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2010/07/16

Attracting Website Visitors

MarketingProfsからE-commerce Factbookのサンプルが出ている。

中に、「企業・ブランドの(小売)Webサイトへアクセスした際、もっとも影響を受けたものは何か?」と聞いている。
トップグループに来るのは、「ブランド:サイト、企業、ブランドに対する親近感」で32%だ。二番目は「Email:企業からのプロモーションemail」で13%。3番目は「広告:インターネット」で12%。

次のグループには、4番目以降の「広告:既存レガシーメディア」が9%、「検索結果」が9%、「(対面)WOM」が8%となっている。

最後のグループには、「その他」が4%、「(オンライン)WOM」が3%、「その他(ギフト)」が2%、「比較サイトからのリンク」が2%、「(レビューサイト)WOM」が2%、「広告(SNS)」が1%、「(Blog/forum)WOM」が1%、そして「その他(モバイル)」が0.3%だ。

Source:MarketingProfs / E-commerce Factbook

この調査は、23,000人のオンラインショッパーに対して「小売Webサイトへアクセスした理由」を聞いたものだ。

こういったオンラインショッパーをターゲットとするビジネスを展開する企業が最もよく使っているのはDMなどのダイレクトマーケティング、および検索広告ではないだろうか?

しかし、アクセス理由のトップに来る「ブランド:サイト、企業、ブランドに対する親近感」は、既存顧客のブランド体験、各種広告、検索、各種WOM、イベント、割引クーポン、DM・emailプロモーション、ソーシャルメディアマーケティングなどの複合要素が組み合わさった結果だ。すなわち、オフライン+オンラインIMCの結果だと言えるから、これがトップに来るのは当然だ。

ところがDM系のEmailプローモーションが二番目に来るのは良しとしても、検索結果(広告)がオンライン広告の後、レガシーマスメディア広告と同じ%しか獲得できていない。クリック詐欺は止まず、キーワード単価は上昇し、ROIが低下する検索広告は、この結果を説明できない。

もうひとつ言えるのは、このアクセス理由トップこそ、ブランディングだということだ。何もセレブをフィーチャーし、「XXXを検索」とTVCFを打つことがブランディングではない。ソーシャルメディアスペースに参加するブランドと会話したいと希望する多くのユーザがいる今こそ、ブランド体験やWOMの共有や拡散から親近感、信頼を勝ち取るブランディングが求められている。

折角、顧客・ユーザ・消費者が手を差し伸べてくれている時、わざわざ、面と向かってメガフォン越しに話をする企業・ブランドはいない。メガフォンに隠されていた「顔」を出し、手を伸ばして握るだけだ。「初めまして」と。

2010/06/29

Outsourcing for Social Media

MarketingSherpaのChart of the Dayに、「マーケティング機能のアウトソーシング」があった。

それこそ、PRからソーシャルメディアまで各マーケティング項目で、どれくらい「実際にアウトソースしているか、予定しているか、今は検討していない」という3つに分類している。

その全てでアウトソースされており、現状アウトソース率の高い上位は31%でPR、29%でSEO、23%でEmailが来ている。

これから予定しているマーケティング上位には、16%でSEO、15%でソーシャルメディアが来ている。
Source:MarketingSherpa / Outsourceing for Key Marketing Functions

現状のアウトソース率よりも、これから検討しているアウトソース項目が重要だろう。SEOとソーシャルメディアという項目は、社内リソースのスキル、必要とされるクオリティ、ROI、拡張性、専門性などを考えるとアウトソースするに越したことはないのかもしれない。

ただし、ソーシャルメディアと言っても広い。MarketingSherpaはPR 2.0を指して、PRのソーシャルメディア対応をアウトソースする可能性を見ているようだ。ソーシャルメディアによって、「企業が語る企業自身」ではなく、「消費者・顧客、インフルエンサー・アドボケーターが語る企業」のほうが重きを成してきた。その時代に、会話に参加しなければ、情報・コンテンツを共有してもらわなければ、話にならないわけだ。参加したり、会話するために必要なスキルやリソースに欠ける、特に中堅、及び大企業がPRサービスをアウトソースする可能性をあげている。

「見る、聞く」、「トレーニング」、「各種情報収集」、「競合比較・分析」、「効果測定」などはまだよしとしても、「会話する、エンゲージする」ことまでもアウトソースに含まれているのだろうか?もし、そうだとすると、それこそ、もっともソーシャルメディアユーザや、PR 2.0からは遠くなってしまう。担当部署だけが、あるいは担当者だけがスキルを獲得するのではなく、全社的なパラダイムシフトの取り組みをした方が、スキルの蓄積やROI的にも、コスト的にも最適とは考えないのだろうか?

どうも、一筋縄では行かない縦割りサイロ組織の逆襲はまだまだ続きそうだ。

2010/06/23

Mobile Search Exploding

BusinessInsiderから、グローバルなWeb検索実績とスマートフォンの検索実績を比較するグラフが出ていた。
Source:BusienssInsider / Mobile Search Is Exploding

BusinessInsiderが伝えるRBC Capitalによれば、モバイル検索はこれからの3年間に4倍になるようだ。ただし、その間、PC検索も伸びることは伸びるので、モバイルに喰われるこ とはないようだ。

そして、広告費という面では、モバイルは今後、20~30億㌦規模に増えると予想されている。

ま、モバイル検索に対応するためモバイル検索広告もしなければという話ではなく、本当にユビキタスなモバイルデバイスが、いよいよ離陸するという話だ。これにロケーションアプリやSNS、そしてTwitterなどが絡んでくる。

On the Moveの世界中のユーザにコネクトできるデバイスを欧米企業・ブランドが、次のソーシャルメディアチャネルとして活用してくるのは間違いのないところで、それは一国、一地域といった地理的制限、垣根を超えることになる。それを自覚したマーケティングをどの企業・ブランドが最初に始めるだろう?

それが、日本企業・ブランドではないことだけは確かだ。

2010/06/21

Japanese Brand Endangered

先週金曜日、Ascii総合研究所とWDEのセミナー「企業Twitterは誰が使うべきか」において、「欧米企業のソーシャルメディア化がもたらす日本ブランドの危機」というテーマで話をさせてもらいました。

2006年10月、ANA総会において「パワーは消費者が握っている。彼らは考えられる全ての意味で我々のブランドを所有し、ブランドコンテンツ制作にも参加し始めている」と語たり、企業が支配してきたマスメディアにソーシャルメディアが追いつき、追い越すさまを理解したCEOがいるP&Gにしても、2009年3月に「デジタルビジネス戦略チーム」が、マーケティング役員向けにクラッシュコースを開催している。トップがパラダイムシフトを理解していたとしても、実際にマーケティングを実行する事業部トップを揺り動かし、マインドセットを切り替えさせるのは容易ではない。トップ企業であっても3年もかかっているし、また、それをマインドセットが切り替えられない担当事業部、部署が主催することも非常に困難なのだ。

それはそうだろう。今まで巨額の広報・広告・マーケティング予算を握ってきた既存組織が、訳の分からないとしか理解できないオンライン、それも「オープンだとか、対等だとか、エンゲージメントだとか」といったバズワードを口に出し、ブームに浮かれているとしか見えない社内の人間、社外のエージェンシーの声に耳を傾けると言うことは自分の存在を危うくすることになる。予算を別組織、別キャンペーンに横取りされてしまうことになる。組織内での自分の存在や声、知見が役に立たなくなるような新しいことを社内に啓発することはあり得ない。

だから、P&Gは「デジタルビジネス戦略チーム」 がクラッシュコースを開催したし、FordのScott Monty、PepsiのBonin Boughは外部のエージェンシーからヘッドハントされてパラダイムシフト、IMCのイニシアティブをとっている。それこそマスメディア・エージェンシーに取りつかれ、アゴアシ接待を受けているような社内組織のドンの首を挿げ替えなければ将来はないのだ。それさえも理解していない企業・ブランドは多い。

さて、6月12日にVolkswagen InternationalはFacebookにファンページを開設した。これは2011 Polo GTIキャンペーンの核を成すもので唯一のものだ。すなわち、Facebookファンページだけで2011年モデルのキャンペーンをやるそうだ。そして、このファンページの言語は英語だ。Volkswagenのブランド体験を全世界のユーザと共有するため、「公式言語は英語」だと宣言している。

Volkswagenがどこまでパラダイムシフトを理解しているかは不明だ。しかし、少なくとも他マスメディアを使わずにFacebook一本に絞ってPolo GTIキャンペーンをやろうとしているのはGAPのケースから学習している。Vitamin Waterからも学習している。今、どこに顧客が集い、ブランド体験、情報・コンテンツを消費、共有、再拡散してくれているかは理解している。そして、Starbucks、Adidasの戦略も加味してFacebookをブランドポータルとして全世界のユーザに英語でコミュニケーション、エンゲージしようとしている。ここからも学習している。

一方、パラダイムシフトを理解しない日本のグローバル企業・ブランドが、従来通りの縦割りサイロ組織から苔むしたメガフォンマーケティングをソーシャルメディア化しても、ツール主導のマーケティングを行ったとしても、パラダイムシフトを把握し、オープン、対等、双方向のコミュニケーション、エンゲージメントを行い始めた欧米企業との間に広がり、深まり、離れてゆくブランド体験ギャップは埋めようもない。

製品・サービスの購買者があれこれとつぶやき、称賛し、苦情を言いたてている今、彼らに刺さらないマーケティングをやるしかない日本企業・ブランドと、プロファイル・アップデート・ビデオコミュニケーション・つぶやき・個人検索・RSSフィード・自動タグ機能などFacebook、MySpace、Twitterが備える機能を取り込んだ企業内コラボレーションプラットフォーム、Cisco Quadのベータテストを今秋にも開始するCiscoとの差は途方もない。

社内の縦割りサイロ組織を越えるコラボレーションと、70を数える部署横断のチーム制、それこそ営業リーダーが開発チームを率いるCiscoが、そのプラットフォームをシステム化して販売しようとしている。それを導入してくる企業・ブランドが否応もなく、瓦解する縦割り組織から解き放たれてオープン、対等、双方向のコラボレーション、コミュニケーションを行い、顧客・ユーザとエンゲージする時、もし、日本のグローバル企業・ブランドが今まで通りのコミュニケーションを続けるとすると、そのブランド価値は奈落の底に転落するしか道はない。

可能性を見出すとするとそれはマインドセットを転換させ、パラダイムシフトを理解させるクラッシュコース開催だろう。あるいは、Webビジター調査を導入し、SiemensやPhilipsのように全世界40カ国、あるいは32カ国の自社Webサイトへアクセスするユーザにコンテンツを評価してもらうとともに、どんな情報・コンテンツを希望するのか、どんなフォーマット、チャネルで発信し、どういったスペースでどのようなエンゲージメント体制を敷けばいいのか聞くことだ。また、バズモニタリングを行い、何が語られ、何が共有され、何が批判されているのかを知ることだ。といって、数の話でも、グラフの話でも、限界線を越えたらアラートを発信するといった話ではない。バズのコンテンツ、影響する範囲・会話への参加者・参加度・可能性などからその価値を判断し、ブランドへの影響を想像することだ。

クラッシュコース開催、Webビジター調査、バズモニタリングなしに、通常マーケティング手法をソーシャルメディア化したところで、Cisco Quadが提供するコラボレーション、それが否応なく開くパラダイムシフトを想像できない限り、日本ブランドに将来はない。

と、考えるが、みなさんはどうでしょう?
ご意見をお待ちします。

2010/06/17

Digital Morning with Email

ExactTargetとCoTweetから、Digital Morningというレポートが出ている。

年代別に、Email購読、Facebookのブランドファン、Twitterのブランドフォロワーになっている率を出している。図にはないが、平均Email購読率は93%だ。Facebookのブランドファンになっているのは38%、Twitterのブランドフォロワーになっているのは平均すると5%ということになる。

17歳以下を除き、18歳以上のEmail購読率は95%前後。Facebookのファン率は18-24歳が最も高く54%だが、65歳以上でも11%ある。そして、Twitterフォロワー率は最も高くても18-24歳の9%だ。
そして、朝一番にすることは、58%がemailを開き、20%が検索するか・ポータルへアクセス、11%がFacebookへ行っている。ここにはTwitterは顔を出してこない。
Source:ExactTarget / Digital Morning

猫も杓子もTwitterに浮かれているようなブームになっているが、他のコミュニケーションツールと比べるとまだまだその根は浅そうだ。

ただし、FacebookファンとTwitterフォロワーを合わせると43%のオンラインユーザがいる。Emailを購読する93%と合わせてタッチポイントの重層化を図り、ブランド体験を共有してもらうことが重要だ。

どう考えても、ツール戦略ではなく、IMC戦略を構築しなければ、一過性のブームに踊らされ、人気のなくなった競技場に捨てられ、クシャクシャになったパンフレットを拾い集めることになる。

2010/03/19

German Search Engine

GfKから「Use of domains with search function and allocation of queries」というレポートが出ている。このレポートも読者から情報提供を受けてGfKにメールを送り、英語版を送ってもらった。GfKに感謝=Vielen Dank, GfK!

なお、「German Online Report 2010」で、「BVDWに感謝します」というところを「Ich danke für BVDW.」としていたが、これは文法的にミスだそうです。鋭いツッコミが入りましたので、Vielen Dank, BVDW!と訂正します。

追記:
「Ich danke für BVDW.」はInfoSeekのドイツ語翻訳を使ったわけだが、Exciteでも同じだった。というよりも日本語を外国語へ、あるいは外国語から日本語へ翻訳するのは無理なのかしら?

参考:German Online Report 2010 (Online Ad 2010 03/11)

さて、ドイツにおける検索エンジン(ポータル含む)ドメインのリーチを見ると、Googleがダントツで90.2%、続いてT-Onlineの45.8%、Yahooが39.8%となっている。そして、ファッションに関する検索は91%がGoogleで行われ、次はBingの4.2%、Yahooが2.8%となっている。

すくなくとも、ことファッションに関しては10人中9人がGoogleを使って検索していることになる。T-Onlineは半分近いドメインとしてのリーチがありながら、ファッション検索のシェアでは1.8%にしか過ぎないことになる。
Source:GfK (独語版pdf)
Source:GfK (Box.netにアップロードしてある英語版pdf)

検索シェア9割となると、どのドメイン、ポータルにいようと検索はGoogleでというパターンが出来上がっていることになる。T-OnlineやYahooは検索以外、emailやオークション、多様なコンテンツを提供することで生き残りを模索しなければならない。

ところが、3月16日にはFacebook Sportsが立ち上がっている。ポータル化を強化、推進しているFacebookというか、ソーシャルメディアがポータル化しつつある今、既存ポータルのメリットが失われつつある。
Silicon Alley Insiderは、Yahoo CEOのCarol Bartzの退陣は切迫しているといった記事を書いているが、CEOを挿げ替えたところで流れが変わるわけではない。

Source:Silicon Alley Insider / Carol Bartz Needs A Miracle

なお、ドイツ語の添削でお世話になり、GfKの情報をいただいた読者に、ドイツ人の迅速な対応を伝えたところ、
こういうありがたい対応は、「もっとたくさんのことを知りたい、そしてもっと多くの人に知ってほしい」という共通の、そして根幹を行く願いがあるからだと思います。

あとは、組織として、「知ってほしい」を実現するための広報部門がしっかりしていることですね。これって一流か二流かをわける大事な条件だと思います。
というコメントいただいた。

コンテンツを配信、供給するだけのマインドセット、広告を露出するだけのマインドセットは、BVDWやGfKには存在していないようだ。

2009/12/16

Social connection to E-commerce

OneUpWebから「The 2009 Holiday Special Report」が出ている。

まず、小売、ソーシャルネットワーク、レビューサイトのトラフィック比較をしている。ベンチマークのGoogleと比較するとかすんでしまう小売サイトもあるが、Facebook、eBay、Amazon、そしてWalmartは十分なユニークビジターを獲得している。
そして小売サイトへのリフェラルを見ている。Amazon、Walmart、Best Buy、SearsにしてもGoogleとYahooを除くと、Facebookが必ずトップ5に顔を出している。小売サイトの中でもAmazonへのリフェラルトップ5(Google、Yahooを除く)のうちeBayを除く4サイトがソーシャルメディアスペースとなっている。
Source:OneUpWeb / 2009 Holiday Special Report (pdf)

4サイトともに競合サイトからのリフェラルがあるが、これはリアルでも同じだ。あそこの店とここの店をチェック、比較して薄型TVを買うといった消費者の行動がオンラインでもあるだけだ。

しかし、AmazonのリフェラルトラフィックにFacebook、YouTube、Wikipedia、そしてTwitterが入っているのは、Amazonがいかにソーシャルメディアフレンドリーなのかが見えてくる。各ソーシャルメディアスペースにおけるプレゼンス、コンテンツ発信、対話、そして共有というフローがなければこれほどまで他小売サイトと大きな差はできない。

そして、ソーシャルメディアスペースからのリフェラルが上位を占めるべきは何もE-commerceサイトだけではない。B2Cであれ、B2Bであれユーザ・顧客、ビジネスパートナー、他のステークホルダーからのアクセスが必要なサイトはすべて、Facebook、LinkedIn、Twitter、ブランド独自ソーシャルメディアスペースからの流入トラフィックが必要となる。いつまでもSEOやSMOに縛られている必要はない。というか、検索がらみのタッチポイントよりもコンテンツ生成やコミュニケーションが発生するソーシャルメディアスペースでのマーケティング、メディアリレーションズが求められる。

ソーシャル検索はもうそこまで来ているのだから。

参考:Social Search Impact (Online Ad 2009/10/28)

2009/11/19

UK Search Engine Performance 2009Q3

昨日の、「US Search Engine Performance 2009Q3」に続いてUKの同じく、Efficient Frontier のデータから傾向を見てみる。

USとは違い、支出におけるQ2、ROIにおける2008年Q4のでのへこみはあるが、2008年Q3以降、順調と言えなくもないフローだ。特に前年比で支出も12%、ROIも10%アップしている。リーマンショックなんてどこであったのかしらと思うほど順調だ。
また、個別検索エンジンにおいてUSと明らかに違うのは検索広告費支出シェア、クリックシェアだ。USではそれぞれシェアを落としていたが、UKでは支出もクリックシェアもGoogleが伸ばしている。そして、Yahoo!もBingもじり貧だ。
そして、CPCもQ1から上昇傾向にあるBing、Yahoo!、下落傾向にあるGoogleというUSとは違い、UKではYahoo!を除きBingもGoogleも下げ止まっていない。Googleはキーワード単価が前年同期で30%も下落している。Bingは31%も落ちている。
Source:Efficient Frontier / UK Search Engine Performance 2009Q3

UKにおいてGoogleを使った検索広告はリーマンショックを跳ね飛ばし、他社を圧倒している。CPCが30%もダウンしようとGoogleだけは前年同期比で42%もインプレッションが上昇しているので、わが世の春だ。

それにしてもUKにおけるBingは勢いがない。そしてそれはUKだけかというとそうではない。ま、下の日本、豪、仏、独の各国における検索エンジンシェアは、Efficient Frontierの顧客実績ベースだから実勢とは少し離れているところがあるが、Bingの顔が見えるのは仏のみだ。

Bingの各国におけるプレゼンス、営業、パートナーシップ、ビジネスアライアンスに疑問符がつくような状況を打開しない限り、米国パターンが各国でも実現するのは難しそうだ。

2009/11/18

US Search Engine Performance 2009Q3

Efficient Frontierの顧客データからUS検索エンジンの傾向を見てみる。

まず、SEM支出は前四半期から5%アップしているが、前年同期ではまだ5%下回っている。ただ、ROIは前四半期から7%もアップし、前年同期とほぼ肩を並べるところまで回復してきた。
3大検索エンジンごとの売上シェアとクリックを見ると、Googleの売上シェアが落ちている。前四半期も、前年同期も下回り、73.7%だ。クリックシェアも前四半期を下回り70.65%になっている。
どうやらBingのシェア上昇が確実になってきた。Q2で4.3%だったシェアはQ3で1ポイントもアップして5.3%だ。クリックシェアもQ2の4.1%からQ3には4.8%まで上昇している。このシェア上昇分はGoogleから奪い取っている。
それは各検索エンジンのCPCを見ればわかる。Bing、Yahoo!ともにCPCがQ1から上昇傾向にあるが、Googleは下落傾向にある。特に対前年比でGoogleのCPCは25%も下落している。それだけCPCコストが高かったわけだ。キーワード競り合いに疲れた、敗れた企業がBingやYahoo!にシフトしたということだろう。ただし、CPC支出で前四半期を上回っているのはBingのみだ。
Source:Efficient Frontier / Search Enging Performance 2009Q3

2009/11/05

Stupid press release SPAM

My Photo
マーケティングやリーダーシップ戦略に関するBlog、Webinknowを書いているDavid Meerman Scottが怒っていた。

彼は、「The New Rules of PR」という小冊子を書いているくらいだから、プレスリリースの価値を認めているし、人々の興味を惹きそうな事柄に関するアラートを個人的なメッセージとして送ることも認め、そういったメッセージを受け取ることも意味があるとしている。

そんな彼にしても、「その人がカバーしてもいない領域に関するプレスリリースを送ってくるのはSPAMだ。SPAM、Spam、spam」と連呼している。

Source:Webinknow / Stupid press release SPAM

そして、彼は受け取ったSPAMプレスリリースをいくつかリストアップしていた。どんな所から来ているのかと見ていたら、Mediabeaconが誰それを雇ったとか、Emma Thompsonが何やら賞を受賞したとか、SaaSベンダーのNetSuiteがフィリピン事業を拡大したとか、まるで関係のないプレスリリースのオンパレードだ。

最後に日本企業の名前が出てきた。
Stylesight and Itochu Fashion System Co., Ltd. Team Up to Provide Localized Japanese Trend Information Service: B2B Trend Content and Software as a Service (SaaS) Provider is First to Address and Fulfill Global Client Demand for Growing Japanese Market
ま、これはプレスリリース発信プロセスのどこかに顔を出している代理店が持っているメーリングリストに彼のアドレスが入っていたということだろう。

だが、業界では名の知られたDavid Meerman ScottのBlogにおいて、Stupid press release SPAM呼ばわりされるのはいかにも痛い。

そして、今後、ソーシャル検索が本格化すると、David Meerman ScottとFacebookやTwitterでコネクトしているユーザ(Twitterには約3万人のフォロワーがいる)の検索結果末尾、あるいは上位に上のようなエントリが表示される(かもしれない)ことになる。

参考:Social Search Impact (Online Ad 2009/10/28)

「Share of Global Online Time」で書いたように、MSやGoogleがFacebookやTwitterと契約して、リアルタイムデータストリームやソーシャルメディアコンテンツへのアクセスを確保したことは、単に検索ビジネスに関わるのではなく、企業・ブランドに戻ってくるのだ。

参考:Share of Global Online Time (Online Ad 2009/10/27)

それにしてもオンラインモニタリングをしていなければ、どこで、どのように、自社が取上げられているのか全く分からない時代になりました。

2009/10/28

Social Search Impact

AltimeterのCharlene Liと、Jeremiah Owyangが「Social Search: Customers Influence Search Results Over Brands」というポストを上げている。

GoogleおよびMSとTwitterとの契約、MSとFacebookとの契約を紹介し、このトレンドこそ、企業・ブランドがマーケティング、サポート、戦略構築を行うために一層、リアルタイムおよびソーシャルメディアスペースに注目すべきだとしている。

そして、エコシステムへのインパクトを挙げている。
  • Deal Fills In Technology and Relationship Gap for Twitter
  • Social Search to Serve Results Based On Time, Authority
  • To Compete, Facebook Must Make More Content Public
  • Twitter's Future: Seamless Integration with the Web
  • Consumers Influence Search Results
Deal Fills ...は言わずもがなだし、Social Search ...で言う、様々な属性が付加されてくるのも同様。Twitter's Future: ...もそうだろう。ただし、To Compete ...はどうなるか不明だ。そして、最後のConsumers Influence ...が、本当の意味での「Social Search」を代表するものとなる。

今、Google.comを使って「Hudson River」を検索すると、Wikipedia、Map関連、ニュース関連、そしてHudson公園、団体、観光名所、Blogポストなどが結果として上がってくる。しかし、数ヵ月先には、携帯で撮った不時着機の画像、映像を発信したTwitterコンテンツが登場することを想像するだけでいい。企業・ブランド名を検索した時、Twitterコンテンツが登場することを想像するだけでいい。

長年にわたり営々と築き挙げてきた累積コンテンツ、リンク網、引用数を誇るコンテンツの上位に、例えば12歳の少女が暇つぶしに携帯から発信したTweetがひょっとしたら来ることになる。Enquiroが示したGoogleの黄金の三角地帯のトップに無名も無名のつぶやきが来ることになるかもしれない。

参考:Chinese Search Engine Engagement (Online Ad 2008/01/23)

今はまだベータだが、下のBing、そしてGoogleにTwitterコンテンツが表示されるようになる時、BingにFacebookコンテンツも表示されるようになる時、企業・ブランドのコンテンツ価値、そして検索価値は今とは比べようもなく下がることになる。
次に、お持ち帰りの重要項目として、「Customer Impact Brand Search Results Using Twitter」を挙げ、3つ詳説している。
  1. Develop a Listening Strategy That Starts With Roles and Process
  2. Change The Marketing Mindset - Legacy Methods Ineffective
  3. Develop Influence Marketing Programs
いずれも言わずもがなだ。

特に最初にある、Develop a Listening Strategy ...は、日常的なモニタリングに加え、迅速な危機管理・対応にも関ってくる。

AlterianのWebinarでForrester ResearchのSuresh Vitallがプレゼンした中にP&GのKim Dedeker、VP、Global Consumer and Market Knowledgeの言葉がある。
In 2009, P&G will ... focus on listening. Our goal is to reduce the amount spent on traditional research by half and to devote the remaining 60% to "listening" research.
"listening"の前に、"online" を入れるのが彼女の言葉の正しい理解になる。消費者の声、オンラインバズを聞かずして何も始まらないことを理解する企業・ブランドは、今までのレガシーメディア調査予算を半減しても、オンラインモニタリングに残りの60%を費やすわけだ。

そして、3番目のDevelop Influence Marketing ...は、今までのページランクではなく、個人のオーソリティがランクされることから今後、企業・ブランドが確実に導入すべきマーケティング戦略となる。

Source:Altimeter / Social Search
Source:Alterian

CharleneとJeremiahが2番目に挙げている、Change The Marketing Mindset ... は、検索マーケティングの技術論的ではあるが、Social Search、Consumer Influence、Develop a Listening Strategy を合わせると、「マーケティングの固定観念を変えろ」となる。

2009/08/05

Digital C-Suite

Forbesから「The Rise of the Digital C-Suite」という資料が出ている。全米で売上高10億㌦以上の企業のトップエグゼクティブ354人を調査し、C-Suite(経営管理職およびトップ層)がどのようにビジネスに関連する情報を調査、入手しているかを調べたものだ。
  • C-Suiteの世代交代によりインターネット利用も変化
  • インターネットはC-Suiteの情報ソースのトップ
  • C-suiteは自分で情報を検索する
  • C-Suiteが使うのは主流の検索エンジン
  • ビデオおよびオンラインネットワークはC-Suiteのツールになりつつある
  • IT部門の管理職は情報収集にインターネットを最も使う
  • 40歳以下の管理職(NetScape世代)はソーシャルメディアツールを活用して最もエンゲージする
といったまとめがある。

まず、世代交代に関してだが、下の図は、50歳未満と、50歳以上のC-Suiteが
  1. ビジネス情報入手に利用するインターネットの頻度
  2. インターネットツール、サービス価値の5段階評価
  3. オンラインツールを利用する%
という比較がある。もう50歳未満と50歳以上ではひょっとすると人種が違うくらいの相違がある。50歳未満のC-Suiteは、PC、携帯、インターネット、iPod、その他のデジタルデバイスが何をするにしても大前提となっている、あるいはそれらがなくてはならない世代なのだ。
もうひとつ世代間で異なるインターネット行動がある。それは、「ビジネス情報を収集するために次をクリックしますか?」と聴かれて、
  1. 検索エンジンのリスティング広告
  2. バナー広告
  3. ポップアップ広告
  4. 他コンテンツへのリンク
  5. Blogエントリからのリンク
を50歳未満のC-Suiteは「しょっちゅうクリックする」と回答する比率が、41%から35%と、圧倒的に50歳以上よりも高い。
そして、IT管理職と非IT管理職を比較している。
  1. 毎日20回以上検索
  2. テキストよりもビデオからの情報収集・入手を優先する
  3. オンラインコミュニティの同僚から受けるアドバイスに価値を認める
  4. 仕事に関するBlogを毎日読む
  5. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードを利用して毎日読む
  6. 仕事関連コンテンツを検索したり、それらを毎日モバイルWAPで読む
  7. 検索結果のリスティング広告をしょっちゅうクリックする
IT管理職は非IT管理職の少なくとも2倍、項目によっては4倍近くまで実行している。
最後にWeb 2.0利用に関して比較している。今回は40歳未満、40~49歳、50歳以上という3段階に分けての比較だ。
  1. 自分自身で仕事関連Blogを書いている。
  2. TwitterなどマイクロBloggingをやっている。
  3. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードから入手している。
  4. モバイルWAPを使って、検索したり、コンテンツを読んでいる。
50歳以上のC-Suiteは見る影もない。50歳未満、40歳未満のC-SuiteがいかにWeb 2.0漬けになっているかが分かる。
Source:Forbes Insights / The Rise of the Digital C-suite

ビジネス誌を使ってC-Suiteに訴求しようというB2Bブランディングがある。しかし、もはやプリントのビジネス誌だけを使ってC-Suiteに訴求できる時代ではない。そして、売上高10億㌦を超える中堅企業以上のC-Suiteに40歳未満、50歳未満のC-Suiteが誕生している今日、彼らの日常行動を支えているのはオンラインであり、検索であり、ソーシャルメディアであることが明白だ。

現在、顕著になりつつあるC-Suiteの行動パターンに則したマーケティングが求められている。しかし、まだまだ今までのメディアプランにおまけとしてオンラインを加えているだけではないだろうか。

どうして頭を切り替えないのだろう。マインドセットをシフトしなければ、今の動きについてゆくことは困難だ。それにもかかわらず、なぜ、新しい動きを見ないのだろう。

それは、企業・ブランド側、そして代理店側の意思決定層が50歳以上だからだろうか?それとも、世界中のインターネットユーザを巻き込み、まったく新しいトレンドをいくつも誕生させてきたWeb 2.0という流れを理解できないからなのだろうか?

2009/07/15

Google's Ad Innovation

筆者がemail購読している中に「SmartBrief on Social Media」がある。7月10日のemailにGoogleのバナー広告が掲載されていた。
で、これをクリックすると以下のページにリンクされる。
(クリックでサイトへ)
Source:Google for Advertisers

サイトへ行くとOnline、TV、Mobileとカテゴリ分けされている。

例えばOnlineの場合、検索広告、ディスプレイ広告、YouTube広告、広告マネージメント、フリーマーケティングと区分けされ、検索広告のキーワード選択、ターゲティングなどから、ローカルビジネスセンターなどを使って顧客がどうして店にやってきたかを知ることができるフリーのダッシュボード提供まで説明している。

Mobileであれば、モバイルキャンペーンのキーワード選択、ターゲティング、広告作成ウィザードなどなど必要最低限のツールは何でもそろっている。

そして「Pet Stick: A 'Worst case' case study」というケーススタディもある。これは新しいキーワード選択、キーワードテスト、キャンペーンフィードバックなどの戦略、ウイジェットなどサイトコンテンツの追加、YouTubeへの展開、リッチメディアなどのクリエイティブ、そして、キャンペーンの最適化などが詰まっている。

ちょっとした総合代理店から検索やマーケティング会社が提供する資料、データ、業務、クリエイティブ、フィードバックなどがすべて手に入るスペースとなっている。ちょっと見ると、これ以外の業務を代理店が提供できるスペースはあまり残っていないように見える。

こんなサービス、スペースを提供された企業・ブランドが、今までの代理店が提供してきたサービス・業務の見直しをしないことは考えられない。今の経済状況ならそういった動きに拍車がかかる。固定費を削りながら、なんとか今まで同様の露出を継続したいと考える企業・ブランドが、このGoogleのサービスを持ち出しながら、予算削減を代理店に迫るということもありそうだ。

代理店ビジネスを脅かす大きな揺れが世界中で起こりそうだ。

ただし、このGoogleのサービスが持つ意味と、可能性を理解する企業・ブランドの存在は欠かせない。それがなければ左うちわの代理店ビジネスも続いてゆく。

さて、このバラ色のGoogleのサービスだが、まったくカバーされていないエリアがある。それはブランド構築、そしてソーシャルメディアスペースでのマーケティングだ。

Googleが提供しているのは、Web 1.0のマーケティングであり、オンライン広告手法・戦略にとどまっている。それがGoogleにとってのビジネスモデルであるだけに、そのリソースを最大活用するツール、スペースとして提供しているわけだ。しかし、このビジネスモデルで何もかもが解決できるわけではない。

Web 1.0、直販、ダイレクトレスポンスというエリアを離れた時、Googleの標準化されたビジネスモデルから提供できるソリューションが解決できる部分はあまりない。

2009/07/14

PPC on Facebook

MarketingSherpaのChart of the Weekに、PPC広告を利用しているマーケターがどのような使い方をしているかという図があった。

過去12ヶ月間継続して利用しているPPC広告でもっとも利用されているのはGoogleの検索連動型。それにGoogleの文脈連動型、Yahoo!の検索連動型、MSNが続いている。
MarketingSherpa.com Chart of the Week
Source:MarketingSherpa / Search Marketers' PPC Property (7月16日までアクセス可)

上図の最後にFacebookが顔を出している。Facebookは検索エンジンではないが、Googleのコンテンツネットワークに類似した文脈ターゲティングPPCのテキスト広告を提供していることで顔を出している。

FacebookでのPPC広告は一般的なPPC同様に、クライアントWebへトラフィックを誘引する。また、PPCからFacebook内のクライアントスペースへ誘引するパターンもある。そしてFacebookユーザが自分のWall、プロファイルに関連コンテンツやリンクを書き込むことによる露出からSEO的な側面も持っている。

ここが、今後の大きなポイントになってくる。通常のPPC広告によりコンテンツが拡散、再露出されるよりも、友人やFanのネットワークを通じたソーシャルメディアスペースでのコンテンツ拡散や再露出による消費および共有は大きなインパクトがある。

これをテコにマーケティングを企画、展開することが重要だ。ネットワークの輪を活用しないマーケティングは、Marketing -5.0位に評価されるしかない。

2009/07/06

Search Engine Demographics

6月にQuantcastからニュースレターが届いていた。
(クリックでemailコンテンツへ)
内容は当然、Quantcastのデータを使って各種効果をあげたクライアントのケーススタディとなっている。6月号では、Virgin America、Kia Motors、そしてMedia Contactsの3つが挙げられていた。VirginとKiaはデモグラフィック関連、Media Contactsは検索エンジンの差異によるオーディエンスターゲティングの修正だ。

その中でMedia Contactsのケーススタディを紹介する。33カ国にオフィスを構えるグローバルなインタラクティブメディア・エージェンシーであるMedia Contactsが、男性にターゲティングが必要なクライアントのためにQuantcast経由で、検索行動に関するユーザのデモグラフィック属性を調査したそうだ。

クライアント用の条件にあてはめたキーワード検索をベースとしているので、一般的なデータではなく、ある程度のバイアスはある。しかし、Google、MSN、Yahoo!の検索エンジンを利用するユーザデモグラフィックスに有意な差が見える。
Source:Quantcast / Case Study : Media Contact

性別で見るとYahoo!の女性比率が58.5%、そしてMSNの57.5%も注意が必要だ。次の世代構成でもYahoo!が若年層、MSNが中年層比率が高いのに比べ、Googleは35-44歳層がピークだ。年収でも各検索エンジンで面白い結果が出ている。

SEMさえやっておけばいいというステージはすでに過ぎているが、こういったケーススタディが出てきたということは、SEMの迷宮に入る前の段階でデモグラフィックスをちゃんと検証するスタンスはどのクライアントでもやっているわけではないらしい。また、誰がクリックしているのかを出せるSEMソリューションをどこでも提供しているわけでもないらしい。

2009/05/25

Display Ad, SEM and Social Media

Forrester Consultingの委託を受けてiProspectが行ったオンラインディスプレイ広告と検索エンジンマーケティングに関するユーザ行動の調査結果が公表されている。

それによると、まず31%のインターネットユーザはディスプレイ広告をクリックしている。また、27%はディスプレイ広告を露出された後に検索行動を起こしている。

加えて、21%は直接URLを入力して企業Webサイトを訪問しているし、9%はソーシャルメディアスペースで製品、ブランド、企業などを調査している。
次にディスプレイ広告を露出された後の検索行動を行ったユーザの14%は製品を購入している。ただし、関連製品を検索し、別サイトを訪問しているのはそれよりも多い38%に達している。
Source:MarketingVox / Online Ads Trigger Nearly as many as Search as Clicks
Source:iProspect / Search Engine Marketing and Online Display Advertising Integration Study
Source:iProspect / Search Engine Marketing and Online Display Advertising Integration Study (pdf)

この調査結果は、「ディスプレイ広告はそれ自体で効果が明らかだ。しかしそれは検索エンジンマーケティングとペアとなって実質的に改善される」としている。

当然、ユーザは何らかのトリガーがなければ検索しない。そのトリガーがオンライン広告のこともあれば、レガシーメディアでの露出、あるいはWOM(オンラインWOM含む)かもしれない。こういったトリガーがあって初めてユーザは検索してみようかとなる。

オンライン検索とディスプレイ広告の親和性を見ればディスプレイ広告が大きなトリガーになっているのは事実だろう。

ただし、今のところ「ソーシャルメディアスペースで製品、ブランド、企業などを調査しているのは9%」にしか過ぎないが、「Someone Like Me」をベースとしたWOM(オンラインWOM含む)はどのトリガーよりも影響力は大きい。ディスプレイ広告とSEMだけではなく、ソーシャルメディアスペースでのエンゲージメントがますます重要性を増してくる。

2009/04/14

Top Digital Marketing Tactics

Online Marketing Blogで、2009年のデジタルマーケティング手段のトップ10を発表していた。

「2009年に採用する、重きを置くデジタルマーケティングチャネル&戦術を3つ上げろ」という11日間の調査に対して、36,114人がアクセスし、532人が1559票を投じたものだ。
  • Blogging (34%, 183 Votes)
  • Microblogging (Twitter) (29%, 155 Votes)
  • Search engine optimization (28%, 151 Votes)
  • Social network participation (Facebook, LinkedIn) (26%, 137 Votes)
  • Email marketing (17%, 90 Votes)
  • Social media monitoring & outreach (17%, 88 Votes)
  • Pay per click (14%, 73 Votes)
  • Blogger relations (12%, 64 Votes)
  • Video marketing (10%, 51 Votes)
  • Social media advertising (7%, 39 Votes)
Source:Online Marketing Blog / Social Media Marketing Tops Digital Marketing Tactics for 2009

既成メディア予算が削減され、デジタルマーケティングに予算が回ってきたとき、何をおいても始めるのはBlog、そしてTwitter、SEO、SNS参加という形だ。

このトップ10の中で日本のグローバルブランドが世界のインターネットユーザに対して今、できることはあまりない。

BlogやTwitterしようにも人がいない。SNS参加も無理。日本からEmailを出そうにもリストがない。できるのはPPC、Video、そしてソーシャルメディア向け広告ぐらいだ。

欧米の競合企業・ブランドが積極的にデジタルマーケティングを展開していることからすると、これまでの単純なオンライン露出ギャップに加えて、この不況が続く限り、ソーシャルメディアスペースでの露出、会話、参加、共有、拡散というフローから全くと言っていいほど、置いていかれるのは明らかだ。

不況脱出時にレガシーメディアを駆使したマーケティングをやったところで、そのメディアスペースにもう人はいない。

2009/04/13

Search Ad Spend Slows

ハイテク、エレクトロニクス企業を顧客に持つCovarioから、世界同時不況の影響を受けて検索広告も伸び悩み、落ち込み気味だという調査結果が出てきた。

Covarioの顧客が支出する検索広告総額は世界45カ国で2.5億㌦。ハイテク、エレクトロニクス企業の一部の傾向を映し出すデータだろうが一見に値する。

Executive Summaryとして4つ上げられている。
  • Covairoの顧客による検索広告は、2009年Q1は2008年Q4から1.4%のダウン
  • 検索広告の削減はEMEAが中心で2008年Q4から15.9%ダウン。米は0.8%アップ、APACも7.4%アップ
  • EMEAのシェア95%以上というGoogleが影響を最も受け、初めて6%のダウンを記録。
  • CPCは継続して下落
Covarioの顧客によれば、2009年上半期の予算は下りており、下期まではこのまま行く。いかし、その多くは90日以上の予算執行はせず、5月あるいは6月に予算の見直しがあるようだ。当然、承認されていた下期予算が変更されないという確約はないそうだ。

さて、詳しく見ていくと四半期ごとの検索広告費は初めて前期比1.4%のダウン。地域的に見ると米は0.8%アップだが、EMEAが15.9%も落ちているが、これはドルがユーロ・ポンドに対して5~7%高くなったからだ。それを計算に入れても落ち込んでいる。
次に検索エンジンごとに四半期ごとの売り上げを見ると、Googleが初めて前期比6%落ち込んでいる。EMEAで95%以上のシェアを持つGoogleが最もEMEAの落ち込みの影響を受けたわけだ。

反面、Yahooは前期比25%アップ、MSNは16%アップしているが、EMEAの影響をあまり受けなかったこと、そしてGoogleを最大限活用しているCovarioのハイテク、エレクトロニクス企業がインベントリの関係でYahooやMSNを使わざるを得ないという状況もあるようだ。
目を惹いたのはAPACでの検索広告シェアだ。Googleがシェアを79%に伸ばしている。YahooとBaiduのシェアが食われている。Yahooは日本では安泰かもしれないが他のAPACでは苦しくなっているようだし、Baiduもうかうかとはしていられないようだ。

特にBaiduは英文ドキュメント不足、必要情報が不足するAPIなどでCovarioは苦労しているようだ。
CovarioはCPCとCTRも見ている。

景気後退、世界同時不況によって需要が落ち込んだためCPCはこの2年間で最も下がってきた。2009年Q1は平均で0.8㌦だ。2007年の0.98㌦、2008年の1.14㌦から大きく落ち込んでいる。この元凶はGoogleだ。2008年Q4の0.89㌦から0.82㌦へ落ちている。また、MSNの落ち込みが激しい。2008年通期で1.60㌦が、0.82㌦へと急落している。(Covarioはこの原因を不明としている)
GoogleのCTRが0.68%にまで落ち込んでいる。これはGoogleのインベントリが飽和状態に達していることを物語っている。2007年通期で2.39%、2008年通期で2.19%だったものが、2009年Q1で0.68%だ。
Source:BtoB Online / Search ad spending by tech, electronics companies slows
Source:Covario / Global Search Spending Analysis

Covarioの顧客を前提としてはいるが、最後のデータにあるように検索広告を露出されたユーザは検索広告をクリックしなくなっている。

インターネットユーザが増え続け、検索行為、回数が増え続けてはいるが、3倍増にでもならない限り、三分の一に落ち込んだCTRでは検索会社の売上が落ち込むことは確実だ。

バナー・リッチメディア広告のCTRも0.1%を切っている。

参考:CTR 2008 (Online Ad 2008/12/08)
参考:Rich Media CTR (Online Ad 2009/02/16)

そして検索広告のCTRも下がってきている。なぜ人々はクリックしなくなったのか?

様々なことが考えられるが、2つ上げると;
  • 広告に耐性ができた
  • Web 1.0の限界
がある。

「広告に耐性ができた」とは言わずもがなだが、「Web 1.0の限界」とは、一方的な情報提供を行う企業・ブランドのWebサイトと、実行した検索活動に応じて提供される検索広告が同じだということだ。

スタティックな企業・ブランドのWebサイトと、検索広告をクリックしてリダイレクトされるLP(Landing Page)は同じだ。Call to action機能があろうが、なかろうが、ブランドとクライアント間で会話を醸成することも、スペースを共有することも、コンテンツを拡散することもない。

もう単純にバナーや検索広告を掲出して、マイクロサイトや公式Webサイトにトラフィックを誘引するという広告戦術は古く、機能する部分が少なくなってきた。それはTVや印刷媒体など既成レガシーメディアに広告を掲出するパターンと何ら変わりがないからだ。

しかし、最先端の企業は、すでにオンライン広告の形を変えてきている。オンライン広告の掲出サイト、トラフィックの誘引先、誘引先のコンテンツが変わってきている。スペースを共有し、会話を行い、コンテンツを拡散するメカニズムにトライしている。同じオンライン広告ではあるけれど、新聞やTVなど出版メディアWebサイトに掲出する広告の効果とは格段に差があることは明白だ。

さて、日本のグローバル企業は自身でこんな動きをモニターしているだろうか、現地や代理店からそんなレポートをもらっているだろうか?

2009/03/12

Marketing & Media Survey 2009

Datran Mediaというところが2008年12月に三回目のマーケティング&メディア調査を行っている。Fortune 1000にランクされる企業の3,000人にもおよぶ管理職を対象に行った調査だ。

ディスプレイ広告、Email、検索、ソーシャルメディア、モバイル、オフラインメディア(プリント、TV、他)、DMを対象にどの戦術が最も効果があったかを複数回答で聞いている。

Emailが80.4%で断トツだ。自社リストを持っているところは低コストのマーケティング戦術としてEmailを活用できるので、そのROI効果は高いから重宝しているのがわかる。


今度は、各広告戦術ごとの予算の増減予定を聞いている。これもEmail予算を増やすというのがトップだ。検索がすぐ後ろに続き、ソーシャルメディア予算を増加するという比率も高くなっている。


最後に2009年の戦略で重視する戦術を聞いている。ニュースレターがトップ、リスト増強と行動ターゲティングが続いている。


Source:MarketingVox / Email, Search and Display Show Strongest Online Performance
Source:Datran Media / 2009 Survey

不況下で予算を増額することができないため、自社リストベースのEmailマーケティングとしてニュースレターを核に据えたい。そのためにはリストを増強しなければという構図のようだ。

ソーシャルメディア予算を増やすというのは、ソーシャルメディアスペースに参加するのではなく、広告費を増やすということだ。

しかし、IDCの調査データを伝えるMarketingVoxによれば、通常のオンラインディスプレイ広告をク一度もリックしたことのないユーザは21.1%いるが、SNS内での広告を一度もクリックしたことのないユーザは42.7%もいる。

Source:MarketingVox / SocNet Ads Less Effective Than Others

SNSは広告スペースというよりは、参加し、コンテンツを共有してもらうスペースなのだが、まだまだ広告というマーケティング戦略から離れられない。戦略転換が必要だと思うのだが...?

2009/03/10

Search CTR 2009

米ペンシルベニア州立大学のBernard J. JansenとAmanda Spinkの手による「Investigating customer click through behaviour with integrated sponsored and nonsponsored results」という調査結果が出ている。

数百、数千のユーザが実行した700万回以上の検索行為から、Click-throughパターンを分析したもので、おもしろい結果が出ている。

以前、「Search Syndication and Traffic Quality」で紹介したBright talkの資料には、Paid Search Linkをクリックするのは14%にしか過ぎないとあった。
参考:Search Syndication and Traffic Quality (Online Ad 2008/09/09)

さて、今回の調査によれば、検索結果のCTRはたったの10.2%にしか過ぎない。
420万回の検索実績でクリックされたスポンサーリンクは43万回で10.2%だ。オーガニックをクリックするのは229万回で54.5%、クリックしないのが148万回で35.2%だ。

クリックしなかった148万回分を除外した場合、スポンサーリンクは15.8%、オーガニックは84.2%となる。

Bright Talkの資料は2008年8月19日の日付なので、データソースは2008年前半、あるいは2007年だったろうから、それからすると検索CTRは大きく下がってきていることになる。OECD加盟国はすでにこれ以上のインターネットユーザの増加は望めないほどのレベルだ。今後、中国などの途上国のインターネットユーザが増えては来るだろうが、検索CTR下落スピードを上回るスピードで増えるのだろうか?何でもかんでもクリックしてしまうユーザ数が今ほど増えなければ...?

また、検索目的も分析している。まず、特定トピックを探すInformational検索、ホームページ検索のようなNavigational検索、製品を購入するためのWebサイトを特定したり、Webサービスを利用したり、コンテンツをダウンロードするTransactional検索に分けている。

3つの検索目的の中では、Informational検索が83.4%とダントツだ。Navigationalが7.7%、Transactionalが9.0%となっている。
また、それぞれのCTRを見ている。平均すると15.81%だが、Navigational検索が19.31%と頭ひとつ抜けている。ただし、スポンサーとノンスポンサーリンクに明らかな有意の差は見られないとのこと。
次に3つの検索目的ごとの検索結果の順位によるCTRを出している。Informational検索結果の1番目をクリックする率は10.9%、Navigational検索結果の1番目をクリックする率は29.6%、Transactional検索結果の1番目をクリックする率は10.2%となっている。
Source:MarketingVox / Study : Click-Through Rates Lower Than Expected
Source:SearchEngingLand / Penn State Study : Paid + Organic Listing = 15% Clickthrough Rate
Source:Penn State University / Paid & Organic Search report (pdf)

Navigational検索結果の1番目をクリックする率が29.6%というのは統計学的に有意の差があり、InformationalおよびTransactional検索結果の11番目以降をクリックする率がそれぞれ21.0%、23.4%ということからも、Navigational検索はユーザが求める答えが最初に出てきやすいが、InformationalおよびTransactional検索は複雑な分、その答えもたやすくは出てこないことを示している。

さて、10.2%の検索CTRをまだ高いと見るか、Navigational検索目的ユーザに対して検索広告は必要ないと見るとか、それともSEOが必要だと見るか、はたまた、広告マーケティングに見切りをつけるか、あなたはどちらを取るのだろうか?