2009/04/01

ROI on Social Media Marketing

Aberdeenグループから「ROI on Social Media Marketing: Why it Pays to Drive Word of Mouth」という資料が出ている。

クチコミの力を借りていかに企業が、ブランド認知やROMI(Return on Marketing Investment)を向上させ、顧客獲得を増加させ、その他のメリットを享受しているかを調査したものだ。企業を「Best-in-Class」「Industry Average」「Laggard」の3つに分け、「Best-in-Class」に焦点を当てている。

先頭を走るBest-in-Classは、全体の20%を占め、好感度、ROMI、顧客獲得率が大多数で向上している。それに比べるとLaggardsは悲惨だ。好感度はたった2%、顧客獲得率は6%、ROMIに至っては0%の達成度だ。
金融危機、世界同時不況により、どの企業も予算は削減されている。ソーシャルメディアマーケティングも例外ではなく、調査対象の59%は戦略の再検討を迫られているが、39%は変更なしらしい。特に、Best-in-Classでは63%が予算を増やし、変更なしは34%、そして削減するのは3%でしかない。
これだけの成果と、今後の予算に裏打ちされた積極性を見せられるとLaggardだって黙ってはいられないが、「一体どうしたらいいのか?」という問いに答える第3章、「Required Actions」がある。
まずその前に、事実として次の数字が挙げられている。
  • Laggardのうち21%しか、ソーシャルメディアから実行できるヒントや洞察を導きだしたり、引き出すための最適事例を定義していない
  • Best-in-Classの41%に対して、15%のLaggardしかブランドアドボカシー・カスタマー引用を計測する効果測定基準を定義していない
  • Best-in-Classの74%に対して、38%のIndustry Averageしかインフルエンサーを特定する能力に満足していない
ということでLaggardが取るべきステップは何かというと;
  • ソーシャルメディアから活用したり、実行できるヒント・洞察を引き出す最適事例を定義する
    現在でも、Laggardの21%しかこれを定義していない。同じ業界、あるいは別業種・業界企業の事例から学習すべきだ。
    (ケーススタディならいやというほど転がっている)
  • 顧客とのオンライン会話に従事する社員を選抜し、訓練する
    Aberdeenの調査によると、顧客とのオンライン会話に多様な関係者を任命している。製品マーケティング部門、コーポレートコミュニケーション部門、顧客対応部署、PRエージェンシー、デジタルメディア部門、マーケット調査部門など多くの関係会社や社内部署を動員すべきだ。
  • ソーシャルメディアマーケティングキャンペーンの予算を確立し、プロセスの承認を取る
    ソーシャルメディアキャンペーンは企業のマーケティング目的を達成するための切り札になりえるかもしれないが、必要な情報、知識が欠けているため社内調整が困難だ。そのため、ソーシャルメディアマーケティングは他のマーケティング戦略とは別計画とし、他との差異を説明して、想定される成果に対する期待を排除するべきだ。
Source:BtoB Online / Marketer Increase Social Media Budgets
Source:Aberdeen / The ROI on Social Media Marketing

最後の「他のマーケティング戦略とは別計画とし、他との差異を説明して、想定される成果に対する期待を排除するべきだ」というのは意見が分かれるはずだ。

ただし、既成メディアを使ったマーケティングに対して、過去数年、いや、ここ1、2年ほどで名前が浮上してきたソーシャルメディアマーケティングを同じ尺度で測ることはできないという説明をすべきだ。企業がコントロールできないメディアを使うのだという理解をしてもらわない限り、想定される成果自体を設定するなとは言えない。また、上のソーシャルメディアマーケティングの成果を享受しているBest-in-Classをフィーチャーしたケーススタディを理解してもらう必要もある。

Laggardに対する行動ステップだが、グローバルマーケットに対してオンラインのブランディングが必要だと考えている日本ブランドがあれば、ぜひ、検討してもらいたいところだ。

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