2009/04/15

Ad Spend Forecast

日本では朝日広告社が加盟しているWorldwide Partners Inc.が、全世界の加盟各社のうち7割、83社が回答した調査レポートを出している。

不況だと認識している比率は南米を除き、深刻だ。
  • 世界 67%
  • アジア・パシフィック 54%
  • EMEA 70%
  • 南米 25%
  • 北米 76%
「この不況がいつまで続くのか」との問いに;
  • 世界 47%が12ヶ月、35%が18ヶ月
  • アジア・パシフィック 60%が12か月、20%が18ヶ月
  • EMEA 57%が12ヶ月、35%が18ヶ月
  • 南米 30%が12ヶ月、40%が18ヶ月
  • 北米 42%が12ヶ月、39%が18ヶ月
と予想している。80%前後が不況からの脱出に12ヶ月以上かかると答えていることからも不況の深刻さがわかる。

そして、広告予算の削減幅は以下の通りだ。

大手広告代理店が予想する5%といった生易しいものではなく、15%、20%、果てはそれ以上の削減を予想している。全体で20%の削減を見込むのが40%と最大で、EMEAはことに深刻で62%にも達している。
それでは、どの分野がこれから伸びとみているかというと、当然、これはデジタルだ。全体で49%、北米で62%、EMEAで57%、アジア・パシフィックで46%となっている。
B2Bの場合も、クライアントの広告費削減幅は全体と似たり寄ったりだ。ここでもEMEAは最悪で、20%削減が57%、20%以上が14%もいる。
Source:Media Week / Ad Spend Forecast Bleaker Still
Source:Worldwide Partners Inc / Ad Spend Forecast Bleaker Still (pdf)

ま、中堅規模の広告代理店の広告費予想だが、「他の(大手)代理店は5~6%の削減を予想しているが、2009年における米国の広告費は15~20%の削減を予想するしかない」とWPIのCEO、Al Moffattが語っているが、当たらずとも遠からずではないだろうか?

さて、Varietyが2008年の欧州TV広告費をレポートしている。

それによるとスペインが大打撃を受けていて前年比11%減の30億ユーロ(39億㌦)だ。それ以外はそれほど酷くはないが、伊が0.7%減、独が1.3%減、仏が2.4%減で、UKは5.4%減となっている。

Screen Digestの予想では、UKは今年7.7%減、伊が4%減、独が8%減、仏が9%減だ。ただし、2010年のワールドカップで持ち直すと期待している。

Source:Variety / Bleak forecast for Euro adspend

ワールドカップで持ち直すと期待しているが、本当にそうなるだろうか?

今年、広告費、特にかさ張るTV広告費が大きく削減され、印刷媒体予算からの削減枠と合計されてデジタル分野に回されるのは確かだろう。となると、デジタルマーケティングが全体の中でも大きな位置を占めてくる。レガシーメディアのROI、Accountability、Measurabilityとデジタルメディアのそれが比較されてくる。その結果が今年から来年にかけて蓄積されてくる。ということは、デジタルメディアを活用する広告やマーケティングによって様々な情報、データが次のマーケティング戦略構築に生かされてくることになる。

このデータに太刀打ちできるものをTVや印刷媒体が持ちえるのだろうか?

単純に景気が回復したからとか、あるいはワールドカップで世界中からの注目を集めるからといった理由で、一度削減された予算がTVや印刷媒体に戻るのだろうか?それほどナイーブな広告人がいるのだろうか?

ただし、その予算を既成メディアのオンラインサイトにバナー広告、あるいは検索リスティング広告に投下するだけでは高いROIどころか、期待する露出さえも獲得できないだろう。

それはなぜかというと、ユーザが既成メディアのオンラインサイトから離れているからだ。ユーザはSNS、Blog、ビデオ共有サイトへ流れている。このソーシャルメディアサイトを活用しない限り効果はない。

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