2009/04/30

Beyond Advertising

昨年、「The End of Advertising」というIBMの資料を紹介した。

参考:The End of Advertising (Online Ad 2008/08/29)

その「The End of Advertising」に連なるシリーズ第二段的な資料、「Choosing a strategic path to the digital consumer」というサブタイトルがついた「Beyond advertising」というレポートがIBMから出ている。

中で一番目を惹いたのは下の図だ。

2002年にTV、Print、ラジオ、OOHなど既存マス媒体広告費のシェアは47%、2007年に41%に落ち、2012年には32%へダウンすると予想している。
反面、オンライン広告、ブランドエンタテイメント、クチコミマーケティングなどの代替・インタラクティブチャネルの予算シェアは2002年の7%が、2007年には13%へ、そして2012年には27%へアップすると予想している。

この予想の背景は、「企業の広告予算がインタラクティブで、効果計測が可能なフォーマットへシフトしている」ということにある。

Source:IBM / Beyond advertising: Choosing a strategic path to the digital consumer

2008年のデータを基に予想されたようなので、金融危機、世界同時不況も考慮された予想のはずだ。そして、2012年であれば不況から回復しているはずだ。にも関わらず既存マス媒体広告費のシェアは沈下が止まっていない。

これは、今年から来年にかけて削減される既存マス媒体広告費は、景気回復時にも回復しないということだ。インタラクティブで、広告効果が可視化でき、計測できるオンライン広告・マーケティングに配分された予算を、広告効果が可視化できず、計測できない既存媒体に戻す理由はないということだ。

その時期にもまだ、既存マス媒体に固執するマスメディア、代理店、そしてクライアントさえも蚊帳の外になる他はない。

今こそ、考え方を変える時期だ。昔から獲得してきた経験知を、そして期待値をすべて消し去らなければパラダイムシフトを理解することはできない。後戻りすることを期待するほど非生産的な行為はない。

今どきの若いものはと嘆き、昔を懐かしむ老人は時代の移ろいを理解できない個人の存在としてあったが、業界、あるいは企業・ブランドとしてもあるのだろうか?インターネットが存在しない時代に戻りたいと考える業界、マルチタスクの消費者が消え去り、一家そろって家に一台しかないTVの前で力道山やジャイアント馬場がヒールの外人レスラーをやっつけるプロレス中継を親子三代で視聴する懐かしい時代に戻りたいと考える業界、企業・ブランドがあるのだろうか?

0 件のコメント: