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2011/08/03

Toyota rejects communications with users on Facebook

トヨタ本社が、今年の4月下旬からFacebookにページをオープンしている。7月30日にはファン数が30,000人を越えているから順調な滑り出しと言っていいのかもしれない。
ところが、画面左に見慣れない「コミュニティ・ガイドライン」というセクションがある。
そこへ行ってみると、
トヨタ自動車株式会社が運営するFacebookページへお越しいただきありがとうございます。本ページは、ユーザーのみなさまに当社の最新情報をお届けするとともに、ユーザーのみなさまと当社がつながる場所です。
とある。
ユーザーのみなさまとより良いコミュニケーションを実現するため、本ページでは下記のコミュニティ・ガイドラインを定めています。本ページのご利用にあたっては、本ガイドラインの内容に同意の上ご利用ください。
と続き、【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】といった項目をあげて説明している。

このような「コミュニティ・ガイドライン」を備えているFacebookページを見たことがない。「ユーザーのみなさまとつながる場所」なのだが、「準拠法・裁判管轄」といった文言で予防線を張る恐れがある場所なのだろうか。

昨年、NestleのFacebookページが炎上している。それは、米国Greenpeaceが3月17日にNestleがパーム油を仕入れているSinarmasが進める熱帯雨林の伐採によりオランウータンが絶滅の危機に直面しているというリリースやPDFレポート、その後のビデオキャンペーンやNestle本社での実力行使が火種になっている。
詳しいことは、下のタイムラインを参照していただくとして、とに角、Kit Katを捩った「Killer」というプロファイル画像をつけた書込みがFacebookページを占拠して炎上した。
Source:TechGuerillaTalk / Nestle / Facebook / Greenpeace Timeline (in process)

しかし、その後、NestleのFacebookページが閉鎖されたかというと、ページは閉鎖も、削除もされていないし、Nestleページの「Like」をクリックしたユーザからのプロ・コンの書込みもあり、Nestleの書込みに対して同じようにプロ・コンのコメントがある。 ある意味で、活発な会話が行われている。

また、昨年の炎上に懲りて、「コミュニティ・ガイドライン」を設けているかと言うとそんなものはない。
なぜ、NestleはFacebookページを閉鎖して、炎上を消火・鎮火しなかったのだろう?
なぜ、まだFacebookページを維持、運営を続けているのだろう?

それにはいくつか考えられる。
  1. もはやソーシャルメディア、Facebook抜きに一般消費者とオープン、対等、双方向コミュニケーションを行うことはできない
  2. いままでの一方的、一方通行のコミュニケーションでは一般消費者に届かない
  3. 企業に都合のいいスペースで何を発信しても、誰も、何も、消費も共有もしてくれない

    そして、

  4. 一般消費者を信頼しなければ、企業・ブランド側も信頼されない
ということを理解しているからだ。

特に、4番目を肝に銘じているからだ。

だから、「羹に懲りてなますを吹く」のではなく、「ユーザを信頼」して、Facebookページを運営しているのだ。


さて、米国ToyotaのFacebookページはどうかというと、当然のことながら、「コミュニティ・ガイドライン」といったセクションはない。
Infoには、以下が挙げられている。
Toyota is as committed to quality as it is to its customers. We value your opinions and wouldn't be here without your support.

Please join our community and continue the dialogue. We look forward to getting to know you better.
「トヨタ(アメリカ)は品質向上にまい進するのと同様に顧客対応に取り組んでいます。我々はカスタマーの意見を尊重し、あなた方カスタマーのサポートなしに我々は存在し得ません」

「私たちのコミュニティに参加し、対話を続けてください。我々はあなた方、顧客をより良く知ることを楽しみにしています」
と書いている。

本社と米国トヨタの違いは何かと言うと、顧客を信頼しているかどうかだ。米国トヨタは顧客を信頼している。

炎上騒ぎを起こしかねない不逞の輩や訳の分からない魑魅魍魎が跋扈しているソーシャルメディアスペース、Facebookにページを持つ上で、最低限の予防線を張る本社と、ソーシャルメディアを新しいコミュニケーション、オープンで対等、双方向のコミュニケーションチャネルとして理解し、そこでの会話者を信頼する米国トヨタの違いだ。

変な例えだが、「両手を差し伸べてつながりましょう」と声をかけるべきところで、「相手が信頼できないために利き手に匕首を握り、左手を伸ばしてつながろうとはしているが、重心を前足にかけていつでも後ろへ下がれる」状態に見える。それが【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】といった項目に表れているように思える。


さて、もうひとつある。

7月にトヨタのFacebookページにはトヨタから43本のポストがあり、2,476回のLikeがクリックされ、ファンからのコメントは196本あり、トヨタからのリプライは3回あった。

同時期に米FordのFacebookページにはFordから72本のポストがあり、23,339回のLikeがクリックされ、ファンからのコメントは6,436本あり、Fordからのリプライは14回あった。

当然、運用を開始してから3カ月ちょっとのトヨタと、5~6年は経っているはずのFordではまず、ファン数が違う。3万人強のトヨタに対して、Fordは約78万人だ。

この大きな差からすると、トヨタとFordのポスト、Like、コメント、リプライ数などは無視していい違いのように感じる方がおられるかもしれない。

しかし、実は、もっと大きな差がトヨタとFordのFacebookページにはある。それは、トヨタのファンになったユーザが独自にWallに書き込めない点だ。

トヨタのポストに対して、Likeやコメントはできるが、ファンになったユーザが自分の好き勝手なことをWallに書き込めない。これもあまり見たことはない。
当然、普通であれば下のFordのように、ファンになったユーザがページへ行けば、post、画像、リンク、ビデオもアップすることができる。
しかし、トヨタのページはそうはなっていない。

先ほどのトヨタやFordの7月の統計に入れていないものがある。それは、ファンになったユーザが独自に書き込んだPostやコメント、Likeだし、それに対するリプライだ。

トヨタはファンが書き込めないので「0」だ。Fordの場合、ファンのPost数は1,637件。そのPostに対して2,975回のLike、2,380件のコメント、101件のリプライがアップされている。

これが「本当の意味での会話とユーザとのつながり」 だ。当然、苦情・クレーマー的なPostも40件ある。それら全てをカバーする当然な「会話とユーザとのつながり」が行われている。
この数字を見れば、如何にFordのファンが、オリジナルコンテンツを書込み、それに対してファンが反応し、苦情・トラブル・クレームなどにはFordが対応していることが分かる。

Fordとそのファンの本当の意味でのコミュニティになっている。

一方、トヨタのほうは、先ほどの、【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】に同列につながっているものが、Wallへの書込み禁止なのだ。

どうしても炎上させたくないようだ。

しかし、Faebookは、メーカーとユーザがつながる場所でもあるが、ユーザ同士がつながる場所でもある。そのユーザ同士がつながる場所をメーカーが独占している。ユーザ同士のコミュニケーションを排除している。

残念なことに、触媒として存在し、機能すべきメーカーが、そうではなく、つながりや会話を独占しようとしている。それ以外を拒絶している。

個々のユーザは社会人であり、学生であり、主婦、OLさんであり、ビジネス生活、家庭生活の両方を送っている。個人になればBlogを書き、Twitterを使い、YouTubeにビデオを上げるし、UstやSkypeを使って遠く離れた家族、友人・知人とリアルタイムでコミュニケーションをとっている。

そのコミュニケーションパワーを持つユーザに手かせ足かせ口かせをはめて、ブランドに関連するオリジナルコンテンツの発信と共有を妨げていることに気づかなければならない。ブランドに対する愛着と言ってもいいほどの高い評価、その評価を基に発信されるコンテンツをドブに捨てていることに気づかなければならない。

「Mostly Negative」は9%もいるのだが、「Mostly Positive」は62%もいる。この62%のユーザの貴重な声を台無しにしたり、見殺しにしてしまうことになる。
Source:Keller Fay Group LLC / Single-Source WOM Measurement (pdf)

先ほどのFordの例では、苦情屋・クレーマーが何度も同じことを蒸し返している。Fordのカスタマーサービスがそのたびにリプライを返しているが、何人ものレギュラーユーザ、ロイヤルユーザが自分の立場や理解、コモンセンスを基にコメントしている。彼らを理解しようとしている。メーカー以上に、彼らが愛するブランドを守ろうとしている。

Facebookに限らず、コミュニティとはそういうものだ。そのコミュニティにロイヤルユーザに集ってもらい、あるいはそのコミュニティでロイヤルユーザに育ってもらうためには何が必要だろう?

今の対応がベストなのだろうか?


ああ、そうそう。

トヨタはFacebookだけではなく、Twitter、Ustream、YouTubeにも参加している。例えば、Twitterアカウントを見ると下のようになっている。
そう、もうお分かりだろうが誰もフォローしていないのだ。

以前、ダライラマ14世のTwitterアカウントを見たときと同じ衝撃を受けた。チベット仏教の最高指導者であったとしても他の人間の声を聞く必要はあるだろうと思っていただけに驚いたことを覚えている。

フォローしていないから誰の声も聞いていないとは考えない。当然、バズモニタリングはしているだろう。しかし、アカウントが誰もフォローしていないということは、アカウント宛てのオープンTweetは送れるが、ユーザが直接、メッセージを交換したり、問合せや苦情を送れないことになる。そして、誰もフォローしていないのでオープンTweetがどんなものなのか誰にも分からない。ユーザからどんな声が発信されているのかを誰にも見せないようにしているとしか思えない。

そして、TweetStatsで見ると、リプライは全Tweet168件中の1.78%、RTは1.18%。それもホンダとニッサンのアカウントに対してのTweetだ。残りの97%(163件)くらいはトヨタオリジナルのコンテンツをTweetしているだけということだ。アカウント宛てのオープンTweetは沢山来ているだろうが、それにリプライを返してもいないし、モニターやウォッチしているユーザのTweetをRTしていないのだ。
FordのTwitterの場合は、33,887人をフォローしている。
TweetStatsで見ると、リプライが60.94%、RTが10.05%もある。沢山のユーザからのTweetにリプライを送り、価値があると認めた他ユーザのTweetをRTしている。会話のネタをフォロワーに発信している。そして、残りの30%弱でFordがニュース・情報・コンテンツを発信しているということになる。
GMだって、BMWだって、VWだって、Kiaだって何千人、何万人もフォローしている。しかし、トヨタは誰もフォローしていない。ただの1人もフォローしていない。

一般ユーザにリプライも、彼らのTweetをRTもしていない。

ここの何処にユーザに対する信頼があるのだろう?

この対応からユーザの声を真摯に聞くというメーカーの姿勢が感じられるだろか?

そして、これが日本が誇る大企業、世界的なグローバル企業がFacebookやTwitterという一般消費者とオープン、対等、双方向のコミュニケーションを行うスペースを使ってやるコミュニケーションだろうか?

トヨタ内部でも相当の議論があったとは思う。しかし、もはや「ブランドがブランドコンテンツをコントロールできる時代は過ぎ、消費者・ユーザがコントロールしている」ことを理解しない限り、つぎはぎだらけの対応を行っていても、本当の会話もエンゲージメントも存在しえないし、苦情やユーザのちょっとした提案や思い付きなどから製品やサービスの改善・改良、開発のフィードバックを獲得することもできない。

炎上が怖いからソーシャルメディアを使わなければいいという時代は過ぎた。

Nestleのように炎上しても、何があってもFacebookやTwitterを使い続けなければならない時代なのだ。

消費者・顧客・ユーザを信頼し、価値のあるコンテンツを提供することで企業・ブランドを信頼してもらわなければならない時代なのだ。

そして、とにもかくにも、消費者・顧客・ユーザの声を聞かなければならない時代だし、その姿勢を見せる必要のある時代なのだ。

その時代に、現在のFacebookやTwitterの対応は不十分過ぎると言わざるを得ない。

一体、何のためにFacebookやTwitterを始めたのだろう?
本当にユーザ、消費者とつながるためなのか?
それとも今までのマーケティングコミュニケーションをソーシャル化するだけで、つながる意思はなかったのか?
ユーザ、消費者の声を聞くつもりはないのだろうか?

Ciscoのソーシャルメディアマーケティング部のシニアマネージャ、LaSandra Brillが今年2月、ソーシャルメディアサミットで公開した資料の中に下図がある。
最初のスライドに6点があげられている。曰く、
  1. 双方向コミュニケーション(一方的な一方通行ではなく)
  2. コミュニティ構築(Webサイトではなく)
  3. オーガニック(広告による強制誘導ではなく)
  4. 統合(邪魔するのではなく)
  5. 関係構築(イベント開催ではなく)
  6. 会話に参加(自社ドメインだけではなく)
Ciscoにした処で最初はてんやわんやだった。2005年2月に外向けBlogを開始、2007年のNexusローンチに初めてBlogマーケティングを活用し、2008年Q1のASR1000リリースは3ヶ月間という短期間でソーシャルメディア統合プランを計画実施している。それら経験を踏まえてASR9000リリースが本格的なソーシャルメディア統合プランとして実施されている。その後も各種経験を積み重ね、今では、各種サミット、セミナーなどでその成功しているソーシャルメディア戦略を説明してくれと引っ張りだこになっている。

そのCiscoがまとめているソーシャルメディアのグランドデザインが上図だ。

FacebookやTwitterといったツールの話ではないのだ。

それまでのマインドセットを切換えて、どうやって顧客ユーザに近づけるか、どうしたらオープン、対等な双方向コミュニケーションができるか、どうすれば製品・サービスの価値を伝えられるのか、それこそ昼夜を惜しんで絞り出した結論が下図だ。
Source:How Cisco Operationalizes Social Media for Repeated Success

戦略の中心に来るものが「Listening Focus」になっていると説明するしかない。


ちょうど一年ほど前に、「Open Letter to CEOs in Japan」を書いた。

参考:Open Letter to CEOs in Japan (Online Ad 2010/8/17)

あれは、日本ブランドがガラパゴスブランドに陥る危険性を示し、パラダイムシフトを前提とした新しいグローバル戦略への転換の必要性をCEO達に伝えた(つもりの)資料だった。

当時から不十分な資料に付け加えるべきは、Ciscoのようにトライ&エラーを蓄積した上でインフラを整備し、今日の輝かしいステージを迎えたケーススタディだった。

その上で、マインドセットを切り替えなければ...、と書くべきだった。


最後にひとつだけお願いしたいことがある。

それは、もし「コミュニティ・ガイドライン」の翻訳記事が、NYTだとか、GuardianやTechCrunch、Mashable、BusinessInsider、HuffingtonPostといったメディアに掲載された場合、その内容と、それが示唆するものを世界中のインターネットユーザ、すなわち日本を除く世界中の消費者、既存・潜在顧客はどう受け止めるかを考えてほしいということだ。


追記:(2011/9/19)
Blogのトップ右、プレゼン資料リストにアップしているファイルのダウンロード先をSlideShareへ変更。下のリンクURLは変更なし。

追加:(2011/8/4)
PDFをScribdとSlideShareにアップした。
Scribdは、http://www.scribd.com/doc/61570710/Case-Study-Toyota-on-Facebook
からダウンロード可能、また、Blogの右、プレゼン資料リストにもアップしている。
SlideShareは、http://www.slideshare.net/dramroll/case-study-toyota-on-facebook
からダウンロード可能。

2010/12/28

Global Friendships

FacebookのインターンであるPau Butlerが世界中のFacebookユーザの交友関係を図式化したものをあげている。

CNNなどは中国が空洞になっている点を取上げているが、本質は別の処にある。

それは世界中のFacebookユーザが、英語圏であれ、非英語圏であれ、Facebookというコミュニケーションチャネルを通してつながっているということだ。

世界には英語を学んでいる学生や社会人が10億人いる。日本を除き、どんな国であれ、今時、幼稚園児や小学生だって英語くらい話すのは常識だ。英語さえ理解できれば、Facebookというコミュニケーションチャネルに参加するだけで世界中のユーザとつながることができる。非英語圏のユーザは、英語を理解する国内のアーリーアダプターが翻訳する英語コンテンツを消費することで、英語圏ユーザとつながってゆく。

ここに国境や言語による制限は少ない。米国や欧州で発売されたローカル製品が、様々な交流チャネル、タッチポイントを経由して、アフリカ、南米、東南アジアのFacebookユーザに露出する可能性がある。逆に、インドや中近東、あるいは韓国のニュースが英語圏ユーザに露出、共有される可能性もある。
Source:Facebook / Visualizing Friendships
Source:CNN Japan / フェースブックの世界地図

だから、Volkswagen Internationalは、Das Auto.というFacebookページのInfoタブのMissionにこう書いている。
This is the official Facebook Page of Volkswagen International. We bring “Das Auto” to all Facebook fans and drivers around the world. This is the place to check out for the latest Volkswagen news and entertainment. It is also the place to share your thoughts, pictures or videos of your personal Volkswagen experiences and moments. In order to reach out to a widespread audience, the official language of this page is English.
Source:Facebook / Volkswagen International

Volkswagen本社が各国のFacebookページに加え、本社ページを英語で公開、運用していることを、Facebookの全世界交流つながり図と重ね合わせれば、その意味や目的が良く見えてくる。

と、すると、交流のつながりが空白で漆黒の闇に包まれているかのような中国を問題にするよりも、非英語圏でありながら世界中から太く、明るい交流関係のつながりがある国々と比べ、見方によっては消えそうに弱く、細いつながりしかもたない日本の現状を考えた方がましだ。

日本のグローバル企業が本社予算で現法の広告キャンペーンを支援すること以上にやらなければならないことがあると思うが、いかがだろうか?

2010/08/16

One World with Early Adopters Circulating Content

先週、「Japanese Brands Left Far Behind While Samsung Accelerating」を書いた。

参考:Japanese Brands Left Far Behind While Samsung Accelerating (Online Ad 2010/08/09)

そうした処、9日の午後1時頃、日本大手メーカーの韓国支社の方がアクセスされ、韓国語に翻訳して30分以上閲覧された後、ご自身のTwitterから Tweetされていた。しばらくすると、そのTweetから韓国の方が何人がアクセスし、また、少し時間をおいて今度は、韓国Samsung、そしてLG からアクセスがあった。

そして、10日には、iblur's Communicationsという韓国のBlogで取り上げていたらしく、11日にそこをリフェラルとしてアクセスがあった。
Source:iblur's Communications / Social Media의 방향을 정한 Samsung, 어떠한 결과를 보여 줄 것인지.

世界は狭いと思いませんか?言葉や地理的な壁はないと思いませんか?世界はひとつにつながっていると思いませんか?
最初のアクセスがアーリーアダプターであり、彼が140文字以内に要約したTweetを発信し、彼をフォローしている韓国ユーザから日本語Blogへアクセ スがあった。そして、そのBlogに取上げられていたSamsung、そして競合するLGからアクセスがあったということになる。また、最初のTweet からBlog記事を書いたユーザもいて、そこからもアクセスが来たということだ。

これから分かることは二つある。

ひとつめは、前々から言っている「アーリーアダプターから国内ユーザへのコンテンツ共有、再露出」という情報・コンテンツのフローがある。今回は日本語から韓国 語への共有、再露出だが、これは例外と言っていい。基本は「世界中のアーリーアダプターが注目する最新の英語ニュース、情報、コンテンツから各国語への共有と再露出」だ。この基本が世界中で行われている。だから、それをベース として英語コンテンツを世界のアーリーアダプターに露出し、それを消費、共有してもらい、自国語に翻訳してBlog、SNS、Twitterなどで国内へ 再露出してもらうことができる。そのフローが証明されたことになる。そして、グローバルに全世界のアーリーアダプターに情報・コンテンツを提供するのは日 本本社のテリトリーだと言い続けてきた。グローバルにマーケティングを行うのが米国子会社や欧州販社ではない限り、それは日本本社の責任となる。

ふたつめは、Samsungにしても、LGにしてもちゃんとバズモニタリングをしていることだ。最初にTweetしたアーリーアダプターをフォローしていた わけではなく、自社ブランド名や競合ブランド名をモニタリングしていたからこそ、韓国ユーザのTweetをキャッチし、このBlogへアクセスしてきたわ けだ。ソーシャル化を進めるための基本として、各種情報収集、戦略構築、社内体制整備、要員トレーニング、モニタリングやWebビジター調査など様々なも のがある。その中でも基本中の基本であるモニタリングを2社ともにやっているということだ。

2社ともに国内においてBlog、SNS、Twitterなどをモニターしており、2社ともバズのリンク先までトレースしている。それが国外、日本であったとしても。

基本に忠実な韓国ブランドに比べ、日本のグローバル企業は...???

ひょっとして日本国内においてTwitterを使った拡販、販促だけしか考えていないのかもしれない、世界はひとつにつながり、世界中のユーザがブランド体験を共有しているにも関わらず...。

2010/06/18

Learning from Customers

CES 2010においてリアルタイムでプレスコンファレンスを中継した@SamsungTweetsが下のようなTweetsをしていた。

参考:Samsung Twitter Press Conference (Online Ad 2010/01/08)

そしてSamsungTweetsをフォローしている何人からか回答があり、次のようなTweetsを返している。Source:SamsungTweets

パラダイムシフトを理解し、ユーザから学ぼうと言う姿勢があり、その企業・ブランドにエンゲージするユーザがいる。そして、そのエンゲージメントが世界中のユーザに露出している。

TwelpforceでTwitterマーケティングをリードしていると見られるBestBuyに、別段、Twitter戦略はなかったことをご存知ですか?戦略からスタートしたのではなく、Facebookマーケティングで失敗した経験から顧客ニーズに即して社内リソースをソーシャル化してきたことをご存知ですか?

そこらへんは、今日のセミナーでお話ししようと思います。

参考:Twelpforce of Best Buy (Online Ad 2009/12/15)
参考:Speaking at Ascii Seminar on Friday in Tokyo (Online Ad 2010/06/14)

2010/06/15

Social Media in China

3億8400万人のインターネットユーザがいる中国のソーシャルメディアのレポート、Social Media in China 2010がTNSから出ている。

中国ユーザの51%はソーシャルメディアスペースに参加し、最も頻繁に利用されているソーシャルメディアプラットフォームはForum/BBSだ。60%台前半のそれを50%強のBlog、50%弱のビデオ共有サイトが追っている。
そして、
  • 86% ソーシャルメディアスペースでブランドに関するネガティブコメントに
  • 90% ソーシャルメディアスペースでブランドに関するポジティブコメントに
出くわしたことがあるそうだ。

ネガティブの原因はというと、とんでもないサービス(81%)、ブランド不満足(78%)がトップ2だ。ちょっと気になるのは、ひどいCSRが47%になっている。
ポジティブの原因は、ブランドに満足(87%)、おまけや懸賞(56%)があるが、「友人のお勧め」が43%となっている。
そして、企業・ブランドがソーシャルメディアに参加する評価を聞いている。もっとアピールする(34%)、ある程度アピールする(43%)を合わせて77%が歓迎している。
Source:TNS / Social Media in China

中国も、欧米諸国とまったく違いがない。ソーシャルメディアスペースのユーザは自由闊達にコミュニケーションを育み、情報やコンテンツを共有している。そして、そのスペースにブランドが参加することを歓迎している。

もうリンクが消滅してしまったが、2006年3月の人民網(日本語版)には、
英語専攻者と非専攻者をあわせて約3億人が英語を学習している。そのうち、小学校から大学までの学習者は1億人を越え、数年で英語を母国語とする国家の人口合計を越えると見込まれる。
また、2008年6月17日には、
昨年、中国では100万人以上がIETLSを受験。世界で最も人気のある英語資格試験となった。
そして、2009年4月13日には、
英国王室言語学会首席会員のGrahame T. Bilbow氏は、中国での「英語ブーム」について、「中国語を学ぶ人が世界中で増えているのに、中国の人々の英語学習熱は衰えていない。私は多くの中国 の若者と接してきたが、彼らの英会話レベルは驚くほど高い」と語る。専門家の中には、「世界中で3千万の外国人が中国語を学んでいる一方で、3億の中国人 が英語をかじっている。英語を話す中国人の数が英語母語者の数を上回る日はすぐそこに迫っている」と言いきる人までいる。
という報道があった。

Source:人民網 / 中国人英語学習者は英語母国語者数を越えるか

中国には様々なアクセス制限、障害があるが、日本人よりけた違いの語学能力を発揮すれば、最新情報を発信する海外、米国のトップサイトへアクセスし、情報・コンテンツを何の苦もなく理解し、それをForumやBlogなどで国内に輸入、翻訳することができる。

ソーシャルメディアに慣れ親しんだ中国ユーザが、英語ソーシャルメディアスペースに参加することは、またひとつ、国単位や販売地域単位での広報、広告、マーケティング、ブランディングに頭痛の種を蒔くことになる。国外から持ち込んだ情報・コンテンツの方が最新であり、もっとも人気が高く、もっとも多くのユーザ達に共有されるのは間違いないのだから。

グローバルなブランディングには、英語が達者で、けた違いに多い中国ユーザも対象とすべきなのは明らかだ。

2010/06/09

Nonprofit-Corporate Partnership

先週、Coneのレポート、Cone Shared Responsibility Studyを取上げたばかりだが、もうひとつ2010 Cone Nonprofit Marketing Trend Trackerというレポートがある。

参考:2010 Cone Shared Responsibility Study (Online Ad 2010/06/04)

それによると、米国人の78%は彼らが信頼する企業・ブランドと非営利団体が連携することにより、社会貢献活動がそのものが目立つ、際立つと回答している。
非営利団体が企業・ブランドと連携すると、56%は団体に対する印象がよくなり、59%は連携している企業・ブランドの製品を購買する可能性が高くなる。
ただし、米消費者の75%はまず企業・ブランド+非営利団体の連携結果を知りたいと思っているし、61%は支援する前に時間をかけて連携の詳細を確認したいと思っているのだが、連携や寄付などに関する情報開示が十分だと考えているのは45%にしかすぎない。
最後に非営利団体が米消費者に訴求するチャネルとして以下をあげている。上位にはWOM(81%)、レガシーマスメディア(80%)、広告(74%)が来ている。下位にEmailが59%、SNSが49%、モバイルが29%で来ている。
Source:Cone / Nonprofit Marketing Trend Tracker

基本的には非営利団体がその活動を多くの消費者に知らしめ、寄付や支援の輪を広げるために企業・ブランドと連携してプレゼンスを露出しなさいと言っている。

社会、環境、その他の目的であれ、団体単独による啓発、活動、普及には限界があり、今まではそれを補完してくれるのは賛同者の寄付や支援活動だった。一人の声を次の人につなげ、その人からその次のひとにつなげてもらう非常に地味な活動にマスメディアの光が当たるのはごく稀だった。だから活動目的に賛同してくれる企業・ブランドと連携しなさいと。

なお、最後の図にあるように、WOM、レガシーマスメディア、広告が消費者に社会貢献活動を効果的に知らしめるチャネルとして70%以上があげている。反面、ソーシャルメディアチャネルは下から二番目の49%でしかない。これからやはり社会貢献活動にとってもレガシーマスメディアや広告は不滅だと短絡される向きもあるかもしれない。
しかし、実際のところGreenpeaceやOxfamなど事業会社顔負けのオンラインマーケティングを実行しているNGO、各種団体はほんの一握りだ。OxfamにしたところでFacebookのファンは3万人以下、Twitterのフォロワーも5万人以下、YouTubeチャネルの購読者も2,000人ちょっとしかいない。これらの数字と、本格的にソーシャルメディアに取り組み始めているグローバル企業・ブランドと比べると如何に少ないかがわかる。

マサチューセッツ大学ダートマス校のマーケティングリサーチセンターが行った調査によれば、2008年時点で慈善団体のBlog利用は57%には達しているのだが、その訴求や絶対的露出、情報・コンテンツの共有、再露出とは別物なのだ。
参考:Social Media in College and Univ. (Online Ad 2010/06/02)

ということは、マインドセットを切り替えていない他の一般的なNGO、各種団体のソーシャルメディアスペースでのプレゼンスはなきがごとしということだ。多くの場合、彼ら自体も、一般企業・ブランドと同じようにレガシーマーケティングの落とし穴にはまっているため、オンライン、特に、ソーシャルメディアスペースでの情報・コンテンツ発信や共有、再露出からの拡散ができていないのだ。

ここを改善しない限り、企業・ブランドと連携したところで大きな効果、結果は期待できない。

2010/06/04

2010 Cone Shared Responsibility Study

ConeからShared Responsibility Studyが出ている。

四分の三の米国人は企業に対して、主要な項目において消費者とのエンゲージメントを「平均、あるいはそれ以下」としか評価していないというものだ。

まず、米国人の合計65%はActivists/Advocates/Emotionalistsに分類され、企業は社会および環境に優しい製品づくりをしたり、環境保護のために寄付やボランティアを出したり、多様な活動を支援すべきだと考えている。

そして、消費者は社会・環境保護などで企業とエンゲージすることを望んでいる。84%は自分のフィードバックを聴いてくれれば企業にとっても、社会にとっても素晴らしい製品・サービスが創られると考えている。
また、企業の社会・環境ポリシーや製品開発に影響を及ぼすために、他の消費者、政府、メディア、企業の社員、他の企業、非営利・活動団体などがあると考えている。

そして、企業の社会・環境ポリシーや製品開発に影響を及ぼすために自分ができることとして、
  • 70%は調査などに参加、
  • 44%は製品ボイコット(あるいは購買)、
  • 32%は企業にコンタクトするなどがあり、
消費者は非常に能動的に動くことが分かる。
さて、消費者が企業にエンゲージしたい分野として以下の4つが上位に来ている。ビジネスそのもの、製品やパッケージ、社会・環境問題への対応、そして、「マーケティングと広告」だ。
このエリアで消費者は企業のエンゲージに対して非常にシビアな評価をしている。すなわち、「とても素晴らしい」+「平均以上」=25%だ。75%は「平均以下」の評価となっている。
そこで、企業が社会・環境問題、製品に関して消費者にリーチできるチャネルとして5つほど挙げられているが、トップにくるのは64%で広告だ。続いて店舗・ショップ、カスタマーサービス、ソーシャルメディア、イベントが来ている。
Source:Cone / 2010 Shared Responsibility Study

消費者が企業とエンゲージしたいビジネスそのもの、製品やパッケージ、社会・環境問題への対応、そして、「マーケティングと広告」分野において、一方通行ではなく、当事者だけではなく傍観者にもオープンに、かつ、対等に、そして双方向のコミュニケーションが可能なのは、広告でも、店舗でも、カスタマーサービスでも、イベントでもない。

残るのはソーシャルメディアスペースでしかないとおもうがいかがだろうか?

情報・コンテンツを抱え込んだ良い所取りが許されない時代に、消費者がエンゲージしたい分野のひとつとして「マーケティングと広告」が入っている時代に、そして、非常に能動的に動く現代の消費者に対して、苔むした前世紀的な対応、エンゲージメントを行っているから「平均点以下」の得点しか挙げられていない。

縦割りではなく、横串組織こそ必要とされている現在、縦割りのままのレガシーマーケティングも、ビジネスモデルも、そして、企業・ブランドも影が薄くなるばかりだ。

2010/05/17

Negative Tweet on Whirlpool washing machine

ちょっと古い話になるが、Heather Armstrong、別名dooceをご存じだろうか?
pic
今はTwitterに160万人以上のフォロワーを持ち、自分のWeb・Blogサイト (dooce.com)には平均3万人がアクセスしているスーパーBloggerだ。Forbesの選ぶ「The Most Influential Women In Media」にも選出されている。

が、2009年8月時点ではまだ100万人程度(!!!)のTwitterフォロ ワーしかいなかった彼女に何があったのか、Forbesが詳しく伝えている。

昨年の8月頃、2児の母である彼女は1,300㌦も払って古 い洗濯機を新品のMaytag洗濯機に取り換えたが、あっというまに故障してしまった。何度も何度も修理を依頼し、サービスマンが訪問して修理を試みたが 直らない。カスタマーサービスに電話してもラチがあかず、電話でとうとう最後の台詞を口に出した。

「Twitterってご存知?あたしは Twitterに100万人以上のフォロワーがいますのよ」

カスタマーサービスはそんなことは関係ないといった対応をしたようだ。

そ こで彼女はキーボードに打ち込んだ。

「I had exhausted all avenues and I had given them chance after chance to make it right」
「(I hope) the right person would hear it and help me so that you may not have to suffer like we have」
「DO NOT EVER BUY A MAYTAG. I repeat: OUR MAYTAG EXPERIENCE HAS BEEN NIGHTMARE.」

彼女がTweetして3分たつか経たないうちに、「私もMaytagでとんでもない目にあったわ」という別ユー ザからのTweetが来た。続いてもう3件同様のTweetが飛んできた。数時間すると、家電ショップから修理を請け負うというTweetも何件か飛んで きた。

そして、Maytagの親会社、WhirlpoolのTwitterアカウント、@WhirlpoolCorpからTweetが来 た。
翌朝、 Whirlpool本社のJeff Pirainoから新しいサービスマンを手配中だと言う電話があり、その翌日には彼女の洗濯機は完ぺきに修理された。

Source:Forbes / A Twitterati Calls Out Whirlpool

この ケースの属性・影響や波及・インサイトを、Twitterフォロワーを100万人以上も抱え、Maytag洗濯機故障に関するBlogに2,500件以上 のコメントを受け、Forbesの「The Most Influential Women In Media」に選出されているHeather ArmstrongというスーパーBloggerの特異性に求めるのも可能だろう。

しかし、自分のTwitterアカウントに一人のフォ ロワーがいなくても、自分のBlogに日に一人のビジターも来ないような一般のユーザであったとしても、Heatherやほかのパワフルな影響者、インフ ルエンサーにコンタクトすることができる。あるいは単純に、「Help me」と助けを呼べば、おっとり刀で駆けつける人助けを自分の使命だと思うユーザは数多存在する。彼らの声、Tweetが集まれば同じ効果、影響力を発揮 することができることになる。

それにしてもHeather ArmstrongがTweetした時点で12回、先週の5月14日時点でも55回しかTweetしていないWhirlpoolCorpがよく察知したも のだ。ForbesにWhirlpoolのスポークスマンが答えている。
  1. 我々はソーシャルメディアサイ トを継続的にモニタリングしている。
  2. Heather Armstrongの書込みを発見した際、我々は迅速に彼女にコンタクトし、通常手続きを通して問題を解決した。
し かし、モニタリングしていたとしてもリアルタイムにネガティブバズを探知するのは困難だ。最大過去3カ月のフォロワーしか分からないが、今年の2月頃で 850人程度、多分、昨年の8月頃は4~500人程度しかいなかったフォロワーの誰かがHeatherのTweetを受け、WhirlpoolCorpに 「大変なことになるよ」とDMしたのだろう。あるいはHeatherをフォローしていたWhirlpool社内の人間が通報したのかもしれない。

Source:TwitterCounter / WhirlpoolCorp

ソーシャルメディアスペースに参加することと、モニタリングする ことが最低必要条件だと理解している企業・ブランドがおり、そうではないケースもある。また、社員を含むブランドファンからのアドバイスやアラートを受ける体制がある企業・ブランドがあるし、そうではないケースもある。

このネガティブセンチメントを修復するために要する時間、コスト、手間 を計算してみたことがありますか?ブランドファンからの救いの手を見過ごすコスト、影響、被害を計算してみたことがありますか?

2010/02/24

Social Media Power of Samsung & LGE Customers

2009年Q3に世界中で販売されたTV(ブラウン管TVを含む)のトップシェアはSamsungで21.9%、LGEが12.9%だ。この2社に日本メーカー3社が続いている。

Twiceが伝えていたDisplaySearchの予想では2009年、LCD TVの年間出荷台数は1.27億~1.3億台だそうなので、上のシェアをそのままLCD TV出荷台数に乱暴に引用すると、Samsungは約2,860万台、LGEは約1,690万台を販売することになる。
そして2009年Q2の携帯出荷台数は合計で2.696億台、シェアトップはNokiaで1億台以上を出荷して38.3%を占めている。が、それに続くのはSamsungが5,230万台で19.4%、LGEが2,980万台で11.1%となっている。韓国の2社シェアはその他を除き唯一前年比アップしている。
2009年通期の出荷台数も乱暴にQ2の4倍、約10億台とし、Q2のシェアをそのまま通期シェアと仮定するとSamsungは約3.8億台、LGEは1.9億台ということになる。

Source:DisplaySearch
Source:Twice / DisplaySearch Hikes LCD TV Unit Forecasts
Source:MocoNews

乱暴な話だが、Samsungは2009年にTVと携帯電話で約4億人以上、LGEは約2億人以上の顧客を獲得したことになる。

これら膨大な顧客は、インターネットユーザであり、SNSユーザ、Blogユーザ、FlickrやTwitterユーザでもある。こういったソーシャルメディアスペースに参加するユーザが自分の日常生活や学校、職業に関すること、興味のあるトピック、そしてブランド関連コンテンツを共有している。このコンテンツ共有ネットワーク、コネクション、リレーションズに参加する人々がブランドWOMを拡散している。

そう考えた場合、1年間に4億とか2億といったサイズの顧客を獲得する両社はとてつもない可能性を抱えていることになる。例えば、2007年と2008年の販売台数=既存顧客数を合算すると10億とか5億超といったサイズになる。このサイズのソーシャルメディアスペースのユーザが一斉にブランド関連コンテンツを発信し始めたとしたら...!!!

これら既存顧客をブランドアンバサダーとして活動してもらうマーケティングを考えると夜も寝られない。

2010/02/15

Super Bowl and Pepsi

例によってUSA Todayで2010年のSuper BowlのAd Meter Trackがあり、今年はMars Snickersがトップに選出されている。
Source:USA Today / Super Bowl XLIV ads

63本のCFがあるが、常連の顔が見えない。Pepsiだ。

Pepsiは2月1日から「Pepsi Refresh Project」をスタートしている。2月4日、木曜日のAOLトップページにはバナー広告を掲出してトラフィックをサイトへ誘引していた。
今まで何十年にもわたり、「be sociable, have a Pepsi」と叫び続けてきたブランドが、今度はPepsiが行う社会貢献を一般消費に支援してもらう取り組みを始めたわけだ。Pepsiの新しいメッセージを広めるためにFacebookやTwitterを動員してくる。

福祉、芸術や文化、教育などに関して、Pepsiが支援すべき団体、グループ、目的などを一般から募集し、年間で2,000万㌦を拠出する予定だ。それもPepsiが決めるのではなく、一般ユーザの投票によって決めてゆく。

Source:NYT / Pepsi Invites the Public to Do Good

Pepsi Refresh Projectのページへ行くと、5,000㌦、25,000㌦、5万㌦、25万㌦の区分けがあり、様々な個人からのアイディア、団体からのアイディアが上っている。
Source:Pepsi Refresh Project

そして、Facebookにもファンページがある。すでに51万人以上がファンになっている。Pepsi-Refresh Everythingから何回となく書込みがあるが、そのほとんどに数百人が「like this」をクリックしている。
Source:Facebook / Pepsi - Refresh Everything

Super Bowlという年に一度のお祭りには常連に加え毎年新顔が加わるのが常だった。その中でも長年、顔見世の一角に必ず出ていた企業・ブランドが顔を見せない。その代わり、二段も、三段も消費者、ユーザに近付き、同じ目線から物を言い、同じ立場に立って経験を共有しようとしている。

そして、どんなアイディア、活動に資金を拠出するかは一般消費者、ユーザの投票によって決まることが、今までのCSR、社会貢献、慈善事業とまったく異なる点だ。企業・ブランドの独りよがりで決められ、その年だけはCSRレポートに仰々しく実績を書き連ねられるプロジェクトとは違い、貢献を受ける側が、いろいろなアイディアの中から、その目的、効果や波及を勘案し、そして自分自身がどのように貢献できるかをも含めて決めることができる。

参考:Donations for Haiti (Online Ad 2010/01/21)
参考:Travel Brands for Haiti (Online Ad 2010/01/26)

もう顔の見えない企業・ブランドがどんなに長く、多く、Super Bowlというお祭りに参加しても、残るのは宴のあとの寒々しさと、そこらじゅうに散らかり、くしゃくしゃになったパンフやカタログ、そして領収証の明細と合わない効果だ。

特に、今年以降のCSRレポートに、実施したイベント、プロジェクトの内容や参加者・団体数しか書けない企業・ブランドはどうするのだろう?