2番目の検索結果で、オーガニック検索結果に比べるとスポンサーリンクは三分の一程度の率でしかクリックされていない。

また、Google、MSN、Yahoo、Askともにオーガニックをクリックする比率が高く、その中でもオーガニックが76.7%を占めるGoogleが抜きんでている。この結果を見ても検索広告が必要なのは、やはり多様な媒体露出がなく、認知も想起もないため、コンタクトポイントとして検索エンジンを使わざるを得ないロングテール企業でしかないと思える。

さて、そのほかにもオーガニックとスポンサー順位に応じたCTR比率、トップとサイドバースポンサーの認識率、オーガニックとスポンサーリストの理解度、検索結果ページのスキャン方法などのデータがある。

Source:Enquiro / B2B Whitepaper (注:ダウンロードにはユーザ登録必要)

こうしてみるとB2Bでもインターネット、検索エンジンの重要性が高まっていることがわかる。そして検索エンジンを使うユーザはオーガニック(自然検索結果)を重視し、メーカーWebサイト、業界・独立レビューサイトからの情報も収集している。その後、情報を精査したり、新しいキーワードで情報収集するため、度々検索エンジンを利用していることがわかる。

2004年6月と古いデータではあるが、以降、検索エンジンの重要性が一層高まったことは疑いないだろう。また、スポンサーリンクより、オーガニック(自然検索結果)が一層クリックされているのではないだろうか。

2007/03/02

YouTube Visits Surpasses TV Network Sites

HitwiseのBlogに、「Viacomが10万本のビデオクリップを削除するよう要求してからYouTubeへのアクセスは14%増加:TVネットワークサイトを上回る」という記事がある。

2月3日から17日までの2週間でトラフィックシェアが13.9%アップ、年初の平均シェアからは7%アップとなっている。次に2月17日までの一週間に全米54のTVネットワーク合計で米国インターネットトラフィックの0.4865%を締めているが、YouTubeは0.603%だ。

グラフにあるように、昨年2月11日のマーケットシェアは0.05%だったが、1年経ってみると0.6%へ12倍、昨年12月の0.3%台からしても2倍伸びている。急増という言葉が正しく当てはまる。

ただし、調査したのはTV局サイト、番組サイトだけで、ニュース、スポーツ、天気、そしてショッピングネットワークサイトは含まれていない。

Source:Hitwise /YouTube Visits Up 14% Since Viacom Takedown Order; Surpasses Television Network Sites

HitwiseのLeeAnn Prescottは、最初にViacomの削除要求を枕とし、「2月3日の週、YouTubeのトラフィックは全TVネットワークWebサイトのトラフィックを上回った。エンタテイメントユーザは、TV局WebサイトやゲームWebサイトよりもYouTubeへアクセスするという、Webトラフィックとエンタテイメント消費が新しい局面に入ったランドマークイヴェントだ」としている。そして最後に「これでGoogleは米国のトップエンタテイメ ントWebサイトを手にしたので、著作権問題に対応する必要がある」、「YouTubeが採用したAudible Magicの著作権フィルターなどが解決することを希望する」と結んでいる。
    • YouTubeのシェアアップから、著作権ビデオの適正なストリーミングへと話をつなげているとおり、新しいランドマークイヴェントはいいのだが、このBlogタイトルを「YouTube Visits Up 14% Since Viacom Takedown Order; Surpasses Television Network Sites」だとするのはちょっと無理な気がする。
    • YouTubeのマーケットシェアが全TV局のそれを上回った理由は別にViacomの削除要求のせいではない。
    • 原因は、2月4日のSuper Bowlに向けて昨年末からYouTubeにアップされ出した数々のビデオの影響だろう。
    • YouTubeで「Super Bowl 2006」を検索すると612本があり、最高視聴回数のビデオは18万回だ。しかし、「Super Bowl 2007」で検索すると1,760本、視聴回数トップは41万回になっている。昨年と比べ、今年のSuper BowlのYouTube露出は2倍以上となっている。
    • これだけの露出があれば、また、昨年から高まってきたオンラインビデオ人気、そしてYouTubeを活用したSuper Bowl広告キャンペーンを考えれば当然だろう。
ま、それはさておき、ストリーミングビデオの人気、クロスメディアミックス効果を踏まえて広告主の認識が変化してくることは間違いない。特に、TVCF、オンライン(ビデオ)広告、検索エンジン、ランディングページを統合するマーケティングが注目されるだろう。

2007/03/01

Opening Web site to Customer Review and Rating

2月13日のBusiness Weekによると、Macy'sが自社Webサイトを開放し、購入した商品のレビューや評価を顧客の手に委ねてから半年が過ぎたと伝えている。

Macy'sのWebサイトに上がっている全商品のどれをクリックしても、詳細情報の下に、「Overall Rating」と、商品をレビューした顧客数、そのうち何人がその商品を友人などに推薦するかの実数と、%があり、全てのレビューを見たり、自分で書き込むことができるようになっている。毎日350件ほどのレビューが加えられているが、当然のごとく、中にはポジティブなものもあれば、ネガティブなものもある。しかし、会長でCEOのPeter Sachseは、「WebサイトがSNSのようになってきた。究極のWOMだ」と語っている。

問題になるコメントやレビューの内容だが、Forrester Researchによると、E-commerceサイトのカスタマーレビューの80%はPositiveなものだ。(残りのNegativeなものは、商品 レビューや評価ではなく、苦情処理なり、顧客サポートなり、別部署で受け付けるべきものだろう)

さて、若年層で、ネットユーザであればあるほど自分のことを発信したい、聞いてもらいたいわけだ。それだからこそ彼らはMySpaceなどのコミュニティやフォーラムサイトに集っている。そこでMySpaceと似た環境を整え、商品のレビューや評価をしてもらったり、時には画像やビデオもアップしてもらう。その結果、顧客レビュースペースがオンラインショッパー最大の目玉サイトになってきたということだ。

昔から顧客の声を訊くのがどのビジネスでも肝心だ。だからP&Gなどは、洗剤を買った主婦の使用・行動パターンを知るためにビデオカメラを装着させて調査したこともある。しかし、その調査結果が第三者、顧客に開示されることはなかった。しかし今、顧客の生の声という集合知が開示されている。

顧客レビューや評価は、AmazonやNetflixなどの特許のように使われてきたが、それが次第に広範囲に普及してきている。MarketingSherpaによると2006年末までに43%のE-Commerceサイトはカスタマーレビューと評価を提供しており、2005年末の23%からするとほぼ倍増となっている。また、18-34歳のほぼ50%が購入商品のコメント、レビューを書き込むようで、これは音楽をダウンロードするユーザの34%よりも高い。

最後に、顧客レビューや評価をオフライン化する試みも始まっているようだ。カナダのスーパーマーケット、Lablawは、インストアサインに例えば、 「177人中160人はこの商品に4.5星を与え、90%は友人に勧めます」、「野菜嫌いの17歳の息子もこれは大丈夫」という顧客の声をプレートに掲示している。また、全米で800店舗を持つペットサプライのPetcoは、顧客の声を新聞の折込広告に掲載する予定だ。

Source:Business Week / Retailers Takes a Tip from MySpace

これは米国の話で、UKのMarks & Spencerでも、HarrodsのWebサイトでも顧客レビューや評価スペースは提供していない。況や、日本のデパートのWebサイトにそんなスペースはない。

しかし、顧客レビューや評価スペースを提供することで、
  • 顧客の生の声が聞け、それにアクセスするユーザを誘引し、
  • 購入した商品と想像していた商品のギャップが少なくなるため返品率が低減し、
  • 他の顧客の推薦により通常よりも多く商品を購入する率が高いという結果が出ている。
  • 加えて、顧客レビューをチェックしたり、レビューがあるサイトで購入するというユーザが増えているし、
  • サイトによっては画像やビデオがバイラル化しているところも出てきている。
また、商品の欠陥を指摘されたり、改良提案をもらうことで、
  • 不良在庫圧縮、商品改良・開発への貢献、
  • 総合的な顧客満足度向上など目に見える効果が上がっているようだ。
確かにBusiness Weekの記事に対してユーザがコメントしているように、これは「1999年の"Cluetrain"からのトレンド」だ。しかし、それをようやく実感できる状況になってきたということだ。顧客と企業間にオープンなコミュニケーションチャネルを開くこと、すなわち対話を開始することで、サイトの露出が向上し、トラフィックが増加し、集合知が形成されている。

CluetrainのTheses 95には様々な言葉がある。
  • 01 市場は対話である
  • 06 インターネットは、マスメディアの時代にはただ不可能だった人間同士の対話を可能にしている
  • 19 企業は今こそ、市場と直接対話ができるのだ。そうしなければ、あとは無い
  • 31 賢い市場は、自分自身のことばで話す企業を見抜くであろう
  • 40 対話社会に属さない企業は死んでしまう
  • 95 私達は目を覚ますとすぐ、お互いにリンクしあっている。そして、目を光らせて見ている。私達は決して待ったりしない
参考:Cluetrain (pdf)
参考:Cluetrain (日本語)