NYT.comが伝えるところでは、NYTはIHTとWebサイトの合体を検討しているらしい。
IHT.comのトップページにはすでに「The Global Edition of the New York Times」というフレーズが入っている。しかし、まだ仏国内法との調整があるため、正式決定ではないが、すでに数ヶ月にわたり検討が重ねられてきたようだ。
基本線は、IHT.comをNYTimes.comのグローバルWebサイトとするらしい。WebTrendsによるとNYTimes.comは全世界から5,800万オーディエンスがアクセスし。IHT.comは700万オーディエンスだそうだ。今までのところNYTimes.comを海外向け媒体としてプロモートしたことも、海外ユーザ向けのセクションもない。ということで、すでにIHT.comのコンテンツを改修し、ビジネス、文化、スポーツ、ラグジャリー、旅行など、6~7つの国際セクションを新設するためデザイナーが準備しているそうだ。、
Source:NYTimes.com / The Times and I.H.T. Study Web Merger
さて、この動きは必ず失敗すると言える。
現在、NYTimes.comへ世界中からアクセスしているインターネットユーザは、IHTが伝える欧州ベースの記事が読みたいわけでも、看板を付け替えてNYT+IHT.comとなるいわゆるグローバルWebサイトの記事が読みたいわけでもない。
NYTimes.comへアクセスしている理由は、NYTが伝える米国内の政治、経済、社会、文化の記事、情報なのだ。米国の政治や経済が自国の政治や経済へ与える影響を読み解こうとしているのだ。自国での自社ビジネスへの影響、そして海外との自社ビジネスへの影響を読み解こうとしているのだ。NYTの記事をベンチマークとしたいのだ。また、米国内の社会現象を誰よりも早く知りたいのだ。映画や新刊書、そしてミュージカルなどのレビューが必要なのだ。NYTが取り上げる、報道する米国内ニュースが国際(ユーザ向けの)ニュースなのだ。
YouTubeに世界中のユーザがアクセスするのはなぜなのか?それはそこにしかないコンテンツがあるからだ。YouTubeが日本人ユーザ向けだけのセクションを作っても、それは日本人ユーザに訴求するだけで、グローバルユーザには訴求しない。英語ベースではあるがどこにもない新しいコンテンツが日々、更新されるサイトであるからこそYouTubeに世界中からアクセスがあるのだ。
NYTブランドで各国別ユーザに訴求するWebサイトを作った場合、それはローカルWebサイトでしかない。グローバルなオンラインメディアではない。
NYTがすべきは、現在のコンテンツに加え、米国内のIT系やインターネット系のニュース、情報提供を質量共に向上させることだ。世界のインターネットユーザが求めるニュース、最新情報を提供することができれば、現在の5,800万ではなく、その2倍にも、3倍にもオーディエンスを拡大することができるはずだ。
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