2011/11/14

Perception Gap: 認識の違い

IBMから「From social media to Social CRM - What customers want」というレポートが出ている。

消費者が「ソーシャルサイトを通じて企業と相互やり取りをする理由」の上位に来るのは割引と製品購入だが、企業側が考えている「消費者が企業をフォローする理由」では最下位にランクされている。

もう、これは一目瞭然だ。
この大きな認識のずれを意識、把握することなく、企業側は今日も新製品情報、一般情報を発信し続けている。

しかし、それを受け取る消費者側のプライオリティは低い。企業側が「新製品情報、一般情報」に70%以上のプライオリティをつけているにも関わらず、消費者側は50%台前半のプライオリティでしかない。

また、「コミュニティへの参加」が目的だとする消費者は20%しかいないのに対して、企業側はその3倍を超える61%が「消費者はコミュニティへの参加に興味を持っている」と考えていることになる。同じように「(企業と)つながっている気分」になる消費者に比べて、企業側はその2倍もそうだと思っている。

IBMは次のように書いている。
消費者は、もし自分達のメリットになったり、企業を信頼できたり、そして、自分達が求める価値を獲得するために必要なチャネルがソーシャルメディアだと決断すれば、企業側と相互のやり取りを行う。消費者が求める価値は、クーポンであったり、特別な情報のこともある。ソーシャルメディアを通じて企業側とエンゲージすることにより、消費者は企業とつながっているという気分になることもあるが、親密になりたい(つながりたい)という思いが相互やり取りの理由ではない。
企業側が期待するように、今時の消費者は決してナイーブではない。計算高く、損得を考え、割に合わなければ、あるいは、得られる価値が期待ほどでなければ、迷うことなく「unlike」や「unfollow」をクリックする。なぜなら消費者自身が価値を比較、判断するための情報・コンテンツを入手することができるし、参考とする友人・知人・ネットの知り合いやアーリーアダプター、エバンジェリストがいるからだ。

その逆に、ソーシャルメディアチャネルを駆使して情報を発信すること、読者・ファン・フォロワーを増やすことにより、ロイヤルユーザが増え、売上にも好影響が表れると考えるナイーブな企業側が如何に多いのだろう。

企業側のロジックで何も進まないのは、どんなに膨大な広告・宣伝費をかけた処で新製品が予想・期待以上に売れることなどないことは何度も経験しているはずだ。にもかかわらず、企業のナイーブさは頑固なほどに変わらない。

企業側が垂れ流す「新製品情報、一般情報」に価値を認める消費者は期待するほどいないのだ。消費者があの製品・サービスは自分のメリットになると評価する「新製品情報、一般情報」は少ないのだ。

また、信頼できる「企業」はあまり多くはないのだ。それはそうだろう。Facebookページのファンになってもユーザが独自にWallに書き込むことを禁止している企業を誰が信頼できるのだろう。

そして、既成レガシーメディアを経由する情報発信と同じたぐいの情報をソーシャルチャネルから垂れ流している企業とわざわざ、ソーシャルチャネルから「つながろう」とする消費者も多くはないのだ。


2011/10/19

ECサイトのコンバージョン率を上げるソリューション

日本におけるEC市場規模は2010年度に対前年比2.46%増の約7兆8千億円に達している。

このうち、小売・サービスの合計が5兆2千億円、それ以外の製造、情報通信、運輸、金融、卸売などが約2兆6千億円となっている。
市場拡大に大きく寄与したのは、「医療化粧品」が対前年比38.7%増、「衣料・アクセサリ」が同30.2%増、「自動車・パーツ・家具・家庭用品・電気製品」が同29.2%増などとなっている。

Source:経済産業省 / 平成22年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書

2014年までには12兆円にまで成長すると予想されているECサイトだが、激化する競争に打ち勝ち、集客数を増やし、サイトの売上を伸ばすにはいろいろな課題がある。

最も大きな課題のひとつは直帰、離脱、かご落ち率の改善だろう。

広告やアフィリエート、ソーシャルメディアを駆使し、ようやく集客してきたにも関らず、直帰されたり、突然離脱されるケースが後を絶たない。なんとか決済ページに進み、あとワンクリックで決済完了と言う時にかご落ちされる限り、最終的なコンバージョン率は上がらない。当然、売上も伸びない。

米国の場合、Baymard Instituteによれば平均すると65%がかご落ちしている。
IBMのCoremetrix Benchmarkレポートによれば昨年のBlack FridayやCyber Mondayのかご落ち率は63%前後となっている。
また、FireClickの10月18日時点におけるかご落ち率は75%を越えている。
Source:Baymard.com / 10 Cart Abandonment Rate Statistics
Source:IBM / Coremetrix Benchmark Report
Source:FireClick

日本でも同様だろう。そして、どこの国でも直帰率はかご落ち率よりもひどいのではないだろうか。

この「直帰、離脱、かご落ち率」を改善するため、LPO、ナビゲーションや階層構成改善、決済フローの単純化といった様々な施策が実施されているし、様々なベンダーがソリューションを提供しているが、なかなか結果が出てこない。それが現状だろう。

ここで、ちょっと面白いソリューションがある。

ECサイトへアクセスしたユーザの消費者心理に働き掛け、購買・決済完了を促進し、コンバージョンを向上させるソリューションだ。特定・個別のECサイトに対するソリューションではなく、日本全国のECサイトに適用できる。ECサイト側はこのソリューションが提供するコンバージョンに対してアフィリエート手数料を支払うだけで対応が可能となる。

この大きな可能性をもつソリューションに対して、開発力をお持ちで、興味のある方はご連絡ください。


2011/10/12

Lady Is A Tramp

85歳のTony BennettがLady Gagaとデュエットしているビデオがあがっている。
 
Tony Bennettといえば1989年、五反田のゆうぽーと簡易保険ホールのコンサートに行ったことを思い出した。63歳か64歳の時なので、まだまだ脂の乗り切った彼の歌唱に圧倒されたことを覚えている。それから20年以上たって聴いてみても、Sinatraの晩年と比べても、Bennett はよく歌えている。そして、Lady Gagaのまともな歌唱に惹かれた。

「Lady Is A Tramp」を含め「One for my baby」や「It had to be you」などを収めた「Duet II」というアルバムは発売直後からBillboard 200のトップに登場し、すでにこのビデオはYouTubeで420万回以上視聴されているが、それよりも注目すべきは共有回数だ。
  • 10月8日 
    628,223回(Facebook 612,522回、Twitter 15,402回、Blog 299回)
  • 10月9日 
    652,406回(Facebook 636,315回、Twitter 15,777回、Blog 314回)
  • 10月10日
    678,020回(Facebook 661,562回、Twitter 16,101回、Blog 357回)
  • 10月11日
    701,622回(Facebook 684,842回、Twitter 16,384回、Blog 396回)
Source:Viral Video Chart / Tony Bennett & Lady Gaga - The Lady Is A Tramp

日本でも新聞等に「Toney Bennett Duets II」として広告が出ていたから米国内でも大量のレガシーメディア露出があったはずだ。それらに加え、Blog、Twitter、Facebookで合計70万回以上も共有されているが、特にFacebookだ。Twitterの40倍は共有されている。

どこまで同期しているのか知らないが、BennettのFacebookページのMusic Videoセクションにある「Lady Is A Tramp」の視聴回数は4,087,303回、同じ時間にYouTubeでは4,209,331回となっている。この408万回が「もし」、Facebookページ内での視聴回数を示すとすればYouTube単独で視聴されたのは12万回強でしかない。97%以上がFacebook内で視聴されていることになる。これは途方もないと言わざるを得ない。
Source:Facebook / Tony Bennett Music Video

Toney BennettのFacebookページのファンは10万人ちょっとしかいないので、その10万人がビデオを視聴して共有し、彼らの友人の合計68万人がビデオを共有し、合計420万回以上ビデオが視聴されたと考えることもできそうだ。この途方もない露出・訴求力をFacebookは持っていることになる。

CTRが小数点以下に沈み、emailであれ、電話、DMやFaxであれ、期待される露出や共有、口コミがままならない昨今にも関らず、Facebookは魔法の杖を持っているかのようだ。

ま、大きな「もし」が付いた単なる掛け算と割り算だし、また、旬の有名どころを引っ張ってきてデュエットするという2006年の企画の焼き直しという商魂の逞しさの裏には、Bennett だけでは客を呼べないという現実も透けているため、この共有、訴求の大元はLady Gagaのブランド・露出力に帰すべき現象だろう。

しかし、言えることは共有を期待されるコンテンツがユーザに刺さる時、FacebookはTwitterさえ霞んでしまうほどの威力を発揮するということだ。

そして、10万人強にしか過ぎないページファンであったとしても、「興味を惹く、面白い」コンテンツがあれば、その外縁に連なる友人達の輪を引きこむことができるということだ。

参考:Online Ad / Why people follow brands (2011/07/24)

ただし、この「興味を惹く、面白い」コンテンツとは、新製品発表のプレスリリースでもイベントの紹介でも、どこそこで「なんとか運動」をやっていることでも、こんなCSR活動をやっているということでもない。

ユーザが求めている「興味を惹く、面白い」コンテンツとは、Facebookページだけ、ファンだけにしか提供されない企業・ブランドのオリジナルコンテンツだ。あるいはファンがページに投稿するコンテンツであったり、ページ内におけるファン同士の交流から生成されるコンテンツかもしれない。

いずれにしても、企業・ブランド側のプレスリリース的なコンテンツとは大きく違う。

2011/10/03

Proposal to JAL for Social Media Marketing Strategy

まず、SlideShareおよびScribdにアップしてある資料をご覧いただきたい。

Source:SlideShare / Airlines Twitter Case Study
Source:Scribd / Airlines Twitter Case Study

ご覧頂いたように世界各国の航空会社は、複数のTwitterアカウントを持ち、アウトバウンドtweetの5倍以上にも達するインバウンドtweetに対して、カスタマー・サービスやE-Commerceといった広報・マーケティング部門以外から人材を投入し、顧客・乗客・ユーザのカスタマー・サービス・リクエストに対応している。

そのため、運行情報やキャンペーン、プロモーションを発信するアウトバウンドtweetだけでTwitterを運営している航空会社は非常にまれになってきている。多くの航空会社では顧客の声を聞き、トラブルで困っている乗客の手助けをするリプライを行うのは当然のこととなりつつあり、 「単純にあそこへ行けば分かります、ここで聞けば分かりますとか、ここへアクセスしてください」というtweetではなく、乗客個人のニーズに応じたアウトバウンドtweetを返すことが必要になってきている。

こういった対応には365日24時間対応が求められるので、月~金曜日の定時勤務の広報・マーケティング部隊が担当できるものではない。常時、顧客の声を聞き、できる限りの手助けをしているカスタマー・サービス部門がフロントに立たなければならない。時にはDMにより顧客情報を確認した上で、予約(変更)および発券までこなしているDeltaのような航空会社も出始めているから、予約・発券システムを扱うシフト制のバック要員も必要だということになる。

世間で言われているようにTwitterとは広報やマーケティング担当領域の専属ツールではない。顧客や乗客の声を聞くためのツールなのだ。それを理解し、そのツールを使うために世界の航空会社は体制を整え、フロントからバックエンドやシフト制スタッフのソーシャルメディア教育を行っている。

こういったカスタマー・ファースト、ユーザ・リスニングの戦略を開始している航空会社と、その恩恵を受ける世界の乗客、Twitterユーザが増えている。国際線はもちろんのこと、国内線でもこの「手助けしてもらった。知ってしまっ た。見てしまった。経験した」ユーザ・乗客が増えている。彼らはBlogを書き、Twitterを使ってつぶやき、RTで共有し、Facebookでつながっている。このストリームに「カスタマー・ファースト」のtweetが流れている。

その時、インバウンドtweetに何の対応もせず、アウトバウンドtweet一辺倒の航空会社の評価はどうなるだろうか?乗客の抱える問題を解決もせず、言いたいことだけ、聞かせたいことだけを垂れ流す航空会社の評価はどうなるだろうか?世界の航空会社の対応から取り残されたことさえ理解しない会社の評価はどうなるだろうか?


上の資料に参考として昨年12月のロンドンを襲った大雪に対処したVirgin AtlanticとBritish AirwaysのTwitterアカウントの話をとり上げた。通常ならアウトバウンドだけ、土日休み、9:00-5:00が基本の両社Twitterアカウントの奮闘をどのように見られるだろうか?通常の38倍のtweetを行ったVAのTwitterアカウント、そしてそのサポートを受けた乗客をどのように見られるだろか?また、そのやりとりをオープンな環境で見ていた一般ユーザの反応をどのように見られるだろうか?















ついこの間、9月21日に関東甲信地方を襲った台風15号による大雨と強風で交通網は混乱した。その時、東日本大震災時に活躍したJAL伊丹空港アカウントからは何も発信されていない。JAL羽田キャンペーン事務局アカウントはキャンペーンアウトバウンドのみで、昨年から休止状態。株式会社日本航空JALというアカウントはあるがこれも6月から休止中。そもそも公式アカウントなのかどうかも分からない。

Source:JAL伊丹空港Twitterアカウント
Source:JAL羽田キャンペーン事務局Twitterアカウント

残念なことにJALのカウンターやコールセンターに救いを求めた多くの乗客は求めるものが得られず、携帯やスマフォで情報収集を行ってもヒットするものはわずか、下手をすると「発着案内」画面がつながりにくくなっていた、そんな経験をしていたのではないだろうか?

時間に追われながら乗り継ぎやキャンセル、別便への振り替えの長い列に並んだ乗客の不満は大変なものだったはずだ。

「台風だからしょうがない、航空会社のスタッフはよくやってくれている」、と全ての乗客が感じていたわけはない。

「もっと最新情報が欲しい、なんでスタッフをもっと増やして早く処理しないんだ、俺の便はどうなってるんだ、なんでこんな長い列に並ばなけりゃいけなんだ、明日の早朝の便に乗れなけりゃアウトだ。今時、Twitterで最新情報を発信しない航空会社ってあるのか?」、と感じた乗客は一人もいなかったと断定できますか?

今、災害時や緊急時に顧客、乗客が最も必要とする情報を提供する最後のチャネルがTwitterとなっている。もちろん@DeltaAssistや@AskAirAsiaアカウントは世界的にもまれだが、公式Twitterアカウントさえない場合、どうやって最新、かつ適切な情報を必要とする顧客、乗客個人に伝え、彼らの手助けをすればいいのだろう。

少なくとも、国内でもANAは下から始まり、
当日、12回目の次でTweetを締めくくっている。

一方、3月の震災以降は各地空港スタッフの声を拾い上げ、[JL_Shinsai]として40回にわたり欠航、臨時便、空席待ち、気温、レストラン再開情報などを発信し、一般ユーザとつながっていた@JAL_ITMは沈黙したままだった。
Source:Twitter /JAL_ITM

震災直後から活躍していたこのアカウントが休止状態にあって、台風関連情報を流さなかったことは「残念」だ。また、特に@JAL_ITMアカウントが持っているカスタマー・ファーストのマインドは、それこそ@DeltaAssistや@AskAirAsiaに勝るとも劣らないクオリティを備えているだけに、「もったいない」と思わざるを得ない。


さて、今年1月25日、Kansas CityでAmerican Marketing Associationのランチセミナーで、Blog、Twitter、Facebook、YouTubeなどを駆使したマーケティングで高い評価を受けているSouthWestの広報担当、Laurel Moffatが話をしていた。

そこで彼女が話したこと、すなわち;
  • 何をまず初めにすべきか?
  • どんなことが必要か?
  • 誰が何をするのか、しているのか?
など、もし、より詳しくお聞きになりたい場合、あるいは上の資料についてもっとお知りになりたい場合、また、JAL伊丹空港アカウントが備えているマインドを拡充したいとお考えの場合、詳細プロフィールの連絡先にメールをお送りください。

2011/09/22

Mindset of Overseas Marketing Group Director at Kia Motors

8月に「Toyota rejects communications with users on Facebook」を書いた。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2010/08/03)

記事をPDF化し、ScribdとSlideShareにアップしておいたところ、SlideShareからファイルをダウンロードした中に、Kia Motorsの海外マーケティング部長、Soon Nam Leeさんがいた。
一般社員や海外マーケティング部の人がダウンロードするならともかく、Kia Motorsの海外向けマーケティングを統括する責任者本人が、日本のちんけなBlogに上がっていたプレゼン資料をわざわざダウンロードするというのにはちょっと驚いた。

記憶に残っている限りでは確か、何回か韓国からのアクセスがあり、その中にKiaからのものもあったはずだ。だが、それがSlideShareのダウンロードにつながっているとは思ってもいなかった。特に、タイトルだけは英語だが、本文は日本語の資料を海外からダウンロードするとは思ってもいなかった。そして、海外では当然だが、日本ではまれな実名でのダウンロードにも驚かされた。

ま、「ほんの少しでもKiaのソーシャルメディアマーケティング戦略の参考になればうれしい」と書きたい処だが、そうはならない。

Kia MotorsのFacebookページやTwitterアカウントを見れば、PDF資料から何も学ぶことはないのが明らかだ。

逆に、日本企業が学ぶことが多い。

例えば、KiaのFacebookページのInfoタブには、
まず、
Welcome to the Kia Motors global Facebook fan page! This page is run by Kia Motors Corporation in Seoul.
とある。

韓国、ソウルのKia Motors本社がグローバルなFacebookファンページを運営していると宣言している。

当然、グローバルファンページのタブには、WorldWideがあって、世界各国へのリンクも用意している。
昔、Volkswagen InternationalのFacebookページについて書いたことがある。曰く、
さて、6月12日にVolkswagen InternationalはFacebookにファンページを開設した。これは2011 Polo GTIキャンペーンの核を成すもので唯一のものだ。すなわち、Facebookファンページだけで2011年モデルのキャンペーンをやるそうだ。そして、 このファンページの言語は英語だ。Volkswagenのブランド体験を全世界のユーザと共有するため、「公式言語は英語」だと宣言している。
参考:Japanese Brands Endangered (Online Ad 2009/06/21)

VolkswagenのFacebook活用法とはちょっと違うが、Kiaは「公式言語」宣言を省き、各国語でのWall投稿を受け付け、世界各国のWebサイトへリンクを提供している。少なくともFacebookをグローバルポータルとして活用するVolkswagenと同じマインドが備わっているし、当然なP2Pマーケティングチャネルとして活用している。

今後、予想されるFordページのように苦情屋、クレーマーが書き込んできた時の対処、ロイヤルカスタマーの対応はこれからだが、多分、それくらいの体制は整えているだろう。

さて、Info/Missionの最後に
This Facebook page is not the channel to communicate grievances but we still want to help, so please let us know through the link(s) above.
とだけある。

Info/AboutからMissionまでに記述されているものは、日本企業のFacebookページに増えてきている「(コミュニティ)ガイドライン」といったものはでなく、もちろん自社スペースを開放するから参加しろといったスタンスでもなく、顧客のスペースに参加させてもらう企業のマインドが伝わってくる。誰のためのスペースかを理解していることが分かる。

彼我の差は大きいなと感じる。

そして、四方八方に目を配り、アンテナに引っかかったものは自ら手を伸ばし、収集する。当然、ゴミ芥の類の方が多いにもかかわらず、とに角手にとって見るというスタンスは日本ではあまりにもまれだと感じざるを得ない。この意味で、全世界のマーケティングを担当する責任者のマインドの差は途方もなく大きいと感じる。

2011/09/13

Sharp has same community guide line as Toyota

先月の記事、Toyota rejects communications with users on Facebookに関してのtweetに、「そう言えば、Sharp-jpもSharpGalapagosも「フォローしている」はゼロ。」というものがあった。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2011/08/03)

そこで確認してみると、その通り、フォロー数はいずれのアカウントも「0」だった。

そして、各アカウントには以下のような説明がされている。
曰く、「ご質問・お問合わせは本アカウントではお答えできかねますので、ご了承願います」。
 曰く、「※Twitter上で頂きますご意見はすべて拝読させて頂いております。しかしながら、現状は個別での回答を控えさせていただきますのでご了承ください」とある。

シャープにはもうひとつ広報室のTwitterアカウントがある。ここは、「シャープに関するニュースをマスコミ、アナリスト向けにお届けします」というアカウントだが、ここもフォローは「0」だ。
これら3つのTwitterアカウントは、すべてがRT「0」、リプライ「0」という現状だ。

まったく、いままでのコミュニケーションをデジタル化しただけ、Twitterというチャネルを使って、色あせ、消費者・ユーザの耳に届かないメッセージをメガフォンマーケティングよろしくやっているだけだ。Twitterは、オープン、対等、双方向のコミュニケーションを行うためのチャネルだという理解が見られない。Twitterという組織横断的な対応、発信が必要なチャネルを使って、今まで同様に、企業・ブランドに都合の良い縦割り組織からの発信を行っている。


次に驚いたのは、Sharp_jpアカウントからリンクがはられている「ソーシャルメディア 公式アカウント」ページにある「コミュニティ・ガイドライン」だ。

ご丁寧にもFacebookページとTwitterアカウント別々にそれがある。トヨタのFacebookページにあった「コミュニティ・ガイドライン」とほぼ同じ体裁で、禁止事項、準拠法・裁判管轄について述べている。

Source:シャープ株式会社 公式Facebookページ コミュニティ・ガイドライン
Source:シャープ株式会社 公式Twitterアカウント コミュニティ・ガイドライン

当然、シャープのFacebookページには、トヨタと同様に「コミュニティ・ガイドライン」がある。
シャープは6月からFacebookの運用を開始しているようなので、まさか、トヨタのFacebook対応をコピーキャットしたわけでもないだろうが、「like」をクリックしてもユーザ独自の書込み、投稿がwallにできない処を見ると、トヨタとシャープのソーシャルメディア戦略を同じコンサルティング会社、あるいは広告代理店、広報エージェンシーが担っているのではないかとさえ思えてくる。

一方、シャープUSAが運営しているFacebookのAQUOSページに「コミュニティ・ガイドライン」なんてものはないし、@Sharp_USAがフォローしているのは1,600人以上いるし、RT6.58%、リプライ21.16%だ。ここもトヨタとトヨタUSAのパターンと同じだ。

それにしても、ここまで似通った対応を見せつけられると本当に不安になる。

シャープのインドネシアもFacebookページを運営している。28,703人のファンを持つSharpAQUOSのちょうど半分ぐらい、14,429人のファンを抱えている。SharpAQUOS同様に、ユーザ投稿も可能だし、ユーザの投稿に対してシャープからのコメントもある。もちろん、「コミュニティ・ガイドライン」はない。
どうして、USAやインドネシアに教えを請わないのだろう?
担当者をUSAやインドネシアに派遣したり、現地の担当者に本社へ出向いてもらわないのだろう?
なぜ、一足飛びに「コミュニティ・ガイドライン」へ行ってしまうのだろう?
ソーシャルメディアスペースの住人はすべて放火魔だとでも思っているのだろうか?

トヨタ本社のFacebookにおけるユーザ投稿禁止やコミュニティ・ガイドライン、TwitterのRTやリプライに関しては前回書いたので繰り返さないが、

どうして消費者・ユーザを信頼しないのだろう?
なぜ、消費者・ユーザの声を聞かないのだろう?
どうして「裸の王様」になりたがるのだろう?
なぜ、社内のリソース、特にアーリーアダプターの知見を活かさないのだろう?

「どうして?」と「なぜ?」がいくつも重なってゆくこの現状をシャープやトヨタのユーザのみなさんはどう思われますか?
シャープやトヨタのFacebookページやTwitterアカウントはこのままで良いとお考えですか?

みなさんのコメント、Tweetをお待ちします。

2011/08/03

Toyota rejects communications with users on Facebook

トヨタ本社が、今年の4月下旬からFacebookにページをオープンしている。7月30日にはファン数が30,000人を越えているから順調な滑り出しと言っていいのかもしれない。
ところが、画面左に見慣れない「コミュニティ・ガイドライン」というセクションがある。
そこへ行ってみると、
トヨタ自動車株式会社が運営するFacebookページへお越しいただきありがとうございます。本ページは、ユーザーのみなさまに当社の最新情報をお届けするとともに、ユーザーのみなさまと当社がつながる場所です。
とある。
ユーザーのみなさまとより良いコミュニケーションを実現するため、本ページでは下記のコミュニティ・ガイドラインを定めています。本ページのご利用にあたっては、本ガイドラインの内容に同意の上ご利用ください。
と続き、【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】といった項目をあげて説明している。

このような「コミュニティ・ガイドライン」を備えているFacebookページを見たことがない。「ユーザーのみなさまとつながる場所」なのだが、「準拠法・裁判管轄」といった文言で予防線を張る恐れがある場所なのだろうか。

昨年、NestleのFacebookページが炎上している。それは、米国Greenpeaceが3月17日にNestleがパーム油を仕入れているSinarmasが進める熱帯雨林の伐採によりオランウータンが絶滅の危機に直面しているというリリースやPDFレポート、その後のビデオキャンペーンやNestle本社での実力行使が火種になっている。
詳しいことは、下のタイムラインを参照していただくとして、とに角、Kit Katを捩った「Killer」というプロファイル画像をつけた書込みがFacebookページを占拠して炎上した。
Source:TechGuerillaTalk / Nestle / Facebook / Greenpeace Timeline (in process)

しかし、その後、NestleのFacebookページが閉鎖されたかというと、ページは閉鎖も、削除もされていないし、Nestleページの「Like」をクリックしたユーザからのプロ・コンの書込みもあり、Nestleの書込みに対して同じようにプロ・コンのコメントがある。 ある意味で、活発な会話が行われている。

また、昨年の炎上に懲りて、「コミュニティ・ガイドライン」を設けているかと言うとそんなものはない。
なぜ、NestleはFacebookページを閉鎖して、炎上を消火・鎮火しなかったのだろう?
なぜ、まだFacebookページを維持、運営を続けているのだろう?

それにはいくつか考えられる。
  1. もはやソーシャルメディア、Facebook抜きに一般消費者とオープン、対等、双方向コミュニケーションを行うことはできない
  2. いままでの一方的、一方通行のコミュニケーションでは一般消費者に届かない
  3. 企業に都合のいいスペースで何を発信しても、誰も、何も、消費も共有もしてくれない

    そして、

  4. 一般消費者を信頼しなければ、企業・ブランド側も信頼されない
ということを理解しているからだ。

特に、4番目を肝に銘じているからだ。

だから、「羹に懲りてなますを吹く」のではなく、「ユーザを信頼」して、Facebookページを運営しているのだ。


さて、米国ToyotaのFacebookページはどうかというと、当然のことながら、「コミュニティ・ガイドライン」といったセクションはない。
Infoには、以下が挙げられている。
Toyota is as committed to quality as it is to its customers. We value your opinions and wouldn't be here without your support.

Please join our community and continue the dialogue. We look forward to getting to know you better.
「トヨタ(アメリカ)は品質向上にまい進するのと同様に顧客対応に取り組んでいます。我々はカスタマーの意見を尊重し、あなた方カスタマーのサポートなしに我々は存在し得ません」

「私たちのコミュニティに参加し、対話を続けてください。我々はあなた方、顧客をより良く知ることを楽しみにしています」
と書いている。

本社と米国トヨタの違いは何かと言うと、顧客を信頼しているかどうかだ。米国トヨタは顧客を信頼している。

炎上騒ぎを起こしかねない不逞の輩や訳の分からない魑魅魍魎が跋扈しているソーシャルメディアスペース、Facebookにページを持つ上で、最低限の予防線を張る本社と、ソーシャルメディアを新しいコミュニケーション、オープンで対等、双方向のコミュニケーションチャネルとして理解し、そこでの会話者を信頼する米国トヨタの違いだ。

変な例えだが、「両手を差し伸べてつながりましょう」と声をかけるべきところで、「相手が信頼できないために利き手に匕首を握り、左手を伸ばしてつながろうとはしているが、重心を前足にかけていつでも後ろへ下がれる」状態に見える。それが【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】といった項目に表れているように思える。


さて、もうひとつある。

7月にトヨタのFacebookページにはトヨタから43本のポストがあり、2,476回のLikeがクリックされ、ファンからのコメントは196本あり、トヨタからのリプライは3回あった。

同時期に米FordのFacebookページにはFordから72本のポストがあり、23,339回のLikeがクリックされ、ファンからのコメントは6,436本あり、Fordからのリプライは14回あった。

当然、運用を開始してから3カ月ちょっとのトヨタと、5~6年は経っているはずのFordではまず、ファン数が違う。3万人強のトヨタに対して、Fordは約78万人だ。

この大きな差からすると、トヨタとFordのポスト、Like、コメント、リプライ数などは無視していい違いのように感じる方がおられるかもしれない。

しかし、実は、もっと大きな差がトヨタとFordのFacebookページにはある。それは、トヨタのファンになったユーザが独自にWallに書き込めない点だ。

トヨタのポストに対して、Likeやコメントはできるが、ファンになったユーザが自分の好き勝手なことをWallに書き込めない。これもあまり見たことはない。
当然、普通であれば下のFordのように、ファンになったユーザがページへ行けば、post、画像、リンク、ビデオもアップすることができる。
しかし、トヨタのページはそうはなっていない。

先ほどのトヨタやFordの7月の統計に入れていないものがある。それは、ファンになったユーザが独自に書き込んだPostやコメント、Likeだし、それに対するリプライだ。

トヨタはファンが書き込めないので「0」だ。Fordの場合、ファンのPost数は1,637件。そのPostに対して2,975回のLike、2,380件のコメント、101件のリプライがアップされている。

これが「本当の意味での会話とユーザとのつながり」 だ。当然、苦情・クレーマー的なPostも40件ある。それら全てをカバーする当然な「会話とユーザとのつながり」が行われている。
この数字を見れば、如何にFordのファンが、オリジナルコンテンツを書込み、それに対してファンが反応し、苦情・トラブル・クレームなどにはFordが対応していることが分かる。

Fordとそのファンの本当の意味でのコミュニティになっている。

一方、トヨタのほうは、先ほどの、【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】に同列につながっているものが、Wallへの書込み禁止なのだ。

どうしても炎上させたくないようだ。

しかし、Faebookは、メーカーとユーザがつながる場所でもあるが、ユーザ同士がつながる場所でもある。そのユーザ同士がつながる場所をメーカーが独占している。ユーザ同士のコミュニケーションを排除している。

残念なことに、触媒として存在し、機能すべきメーカーが、そうではなく、つながりや会話を独占しようとしている。それ以外を拒絶している。

個々のユーザは社会人であり、学生であり、主婦、OLさんであり、ビジネス生活、家庭生活の両方を送っている。個人になればBlogを書き、Twitterを使い、YouTubeにビデオを上げるし、UstやSkypeを使って遠く離れた家族、友人・知人とリアルタイムでコミュニケーションをとっている。

そのコミュニケーションパワーを持つユーザに手かせ足かせ口かせをはめて、ブランドに関連するオリジナルコンテンツの発信と共有を妨げていることに気づかなければならない。ブランドに対する愛着と言ってもいいほどの高い評価、その評価を基に発信されるコンテンツをドブに捨てていることに気づかなければならない。

「Mostly Negative」は9%もいるのだが、「Mostly Positive」は62%もいる。この62%のユーザの貴重な声を台無しにしたり、見殺しにしてしまうことになる。
Source:Keller Fay Group LLC / Single-Source WOM Measurement (pdf)

先ほどのFordの例では、苦情屋・クレーマーが何度も同じことを蒸し返している。Fordのカスタマーサービスがそのたびにリプライを返しているが、何人ものレギュラーユーザ、ロイヤルユーザが自分の立場や理解、コモンセンスを基にコメントしている。彼らを理解しようとしている。メーカー以上に、彼らが愛するブランドを守ろうとしている。

Facebookに限らず、コミュニティとはそういうものだ。そのコミュニティにロイヤルユーザに集ってもらい、あるいはそのコミュニティでロイヤルユーザに育ってもらうためには何が必要だろう?

今の対応がベストなのだろうか?


ああ、そうそう。

トヨタはFacebookだけではなく、Twitter、Ustream、YouTubeにも参加している。例えば、Twitterアカウントを見ると下のようになっている。
そう、もうお分かりだろうが誰もフォローしていないのだ。

以前、ダライラマ14世のTwitterアカウントを見たときと同じ衝撃を受けた。チベット仏教の最高指導者であったとしても他の人間の声を聞く必要はあるだろうと思っていただけに驚いたことを覚えている。

フォローしていないから誰の声も聞いていないとは考えない。当然、バズモニタリングはしているだろう。しかし、アカウントが誰もフォローしていないということは、アカウント宛てのオープンTweetは送れるが、ユーザが直接、メッセージを交換したり、問合せや苦情を送れないことになる。そして、誰もフォローしていないのでオープンTweetがどんなものなのか誰にも分からない。ユーザからどんな声が発信されているのかを誰にも見せないようにしているとしか思えない。

そして、TweetStatsで見ると、リプライは全Tweet168件中の1.78%、RTは1.18%。それもホンダとニッサンのアカウントに対してのTweetだ。残りの97%(163件)くらいはトヨタオリジナルのコンテンツをTweetしているだけということだ。アカウント宛てのオープンTweetは沢山来ているだろうが、それにリプライを返してもいないし、モニターやウォッチしているユーザのTweetをRTしていないのだ。
FordのTwitterの場合は、33,887人をフォローしている。
TweetStatsで見ると、リプライが60.94%、RTが10.05%もある。沢山のユーザからのTweetにリプライを送り、価値があると認めた他ユーザのTweetをRTしている。会話のネタをフォロワーに発信している。そして、残りの30%弱でFordがニュース・情報・コンテンツを発信しているということになる。
GMだって、BMWだって、VWだって、Kiaだって何千人、何万人もフォローしている。しかし、トヨタは誰もフォローしていない。ただの1人もフォローしていない。

一般ユーザにリプライも、彼らのTweetをRTもしていない。

ここの何処にユーザに対する信頼があるのだろう?

この対応からユーザの声を真摯に聞くというメーカーの姿勢が感じられるだろか?

そして、これが日本が誇る大企業、世界的なグローバル企業がFacebookやTwitterという一般消費者とオープン、対等、双方向のコミュニケーションを行うスペースを使ってやるコミュニケーションだろうか?

トヨタ内部でも相当の議論があったとは思う。しかし、もはや「ブランドがブランドコンテンツをコントロールできる時代は過ぎ、消費者・ユーザがコントロールしている」ことを理解しない限り、つぎはぎだらけの対応を行っていても、本当の会話もエンゲージメントも存在しえないし、苦情やユーザのちょっとした提案や思い付きなどから製品やサービスの改善・改良、開発のフィードバックを獲得することもできない。

炎上が怖いからソーシャルメディアを使わなければいいという時代は過ぎた。

Nestleのように炎上しても、何があってもFacebookやTwitterを使い続けなければならない時代なのだ。

消費者・顧客・ユーザを信頼し、価値のあるコンテンツを提供することで企業・ブランドを信頼してもらわなければならない時代なのだ。

そして、とにもかくにも、消費者・顧客・ユーザの声を聞かなければならない時代だし、その姿勢を見せる必要のある時代なのだ。

その時代に、現在のFacebookやTwitterの対応は不十分過ぎると言わざるを得ない。

一体、何のためにFacebookやTwitterを始めたのだろう?
本当にユーザ、消費者とつながるためなのか?
それとも今までのマーケティングコミュニケーションをソーシャル化するだけで、つながる意思はなかったのか?
ユーザ、消費者の声を聞くつもりはないのだろうか?

Ciscoのソーシャルメディアマーケティング部のシニアマネージャ、LaSandra Brillが今年2月、ソーシャルメディアサミットで公開した資料の中に下図がある。
最初のスライドに6点があげられている。曰く、
  1. 双方向コミュニケーション(一方的な一方通行ではなく)
  2. コミュニティ構築(Webサイトではなく)
  3. オーガニック(広告による強制誘導ではなく)
  4. 統合(邪魔するのではなく)
  5. 関係構築(イベント開催ではなく)
  6. 会話に参加(自社ドメインだけではなく)
Ciscoにした処で最初はてんやわんやだった。2005年2月に外向けBlogを開始、2007年のNexusローンチに初めてBlogマーケティングを活用し、2008年Q1のASR1000リリースは3ヶ月間という短期間でソーシャルメディア統合プランを計画実施している。それら経験を踏まえてASR9000リリースが本格的なソーシャルメディア統合プランとして実施されている。その後も各種経験を積み重ね、今では、各種サミット、セミナーなどでその成功しているソーシャルメディア戦略を説明してくれと引っ張りだこになっている。

そのCiscoがまとめているソーシャルメディアのグランドデザインが上図だ。

FacebookやTwitterといったツールの話ではないのだ。

それまでのマインドセットを切換えて、どうやって顧客ユーザに近づけるか、どうしたらオープン、対等な双方向コミュニケーションができるか、どうすれば製品・サービスの価値を伝えられるのか、それこそ昼夜を惜しんで絞り出した結論が下図だ。
Source:How Cisco Operationalizes Social Media for Repeated Success

戦略の中心に来るものが「Listening Focus」になっていると説明するしかない。


ちょうど一年ほど前に、「Open Letter to CEOs in Japan」を書いた。

参考:Open Letter to CEOs in Japan (Online Ad 2010/8/17)

あれは、日本ブランドがガラパゴスブランドに陥る危険性を示し、パラダイムシフトを前提とした新しいグローバル戦略への転換の必要性をCEO達に伝えた(つもりの)資料だった。

当時から不十分な資料に付け加えるべきは、Ciscoのようにトライ&エラーを蓄積した上でインフラを整備し、今日の輝かしいステージを迎えたケーススタディだった。

その上で、マインドセットを切り替えなければ...、と書くべきだった。


最後にひとつだけお願いしたいことがある。

それは、もし「コミュニティ・ガイドライン」の翻訳記事が、NYTだとか、GuardianやTechCrunch、Mashable、BusinessInsider、HuffingtonPostといったメディアに掲載された場合、その内容と、それが示唆するものを世界中のインターネットユーザ、すなわち日本を除く世界中の消費者、既存・潜在顧客はどう受け止めるかを考えてほしいということだ。


追記:(2011/9/19)
Blogのトップ右、プレゼン資料リストにアップしているファイルのダウンロード先をSlideShareへ変更。下のリンクURLは変更なし。

追加:(2011/8/4)
PDFをScribdとSlideShareにアップした。
Scribdは、http://www.scribd.com/doc/61570710/Case-Study-Toyota-on-Facebook
からダウンロード可能、また、Blogの右、プレゼン資料リストにもアップしている。
SlideShareは、http://www.slideshare.net/dramroll/case-study-toyota-on-facebook
からダウンロード可能。

2011/07/26

Why People Follow Brands

getsatisfactionというチームが作成したInfographicsがある。

中でもそのトップに来る「ユーザがブランドをフォローする理由」がある。
Facebook/MySpaceでブランドをフォローする理由
  • 32.9% 既存顧客だから
  • 36.9% 割引・安売りが目的
  • 6.2%   友人がファンだから
  • 18.2% 興味を惹く・面白いコンテンツが目的
  • 5%   サービス、サポート、製品ニュースが目的
  • 0.7%  その他
Twitterでブランドをフォローする理由
  • 23.5% 既存顧客だから
  • 43.5% 割引・安売りが目的
  • 6.3%   友人がファンだから
  • 22.7% 興味を惹く・面白いコンテンツが目的
  • 3.5%  サービス、サポート、製品ニュースが目的
  • 0.7%  その他
これを見ると、Facebook/MySpace/Twitterのいずれにしても、ブランドをフォローする理由は「割引・安売り」がトップを占め、「興味を惹く・可笑しいコンテンツ」が続き、合わせて過半数を占めている。

企業・ブランド側とすれば、「既存顧客だから」とか、「友人がファンだから」とか、「サービス、サポート、製品ニュースを目的」とするフォロワーが過半数を占めてほしいわけだ。しかし、そうはならない、なってはいない。

にもかかわらず、多くの企業・ブランド側は、せっせと「サービス、サポート、製品ニュースを」垂れ流し続けている。ユーザが求める「特売情報」や「興味を惹く・面白いコンテンツ」などは一切、発信せずに。

それはそうだろう。企業、ブランドや製品・サービス情報、CSRやIR・業績情報をせっせと垂れ流すことがマインドセットになっていたり、各国現法情報をアグリゲートしたり、引合生成やターゲット訴求を前面に押し出した情報発信をすることで良しとしている。

ここから会話や交流、エンゲージメントは生まれてこないし、客やユーザが求めるものや話していることを聞きもせずに、言いたいこと、聞かせたいこと、共有してもらいたいことを垂れ流している限り、すれ違うニーズとコンテンツのギャップは広まりこそすれ、狭まることはない。

さて、日本本社が「特売情報」を発信するのは難しいだろうが、「興味を惹く・面白しいコンテンツ」はなにも駅構内で数十人のダンス隊を踊らせることではない。ローラースケートをする赤ちゃんでも、ボディペイントしていたり、ラップで非常時の説明をする客室乗務員だけでもない。

マインドセットを切換えて、日本本社がグローバルなオーディエンス向けにコンテンツを創り出す必要があると思うが、いかがだろうか?

Source:DigitalBuzzBlog / Infographic: Why People Follow Brands

2011/07/04

Japanese Brands are Still at Web 1.0 stage

先日、コンビニの横でジュースを飲んでいると、お巡りさんが自転車で現れ、カギをかけてコンビニへ消えた。何とはなしにその自転車を見ると、左のハンドルに見慣れぬスイッチがある。そのスイッチからケーブルが下の方へ続いている。サドルを支える本体フレームの下部に白いパックがあり、そこへつながっている。そのパックには「Panasonic」とある。

そう、お巡りさんが乗っているのはパナソニックの電動アシスト自転車なのだ。
画像Source:シーバス電脳日誌 / 皇居二重橋、警視庁は電動アシスト自転車を採用していた

街中ですれ違うお巡りさんが乗っている自転車に特に気を付けたこともなく、初めてそれを知って、「へーっ」とつぶやいた。そこに買い物袋を提げた若いお巡りさんが戻ってきた。

話しかけるべきかどうかちょっと迷ったが、「電動自転車なんですね?」と訊く。

街中で赤の他人に声をかけ、その人から返事が戻ってくるまで否応もなく待たなければならない時間の2倍以上の間があいた。多分、こちらの値踏みをしていたのだろう。敵意のなさを確認し、一般市民の興味本位の質問に答えるべきかどうかの判断を行った後、こちらを射るような目線が動かずに口が開いた。

「使ってませんけど」
筆者は、白いパックを指さしながら、「電動自転車ですよね?」と再度聞く。

もう一度、不慣れな間が差し挟まった。自分の意図が伝わらないもどかしさと、興味本位の一般市民のしつこさに辟易するとでも言いそうな口がようやく開いた。

「ベテランの人は使いますが、私は使っていません」
「ああ、そうですか」

これで2人のぎこちない会話は終了した。買い物袋を自転車の白箱に入れると物も言わずにお巡りさんは去って行った。

街中でお巡りさんが一般市民から声をかけられることはないのだろう。突然、声を掛けられて一般的な、普段の「会話」を始めることはないのだろう。顔見知りクラスの会話を一般市民も期待しないが、警察官はもっと期待していないのだ。

以前、英国、ノース・ヨークシャー警察のEd Rogerson巡査がTwitterを使っていることを取上げた。彼が担当する地域の人々と、例えば「天気」「知り合いの近況」「食べ物」「野良猫」といった日常会話を交わし、育み、地域に根付いていると感じさせるエンゲージメントを行っていた。

参考:Police 2.0 (Online Ad 2009/11/26)
参考:US Twitter Detailed Stats (2010/5/12)

筆者が言葉を交わしたお巡りさんとEd Rogerson巡査の違いは、「会話」だ。「会話」は情報やコンテンツのやり取りでもあり、会話者同士が自身をよりよく知ってもらうことにつながる。そこから事件や事故の捜査に役立つ情報を仕入れたり、協力してもらうことができる。

翻って日本企業のグローバルな「会話」は、Ed Rogerson巡査はもちろん、電動アシスト自転車のお巡りさんよりも成立していない。

ソーシャルメディアが喧しい昨今、日本のグローバル企業はBlog、YouTube、Twitter、Facebook、果てはARやUstまで、最新ツールを駆使してニュース・情報を発信している。が、「もっと期待していない」と書いた警察官よりも「会話」は成立していない。

その理由は2つある。

ひとつは、日本のグローバル企業が行っているのは、世界各国の現地法人、グループ企業、そして本社の他部門との間の会話でしかないからだ。これは、自社内での情報共有であり、顧客やユーザとの会話ではないからだ。

例えば、電動アシスト自転車のパナソニックのTwitterアカウントが発信しているTweetのうち、36%は自社関連アカウントのTweetをRTしている。
もうひとつ、こちらはSony USAのTwitterアカウントの場合、Tweetの31%は自社関連アカウントのTweetをRTしている。
Source:TweetStats.com

自社関連TweetのRTがかなりの比率を占めるのは、日本企業に限った話ではない。が、その比率が30%を越え、オンラインメディアやThought LeaderのRTがないに等しいのは日本企業の特徴だろう。Content Curationを考慮していないのが日本企業のTwitter発信だと言うこともできる。

もうひとつは、日本企業に特有の理由だ。それは社員・担当者が見えないことだ。Samsungであれば、SamsungEstebanがいるし、KodakであればJennifer Cisney、FordであればScottMonty、CiscoならLaSandraBrill、IBMならSandy Carterがいる。しかし、日本のグローバル企業には、米国企業の彼らに匹敵するような人々がいないように見える。少なくとも、CiscoのCTO、Padmasreeのように140万人近いフォロワーを抱えている人間はいない。

組織として、顧客やユーザと会話するには企業アカウントだけではなく、社員・担当者が顔を見せて会話をリードしたり、補足する必要がある。個人としての幅や面白さ、ウィットを会話に追加することで信頼を得る必要がある。プレスリリースだけで会話などできるわけもなく、この点で日本のグローバル企業は一歩も二歩も遅れている。

お巡りさんとのぎこちない会話であっても、顔は見えた。居心地の悪さを双方で感じながらも情報のやり取りはできた。

しかし、村内の会話を村民を見たこともないそれ以外の人間に聞かせるのは、あるいはその話を共有してもらうのは至難の業だ。また、自分の言いたいことだけ、聴いてもらいたいことだけを話し、こちらの話に相づちをうつこともなく、そういえばと新聞に載っていた「なるほどとうなづける」話から会話を広げることもない村人と会話は成立しない。

とどのつまり、今までの会話、マーケティングコミュニケーションを最新のツール、サービスを使ってしているだけだ。

マインドセットを変えない限り、グローバルスタンダードで競合してゆくことなど夢のまた夢でしかない。

2011/06/07

No content in Visit Japan 2011 campaign

どうやらVisit Japanの新キャンペーンが5月末頃から始まったようだ。キャンペーンサイトを見ると、福島の原発事故による風評被害をなくそうと手を尽くしているのが分かる。
Facebookページも立ち上がっている。
そこで、「Visit Japan 2011」の「Where to go」でどのように日本各地の名所、旧跡、観光地を紹介しているのか見てみた。

okinawaをクリックすると、45か所が紹介されていた。どんな処かというと、ホテルが24件、レストランが5件、体験工房などが5件、名所が5件、NPO、土産物店、ローソン、牛角、居酒屋、ブライダルが1件ずつだった。

この「Where to go」で紹介される半分以上がホテルというのには驚いた。それは「What to do」の「Accommodations」で紹介されるべきで、「何処へ行くか」で紹介されるべきものではない。レストランや体験工房などはまだ良いとしても、ローソン、牛角、居酒屋、そしてブライダル屋さんが紹介されているのには開いた口が塞がらない。

牛角を「美味しいものが食べられるところ」 とすることに反対はしないが、外国人観光客が沖縄を知るために「行くべきところ」や「行ってみると面白いところ」とは思わない。また、とても良いところだから「ホテルやローソンに是非、足を運んでください」と大声で叫んでみたいとも思わない。

そして、沖縄の歴史・文化・自然などを体験できる観光施設、「沖縄ワールド」は何なのかという説明、何があるのかという説明、何ができるのかという説明もない。ただ、画像、住所、電話番号だけが表示される。他の観光施設も同じだ。何も説明するものがない。

これが現実だ。外国人観光客に知ってもらう、体験してもらう、足を運んでもらうためのコンテンツがない。ハコモノに予算をかけただけで、観光客に伝えるコンテンツがない。コンテンツなしでどこの国の観光客が沖縄に足を運ぶのだろう。こんなサイトよりも自分の足で歩き、日本各地の名所、旧跡や人々とのふれあいを書いたBlogを検索してコンテンツを仕入れたほうがよっぽどましだということになる。キャンペーンサイトとしての意義も意味も、効果もないと思うがいかがだろうか?

税金を使って見た目の良いハコモノを作るよりも、価値のあるコンテンツを制作し、それを共有してもらう方策を考えるべきだ。

以前、「Proposal to Visit Japan -1」で紹介した「Kuroshio Sea」というビデオがある。こういったビデオを見せるだけでも美ら海水族館に世界中から観光客が大挙する、と考えるのは筆者だけだろうか?

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)

2011/05/10

Detailed Findings of Groupon Promotion

昨年、「Profitability of Groupon Promotions」に

参考:Profitability of Groupon Promotions (Online Ad 2010/12/22)

引用した米ライス大学のUtpal M. Dholakiaが、新しいレポートを発表している。

それによると、2011年末には数十億㌦規模と見込まれる「クーポン共同購入」市場は、様々な思惑が絡み合い、利用しようとするビジネス側、そして利用する消費者側にもポジ、ネガ面で多様な議論がある。

ポジ面
  • パパママストア、零細・中小企業に与える膨大な露出
  • 新規客獲得から中長期ビジネス形成へのフロー
  • 広告とDMを兼ね備えたクーポンキャンペーンの可能性
ネガ面
  • クーポンキャンペーンがパパママストア、零細・中小企業を脅かす多大なコスト
  • 再訪率の低さ、定価販売の下げ止まり
  • 極端な安売りによるブランド毀損
などがある。

そこで、昨年紹介した調査に続いてUtpal M. Dholakiaが、ヒューストンにあるGPM(Gourmet Prep Meals)の開店2010年7月15日から2011年4月14日までの9ヶ月間における売上、利益、販売当たりの利益、他割引との売上・利益比較、クーポン交換率など、クーポン共同購入キャンペーンの実態を調査したものだ。

さて、PGMは開店から2ヶ月半経った9月末、通常25㌦の「お持ち帰り、さっと調理するだけで食べられる」パックを12㌦で販売するクーポンを600枚以上販売し、客は3月末までクーポンと交換することができるキャンペーンを開始した。

まず、GPMの累積売上と利益を見ると、ビジネスを開始した2ヶ月半は店が知られていないこともあり、緩やかなカーブを描いている。そしてGrouponキャンペーンが始まると急激にカーブが上昇している。ただし、50%割引クーポンなので累積利益は売上カーブから乖離し、低空飛行のままといった状況がキャンペーン終了直前まで続いている。そして終了直前になって売上、利益とも跳ね上がっている。そして、キャンペーン終了後の売上、利益とも開始前のなだらかなカーブに戻っている。
次に、Grouponキャンペーンをしなかった場合をキャンペーン前の2ヶ月半の累積から推測したカーブを重ね合わせて比較している。それによると、キャンペーンをしなかった場合と比べて売上は140%も伸びている。これはGrouponキャンペーンがもたらした「露出価値」と分類することができる。

キャンペーンをしなかった場合、無名の新ビジネスがたたき出す売上も利益も緩やかな上昇カーブを描くことになる。その利益カーブに近似したカーブをキャンペーン期間中にたたき出していることから最低限の利益は確保できていたようだ。これがあるからこそ、ある意味で豊富な回転資金で仕入れを行いキャンペーン期間中を乗り越えられたということだろう。

キャンペーン終了直前に駆け込み需要があり実際の利益は推測利益を30%も上回るカーブをたたき出している。ここは、キャンペーン企画に際してひとつのポイントになるだろう。
そして、販売当たりの利益を見ている。ここに関しては、クーポン利用企業ごとのコスト、利益率、定価、割引率、販売クーポン数、期間など多くの変数があるので一概に断定することはできない。しかし、GPMの場合、赤にはなっていないが、キャンペーン開始前の2ヶ月半の利益からするとキャンペーン期間中は半分以下、三分の一程度の利益しか出ていない。平均するとキャンペーン前の60%ダウンというレベルだ。ただし、日によって、週によって大きく変動していたキャンペーン前と比べれば、低空飛行ではあるが安定した利益をもたらしていたと言えないこともない。
上の売上はクーポン利用客だけではなく定価販売客やその他の割引販売客も含めている。ということで客ごとの売上と利益も分析している。

定価販売客の売上をインデックス192とすると、クーポン客は71、その他割引き客は156。利益でみると定価販売客は617、クーポン客は-60、その他割引き客は405となっている。

ということは、クーポン客は定価販売客の半分以下の売上しかなく、当然ながら利益は赤だ。クーポン客は仕入れなどの回転資金に全く貢献していないのが明らかだ。
とどのつまり、「クーポン客だけ」では商売にならないのだ。ただし、下図に示されているようにキャンペーン期間中のクーポン客だけの利益と来店頻度の関りを見ると、クーポン客の60%は赤字だが、20%は利益を比較的多く稼げている。そのため、キャンペーン期間中の利益は赤字を免れているわけだ。

もうひとつある。それはクーポンで来た客が定価販売客として再訪し、期間中の定価販売客数を3倍に押し上げていることだ。それによって利益を黒に押し上げている。
次に累積利益率(累積利益÷累積売上)を見ると、販売当たりの利益と似通ったカーブを描いている。ひとつ違うのはキャンペーン終了直前に見られる跳ね上がりだ。この駆け込み需要が利益率を大きく押し上げている。このパターンは多分、他ビジネスにも反映されるとだろうから、終了直前には相応の仕込みが必要になる。
最後にクーポンの交換率を見ている。これもビジネス、業態ごとに多様だ。だから基本的な参考程度のデータではあるが、ここまで切り込んでいる初めての調査として価値は低くはない。

Source:Social Science Research Network / A Startup'S Experience with running a Groupon Promotion

この調査の結論は、上を参照していただくことにして、日本でもいろいろとお騒がせニュースが飛び交っているGroupon(グルーポン)だが、なにもパパママストア、中小・零細企業だけに利用させておく手はない。ナショナルクライアントであるGAPが利用したように大企業、グローバル企業であっても活用するチャンスはいくらでもあるはずだ。

この調査レポートを物売りビジネスだけに反映するのか、あるいは、サービスなど他ビジネスに展開する戦略を検討するのか、そこがマーケターの能力次第になる。

2011/05/02

Pitney Bowes Twitter Case Study

さて、Twitterアカウントを開設し、ピーチクパーチクとつぶやき始めたB2B/B2C企業の多くは、発信すべきコンテンツに関して何も考えて はいない。広報系プレスリリース、ニュースリリースをTweetしているだけで既存メディアを使ったマーケティングと何ら変わることはない。昔から変わら ないコンテンツをただ、チャネルを変えて発信しているだけだ。

ユーザがエンゲージメントや共有するコンテンツを判断、コントロールしていることに考えは及んでいない。

昔と同じコンテンツ、やれ、「どこそこのランク100に選ばれた」とか、「いくら寄付した」だとか、「新製品を発表した」といった、聴いて欲しい、知って欲しい、評価してもらいたいことのオンパレードだ。そんな情報やコンテンツを社員以外の誰が共有してくれるのだろう?そんなお手盛りコンテンツを共有しているユーザを誰が信頼するのだろう?

ユーザやオーディエンスが共有してくれるコンテンツにかけるマーケティング予算は2010年にすでに33%に達していた。そして、2011年の今年は、コンテンツが王様になる年だ。そんな年にTwitterアカウントを開設し、価値のないコンテンツを垂れ流しているだけの企業の多いこと、多いこと。当然、効果指標なり、目標とするROIなりがあるわけでもない。

そんな中、ユーザ・オーディエンスに価値を提供している事例として、Pitney BowesのTwitter事例をまとめてみた。
B2B企業ではあるが、Pitney Bowesが行っているコンテンツマーケティングはB2Cにも適用されるべきものだ。

そして、コンテンツマーケティングの核を成し、次のステップへ押し上げるのはコンテンツキュレーションということになる。ユーザ・オーディエンスに彼らが認める価値を提供できるかどうかは、この「コンテンツキュレーション」にかかっている。

しかし、そんなことは考えもせず、気にもせず、「俺が俺が」的や「我社が我社が」的なコンテンツ、社内の誰も、あるいは海外現法社員の誰もアクセスしたことのないURLへのリンクを発表するTweetしかしないのがWeb -1.0(ウェブマイナス1.0)企業となる。

担当者は最新ツール、サービスをよく理解しているが、彼らのマインドセットは昔のままだ。担当者はツール、サービスを活用したマーケティングを考えるが、発信するコンテンツは昔のままだ。ここに上流コンサルティングの必要性がある。結局、縦割りサイロ組織に横穴を開けなければコンテンツ・キュレーションが必要とするコンテンツは入手、制作、発信できない。

そうそう、もう少しで忘れそうになったが、ここでいうコンテンツとはSEOがらみで語られるコンテンツではないことだけは誤解なさらないように...。 キーワードとか、検索実績数とか、タグとか、メタデータとか、リンク構築とか、そういった担当者レベルの話ではない。ここでいうコンテンツとはユーザ・オーディエンスが認める価値を持ったコンテンツであって、企業・ブランド側が認める、認めて欲しい価値のあるコンテンツではない。