2011/10/12

Lady Is A Tramp

85歳のTony BennettがLady Gagaとデュエットしているビデオがあがっている。
 
Tony Bennettといえば1989年、五反田のゆうぽーと簡易保険ホールのコンサートに行ったことを思い出した。63歳か64歳の時なので、まだまだ脂の乗り切った彼の歌唱に圧倒されたことを覚えている。それから20年以上たって聴いてみても、Sinatraの晩年と比べても、Bennett はよく歌えている。そして、Lady Gagaのまともな歌唱に惹かれた。

「Lady Is A Tramp」を含め「One for my baby」や「It had to be you」などを収めた「Duet II」というアルバムは発売直後からBillboard 200のトップに登場し、すでにこのビデオはYouTubeで420万回以上視聴されているが、それよりも注目すべきは共有回数だ。
  • 10月8日 
    628,223回(Facebook 612,522回、Twitter 15,402回、Blog 299回)
  • 10月9日 
    652,406回(Facebook 636,315回、Twitter 15,777回、Blog 314回)
  • 10月10日
    678,020回(Facebook 661,562回、Twitter 16,101回、Blog 357回)
  • 10月11日
    701,622回(Facebook 684,842回、Twitter 16,384回、Blog 396回)
Source:Viral Video Chart / Tony Bennett & Lady Gaga - The Lady Is A Tramp

日本でも新聞等に「Toney Bennett Duets II」として広告が出ていたから米国内でも大量のレガシーメディア露出があったはずだ。それらに加え、Blog、Twitter、Facebookで合計70万回以上も共有されているが、特にFacebookだ。Twitterの40倍は共有されている。

どこまで同期しているのか知らないが、BennettのFacebookページのMusic Videoセクションにある「Lady Is A Tramp」の視聴回数は4,087,303回、同じ時間にYouTubeでは4,209,331回となっている。この408万回が「もし」、Facebookページ内での視聴回数を示すとすればYouTube単独で視聴されたのは12万回強でしかない。97%以上がFacebook内で視聴されていることになる。これは途方もないと言わざるを得ない。
Source:Facebook / Tony Bennett Music Video

Toney BennettのFacebookページのファンは10万人ちょっとしかいないので、その10万人がビデオを視聴して共有し、彼らの友人の合計68万人がビデオを共有し、合計420万回以上ビデオが視聴されたと考えることもできそうだ。この途方もない露出・訴求力をFacebookは持っていることになる。

CTRが小数点以下に沈み、emailであれ、電話、DMやFaxであれ、期待される露出や共有、口コミがままならない昨今にも関らず、Facebookは魔法の杖を持っているかのようだ。

ま、大きな「もし」が付いた単なる掛け算と割り算だし、また、旬の有名どころを引っ張ってきてデュエットするという2006年の企画の焼き直しという商魂の逞しさの裏には、Bennett だけでは客を呼べないという現実も透けているため、この共有、訴求の大元はLady Gagaのブランド・露出力に帰すべき現象だろう。

しかし、言えることは共有を期待されるコンテンツがユーザに刺さる時、FacebookはTwitterさえ霞んでしまうほどの威力を発揮するということだ。

そして、10万人強にしか過ぎないページファンであったとしても、「興味を惹く、面白い」コンテンツがあれば、その外縁に連なる友人達の輪を引きこむことができるということだ。

参考:Online Ad / Why people follow brands (2011/07/24)

ただし、この「興味を惹く、面白い」コンテンツとは、新製品発表のプレスリリースでもイベントの紹介でも、どこそこで「なんとか運動」をやっていることでも、こんなCSR活動をやっているということでもない。

ユーザが求めている「興味を惹く、面白い」コンテンツとは、Facebookページだけ、ファンだけにしか提供されない企業・ブランドのオリジナルコンテンツだ。あるいはファンがページに投稿するコンテンツであったり、ページ内におけるファン同士の交流から生成されるコンテンツかもしれない。

いずれにしても、企業・ブランド側のプレスリリース的なコンテンツとは大きく違う。

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