2010/04/12

Future of Legacy Media Online Site

先週、久しぶりにNYTimes.comへアクセスした処、なんとも寂しい思いをした。

下の画面はNYTのグローバル版で、その下は米国版だ。
グローバル版のHome Page SOV(Share of Voice=NYTロゴの左右に位置するスペース)には、IHT購読プロモーションが掲出されているが、米国版は空白だ。
もう5年ほど前の話だが、SOVには毎月、5クライアントがユーザアクセスごとのローテーションで入り、最低3,000万impression、確か10万㌦程度の広告スペースだったはずだ。そのSOVに自社広告と空白スペースしかないというのは、世界の新聞とも言えるNYTのトップページとしては実に寂しい。

IHTと合併させたグローバルサイトのオーディエンスセクションには、780万人の海外読者がついており、世界とビジネスニュースのソースとして毎日数回アクセスし、FT.comやWSJ.comより欧州およびアジアからのユニークユーザは多いと書いている。また、欧州とアジアの詳細データを挙げている。
そして、HPSOV、HPMPU、Videoなどの広告スペース・オプションごとに、ブランディング、ターゲッティングなどの可能性を説明している。

しかし、今、必要なのは上のようなスタティックデータではない。上のようなスタティックデータは新聞をレガシー広告媒体として売るためには必要だが、Webサイトをオンライン広告媒体として売るためには役に立たない。

現在、いかなるWebサイトも単独で存在していないし、存在できない。それはNYTに限らず、CNNであれ、Yahooであれ同じだ。レガシーメディアの新聞が地域的に隔離されたり、業務・職務の読者で分類されたりと、差別化要素を個々に持ち得るのとは違い、いかなるWebサイトであろうと世界中をひとつのオンラインスペースに抱合するインターネットのごく一部でしかない。そこに、昔からのマインドセット通り、購読者数だとか、デモグラフィックスだとか、UU数だとか持ってきても意味を成さない。

ひとつの宇宙の中に浮かんでいる小島が、宇宙の中でどのようなリレーションズ、コネクションズ、ネットワークを構成し、一部となっているかを示すデータが必要だ。それはソーシャルメディア関連データでしかあり得ないし、ソーシャルメディアスペースにおけるユーザ評価でしかない。

そしてレガシーメディアのオンラインサイトと同様に、企業・ブランドのWebサイトも全く同じだ。裸の王様は、おとぎ話の世界だけにいるのではなく、リアルな世界にもいることはわれわれ自身が身をもって体験している。そして、我々だけではなく、裸の王様になってしまった経験を持つ世界に冠たる企業・ブランドも多く存在する。寒々しい風が吹き付ける裸のわが身を認めない限り、レガシーメディアのオンラインサイトはCNNであれ、NYTであれ、存続することは非常に困難だと思う。

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