世界同時不況の影響は様々な分野に及んでいる。そこで、社会貢献、慈善活動への影響を見ているレポート、PRWeek/Barkley PR Cause Survey 2009が出ている。
当然、企業にも不況のしわ寄せは来ているのだが、61%は社会貢献、慈善事業などをキープしている。ただし、残念ながら21%は予算削減だし、9%は執行停止だ。
これを他のマーケティング活動、予算と比べれば少しは状況が見えてくる。例えば、新車販売用の広告予算は2009年、前年比16.8%減と予想されている。メディア別では新聞が28.5%減、TVが22.8%減と予想されている。
参考:Auto Ad Outlook 2o1o (Online Ad 2009/11/16)
業界全体が不況に陥り、自動車業界が生命線に等しい販促予算をここまで削減していることからすると、売上にどれほど貢献できているかを示すことが難しい社会貢献・慈善事業領域はよく凌いでいるという状況だろう。
それは、91%の消費者が「企業には慈善活動を行う責任がある」と考えていることからも明らかだ。企業市民として果たす役割、責任は一般消費者よりも大きいと誰もが考えているし、企業自体も当然、同じ認識を共有しなければ事業活動を行っていくのは難しいからだ。
New Balanceのブランドマーケティングマネージャ、Chris Mannは「企業が昔と比べ信頼されず、尊敬もされない時代に、消費者・顧客は信頼でき、納得できるブランドを求めている」と言う。
消費者の慈善・社会貢献行動のトップ2は物や金を寄付することだが、3番目に来るのは慈善・社会貢献に役立つ製品を買うことだ。そして、4、5番目に来るのはイベント参加、ボランティア活動となっている。自分の持てるもので貢献することに続くのは、自分が納得できる活動を行っている企業の製品を買うことだ。
「企業には慈善活動を行う責任がある」という認識と、消費者の「納得できる企業の製品を買う」という認識がここでマッチしている。
そして今、企業は持てるもので貢献する以外に、消費者、社員が社会貢献に参加できるような支援を行うことが重要となっている。これは営利を目的とする一企業の枠を超え、多くのステークホルダーの参加を募り、多様な共同作業を広めてゆくことでもある。
Source:PRWeek / Cause Survey 2009
その一例は、(RED)だろう。12月1日のADISデーに合わせて、エイズ撲滅活動へのサポートを呼び掛けている。(RED)自体、Starbucks、GAP、Apple、Dell、Bugaboo、Converse、Hallmark、American Express、Emporio Armaniの集合体だ。その集合体がFacebookというソーシャルコネクションを活用してエイズ撲滅キャンペーンを広げようとしている。
(クリックでFacebookページへ)
社会貢献活動自体を大きく、力のあるものへ育ててゆくには一般消費者、ユーザの力を借りるのが一番だ。それはマスメディアを使った広告、PR、マーケティングが変わりつつある今を象徴している。
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