2012/09/28

お客様相談センターの対応から見るソーシャルメディア体制

昨年の11月、時事.comで震災関連のビデオを見ていた所、「墓石」のターゲッティング広告が表示された。あまりにも無神経な広告掲載だと感じたのでメーカーにメールした。

以下は、その時の回答だ。
ご指摘の映像に、お墓の宣伝は、確かに問題だと感じましたので、 震災以外の映像も含むすべてのYouTube動画や震災関連記事には、 当社の広告を表示をしないように設定いたしました。 
インターネット広告がどのように表示されるのかについて配慮が十分でなく、 XXXX様にはご不快な思いを抱かせてしまいましたことに 心よりお詫び申し上げます。 
今後ともお気づきの点がございましたら お知らせいただきたく存じます。 この度は本当にありがとうございました。
そして、今週、「教えてGoo」で「がん」や「見舞い品」について見ていた所、「お葬式」のターゲッティング広告が表示された。あまりにも無神経な広告掲載だと感じたので全国規模の大手小売業者にメールした。

以下は、その時の回答だ。
日頃より、弊社をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
この度は、XXXXXの広告につきましてのメールをいただき恐縮いたしております。
お申し出内容を担当部署に伝えましたところ、 
XXXXX事業部の広告が、一部意図しないお客さまに表示されてしまい、お客さまに不快な思いをさせる結果になったことについてお詫び申し上げます。今回は、「教えてgoo」のシステムが、質問内容に関連する広告として当社広告を選び、掲載されたものと思われます。 
当社としては「病気」、「お見舞い」といったことに関連づける意図は全くありません。ご指摘のような点については、防御策も講じていますが、完璧に防げるわけではありませんので、「教えてgoo」で病気や見舞いに対する質問への回答」については、今後出ないようにいたします。 --中略--
と申しておりますので、何卒宜しくお願いいたします。
今後共、弊社をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
前段のお客様相談センターの回答と比べると後段のそれはあまりにも拙い。

回答文面そのものは別格に置くとしても、この小売大手企業の広告主としての知見の無さ、代理店任せで担当部署としての責任の無さ、社内縦割り組織の風通しの悪さなどが透けてくる。そして、覚束なさを埋めてくれるはずの消費者の声に傾ける耳を持ち合わせていないことも見えてくる。

こういった企業がソーシャルメディアを使った広告を出稿するのは難しい、ましてやエンゲージメントが入ってくるソーシャルメディアマーケティングを実行するのは難しい。

英国の小売最大手、TESCOはFacebook、Twitter、YouTube、そしてPinterestをやっている。
そして、TescoのFacebookではこんなやり取りがあった。
ニンジンを買って帰り、ローストチキンを作ろうとニンジンを取り出した時、1本逃げて行っちゃった。1本弁償して
という女性のウォール書込みに対して、 
逃げ出したニンジンの弁償はできません。なぜなら、目の前でニンジンが逃げ出すという新しい経験をされましたし、買った野菜が逃げ出さないように注意しておかなければならないという人生の教訓を学ばれましたから。ただし、逃げ出したニンジンがその理由を書きおいてくれればと思います 
とカスタマーサービスのサムが応えている。
まるで「生協の白石さん」を思い出させる軽妙なやりとりがある。

こんなバカげた時間つぶしの書込みに、ひとひねりしたレスポンスを返すことができるリソースがない限り、全国規模の小売大手企業は、FacebookやTwitterには手を出さない方が無難だ。

ただし、これは何も小売大手企業だけの話でもない。同じようなレベルの話はどの業種にも山ほど転がっている。

Facebookウォールにユーザの書込みを禁止している企業は何社あるのだろう?Facebookをリクルートに使っている企業数が1800社もあるという。そのうちの何社がFacebookを理解しているのだろう?

だから、規模の大小を問わず日本企業にソーシャルメディアは向かないのではとまで思えてくる。


2012/09/06

家族連れか、グループか?

そろそろウィンターシーズンの足音が聞こえてきそうだ。

ということで、シーズンパスのひとつのバリエーションを紹介した「参考:グループ用のシーズンパス」を別ブログ、マサダにアップしました。
Source:マサダ 参考:グループ用のシーズンパス 

2012/08/31

トヨタ(・日産)のFacebook取り組みはおかしい

8月31日、トヨタ自動車のFacebookページに対して、いいね!をクリックしているのは131,715人、話題にしている人は7,647人(過去7日間の平均)だ。下図の7月31日~8月6日の間で8,517人が話題にしているのがピークになっている。
同様に日産自動車のページに対して、いいね!をクリックしているのは110,741人、話題にしている人は22,823人(同)だ。下図の8月22日~8月28日の間で23,148人が話題にしたのがピークになっている。
残念なことにどちらもファンになろうが、なるまいがページウォールにユーザが自由に書き込むことはできない。ページの書込みに対して、いいね!、コメント、シェアするだけだ。

ここら辺は参考を参照していただきたい。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2011/08/03)

一方、フォードのほうはどうかと言うと、ページに対していいね!をクリックしているのは160万人以上、話題にしている人は18,064人(同)だ。下図の8月8日~8月14日の間で426,699人が話題にしたのがピークになっている。
トヨタ、日産、フォードの大きな違いは何かと言うと、ページウォールにユーザが自由に書き込めるか、書き込めないかだ。

そして、8月のアクティビティを見てみる。

トヨタのページに対して新規にいいね!をクリックしたのは1,551人、ページの書込みに対していいね!、コメント、シェアしたのは16,112人。
日産のページに対して新規にいいね!をクリックしたのは21,312人、ページの書込みに対していいね!、コメント、シェアしたのは51,298人。
フォードのページに対して新規にいいね!をクリックしたのは26,571人、ページやファン・ユーザの書込みに対していいね!、コメント、シェアしたのは535千人。
どうやらトヨタのページにいいね!を新規にクリックする人は少なく、今月話題にしている人も少ない。そして、トヨタと日産の10倍以上ものエンゲージメントがフォードのページでは行われている。

当然だろう。メーカーのきれいきれいなメッセージよりも、自分と同じ目線のユーザのメッセージにいいね!、コメント、シェアするほうがレスポンスが期待できるし、共感できる。法務や各部署の承認をもらった杓子定規の言葉より、話がつながるし、広がる気がする。だからフォードをテーマとしたいいね!、コメント、シェアによるエンゲージメントが充実している。

Facebookユーザが企業・団体のページに対していいね!したり、書込みに対していいね!、コメント、シェアすると、ユーザのタイムラインに表示される。ユーザの友人達がタイムラインにアクセスしてメッセージやコンテンツが露出され、共有される可能性を広げることになる。

そのためフォードと言わず、ほとんどの企業・団体はウォールをファンや一般ユーザに開放して、書込みを促している。彼ら自身のメッセージ、コンテンツを書き込んでもらい、そこから友人ネットワークに共有してもらおうとしている。

なぜなら、企業・団体のメッセージ、コンテンツをうのみにするナイーブなユーザはあまりいないからだ。このご時世、ちょっと検索すればネガティブメッセージは雨後のタケノコのように出てくるし、購買プロセスにいるユーザは各種比較サイト、レビューサイトを参考にして最終決定している。購買予定製品・サービスを使っている知人や友人がいれば、あるいは外国のユーザであったとしてもアドバイスをもらうことなどお茶の子さいさいだ。言われたことをそのまま信じるのではなく、信頼できるアドバイザー、オピニョンリーダーの声を聞くのが常道だ。

それを理解すればフォードや他社のようにウォールを開放すべきだ。自社製品に関するメッセージ、評価や独自コンテンツを書き込んでもらい、ブランドの露出を図り、ポジ・ネガ評価、使い方のコツ、サポートなど各種の情報を開示するスタンスを示す必要がある。改善すべき点があれば指摘してもらう必要がある。

しかし、ページの炎上を恐れるあまりウォールをユーザに開放していない企業が後を絶たない。

こちらの言いたいことを知らせるためだけのチャネルとしてしかソーシャルメディアを使うつもりがないのであれば止めた方がいい。一方通行のコミュニケーションがやりたいのであれば、せっせとメルマガ読者を増やしたほうが「マシ」だ。

昨日同様に、「いずれにしても1年経っても、トヨタ(・日産)のFacebook取り組みはおかしい」と言わざるを得ない。

2012/08/30

トヨタ自動車のTwitter取り組みはおかしい

8月30日の朝、トヨタ自動車広報部のTwitterアカウントには16,000人以上のフォロワーがいるが、一人もユーザをフォローしていない。
一方、日産自動車のTwitterアカウントには35,000人以上のフォロワーがいて、17,000人弱のユーザをフォローしている。
昨年8月、「Toyota rejects communications with users on Facebook」にTwitterに関しても書いたが、あれから1年経っても、トヨタはTwitterの使い方を変えていない。

それ以降もなんどとなく指摘してきたトヨタ自動車のソーシャルメディアに対する取り組みの違いが明らかだ。そして、その結果が出ている。国内最大手の自動車メーカーであるトヨタ自動車のTwitterアカウントのツィート数、フォロワー数が、1年経っても他社に後れを取っている。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2011/08/03)

少なくとも、日産のようにユーザをフォローし、リプライし、リツィートしなければフォロワーは増えないし、フォロワー自体のクオリティも高く保てない。1.6万人に増えたから良しとするわけにはいかない。

日産TwitterアカウントのフォロワーをStatusPeopleというツールを使って調べてみるとそれが分かる。FakeとはSPAMであったり、BOTアカウントを指し、Inactiveは最近ツィートしていない休眠アカウント、そして、GoodはそこそこTwitterを使っているアカウントだ。日産でもFakeが4%、Inactiveが13%。即ち、35,527人のフォロワーのうち6,039アカウントは意味のないアカウントなのだ。
一方、トヨタTwitterアカウントは、Fakeが7%、Inactiveが16%もある。合計23%、3,847アカウントが無意味なアカウントで、Goodは77%、12,880人しかいないのだ。
一人もフォローせず、トヨタの言いたいことだけを言い連ね、ようやくフォロワー数を増やしてきたけれど、フォロワーの23%は絵に描いた餅だ。

日産も17%がそうだが、トヨタとの差である6%は、ユーザに対するリプライ、リツィート、フォローの積み重ねによる信頼の構築やユーザとのネットワークだろう。そこが肝になっている。

トヨタは他社の動向をチェックしていないのだろうか?ケーススタディを提供するエージェンシーはいないのだろうか?量よりも質を提案する代理店はいないのだろうか?

いずれにしても1年経っても、「トヨタ自動車のTwitter取り組みはおかしい」と言わざるを得ない。

2012/07/12

マレーシア首相とVisit JapanのFacebookページの類似点

Marketing-Interactive.comの7月6日に、「Japan Picks Digital Lead For Tourism Push」という記事があった。

出典:Marketing-Interactive.com / Japan Picks Digital Lead For Tourism Push

それによると、6月にコンペが行われて博報堂が8月から観光庁の公式Webサイト、Facebookページ、オンライン広告などを担当するようだ。博報堂によるとページに対する「いいね!」は昨年倍増したそうだ。

どんなFacebookページかと言うと下のようになっている。
さて、ここで見てもらいたいFacebookページがある。
これはマレーシアの首相、Najib Razak氏の公式Facebookページだ。

昨年7月、この首相のFacebookページに噛みついていたKent Ong というマーケティングコンサルタントがいる。「A Letter to Datuk Seri Najib on Social Media Marketing」という公開書簡を自身のBlogで公開していた。

出典:Human Website / A Letter to Datuk Seri Najib on Social Media Marketing

何に噛みついていたかと言うと、それは首相のFacebookページに対するファン・ユーザの投稿、ページ投稿に対するファン・ユーザのコメントに対してまったくレスポンスが見られないことだ。

まず初めに、首相にソーシャルメディアマーケティングの基本を知ってもらいたいと始めて、
ソーシャルメディアマーケティングの基本は、コミュニケートすること、エンゲージすることなんだ!
今は会話の時代であり、ブロードキャスティング時代ではないのだから、マレーシア国民はあなたと話し合いたいんだ。
あなたはFacebookのようなソーシャルネットワーキングサイトで国民を無視している。あなたと国民の間にエンゲージメントは全くない。
忙しすぎて時間がないのならFacebookは止めた方がいい。無意味だ。
とこき下ろしている。

全くその通りと一年遅れの拍手を送るしかない。現在、100万人以上のファンを集めている首相のページだが、オバマ大統領・鳩山首相(当時)など諸外国首脳との会談、国際会議出席、外遊実績などが強調されている。しかし、投稿やコメントに対してレスポンスは見えない。彼の言うとおり、ブロードキャスティング=メガフォンマーケティングをしているだけだ。

そこで再度、Visit Japan InternationalのFacebookページをよく見てみると、まず、ファン・ユーザが自由にウォールに投稿できない。
ハイライトをクリックしても、普通なら表示される「他のユーザーの投稿」が表示されない。そう、ファンやユーザが自由にウォールに投稿することはできないのだ。ユーザとのコミュニケーションやエンゲージメントを積極的に受け入れる門戸は閉じられている。

次にページ投稿に対するコメントだが、コメントすべてをチェックしたわけではないが、Visit Japan Internationalからのレスポンスがまったくないように見える。「いいね!」の数より、コメントやシェアを増やすためにもユーザコメントにきちんと対応しなければならないのだが、そういう体制はなく、対応されていないようだ。

Kent Ong に言わせれば、「マレーシア首相のFacebookページよりも対応レベルは低い」としか評価されそうにないのがVisit Japan Internationalのページのようだ。


もうひとつ、Kent Ong が噛みついてる点がある。それはTourism MalaysiaがFacebookのみをコミュニケーションチャネルとしていて、LinkedInを使っていない点だ。彼に言わせれば、
LinkedInに参加しているユーザの多くは決定権者だ。CEO、取締役、ゼネラルマネージャ、人事マネージャ、オーナー達だ。
Tourism Malaysiaは、Cuti-Cuti Malaysia(Visit Japanと同様のキャンペーン)グループをLinkedInに持つべきだ。 そこで、これら決定権者とコミュニケートし、エンゲージすべきだ。
Tourism Malaysiaは、Cuti-Cuti Malaysiaを取上げている人々、マレーシアへの旅行について話している人々を探し、彼らの声を聞き、その中に参加しなければならない。フォーラム、ブログ、Facebook以外のソーシャルネットワーキングサイトでもソリューションを提供しなければならない。
Facebookページをオープンして、ただカスタマーを待つだけというのは止めろ。ソーシャルメディアは彼ら(顧客、旅行者)のためのものであり、Tourism Malaysiaのためのものではないんだ。
これもまったくその通りと拍手を送るしかない。

どこの国でもレガシーメディアを長年使ってきた経験のあるユーザは誤解し続けている。数の論理がどこまでも通用する時代ではなく、ネガ・ポジであれ、清濁併せてモニターし、対応しなければならない時代に入っていることを理解していない。

理解した上で、ステークホルダーに一番近いスペースに参加し、声を聞き、会話しなければならない。参加もせず、聞きもせず、会話しないのであれば、それは自身に対するネガティブキャンペーンにしかならない。

願わくばマインドセットを転換し、Kent Ong の叫びがマレーシア首相やTourism Malaysiaだけではなく、日本のVisit Japan Internationalや博報堂にも伝わることを祈るのみだ。

2012/07/11

オーディエンス、ステークホルダーが出てくる米海軍のソーシャルメディアハンドブック

2010年10月に米海軍のソーシャルメディアハンドブックが公開されている。
海軍少将で広報部長を務めるDennis J. Moynihanが、「Open Letter from the Chief of Information」として巻頭に一文を寄せている。
今は、海軍のリーダーになるために、エキサイティングでダイナミック、そしてチャレンジしなければならない時だ。直面する無数の課題の中に、この2~3年の間に劇的に変化したコミュニケーションの仕組みそのものがある。ソーシャルメディア・プラットフォームとテクノロジーが急激に成長し、コミュニケーション環境をフラット化し、民主化して、我々自身はそれをようやく理解し始めている。
効果的なコミュニケーションは、常にユニットとミッションの成功に貢献してきた。今日の多接続環境で、オーディエンスと会話し、エンゲージすることは不可欠だ。最近起きたミリントンでの洪水時、基地司令官と彼のスタッフは、被害状況や対応を探るアプローチの一環としてソーシャルメディアを効果的に使い、洪水対応を成功裏に導いた。ハイチにおいても、統合作戦時、参加部隊司令官は部隊及び隊員とのコミュニケーションにソーシャルメディアを利用した。
ソーシャルメディアは、我々がリーチしたいと考えるステークホルダー、以前であれば困難であったステークホルダーを含めて、関連し、調整され、特化した情報を伝達する効果的なチャネルだ。電話、Fax、email、Webサイトなど、他の通信技術の出現と同じように、我々はこれらツールを安全、効果的に利用するよう注意を払わなければならないし、隊員やその家族も同じように教育しなければならない。
一般企業と変わることなく、オーディエンスとかステークホルダー、リーチといった文字が顔を出すことに驚く。

日本でもソーシャルメディアハンドブックを社員に配布している企業は多い。ボヤ騒ぎや炎上を防止するための「べからず集」になる部分を否定するつもりはないが、ソーシャルメディアツールを使ってリーチする、アプローチするオーディエンスやステークホルダーに対する記述、説明がどこまでされているのかに非常に興味がある。

米海軍は、「コミュニケーション環境をフラット化し、民主化して、我々自身はそれをようやく理解し始めている」と書いているように、以前からの一方的なコミュニケーションではなく、オープン、対等、双方向のコミュニケーションプラットフォームへ変異したことを理解している。

それが国や人種を越えた普遍的な変異だとすると、広報・マーケティング・営業がソーシャルメディアを使うためには、以前とは真逆のコミュニケーションを行わなければならない。単にソーシャルメディアを使って以前同様の広報や販促を行うことはソーシャルメディアを活用することにはならない。

だからこそ、社員に持たせるソーシャルメディアハンドブックに興味がある。

そして、この普遍的な変異を前提に書かれたハンドブックがどれほど日本にあるのかにも興味がある。

2012/07/05

やはり日本のミュージアムはガラミューか?

世界のミュージアムのうちすでにモバイル対応しているのはどれぐらいいるのか?今後2年間で何をやろうと検討しているのか?

そんなデータを教えてくれる調査レポートが上っている。

それにしても、日本のミュージアムは世界の潮流から大きく引き離されていると思わざるを得ない。これは、日本の企業・団体・グループ・ユーザすべてにも言えることかもしれない。
出典:マサダ ミュージアムとモバイルサービス

2012/07/03

インドネシアのTwitter、Facebook事情

約2億4000万人の人口を抱えるインドネシアのインターネットユーザ数は2011年に8,474万人、2012年には1億人を越え、2015年には1.6億人に伸びると予想されている。
そのインドネシアは、Twitterユーザ数で世界5位(約2,000万人)。
なお、WebベースのTwitter利用は12%にとどまり、モバイルが87%を占めている。それも当然だろう、2010年で2.2億台、普及率は91.7%にも達しているのだから。特に2009年から2010年にかけての急増がただものではない。6,000万台、24%ポイントも増加している。この急増がモバイルベースのTwitter利用に拍車をかけたようだ。
Facebookユーザ数でも世界4位(約4,380万人)につけている。
このボリュームはキャリアのひとつが5,000ルピアでSMSを経由してFacebook使い放題というサービスを開始したことも一因だろう。

そして、インドネシアで最もFacebookファンを抱えているのは、民放TV局RCTIのDahsyatという番組だ。
2月にAKB48がインドネシアでコンサートをやった時、その予告をしていたDahsyatのファン数は650万人を超えている。トップ5はTV局・番組、セレブが占めている。以降を見てもECサイト、メディア、ミュージックバンド、スポーツクラブなど、消費者・生活者・利用者・ファンたちと向き合っている企業・団体・グループのページが並んでいる。
なお、インドネシアのFacebookはSNSとしてではなく、主にメッセージサービスとして使われているとよく聞くが、Dahsyatの投稿に対して数千のLikeや、千以上のコメントが付いているのを見ると変わってきたように思える。

さて、日本語のFacebookページを見ると、FacebookJapanの460万人、パーゴルフの350万人、FacebookNaviの307万人、SatisfactionGuaranteedの216万人、FacebookMarketingの168万人が上位5ページ。それ以降、ヒットコンサルティングの144万人、BadLandの94万人、ユニクロの83万人、無印良品の78万人、サッカー日本代表の76万人、AUの73万人、神様予報!の73万人、ANAの72万人といったページが続いている。

ま、B2CとB2Bページが混在しているのが日本、B2Cページが中心になっているのがインドネシアのFacebookページだと言えないこともない。また、マーケティング関連ページは上位にひとつもないのがインドネシアだとも言える。

とにかく、消費者・生活者・利用者・ファンたちとのコミュニケーションチャネルとしてFacebookが機能しているのは間違いない。この意味でインドネシアは日本よりも数段進んだB2Cコミュニケーションが行われているように見える。

日本国内市場の先行きに暗雲が垂れこめる現在、中国やアジア諸国に製造拠点、販路を求める企業が後を絶たない。例えば、日本より一歩も二歩も進んだソーシャルメディアコミュニケーションが行われているインドネシアという市場を検討する場合、こういったTwitterやFacebookの現状把握、現地及び日本本社からのソーシャルメディアマーケティング戦略もお忘れにならないようお薦めする。

2012/06/18

金沢21世紀美術館の不思議と今後の期待

2011年8月に開館以来累計1,000万人の来館者数を突破した金沢21世紀美術館はTwitterをやっていない。

なぜなんだろうという大きな疑問がわくが、あの金沢21世紀美術館なので何か大きなことをやってくれるのではとの期待も大きい。
出典:マサダ 金沢21世紀美術館の不思議 (2012/6/18)

2012/06/15

ミュージアムのクラウドソーシング物語

2008年にThe Wisdom of Crowdsを参考にして「Click !」というプロジェクトを行い、2012年5月から「GO」プロジェクトを開始しているブルックリン美術館の企画を推進するのは学芸員ではない。

一般事業会社のクラウドソーシングと同じか、それよりも早く実践していたブルックリン美術館の舞台裏はどうなっているのか?
出典:マサダ 「Click !」から「GO」へ飛躍したブルックリン美術館の舞台裏

2012/06/14

世界の美術館トップ5はTwitterから何を求めているのか?

ルーブル美術館、メトロポリタン美術館、大英博物館、ナショナルギャラリー、テート美術館が2011年の入場者数世界トップ5の美術館だ。

そこが当然、Twitter運用を行っているけれど、フォロワー数を求めていると思いますか、それとも何を求めていると思いますか?
出典:マサダ 入場者数世界トップ5美術館のTwitter対応

2012/06/11

レジャー・集客施設のTwitter対応の現状

テーマパーク、遊園地、動物園、水族館、フラワーパーク、ファームパーク、ミュージアムのTwitter対応はどうなのか。現状をチェックした。 出典:マサダ 集客施設上位のソーシャルメディア対応の現状:その1

2012/06/05

Twitterを運用する目的は何?

あなたの美術館・博物館でもこれをやるとフォロワー数が増えるかもしれません。でも、フォロワー数を増やすことが目的ですか、Twitterをやるのは? 出典:マサダ あまり推奨しないTwitterマーケティング施策

2012/05/31

米国美術館協会と全国美術館会議の差

彼我の差は、現状認識と、調査・情報収集を元にした未来予測の力に他ならない。 出典:マサダ 彼我の差はかくも広く、深く、そして遠い

2012/05/30

35年後を予想する博物館と、そうではない...

2009年に35年後の2034年を予想した米国美術館連盟と、そうではない...。 出典:マサダ 35年後の博物館と社会:トレンドと考えられる将来

2012/05/29

AAM(American Association of Museums)にあって、全国美術館会議にないものは?

AAM(American Association of Museums)にあって、全国美術館会議にないものは? 出典:マサダ 全国美術館会議に必要な委員会、研究部会は?

2012/05/28

ユーザレビューは不可欠

集客施設にユーザレビューは不可欠。当然、良いことも、悪いことも。悪いことを書いてもらい、改善するだけの話。そういう体制があれば...。
出典:マサダ スキー場はユーザレビューをリンクすべきですよ!

2012/05/25

ソーシャル化する米国スキー産業

米国だけの話なのか、それとも国内にも関係する話なのか? あなたはどちらだと思われますか? ご意見、コメントをお待ちします。 出典:マサダ 米国のスキー産業が加速するソーシャルメディア戦略

2012/05/24

シドニー水族館がユーザ参加を促進する方法

ユーザ心理をくすぐるシドニー水族館の取り組みを紹介。 出典:マサダ ユーザ参加を促進するパターン:その2

2012/05/23

自己リソースだけで完結しますか?

コミュニケーションを行う一方である一般ユーザの貢献を認め、感謝する必要のない企業、集客施設はない。しかし、それを理解していないケースが多い。 出典:マサダ 一般ユーザの貢献に感謝するか、しないか?

2012/05/22

金環日食写真シェアを呼び掛ける米クラーク・プラネタリウム

出典:マサダ ウォールへの投稿許可が広げるコミュニケーション

2012/05/21

美術館でもクラウドソーシングの時代へ

出典:マサダ ブルックリン美術館のクラウドソーシング(速報)

2012/05/18

博物館再生の道 その1

AR、3DS、グーグルアートプロジェクトやストリートビューが示すもの、求めるものはデジタル化とオープン化。 出典:マサダ 博物館コンテンツのデジタル化+オープン化

2012/05/17

ユーザ参加を促進すること

出典:マサダ ユーザ参加を促進するパターン:その1

2012/05/16

ダラス美術館続報

昨日、Scribdを使ってアニュアルレポートのPDFを露出・共有拡散しているダラス美術館について書いたが、そのダラス美術館ではPinterestも導入している。

ミレニアル世代がリードしているダラス美術館の続報は以下へ。

参考:マサダ  Pinterestを導入しているダラス美術館

2012/05/15

アニュアルレポートをWebサイト以外におくダラス美術館

さて、ダラス美術館のアニュアルレポートはどこにあるのでしょうか?

ヒントは下の出典へ

出典:マサダ ダラス美術館のアニュアルレポートはどこにある?

2012/05/14

アンケート:新しい美術・博物館は必要ですか?

過去12年間で1,268館(28%)も増えている博物館、613万人(2.1%)も減っている博物館入館者数からして、これからも美術・博物館が必要だと考えますか?それともう必要ではないと考えますか?

出典にご意見、ご感想をお待ちしています。

出典: マサダ 新しい美術・博物館は必要ですか?

2012/05/11

彼我の差...

サンフランシスコの現代美術館、SFMOMAはiPadアプリを提供してアニュアルレポートを配布している。アニュアルレポートにはソーシャルメディアの各施策実績が示されている。


米国を代表するような博物館、スミソニアン博物館は、日本からのツィートにも耳を貸し、レスポンスを返してくれる。


ここにあるのは、自身をよりよく知ってもらうためにユーザスペースに参加することと、自身のもつコンテンツを広めてもらうためには、ユーザ間の信頼をベースとしたコンテンツ共有が第一だとする理解に他ならない。

参考:マサダ マーケティング施策の実績を明示するSFMOMA

2012/05/10

登録博物館Webサイトが広告を掲載していることに拍手

名古屋市科学館のWebサイトで広告を掲載している。
それについて記事を書いたので、興味のある方はどうぞ。


それにしても、Twitterの「このツィートをサイトに埋め込む」を使うと日付がずれますね。

2012/05/01

博物館に未来はあるのか?

博物館は、総合、科学、歴史、美術、野外博物館、動物園、植物園、動植物園、水族館と9つに分類されており、加えて博物館法により、登録博物館、博物館相当施設、博物館類似施設の3つに分かれているということをご存知ですか。

平成20年度には全国で5,775館の博物館があり、平成8年と比べると1,268館、28%も増えている。

入館者数は19年度間に2億7987万人となっているが、平成7年度間は2億8600万人だったので613万人、2.1%も減っている。

博物館数が増えているのに入館者数が減っていることをご存知ですか。


マサダで「博物館に未来はあるのか?」という刺激的な記事を書いたのでご興味のある方はどうぞ。

Source:マサダ 博物館に未来はあるのか?

2012/04/25

テート美術館のソーシャルメディア・コミュニケーション戦略

英国のテート美術館には、「ソーシャルメディア・コミュニケーション戦略」というものがある。


現状認識、ゴール、参加している既存ソーシャルメディアスペース(Facebook、Twitter、YouTube、MySpace)、活動の概要、効果計測、ソーシャルメディア運用グループといった項目が取上げられている。

モノやサービスの売り買いとは無縁な、美術館という組織が大変革している現状認識を踏まえ、12ものゴールを設定している。そのいの一番にくるのは、
文化面での世界最先端のソーシャルメディアプラットフォームになる。
という宣言だ。

このテート美術館の現状認識とソーシャルメディアへの取り組みを見ると、B2Cであれ、B2Bであれ、日本企業ははるかかなた遠くに置き去りにされている感がある。一読されることを推奨する。

Source:Tate Social Media Communication Strategy 2011-2012

別のBlogで、もう少し詳しく書いているので、宜しければそちらも。

Source:マサダ テート美術館のソーシャルメディア・コミュニケーション戦略

2012/03/05

Facebookにおけるトヨタとフォードファンのリアクション率の違いは4%、それとも4万倍?

 昨年8月、「Toyota Rejects Communications with Users on Facebook」という記事を書いた。

参考:Toyota Rejects Communications with Users on Facebook (Online Ad 2011/8/3)

その後、トヨタとフォードの差はどうなっているか興味がわいたので見てみた。

トヨタの方はその後、昨年8月時点の3万人が約13万人にまでファンが増えている。
一方、フォードの方はどうかというと約78万人だったものが133万人を越えている。
ま、増えた絶対数や、増加率にはあまり興味がないが、2社ともにファン数を順調に増やしているようだ。

興味があるのは下図だ。2月28日までの1週間において、「話題にしている人(いいね!をクリックしたり、コメントしたり、共有した人)」は、トヨタが1,865人、フォードのそれは72,333人だ。

トヨタは、ここ1週間で20件ほどの投稿を行い、それに対して1,865人が何らかのフィードバックを行ったり、リアクションを起こしたということだ。フォードは11件投稿し、ファンやその他のユーザが70件以上投稿した結果、72,333人がリアクションを起こしたわけだ。

さて、この「話題にしている人」を「ページのファン数」で割った数をフィードバック率、あるいはリアクション率とすると、トヨタのリアクション率は1.4%となり、フォードのそれは5.4%となる。

この1.4%と5.4%の差が、トヨタとフォードのソーシャルメディア対応の差だろう。それは、たったの「4%」かもしれないし、「4万倍」かもしれない。

「Facebookページを立ち上げてまだ1年未満、メーカーと一般消費者、ユーザが直接、つながると期待された(?)だけに熱狂がまだ冷めやらぬトヨタの投稿に対して数多くのファンやユーザが反応している」とするには無理がある。

なぜなら、フォードやその他大勢のメーカーが運用するページとは違い、トヨタのFacebookページ、ウォールにはファンになってもユーザが自由に書き込めないのだから。管理されたスペースの中でしかリアクションを起こすことしかできないのだから。

Facebookを活用するに際して、基本的にユーザのスペースに参加し、アクティブサポートを実践し、いかにユーザの声を拾うかに注力している企業がいるかと思えば、ユーザスペースに参加するのではなく自分のスペースの周りに高い塀を築き、その中でふた昔前の回覧板を回してハンコをもらうだけの企業もいる。この努力に対して一般消費者やユーザはリアクションを起こすことになる。

 この評価の差を、企業側から見ればたったの「4%」かもしれないが、一般消費者・ユーザ側から見ると「4万倍」程度には広がっているのではないだろうか? 当方の誤解であれば良いのだが...?