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2011/02/07

Global Head of Digital Marketing and Social Media

Pete BlackshawAd AgeによるとFMCGジャイアントのNestleが、NielsenとMcKinseyが共同出資しているNM InciteのCMOであるPete Blackshawをデジタルマーケティング+ソーシャルメディアのヘッドとして3月1日から迎えると伝えている。

今後、彼はMarketing & Consumer Communication部門長のTom Buday、そして、Corporate Communications部門長のRudolf Ramsauerの下で活動し、報告するそうだ。

Source:AdAge / Nestle Hires Pete Blackshaw as Global Digital Chief

Nestleと言えば昨年4月に取上げたGreenpeaceのキャンペーンが記憶に新しい。

参考:Greenpeace Campaign Against Nestle (Online Ad 2010/04/19)

株主総会に合わせて、会場周辺での実力行使、Email、Twitter、Facebook、YouTubeなどで行われていたパーム油の使用禁止キャンペーンにより、サプライチェーンの見直し、パーム油円卓会議への参加、果ては会長によるビデオ声明にまで追い込まれたNestleが、1年かけて出した答えがこれだ。

YouTubeにアップされたビデオの削除要請、Facebookのコメント削除警告など、火に油を注ぐ対応しかできなかったNestleが出した答えが、部門新設と彼だ。


それまでNestleに「Digital Marketing & Social Media」といった部門はなかったはずだ。新しい部門を立ち上げて、そのトップに昔PlanetFeedback.comをやっていたBlackshawを据えるわけだ。

既存のMarketing & Consumer Communication、Corporate Communicationsに数多あるであろう下部組織・部門では昨年のブランド危機に対処できないことが証明された。その後、Nestle社内で行われたのは、まず、新しいメディア=オンライン、ソーシャルメディアのパワー、波及力、拡散力の分析であり、1対Nとは真逆に近いP2Pといったコミュニケーションチャネルや信頼・共感・協力を増幅するチャネルの把握、そして既存レガシーメディアのOne Wayに対するTwo wayコミュニケーションとの対比、ソーシャルメディアを構成するP2Pの人間つながりを把握した上で、今後の見通しやあるべき対応・組織・リソースが議論されたことだろう。

その結果、部門新設が決定され、Blackshawが選ばれた。1年という長いようで短い期間にどれだけの時間が費やされたのだろう、マーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層で。

Nestleは、巨額の広告・マーケティング予算を支出し、どこにもでも顔を出すP&GやUnileverと比べると、あまり姿の見えないブランドだ。だから、まずGreenpeaceがパーム油で最初に標的にしたのもUnileverだった。Unileverは2009年にさっさと問題視されたSinar Masとの取引を中止したため、二の矢に選ばれたNestleが火だるまになってしまった。

この危機意識のなさはマーケティングや広報といった上位部門だけではなく、経営層が火種なのだから。パラダイムシフトを理解、把握するブランドと、していなかったブランドの差は途方もなく深く、広い。また、火傷から学ぶブランドと、学ばないブランドの差はこれからも開いてゆく。担当部署ではなく、経営層の理解が不足し、危機意識のない場合はとくに。

ツール主導で先走りがちな担当部署を抑え、組織的な改革と外部からのリソース注入により風通しのよい横断組織、あるいは組織新設に至るまで、企業の根幹を変えるのは経営層、CEOでしかあり得ない。いくら担当部署を監督する役職者が理解を示していたとしても、CEOの理解、決断がなければ、その企業はこれからのビジネスに脆弱性がついて回る。理解を示す役職者がいても、彼がCEOを動かさなければ企業は何も変わらない。

特に、担当部署が実施するOne Wayコミュニケーションのオンライン化、ソーシャル化を目指すだけの施策を見るにつけてもそう感ぜざるを得ない。例えば、企業広報部、グローバルブランド管理部、広告宣伝部、コーポレートなんとかといった組織そのもの、あるいはその下部組織を、根幹から変革し、担当分野や上下関係を変え、名称もデジタルとか、インタラクティブとか、ソーシャルメディアへと変えるのはCEOしかいないと思うのだが...。

それとも、やはり、他山の石ではなく、Domino Pizza、UA、Nestleのように業績やブランド価値・評価が実際に傷つかない限り、学ばない、学べないものなのだろうか、中でも日本企業と、そのCEOは...?

参考:Open Letter to CEOs in Japan (Online Ad 2010/08/17)

2010/07/28

Rebranding BP by Greenpeace

Greenpeaceから、「彼らの汚いビジネスにマッチしたロゴをデザインしてBPをリブランドしましょう」というメールが来た。

サイトへ行ってみると、「Best Rebranded Logo」「Best Illustration」「Best Wildlife」「Best Slogan」という4つのカテゴリがある。それぞれに複数の候補作品が上っており、好きな作品に投票すればいい。「Best Rebranded Logo」カテゴリで最優秀賞を獲得した作品が、Greenpeaceのキャンペーンに使われる予定だ。
Source:Greenpeace / Behind the Logo

BPに関しては3回取上げてきた。BPロゴに似せて黒く汚れ、原油が流出しているようなロゴを掲げるTwitterアカウントはもう18万人以上のフォロワーを獲得している。参考:BP Reputation Management Challenged (2010/05/26)
参考:BP Reputation Management Challenged -2 (2010/05/28)
参考:BP Reputation Management Challenged -3 (2010/06/01)

BPGlobalPRというTwitterアカウントを放置しておいたBPに、今度は、より強大なGreenpeaceが新しいロゴを選出して、今後のキャンペーンに使おうとしている。

こんな状況に即した危機管理計画を持っている企業・ブランドがどれほどいるだろうか?

ブランドを所有したり、管理したりしているのは、もう企業ではなく、エンパワーされた消費者だ。その消費者が集うスペースに参加さえしていない企業は、いかなる危機管理計画をもっていようと意味がない。消費者と会話のできない企業に危機管理計画があっても仕方がない。

参考:Crisis Management (Online Ad 2010/07/22)

追記
今朝、Greenpeaceから来たemailによると、ロンドンにある46のガソリンスタンドがGreenpeace活動家たちによって様々な新しいロゴマークに差し替えられたそうだ。

Source:Greenpeace UK

2010/06/16

Tell Dell to honor commitments

Nestleへのアクションが成功裏に終了したと思ったら、今度の標的はDellのようだ。

下はGreenpeaceから5月末に届いたemailで、「2006年にDellは有害化学物質を製品から2009年までに除去すると宣言したにもかかわらず、2010年の6月になろうかという現在でもPVCプラスティック、臭素系難燃剤(BFRs)がまだ使われている。他メーカーはすでにクリアしているがDellはまだだ。CEOのMichael Dellに約束を守るようメールしよう」とある。
tell CEO Michael Dell to honor his commitments」をクリックすると、Dell本社に垂れ幕をかけるGreepeaceの活動家の写真をフィーチャーし、CEOにemailを送るためのページへ飛ばされる。
その模様はTwitterでも発信されていた。
Source:Greenpeace / Toxics Action at Dell HQ Texas
Source:Twitter / Greenpeace

さて、Greenpeaceには、Cool IT Leaderboardというランキングがある。世界のトップIT企業に対してITをベースにして提供する様々な排出削減策のソリューション、IT企業自体のフットプリント、そしてCEOや企業自体によるアドボカシーなどを得点化している。

その最新版version3には世界のIT企業15社が取上げられており、日本企業はFujitsu、Panasonic、Sharp、Sony、そしてToshibaが入っている。最高得点はCiscoの62点で、36点で5位に入ったFujitsuを除き、他の日本企業の得点は低い。
Source:Greenpeace / Cool IT Leaderboard v3 (pdf)

あとはもう想像力の世界だ。

自社本社ビルに大きな横断幕を垂らされたり、5万人を越えるフォロワーを抱えるTwitterアカウントでつぶやかれたり、CEOに世界中からemailが飛んできたり、YouTubeのチャネルやFacebookのファンページを占拠されたり、BlogやForumで書込み露出が急増したり、世界各地で抗議行動を起こされたりと、いろんなことが想像できる。

そうそう、もうひとつある。最近、Greenpeaceのサイトは更新され、ソーシャルメディア対応が強化された。まるで、キャンペーンのオンライン化、ソーシャルメディア化を中心にすると宣言しているかのように。

2010/06/09

Nonprofit-Corporate Partnership

先週、Coneのレポート、Cone Shared Responsibility Studyを取上げたばかりだが、もうひとつ2010 Cone Nonprofit Marketing Trend Trackerというレポートがある。

参考:2010 Cone Shared Responsibility Study (Online Ad 2010/06/04)

それによると、米国人の78%は彼らが信頼する企業・ブランドと非営利団体が連携することにより、社会貢献活動がそのものが目立つ、際立つと回答している。
非営利団体が企業・ブランドと連携すると、56%は団体に対する印象がよくなり、59%は連携している企業・ブランドの製品を購買する可能性が高くなる。
ただし、米消費者の75%はまず企業・ブランド+非営利団体の連携結果を知りたいと思っているし、61%は支援する前に時間をかけて連携の詳細を確認したいと思っているのだが、連携や寄付などに関する情報開示が十分だと考えているのは45%にしかすぎない。
最後に非営利団体が米消費者に訴求するチャネルとして以下をあげている。上位にはWOM(81%)、レガシーマスメディア(80%)、広告(74%)が来ている。下位にEmailが59%、SNSが49%、モバイルが29%で来ている。
Source:Cone / Nonprofit Marketing Trend Tracker

基本的には非営利団体がその活動を多くの消費者に知らしめ、寄付や支援の輪を広げるために企業・ブランドと連携してプレゼンスを露出しなさいと言っている。

社会、環境、その他の目的であれ、団体単独による啓発、活動、普及には限界があり、今まではそれを補完してくれるのは賛同者の寄付や支援活動だった。一人の声を次の人につなげ、その人からその次のひとにつなげてもらう非常に地味な活動にマスメディアの光が当たるのはごく稀だった。だから活動目的に賛同してくれる企業・ブランドと連携しなさいと。

なお、最後の図にあるように、WOM、レガシーマスメディア、広告が消費者に社会貢献活動を効果的に知らしめるチャネルとして70%以上があげている。反面、ソーシャルメディアチャネルは下から二番目の49%でしかない。これからやはり社会貢献活動にとってもレガシーマスメディアや広告は不滅だと短絡される向きもあるかもしれない。
しかし、実際のところGreenpeaceやOxfamなど事業会社顔負けのオンラインマーケティングを実行しているNGO、各種団体はほんの一握りだ。OxfamにしたところでFacebookのファンは3万人以下、Twitterのフォロワーも5万人以下、YouTubeチャネルの購読者も2,000人ちょっとしかいない。これらの数字と、本格的にソーシャルメディアに取り組み始めているグローバル企業・ブランドと比べると如何に少ないかがわかる。

マサチューセッツ大学ダートマス校のマーケティングリサーチセンターが行った調査によれば、2008年時点で慈善団体のBlog利用は57%には達しているのだが、その訴求や絶対的露出、情報・コンテンツの共有、再露出とは別物なのだ。
参考:Social Media in College and Univ. (Online Ad 2010/06/02)

ということは、マインドセットを切り替えていない他の一般的なNGO、各種団体のソーシャルメディアスペースでのプレゼンスはなきがごとしということだ。多くの場合、彼ら自体も、一般企業・ブランドと同じようにレガシーマーケティングの落とし穴にはまっているため、オンライン、特に、ソーシャルメディアスペースでの情報・コンテンツ発信や共有、再露出からの拡散ができていないのだ。

ここを改善しない限り、企業・ブランドと連携したところで大きな効果、結果は期待できない。

2010/04/19

Greenpeace Campaign Against Nestle

4月15日、スイス、ローザンヌで開催されたNestleの株主総会に合わせてGreenpeaceは様々なキャンペーンを実施していた。

Greenpeaceのメール登録者には下のメールが送られ、株主総会会場の内外でバナーを掲げたり、オランウータンの縫ぐるみを着てNestleの株主に「Give the orang-utans a break」と訴えていた。以前から行われていたEmailキャンペーンにより、20万通以上のメールがNestleのCEOなどに送られたそうだ。
下はGreenpeaceの対Nestleキャンペーンサイト。
Source:Greenpeace / Kitcat campaign

なお、Nestleに対するGreenpeaceのキャンペーンそのもの、NestleのYouTube、Facebookに関連する対応の顛末は以下に詳しく書かれている。

Source: 日本にソーシャルメディアの風を! / ネスレのFacebookページが炎上

さて、上のメールにはTwitterからの発信リンクもあり、以下のTweetが発信されることになる。
Good afternoon Nestle shareholders! You can act to protect rainforests, climate AND your investment: http://j.mp/nestlepalmoil
そして、他にもFacebook、YouTubeでもキャンペーンが行われている。

Greenpeaceは、Email、Twitter、Facebook、YouTube、RSSフィードで情報・メッセージ・コンテンツの露出、共有、再発信(露出)を図り、キャンペーン効果を最大化させている。そして、株主総会会場での実力行使となったわけだ。

一方、NestleはGreenpeaceのキャンペーンをただ黙って見過ごしていたのか、それとも?

下は、NestleのTwitterアカウントで、3月18日、3月20日、そして4月14日にパーム油関連Tweetがある。Facebookでもアナウンスされていたが、FacebookのページはアンチNestle派が乗っ取っているような状況だったので、「人殺し」といった書込みに紛れてしまっている。
Source:Twitter / Nestle

14日のTwitterで書かれていたアップデートは、13日付けでNestle会長名でGreenpeaceに送付したEmailレターについてだ。この中でNestleはインドネシアのSinar Masとのパーム油取引を中止、その他サプライヤーに対しても非持続可能ソースからのブレンドパーム油提供による取引中止を警告、パーム油円卓会議への参加などを説明していた。

そして、15日に再度アップデートがあり、株主総会での会長によるコメントまでビデオで流していた。
Source:Nestle / Statement on deforestation and palm oil

Nestleの対応は後手後手に回った感は否めない。特にYouTube、Facebookに関するひどい対応がバズ化した後の対応がまずい。自社Webサイトにアクセスするユーザを前提とした対応は、森の中で狩人が獲物を取るために仕掛けていた穴に自ら足を踏み入れるのに近い暴挙だ。彼らのスペース、セクション、エリアで、彼らの言葉を使って話をしなければいけないにも関わらず、大きなメガホンを口にし、大声で私は悪くないと言いまわっても誰も聞いてくれない。

ブランドレピュテーションや企業価値が音を立てて崩れていく様、あるいは少なくとも損なわれる様をオンラインで高みから見物できる現在、多くの企業・ブランドが今回のケースから学習するだろう。

車のようにオーナーの命に関るケースもあれば、エレクトロニクス製品からの出火や不具合、初期不良もあるし、今回のようにサプライチェーンの一部が原因となってほころびるケースもある。そして、発火点が自国だけとは限らず、外国のケースもある。それが世界中のインターネットユーザに波及してゆく。

なお、2009年にSinar Masの子会社とのパーム油取を取りやめていたUnileverは、ほっと胸をなで下ろしているのか、それとも...?

2010/03/01

Online Video for NGO

Scott Harrisonが31歳の時、誕生日に集まってくれる友人に誕生日プレゼントの代わりに20㌦を寄付してもらったときから活動が本格化した「charity: water」というNGOがある。その時、700人が20㌦を寄付し、そのお金はウガンダの難民キャンプにおいて6本の井戸掘りに使われた。

その後、賛同者も増え、オフィスを構え、展示会、Web開設、TVCFなどを駆使し、啓蒙を行って世界で安全、清潔な飲料水を必要とする10億を越える人々に様々な貢献を始めたわけだ。

学校・教会での募金も始まり、展示スペースを提供するブランドショップも現れ、Facebook、YouTube、Google、Twitter、TV、雑誌、新聞などでも「charity: water」の活動が取り上げられた。

彼の32歳の誕生日には誕生日パーティーに参加する人、そしてネットで32㌦の募金を呼び掛けたところ世界中から15万㌦が集まった。そのお金はケニアの病院、学校に清潔な飲料水を提供するために使われた。そして33歳の時、世界中から寄せられた募金は100万㌦近くにまで達した。そのお金はエチオピアで5万人に飲料水を提供するために使われた。

団体が活動を始めてから3年間で約1,000万㌦の募金を集め、合計15カ国721,000人に清潔な飲料水を提供している。

そんな活動を伝えるビデオがある。


Source:BivingsReport / Charity Water: A Great Use of Online Video
Source:CharityWater.org

これほどの成果を上げているNGOでなくとも、彼らの活動を伝え、現状とニーズを啓蒙し、活動への参加・支援を求めるビデオの威力は計り知れない。上のビデオのように4分を越える長尺であれ、30秒、60秒のスポット的な活動紹介、現地レポート、支援の輪の広がりを紹介したり、イベント告知などを行うビデオは、視聴者を「Involve」させる力がある。

企業・ブランドが行うマーケティング同様に、言葉や活動の結果だけではなく、参加させる力を与えるコンテンツを提供することが最も重要だ。
参考:Involve me and I'll understand (Online Ad 2009/11/12)

Webサイトだけではなく、Facebook、MySpace、YouTube、Vimeo、Twitter、Blog、Forumなどのソーシャルメディアスペースで共有され、消費されるビデオ、コンテンツによって、心の底から突き動かされる衝動を与えてこそ、NGO活動の本質のひとつでもある啓蒙ということになるし、活動への参加や支援を募ることもできる。

一方、企業・ブランド側からすると、衝撃を与え、参加を呼び掛けるビデオカメラをNGOに提供する取り組みは、ブランド露出、認知、好感度アップができ、販促にもつながると期待できる。だから、Flipは、Clinton元大統領が主催する「Clinton Global Initiative (CGI)」と提携し、Flipを100万台まで提供する「Spotlight」プログラムを行っている。

参考:Samsung and Flip (Online Ad 2009/07/10)

Flipを買収したCISCOがこのプログラムをグローバルに展開しているとは見られないだけに、こういった取り組みを日本のグローバル企業が二番煎じで行っても構わないはずだ。

そして、NGOも支援を要請する企業・ブランドとwin-winの関係を構築できる提案をするべきでは...?

2009/11/24

Credibility of Greenpeace

11月10日に、「Greenpeace Cool IT Challenge」を書いた。

参考:Greenpeace Cool IT Challenge (Online Ad 2009/11/10)

グローバルなIT企業の社長14人を
  • Public Climate Speech  10ポイント
  • Political Advocacy     25ポイント
  • Climate Solutions     50ポイント
  • Own Emissions Target  10ポイント
  • Renewable Energy Use  5ポイント
で評価した成績表をランキングしているものだ。

しかし、その中で10位にランクされたToshiba、東芝のCEOとして、A. Nishidaが挙げられている。東芝のCEOは今年6月、西田氏から佐々木氏へバトンタッチされている。(3位にランクされたFujitsu、富士通のCEOとしてK.Nozoe、野副氏が挙げられているが、こちらも9月に間塚氏へバトンタッチされている)
それをGreenpeaceにメールしたところ、10日には下の回答があった。
Thanks for taking the time to write to us. We'll be updating the Toshiba CEO page imminently.
しかし、24日になる今日まで、ランキングの似顔絵、CEO氏名は修正されていない。

Greenpeaceの「Greenpeace Cool IT Challenge」は、今年5月に初めて発表され、10月のランキングは2回目だった。5月のデータをそのまま使っているわけだ。

「上手の手から水が漏れる」とはよく聞く言葉だが、こんなところからでも名にし負うGreenpeaceの行動、情報収集、評価、分析、そして消費者対応にケチがつく。

また、一般の企業・ブランドの評価、評判も同じように毀損される可能性があるということだ。マスメディアしか大きな声にならなかった拡声器は、Blog、YouTube、Twitter、Facebookなど様々なソーシャルメディアスペースが代替してくれる時代になった。

そんな時代にマスメディアしかモニタリングしていないとしたら、毀損されるのはGreepeaceの名声だけではない。

2009/10/13

Greenpeace IT Climate Campaign Survey

先日、Greenpeaceから「IT Climate Campaign Survey」というメールが来た。
クリックすると以下のページへ飛んだ。(クリックで質問ページへ)

どうやらGreenpeaceが計画している次の大きなキャンペーン用調査のようで、IT業界から温室効果ガス排出について聞いたことがあるかとか、IT業界(IBMのSmarter Planetなど)の気候変動ソリューションについて聞いたことがあるかとか、ソリューションを謳っている企業には大きな責任があると思うかとか訊いている。
Source:Greenpeace / letter

今、GreenpeaceはBayerのGM Rice(遺伝子組み換え米)をターゲットとしたキャンペーンを実施している。どうやら温室効果削減とか、二酸化炭素排出削減を謳う企業の広告やキャンペーンが次にやり玉に挙げられそうな、風当たりが強くなりそうな様子だ...。
(クリックでページへ)
なお、以前、紹介したGuardianにあるGreenwashセクションを見ると;
  • BMW
  • Virgin Atlantic
  • easyJet
  • Lamborghini
  • Total
  • Formula 1
  • E.On
  • Ikea
  • Disney
等など多くのブランドが最近も血祭りに挙げられている。

参考:Greenwash List (Online Ad 2009/01/20)

どうやらGuardianのGreenwashだけではなく、Greenpeaceのキャンペーンからも血しぶきが飛びそうな様子だ。

さて、もし、Greenpeaceが次の目標に刃を振り下ろす際、当然、目標にならないことが一番だが、その場所にいないこと、その刃を避けること、あるいは他からの血しぶきを浴びない必要がある。

しかし、GreenpeaceにはFacebookに約29万人のファン、YouTubeに12,683人の購読者、Twitterに19,783人のフォロワー(各国ごとのGreenpeaceフォロワーも合計数万人はいる)がいる。そして彼らの友人・知人コネクションでメッシュにつながっているサポーターや活動家の数は100万人は軽く超えるはずだ。ひょっとして数100万人規模かもしれない。

こういった世界規模の運動、活動団体・家が一斉に行動を起こした場合、ターゲットとなった企業・ブランドは何ができるだろう。彼らと会話していなければ、少なくとも聞き耳を立てていなければ、彼らの次の目標がなんなのかさえ分からない。どこに刃が振り下ろされるのか分からないし、飛んでくる血しぶきを避けることもできはしない。

ソーシャルメディアリレーションズはPR 2.o/3.0に必須だが、マスとは違い、全く新しいリレーションズが求められていることは間違いない。

2009/03/17

Greenpeace Campaign "Tell Philips", Done

2007年11月からPhilipsに対して行っていたキャンペーン、「Tell Philips to Simply take back and recycle」が成功裏に終了したとGreenpeaceが発表した。
(下をクリックでサイトへ)
Philips Win

Philipsは消費者にリサイクル料金を負担させる陣営の先頭を走り、学術データを後ろ盾に、ビジネスモデルを構築していたわけだし、製造元に製品リサイクルの費用負担を求める法案にも反対していた。

そのPhilipsがポリシーを180度転換し、費用負担を受け入れると発表し、2020年までに温室効果ガス排出を30%削減するコミットメントも発表した。

Source:Greenpeace International
Source:Greenpeace Blog
Source:Philips / Recycling Program

これは、もはや、グローバルブランドが持続可能な製品開発、販売、引き取り・リサイクルポリシーなしにステークホルダーの納得を得られないということを意味している。また、地球温暖化や消費エネルギー削減に対する企業ポリシーが求められているし、加えてAIDSやマラリア対策、途上国の飲料水や子供の健康保護などにどんな貢献をしているかが求められているということだ。

P&Gは企業の社会貢献の一環として、「Live, Learn and Thrive」運動を行っている。今までに2.15億㌦を寄付し、7億㍑の安全な水を提供し、衛生教育やポリオワクチンを提供している。U2のVonoに共鳴したProduct (Red)にはGap、Motorola、Converse、Apple、Armaniなどが参加している。ExxonMobilは北京オリンピックに合わせたTVCFでマラリア撲滅キャンペーンを行っていた。

さて、e-Waste(エレクトロニクス製品の廃棄物)をめぐったGreenpeaceのlキャンペーンにより、全世界の47,000人がPhilipsに抗議のEmailを送ったということもあるだろう。しかし、本質は従業員、ビジネスパートナー、自治体、一般消費者など、今までマスメディアで声を聞くことがなかった人々の声がソーシャルメディアスペースに満ち溢れているからこそ、グローバルブランドは今まで以上に襟を正すのだ。

GreenpeaceはCoca Colaに対するハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷媒(オゾン層破壊能力はないが、地球温暖化への寄与が大きい)の使用中止キャンペーン、McDonaldsと協力したアマゾンの熱帯雨林伐採中止キャンペーン、Appleに対するグリーン化キャンペーンなどで成果を挙げている。

成果を挙げていないキャンペーンに日本のブランドが関係しているものがある。捕鯨禁止に対する支援をCanonに訴えるケースと、Greener Electronics GuideにかかわるNintendoだ。Canonに対して13万通以上のEmailが御手洗会長に送られている。Nintendoには7,000通以上のEmailが送られている。が、両社から積極的なレスポンスは見られない。世界の人々から送られたEmailが無視されている。

参考:NGO Power (Online Ad 2008/08/15)
参考:Mindset Shift Required -2 (Online Ad 2008/03/14)

2008/10/01

Nintendo Least Green Tech Firm

おなじみのGreenpeaceのGreener Electronics Guide9月版が出ている。

前回の6月ではSony EricssonとSonyがトップで、前々回のトップからNokiaが滑り落ちていた。
しかし、今回はそのNokiaが5点強から7点をたたき出してトップに返り咲いている。最下位は、これまたお馴染みのNintendoだ。
Source:Greenpeace / Greener Electronics Guide 2008 Sept

Nintendoが登場してから4回目のランキングだが、最下位が定位置となっている。

そういえば前回の結果に関してBBCが6月25日の記事に書いていた。「任天堂はもっともグリーンではないハイテク会社」だと。記事中に任天堂の対応が書かれている。
「グリーンピースは自発的な情報提供を行った企業の調査を行い、結果を公表している」、「Nintendoは調査に参加しないことを決定しているので、評価されてはいない」と。グリーンピースが勝手にランキングしているだけで、データは出してないからうちは関係ないと云っている。

Source:BBC / Nintendo 'Least green tech firm'

こういう話は前にも聞いたことがある。このグリーンネスガイドランキングを書き始めた最初にAppleの広報の話を紹介した。

Yahoo!によると、Appleの広報は、「このランキングを拒否する。(Green Electronics Councilによる、より技術的な評価では)当社の製品は市場でもっとも"Greennest"な製品」だと語っている。Green Electronics Councilによる評価ではAppleは、LenovoやDellよりも高い評価を得ている。

参考:Greenpeace Ranks Apple Last in Greenness (Online Ad 2007/04/09)

しかし、その後、AppleはSteve Jobsのオープンレターを出して対応を変えている。

参考:Panasonic and LGE Will Be the Worst in Greenness (Online Ad 2007/05/07)

NintendoもJobsのオープンレターにあるように、「製品からの有害化学物質排除、製品のリサイクルに関してAppleは、リーダーではないとある環境団体から批判され」たのであれば、リーダーであることを指し示すべきだろう。

このままNitendo、あるいは任天堂が、全世界あるいは国内においてGreenpeaceのランキングを拒否し続けた場合、Web 2.0スペースでのブランド価値は大きく損なわれることは間違いない。

以前、紹介したImmediate FutureによるとNintendoのソーシャルメディアでの評価はPositiveが大半だが、Negativeが増え始める前の対応は不要だろうか...?
参考:The Top 100 Brands In Social Media (Online Ad 2007/07/23)

2008/08/15

NGO Power

GreenpeaceがCanonに対して実施しているキャンペーン、「Ask Canon's CEO to focus on saving whales」をご存知だろうか?

今年の1月から開始され、138,000人以上の人が賛同し、以下のemailをCanonの会長、御手洗氏に送っている。
長年にわたりCanonは、National Geographicなどで「Wildlife as Canon sees it」という野生動物保護キャンペーンを行っている。また、野生動物保護団体などに撮影機材を提供したり、寄付したりしている。Greenpeaceが持ち出してきた下の写真は生息数1万頭とされるシロナガス鯨が取り上げられている。


そこでGreenpeaceは野生動物保護を訴えるCanonに調査捕鯨禁止への支援を求める書簡を送ったようだ。だが、支援が得られそうにないため、野生動物保護を訴えるCanonの会長であり、経団連の会長でもある御手洗さんにemailを送り、調査捕鯨禁止をCanonに支援してもらおうという作戦に打って出たわけだ。

Source:Greenpeace / Ask Canon's CEO to focus on saving whales
Source:Greenpeace / Letter to CEO

グローバル企業ともなれば世界各地のステークホルダー、株主・金融機関、顧客、ビジネスパートナー、各国の社員、地域コミュニティ、政府・自治体などに対応してゆかなければならない。それに加えて、NGOがいる。特に、Greenpeaceのように世界中にネットワークを張り巡らせ、各国でアドボカシーキャンペーンを行うNGOは、物言うステークホルダーの中でももっとも大きなパワーを持つ存在だ。

今回のように製品ボイコットを呼びかけるのではなく、調査捕鯨禁止への支援を求めるという戦術を取ってくる厄介な存在もあるだろう。Oxfamのように米国でのコーヒーブランドの商標登録がらみでStarbucksのCEOにemailキャンペーンを実施して勝ったケースもある。

参考:Fair Trade (Online Ad 2006/12/06)
参考:Make Trade Fair : Email Campaign (Online Ad 2007/01/16)

FBIはGreenpeaceを国内テロ団体として監視しているようだし、日本でも公安当局の監視下にあるらしい。その攻撃的なキャンペーンに非難を浴びたり、つい最近の日本国内でおきた調査捕鯨船乗組員による鯨肉の業務上横領告発事件など、その活動に批判の声が多いことも事実だ。

しかし、インターネットを活用するマーケティングに秀でているNGOが行うキャンペーンはマスメディアの注目を集める。それだけにGreener Electronics Guideだけではなく、グローバル企業はオンラインでの情報発信をウオッチしておく必要がある。

参考:Greener Electronics Guide 2008 June (Online Ad 2008/08/13)

しかし、あなたは鯨肉を食べたことはありますか?筆者は20年以上食べたことはない。2,000万人を超えている平成生まれの日本人の何割が食べたことがあるのだろう?