2008/11/21

Viral Video Marketing

広告代理店などの視点から見たバイラルビデオマーケティングの調査データがFeed Companyから出ている。

下のバイラルビデオのうち、いくつご存知だろうか?






YouTubeでの最大視聴回数をたたき出したバージョンだけでもそれぞれ、460万、410万、140万回以上視聴されている。これだけの露出が稼げる(かもしれない)ということでバイラルビデオは熱い。

さて、調査データの方だが、まずブランド・企業側の受け止め方だが、72.1%の企業は統合マーケティングの一部としてバイラルビデオを利用することに興味を示している。48.8%が興味を持ち、23.3%が非常に興味があると答えている。

基本的に媒体費が不要であり、気に入った視聴者が自分のWeb/Blogに埋め込んだり、SNSなどでコメント、引用、リンクを張ってくれるだけでコンテンツ消費チャネルが増大、再露出してくれるだけにブランド・企業側は一様に肯定的だ

ただし、当然ながら一部には、TV、ラジオ、印刷広告の補完としてしか見ていないブランドも存在している。

今年、バイラルビデオを制作したことのない代理店は14%、11本以上制作した代理店は23.3%、6-10本が14.0%、3-5本が18.6%、1-2本が30.2%だ。

次にバイラルビデオの効果を評価する視聴回数があるが、これが大きく分かれている。

27.8%が100万回以上の視聴としているが、10万、25万、50万回の視聴でもバイラルビデオが成功したと考えている代理店がいる。

ま、これはそれぞれのマーケティング・キャンペーン戦略やブランド戦略のターゲットにあわせて変わるということだ。しかし、10万回の視聴でバイラルが成功と考えるブランド・企業・代理店はどういった業界なのだろう。非常にセグメントされたB2B関連なのだろうか?

次に陽のあたる場所だけではなく、避けては通れない効果測定面を取りあげている。

「改善が必要」な部分として、「トラッキング・レポーティング」が52.6%、「バイラルマーケティングの実行戦略」が55.3%を集めている。「トラッキング・レポーティング」はこれに加えて21.1%が「特に改善が必要」だとしている。

バイラルビデオを流すに際してブランド評価を保護することはブランド側にとっても、代理店側にとっても一番のはずだが、「ブランド保護」や「透明性」で一番票を集めているのは「ある程度改善」が必要という形になっている。それぞれ36.8%、44.7%だ。

Source:Feed Company / Viral Video Marketing : The Agency Perspective (pdf)

来年のバイラルビデオ予算を予想してもらうと、削減予想は出てこない。25%増が35%、50%増が25.6%、100%アップが約10%もいる。

金融危機以降、業績・消費動向の下方修正に伴い、どのブランド・企業もマーケティング(広告)予算を削減してくる。その中で、Blog/SNS/Forum/Communityなどは企業自前のメディア(スペース)を活用することで媒体費をかけずに露出および顧客エンゲージメントを強化できるマーケティング戦略の打ち出の小槌になってくる。そしてバイラルビデオは共有スペースにアップし、上記自社メディアを活用したトラフィック誘引を行うことで予算の数倍、数十倍の露出・エンゲージメントを獲得することができる。

今までは既成レガシーメディアを使わなければ顧客とのタッチポイントを確立できなかったブランド・企業は、自社メディアを積極活用することで媒体費の要らないマーケティング・プロモーションができることを学習しつつある。そして、その効果が既成レガシーメディアを凌駕することに驚き、予算シフトを行ってくる。

IBMやJournalism.orgが言うように、「過去50年間に起こったことよりも、今後5年間に広告業界に起こる変革は大きい」し、「マスメディアというコンセプトは終了した。それを何が代替するのか?その際、広告がどんな役割を果たすのかはまだはっきりしていない」かもしれないが、来年以降、オンラインへの予算シフトは急加速し、既成レガシーメディアにしがみつくプレイヤー、代理店は終焉を迎える。

参考:The End of Advertising (Online Ad 2008/08/29)

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