2006/09/08

Visit Britain、Visit Korea、Visit Japan

Hitwiseの9月7日のBlogに「Hong Kong Outbound Travel Destination」があり、香港のインターネットユーザがアクセスした旅行関連のトップ10サイトがある。トップ10の中に日本サイトが3つランクインしている。日本観光振興協会、ディズニーランド、日本漫遊だ。しかし、目を惹くのがchinese.tour2korea.comと、www.visitkorea.or.krだ。
前者はアクセス1位を占め、完全に中国語観光客向けのサイト。後者はハングル語しか見えないため国内向けサイトかとも見えるが香港のユーザがアクセスするサイトの5位となっている。

Source:Hitwise /Hong Kong Outbound Travel Destinations

日本は3年前から2010年までに年間1,000万人の訪日外国人を誘致しようという「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を継続しているが、キャンペーンサイトはランクインしていない。そこでAlexaholicを使い、官製キャンペーンサイトとして有名なVisit Britainと比較してみた。
tour2korea.comがリーチでダントツのトップ、Visit Britainが2位、Visit Koreaが3位、観光振興協会が4位、Visit Japanは大きく引き離された5位となっている。

2005年に世界18カ国を対象に旅行の目的地をどのようにして決めたかを調査したGMI Poll「International, Travel Sites, Online Travel booking」というデータがある。決定要因となった6項目中、圧倒的にWebで探したという比率が高い。インド、ロシア、ブラジル、メキシコを除く14カ国のインターネットユーザは何をおいてもインターネットで目的地を決定している。次に多い項目はやはり知人などの推薦だ。3番目に多い旅行代理店で決めるのは、中国、伊、日本、豪、印の5カ国が上位を占めている。しかし、50%の中国にしてもWeb検索が65%にも達している。

Source:GMI (Global Market Insite)

旅行業界は、有名観光地、ホテル、航空会社がオンライン広告を増やし、直接、インターネットユーザの予約を取り付け、旅行代理店などを中抜きする傾向が強まっている。GMI Pollのデータが裏打ちしているようにインターネットを多種多様な情報ソースとして利用するユーザへ、直接訴求を強化している。また、情報ソース側からのデータ提供という側面に加え、Email、Chat、Blog、LinkなどのViral Marketingによる口コミ側面からも、インターネットは戦略的マーケティングの根幹を成す。

ところがVisit Japanキャンペーンサイトのプロモーションを見ると、業界団体向けのセミナー、イベントが目白押しだ。残念ながらインターネットを核にした戦略が前面に押し出されていない。272本のサイトリンクでは、3,567本のVisit Britain、1,039のVisit Koreaに、ことインターネットでは大きく遅れをとっている。(サイトリンク数は9月8日、Alexaによる)

2006/09/07

Google Trends

Googleが提供する様々なサービスの中にGoogle Labsというエリアがあり、またその中にGoogle Trendsというサービスがある。時系列、都市、国、言語別にGoogleを使ったキーワード検索がどれくらい実行されたかを比較してくれる。
また、キーワードが取り上げられたニュース記事のトピックも表示してくれる。

先日、Alex、TechnoratiでHD DVDとBlu-rayを比べたが、PS3とあわせてGoogle Trendsでも比べてみる。

まずHD DVDとBlu-rayを比べると、2004年から2006年6月までHD DVDという検索回数がBlu-rayを上回っていることが分かる。またニュースに取り上げられたトピックもHD DVDが多い。

さて、そこでPS3を追加して比べてみると、今度は圧倒的にPS3というキーワードの検索回数が多いことが分かる。右図にはないが、国別に見ると英国、カナダ、米国、豪での実績が多く、言語では英語と仏語が群を抜いている。

Google Trends自体まだβであり、正式サービスとしていつ開始されるのかは不明だが、デフォルト設定とは別に、国や年、あるいは月ごとにキーワード検索の実績を比較できるのは非常に面白いサービスだ。

グローバルなブランドマーケティングに一役買いそうなサービスだが、どこまで使われているのか興味をそそられる。

Google Trends

Broadband for all

25,000世帯を対象に行われたEUの世帯調査「E-Communications Household Survey (ヨーロッパの通信とブロードバンドアクセス)」によると、EU25の平均で40%がインターネットにアクセスしている。オランダの80%を筆頭に北欧、ベネルクス、UK、ドイツなどが続いている。平均ブロードバンド普及率は23%、ナローバンドは16%だが、国によって大きくばらついている。これもベネルクス、北欧はオランダのBB率62%(NB率19%)を 筆頭に高く、フランスが34%(同6%)、UKが32%(同15%)、ドイツは19%(同27%)、スペイン、イタリアなどが続いている。

さてEUは、Information Society、i2010 initiative、eEuropeなどの重要施策に加え、「Broadband for all」、「Bridging the Broadband Gap」、「e-Inclusion」、「eHealth」、「eGovernment」など、強力にICT (Information and Communication Technologies) を推進している。これは通信手段としてはもちろんのこと、地域の経済活性化と成長増進、雇用拡大の切り札としてICTを活用することであり、また、 2050年までには50歳以上の人口が34%も増えるという急速な老齢化がもたらす社会の構造変化や財政負担を克服し、ICTにより社会参加を推進するこ とで大きな経済メリットを獲得しようとしている。
現実的には、補助金・助成金をテコに加盟国ごとのレベル向上を促進、規制緩和や競争導入を働きかけている。そのため、今後、インターネットおよびBB普及率は、EU主要国はもちろん、新規加盟国でも向上してくることになる。

そ して、4.6億の人口を抱えるEUが推進するICTは、将来的にメディア勢力図を塗り替える可能性を秘めている。PCだけではなく、EU25の平均で普及 が80%に達している携帯電話からのアクセスも加えると、インターネットはユビキタスでマルチタスクメディアとしてICTの中心を占めることになる。すで に主要国では、TVなどに続き3番目のメディアとして確立しているインターネットだが、EUのICT推進は更なる底上げを後押しする。


2006/09/05

Sony Prepares for PS3 Push

SonyのPS3プロモーション計画が明らかになってきた。2000年のPS2以来の規模で、英国で£1,000万、全体で£4,000万。PS3の広告キャンペーンには、5ヶ国語(英、仏、伊、独、西語)で、6本の3分ビデオクリップが用意され、最初の2本は「Real-time」と「Blu-ray」と呼ばれる。「Real-time」はボクサーをフィーチャーしてPS3のパワーとプレイヤーのぶつかりあい、「Blu-ray」はBlu-rayの情報記録能力を強調するもののようだ。
TV広告は11月から開始される。

これらのビデオクリップは、PS3のWebサイトで公開され、MySpaceやYouTubeでも提供されるようだ。「すべてのゲートウェイを動員してソシアルメディアとし、コンソールの発売を周知したい」と、SCEヨーロッパのUKマーケティングディレクター、Alan Duncanが語っている。

Source:Guardian

Blu-ray搭載のPS3と、単体のHD DVDとの差はあるが、活用するメディアの認識が大きく違うようだ。

November Launch date for HD-DVD

BBCによれば、東芝が11月15日にHD-DVDをヨーロッパで発売するとのこと。それもBlu-rayを載せたPS3の発売2日前だ。

Source:BBC

HD-DVDとBlu-rayの勝負はすでに決着済みとする見方が多い。30GB対50GB、ハリウッドのサポートコンテンツ数、PS3の存在、サポートするメーカー数などなど。アライアンス戦略に長け、強力なブランド力を持つSonyが東芝を圧倒していると見える。

日米ですでに5万台を販売、年末までに20万台を目指し、11月の販売開始に向け、ヨーロッパには1万台を輸出するというが、Blu-rayに対抗する東芝のマーケティング戦略が見えてこない。価格と、MSとIntelのサポートだけでは主戦場たる映画コンテンツ分野で圧倒できないし、また、日本のようにTV録画がメインであったとしても録画容量は大きな鍵になる。

Alexaを使ってDVD ForumとBlu-rayの公式サイトのリーチを比べてみた。2005年からBlu-rayへのPVが増え始め、2006年Q2からはHD DVDのそれを上回っている。各サイトへのリンク数を見ると631対352でDVD ForumがBlu-rayを抑えているが、DVD Forumは古いリンクが多く、今年に入ってからのリンク数はBlu-rayが多いようだ。また、PageView(PV)もリーチと同じようなパターンを描いている。PVは、サイトへアクセスしたユーザが消費した情報量を意味する。PVが少なければ、消費された情報が少ないということになり、ユーザの理解が進んでいないことになる。また、リンク(数)はサイト自体へのアクセス以外で、他のWebサイトやBlogで情報が共有されていることを意味する。
次にTechnoratiで、Blog数を比べてみた。HD DVDに関するBlogは77,430本、Blu-rayは79,403本と拮抗しているように見える。ところがこれを言語別に見ると、HD DVDが日本語に偏っているのがわかる。逆に英語でのBlog数はBlu-rayが勝っている。
(注:Blog数は9月5日の時点)

ヨーロッパでどのようなマーケティング戦略が練られているか不明だが、全世界10億人がアクセスする情報ソース、インターネットでの情報提供、共有、ニュースアグリゲーター、リンク、タグ活用、そして自発的なコンテンツ発信の促進というWeb2.0マーケティング戦略なしに、劣勢を挽回するのは困難だと結論するのは短絡にすぎるだろうか。

China Online Ad will reach RMB 4.39 Billion in 2006

Analysys Internationalの"China Online Advertising Market Annual Report 2006"によると、中国のオンライン広告は前年比35.9%のRMB43.9億に達すると予想している。

2005年に前年比59.83%アップのRMB32.3億に達したオンライン広告は、2006年上半期でRMB21億に達し、Sina、Sohu、Baidu、Yahooの上位4社が59.2%を占めている。

今年上半期にBaiduが2005年のシェア9.51%から15.37%へと、圧倒的にシェア増加を果たしていること、そしてYahooが、2005年の9.48%から8.08%へシェアを落としていることが注目される。

Source:Analysys International

さて、ここにCNNIC (中国ネットワークインフォメーションセンター) のデータがある。1億2300万人を超えたインターネットユーザの年代別ブレークダウンだが、35歳までの若年層ユーザが82%以上を占めている。
また、情報を入手するメディアとしてインターネットが82.6%、TVが64.5%、新聞が57.9%、最も頻繁に利用するサービスとしては、ニュースが66.3%、検索が66.3%、Emailが64.2%、BBSが43.2%となっている。
自宅からのアクセスが72.2%と群を抜き、平均すると週に16.5時間、インターネットにアクセスし、そして最もよくアクセスする時間帯は、20:00(60.7%)から22:00(52.1%)。

これほど若年層に偏ったユーザ層を持ち、インターネットがメディアとしてTVに上位し、またニュースが検索エンジンやEmailの利用に先立っている国は中国を置いて他にない。インターネットがメディアの核になりつつある中国のオンライン広告は、今後も急成長が見込まれる。この灼熱のルツボと化したかのようなメディアとしてのインターネット市場から目が離せない。

Source:CNNIC (18th Statistical Survey Report / pdf)

2006/09/03

The Communication Market 2006 (UK)

OfCom(英国情報通信庁)のレポートを見ると、
1) インターネットを使うことによって他のメディア消費が減ってきている。加えて、その傾向は、15~24歳の若年層で顕著となっている。特に、全国紙(-27%)、地方紙(-22%)、雑誌(-21%)、ラジオ(-15%)がその影響を受けている。
ところで全世代でのTVへの影響を見ると、全体で-16%、15-24歳で-13%、45-64歳で-18%となっている。メディア単位で最もインターネットの影響を受けているのはTVだ。次に全国紙が-14%の影響を受けている。

2) その最もインターネットの影響を受けているTVに関して、PSB (Public Service TV Broadcasting:BBC-1、BBC-2、Channel-3、4、5)の5TV局合計の視聴シェアが継続的に低下しているというデータがある。これも16-24歳と全世代での比較をしている。2001年に全世代で80.4%、16-24歳で74.3%あったシェアが毎年、低下を続け、2005年には全世代で70.4%、16-24歳で58%にまで下がっている。
この5年間に全世代で10%、16-24歳で16.3%低下したことになる。たった5年間で、これほどの大きなメディアシフトを生んでいる理由のひとつは若年層とSNSだろう。

3) TVの視聴低下の原動力になっている16~24歳の若年層は主要なSNSユーザを形成しているというデータもある。少なくとも1週間に1度、SNSへアクセスするのが54%、月に1度が12%も占めている。合計で70%がなんらかの頻度でSNSへアクセスしている。これを世代別に見ると35-44歳の合計で30%、45-54歳で31%、55歳以上の25%がなんらかの頻度でSNSへアクセスしている。
ブロードバンド化が進展するにつれ、アクセスカテゴリは広がり、SNSへのアクセスも当然増えることになる。また、Blog立ち上げも増加し、情報の訴求範囲が広がることになることから、やはり、SNSは目を離せないターゲットグループだ。

4) というわけでオンライン広告は9カテゴリの中で4番目を占める広告メディアになっている。2001年から2005年までを見ると、ビジネス誌、新聞の広告費が減少、TVとオンラインが伸びている。

しかし、上のデータにあるようにTV視聴が低下してきているのは間違いないので、今後、TV広告費の一部がオンラインへシフトして行くのも間違いないだろう。


Source:The Communication Market 2006(Presentation by Ed Richards : pdf)

2006/09/01

Nokia calls up Oldman for ad campaign

ハリーポッターシリーズのシリウスブラック役、Gary OldmanをフィーチャーしたNokiaのキャンペーンは、携帯電話、デジカメ、ビデオ、音楽プレイヤー機能を搭載したN93をテコに、音楽ダウンロード市場でAppleを追撃するため、NokiaがLoudeyeを6,000万㌦で買収すると発表した後に開始されている。キャンペーンは、イギリスの映画館、新聞やオンライン広告、そしてNokia Nシリーズスタジオというビデオアップロードサイトでも繰り広げられている。

このキャンペーンは4月にオープンしたNokia Nシリーズスタジオサイトの本格的なプロモーションともなっている。このサイトは、MySpaceやYouTubeのように音楽、ビデオクリップをアップロードさせ、メディアコンテンツを消費するのではなく、コンテンツ自体を創造するというシフトを後押しするものだと、Richard Ferguson (Nokia Multimedia UKのジョイントマーケティングマネジャー) は語っている。

Source:Guardian

2006年Q2の全世界での携帯電話の金額シェアを見ると、Nokiaが33.6%、Motorolaが21.9%、Samsungが11.1%、Sony Ericssonが6.7%、LGが6.3%となっている。Gartnerは、Q2の勝者は新機種を投入し、4.2%のシェアアップを果たしたMotorolaであり、Nokiaに対してはN72などの多機能機種を投入予定だが、機能性よりもファッションや軽量機種を求める消費者に対応する必要もあると判断している。

Source:Xbit Laboratories (from Gartner)

しかし、ここではApple追撃のマーケティング戦略として、既存メディアでは対応できないSNSブームを活用したNokiaに軍配を上げるべきだろう。コンテンツを創造し、共有するSNSを後押し、露出を増加させることは、NokiaブランドのSNS内での確立にもつながるからだ。

Citizen Media Beats Big Media, YouTube Blows The Whistle

Lockheed Martinが、U.S. Coast Guardに重大なセキュリティ上の欠陥を抱える巡視艇を240億㌦で導入させたと追求するビデオがYoutubeで8月3日から公開されている。
Michael De Kort(41歳)は、元Lockheed Martinのエンジニア、すべてのTVマスメディア、75人の新聞記者にコンタクトし、巡視艇のセキュリティカメラ、通信機能、冬季航行能力などの欠陥を訴えたが取り上げてくれなかったと語っている。(彼はビデオ公開後、解雇された)
Youtubeでの公表後、Navy Times、Washington Post、NPR、その他メディアが取り上げているが、このビデオは、ABC Newsが言うように「インターネットによって、一般の人の声が聞かれる更なる証拠」であり、新メディアが既存メディアを駆り立てる最新の例となった。

Source:Media Daily News

記事にもあるように、「真実だとすると驚きだが、これはジャーナリズムではない。これは彼のストーリーであり、ジャーナリズムは彼の訴えを受け、ほかの人間の意見もあたり、真実を求めるもの」なのだが、コンテンツを一般市民が作成し、それを公表する場がいたるところに存在し、それを受信・閲覧する人たちが世界中に存在するのも事実だ。Coca-Colaなどのように企業自体が、このSNSブームを利用、活用し、露出とEngagementを稼ごうとしているのも確かだし、IBMのように3,000近くの社内Blogの大半を外部に公開し、それをマーケティングに活用している例もある。

OPAのデータにあるように消費者のメディア時間のうち、TVの39%に次いで2番目の23%を占めるインターネットが既存メディアと違うのは、双方向の情報送受信機能だ。既存メディアがなくなるわけではないが、インターネットが一層、重要性を増してくる。今後、全世界で英語やPC教育を受ける人間が増え、通信インフラ整備が進むと、全世界で英語とインターネットを使ったグローバルコミュニケーションが活発になる。取り上げられるテーマは音楽や映画・ビデオだけではない。国際政治・ビジネス、温暖化防止といった地球規模のテーマに対して、国、地域、営業エリア、事業領域単位のマーケティングだけでは対応できない時代が目の前にやって来ている。

日本企業のように製品マーケティングの(やらせ)Blog活用に失敗して炎上したり、Wikipediaの改編をしている場合ではない。

2006/08/31

Cocal-Cola music to tap social networking trend

2004年にMycokemusic.comを立ち上げ、FMCG (Fast Moving Consumer Goods)ブランドとして初めて 音楽配信サービスを開始していたCoca-Colaは、6月にAppleと提携して新しいCokeブランドの音楽サイト (www.music.coca-cola.com) を開始した。現在のところ、新サービスはiTunesから音楽のダウンロードや、Podcasting、素人音楽のアップロードが行われている。しかし、このサービスは関係者によるとインタラクティブなコミュニティ機能を持つまでに拡張されるようだ。
同社は、「コークのある生活(Coke side of life)」というマーケティングプラットフォームと結びつけ、「消費者の創造プロセスに、より主体的な役割を与える」ため、今月はじめにグローバルサイトを再構築している。

Source:Brand Republic

Nielsen//NetRatingsによれば、7月の最もユニークオーディエンスが伸びたWebブランドTop10のうち5つはUGC (User-Generated Content) が占めている。このUGCにはImageShack、Heavy.com、Flickr、MySpace、Wikipediaがあり、MySpaceは05年7月の1,624万から06年7月の4,602万まで183%のUpを記録している。
SNSは既存メディアコンテンツを凌駕し、新しいメディアコンテンツとして確立されつつある。

Source:Nielsen//NetRatings (pdf)

自身が管理するメディアを活用し、新しい顧客、すなわち自らコンテンツを提供し、共有し、配信していくSNSユーザグループを取り込もうとする戦略が、新旧メディア企業以外でも成功するのだろうか。今後、最も注目すべきマーケティング戦略のひとつだ。

2006/08/30

The net benefit of digital publishing

Deloitte & Touche LLPとUKのAOP (Association of Online Publishers) が、売り上げ£3,000万から£10億規模の出版社30社に対して、デジタル化戦略を調査したレポートがある。

変化する読者の要求にこたえるため、新規読者獲得、新しいビジネスモデル獲得などの戦略目的があげられている。30社の中でもデジタル化に成功しつつある出版社もあれば、まだまだおよび腰のところもあるようだが、2012年までには売り上げの40%にまでデジタル部門が伸びると予想する出版社もある。

そんな30社が目標とする、羨ましいとするデジタルビジネスとして10社が上げられている。
当然のようにBBCがトップに上げられているが、New York Times、Amazon、eBay、Google、WSJ、あるいは英国の他の高級紙サイトを押しのけてGuardianが2位を占めている。居並ぶビッグネームを差し置いてGuardianがランクインしている理由がこのレポートにはない。

しかし、デジタル化の取り組みが早く、独自のRSSリーダー提供、Webサイトの記事をPDF提供、Web first service (ニュースの第一報を新聞ではなく、Webへ)など、矢継ぎ早に新サービスを提供するGuardianの戦略が高く評価されているのは間違いない。特に2005年でデジタル部門が黒字化するという同社の実績がものを言っている。

Source:AOP(pdf)

2006/08/29

Lingua Franca & Internet/Online Marketing

British Councilの新しい資料「English Next」によれば、今後の英語教育はEFL(Learning English as Foreign Language)から、CLIL (Content and Language Integrated Learning)、そしてELF (English as a Lingua Franca) からGlobal Englishへシフトしていくと予測している。CLILはヨーロッパや他の地域で見られるようにコンテンツ、例えば小学校の社会や理科を、英語で教える動きを指す。ELFはNon-native English Speaker (Fluent Bilingual Speaker) が中心となる非英語圏での英語教育、そしてGlobal Englishとは、理想的には6歳から英語教育を開始し、14歳でC1 (CAE/IELTS 6.5 = 高等教育に必要とされる英語レベル) に到達させるカリキュラムを指す。

「English Next」によれば2010年にはすべての世代を通じて20億人が英語を学ぶと推測されている。その後、小学校で英語を学んだ子供たちが中学や高校へ進学するとともに英語学習者は減少し、2050年以降、若者や特別なサポートが必要とされる人々に学習者が限定されるステージに到達するとしている。

さて、2005年、中国では1億7670万人が英語を学び、また1億3700万人の小学生が誕生している。インドでも同程度の小学生がいると見られる。この子供たちが今後、学校で英語を学ぶことになり、学校でも、家庭でもインターネットを普通に使うようになる。

2005年末に10億人に達したインターネットユーザのうち、3億人強が英語ユーザである。2000年で51.3%を占めていた英語コンテンツは2005年に32%にまで落ちている。(右図)
今後、中国やインドのユーザが増加することは明らかだから当然、インターネットで使われる言語としての英語の比率は下がると予想されている。

しかし、Alexaの国別トップサイトを見ていくと、非英語圏の国々のTop100サイトにYahoo、Google、eBayやMS系サイトは勿論のこと、MySpace、Youtube、BloggerといったSNS系サイト、CNNやNYTimesといったニュースサイトがランクインしていることに気づく。
これはグローバルメディアであるインターネットは真にボーダレスなメディアであり、世界中のインターネットユーザは最新のイベント、ビデオ、音楽、ニュースなどを提供する米国Webサイトへアクセスしていることを意味している。また、CLILやELF、そしてGlobal Englishが各国で本格的に導入されることによるバイリンガルユーザの誕生と増加、そしてグローバル化による情報ソースの広域化も意味する。

もちろん、今後とも英語Webコンテンツの比率は減少するだろうが、バイリンガルとして英語を使うインターネットユーザは増え、英語トップのWebサイトへの世界からのアクセスは増加するだろう。

これを突き詰めていくと、IBMやHPといった米国企業は世界からアクセスを獲得する米国Webサイトへの広告出稿により、自国の英語Webサイトへアクセスを誘導し、世界のユーザに対してブランディングができる。しかし、非英語圏の企業は、米国にある子会社の英語Webサイトから世界のステークホルダーに対してブランディングをするか、あるいは本社Webサイトを英語化してグローバルブランディングを行うことになる。

さて、細分化された事業領域ごとに米国子会社を設立している日本企業の場合、本社Webサイトのコンテンツに匹敵する質と量を持たせ、そこまでの権限と責任を米国子会社に負わせている例はない。日本企業の本社グローバルWebサイトを見るとよくわかる。日本語の直訳的な英語コンテンツがあるだけで、自身が管理する初めてのメディアをグローバルブランディングに活用しようとする姿勢は見えない。

世界共通語となる英語、英語のトップWebサイトへアクセスする世界中のステークホルダー(ユーザ・消費者、ビジネスパートナー、自治体・コミュニティ、株主、金融機関)、そしてオンラインマーケティングに関して積極的な欧米企業。今後、日本でグローバルブランディングを開始する最初の企業はどこになるのだろう?そんな企業があるのだろうか?

Source:English Next

15.3 Million vs. 7.3 Million Unique Visitors

http://www.forbes.com/adinfo/international.html

上のリンクには、Forbes.comの「Reach The World's Business Leaders at Forbes.com」というページがある。(8月29日午前8時の時点)
全世界で1,500万人のユニークビジターがいるというcomScore MediaMetrixの今年2月のデータを元にした地域ごとのブレークダウンを示している。

しかし、comSocre自体によると数ヶ月前からグローバルオーディエンス推測方法を変更したため、7月のForbes.comのユニークビジターは730万人となっている。(Nielsen//NetRatingsによれば660万人。Forbes自体の内部データによれば1,500万)
また、Nielsen//NetRatingsもEntreprneur.comの4月のデータを760万から200万に変更したと発表している。これはユーザが許可しないPop-upページをカウントから除外したためだ。

Source:NYTimes.com

以前からオンラインサイト側データと、NNRといった第三者機関のデータが乖離していることは指摘されていた。しかし、今回のようにサイト側データが第三者機関のそれを倍以上も上回るのは非常に問題だ。特に、今になってもWebデータを変更しないサイトがあるということは、広告主にとってどのデータを信頼すべきなのか、どのデータが信頼できるのかというメディアの存在自体にも関わってくることになる。

ところが、すでに英国のABC Electronicでは最も早くて1997年の1月からの公査データを公表している。8月29日時点で過去1年間にオーディットを受けたのは180弱のサイトに上っている。

オンラインメディアが今後、大きな比重を占めていくことは間違いないが、つい2年ほど前の米ローカル新聞の発行部数詐欺事件のようなことが起こらぬように、全ステークホルダーがオンラインメディアの健全な育成を目指していかなければならない。

2006/08/23

Coca-Cola hit by College Votes for Ethical Boycott

とうとう米国の大学でのCoca-Colaボイコットが英国の大学にも波及してきた。
サセックス大学、イーストアングリア大学、ロンドン大学、オックスフォード大学などもボイコットに賛同してきた。

Source:Brand Repulic

話は2003年まで遡る。コロンビアのCoca-Cola社で働く労働組合員8人が殺害され、2人が国外追放、48人が強制解雇、67人が脅迫され、15人がテロリスト名目などで逮捕された事件があった。昨年、Coca-Cola社に対して、12月8日までにコロンビアでの労働組合員殺害、およびインドでの資源枯渇問題に対する第三者調査機関の設置を求めていたニューヨーク大学がCoca-Cola社の対応を不満として9日から、キャンパス内の自販機からCoca-Cola社製品を排除したのが発端だ。

Source:BuyBlue.org
Source:Business Week

Coca-Colaが会社として殺人事件に関与しているとは思わないが、人権擁護、労働条件向上、自然保護といった点で適正な対応を欠くとき、ブランドは大きなダメージを被る。CSRが叫ばれて久しいが、これをブランド戦略に据えている企業はどれほどいるのだろうか?
環境に配慮した調達は日本企業にも浸透してきているが、GC (グローバルコンパクト) に調印した企業の中で人権、労働にも配慮したSCMや製品調達指標を持ち、それをブランド戦略の一環として大きく打ち出しているところはあるのだろうか?

2006/08/22

Google Search Growth Streak Ends in July

今年7月の検索エンジンシェアで、Googleは43.7%(前年同月比7.2ポイント増)となり、前月比1%ダウンして11ヶ月連続のシェア増加がとうとう途切れた。
ただし、Yahoo!、MSN、Time Warnerにしても前年同月比では大きくシェアを減らしており、当分、Googleの天下は続くだろう。

Source:comScore Release July U.S. Search Engine Rankings

Google sees a mobile future in Asia

中国のIMアカウントのレポートにタイムリーな形で、Guardian Unlimitedからアジアの携帯市場を狙うGoogleの記事が出た。
全世界に展開するVodafoneが1.86億ユーザに対して、China Mobileだけで2億の携帯ユーザ。中国全体では4.4億台近くの携帯が普及している。これにインドの1億台(月に500万台増加)を加えると楽にUSとヨーロッパの合計を上回る数の携帯電話があることになる。
モバイルサーチはまだまだ揺籃期だが、アジアのマーケットを虎視眈々と窺うGoogleは、確実にモバイルユーザの取り込みを狙っている。

しかし、TV広告にも進出しようとする貪欲なGoogleに死角があるとすると、Guardianの記事にもあるように検閲問題だろう。「情報提供は全くないよりも、あるほうがまし」というGoogleのスタンスと、今月初めに出されたHuman Rights Watchのレポート「"Race to the Bottom" Corporate Complicity in Chinese Internet Censorship」が相容れないのは明白だ。

Source:Guardian Unlimited / Media Guardian New Media

Chinese IM Accounts Reached 800 Million

2006年上半期までに中国でのIM (Instant Messaging) アカウント数が対前四半期で11%増えて828.6万に達したとAnalysys Internationalがレポートしている。アクティブアカウントも対前四半期で13.78%増の295万に達している。
"China IM Market Quarterly Tracker Q2 2006"によれば、主要なIMベンダーがQ2に様々なプロモーションを実施、Tencentは頻繁なプロモーションを実施してIMマーケットのシェアトップを確保、Sinaも既存メディアとの有効な関係や、プロモーションによりアカウント数を伸ばした。

Source:Analysys International "China IM Market Quarterly Tracker Q2 2006"

Hitachi Plasma HDTV

先週からプリント、オンラインなどで始まった日立の42㌅プラズマHDTVの広告は今後3年間で1億㌦を投下する大掛かりのキャンペーンだ。
主ターゲットは世帯収入12万5千㌦以上の30~59歳だが、薄型TV購入の40%を占める女性層にアピールすることも狙っている。技術だけではなく、日立製品を所有することがファショナブルで、インテリジェントでもあることをアピールし、LG、Panasonic、Pioneer、Samsung、そしてSonyなどと差別化を目指している。
30および60秒スポットをCNN、ESPN、History Channelなど、オンラインはwww.hitachi.us/tvと、ニュース・エンタテイメント系Webサイトでのストリーミング、およびバナー広告を予定している。
バナー広告は、expandableを使い、本のように違ったセクションを見ることができるものと、拡大してテキストがよく読めるようにするものがある。
Hitachi AmericaのマーケティングVP、Daniel Leeは、「Webは実質的に消費者に語りかけている」と語っている。


Source:NYTimes Media & Advertising "Unleasing" a New Campaign

2006/08/21

MarketingSherpa #5 Eyetracking

MarketingSherpaとEyetools Inc Labが面白い測定レポートを公表している。
検索を実行した後、その結果表示されるWebページのどこを見ているかを赤から青色で示している。結果ページの上半分、結果項目のタイトルに視線が行っているが、右側に表示されているスポンサーリンクにはあまり視線が行っていない。

Source:MarketingSherpa Omniture Teleconference : New Search Marketing Research 2006 SEM Issues & Trends (MarketingSherpa & Eyetools Inc Lab Study August 2005)

OPA "A Day in the Life"

OPA (Online Publishers Association) が6月に発表したレポートによると、米国のメディア消費は、TVが39%、オンラインが23%、ラジオが22%、新聞が10%、雑誌が7%消費されている。
しかし、広告主はまだメディア消費のシフトに対応できておらず、TVに43%、新聞に22%、雑誌に21%、ラジオに8%、オンラインに6%しか広告費を投入していない。

Source:OPA "A Day in the Life" (PPTファイル)