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2012/05/10

登録博物館Webサイトが広告を掲載していることに拍手

名古屋市科学館のWebサイトで広告を掲載している。
それについて記事を書いたので、興味のある方はどうぞ。


それにしても、Twitterの「このツィートをサイトに埋め込む」を使うと日付がずれますね。

2011/01/31

Horrible Ad Placement

昨年10月、eConsultancyが「Ten horrifying display ad placements」という記事をアップしていた。

例えば、
1. Want to grill like an expert?
死んだ幼児をバーベキューグリルで焼こうとしたカップルが逮捕されたという記事に配信されたKingsfordの練炭およびバーベキューテクニックの広告。 
2. Hooray for beer!
飲酒運転の11歳の少女が警官の制止を振り切り時速160㌔を越えて逃走後、逮捕されたという記事に配信されたビールの広告。 
3. Free Dinner for Two
オリーブ園で250人の食中毒を伝える記事に配信されたオリーブガーデンというレストランの広告。 
Source:eConsultancy / Ten Horrifying Display ad Placements

まだまだいろいろとある。

とに角、アドネットワークへ配信したディスプレイ広告がどんな記事コンテンツに表示されるかが分からないため、時にブランドやサービスに対して悪影響を与えかねない結果が待っている。

日本企業も露出、認知、CTRなどを最大化するため様々な指定Webサイトやアドネットワークを活用したキャンペーンを行っている。しかし、下にあるようにAOL.comのトップページに掲載されている「FX徹底ガイド」「アメリカンホームダイレクトの保険」「エーザイの通販」などは意図が見えない。

とに角、露出することだけしか考えていないようで、代理店が後付けで説明するデモグラフィックスとの関連性などで納得しているのだろうか? それともそんなことは全く考えておらず、担当者にとって今までのマインドセットが指し示す通り、一方通行の広告としての予算を消化することだけしか頭にないのだろうか?

「FXをやろうとするぐらいのユーザは英語サイトへアクセスしますので、AOLのトップページは抜群の露出とCTRをもたらします」とでも言われたのだろうか?
「AOLのトップページはYahooにも劣らないインパクトを与えます」とでも言われたのだろうか?
「名取裕子のファンはAOL.comによくアクセスしています」とでも言われたのだろうか?
 どう頭をひねってみても、「ターゲット、ピントのずれた広告出稿」だとしか思えない。

 また、年末から徹底的な大量露出を行っている日本のグルーポンもとんでもない処へ顔を出している。Googleのアドネットワークからの配信のようだが、筆者がアクセスするB2Bのディレクトリや伊のB2Bサイトにまで出稿している。日本のIPアドレスならどこへアクセスするユーザでも良いようだ。
伊のB2Bサイトへアクセスしたら、「次はグルーポンへ寄ってね」とでも言いたいのだろうか?
結局、既存マスメディアへの広告と同様に、オンライン広告も出すだけの理論がまかり通っているかのようだ。それも当然だろう。今まで何年、何十年と既存レガシー広告をやってきた担当者がオンライン広告も担当しているのだから。そして、上層部も苔むした時代錯誤のマインドセットのままなのだから。一般消費者、ユーザがブランドをコントロールするといったパラダイムシフトなど、どこかの頭のいかれたやつらの世迷いごとぐらいにしか響かないのだから。

SEO、SMO、LPOなど、いろいろなジャーゴンはあるが、これはすべて昔の一方通行のマーケティングの話に近い。結局、出すことで職務は遂行されるわけで、レガシーメディア同様にオンラインの広告効果も、代理店が後で出してくるレポートにちゃんと効果があると書いてあるのだから。

「Horrible Ad Placement」とは、何もアドネットワークにだけ当てはまるのではなく、全ての広告について当てはまるのだろうか...?

2010/08/06

Online Ad Maturing

MediaMindから、「Making Display Advertising the Engine for Automotive Growth」というレポートが出ている。

MediaMindが配信した車関係のオンライン広告実績に基づいて、様々な指標を出している。中で目を惹いたのは下図だ。地域ごとのCTR、Dwellをグラフ化している。

北米や豪・ニュージーランドのCTRは0.1%前後、Dwellは6%弱、3%前後といったところだ。しかし、欧州、南ア、東アジア、南アジアのCTRは0.25%以上、南アジアは4%程度だろうか。Dwellも東アジアが6%強で、欧州、南ア、南アジアは9%以上だ。
Source:MediaMind / Automotive Analytics Bulletin

MediaMindは、
これにはユーザ行動の違いが大きく出ている。北米、豪、ニュージランドはオンライン広告成熟国なので、オンライン広告に反応したり、クリックすることは少ない。一方、他の地域・国では広告に反応し、クリックすることが多い。
と解説している。

しかし、衰退するレガシーマスメディアの補完、あるいは代替としてオンライン広告を最初に始めた北米では、ユーザに広告を露出しても行動を喚起させる力はなくなってきただけだ。というか、既存の一方通行広告をオンライン化しただけなので、目新しさで飛びついていたユーザは慣れてくると、オンライン広告をTV、新聞、雑誌と同じように無視し始めたということだ。

また、オンライン広告成熟国だからではなく、ソーシャルメディアが日常生活に深く浸透し始めてきたため、一方通行のマーケティングには反応しなくなってきたということだ。以前であれば露出、想起といった購買プロセスの入口であればまだレガシーマスメディアの存在感もあったかもしれないが、その入口にもソーシャルメディア経由の露出、共有、リンクなどが影響してきたということだ。

このソーシャルメディアの浸透に関してはFordの力が大きい。2008年から始めたFiesta Movement1は大きな反響・評価を生成し、先ごろExplorerの新車発表をFacebookで行っている。その影響・効果を学習した各社、例えば、HyundaiやVolkswagen、ToyotaやGMと言ったところもソーシャル化を加速させている。

今後、購買プロセスの入口におけるレガシーマスメディアの存在感が薄れ、身近な人間や知り合い、会社の同僚などからのオンライン・対面WOMが重きを増してくる。もう、TVCFに「「XXX」を検索」といったクレジットを入れても入口にならない。

消費者、ユーザ、オーナーが集うスペースで会話に参加することから始めなければならないのだが...。

2010/07/16

Attracting Website Visitors

MarketingProfsからE-commerce Factbookのサンプルが出ている。

中に、「企業・ブランドの(小売)Webサイトへアクセスした際、もっとも影響を受けたものは何か?」と聞いている。
トップグループに来るのは、「ブランド:サイト、企業、ブランドに対する親近感」で32%だ。二番目は「Email:企業からのプロモーションemail」で13%。3番目は「広告:インターネット」で12%。

次のグループには、4番目以降の「広告:既存レガシーメディア」が9%、「検索結果」が9%、「(対面)WOM」が8%となっている。

最後のグループには、「その他」が4%、「(オンライン)WOM」が3%、「その他(ギフト)」が2%、「比較サイトからのリンク」が2%、「(レビューサイト)WOM」が2%、「広告(SNS)」が1%、「(Blog/forum)WOM」が1%、そして「その他(モバイル)」が0.3%だ。

Source:MarketingProfs / E-commerce Factbook

この調査は、23,000人のオンラインショッパーに対して「小売Webサイトへアクセスした理由」を聞いたものだ。

こういったオンラインショッパーをターゲットとするビジネスを展開する企業が最もよく使っているのはDMなどのダイレクトマーケティング、および検索広告ではないだろうか?

しかし、アクセス理由のトップに来る「ブランド:サイト、企業、ブランドに対する親近感」は、既存顧客のブランド体験、各種広告、検索、各種WOM、イベント、割引クーポン、DM・emailプロモーション、ソーシャルメディアマーケティングなどの複合要素が組み合わさった結果だ。すなわち、オフライン+オンラインIMCの結果だと言えるから、これがトップに来るのは当然だ。

ところがDM系のEmailプローモーションが二番目に来るのは良しとしても、検索結果(広告)がオンライン広告の後、レガシーマスメディア広告と同じ%しか獲得できていない。クリック詐欺は止まず、キーワード単価は上昇し、ROIが低下する検索広告は、この結果を説明できない。

もうひとつ言えるのは、このアクセス理由トップこそ、ブランディングだということだ。何もセレブをフィーチャーし、「XXXを検索」とTVCFを打つことがブランディングではない。ソーシャルメディアスペースに参加するブランドと会話したいと希望する多くのユーザがいる今こそ、ブランド体験やWOMの共有や拡散から親近感、信頼を勝ち取るブランディングが求められている。

折角、顧客・ユーザ・消費者が手を差し伸べてくれている時、わざわざ、面と向かってメガフォン越しに話をする企業・ブランドはいない。メガフォンに隠されていた「顔」を出し、手を伸ばして握るだけだ。「初めまして」と。

2010/07/01

Social Media Markeitng Spending Forecast

Borrell Associatesから、「Social Networking Explosion: Ad Revenue Outlook (Executive Summary)」というレポートが出ている。

サマリなので、9月に予定されているコンファレンスなどあまり中身がないのだが、唯一、ソーシャルメディアマーケティング予算の予想グラフがあった。

それによると、2009年にソーシャルメディアマーケティング予算は40億㌦以上で、その半分はNational Advertiserだった。2010年の予想では前年比68%増の75億㌦前後となる。とすると、オンライン予算の11%がソーシャルメディアマーケティングになるそうだ。
そして、5年後には380億㌦、オンライン予算の三分の一がソーシャルメディアマーケティングになるという。

Source:Borrell Associates / The Social Networking Explosion: Ad Revenue Outlook

よく見てほしいのは2012年に、ソーシャルメディア向けオンライン広告と、プロモーション予算が交わり、2013年以降、オンライン広告の伸びをプロモーション予算が上回ってゆくことだ。

広告費と切り離されていることから、このプロモーション予算にはソーシャルメディアスペース構築関連、モニタリングなどが含まれ、ソーシャルメディアスペースに参加し、コミュニケーションを広げ、エンゲージメントを拡大してゆくということは組織、人員、予算が要ることから、それらも含まれているのだろう。

そして、そのコミュニケーションやエンゲージメントが広がれば広がるほど、それを会話の参加者、コメント者、傍観者が自分のネットワークに広げてくれるようになる。それまでは、オンラインのソーシャル広告で会話の存在、スペースに参加している企業・ブランドのプレゼンスを露出、告知、認知してもらう必要がある。しかし、コミュニケーションやエンゲージメントが分岐点を越えた時、オンライン広告は役目を終えることになる。あるいは、新しい会話の露出、告知にその役目が限られてくるようになる。

それをものの見事に示しているグラフだ。

以前、紹介したIBMの「Beyond Advertising」というレポートによれば、2012年に既存レガシー広告予算は2002年の47%から32%へ激減すると予想されている。そして、オンライン広告を含むインタラクティブ予算が7%から27%へ急増すると予想していた。
参考:Beyond Advertising (Online Ad 2009/04/30)

これら数字は2008年に予想されたものなので、大幅な改訂が必要だろう。すなわち、2012年にレガシー広告費は20%台後半へと落ち込み、インタラクティブチャネル予算を30%台半ばとし、その中でもオンライン広告を含まないソーシャルメディアマーケティング予算がひょっとすると10%といった数字になるのでは...。

いや、Borrellの予想が正しければ、インタラクティブチャネル予算の半分、15%が相応しいところだろうか。

2010/06/21

Japanese Brand Endangered

先週金曜日、Ascii総合研究所とWDEのセミナー「企業Twitterは誰が使うべきか」において、「欧米企業のソーシャルメディア化がもたらす日本ブランドの危機」というテーマで話をさせてもらいました。

2006年10月、ANA総会において「パワーは消費者が握っている。彼らは考えられる全ての意味で我々のブランドを所有し、ブランドコンテンツ制作にも参加し始めている」と語たり、企業が支配してきたマスメディアにソーシャルメディアが追いつき、追い越すさまを理解したCEOがいるP&Gにしても、2009年3月に「デジタルビジネス戦略チーム」が、マーケティング役員向けにクラッシュコースを開催している。トップがパラダイムシフトを理解していたとしても、実際にマーケティングを実行する事業部トップを揺り動かし、マインドセットを切り替えさせるのは容易ではない。トップ企業であっても3年もかかっているし、また、それをマインドセットが切り替えられない担当事業部、部署が主催することも非常に困難なのだ。

それはそうだろう。今まで巨額の広報・広告・マーケティング予算を握ってきた既存組織が、訳の分からないとしか理解できないオンライン、それも「オープンだとか、対等だとか、エンゲージメントだとか」といったバズワードを口に出し、ブームに浮かれているとしか見えない社内の人間、社外のエージェンシーの声に耳を傾けると言うことは自分の存在を危うくすることになる。予算を別組織、別キャンペーンに横取りされてしまうことになる。組織内での自分の存在や声、知見が役に立たなくなるような新しいことを社内に啓発することはあり得ない。

だから、P&Gは「デジタルビジネス戦略チーム」 がクラッシュコースを開催したし、FordのScott Monty、PepsiのBonin Boughは外部のエージェンシーからヘッドハントされてパラダイムシフト、IMCのイニシアティブをとっている。それこそマスメディア・エージェンシーに取りつかれ、アゴアシ接待を受けているような社内組織のドンの首を挿げ替えなければ将来はないのだ。それさえも理解していない企業・ブランドは多い。

さて、6月12日にVolkswagen InternationalはFacebookにファンページを開設した。これは2011 Polo GTIキャンペーンの核を成すもので唯一のものだ。すなわち、Facebookファンページだけで2011年モデルのキャンペーンをやるそうだ。そして、このファンページの言語は英語だ。Volkswagenのブランド体験を全世界のユーザと共有するため、「公式言語は英語」だと宣言している。

Volkswagenがどこまでパラダイムシフトを理解しているかは不明だ。しかし、少なくとも他マスメディアを使わずにFacebook一本に絞ってPolo GTIキャンペーンをやろうとしているのはGAPのケースから学習している。Vitamin Waterからも学習している。今、どこに顧客が集い、ブランド体験、情報・コンテンツを消費、共有、再拡散してくれているかは理解している。そして、Starbucks、Adidasの戦略も加味してFacebookをブランドポータルとして全世界のユーザに英語でコミュニケーション、エンゲージしようとしている。ここからも学習している。

一方、パラダイムシフトを理解しない日本のグローバル企業・ブランドが、従来通りの縦割りサイロ組織から苔むしたメガフォンマーケティングをソーシャルメディア化しても、ツール主導のマーケティングを行ったとしても、パラダイムシフトを把握し、オープン、対等、双方向のコミュニケーション、エンゲージメントを行い始めた欧米企業との間に広がり、深まり、離れてゆくブランド体験ギャップは埋めようもない。

製品・サービスの購買者があれこれとつぶやき、称賛し、苦情を言いたてている今、彼らに刺さらないマーケティングをやるしかない日本企業・ブランドと、プロファイル・アップデート・ビデオコミュニケーション・つぶやき・個人検索・RSSフィード・自動タグ機能などFacebook、MySpace、Twitterが備える機能を取り込んだ企業内コラボレーションプラットフォーム、Cisco Quadのベータテストを今秋にも開始するCiscoとの差は途方もない。

社内の縦割りサイロ組織を越えるコラボレーションと、70を数える部署横断のチーム制、それこそ営業リーダーが開発チームを率いるCiscoが、そのプラットフォームをシステム化して販売しようとしている。それを導入してくる企業・ブランドが否応もなく、瓦解する縦割り組織から解き放たれてオープン、対等、双方向のコラボレーション、コミュニケーションを行い、顧客・ユーザとエンゲージする時、もし、日本のグローバル企業・ブランドが今まで通りのコミュニケーションを続けるとすると、そのブランド価値は奈落の底に転落するしか道はない。

可能性を見出すとするとそれはマインドセットを転換させ、パラダイムシフトを理解させるクラッシュコース開催だろう。あるいは、Webビジター調査を導入し、SiemensやPhilipsのように全世界40カ国、あるいは32カ国の自社Webサイトへアクセスするユーザにコンテンツを評価してもらうとともに、どんな情報・コンテンツを希望するのか、どんなフォーマット、チャネルで発信し、どういったスペースでどのようなエンゲージメント体制を敷けばいいのか聞くことだ。また、バズモニタリングを行い、何が語られ、何が共有され、何が批判されているのかを知ることだ。といって、数の話でも、グラフの話でも、限界線を越えたらアラートを発信するといった話ではない。バズのコンテンツ、影響する範囲・会話への参加者・参加度・可能性などからその価値を判断し、ブランドへの影響を想像することだ。

クラッシュコース開催、Webビジター調査、バズモニタリングなしに、通常マーケティング手法をソーシャルメディア化したところで、Cisco Quadが提供するコラボレーション、それが否応なく開くパラダイムシフトを想像できない限り、日本ブランドに将来はない。

と、考えるが、みなさんはどうでしょう?
ご意見をお待ちします。

2010/06/11

Online Ad Market in Europe

先週、IAB Europeから欧州におけるオンライン広告の市場規模データが出ていた。

西欧、東欧に加え、初めてロシア、ブルガリア、スイス、スロバキアなど合計23カ国のデータだ。それによると、2009年の対前年伸び率は4.5%だ。2008年が20%、2007年が40%というとてつもない伸びに比べれば伸び悩んだという状況だ。しかし、同時期の米国オンライン広告市場規模が163億ユーロと比べ、147億ユーロということであと一歩まで近付いている。

広告費を分類すると、やはり検索が強い。
adex1.png
カテゴリごとの広告費伸び率は以下の通り。
(なお、合計の伸び率が4.9%となっている。上に挙げた4.5%と相違しているのはなぜだろう?)
AdEx2.png
ディスプレイ広告は、英仏などのオンライン広告成熟国で前年を下回っている。仏で6%減、英で5%減、そして、スウェーデンでも5%減だ。

ディスプレイ広告だけではなくオンライン広告全体で見ると、英は前年比4.6%増、仏は1.7%増、独は5.2%増、蘭は1.9%増、西は7.7%、伊は6.5%増だそうだ。この6カ国で全体の76%の市場規模となっている。

そして、全広告費に占めるオンライン広告の比率は、英で30%、北欧諸国で20%~25%、仏および独で18%~19%とのことだ。

Source:IAB Europe / Europe's Online Ad Market Continue to Grow Despite Recession

もうそろそろ、IABも広告だけではなく、ソーシャルメディアマーケティング全体としての予算を調査してくれないかしら?あるいは担当者数とか、部署長のタイトルとか?

広告関連だけをカバーしても、もうほんの一部にしかならないことはIAB自体が分かっていると思うのだが...?

2010/05/10

Global CTR 2009

先日、EyeblasterからGlobal Benchmarks 2010がリリースされていた。これはDwellという指標を使ってオンライン広告の効果を測定し、全世界、地域、国別の広告効果を出したものだ。

Dwellとは何かと言うと、オンライン広告の総露出impressionに対するアクティブなユーザエンゲージメントを言い、広告に対するマウスオーバー、ビデオイニシエーション、広告拡大イニシエーション、その他ユーザが広告に対して行うイニシエーションを指す。ただし、1秒未満の意図しないDwellは除外されている。すなわち、Dwellは(ディスプレイ広告)キャンペーンのブランディング効果を把握するために開発されたものだ。

基本的にDwellはEyeblasterがカバーしているリッチメディアの効果を測定している。高いDwellの広告は低いDwellと比べ、検索行動を3倍も促進するし、低いDwellであってもコントロールグループと比べれば10%増しの検索行動に結びついているそうだ。

ディスプレイ広告の効果を、Webサイトのコンテンツと競合して、如何にユーザを広告とエンゲージさせるかにかかっているとすると、ビデオ広告はユーザの注意を惹き、高いDwell効果を上げることになる。だから下のようにビデオ広告は、なしと比べて29%アップのDwell効果をあげ、ビデオ広告は、なしと比べて83%アップのDwell時間をあげている。
さて、EyeblasterはタイトルにあげたグローバルなCTRもベンチマーク数値として出している。2009年の一年間にEyeblasterが配信した1,700億impressionを見ると、グローバルなCTRは0.23%。リッチメディアのCTRは0.37%でスタンダードバナーは0.09%となっている。地域別では豪・ニュージーランド、そして米国が大半となる北米のCTRはリッチ、スタティックともに低い。一方、南米、欧、南・東アジアはそれぞれ平均を上回る数値を挙げている。
Eyeblasterは国別に詳細なベンチマークを出している。例えば米国の場合、スタティックCTRは0.07%で、リッチCTRは0.37%だ。エクスパンダブル、フローティング、プッシュダウンごとのインタラクション(エンゲージメント)率、Dwell時間、CTRなどもある。
また、ビデオ再生率、半分再生率、完全再生率などもある。
Source:Eyeblaster / Benchmarks 2010

米国の場合、エレクトロニクスカテゴリのスタティックCTRは0.07%、リッチCTRが0.12%。ビデオ再生率は29.2%と、21カテゴリ中第9位とはかばかしくない。それもそのはずでビデオが約1分もある長尺では、エンゲージメントを促進するよりはユーザの興味を持続させられない結果となっているようだ。

スタティック広告からダイナミック、リッチな広告へ移行しているのは間違いのないところだ。が、それを使いこなせるかどうかは別の問題だ。

なお、24カ国のベンチマークには日本も入っている。ただし、内容はあまり期待しないほうが良い。

2010/03/17

Worldwide CTR 2008

2008年とちょっと古いので恐縮だが、世界28カ国のCTRがある。

ソースはcomScoreだが、元ネタはDoubleClickの2008年通年のデータだ。もっとも低いCTRはノルウェーの0.07%、もっとも高いのはマレーシアの0.29%。ま、この数値が古いとは言っても、今年、ひと桁も良くなるわけはない。それどころかこれから0.1~0.01%といった間で下がると見るのが普通だろう。
Source:comScore / How Online Advertising Works: Whiter the Click in Europe?

comScoreのレポートは、オンラインディスプレイ広告の効果はCTRだけではなく、広告キャンペーンによるWebサイトビジット数、キャンペーン前後のWebサイトリーチ、検索語句リーチのリフトなどからすると米国より、欧州の効果が高いとしている。

ま、それはさておき、CTRが高いという諸国にしたところで1%も行かないのが現状だ。これがオンライン広告の現状だ。インタラクティブなオンライン広告にしてこのCTRということは、レガシーメディアの効果は推して知るべしということだ。

一方、CTRが広告効果のすべてではないことも事実だ。eMarketerのCEO、Geoff RamseyがI-COMのキーノートスピーチで、「我々はクリックの災禍から脱しなければならない。ブランディング効果をクリックだけで測るべきではない」と述べているように、VTRもあれば、comScoreが示すように様々なリフト効果もある。

Source:NewMediaAge / eMarketer CEO calls for end of measuring just clicks

ただし、ディスプレイ広告の効果を測るには、キャンペーン中のCTRやWebビジット数、検索リーチやVTRに追加して、モニタリングによるバズトラッキングが必須だろう。キャンペーン前中後のバズをモニターし、どんなバズがどこでどれくらい発生し、それは前中後でどのような推移を経たのか、競合の現状はどうなのかなど、そのデータマイニングなしに次のステップはなかなか踏み出せない。

CTR、VTR、ビジット数や販売数量などよりも、企業・ブランドの管理テリトリに入ってこないバズをモニタリングすることでのみ、薄くではあるが、ユーザに露出され、ユーザのピアリレーションズ、コネクション、ネットワークに浸透する露出効果が計れると考える。

2010/03/11

German Online Report 2010

先日、当Blogの独在住読者からドイツのオンライン広告に関するレポートをいただいた。独語なので手が出ないため、レポートにあったコンタクト先、BVDWにメールを送ったところ、わざわざ英語へ翻訳したレポートを送っていただいた。Ich danke für BVDW.

追記:
上のドイツ語を「Vielen Dank, BVDW!」へ訂正します。
詳細は、「German Search Engine (Online Ad 2010/03/19)」を参照のこと。

ということで、2009年のドイツにおけるオンライン広告の現況を紹介する。

まず、ドイツにおけるオンライン広告市場は前年比12%増の40億ユーロに達している。これはTV、新聞に次ぎ三番目のメディアで16.5%のシェアを獲得している。この傾向は2010年も継続すると見られ、OVKは今年のオンライン広告規模を47億ユーロと予想している。
2005年当時、新聞とインターネット広告の差は20%以上あったが、昨年は5%弱にまで縮まってきた。今年とは言わないが、来年には順位が逆転しそうだ。
急激に伸びているオンライン広告の内訳をみると、2008年から2009年にかけて大きく存在感が増したのはビデオだ。通常のバナー、ボタン、レイヤ・フロート、ポップアップ・アンダーなどが軒並み前年比で減少しているにも関わらず、ビデオが160%ととてつもない伸びを示している。このビデオがなければオンライン広告は前年比減だったはずだ。
これほどの急増をうけてBVDWは、Screen Digestのレポートを挿入している。

Screen Digestによれば、2009年ドイツのビデオ広告市場は1億ユーロ強の英国とは開きがあるが、4,250万ユーロの仏よりも大きい。2013年には英国が3億ユーロ強で、仏が1.25億ユーロ、そしてドイツが1.38億ユーロと予想されている。

それにしても2010年から2013年の伸びを計算すると3カ国ともに2009年の2.5倍以上の規模に膨れ上がる計算だ。
さて、ドイツの14歳以上のインターネットユーザは、4,438万人、普及率68.5%だ。それを年代別にみると、14~39歳までの層は普及率90%を越えている。それよりも40~49歳の普及率が82.4%、50~59歳の普及率が67%となっている点に注目したい。

切り分けている年代が違うが、英国の普及率は45-54歳で79%、55-64歳で63%となっている。

Source:Ofcom / UK Adults' media literacy 2009 interim report

若年層はもちろんだが、中高年も欧州のインターネット先進国である英国にドイツが追いついてきたようだ。
他にもいろいろデータがあるが、コンバージョン率を取上げたものがある。

下図のトップに書籍が来ている。これはインターネットユーザの58.2%はオンラインで書籍検索を行い、そのうち38.7%がオンラインで書籍を購入したことになり、コンバージョン率は66.5%となる。
Source:BVDW /Online-Werbemarkt wächst 2009 um zwölf Prozent auf über vier Milliarden Euro
Source:OVK Online Report English

さてさて、今年は英独仏の欧州コア三カ国においてビデオ広告が肝になりそうだ。ただし、ビデオ広告だけを出せばいいというものでもない。当然、バイラルビデオの施策もあっての話だ。昨年のT-Mobileのビデオは視聴1,800万回を越えている。こんな楽しいビデオがたくさん見られるかもしれない。多分、Samsungで?あるいは日本のブランドで?

2010/03/08

Unrealistic TV Effectiveness

Television Bureau of Canadaから「Innerscope : Media Effectiveness」というレポートが出ている。

18~49歳までの男女100人に対して、24のターゲットブランドが出現する広告を露出させた調査結果を明らかにしている。

以下の5つのパターンでターゲット広告を視聴した翌日の助成想起を比較している。
  • TVCFとラジオ広告
  • TVCFとオンラインビデオ
  • TVCFとオンラインディスプレイ広告
  • TVCFと新聞広告
TVCFとオンラインディスプレイ広告を比較すると、翌日の助成想起は、TVの34%に対してオンライン広告は7%でしかない。その差は5倍に達する。
次にTVCFとオンライン広告の視覚的な注目度を比較している。平均するとTVCFの視覚注目度は88%だが、オンライン広告は1%にも満たない結果となっている。
それは、オンライン広告の視線トラッキングのヒートマップを見ればよく分かる。ターゲット広告が2つあるが、そこへ移動している視線はほんのわずかしかない。ほとんど全ての視線は左側のテキストや、セクション見出し、移動ボタンなどに集中している。
最後に同心円の先端にTVが位置し、一段下がった位置にオンラインビデオがあり、その下に新聞とラジオが来て、最後、もっとも低い位置にオンラインディスプレイ広告があるスライドがある。このスライドはあまりにもひどい誤解を生みかねないので省略する。

Source:TV.org

この調査結果を見れば一目瞭然だ。オンライン広告なんて何の役にも立たない。やっぱりTVCFが一番だ。ソーシャルメディアなんか糞食らえといった雄たけびが遠くカナダで木霊しているのが聞こえてくる。

しかし、実際のところ被験者は、テスト室に閉じ込められ、TVの場合30分のコメディ番組を視聴してもらい、オンラインの場合15分間MSN.Caをサーフしてもらうことになる。テスト中はとに角、それ以外何もできない。

こんな日常生活は存在しない。TV視聴者はCFタイムになればチャネルを切り替えるし、TVだけを視聴する人間は少なくなっている。携帯やPCを操作しながらTV番組にも目を走らせ、iPodで音楽を聴いている消費者の方が多いくらいだ。

オンライン化し、ソーシャルメディア化した時代に逆行し、TVという一時代を築いたメディアの効果を最大限に発揮するこんな非日常をベースにした調査を行い、TVCFの助成想起が一番だといった結果を公表する予算があるのなら、もっと別なところへ使った方がいい。DVRがらみの録画視聴率など、他にもこれに類似した調査がたくさんあるが、これほどひどい結論を導き出したものはめったに見たことがない。

それだけTVと言うメディアの衰退を押し留めることができない実態が見えてくる。もう、一方通行のコミュニケーションでは露出できたとしても、共感も共有も拡散もしてくれない。パラダイムシフトに逆らっても得るものは何もない。

2010/02/16

World Digital Media Trend

WAN-IFRA(World Association of Newspapers and News Publishers)と言うところから昨年末に、World Digital Media Trendというレポートが出ていた。

世界的に見ると、メディア&エンタメ市場は2003年に1.21兆㌦、2007年に1.59兆㌦に達し、2009年に1.8兆㌦、そして2012年には2.1兆㌦を予想している。2009年に1,815億㌦のTV広告は2012年に2,158億㌦へ、そして771億㌦のインターネット広告は1,203億㌦へ伸びると予想している。

その間、TVCFは19%、インターネット広告は56%増となる。
そして、モバイルを含めたインターネット広告を地域別に見たものがある。2009年に米国は世界のインターネット広告の40%を占め、欧州は36%だ。

それが2012年には米国は43%増、欧州は67%増となり、欧州が世界シェアの38%、米国が37%と予想されている。
次に、デジタルホットスポットを示している。モバイル普及率が65%以上、かつインターネット普及率が40%以上のHottestに分類されるのは、欧米、韓国、日本、台湾、マレーシア、豪、乳、UAE、仏領ギアナなどだ。

次のHot in mobile、モバイル普及率65%以上、かつインターネット普及率40%未満に分類されるのは露、アフリカ、南米、中東諸国などがくる。
最後に、新聞とインターネットの広告費を比較している。2003年には大きく開いていた新聞広告とインターネット広告の差は2009年にシェア23%対14.6%にまで縮まり、2012年には21.6%対19%と、その差2.6%にまで接近すると予想されている。
Source:WAN-IFRA / World Digital Media Trend (pdf)

2012年、インターネット広告はTV広告の56%へ、欧州がインターネット広告で米国を抜き、ひょっとするとモバイル向けインターネット広告がPC向けを抜き、多分OECD諸国の大半ではすでに新聞広告をインターネット広告が抜いている。そんな年になる。

2012年というとあと700日くらいだろうか?

何年、何十年という積み重ねる年つきではなく、何日という単位で今までのメディアプラットフォームが音を立てて変化してゆく。そんな時代にいつまでもレガシーメディアにしがみつくしかない企業・ブランドと、オンライン、ソーシャルメディアに生きるユーザとのギャップは途方もなく大きくなる。

そして、広告、PRやマーケティングといったユーザアプローチではなく、エンゲージメントやコネクション、リレーションズといったピアアプローチが主流になる日があと700日に迫っている。

2009/12/08

Global Map of Social Web

先月、Global Web IndexからGlobal Map of Social Webというデータ・図が出ている。
(クリックで拡大)
ちょっと分かりにくいのだが、例えば、下のカナダの例を引くと、
  • ソーシャルネットワークに参加しているユーザは46.2%、1,020万人
  • 写真をアップロードしたことがあるユーザは40.9%、900万人
  • ビデオをアップしたことがあるユーザは14.9%、330万人
  • 自分のblogを書いているユーザは10.6%、230万人
  • Twitterをやっているユーザは5.1%、110万人
ということになる。すべてがPC経由ユーザの数字となっている。
日本の場合、他国と比べてソーシャルメディア比率が低く示されている。これは、モバイル経由ユーザが多いためだ。Global Web Indexによれば、日本の場合、34%以上がモバイル経由となっておりPC経由を上回っているとのこと。英国ではモバイル経由はまだ3%なので、ソーシャルメディアの今後を暗示していると書いている。
Source:Global Web Index / Global Map of Social Web

Global Web Indexのデータは、ちょっと首をかしげたくなるような面がある。だから、図はあまり拡大せず、全体図として俯瞰するのがベストだ。

Blog、Twitter、写真、ビデオ、SNSにしろ、そのすべてが自分を外に対して出す行為、他者とコンテンツを共有する行為であること。世界各国にソーシャルメディアは百万人単位で普及、浸透していること。この動きがこれからも進んでゆくであろうこと。それらが俯瞰できる図だ。

さて、ちょっと話は変わるが、「大半の消費者にとって広告は、めったに、あるいはまったく、使っているブランド製品を切り替える効果はない」というHarris Pollの結果をAdWeekが伝えていた。

曰く、
  • 1%  ブランドを切り替える効果がいつもある
  • 30% ブランドを切り替える効果はたまにある
  • 53% ブランドを切り替える効果はめったにない
  • 11% ブランドを切り替える効果は全くない
広告忌避は55歳以上のコホートが最も高く、16%は全く広告効果はなく、57%もめったにないと答えている。24%はたまに、そして0%がいつもと答えている。

そしてタフなオーディエンスと見られている18-34歳の場合、2%がいつも、36%がたまにと答えている。55歳以上のコホートよりは効果があるようだ。

Source:AdWeek / Do Ads Motivate You to Switch?

これらタフなオーディエンスと見られている18-34歳は、デジタルネイティブ世代であり、彼らが熱中、あるいは没頭しているのがソーシャルメディアだ。

Harris Pollが言う「広告」は、オフもあればオンもあり、そのチャネルごとの効果には言及していないようだ。だが、55歳以上のコホートよりも広告許容があると見られる彼ら、デジタルネイティブが消費するソーシャルメディアに広告を出せばといった短絡思考ではうまくいかない。なぜなら彼らは自己を発現するため、友人・知人・同僚・全くの赤の他人とのコンテンツ共有をするためソーシャルメディアを使っているからだ。そこで突然、邪魔者な広告が顔を出せば結果は見えている。もし、そうでなければFacebookはバナー、リレーショナル、ソーシャル広告で埋まっているはずだが、そうはなっていない。

このHarris Pollのデータを合わせてみるとGlobal Map of Social Webとは、広告効果が減衰してゆく世界図と捉えるのが最も正しい見かたかもしれない。

2009/12/07

EIAA Ad Barometer H2 2009

EIAAから2009年下半期のAd Barometerが出ている。

EIAAはメディアサイト、検索エンジン、ポータル、オークションサイト、マーケティング会社などから構成されているヨーロッパの業界団体で2002年に設立されて以降、各種調査、マーケティング、標準化、教育など様々な分野で活動している。

そのEIAAが年に二度出してくるAd Barometerの最新版によると
  • オンライン広告予算予想
    2010年に今年比7.6%増、2011年は15%増
  • 調査対象者の96%はオンライン広告を「重要」、あるいは「勢いのあるメディア」と認識
  • 同36%はターゲティング能力を活用するためにオンライン広告を増加
  • 同31%はコスト効果を活用するためにオンライン広告を増加
  • 同61%はEmail広告を利用(2009年前半は46%)
  • 同33%は行動ターゲティングを利用(2009年前半は25%)
  • 同31%は広告ネットワークを利用(2009年前半は25%)
  • 同36%はアフィリエート広告を利用(2009年前半は26%)
  • 同33%はモバイル広告を戦略に組み入れている
  • 同97%は2010年のモバイル広告を増やす
  • オンライン広告予算は
    マーケターの30%がDMから
    マーケターの7%がOOHから
    マーケターの7%が映画から
    マーケターの9%がラジオから
    マーケターの30%が雑誌から
    マーケターの27%が新聞から
    マーケターの36%がTVから
    シフトしている
と、わが世の春を謳歌するレポートになっている。

Source:EIAA / Ad Barometer H2 2009 (pdf)

EIAAという業界団体の性格上、広告関連指標しか調査していないこと、メディア消費時間シフトしか見ていないこと、ソーシャルメディアスペースでのエンゲージメントを無視していることなど、今回のレポートには大いに突っ込みを入れたくなる。

英国のOfcomが10月にリリースした「UK adult's media literacy」という中間報告がある。2007年と2009年のソーシャルネットワークサイトにプロファイルを設定したユーザを比較した場合、各年代、性別、社会階層などすべてにわたり、それこそ2倍に伸びているグループもあるほどソーシャルメディアが浸透している。
そして、その大半はFacebookに向かっている事実がある。先発のMySpaceやBeboが大きくユーザを減らし、2007年には影も見えなかったTwitterが9%のユーザに利用されている。
Source:Ofcom / UK adult's media literacy (pdf)

こういった事実を取り上げず、単純にレガシーメディアとオンラインメディアを比較し、オンライン広告の数字だけを取り上げても納得する企業・ブランド、マーケティング、PR関係企業はそう多くはない(はずだ)。

なぜなら、欧州オリジンで米国やアジアに進出していない企業ならいざ知らず、少なくとも米国に進出しているセミ・グローバル企業であれば、米国のソーシャルメディア隆盛を体感、実感しているはずだ。少なくとも米国ではオンライン広告による旧来型の広告メッセージ配信をしているだけでは、消費者・ユーザに露出も訴求もできないことが明らかになりつつある。対話もエンゲージもできないのだ。そして、これは米国の出先から欧州の本社へフィードバックされてくる。

その現状を理解せず、レガシーメディアに代わり、オンラインメディアを使い、バナー広告、ターゲティング広告、検索広告をやっているだけで良いと判断する企業には大きな「?」をつけたくなる。

そして、少なくとも欧州の英国ユーザは、Web 2.0ステージへ進んでいるにもかかわらず、今回のようなレポートを仰々しくリリースしてくるEIAAはそれこそWeb 1.0のままなのかもしれない。

2009/07/15

Google's Ad Innovation

筆者がemail購読している中に「SmartBrief on Social Media」がある。7月10日のemailにGoogleのバナー広告が掲載されていた。
で、これをクリックすると以下のページにリンクされる。
(クリックでサイトへ)
Source:Google for Advertisers

サイトへ行くとOnline、TV、Mobileとカテゴリ分けされている。

例えばOnlineの場合、検索広告、ディスプレイ広告、YouTube広告、広告マネージメント、フリーマーケティングと区分けされ、検索広告のキーワード選択、ターゲティングなどから、ローカルビジネスセンターなどを使って顧客がどうして店にやってきたかを知ることができるフリーのダッシュボード提供まで説明している。

Mobileであれば、モバイルキャンペーンのキーワード選択、ターゲティング、広告作成ウィザードなどなど必要最低限のツールは何でもそろっている。

そして「Pet Stick: A 'Worst case' case study」というケーススタディもある。これは新しいキーワード選択、キーワードテスト、キャンペーンフィードバックなどの戦略、ウイジェットなどサイトコンテンツの追加、YouTubeへの展開、リッチメディアなどのクリエイティブ、そして、キャンペーンの最適化などが詰まっている。

ちょっとした総合代理店から検索やマーケティング会社が提供する資料、データ、業務、クリエイティブ、フィードバックなどがすべて手に入るスペースとなっている。ちょっと見ると、これ以外の業務を代理店が提供できるスペースはあまり残っていないように見える。

こんなサービス、スペースを提供された企業・ブランドが、今までの代理店が提供してきたサービス・業務の見直しをしないことは考えられない。今の経済状況ならそういった動きに拍車がかかる。固定費を削りながら、なんとか今まで同様の露出を継続したいと考える企業・ブランドが、このGoogleのサービスを持ち出しながら、予算削減を代理店に迫るということもありそうだ。

代理店ビジネスを脅かす大きな揺れが世界中で起こりそうだ。

ただし、このGoogleのサービスが持つ意味と、可能性を理解する企業・ブランドの存在は欠かせない。それがなければ左うちわの代理店ビジネスも続いてゆく。

さて、このバラ色のGoogleのサービスだが、まったくカバーされていないエリアがある。それはブランド構築、そしてソーシャルメディアスペースでのマーケティングだ。

Googleが提供しているのは、Web 1.0のマーケティングであり、オンライン広告手法・戦略にとどまっている。それがGoogleにとってのビジネスモデルであるだけに、そのリソースを最大活用するツール、スペースとして提供しているわけだ。しかし、このビジネスモデルで何もかもが解決できるわけではない。

Web 1.0、直販、ダイレクトレスポンスというエリアを離れた時、Googleの標準化されたビジネスモデルから提供できるソリューションが解決できる部分はあまりない。

2009/05/25

Display Ad, SEM and Social Media

Forrester Consultingの委託を受けてiProspectが行ったオンラインディスプレイ広告と検索エンジンマーケティングに関するユーザ行動の調査結果が公表されている。

それによると、まず31%のインターネットユーザはディスプレイ広告をクリックしている。また、27%はディスプレイ広告を露出された後に検索行動を起こしている。

加えて、21%は直接URLを入力して企業Webサイトを訪問しているし、9%はソーシャルメディアスペースで製品、ブランド、企業などを調査している。
次にディスプレイ広告を露出された後の検索行動を行ったユーザの14%は製品を購入している。ただし、関連製品を検索し、別サイトを訪問しているのはそれよりも多い38%に達している。
Source:MarketingVox / Online Ads Trigger Nearly as many as Search as Clicks
Source:iProspect / Search Engine Marketing and Online Display Advertising Integration Study
Source:iProspect / Search Engine Marketing and Online Display Advertising Integration Study (pdf)

この調査結果は、「ディスプレイ広告はそれ自体で効果が明らかだ。しかしそれは検索エンジンマーケティングとペアとなって実質的に改善される」としている。

当然、ユーザは何らかのトリガーがなければ検索しない。そのトリガーがオンライン広告のこともあれば、レガシーメディアでの露出、あるいはWOM(オンラインWOM含む)かもしれない。こういったトリガーがあって初めてユーザは検索してみようかとなる。

オンライン検索とディスプレイ広告の親和性を見ればディスプレイ広告が大きなトリガーになっているのは事実だろう。

ただし、今のところ「ソーシャルメディアスペースで製品、ブランド、企業などを調査しているのは9%」にしか過ぎないが、「Someone Like Me」をベースとしたWOM(オンラインWOM含む)はどのトリガーよりも影響力は大きい。ディスプレイ広告とSEMだけではなく、ソーシャルメディアスペースでのエンゲージメントがますます重要性を増してくる。

2009/04/30

Beyond Advertising

昨年、「The End of Advertising」というIBMの資料を紹介した。

参考:The End of Advertising (Online Ad 2008/08/29)

その「The End of Advertising」に連なるシリーズ第二段的な資料、「Choosing a strategic path to the digital consumer」というサブタイトルがついた「Beyond advertising」というレポートがIBMから出ている。

中で一番目を惹いたのは下の図だ。

2002年にTV、Print、ラジオ、OOHなど既存マス媒体広告費のシェアは47%、2007年に41%に落ち、2012年には32%へダウンすると予想している。
反面、オンライン広告、ブランドエンタテイメント、クチコミマーケティングなどの代替・インタラクティブチャネルの予算シェアは2002年の7%が、2007年には13%へ、そして2012年には27%へアップすると予想している。

この予想の背景は、「企業の広告予算がインタラクティブで、効果計測が可能なフォーマットへシフトしている」ということにある。

Source:IBM / Beyond advertising: Choosing a strategic path to the digital consumer

2008年のデータを基に予想されたようなので、金融危機、世界同時不況も考慮された予想のはずだ。そして、2012年であれば不況から回復しているはずだ。にも関わらず既存マス媒体広告費のシェアは沈下が止まっていない。

これは、今年から来年にかけて削減される既存マス媒体広告費は、景気回復時にも回復しないということだ。インタラクティブで、広告効果が可視化でき、計測できるオンライン広告・マーケティングに配分された予算を、広告効果が可視化できず、計測できない既存媒体に戻す理由はないということだ。

その時期にもまだ、既存マス媒体に固執するマスメディア、代理店、そしてクライアントさえも蚊帳の外になる他はない。

今こそ、考え方を変える時期だ。昔から獲得してきた経験知を、そして期待値をすべて消し去らなければパラダイムシフトを理解することはできない。後戻りすることを期待するほど非生産的な行為はない。

今どきの若いものはと嘆き、昔を懐かしむ老人は時代の移ろいを理解できない個人の存在としてあったが、業界、あるいは企業・ブランドとしてもあるのだろうか?インターネットが存在しない時代に戻りたいと考える業界、マルチタスクの消費者が消え去り、一家そろって家に一台しかないTVの前で力道山やジャイアント馬場がヒールの外人レスラーをやっつけるプロレス中継を親子三代で視聴する懐かしい時代に戻りたいと考える業界、企業・ブランドがあるのだろうか?

2009/04/15

Ad Spend Forecast

日本では朝日広告社が加盟しているWorldwide Partners Inc.が、全世界の加盟各社のうち7割、83社が回答した調査レポートを出している。

不況だと認識している比率は南米を除き、深刻だ。
  • 世界 67%
  • アジア・パシフィック 54%
  • EMEA 70%
  • 南米 25%
  • 北米 76%
「この不況がいつまで続くのか」との問いに;
  • 世界 47%が12ヶ月、35%が18ヶ月
  • アジア・パシフィック 60%が12か月、20%が18ヶ月
  • EMEA 57%が12ヶ月、35%が18ヶ月
  • 南米 30%が12ヶ月、40%が18ヶ月
  • 北米 42%が12ヶ月、39%が18ヶ月
と予想している。80%前後が不況からの脱出に12ヶ月以上かかると答えていることからも不況の深刻さがわかる。

そして、広告予算の削減幅は以下の通りだ。

大手広告代理店が予想する5%といった生易しいものではなく、15%、20%、果てはそれ以上の削減を予想している。全体で20%の削減を見込むのが40%と最大で、EMEAはことに深刻で62%にも達している。
それでは、どの分野がこれから伸びとみているかというと、当然、これはデジタルだ。全体で49%、北米で62%、EMEAで57%、アジア・パシフィックで46%となっている。
B2Bの場合も、クライアントの広告費削減幅は全体と似たり寄ったりだ。ここでもEMEAは最悪で、20%削減が57%、20%以上が14%もいる。
Source:Media Week / Ad Spend Forecast Bleaker Still
Source:Worldwide Partners Inc / Ad Spend Forecast Bleaker Still (pdf)

ま、中堅規模の広告代理店の広告費予想だが、「他の(大手)代理店は5~6%の削減を予想しているが、2009年における米国の広告費は15~20%の削減を予想するしかない」とWPIのCEO、Al Moffattが語っているが、当たらずとも遠からずではないだろうか?

さて、Varietyが2008年の欧州TV広告費をレポートしている。

それによるとスペインが大打撃を受けていて前年比11%減の30億ユーロ(39億㌦)だ。それ以外はそれほど酷くはないが、伊が0.7%減、独が1.3%減、仏が2.4%減で、UKは5.4%減となっている。

Screen Digestの予想では、UKは今年7.7%減、伊が4%減、独が8%減、仏が9%減だ。ただし、2010年のワールドカップで持ち直すと期待している。

Source:Variety / Bleak forecast for Euro adspend

ワールドカップで持ち直すと期待しているが、本当にそうなるだろうか?

今年、広告費、特にかさ張るTV広告費が大きく削減され、印刷媒体予算からの削減枠と合計されてデジタル分野に回されるのは確かだろう。となると、デジタルマーケティングが全体の中でも大きな位置を占めてくる。レガシーメディアのROI、Accountability、Measurabilityとデジタルメディアのそれが比較されてくる。その結果が今年から来年にかけて蓄積されてくる。ということは、デジタルメディアを活用する広告やマーケティングによって様々な情報、データが次のマーケティング戦略構築に生かされてくることになる。

このデータに太刀打ちできるものをTVや印刷媒体が持ちえるのだろうか?

単純に景気が回復したからとか、あるいはワールドカップで世界中からの注目を集めるからといった理由で、一度削減された予算がTVや印刷媒体に戻るのだろうか?それほどナイーブな広告人がいるのだろうか?

ただし、その予算を既成メディアのオンラインサイトにバナー広告、あるいは検索リスティング広告に投下するだけでは高いROIどころか、期待する露出さえも獲得できないだろう。

それはなぜかというと、ユーザが既成メディアのオンラインサイトから離れているからだ。ユーザはSNS、Blog、ビデオ共有サイトへ流れている。このソーシャルメディアサイトを活用しない限り効果はない。

2009/04/06

Critical Ad Placement -3

以前、「Critical Ad Placement : Above or Below Folds」、「Critical Ad Placement -2」というエントリを書いた。

下の黒線がfoldsだ。これより上と下の広告の可視性について書いたものだ。

そして最近、CNN.com Internationalへ久しぶりにアクセスしたところ下のようにデザインが若干変更されている。黒線を引くまでもなく、たとえばNikonのスポンサーセクションはFoldよりも上に配置されている。
参考:Critical Ad Placement : Above or Below Folds (Online Ad 2008/04/30)
参考:Critical Ad Placement -2 (Online Ad 2008/07/25)

ま、CNNのデザイン変更は全く別な理由によるものだろう。が、万万が一、こちらのエントリが何らかの影響を与えたとしたら…

ちょっとうれしい(そんなことはないだろうが?)。

2009/03/24

Extreme Sheep LED Art

久々にあっと息を飲む、うーんと唸ってしまうビデオが人気になっている。
これはもう見ていただくしかない。


Viral Video Chartによれば、3月17日にアップされ、39万回以上視聴され、382Blogが記事を書き、664件のコメントがある。(3月19日時点)
確か、すでに18日にはViral Video Chartのトップを占めていた。

Source:Viral Video Chart

Viral Blogは、「このビデオがブランド認知向上に役立つのか?ビデオを見た後でユーザがSamsung.com/LEDへアクセスする確率は高いのか?」、「エンタテイメントビデオの価値は、視聴者をWebサイトへアクセスさせるほどアクティブにユーザとエンゲージするほど高いのか?」と自問している。

そこで「バイラルはキャンペーンメッセージ全体を配信することができるのか?」、あるいは「トラフィックをマイクロサイトなどへ誘引し、キャンペーン認知をさせるひとつの方法なのか?」という質問を読者に投げかけている。

Source:ViralBlog / Embed The Entire Camapaign Message In a Viral?

ま、それほどインパクトのあるバイラルビデオだということだ。色とりどりのボールが坂を転げ落ちたり、高いビルがペンキにつつまれたり、泡が町中をおおったりと一瞬で注目を集めるクリエイティブからすると、少し時間が必要だ。しかし、Samsungが伝えようとしたメッセージのインパクトはそれらに劣らず大きく、深い。

このインパクトはキャンペーンメッセージ全体としても、サイトへの誘引トリガーとしても、バイラル化トリガーとしても機能しているということではないだろうか。

とにかく、おもしろい。


追加で、バイラルビデオ、Emailプロモーション、そしてソーシャルメディアツールを取り上げた「Samsung LED TV Campaign」と、オンライン露出が世界へ流出する「Online Exposure Spillover」を書いたので、どうぞ。

参考:Samsung LED TV Campaign (Online Ad 2009/04/16)
参考:Online Exposure Spillover (Online Ad 2009/04/28)