2011/09/22

Mindset of Overseas Marketing Group Director at Kia Motors

8月に「Toyota rejects communications with users on Facebook」を書いた。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2010/08/03)

記事をPDF化し、ScribdとSlideShareにアップしておいたところ、SlideShareからファイルをダウンロードした中に、Kia Motorsの海外マーケティング部長、Soon Nam Leeさんがいた。
一般社員や海外マーケティング部の人がダウンロードするならともかく、Kia Motorsの海外向けマーケティングを統括する責任者本人が、日本のちんけなBlogに上がっていたプレゼン資料をわざわざダウンロードするというのにはちょっと驚いた。

記憶に残っている限りでは確か、何回か韓国からのアクセスがあり、その中にKiaからのものもあったはずだ。だが、それがSlideShareのダウンロードにつながっているとは思ってもいなかった。特に、タイトルだけは英語だが、本文は日本語の資料を海外からダウンロードするとは思ってもいなかった。そして、海外では当然だが、日本ではまれな実名でのダウンロードにも驚かされた。

ま、「ほんの少しでもKiaのソーシャルメディアマーケティング戦略の参考になればうれしい」と書きたい処だが、そうはならない。

Kia MotorsのFacebookページやTwitterアカウントを見れば、PDF資料から何も学ぶことはないのが明らかだ。

逆に、日本企業が学ぶことが多い。

例えば、KiaのFacebookページのInfoタブには、
まず、
Welcome to the Kia Motors global Facebook fan page! This page is run by Kia Motors Corporation in Seoul.
とある。

韓国、ソウルのKia Motors本社がグローバルなFacebookファンページを運営していると宣言している。

当然、グローバルファンページのタブには、WorldWideがあって、世界各国へのリンクも用意している。
昔、Volkswagen InternationalのFacebookページについて書いたことがある。曰く、
さて、6月12日にVolkswagen InternationalはFacebookにファンページを開設した。これは2011 Polo GTIキャンペーンの核を成すもので唯一のものだ。すなわち、Facebookファンページだけで2011年モデルのキャンペーンをやるそうだ。そして、 このファンページの言語は英語だ。Volkswagenのブランド体験を全世界のユーザと共有するため、「公式言語は英語」だと宣言している。
参考:Japanese Brands Endangered (Online Ad 2009/06/21)

VolkswagenのFacebook活用法とはちょっと違うが、Kiaは「公式言語」宣言を省き、各国語でのWall投稿を受け付け、世界各国のWebサイトへリンクを提供している。少なくともFacebookをグローバルポータルとして活用するVolkswagenと同じマインドが備わっているし、当然なP2Pマーケティングチャネルとして活用している。

今後、予想されるFordページのように苦情屋、クレーマーが書き込んできた時の対処、ロイヤルカスタマーの対応はこれからだが、多分、それくらいの体制は整えているだろう。

さて、Info/Missionの最後に
This Facebook page is not the channel to communicate grievances but we still want to help, so please let us know through the link(s) above.
とだけある。

Info/AboutからMissionまでに記述されているものは、日本企業のFacebookページに増えてきている「(コミュニティ)ガイドライン」といったものはでなく、もちろん自社スペースを開放するから参加しろといったスタンスでもなく、顧客のスペースに参加させてもらう企業のマインドが伝わってくる。誰のためのスペースかを理解していることが分かる。

彼我の差は大きいなと感じる。

そして、四方八方に目を配り、アンテナに引っかかったものは自ら手を伸ばし、収集する。当然、ゴミ芥の類の方が多いにもかかわらず、とに角手にとって見るというスタンスは日本ではあまりにもまれだと感じざるを得ない。この意味で、全世界のマーケティングを担当する責任者のマインドの差は途方もなく大きいと感じる。

2011/09/13

Sharp has same community guide line as Toyota

先月の記事、Toyota rejects communications with users on Facebookに関してのtweetに、「そう言えば、Sharp-jpもSharpGalapagosも「フォローしている」はゼロ。」というものがあった。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2011/08/03)

そこで確認してみると、その通り、フォロー数はいずれのアカウントも「0」だった。

そして、各アカウントには以下のような説明がされている。
曰く、「ご質問・お問合わせは本アカウントではお答えできかねますので、ご了承願います」。
 曰く、「※Twitter上で頂きますご意見はすべて拝読させて頂いております。しかしながら、現状は個別での回答を控えさせていただきますのでご了承ください」とある。

シャープにはもうひとつ広報室のTwitterアカウントがある。ここは、「シャープに関するニュースをマスコミ、アナリスト向けにお届けします」というアカウントだが、ここもフォローは「0」だ。
これら3つのTwitterアカウントは、すべてがRT「0」、リプライ「0」という現状だ。

まったく、いままでのコミュニケーションをデジタル化しただけ、Twitterというチャネルを使って、色あせ、消費者・ユーザの耳に届かないメッセージをメガフォンマーケティングよろしくやっているだけだ。Twitterは、オープン、対等、双方向のコミュニケーションを行うためのチャネルだという理解が見られない。Twitterという組織横断的な対応、発信が必要なチャネルを使って、今まで同様に、企業・ブランドに都合の良い縦割り組織からの発信を行っている。


次に驚いたのは、Sharp_jpアカウントからリンクがはられている「ソーシャルメディア 公式アカウント」ページにある「コミュニティ・ガイドライン」だ。

ご丁寧にもFacebookページとTwitterアカウント別々にそれがある。トヨタのFacebookページにあった「コミュニティ・ガイドライン」とほぼ同じ体裁で、禁止事項、準拠法・裁判管轄について述べている。

Source:シャープ株式会社 公式Facebookページ コミュニティ・ガイドライン
Source:シャープ株式会社 公式Twitterアカウント コミュニティ・ガイドライン

当然、シャープのFacebookページには、トヨタと同様に「コミュニティ・ガイドライン」がある。
シャープは6月からFacebookの運用を開始しているようなので、まさか、トヨタのFacebook対応をコピーキャットしたわけでもないだろうが、「like」をクリックしてもユーザ独自の書込み、投稿がwallにできない処を見ると、トヨタとシャープのソーシャルメディア戦略を同じコンサルティング会社、あるいは広告代理店、広報エージェンシーが担っているのではないかとさえ思えてくる。

一方、シャープUSAが運営しているFacebookのAQUOSページに「コミュニティ・ガイドライン」なんてものはないし、@Sharp_USAがフォローしているのは1,600人以上いるし、RT6.58%、リプライ21.16%だ。ここもトヨタとトヨタUSAのパターンと同じだ。

それにしても、ここまで似通った対応を見せつけられると本当に不安になる。

シャープのインドネシアもFacebookページを運営している。28,703人のファンを持つSharpAQUOSのちょうど半分ぐらい、14,429人のファンを抱えている。SharpAQUOS同様に、ユーザ投稿も可能だし、ユーザの投稿に対してシャープからのコメントもある。もちろん、「コミュニティ・ガイドライン」はない。
どうして、USAやインドネシアに教えを請わないのだろう?
担当者をUSAやインドネシアに派遣したり、現地の担当者に本社へ出向いてもらわないのだろう?
なぜ、一足飛びに「コミュニティ・ガイドライン」へ行ってしまうのだろう?
ソーシャルメディアスペースの住人はすべて放火魔だとでも思っているのだろうか?

トヨタ本社のFacebookにおけるユーザ投稿禁止やコミュニティ・ガイドライン、TwitterのRTやリプライに関しては前回書いたので繰り返さないが、

どうして消費者・ユーザを信頼しないのだろう?
なぜ、消費者・ユーザの声を聞かないのだろう?
どうして「裸の王様」になりたがるのだろう?
なぜ、社内のリソース、特にアーリーアダプターの知見を活かさないのだろう?

「どうして?」と「なぜ?」がいくつも重なってゆくこの現状をシャープやトヨタのユーザのみなさんはどう思われますか?
シャープやトヨタのFacebookページやTwitterアカウントはこのままで良いとお考えですか?

みなさんのコメント、Tweetをお待ちします。