2月19、20日と台北で四大陸フィギュアスケート選手権大会が開催されていた。その模様はYouTubeなどで見ることができる。
その会場に面白い広告が掲載されていた。下の赤枠の看板だが、どこの看板か分かる方はいますか?
アコム、Citizen、タケモトピアノ、Olympus、東京エレクトロン、Guinot、Mary Cohr、Cellier des Dauphins、Asienceなどに交じって出稿されていた広告だ。ただし、如何せん、ロゴがどれなのかも分からず、あまりにも細かな文字、ポイントで表記されているため選手がリンクを動き回る一瞬の間に読み取ることなどできないサイズの看板だった。
その広告主、内容を理解できたとしたら、あなたはVJ、あるいは観光庁関係者ということになるだろう。なぜなら、その広告はVisit Japanだったからだ。
アコムなど日本国内のTV視聴者向けの広告をやっていた企業とは違い、VJの看板であれば台湾の人々を対象としたものだろう。台湾でTV放送されていたのかは知らないが、されていなかったとすると入場者だけが訴求対象だったということになる。
会場の大半は日本からのツアー参加者と見られる中、どのくらいの人数が台湾の人々だったのだろう。そして、その中の何人がVJのキャプション(Japan. Endless Discovery)や、URLを認知したのだろう?そして、その何人がURLにアクセスしたり、検索したのだろう?
いや、きっと今週中には代理店から入場者数、台湾人の入場者数、検索・アクセス増加数などが報告されるのだろうが...、どう考えても腑に落ちない。
効果がまるでないとは言わないが、Japan Tourism Agency、Japan. Endless Discovery、そしてURLという3要素を無理やり詰め込んだとしか見られない看板から、どんな効果を期待していたのか、そして、その結果はどうなのかと頭をひねるしかない。
それこそ、「(Search) Visit Japan」の2(3)文字看板の方がずっと認知率はあがったはずだ。
こうやって税金が無駄遣いされていくことを目し、Visit Japanサイトにある空白や画像なしのコンテンツを見ると情けなくなる。
そして、ページ末尾にAddThisボタンがあるのを見るとたまらない。一般のBloggerやSOHO、中小零細企業ならいざ知らず、国を代表して観光行政を執り行う観光庁のWebサイトにAddThisボタンをつけるのは恥ずかしい。AddThisやShareThisがサービスを開始した当初はメディアサイトでもそのままサービスを活用していたが、今、そんなサイトは少数派だ。大半は自前で共有ボタンを装備している。そのくらいは観光庁のWebサイトでもしてほしい。
2011/02/22
2011/02/14
Visit Japan 2011
ちょっと古い話だが、昨年の5月17日、前原大臣、中原政策官、長谷川座長と5分野の取りまとめ委員が参加して、第13回国土交通省成長戦略会議が開催された。「観光立国日本」にむけてのペーパーも上っている。
Source:第13回国土交通省成長戦略会議について
Source:国土交通省成長戦略(観光分野報告書) (pdf)
他にも色々とペーパーが上っているが、平成19年にまとめられた「観光立国推進基本計画」であれ、昨年の「国土交通省成長戦略(観光分野報告書)」であれ、全くと言っていいほど欠けているものがある。
Source:観光立国推進基本計画 (pdf)
それは、日本を訪問してほしい外国人観光客の姿、現状が全く語られていないことだ。
「国土交通省成長戦略(観光分野報告書)」の8ページめに「2. メディア戦略」がある。
こういったツールを活用して訴求しようとする日本を訪問してもらう外国人旅行者の現状や行動に対する考察はない。彼らが使うメディア、スペース、サイトを調査すべきとは一言もない。Visit Japanのポータルサイトへのアクセスユーザに対して、サイト・コンテンツ評価やフィードバックを聴くビジター調査も言及されていない。細部に入り過ぎるかもしれないが、どのようなコンテンツを発信し、日々更新すべきコンテンツをどうやって収集、取材、制作するのか、会話の糸口をどう切り開き、どうつなげてゆくのかなどもない。
上のようなメディア戦略、すなわち、既存のコミュニケーションをオンライン化、ソーシャル化するだけの検討、ツールの検討では全く前に進めない。にもかかわらず...。
さて、1月26日、2010年 12月推計値 10年10月暫定値というリリースが出ている。それによると、
Source:日本政府観光局(JNTO) 統計報道発表資料 2010年 12月推計値 10年10月暫定値 (pdf)
リーマンショックからなんとか回復してきたようだ。ただ、日本の観光政策の目玉であった「2010年までに訪日外国人旅行者数を1000万人にする」という目標には届いていない。その未達に関するリリースはない(と思う)。もし、どこかにあるのならご連絡ください。
中国人への個人ビザ発給という埋蔵金を掘り出し、切り札を抜いたにもかかわらず、目標未達。そして、最初の目標が未達にも関らず2013年までに訪日外国人旅行者数を1,500万人、2020年初めまでに2,500万人、将来的に3,000万人を目指すという2010年6月18日の閣議決定は変わらないのだろう。
ま、未達でも責任を取る人間は何処にもいないのだから、閣議決定を変える必要もないわけだ。
さて、CMO Councilのレポートに「Marketing Ecosystem Effectiveness」がある。その中に、Visit Londonのケーススタディがある。2011年に予定されるロイヤルウェディング、2012年の夏のオリンピック開催に向けてVisit LondonのWebサイトへのアクセスを今の10倍にするためのソリューションが取上げられている。今のレベルはどれくらいかと言うと、年間で1.2億ページビューだそうだ。
Source:CMO Council / Unify to Multiply: Marketing Ecosystem Effectiveness (要登録)
月1,000万PVを10倍し、年間12億PVを目標とするVisitLondonと、1,000万人未達に終わったVisitJapanのWebサイトをのぞいて見ると下のようになっている。
競合として、比較するには差があり過ぎるのだが、VisitLondonのWebサイトと何が違うかというと;
まずユーザ登録がある。登録すると、e-newsletterが来るし、いろいろな優待券やマップやガイドもタダで手に入る。
さて、VisitLondonとVisitJapanのWebトラフィックをGoogle Trendsで見ると以下の通り。VisitJapanのトラフィックは横軸に重なっている。
Alexaで見てもこんな感じだ。こちらは横軸よりもちょっと上に顔をのぞかせている。
世界中のインターネットユーザ、潜在的な訪英観光客の行動、利用サイト、ツール、サービスを理解し、必要な機能・ツールを装備したWebサイトを運営し、各ソーシャルメディアスペースで相応の会話を行い、これほどのWebトラフィックを獲得し、競合としてお手本にすべきVisit Londonの戦略、施策、活用システムの調査やフィードバックを一体、何処が、どのようにしているのだろう?本当に知りたい、一人の納税者としても、一人のマーケターとしても。
昨年8月、AviationWeekのBlogがDeltaについて書いている。中でDeltaの予約、販売、顧客対応のVPであるAllison Ausbandのコメントがある。
Source:AviationWeek Blog / Step Into Delta Air Lines' Social Media Lab
こういった理解、顧客が生活するスペースを分かっていれば何をすべきか見えてくる。しかし、顧客を知ろうともしないのでは、誰もいない荒野に大声を張り上げているだけだ。予算を垂れ流しているだけだ。
少なくとも各種調査に予算を支出すべきだと思うが、いかがだろうか?
Source:第13回国土交通省成長戦略会議について
Source:国土交通省成長戦略(観光分野報告書) (pdf)
他にも色々とペーパーが上っているが、平成19年にまとめられた「観光立国推進基本計画」であれ、昨年の「国土交通省成長戦略(観光分野報告書)」であれ、全くと言っていいほど欠けているものがある。
Source:観光立国推進基本計画 (pdf)
それは、日本を訪問してほしい外国人観光客の姿、現状が全く語られていないことだ。
「国土交通省成長戦略(観光分野報告書)」の8ページめに「2. メディア戦略」がある。
2-1.新しいメディアを活用した海外プロモーションと、ツールの話ばかりだ。プロモーションと言うOne wayの話ばかりであって、Two wayの話やそれを如何に育成するか、如何につなげ、拡散するかという話はない。
1)現状の課題・問題点
・海外プロモーションにおいて、ブログ、ツイッター等の新しいメディアが十分に活用されていない
2)課題に対応した政策案
②有力ブロガー等、いわゆるソーシャルメディアを活用した情報発信の手法を海外プロモーションに活用できるかについて調査・検証する。外部専門家の意見を踏まえた広報の充実、ソーシャルメディアの活用を見据えた訪日外国人旅行者に対するアンケート調査の実施等、費用対効果の高い新しい広報戦略を構築する。
[クリアすべき問題点]
・有力ブロガー等を活用した情報発信の手法については、非制御性等のサイバーメディアの特性を考慮した慎重な検討が必要である。
こういったツールを活用して訴求しようとする日本を訪問してもらう外国人旅行者の現状や行動に対する考察はない。彼らが使うメディア、スペース、サイトを調査すべきとは一言もない。Visit Japanのポータルサイトへのアクセスユーザに対して、サイト・コンテンツ評価やフィードバックを聴くビジター調査も言及されていない。細部に入り過ぎるかもしれないが、どのようなコンテンツを発信し、日々更新すべきコンテンツをどうやって収集、取材、制作するのか、会話の糸口をどう切り開き、どうつなげてゆくのかなどもない。
上のようなメディア戦略、すなわち、既存のコミュニケーションをオンライン化、ソーシャル化するだけの検討、ツールの検討では全く前に進めない。にもかかわらず...。
さて、1月26日、2010年 12月推計値 10年10月暫定値というリリースが出ている。それによると、
訪日外客数、過去最高の861万2千人とある。
中国、タイ、シンガポール、フランス、マレーシア人訪日客は過去最高
2010年の訪日外客数は、これまで過去最高であった835万1千人(2008年)を 26万1千人上回り、前年比26.8%増の861万2千人となった。
Source:日本政府観光局(JNTO) 統計報道発表資料 2010年 12月推計値 10年10月暫定値 (pdf)
リーマンショックからなんとか回復してきたようだ。ただ、日本の観光政策の目玉であった「2010年までに訪日外国人旅行者数を1000万人にする」という目標には届いていない。その未達に関するリリースはない(と思う)。もし、どこかにあるのならご連絡ください。
中国人への個人ビザ発給という埋蔵金を掘り出し、切り札を抜いたにもかかわらず、目標未達。そして、最初の目標が未達にも関らず2013年までに訪日外国人旅行者数を1,500万人、2020年初めまでに2,500万人、将来的に3,000万人を目指すという2010年6月18日の閣議決定は変わらないのだろう。
ま、未達でも責任を取る人間は何処にもいないのだから、閣議決定を変える必要もないわけだ。
さて、CMO Councilのレポートに「Marketing Ecosystem Effectiveness」がある。その中に、Visit Londonのケーススタディがある。2011年に予定されるロイヤルウェディング、2012年の夏のオリンピック開催に向けてVisit LondonのWebサイトへのアクセスを今の10倍にするためのソリューションが取上げられている。今のレベルはどれくらいかと言うと、年間で1.2億ページビューだそうだ。
Source:CMO Council / Unify to Multiply: Marketing Ecosystem Effectiveness (要登録)
月1,000万PVを10倍し、年間12億PVを目標とするVisitLondonと、1,000万人未達に終わったVisitJapanのWebサイトをのぞいて見ると下のようになっている。
競合として、比較するには差があり過ぎるのだが、VisitLondonのWebサイトと何が違うかというと;
まずユーザ登録がある。登録すると、e-newsletterが来るし、いろいろな優待券やマップやガイドもタダで手に入る。
- Email Newsletters - Sign up and be the first to know about all the latest happenings in London
- Special Offers - get more out of London for less
- Competitions - try your luck in one of our many competitions
- Maps - Download a map and start Exploring London
- Guides - Get more with your Eat, Shop and Visit Guides
- Webコンテンツの翻訳
- Webコンテンツの共有
- RSSフィード
- Flickr
- YouTube
さて、VisitLondonとVisitJapanのWebトラフィックをGoogle Trendsで見ると以下の通り。VisitJapanのトラフィックは横軸に重なっている。
Alexaで見てもこんな感じだ。こちらは横軸よりもちょっと上に顔をのぞかせている。
世界中のインターネットユーザ、潜在的な訪英観光客の行動、利用サイト、ツール、サービスを理解し、必要な機能・ツールを装備したWebサイトを運営し、各ソーシャルメディアスペースで相応の会話を行い、これほどのWebトラフィックを獲得し、競合としてお手本にすべきVisit Londonの戦略、施策、活用システムの調査やフィードバックを一体、何処が、どのようにしているのだろう?本当に知りたい、一人の納税者としても、一人のマーケターとしても。
昨年8月、AviationWeekのBlogがDeltaについて書いている。中でDeltaの予約、販売、顧客対応のVPであるAllison Ausbandのコメントがある。
Delta decided to take the plunge into social media because that's the way the world is going, says Ausband. "People are now living off their mobile phones, which allows them to vent when need to vent anytime. Clearly, knew we needed to be in the space," she observes. "We didn’t want to be left behind, because it's the way the world is going."「人々や世界が向かっているのがソーシャルメディアだ」という理解があり、ソーシャルメディアラボを立ち上げたそうだ。
Source:AviationWeek Blog / Step Into Delta Air Lines' Social Media Lab
こういった理解、顧客が生活するスペースを分かっていれば何をすべきか見えてくる。しかし、顧客を知ろうともしないのでは、誰もいない荒野に大声を張り上げているだけだ。予算を垂れ流しているだけだ。
少なくとも各種調査に予算を支出すべきだと思うが、いかがだろうか?
ラベル:
Social Media Marketing,
Travel
2011/02/10
Insights from Samsung and Toyota
ForbesのBlog、MarketShareにSamsungのオンラインマーケティングのシニアマネージャ、Louis Giagrandeのインタビュー記事が載っている。
「昨年のマーケティング活動から得られたインサイトは?それを今年のキャンペーンにどのように活かしてゆくのか?」
--2010年、消費者は3DTVを気に入っているのは分かったが、今年、それがTV購買の主要なテコにはならない。それもあるが、消費者はTVアプリ・プラットフォームを高く評価している。
--また、消費者が持っている3DTVやスマートTVに対する誤解を解くためのデジタルマーケティングを準備している。
「今年、力を入れるのは?」
--競合に真似されるので詳細は話せないが、ひとつ言えることは、すでに販売された数百万台のスマートTVベースがある。これはCRMプログラムやFacebookページとは違う形で我々がエンゲージできるオーディエンスということになる。新しいキャンペーンはロイヤルティプログラムとソーシャルメディアアクティベーションというエレメントを活用するものになる。
Source:Forbes MarketShare / How Samaung Makes Digital Marketing Work
今年、Samsungが何をやろうとしているかのヒントが見え隠れするコメント、記事だ。
ちょうど1年ほど前、「Social Media Power of Samsung & LGE Customers」で、2009年にSamsungとLGEが販売したTV、携帯電話の顧客数として4億人、2億人という乱暴な数字をあげて、末尾に、
参考:Social Media Power of Samsung & LGE Customers (Online Ad 2010/02/24)
さて、最後に、「ブランドがデジタルマーケティングを開始し、それを拡張するためのアドバイス」を訊ねられたLouis Giagrandeは、
そして、敢えて2番目に続けると、
最近、トヨタがソーシャルアプリアワード開催をマイクロサイト、Twitter、Facebookで告知していた。
Source:ITMedia News / トヨタがソーシャルアプリコンテスト「クルマのピンチを救って」
しかし、マイクロサイトからリンクされるFacebookのInfoタブには何も書き込まれていない。コンテンツがない。説明文書が存在していない。この空白ページを見るユーザは何を思うのだろう?
なお、下の画像は9日の午前中にとったものだ。再確認のつもりで17:45ごろアクセスしてみると、Basic Info、Detailed Info、Contact Detailsなどが表示される。
ウォールに2月3日、ユーザの書込みが1件だけあった。
こちらも9日の17:45ごろ、再確認した。同じままだった。いの一番のユーザ以外、管理者の書込みもない。どうやって会話するのだろう?どうやって会話をつなげ、広げてゆくのだろう?
ソーシャルアプリを募集して、「若年層の車への関心が低下しているという危機」をなんとかしようというキャンペーンなわけだが、若年層に伝えるメッセージのないFacebookページや、マイクロサイトの英語と中国語ページがまだ準備できていない処を見せつけられると、Louis Giagrandeの回答との大きなギャップに目まいがしてしまう。
「昨年のマーケティング活動から得られたインサイトは?それを今年のキャンペーンにどのように活かしてゆくのか?」
--2010年、消費者は3DTVを気に入っているのは分かったが、今年、それがTV購買の主要なテコにはならない。それもあるが、消費者はTVアプリ・プラットフォームを高く評価している。
--また、消費者が持っている3DTVやスマートTVに対する誤解を解くためのデジタルマーケティングを準備している。
「今年、力を入れるのは?」
--競合に真似されるので詳細は話せないが、ひとつ言えることは、すでに販売された数百万台のスマートTVベースがある。これはCRMプログラムやFacebookページとは違う形で我々がエンゲージできるオーディエンスということになる。新しいキャンペーンはロイヤルティプログラムとソーシャルメディアアクティベーションというエレメントを活用するものになる。
Source:Forbes MarketShare / How Samaung Makes Digital Marketing Work
今年、Samsungが何をやろうとしているかのヒントが見え隠れするコメント、記事だ。
ちょうど1年ほど前、「Social Media Power of Samsung & LGE Customers」で、2009年にSamsungとLGEが販売したTV、携帯電話の顧客数として4億人、2億人という乱暴な数字をあげて、末尾に、
これら既存顧客をブランドアンバサダーとして活動してもらうマーケティングを考えると夜も寝られない。と書いたが、やはり、Samsungの担当者は夜も眠らずにスマートTVの既存顧客を活用するマーケティングを考えていたようだ。
参考:Social Media Power of Samsung & LGE Customers (Online Ad 2010/02/24)
さて、最後に、「ブランドがデジタルマーケティングを開始し、それを拡張するためのアドバイス」を訊ねられたLouis Giagrandeは、
- 始めから鍵となる効果指標を設定する
全てを計測したいのは分かるが、改善するべき、集中するべき重要な指標をいくつか決定しておくべきだ。始めに達成すべき指標を決めておかなければ、雑多の数字の波にもまれてキャンペーンが成功だったのかどうか分からなくなってしまう。
- 顧客の声を聞き、必要であれば対応する準備をする
多くの企業がFacebookページで顧客との会話をリードしようとしてはいるが、難しい質問に迅速、最適なマナーで回答する準備をしていないのを見かける。
SamsungがカスタマーフォーラムをCNETで始めた時、社内の法務、PR、サービス、製品マーケティング、営業など多様な部署の協力を仰ぐことができるようにしていた。
2、3回昼飯や酒をおごる必要があるかもしれないが、単純に社内のプロセスを構築する以上のことが必要だ。ソーシャルキャンペーンを成功させるには、内部の関係性が必要なのだ。
そして、敢えて2番目に続けると、
- ツールではなく、キャンペーン開始後から発信するニュース、情報、コンテンツ
- それを収集、取材、制作、発信する管理者、体制
最近、トヨタがソーシャルアプリアワード開催をマイクロサイト、Twitter、Facebookで告知していた。
Source:ITMedia News / トヨタがソーシャルアプリコンテスト「クルマのピンチを救って」
しかし、マイクロサイトからリンクされるFacebookのInfoタブには何も書き込まれていない。コンテンツがない。説明文書が存在していない。この空白ページを見るユーザは何を思うのだろう?
なお、下の画像は9日の午前中にとったものだ。再確認のつもりで17:45ごろアクセスしてみると、Basic Info、Detailed Info、Contact Detailsなどが表示される。
ウォールに2月3日、ユーザの書込みが1件だけあった。
こちらも9日の17:45ごろ、再確認した。同じままだった。いの一番のユーザ以外、管理者の書込みもない。どうやって会話するのだろう?どうやって会話をつなげ、広げてゆくのだろう?
ソーシャルアプリを募集して、「若年層の車への関心が低下しているという危機」をなんとかしようというキャンペーンなわけだが、若年層に伝えるメッセージのないFacebookページや、マイクロサイトの英語と中国語ページがまだ準備できていない処を見せつけられると、Louis Giagrandeの回答との大きなギャップに目まいがしてしまう。
2011/02/07
Global Head of Digital Marketing and Social Media
Ad AgeによるとFMCGジャイアントのNestleが、NielsenとMcKinseyが共同出資しているNM InciteのCMOであるPete Blackshawをデジタルマーケティング+ソーシャルメディアのヘッドとして3月1日から迎えると伝えている。
今後、彼はMarketing & Consumer Communication部門長のTom Buday、そして、Corporate Communications部門長のRudolf Ramsauerの下で活動し、報告するそうだ。
Source:AdAge / Nestle Hires Pete Blackshaw as Global Digital Chief
Nestleと言えば昨年4月に取上げたGreenpeaceのキャンペーンが記憶に新しい。
参考:Greenpeace Campaign Against Nestle (Online Ad 2010/04/19)
株主総会に合わせて、会場周辺での実力行使、Email、Twitter、Facebook、YouTubeなどで行われていたパーム油の使用禁止キャンペーンにより、サプライチェーンの見直し、パーム油円卓会議への参加、果ては会長によるビデオ声明にまで追い込まれたNestleが、1年かけて出した答えがこれだ。
YouTubeにアップされたビデオの削除要請、Facebookのコメント削除警告など、火に油を注ぐ対応しかできなかったNestleが出した答えが、部門新設と彼だ。
それまでNestleに「Digital Marketing & Social Media」といった部門はなかったはずだ。新しい部門を立ち上げて、そのトップに昔PlanetFeedback.comをやっていたBlackshawを据えるわけだ。
既存のMarketing & Consumer Communication、Corporate Communicationsに数多あるであろう下部組織・部門では昨年のブランド危機に対処できないことが証明された。その後、Nestle社内で行われたのは、まず、新しいメディア=オンライン、ソーシャルメディアのパワー、波及力、拡散力の分析であり、1対Nとは真逆に近いP2Pといったコミュニケーションチャネルや信頼・共感・協力を増幅するチャネルの把握、そして既存レガシーメディアのOne Wayに対するTwo wayコミュニケーションとの対比、ソーシャルメディアを構成するP2Pの人間つながりを把握した上で、今後の見通しやあるべき対応・組織・リソースが議論されたことだろう。
その結果、部門新設が決定され、Blackshawが選ばれた。1年という長いようで短い期間にどれだけの時間が費やされたのだろう、マーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層で。
Nestleは、巨額の広告・マーケティング予算を支出し、どこにもでも顔を出すP&GやUnileverと比べると、あまり姿の見えないブランドだ。だから、まずGreenpeaceがパーム油で最初に標的にしたのもUnileverだった。Unileverは2009年にさっさと問題視されたSinar Masとの取引を中止したため、二の矢に選ばれたNestleが火だるまになってしまった。
この危機意識のなさはマーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層が火種なのだから。パラダイムシフトを理解、把握するブランドと、していなかったブランドの差は途方もなく深く、広い。また、火傷から学ぶブランドと、学ばないブランドの差はこれからも開いてゆく。担当部署ではなく、経営層の理解が不足し、危機意識のない場合はとくに。
ツール主導で先走りがちな担当部署を抑え、組織的な改革と外部からのリソース注入により風通しのよい横断組織、あるいは組織新設に至るまで、企業の根幹を変えるのは経営層、CEOでしかあり得ない。いくら担当部署を監督する役職者が理解を示していたとしても、CEOの理解、決断がなければ、その企業はこれからのビジネスに脆弱性がついて回る。理解を示す役職者がいても、彼がCEOを動かさなければ企業は何も変わらない。
特に、担当部署が実施するOne Wayコミュニケーションのオンライン化、ソーシャル化を目指すだけの施策を見るにつけてもそう感ぜざるを得ない。例えば、企業広報部、グローバルブランド管理部、広告宣伝部、コーポレートなんとかといった組織そのもの、あるいはその下部組織を、根幹から変革し、担当分野や上下関係を変え、名称もデジタルとか、インタラクティブとか、ソーシャルメディアへと変えるのはCEOしかいないと思うのだが...。
それとも、やはり、他山の石ではなく、Domino Pizza、UA、Nestleのように業績やブランド価値・評価が実際に傷つかない限り、学ばない、学べないものなのだろうか、中でも日本企業と、そのCEOは...?
参考:Open Letter to CEOs in Japan (Online Ad 2010/08/17)
今後、彼はMarketing & Consumer Communication部門長のTom Buday、そして、Corporate Communications部門長のRudolf Ramsauerの下で活動し、報告するそうだ。
Source:AdAge / Nestle Hires Pete Blackshaw as Global Digital Chief
Nestleと言えば昨年4月に取上げたGreenpeaceのキャンペーンが記憶に新しい。
参考:Greenpeace Campaign Against Nestle (Online Ad 2010/04/19)
株主総会に合わせて、会場周辺での実力行使、Email、Twitter、Facebook、YouTubeなどで行われていたパーム油の使用禁止キャンペーンにより、サプライチェーンの見直し、パーム油円卓会議への参加、果ては会長によるビデオ声明にまで追い込まれたNestleが、1年かけて出した答えがこれだ。
YouTubeにアップされたビデオの削除要請、Facebookのコメント削除警告など、火に油を注ぐ対応しかできなかったNestleが出した答えが、部門新設と彼だ。
それまでNestleに「Digital Marketing & Social Media」といった部門はなかったはずだ。新しい部門を立ち上げて、そのトップに昔PlanetFeedback.comをやっていたBlackshawを据えるわけだ。
既存のMarketing & Consumer Communication、Corporate Communicationsに数多あるであろう下部組織・部門では昨年のブランド危機に対処できないことが証明された。その後、Nestle社内で行われたのは、まず、新しいメディア=オンライン、ソーシャルメディアのパワー、波及力、拡散力の分析であり、1対Nとは真逆に近いP2Pといったコミュニケーションチャネルや信頼・共感・協力を増幅するチャネルの把握、そして既存レガシーメディアのOne Wayに対するTwo wayコミュニケーションとの対比、ソーシャルメディアを構成するP2Pの人間つながりを把握した上で、今後の見通しやあるべき対応・組織・リソースが議論されたことだろう。
その結果、部門新設が決定され、Blackshawが選ばれた。1年という長いようで短い期間にどれだけの時間が費やされたのだろう、マーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層で。
Nestleは、巨額の広告・マーケティング予算を支出し、どこにもでも顔を出すP&GやUnileverと比べると、あまり姿の見えないブランドだ。だから、まずGreenpeaceがパーム油で最初に標的にしたのもUnileverだった。Unileverは2009年にさっさと問題視されたSinar Masとの取引を中止したため、二の矢に選ばれたNestleが火だるまになってしまった。
この危機意識のなさはマーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層が火種なのだから。パラダイムシフトを理解、把握するブランドと、していなかったブランドの差は途方もなく深く、広い。また、火傷から学ぶブランドと、学ばないブランドの差はこれからも開いてゆく。担当部署ではなく、経営層の理解が不足し、危機意識のない場合はとくに。
ツール主導で先走りがちな担当部署を抑え、組織的な改革と外部からのリソース注入により風通しのよい横断組織、あるいは組織新設に至るまで、企業の根幹を変えるのは経営層、CEOでしかあり得ない。いくら担当部署を監督する役職者が理解を示していたとしても、CEOの理解、決断がなければ、その企業はこれからのビジネスに脆弱性がついて回る。理解を示す役職者がいても、彼がCEOを動かさなければ企業は何も変わらない。
特に、担当部署が実施するOne Wayコミュニケーションのオンライン化、ソーシャル化を目指すだけの施策を見るにつけてもそう感ぜざるを得ない。例えば、企業広報部、グローバルブランド管理部、広告宣伝部、コーポレートなんとかといった組織そのもの、あるいはその下部組織を、根幹から変革し、担当分野や上下関係を変え、名称もデジタルとか、インタラクティブとか、ソーシャルメディアへと変えるのはCEOしかいないと思うのだが...。
それとも、やはり、他山の石ではなく、Domino Pizza、UA、Nestleのように業績やブランド価値・評価が実際に傷つかない限り、学ばない、学べないものなのだろうか、中でも日本企業と、そのCEOは...?
参考:Open Letter to CEOs in Japan (Online Ad 2010/08/17)
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