18~49歳までの男女100人に対して、24のターゲットブランドが出現する広告を露出させた調査結果を明らかにしている。
以下の5つのパターンでターゲット広告を視聴した翌日の助成想起を比較している。
- TVCFとラジオ広告
- TVCFとオンラインビデオ
- TVCFとオンラインディスプレイ広告
- TVCFと新聞広告
次にTVCFとオンライン広告の視覚的な注目度を比較している。平均するとTVCFの視覚注目度は88%だが、オンライン広告は1%にも満たない結果となっている。
それは、オンライン広告の視線トラッキングのヒートマップを見ればよく分かる。ターゲット広告が2つあるが、そこへ移動している視線はほんのわずかしかない。ほとんど全ての視線は左側のテキストや、セクション見出し、移動ボタンなどに集中している。
最後に同心円の先端にTVが位置し、一段下がった位置にオンラインビデオがあり、その下に新聞とラジオが来て、最後、もっとも低い位置にオンラインディスプレイ広告があるスライドがある。このスライドはあまりにもひどい誤解を生みかねないので省略する。
Source:TV.org
この調査結果を見れば一目瞭然だ。オンライン広告なんて何の役にも立たない。やっぱりTVCFが一番だ。ソーシャルメディアなんか糞食らえといった雄たけびが遠くカナダで木霊しているのが聞こえてくる。
しかし、実際のところ被験者は、テスト室に閉じ込められ、TVの場合30分のコメディ番組を視聴してもらい、オンラインの場合15分間MSN.Caをサーフしてもらうことになる。テスト中はとに角、それ以外何もできない。
こんな日常生活は存在しない。TV視聴者はCFタイムになればチャネルを切り替えるし、TVだけを視聴する人間は少なくなっている。携帯やPCを操作しながらTV番組にも目を走らせ、iPodで音楽を聴いている消費者の方が多いくらいだ。
オンライン化し、ソーシャルメディア化した時代に逆行し、TVという一時代を築いたメディアの効果を最大限に発揮するこんな非日常をベースにした調査を行い、TVCFの助成想起が一番だといった結果を公表する予算があるのなら、もっと別なところへ使った方がいい。DVRがらみの録画視聴率など、他にもこれに類似した調査がたくさんあるが、これほどひどい結論を導き出したものはめったに見たことがない。
それだけTVと言うメディアの衰退を押し留めることができない実態が見えてくる。もう、一方通行のコミュニケーションでは露出できたとしても、共感も共有も拡散もしてくれない。パラダイムシフトに逆らっても得るものは何もない。
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