2012/08/31

トヨタ(・日産)のFacebook取り組みはおかしい

8月31日、トヨタ自動車のFacebookページに対して、いいね!をクリックしているのは131,715人、話題にしている人は7,647人(過去7日間の平均)だ。下図の7月31日~8月6日の間で8,517人が話題にしているのがピークになっている。
同様に日産自動車のページに対して、いいね!をクリックしているのは110,741人、話題にしている人は22,823人(同)だ。下図の8月22日~8月28日の間で23,148人が話題にしたのがピークになっている。
残念なことにどちらもファンになろうが、なるまいがページウォールにユーザが自由に書き込むことはできない。ページの書込みに対して、いいね!、コメント、シェアするだけだ。

ここら辺は参考を参照していただきたい。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2011/08/03)

一方、フォードのほうはどうかと言うと、ページに対していいね!をクリックしているのは160万人以上、話題にしている人は18,064人(同)だ。下図の8月8日~8月14日の間で426,699人が話題にしたのがピークになっている。
トヨタ、日産、フォードの大きな違いは何かと言うと、ページウォールにユーザが自由に書き込めるか、書き込めないかだ。

そして、8月のアクティビティを見てみる。

トヨタのページに対して新規にいいね!をクリックしたのは1,551人、ページの書込みに対していいね!、コメント、シェアしたのは16,112人。
日産のページに対して新規にいいね!をクリックしたのは21,312人、ページの書込みに対していいね!、コメント、シェアしたのは51,298人。
フォードのページに対して新規にいいね!をクリックしたのは26,571人、ページやファン・ユーザの書込みに対していいね!、コメント、シェアしたのは535千人。
どうやらトヨタのページにいいね!を新規にクリックする人は少なく、今月話題にしている人も少ない。そして、トヨタと日産の10倍以上ものエンゲージメントがフォードのページでは行われている。

当然だろう。メーカーのきれいきれいなメッセージよりも、自分と同じ目線のユーザのメッセージにいいね!、コメント、シェアするほうがレスポンスが期待できるし、共感できる。法務や各部署の承認をもらった杓子定規の言葉より、話がつながるし、広がる気がする。だからフォードをテーマとしたいいね!、コメント、シェアによるエンゲージメントが充実している。

Facebookユーザが企業・団体のページに対していいね!したり、書込みに対していいね!、コメント、シェアすると、ユーザのタイムラインに表示される。ユーザの友人達がタイムラインにアクセスしてメッセージやコンテンツが露出され、共有される可能性を広げることになる。

そのためフォードと言わず、ほとんどの企業・団体はウォールをファンや一般ユーザに開放して、書込みを促している。彼ら自身のメッセージ、コンテンツを書き込んでもらい、そこから友人ネットワークに共有してもらおうとしている。

なぜなら、企業・団体のメッセージ、コンテンツをうのみにするナイーブなユーザはあまりいないからだ。このご時世、ちょっと検索すればネガティブメッセージは雨後のタケノコのように出てくるし、購買プロセスにいるユーザは各種比較サイト、レビューサイトを参考にして最終決定している。購買予定製品・サービスを使っている知人や友人がいれば、あるいは外国のユーザであったとしてもアドバイスをもらうことなどお茶の子さいさいだ。言われたことをそのまま信じるのではなく、信頼できるアドバイザー、オピニョンリーダーの声を聞くのが常道だ。

それを理解すればフォードや他社のようにウォールを開放すべきだ。自社製品に関するメッセージ、評価や独自コンテンツを書き込んでもらい、ブランドの露出を図り、ポジ・ネガ評価、使い方のコツ、サポートなど各種の情報を開示するスタンスを示す必要がある。改善すべき点があれば指摘してもらう必要がある。

しかし、ページの炎上を恐れるあまりウォールをユーザに開放していない企業が後を絶たない。

こちらの言いたいことを知らせるためだけのチャネルとしてしかソーシャルメディアを使うつもりがないのであれば止めた方がいい。一方通行のコミュニケーションがやりたいのであれば、せっせとメルマガ読者を増やしたほうが「マシ」だ。

昨日同様に、「いずれにしても1年経っても、トヨタ(・日産)のFacebook取り組みはおかしい」と言わざるを得ない。

2 件のコメント:

Mademoiselle Y さんのコメント...

たしかに、フォードは日産やトヨタに比べ、ユーザーとの対話を重視していることがうかがえます。
一例として、欧州フォードのメディアサイトhttp://www.fordmedia.eu/
を挙げてみたいのですが、欧州各国の現地法人のツイッターが全部見られるようになっています。欧州フォードより英フォードの方がツイート数・フォロー数・フォロワー数の全てで勝っているなど(これは笑えてしまいましたが)、取り組みの度合いが国によって大きく異なることが欧州フォードのトップのみならず、ユーザーにもすぐに分かってしまいます。
こうした取り組みは、当然のことながら各国で頑張るフォード法人に刺激を与え、いい意味で競い合うようになる方法ではないかと思います。
日本の企業でも、こうした取り組みがあればよいのですが。

笠井孝誌 さんのコメント...

マインドセットが切り替わるには時間がかかりますし、組織内で相当な紆余曲折があるでしょうね。

それはそうと独、仏、伊のFB、Twitter普及は進んでますか?