2008/08/29

The End of Advertising

「The End of Advertising as We Know It」というちょっと刺激的なタイトルの資料がIBM Global Business Servicesから出ている。全世界2,800人の消費者、および80人の広告業界のエグゼクティブを調査したもので、2007年の11月に公表されたものだ。
この資料は、「過去50年間に起こったことよりも、今後5年間に広告業界に起こる変革は大きい。力を持った消費者、独立独歩色を強める広告主、そして変革を継続する新技術が、どのように広告が販売され、消費され、追跡されるかを決定する。消費者、ビジネスモデル、ビジネスデザインにおける革新をうまく実装していかなければ、伝統的な広告業界のプレイヤー、TV局、広告代理店などは弾き飛ばされるかもしれない」というイントロから書き起こしている。

IBMは次の4つを広告、広告業界の地殻変動要因としてあげている。
  1. Attention
    マルチチャンネル世界の消費者は広告をどのように見て、どのようにやり取りし、フィルターするかというコントロールを行っている。リニアなTVから注意を逸らし、広告をスキップする。すでにPC利用時間はTVを上回っている。71%は毎日2時間、19%は6時間以上PCを利用するが、TVはそれぞれ48%、9%でしかない。
  2. Creativity
    オンラインビデオを視聴するサイトの中で、UGCサイトが回答者の39%を獲得してトップ。アマチュア、セミプロなどが新しい低価格の売上収入分配モデルでクリエイティブに参入。広告代理店制作のクリエイティブよりもアピールしている。雑誌やTV局は広告主と提携し、広告代理店を中抜きして、UGCを活用した戦略キャンペーンを実施し始めている。
  3. Measurement
    広告主はより一層、個人を特定し、関与度を測る測定を求めてくる。三分の二の調査対象者は、3年以内にインプレッションベースからインパクトベースへ、広告予算の20%が移行すると予想している。
  4. Advertising Inventories
    検索広告、アドネットワークなど新規参入により、半数以上の広告関係調査対象者は5年以内に広告発注の30%がオープンプラットフォームに移行すると予想している。
そして、毎年、「The State of News Media」を出しているJournalism.orgがある。2008年版のレポートに「Special Report」というセクションがあり、そこで「広告の将来」が語られている。
  • メディア環境で起こっている変化に、どのように対処すべきかを知っている人間は少ないし、これから起こる変化に関しては一層、少ない。
  • 分かりやすくいえば、「マスメディアというコンセプトは終了した。それを何が代替するのか?その際、広告がどのような役割を果たすのかはまだはっきりしていない」
Source:IBM / Digital Consumer Study (pdf)
Source:Journalism.org / The State of News Media 2008 (Special report)

オンライン広告が、広告全体に及ぼす影響が見えている。Web/Blog/Podcast/Webcastなどで個人がメディア化している。メディア化した個人がコンテンツ流通をコントロールし、マスメディアや企業が制作したコンテンツを凌駕する勢いで広がってゆく。ここにマスメディア以上のパワーが潜んでいる。

IBMやJournalism.orgがいうように、広告やマスメディアは死語となりつつあるのだろうか?多分、そうなる業界、広告主がいるし、そうならない業界、広告主もいるということだ。あるいはそうさせない広告業界がいると言い換えてもいい。

しかし、Accountability、広告効果測定および評価、ROIの可視化、投資の正当性といった段になると、もうフォーカスグループや、たった数千の視聴者ベースの話で納得する広告主は多くはない。

従来同様のビジネス、業務で来年は迎えられても、再来年は危うくなり、3~5年後には鮮明になっているのではないだろうか。危機意識のある代理店の人はいるのだろうか?

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