eMarketerのCEO、Geoff Ramseyが「Digital Marketing Now Seven Strategies for Surviving the Downturn」という資料をアップしている。
このホワイトペーパーは底知れぬ金融危機を迎えたマーケターが検討すべき戦略、戦術をリストアップしているのだが、その戦略へ行く前に、大きな流れ、トレンドを説明している。まず、各調査会社の今年、来年の広告費を上げている。基本的に弱含みだと見られ、昨年までの力強さはない。
次に企業マーケター側の予想だが、2008年の広告予算が削減されると見るマーケターが多い。減収減益パターンのもとで広告予算が突出して消化されるとは考えにくい。
予算枠が削減されるので、予算配分が重要となる。調査各社によると新聞、雑誌、TV、ラジオなどのレガシーメディア予算は大幅な削減が予想されている。Epsilonが調査したケースでは59%、MarketingProfsの場合85%が既成マスメディア予算を削減すると回答している。
一方、オンライン広告はというと各調査会社ともに強気の見方をしている。これは当然だろう。既成マスメディア予算が削減されるのは広告効果、効率が低下しているからだし、効果そのものを測定できないからだ。それとは逆にオンラインは効果測定ができるだけ予算枠は増加する。
だからこそ、総広告費に占めるオンライン広告の比率は昨年で7.6%だったものが、2013年には18.3%に達すると予想できる。
Source:eMarketer / Seven Strategies for Surviving the Downturn
と、ここまでは大方の予想通りの数字、予想が並んでいる。しかし、注目したいのは下の数字だ。
企業側マーケターが配分する予算の中で広告、既成マーケティングの予算枠を削減すると回答したのは、それぞれ59%、65%にも達している。逆にインタラクティブ/オンラインマーケティングを増やすとするのは63%になっている。
この「インタラクティブ/オンラインマーケティング」にオンライン広告は入っていない。オンラインもオフラインもすべて「広告」にくくられている。上にあるようにオンライン広告の伸び、シェアは増加するだろうが、「広告」枠内での話だ。
IBMが「The End of Advertising」というペーパーを出して、「マスメディアというコンセプトは終了した」と宣言したようにオンでも、オフでも広告、すなわち一方通行のメッセージ配信の時代は終了した。オンライン広告のCTRやVTRが下落傾向なのはそれを如実に現している。
参考:The End of Advertising (Online Ad 2008/08/29)
米国企業が「インタラクティブ/オンラインマーケティング」でやろうとしているのは、ブランド認知や販促といった側面もあるだろうが、本質は顧客の意見、アドバイス、批判などの洞察を獲得して製品改善、新製品開発、顧客マネージメントに活かすことだし、オープンなコミュニケーション、会話を通して企業・ブランドとのエンゲージメントを強化し、コンテンツ(ブランド)の消費や流通、再発信に参加して(させて)もらう、共有して(させて)もらうという目的がある。
オンライン広告を出せばWeb 2.0スペースへ参加できるのではない。Blog/SNS/Forum/Communityへの参加なしに、単にそれらにオンライン広告を出している企業・ブランドと、既存サイトへの参加だけではなく独自のメディアとしてBlog/SNS/Forum/Communityを構築している企業・ブランドとのギャップは否応もなく広がってゆく。
金融危機以降、効率重視のメディア選択が一層、強化されるとともに、自前メディアを積極活用するマーケティングが主流となる。媒体費の要らないメディアを持っていることに気づかない企業・ブランドはWeb 2.0スペースでのブランド認知は低下し、顧客ロイヤルティあるいはブランドの評価は低下するしかない。
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