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2010/12/28

Global Friendships

FacebookのインターンであるPau Butlerが世界中のFacebookユーザの交友関係を図式化したものをあげている。

CNNなどは中国が空洞になっている点を取上げているが、本質は別の処にある。

それは世界中のFacebookユーザが、英語圏であれ、非英語圏であれ、Facebookというコミュニケーションチャネルを通してつながっているということだ。

世界には英語を学んでいる学生や社会人が10億人いる。日本を除き、どんな国であれ、今時、幼稚園児や小学生だって英語くらい話すのは常識だ。英語さえ理解できれば、Facebookというコミュニケーションチャネルに参加するだけで世界中のユーザとつながることができる。非英語圏のユーザは、英語を理解する国内のアーリーアダプターが翻訳する英語コンテンツを消費することで、英語圏ユーザとつながってゆく。

ここに国境や言語による制限は少ない。米国や欧州で発売されたローカル製品が、様々な交流チャネル、タッチポイントを経由して、アフリカ、南米、東南アジアのFacebookユーザに露出する可能性がある。逆に、インドや中近東、あるいは韓国のニュースが英語圏ユーザに露出、共有される可能性もある。
Source:Facebook / Visualizing Friendships
Source:CNN Japan / フェースブックの世界地図

だから、Volkswagen Internationalは、Das Auto.というFacebookページのInfoタブのMissionにこう書いている。
This is the official Facebook Page of Volkswagen International. We bring “Das Auto” to all Facebook fans and drivers around the world. This is the place to check out for the latest Volkswagen news and entertainment. It is also the place to share your thoughts, pictures or videos of your personal Volkswagen experiences and moments. In order to reach out to a widespread audience, the official language of this page is English.
Source:Facebook / Volkswagen International

Volkswagen本社が各国のFacebookページに加え、本社ページを英語で公開、運用していることを、Facebookの全世界交流つながり図と重ね合わせれば、その意味や目的が良く見えてくる。

と、すると、交流のつながりが空白で漆黒の闇に包まれているかのような中国を問題にするよりも、非英語圏でありながら世界中から太く、明るい交流関係のつながりがある国々と比べ、見方によっては消えそうに弱く、細いつながりしかもたない日本の現状を考えた方がましだ。

日本のグローバル企業が本社予算で現法の広告キャンペーンを支援すること以上にやらなければならないことがあると思うが、いかがだろうか?

2010/08/12

Prosper in China July 2010

BigResearchのChina Quarterly SurveyのProsper in China - July 2010というプレゼンをBrightTalkでやっていた。

これからの半年の間に高額商品を購買する予定はと聞かれた、18-54歳までの中国人と米国人のグラフがあった。

中国人の最も購買意欲の高い製品は旅行(36.3%)だが、PC(33.2%)、モバイルデバイス(26.2%)、デジカメ(23.1%)が続いている。 家具、家電、TVなども購買意欲が旺盛だ。それにしても米国人の最も購買意欲の高い製品はPC(14.4%)で、TV(11.6%)、旅行(13.4%) が上位だが、中国との差はとてつもなく大きい。
次に今後90日間に新しい携帯電話を購買する予定はありますかと聞かれて、2009年Q2は45.2%が「Yes」と答えていた。それが2010年Q1に48.4%に上昇したのだが、Q2で約4%ポイントも落ち込んでいる。とはいっても、45%近い人間がこれからの3カ月間に買い替える、新規購買を予定しているというのは空恐ろしいほどのボリュームだ。
もうひとつ、車・トラックに関するデータがあった。今後半年間で車・トラックを購買する予定はと聞かれて、2010年Q2では「No」が60%強、「Yes」が20数%だ。前年同期比では「No」が減少し、「Yes」が増加している。ただし、「No」、「Yes」に重ねられている移動平均線はちょっと違うような気がする。

どのメーカーを検討しているかというと中国メーカーがトップだが、前年は48.2%だったシェアを欧州車、米国車に喰われてきている。
そして、製品購買に関るメディアの影響も調査しており、車と日用雑貨品を取上げている。
Source:BrightTalk / Prosper in China - July 2010

例えば車なら、TVCFが31.9%購買決定に影響を与え、(プリント)記事は24.8%、CATVなら21.3%となっている。

このメディアインフルエンスに関して、以前、紹介したTNSのレポートと直観的に相容れない気がする。それは、中国インターネットユーザの60数%はForum/BBSに参加し、50%弱はBlogも利用している。この発信・共有スペースでブランドが語られている。そのため、ソーシャルメディアスペースの影響をメディアインフルエンスに入れていないBigReseachのレポートは片手落ちだと思うからだ。

参考:Social Media in China (Online Ad 2010/06/15)

2010/07/23

Mom Influencing and Influenced

先週、BabyCenterというニッチ・バーティカルサイトを紹介した。

参考:Blog and Vertical SNS (Online Ad 2010/07/14)

そこが、「The BabyCenter 2010 Mom Influencer Report」を出している。このレポートでは、Field Experts、Lifecasters、Pros、Audience、Butterfliesという5つのセグメントにソーシャルマムを分類している。

  • Field Experts
    子育て中心の在宅主婦層
    子育てアドバイスをソーシャルメディアを使って発信する。大きなママネットワークを持ち、実体験に即したアドバイスやレコメンドを行う。ソーシャルマムの8%を占める。33%のインフルエンスを持ち、BabyCenterといったコミュニティでは44%のインフルエンスを発揮する。
  • Lifecasters
    ミレニアルママ
    乳幼児を抱え、ソーシャルメディアを活用していつもコネクトしている。子育てだけではなく多くのトピックで相談される。Facebookで最も積極的に活動しており、大きなユーザネットワークおよび「Likes」を獲得している。ソーシャルマムの8%を占める。34%のインフルエンスを持ち、Facebookで47%のインフルエンスを発揮する。
  • Pros
    プロとなったママBlogger
    幼児を抱えたGen X世代でプロのBloggerとしてTwitterやBlogから膨大なネットワークにエンタメやお役立ち情報を発信する。ソーシャルマムの2%を占める。11%のインフルエンスを持ち、Blogで89%、Twitterで69%のインフルエンスを発揮する。
  • Butterflies
    リアルでも忙しい若い社会人
    出産経験がなく忙しい中、Facebookなどで友人とつながり、BabyCenterなどのコミュニティで妊娠、出産情報・アドバイスを受けている。ソーシャルマムの16%を占める。全体として7%のインフルエンスを発揮する。
  • Audience
    助言・アドバイスを聞く大多数のソーシャルマム
    乳幼児から学生まで多様な子供を抱えるママ達で役に立つ情報を求め、質問をし、製品レコメンドを受け入れる。ソーシャルマムの66%を占める。全体として15%のインフルエンスを発揮する。
Source:The BabyCenter / 2010 Mom Influencer Report

影響し、影響される姿は何も女性に限った話ではない。妊娠、出産、子育てといった女性特有の事象に限定されるのではなく、これは車、TV、PCなどに興味をもったり、こんど購買しようという意思を持ったすべての消費者・ユーザ達がそれぞれに影響し、それぞれに影響されるパターンと同じだ。

インフルエンス度数は変動するだろうが、上のセグメント分類や、影響・非影響度、信頼関係、製品推奨といったパターンはどんなケースにも適用される。そして、彼女たちの言葉、コンテンツ、コンテキストが影響し、影響されていることも女性だけの話ではなく、男性も、B2Cでも、B2Bでも同じだ。

ここには広告メッセージはない。ピアの体験、評価、推薦、そして個人ネットワークがある。そのピアやネットワークで共有してくれるメッセージでなければ届かない。

2010/06/21

Japanese Brand Endangered

先週金曜日、Ascii総合研究所とWDEのセミナー「企業Twitterは誰が使うべきか」において、「欧米企業のソーシャルメディア化がもたらす日本ブランドの危機」というテーマで話をさせてもらいました。

2006年10月、ANA総会において「パワーは消費者が握っている。彼らは考えられる全ての意味で我々のブランドを所有し、ブランドコンテンツ制作にも参加し始めている」と語たり、企業が支配してきたマスメディアにソーシャルメディアが追いつき、追い越すさまを理解したCEOがいるP&Gにしても、2009年3月に「デジタルビジネス戦略チーム」が、マーケティング役員向けにクラッシュコースを開催している。トップがパラダイムシフトを理解していたとしても、実際にマーケティングを実行する事業部トップを揺り動かし、マインドセットを切り替えさせるのは容易ではない。トップ企業であっても3年もかかっているし、また、それをマインドセットが切り替えられない担当事業部、部署が主催することも非常に困難なのだ。

それはそうだろう。今まで巨額の広報・広告・マーケティング予算を握ってきた既存組織が、訳の分からないとしか理解できないオンライン、それも「オープンだとか、対等だとか、エンゲージメントだとか」といったバズワードを口に出し、ブームに浮かれているとしか見えない社内の人間、社外のエージェンシーの声に耳を傾けると言うことは自分の存在を危うくすることになる。予算を別組織、別キャンペーンに横取りされてしまうことになる。組織内での自分の存在や声、知見が役に立たなくなるような新しいことを社内に啓発することはあり得ない。

だから、P&Gは「デジタルビジネス戦略チーム」 がクラッシュコースを開催したし、FordのScott Monty、PepsiのBonin Boughは外部のエージェンシーからヘッドハントされてパラダイムシフト、IMCのイニシアティブをとっている。それこそマスメディア・エージェンシーに取りつかれ、アゴアシ接待を受けているような社内組織のドンの首を挿げ替えなければ将来はないのだ。それさえも理解していない企業・ブランドは多い。

さて、6月12日にVolkswagen InternationalはFacebookにファンページを開設した。これは2011 Polo GTIキャンペーンの核を成すもので唯一のものだ。すなわち、Facebookファンページだけで2011年モデルのキャンペーンをやるそうだ。そして、このファンページの言語は英語だ。Volkswagenのブランド体験を全世界のユーザと共有するため、「公式言語は英語」だと宣言している。

Volkswagenがどこまでパラダイムシフトを理解しているかは不明だ。しかし、少なくとも他マスメディアを使わずにFacebook一本に絞ってPolo GTIキャンペーンをやろうとしているのはGAPのケースから学習している。Vitamin Waterからも学習している。今、どこに顧客が集い、ブランド体験、情報・コンテンツを消費、共有、再拡散してくれているかは理解している。そして、Starbucks、Adidasの戦略も加味してFacebookをブランドポータルとして全世界のユーザに英語でコミュニケーション、エンゲージしようとしている。ここからも学習している。

一方、パラダイムシフトを理解しない日本のグローバル企業・ブランドが、従来通りの縦割りサイロ組織から苔むしたメガフォンマーケティングをソーシャルメディア化しても、ツール主導のマーケティングを行ったとしても、パラダイムシフトを把握し、オープン、対等、双方向のコミュニケーション、エンゲージメントを行い始めた欧米企業との間に広がり、深まり、離れてゆくブランド体験ギャップは埋めようもない。

製品・サービスの購買者があれこれとつぶやき、称賛し、苦情を言いたてている今、彼らに刺さらないマーケティングをやるしかない日本企業・ブランドと、プロファイル・アップデート・ビデオコミュニケーション・つぶやき・個人検索・RSSフィード・自動タグ機能などFacebook、MySpace、Twitterが備える機能を取り込んだ企業内コラボレーションプラットフォーム、Cisco Quadのベータテストを今秋にも開始するCiscoとの差は途方もない。

社内の縦割りサイロ組織を越えるコラボレーションと、70を数える部署横断のチーム制、それこそ営業リーダーが開発チームを率いるCiscoが、そのプラットフォームをシステム化して販売しようとしている。それを導入してくる企業・ブランドが否応もなく、瓦解する縦割り組織から解き放たれてオープン、対等、双方向のコラボレーション、コミュニケーションを行い、顧客・ユーザとエンゲージする時、もし、日本のグローバル企業・ブランドが今まで通りのコミュニケーションを続けるとすると、そのブランド価値は奈落の底に転落するしか道はない。

可能性を見出すとするとそれはマインドセットを転換させ、パラダイムシフトを理解させるクラッシュコース開催だろう。あるいは、Webビジター調査を導入し、SiemensやPhilipsのように全世界40カ国、あるいは32カ国の自社Webサイトへアクセスするユーザにコンテンツを評価してもらうとともに、どんな情報・コンテンツを希望するのか、どんなフォーマット、チャネルで発信し、どういったスペースでどのようなエンゲージメント体制を敷けばいいのか聞くことだ。また、バズモニタリングを行い、何が語られ、何が共有され、何が批判されているのかを知ることだ。といって、数の話でも、グラフの話でも、限界線を越えたらアラートを発信するといった話ではない。バズのコンテンツ、影響する範囲・会話への参加者・参加度・可能性などからその価値を判断し、ブランドへの影響を想像することだ。

クラッシュコース開催、Webビジター調査、バズモニタリングなしに、通常マーケティング手法をソーシャルメディア化したところで、Cisco Quadが提供するコラボレーション、それが否応なく開くパラダイムシフトを想像できない限り、日本ブランドに将来はない。

と、考えるが、みなさんはどうでしょう?
ご意見をお待ちします。

2010/06/18

Learning from Customers

CES 2010においてリアルタイムでプレスコンファレンスを中継した@SamsungTweetsが下のようなTweetsをしていた。

参考:Samsung Twitter Press Conference (Online Ad 2010/01/08)

そしてSamsungTweetsをフォローしている何人からか回答があり、次のようなTweetsを返している。Source:SamsungTweets

パラダイムシフトを理解し、ユーザから学ぼうと言う姿勢があり、その企業・ブランドにエンゲージするユーザがいる。そして、そのエンゲージメントが世界中のユーザに露出している。

TwelpforceでTwitterマーケティングをリードしていると見られるBestBuyに、別段、Twitter戦略はなかったことをご存知ですか?戦略からスタートしたのではなく、Facebookマーケティングで失敗した経験から顧客ニーズに即して社内リソースをソーシャル化してきたことをご存知ですか?

そこらへんは、今日のセミナーでお話ししようと思います。

参考:Twelpforce of Best Buy (Online Ad 2009/12/15)
参考:Speaking at Ascii Seminar on Friday in Tokyo (Online Ad 2010/06/14)

2010/06/16

Tell Dell to honor commitments

Nestleへのアクションが成功裏に終了したと思ったら、今度の標的はDellのようだ。

下はGreenpeaceから5月末に届いたemailで、「2006年にDellは有害化学物質を製品から2009年までに除去すると宣言したにもかかわらず、2010年の6月になろうかという現在でもPVCプラスティック、臭素系難燃剤(BFRs)がまだ使われている。他メーカーはすでにクリアしているがDellはまだだ。CEOのMichael Dellに約束を守るようメールしよう」とある。
tell CEO Michael Dell to honor his commitments」をクリックすると、Dell本社に垂れ幕をかけるGreepeaceの活動家の写真をフィーチャーし、CEOにemailを送るためのページへ飛ばされる。
その模様はTwitterでも発信されていた。
Source:Greenpeace / Toxics Action at Dell HQ Texas
Source:Twitter / Greenpeace

さて、Greenpeaceには、Cool IT Leaderboardというランキングがある。世界のトップIT企業に対してITをベースにして提供する様々な排出削減策のソリューション、IT企業自体のフットプリント、そしてCEOや企業自体によるアドボカシーなどを得点化している。

その最新版version3には世界のIT企業15社が取上げられており、日本企業はFujitsu、Panasonic、Sharp、Sony、そしてToshibaが入っている。最高得点はCiscoの62点で、36点で5位に入ったFujitsuを除き、他の日本企業の得点は低い。
Source:Greenpeace / Cool IT Leaderboard v3 (pdf)

あとはもう想像力の世界だ。

自社本社ビルに大きな横断幕を垂らされたり、5万人を越えるフォロワーを抱えるTwitterアカウントでつぶやかれたり、CEOに世界中からemailが飛んできたり、YouTubeのチャネルやFacebookのファンページを占拠されたり、BlogやForumで書込み露出が急増したり、世界各地で抗議行動を起こされたりと、いろんなことが想像できる。

そうそう、もうひとつある。最近、Greenpeaceのサイトは更新され、ソーシャルメディア対応が強化された。まるで、キャンペーンのオンライン化、ソーシャルメディア化を中心にすると宣言しているかのように。

2010/06/15

Social Media in China

3億8400万人のインターネットユーザがいる中国のソーシャルメディアのレポート、Social Media in China 2010がTNSから出ている。

中国ユーザの51%はソーシャルメディアスペースに参加し、最も頻繁に利用されているソーシャルメディアプラットフォームはForum/BBSだ。60%台前半のそれを50%強のBlog、50%弱のビデオ共有サイトが追っている。
そして、
  • 86% ソーシャルメディアスペースでブランドに関するネガティブコメントに
  • 90% ソーシャルメディアスペースでブランドに関するポジティブコメントに
出くわしたことがあるそうだ。

ネガティブの原因はというと、とんでもないサービス(81%)、ブランド不満足(78%)がトップ2だ。ちょっと気になるのは、ひどいCSRが47%になっている。
ポジティブの原因は、ブランドに満足(87%)、おまけや懸賞(56%)があるが、「友人のお勧め」が43%となっている。
そして、企業・ブランドがソーシャルメディアに参加する評価を聞いている。もっとアピールする(34%)、ある程度アピールする(43%)を合わせて77%が歓迎している。
Source:TNS / Social Media in China

中国も、欧米諸国とまったく違いがない。ソーシャルメディアスペースのユーザは自由闊達にコミュニケーションを育み、情報やコンテンツを共有している。そして、そのスペースにブランドが参加することを歓迎している。

もうリンクが消滅してしまったが、2006年3月の人民網(日本語版)には、
英語専攻者と非専攻者をあわせて約3億人が英語を学習している。そのうち、小学校から大学までの学習者は1億人を越え、数年で英語を母国語とする国家の人口合計を越えると見込まれる。
また、2008年6月17日には、
昨年、中国では100万人以上がIETLSを受験。世界で最も人気のある英語資格試験となった。
そして、2009年4月13日には、
英国王室言語学会首席会員のGrahame T. Bilbow氏は、中国での「英語ブーム」について、「中国語を学ぶ人が世界中で増えているのに、中国の人々の英語学習熱は衰えていない。私は多くの中国 の若者と接してきたが、彼らの英会話レベルは驚くほど高い」と語る。専門家の中には、「世界中で3千万の外国人が中国語を学んでいる一方で、3億の中国人 が英語をかじっている。英語を話す中国人の数が英語母語者の数を上回る日はすぐそこに迫っている」と言いきる人までいる。
という報道があった。

Source:人民網 / 中国人英語学習者は英語母国語者数を越えるか

中国には様々なアクセス制限、障害があるが、日本人よりけた違いの語学能力を発揮すれば、最新情報を発信する海外、米国のトップサイトへアクセスし、情報・コンテンツを何の苦もなく理解し、それをForumやBlogなどで国内に輸入、翻訳することができる。

ソーシャルメディアに慣れ親しんだ中国ユーザが、英語ソーシャルメディアスペースに参加することは、またひとつ、国単位や販売地域単位での広報、広告、マーケティング、ブランディングに頭痛の種を蒔くことになる。国外から持ち込んだ情報・コンテンツの方が最新であり、もっとも人気が高く、もっとも多くのユーザ達に共有されるのは間違いないのだから。

グローバルなブランディングには、英語が達者で、けた違いに多い中国ユーザも対象とすべきなのは明らかだ。

2010/06/09

Nonprofit-Corporate Partnership

先週、Coneのレポート、Cone Shared Responsibility Studyを取上げたばかりだが、もうひとつ2010 Cone Nonprofit Marketing Trend Trackerというレポートがある。

参考:2010 Cone Shared Responsibility Study (Online Ad 2010/06/04)

それによると、米国人の78%は彼らが信頼する企業・ブランドと非営利団体が連携することにより、社会貢献活動がそのものが目立つ、際立つと回答している。
非営利団体が企業・ブランドと連携すると、56%は団体に対する印象がよくなり、59%は連携している企業・ブランドの製品を購買する可能性が高くなる。
ただし、米消費者の75%はまず企業・ブランド+非営利団体の連携結果を知りたいと思っているし、61%は支援する前に時間をかけて連携の詳細を確認したいと思っているのだが、連携や寄付などに関する情報開示が十分だと考えているのは45%にしかすぎない。
最後に非営利団体が米消費者に訴求するチャネルとして以下をあげている。上位にはWOM(81%)、レガシーマスメディア(80%)、広告(74%)が来ている。下位にEmailが59%、SNSが49%、モバイルが29%で来ている。
Source:Cone / Nonprofit Marketing Trend Tracker

基本的には非営利団体がその活動を多くの消費者に知らしめ、寄付や支援の輪を広げるために企業・ブランドと連携してプレゼンスを露出しなさいと言っている。

社会、環境、その他の目的であれ、団体単独による啓発、活動、普及には限界があり、今まではそれを補完してくれるのは賛同者の寄付や支援活動だった。一人の声を次の人につなげ、その人からその次のひとにつなげてもらう非常に地味な活動にマスメディアの光が当たるのはごく稀だった。だから活動目的に賛同してくれる企業・ブランドと連携しなさいと。

なお、最後の図にあるように、WOM、レガシーマスメディア、広告が消費者に社会貢献活動を効果的に知らしめるチャネルとして70%以上があげている。反面、ソーシャルメディアチャネルは下から二番目の49%でしかない。これからやはり社会貢献活動にとってもレガシーマスメディアや広告は不滅だと短絡される向きもあるかもしれない。
しかし、実際のところGreenpeaceやOxfamなど事業会社顔負けのオンラインマーケティングを実行しているNGO、各種団体はほんの一握りだ。OxfamにしたところでFacebookのファンは3万人以下、Twitterのフォロワーも5万人以下、YouTubeチャネルの購読者も2,000人ちょっとしかいない。これらの数字と、本格的にソーシャルメディアに取り組み始めているグローバル企業・ブランドと比べると如何に少ないかがわかる。

マサチューセッツ大学ダートマス校のマーケティングリサーチセンターが行った調査によれば、2008年時点で慈善団体のBlog利用は57%には達しているのだが、その訴求や絶対的露出、情報・コンテンツの共有、再露出とは別物なのだ。
参考:Social Media in College and Univ. (Online Ad 2010/06/02)

ということは、マインドセットを切り替えていない他の一般的なNGO、各種団体のソーシャルメディアスペースでのプレゼンスはなきがごとしということだ。多くの場合、彼ら自体も、一般企業・ブランドと同じようにレガシーマーケティングの落とし穴にはまっているため、オンライン、特に、ソーシャルメディアスペースでの情報・コンテンツ発信や共有、再露出からの拡散ができていないのだ。

ここを改善しない限り、企業・ブランドと連携したところで大きな効果、結果は期待できない。

2010/06/04

2010 Cone Shared Responsibility Study

ConeからShared Responsibility Studyが出ている。

四分の三の米国人は企業に対して、主要な項目において消費者とのエンゲージメントを「平均、あるいはそれ以下」としか評価していないというものだ。

まず、米国人の合計65%はActivists/Advocates/Emotionalistsに分類され、企業は社会および環境に優しい製品づくりをしたり、環境保護のために寄付やボランティアを出したり、多様な活動を支援すべきだと考えている。

そして、消費者は社会・環境保護などで企業とエンゲージすることを望んでいる。84%は自分のフィードバックを聴いてくれれば企業にとっても、社会にとっても素晴らしい製品・サービスが創られると考えている。
また、企業の社会・環境ポリシーや製品開発に影響を及ぼすために、他の消費者、政府、メディア、企業の社員、他の企業、非営利・活動団体などがあると考えている。

そして、企業の社会・環境ポリシーや製品開発に影響を及ぼすために自分ができることとして、
  • 70%は調査などに参加、
  • 44%は製品ボイコット(あるいは購買)、
  • 32%は企業にコンタクトするなどがあり、
消費者は非常に能動的に動くことが分かる。
さて、消費者が企業にエンゲージしたい分野として以下の4つが上位に来ている。ビジネスそのもの、製品やパッケージ、社会・環境問題への対応、そして、「マーケティングと広告」だ。
このエリアで消費者は企業のエンゲージに対して非常にシビアな評価をしている。すなわち、「とても素晴らしい」+「平均以上」=25%だ。75%は「平均以下」の評価となっている。
そこで、企業が社会・環境問題、製品に関して消費者にリーチできるチャネルとして5つほど挙げられているが、トップにくるのは64%で広告だ。続いて店舗・ショップ、カスタマーサービス、ソーシャルメディア、イベントが来ている。
Source:Cone / 2010 Shared Responsibility Study

消費者が企業とエンゲージしたいビジネスそのもの、製品やパッケージ、社会・環境問題への対応、そして、「マーケティングと広告」分野において、一方通行ではなく、当事者だけではなく傍観者にもオープンに、かつ、対等に、そして双方向のコミュニケーションが可能なのは、広告でも、店舗でも、カスタマーサービスでも、イベントでもない。

残るのはソーシャルメディアスペースでしかないとおもうがいかがだろうか?

情報・コンテンツを抱え込んだ良い所取りが許されない時代に、消費者がエンゲージしたい分野のひとつとして「マーケティングと広告」が入っている時代に、そして、非常に能動的に動く現代の消費者に対して、苔むした前世紀的な対応、エンゲージメントを行っているから「平均点以下」の得点しか挙げられていない。

縦割りではなく、横串組織こそ必要とされている現在、縦割りのままのレガシーマーケティングも、ビジネスモデルも、そして、企業・ブランドも影が薄くなるばかりだ。

2010/05/17

Negative Tweet on Whirlpool washing machine

ちょっと古い話になるが、Heather Armstrong、別名dooceをご存じだろうか?
pic
今はTwitterに160万人以上のフォロワーを持ち、自分のWeb・Blogサイト (dooce.com)には平均3万人がアクセスしているスーパーBloggerだ。Forbesの選ぶ「The Most Influential Women In Media」にも選出されている。

が、2009年8月時点ではまだ100万人程度(!!!)のTwitterフォロ ワーしかいなかった彼女に何があったのか、Forbesが詳しく伝えている。

昨年の8月頃、2児の母である彼女は1,300㌦も払って古 い洗濯機を新品のMaytag洗濯機に取り換えたが、あっというまに故障してしまった。何度も何度も修理を依頼し、サービスマンが訪問して修理を試みたが 直らない。カスタマーサービスに電話してもラチがあかず、電話でとうとう最後の台詞を口に出した。

「Twitterってご存知?あたしは Twitterに100万人以上のフォロワーがいますのよ」

カスタマーサービスはそんなことは関係ないといった対応をしたようだ。

そ こで彼女はキーボードに打ち込んだ。

「I had exhausted all avenues and I had given them chance after chance to make it right」
「(I hope) the right person would hear it and help me so that you may not have to suffer like we have」
「DO NOT EVER BUY A MAYTAG. I repeat: OUR MAYTAG EXPERIENCE HAS BEEN NIGHTMARE.」

彼女がTweetして3分たつか経たないうちに、「私もMaytagでとんでもない目にあったわ」という別ユー ザからのTweetが来た。続いてもう3件同様のTweetが飛んできた。数時間すると、家電ショップから修理を請け負うというTweetも何件か飛んで きた。

そして、Maytagの親会社、WhirlpoolのTwitterアカウント、@WhirlpoolCorpからTweetが来 た。
翌朝、 Whirlpool本社のJeff Pirainoから新しいサービスマンを手配中だと言う電話があり、その翌日には彼女の洗濯機は完ぺきに修理された。

Source:Forbes / A Twitterati Calls Out Whirlpool

この ケースの属性・影響や波及・インサイトを、Twitterフォロワーを100万人以上も抱え、Maytag洗濯機故障に関するBlogに2,500件以上 のコメントを受け、Forbesの「The Most Influential Women In Media」に選出されているHeather ArmstrongというスーパーBloggerの特異性に求めるのも可能だろう。

しかし、自分のTwitterアカウントに一人のフォ ロワーがいなくても、自分のBlogに日に一人のビジターも来ないような一般のユーザであったとしても、Heatherやほかのパワフルな影響者、インフ ルエンサーにコンタクトすることができる。あるいは単純に、「Help me」と助けを呼べば、おっとり刀で駆けつける人助けを自分の使命だと思うユーザは数多存在する。彼らの声、Tweetが集まれば同じ効果、影響力を発揮 することができることになる。

それにしてもHeather ArmstrongがTweetした時点で12回、先週の5月14日時点でも55回しかTweetしていないWhirlpoolCorpがよく察知したも のだ。ForbesにWhirlpoolのスポークスマンが答えている。
  1. 我々はソーシャルメディアサイ トを継続的にモニタリングしている。
  2. Heather Armstrongの書込みを発見した際、我々は迅速に彼女にコンタクトし、通常手続きを通して問題を解決した。
し かし、モニタリングしていたとしてもリアルタイムにネガティブバズを探知するのは困難だ。最大過去3カ月のフォロワーしか分からないが、今年の2月頃で 850人程度、多分、昨年の8月頃は4~500人程度しかいなかったフォロワーの誰かがHeatherのTweetを受け、WhirlpoolCorpに 「大変なことになるよ」とDMしたのだろう。あるいはHeatherをフォローしていたWhirlpool社内の人間が通報したのかもしれない。

Source:TwitterCounter / WhirlpoolCorp

ソーシャルメディアスペースに参加することと、モニタリングする ことが最低必要条件だと理解している企業・ブランドがおり、そうではないケースもある。また、社員を含むブランドファンからのアドバイスやアラートを受ける体制がある企業・ブランドがあるし、そうではないケースもある。

このネガティブセンチメントを修復するために要する時間、コスト、手間 を計算してみたことがありますか?ブランドファンからの救いの手を見過ごすコスト、影響、被害を計算してみたことがありますか?

2010/04/19

Greenpeace Campaign Against Nestle

4月15日、スイス、ローザンヌで開催されたNestleの株主総会に合わせてGreenpeaceは様々なキャンペーンを実施していた。

Greenpeaceのメール登録者には下のメールが送られ、株主総会会場の内外でバナーを掲げたり、オランウータンの縫ぐるみを着てNestleの株主に「Give the orang-utans a break」と訴えていた。以前から行われていたEmailキャンペーンにより、20万通以上のメールがNestleのCEOなどに送られたそうだ。
下はGreenpeaceの対Nestleキャンペーンサイト。
Source:Greenpeace / Kitcat campaign

なお、Nestleに対するGreenpeaceのキャンペーンそのもの、NestleのYouTube、Facebookに関連する対応の顛末は以下に詳しく書かれている。

Source: 日本にソーシャルメディアの風を! / ネスレのFacebookページが炎上

さて、上のメールにはTwitterからの発信リンクもあり、以下のTweetが発信されることになる。
Good afternoon Nestle shareholders! You can act to protect rainforests, climate AND your investment: http://j.mp/nestlepalmoil
そして、他にもFacebook、YouTubeでもキャンペーンが行われている。

Greenpeaceは、Email、Twitter、Facebook、YouTube、RSSフィードで情報・メッセージ・コンテンツの露出、共有、再発信(露出)を図り、キャンペーン効果を最大化させている。そして、株主総会会場での実力行使となったわけだ。

一方、NestleはGreenpeaceのキャンペーンをただ黙って見過ごしていたのか、それとも?

下は、NestleのTwitterアカウントで、3月18日、3月20日、そして4月14日にパーム油関連Tweetがある。Facebookでもアナウンスされていたが、FacebookのページはアンチNestle派が乗っ取っているような状況だったので、「人殺し」といった書込みに紛れてしまっている。
Source:Twitter / Nestle

14日のTwitterで書かれていたアップデートは、13日付けでNestle会長名でGreenpeaceに送付したEmailレターについてだ。この中でNestleはインドネシアのSinar Masとのパーム油取引を中止、その他サプライヤーに対しても非持続可能ソースからのブレンドパーム油提供による取引中止を警告、パーム油円卓会議への参加などを説明していた。

そして、15日に再度アップデートがあり、株主総会での会長によるコメントまでビデオで流していた。
Source:Nestle / Statement on deforestation and palm oil

Nestleの対応は後手後手に回った感は否めない。特にYouTube、Facebookに関するひどい対応がバズ化した後の対応がまずい。自社Webサイトにアクセスするユーザを前提とした対応は、森の中で狩人が獲物を取るために仕掛けていた穴に自ら足を踏み入れるのに近い暴挙だ。彼らのスペース、セクション、エリアで、彼らの言葉を使って話をしなければいけないにも関わらず、大きなメガホンを口にし、大声で私は悪くないと言いまわっても誰も聞いてくれない。

ブランドレピュテーションや企業価値が音を立てて崩れていく様、あるいは少なくとも損なわれる様をオンラインで高みから見物できる現在、多くの企業・ブランドが今回のケースから学習するだろう。

車のようにオーナーの命に関るケースもあれば、エレクトロニクス製品からの出火や不具合、初期不良もあるし、今回のようにサプライチェーンの一部が原因となってほころびるケースもある。そして、発火点が自国だけとは限らず、外国のケースもある。それが世界中のインターネットユーザに波及してゆく。

なお、2009年にSinar Masの子会社とのパーム油取を取りやめていたUnileverは、ほっと胸をなで下ろしているのか、それとも...?

2010/04/06

CEO and Social Media

去年の6月とちょっと古いのだが、Fortune 100にランクされる企業のCEOと、そのソーシャルメディア活用について調べたレポートがSlideShareに上がっている。

その結果はというと;
  • Twitterアカウントを持っているのは2人だけ
  • LinkedInプロファイルを持っているのは13人(ただし、10人以上のコネクションがあるのは3人だけ)
  • 81%は個人のFacebookページを持っていない
  • 約四分の一はWikipediaにエントリがない(31%はエントリがあるが限られた内容だったり、アップデートされていない)
  • Blogは一人もやっていない
と、散々な結果となっている。

Twitterを使う一人として挙げられたBerkshire HathawayのWarren Buffettには3万人以上のフォロワーがついているが、2月に1回初めてTweetしただけで、後は音さたなしの状況だ。
Source:Twitter / W_Buffett

こんなにもひどいとはまったく想像もしていなかった状況だ。

Fortune 500の企業ユースに限れば、Twitterは137社(35%)、Blogは108社(22%)がやっており、少しずつだが数は増えている。それは顧客、ユーザのスペースに参加しなければコミュニケーションが成立しないことを学習しつつあるからだ。いままでのやり方、流儀ではユーザとのタッチポイント効果が減衰していることを実感しつつあるからだ。大量発信してきたブランドメッセージ・コンテンツを上回り思いもかけない効果をもたらすUGCとそのスペースが存在すること、それは対等の評価をベースとして共有されることを実体験しつつあるからだ。

参考:Fortune 500 and Social Media (Online Ad 2010/03/03)

そんな中、Fortune 100のCEOはデジタルイミグラントどころか、デジタルラガードといったところだ。社会の大勢がオンライン、ソーシャルメディア化するなかで、あくまでも今までの伝統、慣れ親しんだ流儀を貫き、最後までイノベーションを採用しないグループを構成している。

さて、レポートの結論は;
トップ100のCEOは、社員、パートナー、顧客とは違い、まったくコネクトされているとは言い難く、遠く離れ、興味を持たれることもエンゲージすることもない。

ただし、CEOにはソーシャルメディアに参加することで企業・ブランドの認知、可視性、ブランド体験にポジティブな効果を及ぼす可能性があり、ソーシャルメディアを使う、使わないではなく、問題は、もし、使うべきだとしたら、いつ、どうやってかということだ。
としている。

レポートが書いていない「CEOがソーシャルメディアを使うべき必要性」には、
  1. リーダーシップを発揮するため
  2. 直接、顧客、ユーザと対話するため
  3. フィルターされないフィードバックを受けるため
  4. 企業を見える化するため
などがある。

ここをCEOがどう判断するかだけだ。あるいは、状況の見えないCEOに根気強くその必要性を説く社内チーム、あるいは外部組織がいるかどうかだ。

2010/04/02

Digital Natives and Immigrants

Enquiroが「The Rise of Digital Native」というレポートを出している。

20世紀初頭から今世紀に入った2005年までの間に米国世帯に普及した様々な家電、エレクトロニクス製品、その他の普及スピードを見ている。

固定電話が普及率80%を越えたのは60年代始めなので60年以上かかっている。自動車が80%を越えたのは70年前後だから60年ちょっと。冷蔵庫はそれらよりも早く80%に達するまでに25年程度だろうか。カラーTVは20年程度のようだ。

携帯は普及率80%までに25年、PCは普及率70%までに20年、インターネットは普及率60%までに15年と言ったところだ。
とにかく20世紀後半、1960年以降に登場した家電、エレクトロニクス製品の普及率スピードはすさまじい。特にPC、インターネットなど日常生活に必須ではなかった製品、サービスが日常生活のコアを構成するほどに浸透してきているのが分かる。

例えば、今年20歳を迎えるユーザが生まれた1990年にはなんでもあった。そして、彼らが学齢を迎えるころにはPCも、インターネットも、携帯も身近にあった。学校でPCやインターネットで学び、クラスメートとは携帯でおしゃべりし、今はSMS、IM、Blog、MySpace、Bebo、Facebook、Twitterなどお茶の子さいさいだ。PC、携帯、ネット、ゲーム、SNSについてこられない友達、兄弟、親、親戚、近所のおばちゃん・おじちゃんに手ほどきし、学校では先生のPC関連授業の手伝いをしている。家の中に固定電話はないので、電話と言うとセルしか頭に浮かんでこない。宿題や論文の資料調べはすべてインターネット。ネットで知り合ったユーザともすぐ友達になり、国を越えたリレーションを広げている。家電、エレクトロニクスに詳しいので誰彼となく、新しい製品の説明やお買い得情報・製品を教えている。

こんな世代をデジタルネイティブと言う。

そんなデジタルネイティブを1980年生まれ以降、それ以前をデジタルイミグラントに分け、職場、および家庭でのオンライン行動を比較したデータがある。なお、通常、デジタルネイティブの切り分けを1985年とするが、enquiroはB2B調査が目的なので1980年に広げている。

まず、職場での消費時間をもとにした行動比較がある。ネイティブ、イミグラントともにEmail、そしてWebアクセスが群を抜いている。そして固定電話が来ているがネイティブと比べてイミグラントの方が電話を良く使っている。モバイルの音声系は同じようなものだが、データ通信はネイティブ。SNS、Twitter、RSS、Blogはネイティブの利用が勝っている。
次に家庭で消費時間をもとにした行動比較がある。ここもWebアクセスとEmailが群を抜いている。そして家庭ではモバイルの音声もデータもネイティブが優勢で、SNS、Twitter、RSS、Blogも同様だ。
そして、行動ごとの消費時間を差し引いてデジタルネイティブとイミグラントの行動を比較している。ネイティブはSNS、Twitter、RSS、Blog、モバイル・データ通信などでイミグラントを圧倒している。イミグラントが圧倒しているのは固定電話と、Email、印刷媒体だけとなっている。
Source:Enquiro

こんなに行動に差のあるデジタルネイティブとデジタルイミグラントに対して、同じマーケティングチャネル、マーケティングメッセージ、マーケティングオファー、マーケティングコンテンツで対応しているのが現状だ。

誰もいない原野に向かって大金をはたいたTVCF、プリント広告を垂れ流している企業・ブランドもあれば、このデジタルネイティブをターゲットとして新しいマーケティング戦略・戦術を実行しているところもある。

その違いは、例えばWebサイトへアクセスするユーザ調査であったり、フォーカスグループ調査であったり、ソーシャルメディアスペースでの対話であったりする。あるいはソーシャルメディアスペースに参加する企業・ブランドの担当者、他部門の人間、社内的な調査、コンサルタント会社、第三者の視点などの知見や調査などのこともある。これらをひっくるめてリテラシーと呼べば彼我の差は一目瞭然となる。

2010/03/26

Fans and Followers of Brands

少し前だが、Chadwick Martin Baileyというリサーチ会社が、1,500人以上の消費者を調査した結果を発表していた。

それによると、
  • 51%のFacebookファン、67%のTwitterフォロワーは、ファンやフォローするようになってから、もっとブランドや製品を購買するようになった
  • 60%のFacebookファン、79%のTwitterフォロワーは、ファンやフォローするようになってから、もっとブランドや製品を薦めるようになった
そうだ。

FacebookTwitterPRSMALL

これだけでもすごいが、ソーシャルメディアのパワーはそれだけではない。

「FacebookやTwitterに参加していないブランドをどう思うか?」という質問に
  • 企業・ブランドがFacebookあるいはTwitterにデジタルプレゼンスを持っていることは当然だ。ただし、参加している企業・ブランドが相応の対応をしていなければ、今日の市場における適応性に疑問符がつく(女性:50-54歳)
  • FacebookやTwitterが抱えるデモグラフィックに興味がないのか、あるいはインタラクティブにもっと露出できる可能性に気付いていないことになる(男性:35-39歳)
  • 顧客とコミュニケートする新しいやり方に乗っていない、あるいは沿っていないことになる(女性:18-24歳)
  • FacebookやTwitterに参加していないのなら、デジタル消費者と触れ合っていないことになる(女性:55-59歳)
と答えている。

Source:Chadwick Martin Bailey

企業・ブランド認知、好感度、購買意思、推奨など多様なKPIに影響を及ぼすFacebookやTwitterがある。そして、FacebookやTwitterに参加し、ユーザとエンゲージしない企業・ブランドに対するネガティブな側面も明らかにされている。

特に、これだけのバズが発生しているソーシャルメディアスペースに対してなんらの策も打ち出さず、傍観に等しい態度をとり続ける企業・ブランドに対する視線は厳しくなるばかりだ。縦割りのサイロ組織を横断する風通しのよいチャネルがなければ、市場も消費者マインドも担当サイロで無視される限り、上層部へは上がっていかない。

しかし、ファンやフォロワーになった消費者・ユーザ達は、自ら進んで企業・ブランドの価値を広めようとしてくれている。なんらのインセンティブも受け取らず、自らが認めた価値を他の人たちにも理解してもらおう、納得してもらおう、そして、同じ価値を共有してもらおうとコンテンツを発信している。これこそがマーケティングだ。

ファンやフォロワーの価値を認めないマーケター、企業、ブランドに明日はない。

2010/03/23

Really Afraid of Social Networks

Bloomberg BusinessWeek 2010 Media SummitにおいてCNN US社長のJohn Kleinは、
本当に心配しているのはソーシャルネットワーキングサイトとの競合だ。

Facebookの友人やTwitterでフォローしているユーザは、信頼する情報ソースとなっている。しかし、Twitterでフォローしている1,000人よりもCNNはことニュースに関しては最も信頼されるソースでありたい。

だから、CNNがガチで競合しているFoxが抱える200万人の視聴者よりも、Facebookが抱える5億人のほうを心配している。
と語っている。

Source:WebProNews / CNN President "Really Afraid of" Social Networks
Source:Google News (AFP) / Social networks a challenge to cable news: CNN US president

レガシーメディアの中でもプリント系のような化石メディアとは違い、インターネットでも、SNSでも、Twitterでも存在感のあるCNNにして、これほどの危機感がある。

それは先週、Silicon Alley Insiderが伝えた2009対2008年のメディア別広告費の現状を見るとよくわかる。前年比で12%も落ち込んだ広告費は1,253億㌦にとどまった。ディスプレイ広告を除き、残りは全滅といった状態だ。
消費者・ユーザが離れ、発行部数、視聴者数、広告収入が減り続けるレガシーメディアからメディアとしての信頼も失せてしまったとしたら...?

Source:Silicon Alley Insider / Chart of the Day

ハドソン川の奇跡にしたところで、ハイチ地震にしても、第一報、速報系はレガシーメディアの出る幕はない。その後現地入りしたレガシーメディアは速報や、ニュース価値がなくなれば引き上げ、続報は途絶える。が、その後も現地の個人、家族、地域の厳しい現実や被災者の細かな息遣いまで伝えてくれるソーシャルレポーターの続報に大きな価値を見出すユーザ達は、募金や必要物資の調達、現地での支援活動まで幅広く参加している。そこに信頼が芽生え、育っているからだ。

派遣、特派でしかないレガシーメディアと、現地化するソーシャルメディアの違いがユーザの信頼を分けるとしたら...?

ということは、企業・ブランドが価値のある存在として信頼されるメディアスペースは、どちらを主にしたほうがいいのだろうか?

2010/03/09

Toyota Risk Management -3

先週末の「Toyota Risk Management -2」で、
ソーシャルメディアスペースにおいて、Toyotaに対して好意的なコメント、書込みをしている多くの顧客、ユーザがいる。彼らの助けを借りずして、彼ら のブランド体験を共有してもらわずして、企業・ブランド側の資金力に任せたコミュニケーションを行ったところで、競合コミュニケーションとの差し引きにな るだけだ。

今回のケースでToyotaが復活する最も重要なポイントはソーシャルメディアスペースの活用如何にかかっていると見るが、いかがだろうか?
と書いた。

参考:Toyota Risk Management -2 (Online Ad 2010/03/05)

さて、Toyotaの芝刈り機の急発進、急加速をあざ笑い、「Toyotaの芝刈り機もリコール」だというビデオが上っている。



実は、このビデオを制作したのはAudiだ。Audiによれば、制作したのは昨年の9月でToyotaのリコールが始まる前だ。ビデオはガソリンエンジンの芝刈り機よりもモーターの芝刈り機の優位性を訴えるのが真意だそうだが、どこかの誰かがAudiのビデオにキャプションを追加してYouTubeに挙げたらしいとのこと。

Source:Brand Channel / Audi's Competitive Advertising Jabs BMW, Stings Toyota

これ以外にもToyotaをあげつらうビデオなどが今後、続々と登場してくるはずだ。YouTube、DailyMotion、Vimeo等など、そしてそれらがBlogやTwitter、FacebookやMySpace、Bebo等、幅広いソーシャルメディアスペースで共有されることになる。

この大きな流れを押し留めることは誰にも、どんな大企業にもできはしない。

誹謗中傷するビデオの削除要請を行って削除されたとしても、もうその時には、数10本の複製が様々なサイトにアップされている。イタチごっこはどんなに優秀な弁護士に大金を払っても、終わることはない。

これを見ただけでもブランドをコントロールしているのは企業・ブランドではなく、個人、ユーザ、消費者だということが分かる。この理解がない限り、リスクマネージメントはできない。リスクマネージメントを行っている企業・ブランドでこの点を考えているところはありますか?契約しているリスクマネージメントサービスはこの点の対処は完璧ですか?

ソーシャルメディアを考慮しないいかなるリスクマネージメントも意味がない。また、クライシス予防手段としてソーシャルメディアを考慮しないいかなるリスクマネージメントも意味がない。

そのために何をすべきかは明らかだ。

2010/03/05

Toyota Risk Management -2

先月末にBigResearchのFebruary Big Call (Webinar)があった。

消費マインド、雇用状況などに交じって、「購買意思...Toyota Recallの影響」というスライドがあった。

今年2月、これから半年間に自動車を購入しようと計画しているのは10.6%。昨年よりも回復してはいるが、2008年以前とはまだ開きがある。そんな中、トヨタのリコールの影響で40.2%は、最初、あるいは二番手の車として検討するブランドからトヨタを外している。

その結果、購入を検討する車ブランドのトップにFordが座り、Chevrolet、Honda、Nissanと続いてToyotaは最下位の7番手になっている。Source:BigResearch / February Big Call (Webinar)
参考:Toyota Risk Management (Online Ad 2010/01/25)

さて、米Toyotaは、社長のJim LentzがDiggを使って顧客からの質問に直接答えたり、プレスルームを拡張し、「Recall Information」セクションを充実させている。そこへ行けば10本のビデオが上っており、ETCの説明から、品質、急停止操作、フロアーマットの説明までしている。

参考:Corporate & CEO Blog (Online Ad 2010/02/08)
Source:Toyota.com/recall

そして、2月、米Toyotaは、下のような広告を大手新聞に掲載していたし、米公聴会前にはWSJに豊田章男社長が寄稿していた。
Customer.Letter.2また、Tweetmemeを使い、「Toyota Conversations」といったサイトを立ち上げ、トヨタ、リコールなどに関するTweetsをアグリゲートしている。
Source:ToyotaConversations.com

矢継ぎ早という形容がぴったりなほど迅速に対応している。

ただし、Jaff Juiceが言うように新聞を購読している読者向けではなく、トヨタ車オーナーおよびトヨタ車購入を検討している潜在顧客に伝えるには、レガシーメディアだけではなくソーシャルメディアスペースでの告知が必要だ。

WSJや大新聞だけでは足りない。また、FacebookやTwitterでの発信もまだ物足りない。

Source:Jaff Juice / How Toyota can Flip the Funnel

BigResarchの調査データにあるように企業・ブランドへの信頼感が崩壊した時、それを回復させるのはWSJや大新聞、TV、雑誌、ラジオなどのレガシーメディアだけでは足りない。それらレガシーメディアよりもユーザが集うソーシャルメディアスペースを活用しない限り、とても時間のかかる作業となる。一方通行のコミュニケーションだけではなく、オープン、対等、双方向のコミュニケーションに価値を見出しているユーザが増えているだけにソーシャルメディアスペースを活用しなければエンゲージメントも、新しいピアコネクション、リレーションズ、ネットワークはできない。

ソーシャルメディアスペースにおいて、Toyotaに対して好意的なコメント、書込みをしている多くの顧客、ユーザがいる。彼らの助けを借りずして、彼らのブランド体験を共有してもらわずして、企業・ブランド側の資金力に任せたコミュニケーションを行ったところで、競合コミュニケーションとの差し引きになるだけだ。

今回のケースでToyotaが復活する最も重要なポイントはソーシャルメディアスペースの活用如何にかかっていると見るが、いかがだろうか?

2010/02/25

Trust + Recommendation = Success

Millward Brownから「Beyond Trust  Engaging Consumers in the post-recession world」というレポートが出ている。

企業に対する「信頼」だけではもはやブランドの成功は成り立たない。特に、懐疑的で貪欲でもない消費者が多い不況下の世界では。ブランドが成功するためには...?

ということで、「Trust + Recommendation = Success」という方式、TrustRスコアを提案している。TrustRスコアというよりも、「Trust + Recommendation = Success」という方式に注目したい。
企業が営々と築きあげてきた顧客からの「信頼」をより強固にし、拡張、あるいはその信頼を共有してもらう「推薦」、すなわち「クチコミ」がなければブランド価値も意味がない。これは、別に不況下であろうと、バブル期であろうと関係ない。

ブランドと顧客、消費者との絆を固く結びつけるものは、価格でも、機能・仕様でも、セレブを使った広告キャンペーンでもない。友人・知人、家族や同僚であ れ、その人間がそのブランドを評価・判断し、相手にその価値を伝えようとすることにブランドの信頼があり、ブランドの価値があり、第三者を介して固く結ばれることになる。その「推薦」、「クチコミ」 がなければブランドの成功は成り立たない。

「Trust + Recommendation = Success」、TrustRスコアの各国トップブランドは、
  • 10倍も平均的なブランドよりも絆が強い
  • 7倍も平均的なブランドよりも購買される可能性が高い
とそうだ。
Source:BtoB Online / FedEx, UPS are top trusted b-to-b brands
Source:MillwardBrown / Beyond Trust (pdf)

「推薦」や「クチコミ」を広めるマーケティングが行われているが、善意の第三者を介しないマーケティングは意味がない。逆に痛くもない腹を探られるのが関の山だ。善意の第三者を増やすことにこそ意味があるが、「推薦」や「クチコミ」を広めることがマーケティングの本質ではないし、大きく目的からそれてしまう。

善意の第三者を増やすための広告、広報、マーケティングをするには、企業・ブランドがオープン、対等、双方向でエンゲージしなければならない。エンゲージして信頼してもらわなければならない。自分の声を聞いてくれる存在であることをアピールしなければならない。信頼するに足り、聞く耳を持つ企業・ブランドであることを理解してもらわなければならない。

しかし、エンゲージするためには顧客、消費者、ユーザがどのような評価、判断をしているかをまず知らなければならない。

ところがモニタリングしていないブランドが46%もいる。やっている39%もフリーツールだ。何が拾えて何が拾えていないかもわからないフリーツールではモニタリングしていないのも同じだろう。39%はやっているだけましだが、46%のブランドは「信頼」+「推薦」=「成功」という方式には乗れない。
Source:Econsultancy (有料コンテンツ)

2010/02/09

Another PR Nightmare for McDonald's

LinkedInのCorporate Communications Executive Networkに、「McDonald'sにとりPR悪夢になりかねない状況がシカゴで発生している。彼らはどのように行動するべきか?」という議論があり、24本もコメントが行き交っている。

それはChicago Sun-Timesによるとこうだ。

ボストン大学の学生で19歳のLauren McCluskyは、2007年から年一回、高校や大学のバンドを集めシカゴでMcFestというチャリティコンサートを主催し、知的発達障がい者の自立や社会参加を助けるスペシャルオリンピックに貢献してきた。2年間で3万㌦を集めたそうだ。ところが2008年に彼女が商標登録をしようとしたところ、昨年8月、McDonald'sがMc関連商標をすでに登録しているとして異議申し立てを行った。



この係争が裁判所に持ち込まれれば、すでに5,000㌦を支払っているLaurenは新たな出費を負担しなければならない。

McDonald'sは、彼女のコンサートを中止させたいと思っているわけでもなく、彼女と円満に解決するため協議を重ねている。広報担当者、Ashlee Yinglingは、彼女に別の新しい名前をコンサートにつけてほしいと語っている。「別の名前をつけてくれればコンサート費用を負担するといった代替案」をだしている。

この話がLinkedInのCC部門で議論されている。

Source:LinkedIn / Corporate Communications Executive Network
Source:Chicago Sun-Times / McDonald's in beef over trademark with Chicago teen

自分の名字をコンサート名の先頭につけ、スペシャルオリンピックに貢献してきた10代の学生の社会貢献を巨大資本がひねりつぶそうとしているようにも見える。また、一方、すでに「Mc」を前置した単語を登録しているMcDonald'sからすると、とんでもないという話のようにも見える。

さて、あなたはどう考えるだろうか?

McDonald's自体、社会貢献を長年続けている。Ronald McDonald House Charitiesがつとに有名だ。このサイトのトップページに書かれている文章そのものが答えだろう。
Source:Ronald McDonald House Charities

「あなたの支援なしに2009年50万㌦を集めることはできなかった」、「あなたなしに、Lance Kopplinの大きな笑顔、きれいな髪、奇跡の回復はなかった」。

社会貢献をひとつの柱として長年、顧客の力、支援を借りながら実績を上げてきた企業・ブランドは、一方で同じ目的を目指す個人、グループ、団体の行動を支援してきたことになる。双方向で支援と協力、情報の共有などを行ってきたわけだ。

いかに巨大な資本だと言ってもできることには限りがある。限りがあるからこそ、できる範囲とできない範囲の棲み分けを個人、グループ、団体と行ってきた。至極当然なことだ。

しかし、ここで、登録済み商標を個人、グループ、団体が社会貢献目的で使う際に資本側の理論を押しつけようとした場合、結局、資本側の狙いは社会貢献ではなく、社会貢献を行う善良な企業・ブランドだというイメージ、販促、売上につながる効果だけだということが見透かされてしまう。今までの社会貢献が色あせてしまう。

異議申し立てを却下し、かかった費用を弁償するべきだ、あるいはPR部門に抗議のemailを送ろうとか、LinkedInでは議論が活発だ。

ただ、商標登録を共有すべきだというコメントは見られない。そんな解決策もあるかとは考えるが、あなたはどう考えますか?