2008/01/31

Video Audience Measurement Suite

Vidmeterというバイラルビデオランキングを行っているVisual Measuresが、業界初めてのオンラインビデオ視聴オーディエンスの行動計測スイート、VisibleSuiteを発表した。

ビデオ視聴開始から停止、撒き戻しから転送などオンラインビデオに関わる視聴者の行動をキャプチャーすることで、オンラインオーディエンスの行動パターンを計測する。これを使えばビデオパブリッシャーはビデオコンテンツのポートフォリオ、流通戦略、オーディエンスターゲッティングに関してデータに基づいたマネージメントが行えるようになる。また、広告主のほうも、単にビデオが視聴されたかどうかだけではなく、オーディエンスがメッセージに対してどのように関与したのか、そしてそれをマッピングすることでキャンペーン効果と対照することができる。


Source:Visible Measures / Latest Press Lease
参考:Vidmeter

パワーが増大するインターネットメディアの中でもビデオの力は、YouTubeを引き合いに出すまでもなく最大だろう。このオンラインビデオの露出効果を計る指標が今まではなかった。そのためオンラインビデオがマーケティングの手法として活発に利用されてはいなかった。これで二の足を踏んでいた企業も検討を開始するかもしれないし、検討中の予算が続々と承認されビデオの利用が促進されかもしれない。そして、今後、Visible Mesuresだけではなく、多くのスタートアップや既存企業が参入するのではないだろうか。

さて、日本ではどこがVisible Measuresと手を組むのだろう。ちょっと興味がある。

2008/01/30

The Prospect's Protest

MarketingExperimentsにプロスペクトの苦情という書込みがある。1月9日に行われたWebclinicsで、Dr. Mcglaughlinが「2008年のポストモダンコンシューマーに対するマーケティング」として講演したものだ。
  1. 私(プロスペクト)はターゲットではない。私は人間だ。私にマーケティングせず、コミュニケートしてくれ
  2. 私の名前(プロスペクト)を擦り切れるまで使うな。お互いに知り合うまで「友達」だと呼ばないでくれ
  3. マーケターが「売れ(てい)る」といえば私には「誇大広告」だと聞こえる。透明性は説得に勝る。「売る」のではなく「言って」くれ
  4. 私は企業から買わない。人から買うのだ。そしてここに糸口がある:私は嫌いな人間と同じ理由で企業も嫌いだ。自慢やほら吹きはするな。うんざりする。
  5. そしてどうしてマーケティングの「声」はマーケターの真の「声」と違うんだ?私が信頼する人間は恩に着せたり得意客だからといった取り扱いはしない
  6. すべてのケースで、情報の質に議論があるとき、私はいつもソースの質をよりどころとする。私の信頼は売り物ではない。マーケターは信頼を獲得する必要がある
  7. (マーケターは)じわじわと私の目を眩ませる。できないことを言ってくれ。そうすればマーケターができると言う事を信じられるかもしれない
  8. すべてのケースで(マーケター)は分かっていないから私は信頼しない。君のコピーは傲慢で、君の動機は自己中心的で、そして君の言っていることは得意げだ。私の購買方法を変革したいのなら、まず最初に、マーケティング戦略を変更しろ
そして少し聞きにくいが、下はDr. Mcglaughlinのプレゼンだ。

Source:Marketing Experiments / The Prospect's Protest and The MarketingExperiment's Creed

そしてこの後に、MarketingExperimentsからの信条(レスポンス)として3つの条項が挙げられている。
  1. 人々は人間からものを買う、企業や、店舗や、あるいはWebサイトから人々はものを買わないと信じる。人々は人間からものを買う。マーケティングとはプログラムに関するのではなく、リレーションシップに関するものだ。
  2. ブランドとは評価にしか過ぎない。マーケティングとは会話でしかなく、購買とは信頼の行動である。信頼は2つの要素で獲得される:1)正直と、2)実効性だ。どちらも顧客第一に重心を置くことが求められる。
  3. 実験は推測に勝り、正直は説得に勝ると信じる。マーケターは正直なデータにその判断を委ね、顧客は正直な主張にその判断を委ねる必要がある。
自身がメディア化したポストモダン時代に生きるコンシューマーは、既成メディアのパワーを凌駕し、それ以上の露出と影響力を獲得している。物量で圧倒することなどもはや不可能だ。タッチポイントが無限に存在している今、オープンで対等なコミュニケーションチャネルを開かない限り、また、コンシューマーの力、信頼を借りない限り、今後のマーケティングはROIさえ計れないのではないだろうか。

参考:Infinite Touch Points (Online Ad)

2008/01/29

Life Cycle of a Blog Post

WiredにBlogのライフサイクルを表した図が上がっている。

Source:Micro Persuasion / Data Mining: Wired - The Secret Life of a Blog Post
Source:Data Mining / Wired - The Secret Life of a Blog Post
Source:Wired / The Life Cycle of a Blog Post

Blogの新しいエントリを書き、公開するや否や、Pingサーバ、検索エンジン、データマイナー、ボット、アグリゲーター、ソーシャルブックマーク、広 告サーバ、企業、メディア、Spamブログなどが介在し、読者にリーチする。そしてその介在者のいくつかからBloggerへ反響が送られてくるし、その 間にもBlog露出が重層してゆく。また、この露出はオンラインだけではなく、オフラインのMSMへも波及してゆく。

このBlogパワーがネガティブに出れば、Samsung Bullys Bloggerになりかねないし、Best Blogs of 2007で企業Blogのトップとして賞賛されることにもなる。またユーザがブランドに及ぼす影響力を考慮すれば、とにかくBlog露出を行い、情報を共有し、会話と対話に参加しなければならない。

参考:Samsung Bullys Blogger (Online Ad)
参考:Best Blogs of 2007 (Online Ad)

2008/01/28

Greenpeace Ranks Nintendo Last in Greenness

何度かGreenpeaceが行っているGreener Electronicsを紹介してきたが、第6回目、昨年12月に発表された調査結果ではなんと、Nintendoが最下位にランクされている。それも得点は「0」で、すべての項目で「0」を記録した初めてのグローバルブランドだとしている。

下の左端にある数字をクリックすると1回目から6回目までの各社のランクと得点が表示される。各回で順位の変動こそあるが、「0」得点で最下位にランクされたブランドはなかったわけだ。

今回からTVとゲーム機が評価対象となり、Philips、Sharp、MS、そしてNintendoがランクされている。Philipsが2、Sharpが4.7、MSが2.7、そしてNintendoが「0」得点と評価されている。Nintendoの場合、有害物質排除の予定、廃棄・リサイクルの予定、化学物質基準などいずれも情報がない、不足しているということで厳しい評価になったようだ。

Source:Greenpeace / Guide to Greener Electronics

NintendoはWiiで2,000万台、DSで6.600万台を出荷している。下のようにゲーム機としてWiiもDSも競合を寄せ付けず一人勝ちの様相だ。2007年3月末でXbox360が977万、Wiiが625万、PS3が280万だった。また、DSは3,957万、PSPは2,098万となっていた。

参考:Next Generation Console -2 (Online Ad)

それからすると10ヶ月弱でWiiは1,000万台増加して倍増したことになる。XboxもPS3も伸びは700万台弱の実績に留まっている。DSは 2,700万台、PSPは1,000万台伸びたようだ。
Source:VG Chart
参考:Greenpeace Ranks Sony Worst in Greenness (Online Ad)
参考:Panasonic and LGE Will Be the Worst in Greenness (Online Ad)
参考:Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness (Online Ad)

Nokiaのように携帯だけで年間4億台以上を販売する巨人と比べればまだ台数は少ないが、WiiとDSを合わせて年間4~5,000万台を出荷するNintendoに、有害物質やゲーム機の廃棄、引き取りやリサイクルに関する説明責任はある。

GreenpeaceのページにはClash of the consolesというリンクがある。そこへ行くと、Sony、MS、そしてNintendoのCEOへEmailが発信できるようになっている。SonyならStringer氏へ、MSならBallmer氏へ、NintendoならIwata氏へemailが出せる。CEOのメールボックスが抗議のemailで溢れかえる前にしなければならないことがある。

2008/01/25

Samsung Bullys Blogger

GigaOMによれば、1月17日、MobilediaというBlogサイトへSamsungから「Cease and Desist (緊急停止) Letter」が届いたそうだ。
(クリックで拡大)
Mobilediaは1月10日にSamsungのM800に関して画像や仕様を紹介していた。そこへSamsungから

「Mobilediaが発表したSamsungの携帯端末M800に関する情報の一部はまだ社外に公表されておらず、その発表により競合他社などに社外秘情報が流出したことになる。加えて、その発表はSamsungのマーケティング戦略やその他のプロモーション活動を混乱させることになった。また、情報がSamsungのエクストラネットから非合法、不正に入手したと強く信じる理由がある」、

「情報入手に関わった第三者名を提供すること、またサイトから情報を削除することを要求する。また、情報の返却と将来いかなる目的でもその情報を使用しないという緊急停止に同意することを要求する」

とのことで、要求に応じない場合、あらゆる手段を講じて法的権利を確保し、補償を求めていくというものだ。

1月18日のポスティングでMobilediaのAllen Tsaiは、こういった書簡が届いたためページを削除したが、Samsungが書き連ねていることは真実ではないと書いている。何故なら、
  1. 情報はすべてパブリックドメインのものを入手
  2. 第三者の関与したリークなどない
からだ。

GigaOMによると、Mobiledia同様に1月10日にM800を伝えているElectronicstaにはSamsungから「Cease and Desist (緊急停止) Letter」は届いていないという。Electronistaは、「新しいリークによると」と書いてM800を伝えているにも関わらず、Samsungから大上段に振りかぶった脅迫メールを受け取っていない。

Source:GigaOM / When Samsung Attacks!
Source:Mobiledia / Samsung Cease and Desist Letter
Source:Electronista / Sprint to get Samsung M800 as 'iPhone killer'

1月18日のMobilediaのポストに対して49件のコメントが書き込まれている。大半は次の携帯にSamsungを検討していたが、こんなことをするメーカーだとは思わなかった。次の携帯は別メーカーにするといったものだ。

Mobilediaは月間200万PVのサイトにしか過ぎないが、GiGaOM(Technoratiによるランクは36位、6,133件のBlogからリンク)という大手Bloggerに紹介されて北米はもちろんのこと、欧州や日本にまでこのネガティブPRは伝播してゆく。こうして数百万㌦以上をかけた新製品プロモーションの効果が削られてゆく。それだけではなくSamsungのブランドにも傷がつくことになる。

Allen Tsaiが最後に書いたように、「Motorola、Sony Ericsson、Nokiaなどはプレスアカウントを公開し、高精細画像を提供してくれ、T-Mobileなどは担当のPRレップが直々にemailを送ってくれる」という対応と、今回のSamsungの対応のギャップは尋常ではない。企業は通常であればフリーパブリシティとして様々な素材を各メディアに提供している。iPhoneの場合であれば4億㌦のフリーパブリシティを獲得したといわれている。それだけ大きな露出が期待できるわけだが、弱小Bloggerに対して訴訟をちらつかせてイジメに近い今回のSamsungのスタンスはあまりにもかけ離れている。

SamsungのPRやマーケティングは、このギャップをどうやって埋めてゆくのだろうか?それも北米だけではなく、欧州や日本など世界各地に広まったこのネガティブPRを北米Samsungだけが埋めてゆくのだろうか?

2008/01/24

Internet In India 2007

IAMAIから「I Cube 2007 Internet In India」が出ている。

2006年は2.43億人だった都市生活者が2.5億人、識字者が2.03億人から2.05億人、英語基礎レベルは変わらないが、PC使用者が5,900万人から6,500万人、インターネット経験者が3,200万人から4,600万人、そしてアクティブユーザが2,100万人から3,200万人へ増加している。

インド政府が宣言したように「2007年はブロードバンド元年」であり、PCやインターネットの普及が促進されてインターネット利用が単なるemailやchat、あるいは情報リソースとしてだけではなく、学習、ネットワーキング、ショッピング、ゲーム、そしてBlogなどの情報発信を行うリソースとしての認識も高まった年のようだ。

インターネット経験者のうちアクティブユーザが占める比率は2000年の40%が、2006年には66%へ、そして2007年には70%へ伸びている。

8大都市および地方都市以外のインターネットユーザ比率が拡大している。2000年には10%にしか過ぎなかった比率が2007年には41%にまで拡大している。2006年に急拡大した傾向が2007年も継続しているようだ。

社会階層的には2006年に、SEC Aが42%、SEC Bが35%、SEC Cが21%、SEC D & Eが3%となっていたものが、2007年にはSEC Aが39%、SEC Bが33%、SEC Cが23%、SEC D & Eが5%となっている。インターネットユーザ数の拡大に呼応して、SEC CおよびSEC D & Eのユーザが拡大している。

インドにおけるインターネットへのアクセスポイントで特徴的なのはサイバーカフェだ。ただしその比率は下がっている。それに反してオフィスからのアクセス比率が上昇している。これはIT/ITESセクターへ就業人口が急増していることを反映している。欧米大企業がインドにコールセンターや開発拠点を展開していることもその理由だろう。また、学校・大学からのアクセスも7%に達している。

Source:IAMAI / Internet In India 2007 (pdf)

なお、以下のリンクで2006年版を紹介していたが、Sourceリンクが消失しているので、ダウンロードしておいた資料を、Box.netへアップしておいたので興味のある方はどうぞ。

参考:Internet in India 2006 (Online Ad)
参考:Box.net / Indiainternet.pdf

2008/01/23

Chinese Search Engine Engagement

Enquiroが非常に気になる調査を公表している。

CNNICによれば中国市場での検索エンジンシェアは2007年1月でBaiduが62%、Google.cnは20%、その他が18%となっている。全世界で競合を押さえて検索エンジントップの座を獲得しているGoogleにしても中国市場は少しどころか、大きく勝手が違うようだ。

Googleがトップに躍り出ることができないのは2002年にGoogle.cnをハイジャックしてBaiduへリダイレクトするといった政府の介入、それ以降も続いているであろう政府による検閲がある。また、Baiduが許可しているMP3ダウンロード、政府による支援、「中国を誰よりも知っている」というマーケティングメッセージが大きく影響しているはずだ。しかし、オーガニック検索結果と広告を混在させているからだといっても前年比170%の伸びを記録しているBaiduの成長要因はそれだけだろうか?

そこで中国での検索エンジンの利用が違うためGoogleが2位に甘んじているのか、それとも中国でのビジネス自体が違うのかという質問に答えるため、EnquiroはEye Trackingシステムを使ってGoogle.cnとBaiduの検索結果ページにおけるヒートマップを示している。

当然ながら、Googleの検索結果は最初の3つまでのオーガニック結果周辺に視線やクリックが集中する「Golden Triangle:黄金の三角地帯」を形成している。Googleの場合、クリックの70%は最初の2つまでのオーガニック結果に集中し、リスティング広告には3%しか行っていない。逆にBaiduのヒートマップは結果ページ全体に分散している。
しかし、Enquiroが被験者にどちらの検索エンジンが期待する結果を提供したかを尋ねたところ、100%がBaiduを挙げている。

それは何故かと質問すると、帰ってきたのは「これが中国での検索だ」というものだ。これは中国のWebページがやたらめたらにコンテンツで充満し、色とりどりのリンクが張られ、アニメがそこかしこから登場し、欧米ユーザから見ればダンプカーの過積載に近い、「Hot & Noisy」というページデザインおよびレイアウトが好きだという理由が検索にも反映されているようだ。

Webデザインに関して言うと、いつもオーディエンスのニーズや嗜好に合わせてコンテンツをデザインすべきなのは言うまでもない。検索結果ページにも同じことが言えるわけだ。Baiduの最初の検索結果ページに最大のヒートマップが現れるが、ユーザは何ページも結果ページをスキャンする傾向があるようだ。「Hot & Noisy」なパターンは検索行動にも反映されている。

加えてBaiduの場合、最初のオーガニック検索結果3つまでのクリックは45%を下回り、リスティング広告のクリックは1%でしかない。また、Baiduの場合、検索結果ページ末尾の関連検索にユーザの視点およびクリックが集中する傾向も見て取れる。

さて、Enquioはその後、フリー検索、製品検索、製品購入、調査検索なども調査している。クレジットカードの普及が進んでいないとか、中国全土を結ぶ輸送網が未整備だとか、様々な背景があるが見えてくるのは同じだ。

中国と北米での検索行動比較
確実に言語の違いが大きく、中国では検索結果を読むのではなく、スキャンし、意味マップと情報の匂いを利用して、特定キーワードに視線を落とすことになる。そして今度はそれらキーワード周辺を読み、最適な結果かどうかの推論するようだ。ここが欧米言語ユーザとまっく違う点だ。

欧米であれば、検索結果ページの左上にあるオリエンテーションスポット(右図の左側にある白○)から垂直にスキャンすることで、検討するセット、通常は2つを確立してから、それぞれのセットを水平にスキャンするわけだ。これを「Fスキャン」と言う。

特にGoogleの検索結果は最適な情報をリストアップするため、垂直スキャンが比較的短く、その結果、「Fスキャン」ではなく、「Golden Triangle:黄金の三角地帯」となる。

しかし、中国では検討するセットによりエンゲージしている全く違うパターンがある。それが上図の右側のヒートマップだ。これはスポンサーリスティングが明白でないため(オーガニック検索結果と混在している)、北米のように検討するセットを明白に分割できない。そのため3つ、あるいはそれ以上の検討セットを確立することになる。

北米であれば、検討するセット2つのうち、検索結果トップにあるスポンサーリスティングに平均すると14%の時間を当てている。しかし、より詳細に時間をかけてスキャンするのは検討セットの2番目だ。64%の時間を消費している。検索ページでの平均スキャン時間は10秒だ。

ところが、トップのスポンサーリスティングがない(分かりにくい)中国の場合、検討する最初のセットにBaiduの場合38%、Google.cnの場合44%の時間を消費している。また、中国の場合、スキャン時間が長い。Baiduは55秒となっていて、Google NA(北米)の5.5倍を費やしている。中国ユーザは検索結果ページの内容を詳細に読んでいるのだ。彼らはBaiduの場合、検索結果の7~9番目まで詳細に見ているのだ。

最後に、Google US、Google China、Baiduを比べてみるとその違いが鮮明だ。
「Fスキャン」から発展した「黄金の三角地帯」がGoogle US(下図左)、その色を残しながら中国風に水平スキャンが増えているGoogle China(下図中央)、そして、検索結果ページ全体に視線やクリックが分散している「ボックススキャン」を行っているのがBaidu(下図右)だ。
Source:Enquiro / Chinese Search Engine Engagement
注:ユーザ登録必要

中国語同様、いやそれ以上に漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベットが入り混じる日本語の場合、Googleが得意とする「黄金の三角地帯」検索が最適解を提供してくれているのだろうか?日本人の検索結果ページでのスキャンパターンはどうなっているのだろうか?

近い将来、Enquiroに日本での調査を期待したい。

2008/01/22

Class Action to Ask

以前からClick Forensicsが出しているClick Fraud Indexを折に触れて紹介してきた。

最新の2007年Q3のインデックスでは
  • クリック詐欺率は16.2%に達している(昨年から13.8%増、前期比15.8%増)
  • PPC広告に対するクリック詐欺率は28.1%(前期比25.6%増)
  • Parked domain(Googleなどのアフィリエートの中で孫受けアフィリエートを抱えているドメイン)から広告サイトへのトラフィックの60%以上はクリック詐欺
  • 北米以外を根城とするクリック詐欺発信が多いのは、仏(4.2%)、中国(4.1%)、独(3.7%)
となっている。
Source:Click Forensics

上のヒートマップを見ると日本も中程度にクリック詐欺が発生しているようだ。日本の広告主、代理店、検索エンジン、ポータルなど関係する企業はクリック詐欺をどう捉えているのだろうか?

地図では低位のクリック詐欺が発生している米国では、Search Engine Landが伝えるところによるとAsk.comに対してクリック詐欺被害者の集団訴訟がおこされるようだ。AskSettlement.comの和解案pdfを見ると、2005年8月1日から現在までにIAC Search & Media、そしてあるいはAsk Jeevesからオンライン広告を出稿した広告主は、集団訴訟に参加するのか、独自に提訴するのか、あるいは和解に反対することができる。

和解案ではAskは82万㌦を準備することになっている。このうち弁護士費用などを除いた額が、被害者が今後広告をAsk.comに出稿する際、最大50%までクレジットとして広告費に当てることができるようだ。

Source:Search Engine Land / Ask Sponsored Listings Gives Click Fraud Reimbursements
Source:Marchable / Ask.com Sued for Click Fraud!?!
Source:AskSettlement.com (pdf)
参考:Click Fraud Q1 2007 (Online Ad)

Askが用意する準備金の中から最大26万㌦弱を手に入れる弁護士が主導した集団訴訟、和解案なのだろうが、ついにクリック詐欺に司法の判断がなされるというのはインターネットがメディアとしても、コミュニティ・ソサエティとしても確立したことをうかがわせる。

2008/01/21

Xerox New Logo -2

1月10日に「Xerox New Logo」を書いた。

その際、
しかし、この新ブランドロゴ発表の露出があまりに少ないように感じる。巧妙なB2Bのマーケティングプロモーションを期待していただけに拍子抜けした感じだ。Blogでも、YouTubeでも、MySpaceでも新ブランドロゴ発表にあわせた露出が今のところ見られない。
と書いた。

参考:Xerox New Logo (Online Ad)

先週の金曜日にYouTubeを見ると3本のビデオが上がっていた。しかし、1週間前にアップされたビデオはロシアのkryakvinaという25歳のユーザ(本当なのかどうか分からないが...)がアップしたものだ。その下にxerox本社から2日遅れでアップされたものがある。どうやら社内からリークしたものがYouTubeにアップされたため、本体があわててアップしたのではないだろうか?

さて、内容は3本とも同じだが、最初にアップされたビデオでも1週間で1,921回しか視聴されていない。3番目のビデオでも93回視聴されているが、本体からのビデオはたったの76回だ。まるでアマチュアのホームビデオが稼ぐような視聴回数だ。
ビデオの内容は以下をご覧いただきたいが、なんともはや、このビデオが本体から出てきていること自体信じられない。昔からのブランド、ロゴの歴史を紐解いていながら、新ロゴの意味するイメージやコンセプトが何も表現されていない。これではxeroxのプレスリリースにある内容を理解できるわけはない。



また、Technorati.comで「xerox new logo」で(Exact)検索すると、全言語で11本の書き込みしかない。新ロゴ発表から2週間近く経った状況でこの貧弱なオンライン露出は最悪だろう。口さがない連中は、新ロゴをすでにビーチボールだとか、Xboxのロゴそっくりだとか喧しい。当然、想定されるネガティブイメージがあるわけだ。それなのに...。

球体に配置された「x」はラインではなく、コネクターを意味し、顧客などすべてのステークホルダーを結ぶのだとxeroxのCEOは社内ビデオで説明していた。その内容が何も示されていないビデオをYouTubeにアップしたところで何も伝わらない。

ただし数々の広告賞に輝いたxeroxだから何かを仕込んではいるはずだ。それこそ3週間程度で11万回以上視聴されたKodakの「Winds of Change」クラスのバイラルビデオを期待したい。

参考:Kodak : Winds of Change (Online Ad)
注:オリジナルのビデオは削除されたようなのでYouTubeで今視聴できる下のバージョンをどうぞ。

2008/01/18

Customer Affinity : New Measure of Marketing

CMO (Cheif Marketing Officer) Council が新しいマーケティング指標として「Customer Affinity」を出してきた。

今日、大手企業のマーケティングに主要な位置を占めているのは顧客だということに疑義をさしはさむ人間はいない。マーケターは猫も杓子も顧客コミュニティ、CRMシステム、顧客分析に大規模予算を投下し、顧客の理解を促進し、エンゲージしようとしている。

が、旧来からのブランドメトリックス、すなわちブランド認知やブランド満足感といった指標は、顧客の意思そして特定企業あるいはブランドとビジネスを行おうとする意思を形成するパワーや要因を的確に提示していない。ブランド認知それ自体は、戦略的で、信頼され、継続されるベンダーとの関係を構築する顧客のベンダーへの愛着や選択傾向の決定要因としては脆弱だ。そのため、この旧来からのブランドメトリックスをを越えて、顧客を中心とするビジネスを構築するため、顧客親近感といわれる新しいマーケティングパフォーマンスを探る時期だとしている。

そこでCMO Councilは米国で年間4,885億㌦、全世界で1.5兆㌦という市場規模に加え、顧客とベンダー関係の価値と重要性を顧慮し、また顧客と持続可能、かつ高収益の関係を構築するという問題を抱えるB2Bテクノロジー市場を調査している。そして、よく知られているInterbrandとBusienss Weekが出しているTop100 Global Brandsを念頭に置き、CAI (Customer Affinity Index:顧客親近感インデックス)を導き出している。

これは年間3.34億㌦以上を支出する大手ITバイヤーおよび購入決定権者、メーカー、ベンダー、テクノロジーマーケター、カスタマーリレーション専門家、流通業者、学識経験者などから以下の4つの主要カテゴリを抽出し、1,500人以上のステークホルダーを対象として調査している。
  • 役職レベルCIO ITバイヤー・仕様者
  • チャネルソリューションプロバイダー
  • ITメーカー・ベンダーのマーケター
  • 顧客関係、サービス、コールセンター管理職
調査は、
  • 需要に対する市場の理解と反応:
    顧客のエンゲージメント、洞察、新密度、そしてソリューション創造と仕様決定に関わる関係レベル
  • 製品あるいはサービスの経験:
    ベンダー直接、あるいは流通代表いずれかからの購買および所有ライフサイクル
  • ブランド認識と評判:
    認知、理解、専門誌などでの評価、クチコミ、顧客評価、業界位置、受賞歴、他
  • コミュニケーションクオリティと頻度:
    価値提案の反響、メッセージの明確性、コンタクト発生率、コンテンツの最適性、納品のモードおよび発生率
  • サポートの入手可能性と有効性:
    コールセンター、Webサイト、オンサイト、フィールド担当者、問題解決の効率性
  • 企業の信用、信頼、そして確実性:
    影響力リーダーシップ、知識仲介、企業文化、ビジネスの実践と方針、社会的責任、法令遵守および統治
の要因に関して行われている。

調査の結果として以下の項目が挙げられている。
  • ベンダーと顧客の断絶
  • ベンダーは顧客中心主義を過剰評価
  • 顧客はベンダーに囲い込まれている感じている
  • 収益性と顧客親近感
  • 共同開発の重要性
  • ベンダーの納期や提案に信が置けない
  • ベンダーおよび流通は自身の効率性をチームとして最大化できない
  • 同僚の意見は顧客の購入に強く影響
  • ブランド認知は顧客の購入決定にあまり関係しない
そして、「成すべきこと」として以下が挙げられている。
  • 顧客中心に再編成
  • 共同開発は顧客親近感の肝
  • 顧客ライフサイクルを通して流通との協力を改善する
  • ブランド認知を超えて
  • 顧客タッチポイントは顧客親近感構築の絶好のチャンス
  • 大法螺・納期遅れの罠を回避
  • 顧客中心主義の再構築
  • 信頼こそ顧客親近感の基本
上記の詳細はpdfを参照していだくとして、面白いのはブランド認知とCAIでの比較だ。

ブランド認知および認識:
さて調査結果を「ブランド認知および認識」という視点で見ると、顧客が組織内、そして組織外の企業の中で高く能力を評価し、他との比較で優位にあるとするトップ10は右の通りとなっている。上位5社は下位5社よりもかなり高い評価を受けている。11位以降の企業には、Verizon、Sun Microsystems、Linksys、Nokia、そしてSymantecが続いている。

どちらにしてもInterbrandとBusiness WeekのTop 100 Brandsと変わりない名前が上位を占めていることになる。

CAI(顧客親近感インデックス):
ところがCAIでのランキングを見てみると全く違う結果が出ている。巨大ブランドや、巨額の広告費を計上しているような企業よりも、顧客中心主義を取る企業が上位に顔を揃えている。

このCAIランキングを上位75社までリストアップしたものを見るとその違いがより一層鮮明だ。ブランド認知で上位10社に入っていた企業をCAI75で見ると、Ciscoは18位、Intelは19位、Googleは27位、Adobeは32位、Microsoftは34位、IBMは37位、Oracleは39位、Sonyは49位、HPは53位、そしてDellが63位となっている。どう見ても中堅企業以下といった評価でしかない。

反面、Riverbed、Red Hat、SAS、F5、Salesforce、Sonicwallなど専業企業の評価が高くなっている。
Source:CMO Council / Profitability from Customer Affinity (pdf)
注:ダウンロードにはユーザ登録必要

「成すべきこと」の「ブランド認知を超えて」に以下のように書かれている。
  • マーケターは時間、予算、そしてエネルギーをブランドキャンペーンに投じている。しかし、CMO Council の調査によれば、顧客の購買意思あるいは購買決定には取るに足りない効果しかないことがわかってきた。顧客は巧妙なブランドアイディアやイメージの受動的なターゲットになるつもりはなく、彼らは参加したいのだ。
  • マーケターは顧客と直接関わることや顧客からのフィードバックを受け入れるメカニズムを創造する先進的な活動に時間を投下したほうが効果があがる。それら協調的な活動は顧客に真の製品やサービスの開発に関する利害関係を提供するだけではなく、-難解なブランディングキャンペーンの目的でもなく-、マーケターが影響を及ぼそうとするその人々への直接的な道を開くことになる。
B2Bのブランディングは非常に難しい話だが、広告代理店、マーケターなど関係する人々がこのレポートをどのように評価し、対応をするのか興味が尽きない。

2008/01/17

Best Blogs of 2007

Search Marketing Guruが、2007年のベストBlogを選出している。

その中で「Corporate Blog」のトップに挙げられているのがBill Marriottが2007年1月から開始した「Marriott One the Move」だ。彼のBlogについては何度か取り上げている。以前行われたホテルのオンライン予約システム構築には懐疑的、1年前までBlogの何たるかも知らず、PC操作もおぼつかないが、今顧客との直接対話の場所がそこであると理解することでBlogを開始した70歳を過ぎたMarriottのCEOだ。

同じ「Corporate Blog」にはO'reillyのO'reilly Radar、Jupiter MediaのAlan Meckler、SunのJohnathan Schwarz、そしてWordPressのMatt Mullenwegがリストされているが、錚々たるメンバーに伍してトップに挙げられているBill Marriottの存在感はただ頭が下がるばかりだ。

彼のBlogで最新のエントリは、「A Courtyard Hotel in India Helps Lessen the Stigma of Leprosy」だ。インドでハンセン病の患者、家族に対して教育、住居、衛生、食料や衣料などを提供している「Rising Star Outreach」の活動に触発され、動き始めたMarriottの従業員の話だ。

「Rising Star Outreach」については下のビデオをご覧いただきたい。


エントリの最後で、彼はインドでの活動を誇らしく思い、これは「Marriott culture of service」を具現化したものだと結んでいる。このリンクは、MarriottのWebにある企業カルチャーページへ飛んでいく。

Source:Search Marketing Guru / Best Blogs of 2007 You're Not Reading | Quiet Blogs That Make Big Noise
Source:Marriott On the Move / A Courtyard Hotel in India Helps Lessen the Stigma of Leprosy
Source:Rising Start Outreach

企業Blogに関しては以下のようにかなり書いてきた。しかし、まだまだ足りないようだ。ブランド、製品やサービスばかりではなく、顔の見える企業文化や企業理念を海外の人々、ステークホルダーに知ってもらうため、日本のグローバル企業のトップが成さなければならない情報発信は重要だ。しかし、その現状は貧弱の一言だ。

「Why Do I Blog?」でBill Marriottは、「ビジネスは価値を創造するものでなければならない。そして、私は我々の価値をBlogを通して伝えようと努力している」と書いている。

この言葉と同等の価値と重さを持つ言葉を、日本のグローバル企業のスタティックなWebページに見つけることはできるのだろうか。開始以来1年を越えて60本以上の書き込みを続ける彼の露出に匹敵するグローバルな露出を行った企業トップはいるのだろうか。一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションチャネルで自身と率いるMarriottを強烈、強力にプッシュする彼の理念と戦略に対抗する企業人は日本にいるのだろうか。売らんかや、ひけらかしが詰まった「どこそこの社長ブログ」なら掃いて捨てるほどあるが、企業トップとしての矜持と戦略性を語るCEO、CMOのBlogは期待できないのだろうか。

トヨタの渡辺社長やキヤノンの御手洗会長にBlogを書かせるマーケターの登場は今年か、それとも来年なのか?

参考:Why Do I Blog? (Online Ad)
参考:Marriott on the Move (Online Ad)
参考:Corporate / CEO Blogging (Online Ad)
参考:Marriott's CEO Blog Launched (Online Ad)
参考:Sun CEO's Blog (Online Ad)
参考:Why CEOs Should learn to love the blog (Online Ad)

2008/01/16

Infinite Touch Points

Logic + EmotionのDavid Armanoが「Infinite Touch Points」を書いている。

  • デジタル時代以前(有限のタッチポイント)
    我々が企業やブランドと行うやり取りはアナログのみ。顧客の個人的なやり取り、電話、店舗あるいは支店などがブランド、あるいは企業が提供すサービスに触れる主な方法であり、場所。
  • デジタル時代+2.0(マルチコネクトのタッチポイント)
    個人が以前にも増してビジネスおよびブランドとエンゲージし、取引を行い、相互にやり取りする手段を獲得した。理想的な総体的な(ブランド)経験が結合されてきた。デジタルおよびアナログのタッチポイントが調和している。
  • ポストデジタル時代+2.0(無限のタッチポイント)
    デジタルとアナログの境界線が全体的にぼやけてきた。「ソーシャルタッチポイント」量が臨界に達した。理想的な無限のタッチポイントは液状化したフローに存在する。フラグメンテーションが基礎となる。

Source:Logic + Emotion / Infinite Touch Points

David Armanoは、「今から20年後にブランド、企業、そして製品やサービスとの相互のやり取りは無限になるのだろうか?より多くのオプション、チャネルコミュニティ、そして選択肢が可能となる中、整理統合されるのか、それとも拡大し続けるのか?」と自問している。

彼は、「現状ではまだ「無限のタッチポイント」は始まったばかりだからこそ、既成メディアそしてソーシャルメディアも断片化されている。整理統合されるのではなく、ブランド、企業そして製品やサービスと我々が相互やり取りをするように、すべてではなく、ある部分は「液状化したフロー」へ移行するのではないか」と書き、「もしタッチポイントが無限となるなら、あるいはそうなると思われるが、そうであれば(タッチポイントが無限となり、ブランドの製品やサービスと接触するたびに、その経験がどうであったか心理的なメモが積み重ねられるため)、より深層レベルでのブランドとの関係性を構築する機会が可能となる」と書いている。最後に、「しかし、理想的な「液状化したフロー」へ無限のタッチポイントが到達できたときにのみの話だし、あるいは少なくともエンドユーザ、顧客、あるいは参加者に対してそう思わせることができるときのみの話だ」という但し書きで結んでいる。

付け加えるとすると、無限化するタッチポイントは今後必ずCPGのみならずB2B製品やサービスにも波及し、ブランディングのコアになるだろうということだ。また、無限化するタッチポイントとは、エンドユーザ、顧客、参加者、ビジネスパートナーや流通、そして国、地方自治体、株主、従業員などブランドが対話、会話する訴求対象者、すなわち全ステークホルダーを意味し、グローバルなマーケティングがより重要になるということにもなる。そして無限化するタッチポイントの対象は人であるからこそ、またその人が新たなタッチポイントになるからこそ、今こそ、ソーシャルブランディングを検討する時だということでもある。

参考:Mindset Shift Required (Online Ad)
参考:Letting Consumer Control Marketing : Priceless (Online Ad)

2008/01/15

Social Media Index

ITtoolboxとPJAが共同で行った「IT Social Media Index Wave II」という調査が公開されている。

これは2007年6月に行われた「Wave I」に続く第二弾だ。どちらもIT購入決定権者やインフルエンサーに対して、購入プロセスの段階ごとにソーシャルメディアツールの影響を判断し、個人の通常ネットワークの拡張としてオンラインコミュニティの信頼性を評価しようとするものだ。

それによると、IT購入決定権者やインフルエンサーは、オンラインメディアやベンダーコンテンツよりも、ソーシャルメディアをより消費、参加する時間が多くなっている。それぞれ週に3時間前後を消費している。
上の図でWave IとWave IIを比べると、ソーシャルメディアの消費、参加時間が減ってきているようだが、購入決定権者のエグゼキュティブクラスでは違う。下図のようにエグゼキュティブクラスはソーシャルメディア、オンラインメディア、ベンダーコンテンツそれぞれで週当たり4時間近くを消費、参加し、ソーシャルメディアを最も消費し、参加していることが分かる。IT購入決定権者やインフルエンサーの平均が3時間前後を消費しているのと比較するとエグゼキュティブクラスは30分前後も多く消費し、参加している。
ところでこの傾向は欧米に限ったことではない。というよりはむしろアジアの購入決定権者やインフルエンサーのほうが、欧米よりも時間を消費し、ソーシャルメディアに参加している。オンラインメディアやベンダーコンテンツよりもソーシャルメディアがより消費されている。
Wave IとWaveIIを比較すると、ソーシャルメディアの消費は既存メディアのオンライン版の消費よりも多い。また、ソーシャルメディアも既存メディアのオンライン版もWave IよりWave IIで消費が増えている。
IT購入決定権者およびインフルエンサーの中では、ITアナリストを除くすべてのグループでソーシャルメディア消費が伸びている。特にエグゼキュティブクラスでその伸びが顕著だ。

Source:ITtoolbox / IT Social Media Index Wave II (pdf)

さてインターネット人口は昨年11月、全世界で12.6億人、普及率は19%を越えている。(クリックで拡大)


インターネット人口は2000年から2007年にかけての伸びは全体で約250%増という巨大メディアに成長している。現在のメディアシーンを7年前に予想することができたマーケターはいただろうか?そんな予想さえ不可能とするメディア自体の巨大なパワーの前に、今までのメディ ア概念、メディア消費パターン、ユーザ消費行動の把握などが転換期を迎えていることは明らかだ。もはや既成メディアのリーチとフリーケンシーの呪縛から離れるべき 時期であり、オンラインメディアを正しく理解しようとしない、し得ない代理店と袂を別つ時だろう。マーケティング戦略の大転換が必要だ。

それは新ロゴキャンペーンであれ、会社からのインターネットアクセスユーザへの訴求であれ、そしてB2BのIT購入決定権者やインフルエンサーへの露出であれインターネットをコアにしないマーケティングはもはや不要だ。

参考:Xerox New Logo (Online Ad)
参考:At Work Internet Users (Online Ad)
Source:InternetWorldStats.com

2008/01/11

At Work Internet Users

少し古いがOPA Europeから「Internet Use At Work Media Consumption Study 2007」という調査結果が出ている。

最初に、過去30日間に非email目的で会社からインターネットへアクセスしたユーザ(At Work Internet Users)と、会社以外の家庭、学校、その他などからインターネットへアクセスしたユーザのデモグラフィックスと、収入や家庭および企業での支出決定力を比較し、その後、会社からのインターネットユーザの行動を2004年のそれと比較している。

2004年と2007年の比較だが、職場で個人目的を達成するためにインターネットを使っているのが9ポイントアップで最大だが、それに続き仕事での生産性を向上させ、ハイテクやビジネス・ファイナンスニュース入手に役立っているという項目でポイントが上昇している。
職場からインターネットへアクセスするユーザにとって最大の理由は「ニュースと情報」サイトだ。At Work Internet UsersのTV視聴は19:00~23:00のプライムタイムを除き、全時間帯で落ちている。また、雑誌、新聞、そしてラジオの購読・聴取も全時間帯で落ちている。
At Work Internet Usersのインターネット利用は、2004年同様に午前中にピークを迎えている。目を惹くのは19:00以降のプライムタイムに新しいピークを迎えていることだ。TVは69%から75%へアップしているわけだが、インターネットは44%から67%へ23ポイントもアップしている。Source:OPA Europe / Internet Use At Work Media Consumption Study 2007 (pdf)

OPA Europeは、この調査を元にインターネットは日中に加え、プライムタイムのメディア消費も支配し、メディア消費傾向が決定的に変化したとしている。また、オンライン広告は「At Work」のクライアントベースにリーチしているとしている。

確かにインターネットは9:00から16:30までのDaytimeとDaytimeII、そしてPrimetimeでのメディア消費が伸びている。それに引き換え、TVはPrimetimeを除く全時間帯でメディア消費が落ちている。そして、特にTVの落ち込みは、雑誌、新聞、ラジオのそれを上回っているため、TVのメディアとしての地位が崩壊しているように見える。TVとインターネットの時間帯ごとのメディア消費を比較してみるとそのギャップが明白だ。(注:下図はOPA Europeのデータから作成したもので、上の引用PDFには掲載されていない)

また、職場からインターネットにアクセスするAt Work Internet Usersが増えている現状を考慮すると、クロスメディアミックスを行う際に時間帯別主要メディアの側面から考えるとインターネットがその中心に据えられるべきだと考える。

2008/01/10

Xerox New Logo

xeroxが1月7日に新しい企業IDのコアとなるロゴを発表した。
従来の大文字ではなく小文字の「x」、鮮やかな赤を基調として、顧客、パートナー、業界、そして革新へとつながるリンクを象徴する「x」を配した球体が組み合わされている。この球体はインターネットも意味し、スタンドアローンのコピー機ではなくデジタルドキュメントのフローサービスとそれを行う製品を象徴することになるのだろう。

xeroxのニュースルームへ行くとCEOのAnne Mulcahyが社内のグローバルコミュニケーションミーティングで新ロゴを発表したビデオを観ることができる。(下をクリック)
Source:Bivings Report / New Xerox Logo
Source:Beyond Madison Avenue / 2008:year of the digital re-brand?
Source:NYTimes.com / Xerox Hopes Its New Logo Doesn't Say 'Copier'

102年の歴史を誇るxeroxブランドをコピー機から解き放つ非常に意味のある、そして決意を示す新ロゴの発表だ。しかし、この新ブランドロゴ発表の露出があまりに少ないように感じる。巧妙なB2Bのマーケティングプロモーションを期待していただけに拍子抜けした感じだ。Blogでも、YouTubeでも、MySpaceでも新ブランドロゴ発表にあわせた露出が今のところ見られない。

NYTimes.comによればこのキャンペーンには2008年だけで数百万㌦の予算を注ぎ込むようだ。予算は2桁の伸びで、TVや印刷媒体への予算を削減し、インタラクティブなオンラインメディ アに予算を集中するそうだ。ただし、既存メディア経由ではなく、オンラインメディア経由で企業ユーザへ訴求するには3桁以上の伸びが必要なのではと考えさせられる。

このギャップを補完するためにもソーシャルメディアへの露出が不可欠だ。インターネットを表し、各ステークホルダーをリンクする「x」を全面に押し出すロゴを誰に認知させたいのだろう。企業ユーザとエンゲージし、最先端技術を提供し、21世紀をリードするxeroxブランドを確立するには、今までのブランドイメージを壊さなければならない。それには予算規模も必要だし、キャンペーン戦略も全く新しいものでなければならない。