7月15日にアップされてから22日までに35万回以上視聴されている。26日には77万回、今朝は85万回にまで伸びている。
先週からYouTubeのStatistics & Dataがいろいろなデータを提供し始めている。その視聴回数の累積グラフを見ても順調に視聴回数を伸ばしているのがわかる。
このビデオはJon Rawlinsonというカナダをベースに活動しているフリーランスのビデオプロデューサーが、沖縄美ら海水族館が誇る巨大水槽を撮影したものだ。
ViralVideoChartによれば、すでに222(22日時点:181)のBlogがビデオを取り上げて記事を書き、1,885(22日時点:1,137)のコメントがある。コンテンツがコンテンツなので、22日時点ではいつもならあまり顔を見せない日本語でのバズも8%あったが、26日時点では以下のようになっている。
Source:ViralBlog / Why The Kuroshio Sea Aquarium Goes Viral?
Source:ViralVideoChart / Kuroshio Sea - 2nd largest aquarium tank in the world - shot on 5dmk2
Jon Rawlinsonというカナダのフリーランサーがアップしたビデオに比べると、Visit Japanチャネルにアップされているビデオは234本、沖縄関係のものは13本あるが、最大の視聴回数を獲得しているのは「Yokoso! Japan」だ。ただし、これは2008年5月にアップされているので、14か月かかって18万回以上だ。
Jonのビデオがなぜ、2週間やそこらで85万回も視聴されたのだろう?
少し彼の個人的なコネクションをのぞいてみる。彼のVimeoページを見ると529人のコンタクトを持っている。Facebookには379人の友人を持っている。Twitterには731人のフォロワーがいる。それ以外に家族、仕事関係での個人的なコネクションがカナダだけではなく、米国、アジア、欧州にも広がっていることだろう。そして、彼の友人コネクションにつらなる人々には、それぞれ多くの友人コネクションがある。多分、地球を何周もするほどの友人たちがつながっているはずだ。
Source:Vimeo / Jon Rawlinson
Source:Facebook / Jon Rowlinson
Source:Twitter / jonrawlinson
そして、最初はトップティアの友人コネクションに露出され、それがセカンド、サードティアへ再露出されてゆく。その再露出フローの中で、コンテンツのクオリティが高い評価を受けて、友人コネクション以外のユーザたちにも伝搬して行き、あっという間に彼のビデオは世界的にバイラル化したわけだ。
その証拠がある。このビデオの「Statistics & Data」にあるHonours for this videoに61項目も上がっている。とんでもない数だ。(7月22日時点。26・28日時点でも23項目)
「旅行&イベント」カテゴリに入るこのビデオをカナダはもちろんのこと、グローバル、ドイツ、スペイン、フランス、韓国、オランダ、チェコ、スウェーデン、豪、アイルランド、インド、ニュージーランド、イスラエル、メキシコ、ポーランド、ブラジル、ロシア、香港、台湾など世界各国で「お気に入り」「トップ評価」「最多視聴」「最多コメント」でトップ、あるいは上位にランクされている。
注意:以下のリンクは22日時点なので、現在のランキングではない。
Honours for this video
この雄大な自然力が世界中のYouTubeユーザの魂を揺さぶったことは間違いない。このビデオを見て世界最大の水槽を持つアトランタのジョージア水族館へ来週行こうと思ったり、近場の海水浴場へ行ってみようかと思った人もいるだろう。よし、俺がもっとすごいビデオを撮ってやると準備を始めたり、昔、自分が撮ったビデオをYouTubeにアップしようと探しているユーザもいるかもしれない。あるいはひょっとして沖縄、日本へ行ってみたいと思った人もいるかもしれない。
しかし、コンテンツのクオリティが良ければそれだけで世界中に伝わるわけではない。それだけでBlog、SNSなどのソーシャルメディアスペースでコンテンツが消費、共有されるわけではない。何がこの素晴らしいコンテンツの魅力を世界に伝え、それを広めたのだろう?
いちカナダのフリーランサーがアップしたビデオが、なぜ、カナダ以外のユーザに評価されているのか、英語圏ではないロシア、スペイン、フランス、イタリア、ポーランド等などで「旅行&イベント」カテゴリだとしてもなぜ、最多視聴をたたき出したのか?
当然それは、世界中からインターネットユーザがアクセスするYoutubeがベースにある。が、それよりも重要なのは個人的、そしてソーシャルメディアスペースでのコネクションだ。彼のVimeo、Facebook、Twitterでのコネクションはもちろん、彼の友人、コンタクト、フォロワーが持っているコネクションだ。人と人のつながりだ。
そしてこのコネクションで語られるのがクチコミ情報だ。「すごいビデオが上がってるよ!」、「見て見て!」といったEmailや、Blog、SNSプロファイルでコンテンツが語られたわけだ。これなくしてどんなコンテンツ、情報も消費され、共有されることはない。
さて、Visit JapanキャンペーンはYouTubeにチャネルを持っている。
が、チャネル管理人が行った「コンテンツ更新」、「お気に入りビデオ」、「友人になったチャネル・サイト」などの行動履歴を表示したり、「評価したビデオ」「コメント」などでチャネル(管理人)の顔を見せ、ユーザから「お気に入り」をもたったビデオや、チャネルの購読者や友人として登録したユーザを紹介してはいない。
参考:Visit Japan 2009 -2 (Online Ad 2009/06/23)
チャネルとして、YouTubeユーザとしてコネクションを広げる試みが成されていない。そしてコネクションはYouTubeだけで完結するわけではない。そのため、SNS、Twitter、Digg、Flickrなどにもコネクションの輪を広げるべきだが、成されていない。そのコネクションを活用して「クチコミ」を広げるべきだが、成されていない。
Visit Japanの競合であるVisit Britainは、2008年に世界17カ国を対象にした大掛かりな調査を実施している。それによると「観光地を決定する際、頼りになる情報ソース」、「旅行前に旅程を決めるために利用した情報ソース」のどちらも、「友人あるいは知人からの情報=クチコミ」がトップになっている。
Source:Visit Britain
これは、実際に観光地を旅行した人の生の声がベストであることはもちろん、その生の声を伝えるクチコミコネクションがもっとも影響力を持つことを物語っている。
そして、Visit Britain(VB)はもちろんこの調査結果を活かして...、と書きたいところだが、この調査結果をもっともよく活用しているのはVisit London(VL)のほうだろう。どちらもソーシャルメディアスペースに参加し、それなりにユーザと会話を行っている。しかし、Facebookに参加しているのはVLだけだ。12万人のファンを持つVLは、Londonの良さを、素晴らしさを、楽しさを受け止めるユーザと、その数倍、数10倍に達する個人コネクションを持っている。彼らのクチコミコネクションを上回るいかなるマーケティングチャネルも存在しない。(クリックでサイトページへ)
Visit Japanも、キャンペーンとして個人的コネクション、ソーシャルメディアスペースでのコネクションを拡大し、クチコミしてくれるサポーター、アドボケーターを増やすべきだと思うが、いかがだろうか?
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