2009/12/07

EIAA Ad Barometer H2 2009

EIAAから2009年下半期のAd Barometerが出ている。

EIAAはメディアサイト、検索エンジン、ポータル、オークションサイト、マーケティング会社などから構成されているヨーロッパの業界団体で2002年に設立されて以降、各種調査、マーケティング、標準化、教育など様々な分野で活動している。

そのEIAAが年に二度出してくるAd Barometerの最新版によると
  • オンライン広告予算予想
    2010年に今年比7.6%増、2011年は15%増
  • 調査対象者の96%はオンライン広告を「重要」、あるいは「勢いのあるメディア」と認識
  • 同36%はターゲティング能力を活用するためにオンライン広告を増加
  • 同31%はコスト効果を活用するためにオンライン広告を増加
  • 同61%はEmail広告を利用(2009年前半は46%)
  • 同33%は行動ターゲティングを利用(2009年前半は25%)
  • 同31%は広告ネットワークを利用(2009年前半は25%)
  • 同36%はアフィリエート広告を利用(2009年前半は26%)
  • 同33%はモバイル広告を戦略に組み入れている
  • 同97%は2010年のモバイル広告を増やす
  • オンライン広告予算は
    マーケターの30%がDMから
    マーケターの7%がOOHから
    マーケターの7%が映画から
    マーケターの9%がラジオから
    マーケターの30%が雑誌から
    マーケターの27%が新聞から
    マーケターの36%がTVから
    シフトしている
と、わが世の春を謳歌するレポートになっている。

Source:EIAA / Ad Barometer H2 2009 (pdf)

EIAAという業界団体の性格上、広告関連指標しか調査していないこと、メディア消費時間シフトしか見ていないこと、ソーシャルメディアスペースでのエンゲージメントを無視していることなど、今回のレポートには大いに突っ込みを入れたくなる。

英国のOfcomが10月にリリースした「UK adult's media literacy」という中間報告がある。2007年と2009年のソーシャルネットワークサイトにプロファイルを設定したユーザを比較した場合、各年代、性別、社会階層などすべてにわたり、それこそ2倍に伸びているグループもあるほどソーシャルメディアが浸透している。
そして、その大半はFacebookに向かっている事実がある。先発のMySpaceやBeboが大きくユーザを減らし、2007年には影も見えなかったTwitterが9%のユーザに利用されている。
Source:Ofcom / UK adult's media literacy (pdf)

こういった事実を取り上げず、単純にレガシーメディアとオンラインメディアを比較し、オンライン広告の数字だけを取り上げても納得する企業・ブランド、マーケティング、PR関係企業はそう多くはない(はずだ)。

なぜなら、欧州オリジンで米国やアジアに進出していない企業ならいざ知らず、少なくとも米国に進出しているセミ・グローバル企業であれば、米国のソーシャルメディア隆盛を体感、実感しているはずだ。少なくとも米国ではオンライン広告による旧来型の広告メッセージ配信をしているだけでは、消費者・ユーザに露出も訴求もできないことが明らかになりつつある。対話もエンゲージもできないのだ。そして、これは米国の出先から欧州の本社へフィードバックされてくる。

その現状を理解せず、レガシーメディアに代わり、オンラインメディアを使い、バナー広告、ターゲティング広告、検索広告をやっているだけで良いと判断する企業には大きな「?」をつけたくなる。

そして、少なくとも欧州の英国ユーザは、Web 2.0ステージへ進んでいるにもかかわらず、今回のようなレポートを仰々しくリリースしてくるEIAAはそれこそWeb 1.0のままなのかもしれない。

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