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2010/07/14

Blog and Vertical SNS

BabyCenterというサイトがある。「妊娠や子育て」というニッチなトピックにおける最大サイトだそうだ。
Source:BabyCenter

そこから面白いレポートが出ている。

BabyCenterのプロモーショナルレポートなのだが、中に、「他の妊婦とコネクトしたり、妊娠や子育て情報に関しての情報を入手するために最もよく利用するSNSはどこ?」というスライドがあり、
  1. 43% Facebook
  2. 17% BabyCenter
  3. 9%  MySpace
となっている。

しかし、SNSアクセス目的を詳しく見ると、「情報入手」や「製品推奨」といった面でBabyCenterがトップですよというスライドが次に来る。「おつき合い」や「エンタメ」ならFacebookやTwitterがBabyCenterを上回るが、企業・ブランドのマーケティング戦略からすると、女性・Blogネットワークや、BabyCenterといったバーティカルなSNSですよというわけだ。
それは、「妊娠や子育てに関する質問」、「子育てのコツや助言」、「同じ妊婦さんからの情報」といった点で、BabyCenterやCafeMomが、Facebookを上回っていることからも明らかだ。
Source:BabyCenter / Study April 2010 (pdf)

BabyCenterのようなニッチSNSはいくらでもある。FacebookやTwitterがソーシャルマスメディアとするなら、それはソーシャルニッチ・バーティカルメディアと言える。

今後、このソーシャルニッチ・バーティカルメディアの重要性が増してゆく。妊婦などが必要とする(製品)情報がソーシャルマスメディアにはないことを知っているからこそ、彼らはソーシャルニッチ・バーティカルメディアへアクセスしている。FacebookやTwitterが巨大化し、ソーシャルマスメディアになるにつれて、こういったニッチ・バーティカルメディアのニーズが増してゆくはずだ。

一方、ひょっとすると、FacebookやTwitterがレガシーメディア化、あるいはTV化してきているのかもしれない。結局、それを使う企業・ブランドがTVと同じように一方通行のメガフォンマーケティングチャネルとして使っているということだ。

既存マーケティングをソーシャルメディア化するグループと、ソーシャルメディアを含めたIMCを推進するグループに二極化すると考え、最終的にはIMC側が勝利すべきだと考えている。が、単純ソーシャルメディア化グループが、既存組織のまま、既存予算を振り向ける形が主導権を握っているのだろうか...?

参考:Japanese Brand Endangered (Online Ad 2010/06/21)

2010/06/22

Social Media at Work

UBM TechWebが「Social Media At Work」というWebinarを開催していた。

それによると、職場での仕事目的のメディア利用時間をメディア別に見ると、B2B Webサイトへのアクセス、B2B雑誌、Eメールニュースレターに次ぎ、4番目にSNSが来ている。ビジネスWebサイト、新聞、ビジネス誌などよりもSNSが仕事に利用されている。そして、IT専門家の40%は、これからの12カ月間でSNS利用時間を増やすと答えている。
どんなSNSへアクセスしているかと言うと、自社公式Blogは当然100%だが、その次に仕事目的で来るのはLinkedInだ。続いてTwitter、YouTube、Facebookと来ている。仕事と個人目的を合計すればTwitterがトップでYouTubeが二位で続いている。
なぜIT専門家がSNSを使っているかと言うと、同僚などとのつながりを、新製品・サービス・技術を知るため、SNSが技術・情報・アドバイスを入手する価値のあるスペースだと認識していたり、購買情報を仕入れたり、新しい企業・ブランドについて知るために活用している。
これほど、B2B業界・関係者やIT専門家が活用しているSNSなのだが、マーケティングとのギャップが指摘されている。すなわち、企業・ブランドのマーケターが評価しているそれぞれのソーシャルメディアスペースと、IT購買決定権者の評価が分かれている。

IT購買決定権者は、企業公式Blog、LinkedIn、Twitterに重きを置いているが、マーケターが力を入れているのはFacebook、Twitterであり、LinkedInはようやく三番目に顔を出している。
最後にソーシャルメディアを活用してB2B向けITマーケティングを行うためのアドバイスが6つ挙げられている。
Source:UBM TechWeb / Social Media At Work

IT購買決定権者とマーケターのソーシャルメディアスペース評価の違い、ギャップは非常に面白い。マーケターは人気、ブーム、注目を集めるFacebook、Twitter、LinkedInの順番になるが、IT購買決定権者は企業公式BlogおよびLinkedInが群を抜いている。

これは企業や役職者・社員が、ソーシャルメディアで共有されるコンテンツを発信し、共有されているかという判断だろう。また、それはオープン、対等、双方向のコミュニケーションをしているかという判断だろうし、タイムリーに質の高いコンテンツを継続的に制作、発信しているかということにもなる。

さて、最後に上げたすべてのアドバイスは、B2Bであれ、B2Cであれ同じことだ。ただし、どちらにしてもまず、1番目と2番目のアドバイスを継続実行し、特に2番目は必ず獲得しなければ企業として何も始められない。ここがネックになるのかしら...。

2010/04/06

CEO and Social Media

去年の6月とちょっと古いのだが、Fortune 100にランクされる企業のCEOと、そのソーシャルメディア活用について調べたレポートがSlideShareに上がっている。

その結果はというと;
  • Twitterアカウントを持っているのは2人だけ
  • LinkedInプロファイルを持っているのは13人(ただし、10人以上のコネクションがあるのは3人だけ)
  • 81%は個人のFacebookページを持っていない
  • 約四分の一はWikipediaにエントリがない(31%はエントリがあるが限られた内容だったり、アップデートされていない)
  • Blogは一人もやっていない
と、散々な結果となっている。

Twitterを使う一人として挙げられたBerkshire HathawayのWarren Buffettには3万人以上のフォロワーがついているが、2月に1回初めてTweetしただけで、後は音さたなしの状況だ。
Source:Twitter / W_Buffett

こんなにもひどいとはまったく想像もしていなかった状況だ。

Fortune 500の企業ユースに限れば、Twitterは137社(35%)、Blogは108社(22%)がやっており、少しずつだが数は増えている。それは顧客、ユーザのスペースに参加しなければコミュニケーションが成立しないことを学習しつつあるからだ。いままでのやり方、流儀ではユーザとのタッチポイント効果が減衰していることを実感しつつあるからだ。大量発信してきたブランドメッセージ・コンテンツを上回り思いもかけない効果をもたらすUGCとそのスペースが存在すること、それは対等の評価をベースとして共有されることを実体験しつつあるからだ。

参考:Fortune 500 and Social Media (Online Ad 2010/03/03)

そんな中、Fortune 100のCEOはデジタルイミグラントどころか、デジタルラガードといったところだ。社会の大勢がオンライン、ソーシャルメディア化するなかで、あくまでも今までの伝統、慣れ親しんだ流儀を貫き、最後までイノベーションを採用しないグループを構成している。

さて、レポートの結論は;
トップ100のCEOは、社員、パートナー、顧客とは違い、まったくコネクトされているとは言い難く、遠く離れ、興味を持たれることもエンゲージすることもない。

ただし、CEOにはソーシャルメディアに参加することで企業・ブランドの認知、可視性、ブランド体験にポジティブな効果を及ぼす可能性があり、ソーシャルメディアを使う、使わないではなく、問題は、もし、使うべきだとしたら、いつ、どうやってかということだ。
としている。

レポートが書いていない「CEOがソーシャルメディアを使うべき必要性」には、
  1. リーダーシップを発揮するため
  2. 直接、顧客、ユーザと対話するため
  3. フィルターされないフィードバックを受けるため
  4. 企業を見える化するため
などがある。

ここをCEOがどう判断するかだけだ。あるいは、状況の見えないCEOに根気強くその必要性を説く社内チーム、あるいは外部組織がいるかどうかだ。

2010/04/01

Leadership of Ford and Toyota in Social Media

実は3月17日のお昼頃、あるBlogに以下のようなコメントを書いた。
今年78歳になるBill Marriottは、2007年1月に初めてBlogを始める際、
「I know this is where the action is if you want to talk to your customers directly -- and hear back from them.」と書いています。http://www.blogs.marriott.com/marriott-on-the-move/2007/01/uncharted-territory.html
日本語だけではなく世界に向けて英語で発信されるのがベストではないでしょうか?
コメントを保存していないので正確には覚えていないが、多分、こんな内容だったと思う。

ここで引用したのは、Marriott Internationalの会長兼CEOであるBill Marriottだ。

参考:Marriott's CEO Blog Launched (Online Ad 2007/01/19)

そして、上のコメントを書き込んだのは、「モリゾウ」というスクリーン名でBlogが立っているトヨタの社長、豊田章男氏のBlogだ。
Source:Gazoo / ドライバーモリゾウ

ところが3月31日になっても、筆者のコメントはBlogのコメント欄に表示されていない。

今回のリコールに大きく影響を受ける欧米ユーザに社長として直接、対話を開始する必要性をコメントしたつもりだった。欧米に比べればその影響が非常に少ない日本ユーザに語るよりも、欧米をはじめとする世界のトヨタ車オーナーに語ること、対話のチャネルを開くこと、そして、フィードバックをオープン、対等、双方向に受けることが必要だと確信するからこそ、コメントしたわけだ。

しかし、一般的な公序良俗に著しく反しているとも、Gazooの利用規約、コミュニティ・ガイドラインに抵触しているとも思われないコメントを無視し、表示していない。(もし、抵触しているのなら、そう判断した理由をお聞きしたい)

これでは今まで同様に一方通行のコミュニケーションでしかない。送り手と受け手の対極しか存在していない。常時、送り手と受け手がその立場を替え、相手の立場を理解、尊重した上で対等なカンバセーションを行うチャネルではない。

一方、Fordの社長兼CEOのAlan Mulallyは、Washington Postの「On Leadership」で次のように語っている。紹介したいのは2つある。


Source:Washington Post / On Leadership : Ford CEO Alan Mulally on the "liberating clarity" of his mission

まず、ひとつめ。
我々は仕えるために存在しているといつも考えている。業界のリーダーとして選ばれる栄誉を与えられているが、実際のところ我々は顧客に仕えているし、従業員にも仕えているわけだ。もっと召使的な観点を持つか、あるいは召使的な体制を取れば、もっと(Fordを顧客に)取り込んでもらうことができる。また、他の人間のアイディアに対して尊敬の気持ちを持てば、他人に理解してもらおうとする前に他人を理解することができる。そして、人々のパワー、力がひとつになってゆく。ここがいつも私を驚かせている。
そして、もうひとつ。
我々はどこへ行くのか、どうやってそこへいくのか、そして我々一人一人に何が求められているのかを我々自身が理解すればするほど、進展は早まる。こういったコミュニケーションを私(Alan Mulally)が部下に指示するのではなく、そういった環境を創造することなのだ。

今何が起こっているかを全ての人間が知れば知るほど、個人のパフォーマンスが増大すると思う。また、それによってチームパフォーマンスも上がってくる。どのようなビジネスに自分がいるのか、対する顧客はどんな人なのか、世界中でベストな競争をするためには何が必要なのかを知れば知るほど、(今までの企業組織、担当といった)桎梏からどれほど解き放たれるかを考えてみてください。これら大きな決断がFordの創造性を解き放ったと考えている。
FordとToyotaは、同じ自動車メーカーだが数えきれない点で違う。単純に同じ地平線に乗せて比較することなどできはしない。しかし、その相違点を納得した上で、今、もっとも大きく、そして重要な違いは、ソーシャルメディアの理解ではないだろうか。

ソーシャルメディアを導入する、ソーシャルメディアスペースに参加するということは、今までの企業そのもの、既存組織、決定伝達フロー、予算執行優先度など様々な決まりを変更し、桎梏から脱するということだ。一方通行のメッセージを大量投下するのではなく、個々のユーザとエンゲージするということだ。彼らとの対話からフィードバックを受け取り、彼らの参加、協力を求めてオープン、対等、双方向のコミュニケーションを成立させるということだ。フォーカスグループなどの特定ユーザグループからのヒアリングではなく、前後左右、上下から降ってくる、湧いてくる硬軟とり混ざり、雑多な意見、フィードバックを受け入れるということだ。

そして、Bill Marriottが言うように、「今、顧客に直接話しかけ、彼らからフィードバックをもらうためには、どこで行動を起こすべきか」を知らなければならないリーダーは、企業・ブランドとしてソーシャルメディアを導入し、ソーシャルメディアスペースに参加するという、企業そのものを変革することになる意思決定、判断を下さなければならない。FordのAlan Mulallyが言う、サーブする視点、相手を理解する視点、ゴールを理解する視点の重要性を説き、そして、それらを新しい企業、組織、フローとして 社内環境、マインドセットを創造することが必要となってくる。なぜなら、企業・ブランドを取り巻く外環境には、「力になりたい」、「手を貸したい」、 「一緒に始めよう」という顧客、ファンが集っているのだから。「What/How can I help you?」というキーワードは、Haitiの例をひくまでもなくソーシャルメディアスペースに満ちているのだから。

ただし、トップ、あるいはトップを支えるチーム、そして企業自体のマインドセットには、相応以上のソーシャルメディア(スペース)に対する理解、把握、実績、そして展望がなければならない。FordのAlan Mulallyを支えるチームの中心には、Scott Montyがいるはずだ。そのScott MontyをOrangeからヘッドハントしてきた目利きの人間がFordにはいるわけだ。Bill Marriottにしても社内の情シス部門から長期間にわたったレクチャーがあった。パソコン音痴の彼の理解を広げ、(最年長?)CEO Blogを始めさせたプロがいたわけだ。

ひょっとするとここが最も大きな肝かもしれない。特に、今まで企業・ブランドとして経験したことのないスペースを導入、参加するに際して、BlogやForum、SNS、Twitter、YouTubeなどを経験したことのない人々や、既存組織から予算、担当テリトリ、意思決定フローなどがシフトすると危惧する人々から、吐き出されるネガティブセンチメントに対抗し、新しいマインドセットを伝道してゆくにはリーダーだけでは無理だ。リーダーを支える強力なリソースが是非とも必要になる。

2010/03/18

Corporate Blogging

「The Corporate Bloggings and Social Media Trends Survey」というCompendiumのレポートをMarketingProfsが伝えている。

それによると、企業Blogにアクセスしたユーザの81~100%が初めてのビジターだというのは三分の二近い(63.2%)に達している。初めてのビジターが40%以下、すなわち、60%はリピーターだというのは合計しても3.9%しかない。

B2C企業の場合、初めてのビジターがトラフィックの80%以上を占めるという企業が72%。その大半は検索エンジンおよびリフェラルからやってくる。オーガニックな検索結果からのトラフィックが41%以上を占めているのは49%になる。

B2企業の場合、初めてのビジターがトラフィックの60%以上を占めるという企業が64%。オーガニックな検索結果からのトラフィックが41%以上を占めているのは40%になる。

Source:MarketingProfs / Most Business-Blog Traffic From First-Time Visitors

B2C、B2Bでの若干の違いこそあれ、企業Blogへのトラフィックがオーガニック検索、そしてリフェラルであり、そのリフェラルの大半を占めるのはソーシャルメディアスペースにおけるユーザ個人とそのピアリレーションズ、コネクション、ネットワークであるのは間違いない。そしてオーガニック検索にソーシャルメディアスペースでの露出が大きく反映されていることも間違いがない。

初めてのビジターをリピーターに変え、彼らのピアリレーションズ、コネクション、ネットワークにコンテンツを拡散、共有、再露出してもらうためには、企業Blogそのものがソーシャルメディアスペースに参加していなければならない。

企業Blogを立ち上げるだけで、ソーシャルメディアスペースに参加することにはならない。RSSフィードやTweetMemeガジェット、ブックマークおよび共有ツールを装備するだけで参加することにはならない。読者やリンク、引用が増えたところで参加していることにはならない。botが日に何回も、何ページにもわたってクロールしていようが意味はない。

企業Blogがユーザに対して価値を与えるコンテンツを提供していない限り、OOHの巨大看板のように雨風に晒されているだけで、また対話が成立していない限り意味がない。

2010/03/03

Fortune 500 and Social Media

去年、Fortune and Inc. Blogsで紹介したSociety for New Communications Researchから、「The Fortune 500 and Social Media」が出ている。

参考:Fortune and Inc. Blogs (Online Ad 2009/05/13)

まず、Blogだ。2008年の81社(16%)が2009年は108社(22%)へ伸びている。
その108社を業界ごとに分類したリストの一部を見ると、一番伸びたのはコンピュータ・ソフト系が3社、そして、Home Depot、Best BuyやToys"R"Usなどが入る特別小売も3社がBlogを始めている。
Fortune 500とInc. 500のBlogを見ると、Fortune 500が6ポイントアップしているように、Inc. 500のBlog開設も6ポイントアップして45%になっている。もうここまで来ると「やる、やらないで」はなく、「いつ始めるか」という状況だろう。この状況でBlog、ソーシャルメディアのなんたるかを把握、理解せず、企画を提案していない担当者の首は涼しいはずだ。ただし、首が涼しいのはFortune 500やInc.500の担当者だけだ。それ以外は、我関せずでもまだ温かな首を抱えている。
さて、Twitterだが、Fortune 500の35%、173社がアカウントを持っている。その173社を100社ごとのランキングのシェアを見ると、ランキング1~100位がシェア27%で最も多くの企業がTwitterアカウントを持ち、Tweetしていることが分かる。
  • 1~100位   47社
  • 101~200位 35社
  • 201~300位 30社
  • 301~400位 28社
  • 401~500位 33社
業界別に見ると保険業界が13社でトップだ。続いて食品・医薬・日用雑貨、コンピュータ、特別小売、テレコム、ユーティリティが来ている。これはTwitterで直販・販促に力を入れる各社の姿が明らかになっている。「RTして賞品を当てよう」といった賞品ぶら下げキャンペーンを各社がやっている。
Source:AdWeek / Big Biz Embracing Twitter
Source:PRWeb / Society for New Communications Research

いつも思うのだが、こういった普及調査はBlogやTwitterの内容まで掘り下げていない。単に、Blogをやっている、Twitterをやっている(先進?)企業を上げるだけになっている。それでは企業・ブランドのソーシャルメディア対応の本当の姿を描き出せない。

特にTwitterで行われている「RTして賞品を当てよう」キャンペーンは、既存マーケティング手法をオンライン化し、Twitterを使っただけだ。パラダイムシフトを把握した上でのソーシャルメディアマーケティングではない。フォロワー数やRT数の多寡を競うだけの単純なフローに落とした方が提案し易く、マネタイズし易いのは事実だが、このフローから企業・ブランドのコンテンツ、コンテキストを共有、消費、再露出してもらい、ブランドとのエンゲージメントを高めることはできない。

消費者・ユーザは馬鹿どころかレガシーマーケティングの裏をかく。というよりは、レガシーマーケティングを都合よく利用し、マーケターの意図をすっぱりと切り捨てて、うまい汁を吸うだけだ。美味しいところだけをさらい、後ろを向いて舌を出している。

2010/02/08

Corporate & CEO Blog

このBlogを始めた年、2006年にSun MicrosoftのCEO、Jonathan Schwartsを取上げ、「CEOがBlogを好きにならなければならない理由」としてエントリを書いた。

参考:Why CEOs should learn to love the blog (Online Ad 2006/11/28)

その彼が、先週金曜日(現地木曜日)、Twitterで俳句をひねってSun Microsystem最後の日を伝えている。

金融危機後
投資減衰となり
CEO停止

Source:Twitter / OpenJonathan

Fortune 500のCEOとして初めて、最初に2004年6月26日からBlogを始めたShwartsへの感慨はある。
2004年6月28日に初めてBlogを開始した際、彼はこう書いている。

「範を示す」
上場企業のトップがBlogを始めてはなぜいけないのだろう。ある意味、論理的には米国のRegFD (Regulation Fair Disclosure :公平開示規則)により、企業情報の排他的提供を禁じられているわけだが、Blogを始めることで外部とコミュニケートすることが我々のやり方だ。

-中略-

だからまず私から責任を果たすべきだと考えた。次に 私の言葉が文書化されるフォーマットとその正確性を変更するためだ。文中に識者のコメントなしでストレートに伝えるためだ。そしてコミュニティからフィル ターのかかっていないフィードバックを受けるためだ。
参考:Sun CEO's Blog (Online Ad 2006/12/14)

率先した彼に刺激され、あるいは社内に説得され、あるいは自らBlogを始めたCEOや、企業Blogがある。

2006年11月に40だったFortune 500の公式Blogは、2009年12月17日時点で79にまで増えた。およそ倍増している。

Source:Fortune 500 Business Blogging Wiki

この間にYouTubeでのチャネル、Facebookファンページ、Twitterアカントなど様々なチャネルを通して企業・ブランドは、外部とコミュニケートし、フィードバックを受け取るためにエンゲージメントを始めている。

企業・ブランドがオープン、対等、双方向のコミュニケーションチャネルを開く端緒ともなった彼の功績は消えることはない。いや、彼の功績が消えるどころが、彼のスタンスがどのグローバル企業・ブランドにも必要とされている時は今をおいて他にない。

米国では、Toyota Motor Salesの社長、Jim LentzがDiggでユーザの質問を募集し、直接、ユーザに応えようとしている。リコールだけではなく、組合活動、次世代車、スポーツ車、電気自動車など多岐にわたる質問がある。ユーザからの質問をオープンに募集し、もっとも多くのユーザが聞きたいとして投票した質問にライブで答えるようだ。
Source:Digg / Dialog with Jim Lentz

こんなことは彼がBlogを始めた2004年には誰も予想していなかった。さざ波が集まり、大きなうねりとなり、津波にまで成長するきっかけともなった彼のCEO Blogに感謝。

2010/01/05

Twitter: hatoyamayukio

1日からTwitterのhatoyamayukio、Blogの鳩cafeアカウントが動き出している。
Source:Twitter / hatoyamayukio
Source:鳩cafe

1億人近い日本のオンラインユーザに対してゲートウェイを開いたとも言えるし、単に今までのメディアコミュニケーションをTwitterやBlogでやるだけになるのかもしれない。Susan Boyleをコントロールする資本側がやっているように...。

参考:Death of Susan Boyle (Online Ad 2010/01/04)

さて、英Brown首相というか、英首相官邸もTwitterアカウントを持ち、2008年3月26日から1,652Tweetsを重ね、約169万人のfollowersを抱え、約49万人をfollowしている。
Source:Twitter / DowningStreet

英首相(官邸)はそれだけではなく、Flickr、YouTube、Facebookなどもやっているので、それらを総合したレピュテーションを、YomegoのSMR (Social Media Reputation)は42.59としている。この42.59は、英トーリー党キャメロン党首の62.49、仏サルコジ大統領の66.15、米オバマ大統領の77.79とは大きな差がある。
Source:The Blog Herald /British PM’s social media reputation flagging according to new audit
Source:Yomego / Why reputation is everything?

約169万人のFollowerに発信されたメッセージは各様にポジティブにも、ネガティブにも咀嚼され、消費、共有される。それがTwitterだけではなく、Facebook、Blog、YouTubeなどのソーシャルメディアスペースに再露出されてゆく。

その結果、ある意味で英首相はぼろくそにこき下ろされている。ただし、Brightonでの演説後、59.81にまで盛り返してはいる。が、Susan Boyleのパターンと大差はない。

Tweetし始めたばかりの「hatoyamayukio」アカウントはこの荒波にもまれてゆく。

RTも、DMもなく、対話のつながりもなく、ただ、一方通行メッセージを配信するチャネルとしてオープンしただけなら多くの企業・ブランドと同じだ。そして、世界のユーザとコミュニケーションチャネルを開くべき日本の首相として、英語Tweetなしに済ますのだとしたらグローバル戦略もないことになる。

2009/12/10

Top 25 Environmental Blogs

Social Media Explorerが、スポンサーであるPostrankのサービスを使って環境関連Blogのトップ25を書いている。

RSS、クリック、コメント、トラックバック、FriendFeed、Digg、Reddit、Tumblr、Twitter、Blipなどソーシャルメディアサイト、アプリ、ツールなどを使ったアクティビティをエンゲージメントイベントとして各Blogの過去半年のエンゲージメントスコアを算出し、ランキングしている。

皆さんはトップ25Blogのうち、いくつご存じだろうか?
下は、ランキングトップ5を抜きだし、各月のエンゲージメントスコアを表にしたものだ。8、9、10月にAutoblogGreenが他から抜きんでたスコアを挙げている。
Source:Social Media Explorer / The Top 25 Environmental Blogs

このランキングはPostrankのデータ、アプリに基づいたものだが、ひとつのベンチマークにはなる。そして、モニタリングする、すべきBlogにもなる。もし、企業・ブランドが今後、一層、グリーン、環境、気候変動、リサイクル、リユースといったキーワードをバンドルする製品・サービスをリリースするなら。あるいは、既存製品・サービスを改修、改善し、そのコンセプト、見せ方を変えるなら。そして、Postrankそのものも検討に値するサービスかもしれない。

と言っても、モニタリングする価値を理解しているのは、例えばInc. 500にランキングされる企業の68%でしかない。過半数を超えているといっても、この数値は100%になるべきことからするとまだ少ないと言わざるを得ない。さて、大企業・ブランドの何%がモニタリングの必要性、価値を理解しているのだろう?参考:Social Media in Inc. 500 (Online Ad 2009/11/30)

2009/11/30

Social Media in Inc. 500

マサチューセッツ大学ダートマス校のマーケティングリサーチセンターからInc.500に選出された急成長の未上場企業のソーシャルメディア対応に関するデータが出ている。

まず、どれくらいソーシャルメディアを知っているかと訊いている。SNSが75%、Blogが67%、そして今年から調査が開始されたTwitterが62%だ。掲示板とオンラインビデオの比率が下がっているだけで、その他は全て2007、2008、そして2009年と認知が上ってきている。
次にどのソーシャルメディアを実際に活用しているかを訊いている。SNSがトップの80%、Twitterが二位で52%、そしてBlogが45%だ。掲示板、オンラインビデオ、Wikis、Podcastの活用率が下がってきている。
そして、今使っていないとしたら、これから使おうと考えているのは、Blogがトップで44%、オンラインビデオが36%、掲示板が32%、TwitterはPodcastと同じで27%となっている。
そして、使っているソーシャルメディアがうまくいっているかどうかを訊いている。WikisからTwitterまで80%以上がうまくいっていると答えている。評価が落ちたのはオンラインビデオだけだ。
ただし、これらソーシャルメディアがビジネスやマーケティング戦略に関してどれくらい重要かという判断になると、まだ不明だったり、それほど、ほとんど重要ではないと答えている企業もいる。
しかし、非常に重要、あるいはそこそこ重要だと判断している企業が多いことは間違いがない。
最後に、「ソーシャルメディアで企業名、あるいはブランドをモニタリングしてますか?」もっとも重要な質問をしている。
Inc. 500に選出される企業の68%が「モニタリングしている」と答えている。2007年に50%だったものが68%にまで伸びている。
Source:UMASSD / Social Media in the 2009 Inc.500 (pdf)

どのように「モニタリング」しているのか、その中身は分からないが、少なくとも68%の企業はソーシャルメディアで自社・ブランドがどのように語られているのか「聞き耳」を立てている。

マスメディアキャンペーン後にフォーカスグループからある意味でコントロールされたフィードバックをもらうより、企業・ブランドコンテンツそのものがどのように味付けされ、焼かれたのか、煮られたのか、蒸されたのか、あるいはどんなソーシャルコネクションをたどってそこへ行きついたのかを知る方がよっぽどましだ。そのためには、「聞き耳」戦略しか使いようがない。

Inc.500に選出された未上場企業だからフリーツール・サービスを使っているのが大半だろうが、一部は有料ツール・サービスを使い、深堀しているのだろう。それは自社の潜在顧客、アドボケーター、インフルエンサーを知るというもっとも基本的なマーケティングを行っているだけだ。だが、この「聞き耳」は、予算をかけたレガシーマスメディアキャンペーン効果に匹敵する。

2009/11/04

IAB Social Media Research

一昨日、「Online Friends & WOM」でGlobal Web Indexのデータを取上げたばかりだが、もうひとつGlobal Web Indexの資料を紹介する。

参考:Online Friends & WOM (Online Ad 2009/11/02)

それは10月22日のIAB Europe Councilで行われたプレゼンだ。2010年というのは2009年のミスだと思う。

国ごとにインターネットを利用する理由を聞いたところ、いずれの国も、「友人と連絡を取り合う」がトップだ。中でもロシアは50%を超えている。
そして、ソーシャルネットワークのプロファイル編集とBlog書き込みを見ると、欧州各国の中では英国とロシアのソーシャルネットワーク関与が高い。それにしても中国、韓国、日本のBlog漬が高いというか、ひどい。また、メキシコ、インド、ブラジルといった国でもBlog関与が高い。国や地域でこれほどの違いがあるのはちょっと驚く。
ソーシャルネットワークとBlogに、TwitterとWebを加えてみると、スペイン、イタリア、ロシアと他の欧州諸国では前者がTwitterおよびWebでの活動も盛んに行われていることが分かる。特にイタリアとロシアのTwitter利用は10%を超えている。
Source:SlideShare / Gobal Web Index - IAB Social Media Research

欧州も米国同様にソーシャルネットワークとTwitterということになる。国によってはBlogもということになる。どのソーシャルメディアスペースにしたところでユーザが連絡を取り合い、近況報告に加えて様々なコンテンツを共有していることは間違いがない。

そして、そのコンテンツの中心になるのは、ユーザの身の回りを取り巻くインターネット、携帯、PC、Google、Facebook、ゲーム、ビデオ、音楽などのデジタル関連コンテンツだ。

2009/09/29

Social Media Tips from Kodak

Kodakから「Social Media Tips」という資料が出ている。サブタイトルは、「Sharing lessons learned to help your business grow」だ。

CMOでVPのJeff Hayzlettが巻頭に次のように書いている。
TwitterやFacebookといったソーシャルメディアになぜ時間を費やすのか?それは、今日のメディアシーンで、顧客がいる場所にいる(参加する)ことが絶対的に重要だからだ。Kodakはこのマーケティング哲学をいつも実践してきた。そして、今日、それは、ソーシャルメディア(スペース)でアクティブであることを意味している。

ソーシャルメディアが重要なのは、顧客と双方向での会話を行う機会を与えてくれることだ。顧客に最善を尽くす方法を知ることよりも、顧客から直接それを聞くこと以上に貴重な方法はあるだろうか?ソーシャルメディアは、会話をおこし、顧客からのフィードバックに対応し、そしてアクティブな会話を継続する新しい方法を可能にしてくれる。
内容的には、巻頭に続き、ソーシャルメディアスペースの現状として、Facebook、Twitter、YouTube、Blogを取上げて数字を挙げている。次に、「ソーシャルメディアってのは子供向け」、「米国では人気だが世界では?」「ソーシャルメディアはビジネスで使えない」といった神話を砕き、BlogやTwitterの秘訣10を挙げて、Kodakのメディア戦術を説明している。

それが下の図だ。
この戦術を説明する文としてKodakは次を入れている。
企業は製品、顧客・消費者・ユーザ、あるいはブランドに関する会話を「コントロール」することも、「利用する」こともできない。
この理解の上に、「コンテンツ制作」、「供給」、「エンゲージメント」、「測定」を核とした戦術がある。
戦術に続き、Kodakのソーシャルメディアポリシー、ソーシャルメディア活動の実例を挙げて、最後にKodakのソーシャルメディア展開を示している。
Source:Kodak / Social Media Tips (pdf)

Kodakと言えば、4月にFacebookの戦略を紹介した。

参考:Kodak Facebook Strategy (Online Ad 2009/04/17)

今年初めからソーシャルメディアマーケティングを新しい段階に引き上げていたKodakが、「ソーシャルメディアの秘訣」「企業ビジネスの拡大を支援するため経験を共有する」という資料を公開したということだ。

「Sharing lessons learned to help your business grow」という資料を日本のグローバル企業が出せるのだろうかと考えてしまう。

そして、Kodakが参加しているTwitter、Facebook、YouTube、Flickr、そしてBlogを活用したマーケティングを日本のグローバル企業がやっているだろうかと考えてしまう。

ソーシャルメディアスペースに参加しているのは米国ユーザだけではないし、米国ユーザ向けに制作、供給され、エンゲージし、そして測定されるコンテンツは世界のソーシャルメディアスペースのユーザに共有され、再露出される。例えば、Starbucksのwallに非英語のコメントは7%ある。そして非英語圏ユーザが英語でコメントした数はそれを上回る。世界中のユーザがStarbucksの英語コンテンツを消費、共有、再露出している。この現状を見れば、日本のグローバル企業は米国の一部先進企業を追い抜く勢いでソーシャルメディアスペースに参加する必要がある。

しかし...?

2009/09/17

Ford: Online Monitoring

先日、アップした「Twitter Report」の「Branding & Awareness」にFordを取上げた。

参考:Twitter Report (Online Ad 2009/09/11)

そのFordのケーススタディを詳しく見てみたい。
















まず、2008年12月9日、18:10、Ford RangerのファンサイトであるThe Ranger Stationから火の手が上がった。














その種火は、Fordの法務部門からサイトへ送られた「警告状」だ。これはサイトオーナー、Jim Oakesに対してWebを閉鎖、URLを返上し、5,000㌦を支払えというものだ。何が何だか分からないJimは、サイトのユーザフォーラムでうっぷんをぶちまけたところ、その後の22時間で916回のレスポンスを受けた。この火種はWeb、Blog、フォーラム、SNS、Twitterと様々なチャネルを通して延焼していった。

12月10日、5:30、Fordのグローバルデジタル・マルチメディアコミュニケーションマネージャ、Scott Montyは通常通り、Twitterをチェックしたところ、ひとつのTweetが1:30から待っていた。
上は、Jim OakesのオリジナルエントリをアップしているFordの別ファンサイト、FocalJetへリンクされている。別にScottには別のファンサイト、Mustang Evolutionにある類似エントリを知らせるDMもあった。野火がファンサイトからファンサイトへ飛び火、延焼していた。FordのカスタマーサポートセンターにはJimのオリジナルエントリを出火場所とする1,000通以上の苦情emailが殺到していた。

Scottは午前中一杯、内外の状況把握に努めていた。そのステータスをTwitterで発信している。
そして、彼は、ある程度、状況が把握できた時点で下のTweetを行っている。これが最初の消火活動となっている。それは「fordファンサイトに関する法的手段に関して関心を寄せる方へ:現在、法務と問題解決の交渉中」というメッセージもそうだが、画期的なポイントは、「RT乞う」というメッセージだ。
その時点でScottのフォロワーは5,600人。そのうち19人が彼の要請に応えてRTした。その19人が抱えていたフォロワーは13,400人。

その後も、Scottは法務からのフィードバックを供給し続けている。曰く、「法務からは全く別の話が分かってきた」、「サイトオーナーからチャンと返事がもらえていなかった。これにはもっと深い問題がある」「サイトで偽物が売られていたことが分かった。URLに関しては調査中」
ScottはTweetの間に社内の法務とコンタクトして、「サイトでFordのロゴを付けた偽物が売られていたという警告状送付の理由、URL返上・サイト閉鎖や5,000㌦要求は法的手段に訴えるという脅し」だったことを確認している。

ようやくここまで原因調査や火災消火の方法、今後の対処などが決まると、ScottはJime Oakesに直接、電話している。これまでの状況を説明し、これからの対処を説明し、Jim側の話も聴取している。双方が対処方法に納得したのち、ScottはTweetしている。
その後もTweetを続け、Scottが鎮火を宣言したのは翌日の2:29だった。Ranger Stationでの発火から鎮火まで、22時間26分かかったことになる。

Source:RonAmok / Ford, Fansites, and Firefighting
Source:RonAmok / The Ranger Station Fire: How Ford Motor Company Used Social Media to Extinguish a PR Fire in Less Than 24 Hours.

Ron Amokは、
  1. Everything is Public
  2. Company don't talk: People do
  3. Without Support: New Media Fails
を挙げてまとめとしている。

Ron Amokは、上の3点を挙げ、下の7点を比較してROIを出せとしている。
  1. Scott Montyはこの問題解決にあたり19時間を費やした
  2. 彼は問題の原因調査を主導した
  3. 彼は複数のミーティングを開催した
  4. 彼は複数の電話をかけた(サイトオーナーJim Oakesへも)
  5. 彼は138回、今回の問題に関してTwitterにメッセージをアップした
  6. 彼はフォロワーに助けを請い、フォロワーは合計32,332人へメッセージを転送した
  7. 彼は今回の問題を24時間以内に完全鎮火、解決した
これらにかかったコストと、今回の問題が解決されず放置され、オンライン史上最大の大火となり、販売台数減少、ブランドイメージ・価値・評価が地に落ち、マスメディアを駆使した販売・イメージ回復キャンペーンに費やした総コストを比較した場合、そのROIはどうなるのかと。

彼の3点に
  1. ソーシャルメディアスペースにおけるリスク管理
  2. オンラインモニタリングの重要性
  3. RT (ReTweet)効果
  4. ソーシャルメディアマーケティングの人員・組織・予算化の必要性
を付け加えたい。

特に、リスク管理にソーシャルメディアを取り込んでいる米企業もまだ13%でしかない。ハドソン川の奇跡を伝えたTwitterが、企業に牙をむくのは今日かもしれない。
Source:Source:Russell Herder / EMBRACING THE OPPORTUNITIES,
AVERTING THE RISKS

2009/09/02

Viral Video and Twitter

4分を超える長尺だが、「PSA Texting and Driving 'COW' taster 001」というビデオに注目が集まっている。



上のビデオの視聴回数は174万回を超えており、YouTubeには4分フルのものから1~2分に編集されたビデオがいくつも上がっている。Break.comでは「Don't text and drive」として上がっており、視聴回数は約69万回にも上っている(8月29日時点)。

Viral Video Chart(YouTubeだけではなく、Break.comなど他のビデオサイトもモニターしている)ではここ一週間はトップ10に入っており、総視聴回数は385万回を超えている。なにより746のBlogがこのビデオを取上げ、9,231個のコメント、1,692個のTweetsが記録されている。(8月29日時点)

Source:Viral Video Chart

このビデオは英国のGwent Police Authorityが、全てのドライバーの交通事故撲滅、特に若年層や初心者に運転中の携帯電話操作の危険性を強く警告するために作成したものだ。

Source:Gwent Police Authority

ところでこのビデオがバイラル化した原因として、まず考えられるのは、実際の事故かと思わせるほどのリアルで衝撃的な映像がある。しかし、どんなにコンテンツが素晴らしく、感動的で、あるいは衝撃的なものであったとしても、それを伝えるチャネルがなければ画に描いた餅に終わってしまう。

バイラルビデオに関するTubeMogulの調査ではリフェラルトラフィックの大半はBlogからとなっている。(この調査にTwitterは含まれていない)
  • 80.88% Blog
  • 11.18% 検索エンジン
  • 3.66% ソーシャルネットワーク
  • 3.19% ソーシャルブックマーク
  • 0.63% ビデオ検索エンジン
  • 0.05% Email/IM
参考:Asics Viral Video Campaign (Online Ad 2009/06/30)

だから今までビデオのバイラル化を目指す場合、いかにしてタッチポイントを増やすかに各マーケターは注力していた。いかにして多くのBlogに取上げてもらうかが主眼だった。そのため、746のBlogが取上げ、9,231個のコメントを獲得している今回のビデオもバイラル化したといえる。

しかし、それを上回る効果を上げたのはTwitterだろう。1,692回もTweetされたコンテンツは、それぞれのTwitter達が抱えるフォロワー達に広がる。数人のフォロワーしかいないTwitterもいれば、数千人、数万人を超えるフォロワーを抱えるTwitter達もいる。このコネクションの広がりは、ビデオを取上げたBlogの数を凌ぐ。

今後、ビデオのバイラル化にTwitterは欠かせなくなるし、ひょっとするとBlogの影響力を上回る効果を発揮する可能性が高い。

2009/08/05

Digital C-Suite

Forbesから「The Rise of the Digital C-Suite」という資料が出ている。全米で売上高10億㌦以上の企業のトップエグゼクティブ354人を調査し、C-Suite(経営管理職およびトップ層)がどのようにビジネスに関連する情報を調査、入手しているかを調べたものだ。
  • C-Suiteの世代交代によりインターネット利用も変化
  • インターネットはC-Suiteの情報ソースのトップ
  • C-suiteは自分で情報を検索する
  • C-Suiteが使うのは主流の検索エンジン
  • ビデオおよびオンラインネットワークはC-Suiteのツールになりつつある
  • IT部門の管理職は情報収集にインターネットを最も使う
  • 40歳以下の管理職(NetScape世代)はソーシャルメディアツールを活用して最もエンゲージする
といったまとめがある。

まず、世代交代に関してだが、下の図は、50歳未満と、50歳以上のC-Suiteが
  1. ビジネス情報入手に利用するインターネットの頻度
  2. インターネットツール、サービス価値の5段階評価
  3. オンラインツールを利用する%
という比較がある。もう50歳未満と50歳以上ではひょっとすると人種が違うくらいの相違がある。50歳未満のC-Suiteは、PC、携帯、インターネット、iPod、その他のデジタルデバイスが何をするにしても大前提となっている、あるいはそれらがなくてはならない世代なのだ。
もうひとつ世代間で異なるインターネット行動がある。それは、「ビジネス情報を収集するために次をクリックしますか?」と聴かれて、
  1. 検索エンジンのリスティング広告
  2. バナー広告
  3. ポップアップ広告
  4. 他コンテンツへのリンク
  5. Blogエントリからのリンク
を50歳未満のC-Suiteは「しょっちゅうクリックする」と回答する比率が、41%から35%と、圧倒的に50歳以上よりも高い。
そして、IT管理職と非IT管理職を比較している。
  1. 毎日20回以上検索
  2. テキストよりもビデオからの情報収集・入手を優先する
  3. オンラインコミュニティの同僚から受けるアドバイスに価値を認める
  4. 仕事に関するBlogを毎日読む
  5. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードを利用して毎日読む
  6. 仕事関連コンテンツを検索したり、それらを毎日モバイルWAPで読む
  7. 検索結果のリスティング広告をしょっちゅうクリックする
IT管理職は非IT管理職の少なくとも2倍、項目によっては4倍近くまで実行している。
最後にWeb 2.0利用に関して比較している。今回は40歳未満、40~49歳、50歳以上という3段階に分けての比較だ。
  1. 自分自身で仕事関連Blogを書いている。
  2. TwitterなどマイクロBloggingをやっている。
  3. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードから入手している。
  4. モバイルWAPを使って、検索したり、コンテンツを読んでいる。
50歳以上のC-Suiteは見る影もない。50歳未満、40歳未満のC-SuiteがいかにWeb 2.0漬けになっているかが分かる。
Source:Forbes Insights / The Rise of the Digital C-suite

ビジネス誌を使ってC-Suiteに訴求しようというB2Bブランディングがある。しかし、もはやプリントのビジネス誌だけを使ってC-Suiteに訴求できる時代ではない。そして、売上高10億㌦を超える中堅企業以上のC-Suiteに40歳未満、50歳未満のC-Suiteが誕生している今日、彼らの日常行動を支えているのはオンラインであり、検索であり、ソーシャルメディアであることが明白だ。

現在、顕著になりつつあるC-Suiteの行動パターンに則したマーケティングが求められている。しかし、まだまだ今までのメディアプランにおまけとしてオンラインを加えているだけではないだろうか。

どうして頭を切り替えないのだろう。マインドセットをシフトしなければ、今の動きについてゆくことは困難だ。それにもかかわらず、なぜ、新しい動きを見ないのだろう。

それは、企業・ブランド側、そして代理店側の意思決定層が50歳以上だからだろうか?それとも、世界中のインターネットユーザを巻き込み、まったく新しいトレンドをいくつも誕生させてきたWeb 2.0という流れを理解できないからなのだろうか?

2009/06/15

2009 Women and Social Media Study

Compass Partners、BlogHer、iVillageの共同調査、「2009 Women and Social Media Study」が公開されている。

まず、米国の18-77歳の女性人口は1億900万人。これに米国のインターネット普及率72.5%を合わせて、7,900万人の米国女性がインターネットユーザとしている。

これを年代・世代別の人数に分け、ソーシャルメディアスペースに参加している女性を出している。18-26歳(ミレニアル世代)は、1,330万人のうち73%、970万人がソーシャルメディアスペースに参加している。27-42歳のGen Xは62%の1,540万人、44-62歳のブーマーでも46%の1,330万人ということになる。
これを参加しているソーシャルメディアごとに分類すると、SNSが75%の3,150万人、Blogの閲覧・書き込みなどが55%の2,300万人、近況報告(Twitter)が16%の670万人となっている。
その他、いろいろな調査項目があるが、目を惹いたのは「女性インターネットユーザが興味を持つトピックに関する情報のソースは?」という項目だ。BlogとSNSのそれぞれに関してトピックのソースを上げさせている。

興味を持つトピックは、女性ならではの妊娠、ファッション、食などを押さえて、政治・ニュース、ハイテク・ガジェット、車、ビジネスがインデックス上位を占めている。そして、興味のあるトピックのインデックストップの政治・ニュースのソースとしてはBlog、ハイテク・ガジェットの場合も61%がBlogとなっている。
Source:BlogHer / 2009 Women and Social Media Study (pdf)

「興味を持つトピック」のインデックス上位に来るのは女性特有のトピックではない。男性とまるで変わりがないトピックが並んでいる。そして、これらトピックのソースとするはどうやらBlogのほうが多いらしい。

ま、この調査がBlogHerユーザ・読者を対象としている点を考慮してもややBlogのほうが影響力がある(かもしれない)ということだろうか。あるいは、Blogの影響力とのギャップを埋めてきたSNSの影響力が上がってきたと見ることもできる。

この調査レポートの最後に「The State of the Social Media World」として、次のサマリがある。
  • 展開:ソーシャルメディアおよびBlogの主流採用が継続中
  • 影響:Blogは、情報、アドバイス、そしてお勧めのソーシャルメディアソース
  • メディアシフト:ソーシャルメディアは既成メディアを代替中
  • 女性Blogger:最もエンゲージし、ソーシャルメディアユーザの中の最先端
少なくとも、「ソーシャルメディアは既成メディアを代替中」という点は確かだ。