Integrated Communications(統合コミュニケーションズ)とはよく言われる言葉だ。CC、広報、広告、DM、販促、SMOであれ、ひとつの傘の下にコミュニケーションを統合しようとするものだ。
ところがVocusの「Blurring Lines, Turf Battles and Tweets: The Real Impact of Integrated Communications on Marketing and PR」を見ると、現実はなかなか思い通りには進んでいないようだ。
まず垣根をなくす意味でも、統合・合同キャンペーンをやるにしても必要な広報、マーケの全体会議を「いつもやる」のはたった11%、「やったことがない+めったにやらない+分からないの」は合計22%、「たまにやる」のが67%だ。
その理由はというと、最大の33%を占めるのは「組織の縦割りサイロ」、12%で「組織のカルチャーや抵抗」、「上職の理解不足」が7%、「社員の知識、スキル、能力不足」が6%となっている。
次に、ソーシャルメディアを担当すべきはどこかと訊いている。PR側はPRが担当すべきだと43%が考えているが、マーケ側でマーケが担当すべきと考えているのは35%。PRとマーケが合同で担当すべきと考えているのはPRで38%、マーケで42%だ。しかし、PRでも8%はマーケ、マーケでは11%はPRが担当すべきと考えている。いずれにせよPRやマーケ単独、そして合同でやるべきとするのは合計90%前後に達する。
しかし、PR、マーケの双方で引いている綱がその時々のイベントやキャンペーンであっちに行ったり、こっちに行ったりしているようで、意識統一はまだできていないようだ。
そして企業公式Blogになると話はもっとややこしいようだ。PRやマーケ単独、そして合同を合計しても60%前後で上の90%前後とは大きく違う。企業Blogになると、PR、マーケ以外に法務、財務、IT・情シスなど、その他の別部署がからんでくるのが分かる。
Source:Vocus / Blurring Lines, Turf Battles and Tweets
EdelmanのSVP Digital、David Armanoが「Social Media Is Dead」で示すように、ソーシャルメディアにはそれこそ、ありとあらゆる部署がからんでくる。
Source:Logic + Emotion / Social Media Is Dead
Integrated Communicationsを進めてゆくには、まず全社各組織に対する啓もうしかない。そして、既存組織のままではなく、まったく新しい部署、組織を作るしかない。Cokeはグローバル、ドメスティックのカウンシルを社内に作ったそうだが、縦割りサイロを温存しながら、横串をさせる組織、風通しを良くする部署が必ず必要になる。Social Media、Digital Marketing、Interactive Marketing、Online Marketingといった組織からCorporate Social Media Summitに講演者として参加することからも明らかだ。
参考:Insights from Coke (Online Ad 2010/04/13)
参考:Corporate Social Media Summit (Online Ad 2010/04/15)
参考:Corporate Social Media Summit -2 (Online Ad 2010/05/07)
このように社内意識を統一した上で企業・ブランドとして外部発信メッセージをソーシャルメディア化し、ユーザとエンゲージしてゆくしかない。しかし、この「ユーザとエンゲージ」することを忘れているケースが大半だ。新しい部署、組織ができたのは良いが、ソーシャルメディアを使って既存マーケティング手法、メガホン手法、ブロードキャスト手法をやるだけのケースが大半だ。
「エンゲージ」するということは、今までの広告や広報とは違い、予算を計上してROIを確かめたうえで支出するだけといった簡単な業務には収まりきらない業務になる。マインドセットを切り替え、パラダイムシフトを受け入れ、理解しない限り、ソーシャルメディアマーケティングは効果がないのだが...。
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