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2013/04/09

ジャパネットたかたFacebookページへの提言

先週の土曜日に、「ジャパネットたかたへの提言」をアップした処、月曜日になってジャパネットたかたの方が何度かアクセスしていただいたようだ。

それに気を良くして、Facebookについても書くことにする。

まず、ジャパネットたかたのFacebookページをご覧になったことがない方は、下からFacebookページへアクセスしていただきたい。
Facebookページのウォールにユーザ書込みを受け付けない日本が誇る大企業のFaecbookページや、コミュニティガイドラインとやらを掲げて訴訟をちらつかせる企業をこれまで何回も取上げてきたが、それと同じだ。

Facebookページのウォールにユーザ書込みを受け付けていない。

ま、これは楽天も同じ。
しかし、これはヤマダ電機のLABI渋谷、名古屋、浜北や、Amazon JPはページウォールへのユーザ書込みを許可していることとは正反対のことをしている。
ジャパネットたかたには3,875人のファンがいて、3月30日から月5日までの1週間に887人がいいね!、コメント、シェアなどで話題にしている。一方、楽天には58万人のファン、同時期に28,900人が話題にしているし、Amazon JPには68万人のファンがいて、62,000人以上が話題にしている。ジャパネットたかたが追いかけなければならないこれら2社とは2ケタ違う。

先を走る2社の中でも、Amazon JPのファンやユーザが生成するバズや共有連鎖はジャパネットたかたが「商品の先にある豊かさや感動を全国のお客様に伝えるため」に欠くべからざるもののはずだ。

ただし、もはや「一方的に伝える」時代は遠く過ぎ去り、ブランドが語るバズよりも生活者が語るブランド関連バズが勢いを増し、 彼らの共有バズが比較・検討という購買プロセスでシェアされ、最終購買に結び付いているAISCEAS時代に入った今、全国のお客様に自発的にアクションを起こしていただくためにも、ページウォールへのユーザ書込みを許可するべきなのだが...。

ページウォールに書込みを認めないと云うことは、対応する部署がないとか、対応できないというよりもユーザを信頼できない、していないということになる。書込みを許可している他社と比べると遅れているというか、どういったコミュニケーションを行うかの戦略がユーザが求めるモノとは異なっているということにもなる。

顧客の声を聞く、聴く、訊くと言いながら書込みを許可していない他社と同じ轍を踏んでいては、この2ケタという膨大なギャップは絶対に解消できないし、豊かさや感動を全国のお客様に伝えることはできないと思うがいかがだろう。

2013/04/08

いろいろと活用できそうなFacebookアプリ

2012/07/03

インドネシアのTwitter、Facebook事情

約2億4000万人の人口を抱えるインドネシアのインターネットユーザ数は2011年に8,474万人、2012年には1億人を越え、2015年には1.6億人に伸びると予想されている。
そのインドネシアは、Twitterユーザ数で世界5位(約2,000万人)。
なお、WebベースのTwitter利用は12%にとどまり、モバイルが87%を占めている。それも当然だろう、2010年で2.2億台、普及率は91.7%にも達しているのだから。特に2009年から2010年にかけての急増がただものではない。6,000万台、24%ポイントも増加している。この急増がモバイルベースのTwitter利用に拍車をかけたようだ。
Facebookユーザ数でも世界4位(約4,380万人)につけている。
このボリュームはキャリアのひとつが5,000ルピアでSMSを経由してFacebook使い放題というサービスを開始したことも一因だろう。

そして、インドネシアで最もFacebookファンを抱えているのは、民放TV局RCTIのDahsyatという番組だ。
2月にAKB48がインドネシアでコンサートをやった時、その予告をしていたDahsyatのファン数は650万人を超えている。トップ5はTV局・番組、セレブが占めている。以降を見てもECサイト、メディア、ミュージックバンド、スポーツクラブなど、消費者・生活者・利用者・ファンたちと向き合っている企業・団体・グループのページが並んでいる。
なお、インドネシアのFacebookはSNSとしてではなく、主にメッセージサービスとして使われているとよく聞くが、Dahsyatの投稿に対して数千のLikeや、千以上のコメントが付いているのを見ると変わってきたように思える。

さて、日本語のFacebookページを見ると、FacebookJapanの460万人、パーゴルフの350万人、FacebookNaviの307万人、SatisfactionGuaranteedの216万人、FacebookMarketingの168万人が上位5ページ。それ以降、ヒットコンサルティングの144万人、BadLandの94万人、ユニクロの83万人、無印良品の78万人、サッカー日本代表の76万人、AUの73万人、神様予報!の73万人、ANAの72万人といったページが続いている。

ま、B2CとB2Bページが混在しているのが日本、B2Cページが中心になっているのがインドネシアのFacebookページだと言えないこともない。また、マーケティング関連ページは上位にひとつもないのがインドネシアだとも言える。

とにかく、消費者・生活者・利用者・ファンたちとのコミュニケーションチャネルとしてFacebookが機能しているのは間違いない。この意味でインドネシアは日本よりも数段進んだB2Cコミュニケーションが行われているように見える。

日本国内市場の先行きに暗雲が垂れこめる現在、中国やアジア諸国に製造拠点、販路を求める企業が後を絶たない。例えば、日本より一歩も二歩も進んだソーシャルメディアコミュニケーションが行われているインドネシアという市場を検討する場合、こういったTwitterやFacebookの現状把握、現地及び日本本社からのソーシャルメディアマーケティング戦略もお忘れにならないようお薦めする。

2012/05/22

金環日食写真シェアを呼び掛ける米クラーク・プラネタリウム

出典:マサダ ウォールへの投稿許可が広げるコミュニケーション

2011/09/13

Sharp has same community guide line as Toyota

先月の記事、Toyota rejects communications with users on Facebookに関してのtweetに、「そう言えば、Sharp-jpもSharpGalapagosも「フォローしている」はゼロ。」というものがあった。

参考:Toyota rejects communications with users on Facebook (Online Ad 2011/08/03)

そこで確認してみると、その通り、フォロー数はいずれのアカウントも「0」だった。

そして、各アカウントには以下のような説明がされている。
曰く、「ご質問・お問合わせは本アカウントではお答えできかねますので、ご了承願います」。
 曰く、「※Twitter上で頂きますご意見はすべて拝読させて頂いております。しかしながら、現状は個別での回答を控えさせていただきますのでご了承ください」とある。

シャープにはもうひとつ広報室のTwitterアカウントがある。ここは、「シャープに関するニュースをマスコミ、アナリスト向けにお届けします」というアカウントだが、ここもフォローは「0」だ。
これら3つのTwitterアカウントは、すべてがRT「0」、リプライ「0」という現状だ。

まったく、いままでのコミュニケーションをデジタル化しただけ、Twitterというチャネルを使って、色あせ、消費者・ユーザの耳に届かないメッセージをメガフォンマーケティングよろしくやっているだけだ。Twitterは、オープン、対等、双方向のコミュニケーションを行うためのチャネルだという理解が見られない。Twitterという組織横断的な対応、発信が必要なチャネルを使って、今まで同様に、企業・ブランドに都合の良い縦割り組織からの発信を行っている。


次に驚いたのは、Sharp_jpアカウントからリンクがはられている「ソーシャルメディア 公式アカウント」ページにある「コミュニティ・ガイドライン」だ。

ご丁寧にもFacebookページとTwitterアカウント別々にそれがある。トヨタのFacebookページにあった「コミュニティ・ガイドライン」とほぼ同じ体裁で、禁止事項、準拠法・裁判管轄について述べている。

Source:シャープ株式会社 公式Facebookページ コミュニティ・ガイドライン
Source:シャープ株式会社 公式Twitterアカウント コミュニティ・ガイドライン

当然、シャープのFacebookページには、トヨタと同様に「コミュニティ・ガイドライン」がある。
シャープは6月からFacebookの運用を開始しているようなので、まさか、トヨタのFacebook対応をコピーキャットしたわけでもないだろうが、「like」をクリックしてもユーザ独自の書込み、投稿がwallにできない処を見ると、トヨタとシャープのソーシャルメディア戦略を同じコンサルティング会社、あるいは広告代理店、広報エージェンシーが担っているのではないかとさえ思えてくる。

一方、シャープUSAが運営しているFacebookのAQUOSページに「コミュニティ・ガイドライン」なんてものはないし、@Sharp_USAがフォローしているのは1,600人以上いるし、RT6.58%、リプライ21.16%だ。ここもトヨタとトヨタUSAのパターンと同じだ。

それにしても、ここまで似通った対応を見せつけられると本当に不安になる。

シャープのインドネシアもFacebookページを運営している。28,703人のファンを持つSharpAQUOSのちょうど半分ぐらい、14,429人のファンを抱えている。SharpAQUOS同様に、ユーザ投稿も可能だし、ユーザの投稿に対してシャープからのコメントもある。もちろん、「コミュニティ・ガイドライン」はない。
どうして、USAやインドネシアに教えを請わないのだろう?
担当者をUSAやインドネシアに派遣したり、現地の担当者に本社へ出向いてもらわないのだろう?
なぜ、一足飛びに「コミュニティ・ガイドライン」へ行ってしまうのだろう?
ソーシャルメディアスペースの住人はすべて放火魔だとでも思っているのだろうか?

トヨタ本社のFacebookにおけるユーザ投稿禁止やコミュニティ・ガイドライン、TwitterのRTやリプライに関しては前回書いたので繰り返さないが、

どうして消費者・ユーザを信頼しないのだろう?
なぜ、消費者・ユーザの声を聞かないのだろう?
どうして「裸の王様」になりたがるのだろう?
なぜ、社内のリソース、特にアーリーアダプターの知見を活かさないのだろう?

「どうして?」と「なぜ?」がいくつも重なってゆくこの現状をシャープやトヨタのユーザのみなさんはどう思われますか?
シャープやトヨタのFacebookページやTwitterアカウントはこのままで良いとお考えですか?

みなさんのコメント、Tweetをお待ちします。

2011/08/03

Toyota rejects communications with users on Facebook

トヨタ本社が、今年の4月下旬からFacebookにページをオープンしている。7月30日にはファン数が30,000人を越えているから順調な滑り出しと言っていいのかもしれない。
ところが、画面左に見慣れない「コミュニティ・ガイドライン」というセクションがある。
そこへ行ってみると、
トヨタ自動車株式会社が運営するFacebookページへお越しいただきありがとうございます。本ページは、ユーザーのみなさまに当社の最新情報をお届けするとともに、ユーザーのみなさまと当社がつながる場所です。
とある。
ユーザーのみなさまとより良いコミュニケーションを実現するため、本ページでは下記のコミュニティ・ガイドラインを定めています。本ページのご利用にあたっては、本ガイドラインの内容に同意の上ご利用ください。
と続き、【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】といった項目をあげて説明している。

このような「コミュニティ・ガイドライン」を備えているFacebookページを見たことがない。「ユーザーのみなさまとつながる場所」なのだが、「準拠法・裁判管轄」といった文言で予防線を張る恐れがある場所なのだろうか。

昨年、NestleのFacebookページが炎上している。それは、米国Greenpeaceが3月17日にNestleがパーム油を仕入れているSinarmasが進める熱帯雨林の伐採によりオランウータンが絶滅の危機に直面しているというリリースやPDFレポート、その後のビデオキャンペーンやNestle本社での実力行使が火種になっている。
詳しいことは、下のタイムラインを参照していただくとして、とに角、Kit Katを捩った「Killer」というプロファイル画像をつけた書込みがFacebookページを占拠して炎上した。
Source:TechGuerillaTalk / Nestle / Facebook / Greenpeace Timeline (in process)

しかし、その後、NestleのFacebookページが閉鎖されたかというと、ページは閉鎖も、削除もされていないし、Nestleページの「Like」をクリックしたユーザからのプロ・コンの書込みもあり、Nestleの書込みに対して同じようにプロ・コンのコメントがある。 ある意味で、活発な会話が行われている。

また、昨年の炎上に懲りて、「コミュニティ・ガイドライン」を設けているかと言うとそんなものはない。
なぜ、NestleはFacebookページを閉鎖して、炎上を消火・鎮火しなかったのだろう?
なぜ、まだFacebookページを維持、運営を続けているのだろう?

それにはいくつか考えられる。
  1. もはやソーシャルメディア、Facebook抜きに一般消費者とオープン、対等、双方向コミュニケーションを行うことはできない
  2. いままでの一方的、一方通行のコミュニケーションでは一般消費者に届かない
  3. 企業に都合のいいスペースで何を発信しても、誰も、何も、消費も共有もしてくれない

    そして、

  4. 一般消費者を信頼しなければ、企業・ブランド側も信頼されない
ということを理解しているからだ。

特に、4番目を肝に銘じているからだ。

だから、「羹に懲りてなますを吹く」のではなく、「ユーザを信頼」して、Facebookページを運営しているのだ。


さて、米国ToyotaのFacebookページはどうかというと、当然のことながら、「コミュニティ・ガイドライン」といったセクションはない。
Infoには、以下が挙げられている。
Toyota is as committed to quality as it is to its customers. We value your opinions and wouldn't be here without your support.

Please join our community and continue the dialogue. We look forward to getting to know you better.
「トヨタ(アメリカ)は品質向上にまい進するのと同様に顧客対応に取り組んでいます。我々はカスタマーの意見を尊重し、あなた方カスタマーのサポートなしに我々は存在し得ません」

「私たちのコミュニティに参加し、対話を続けてください。我々はあなた方、顧客をより良く知ることを楽しみにしています」
と書いている。

本社と米国トヨタの違いは何かと言うと、顧客を信頼しているかどうかだ。米国トヨタは顧客を信頼している。

炎上騒ぎを起こしかねない不逞の輩や訳の分からない魑魅魍魎が跋扈しているソーシャルメディアスペース、Facebookにページを持つ上で、最低限の予防線を張る本社と、ソーシャルメディアを新しいコミュニケーション、オープンで対等、双方向のコミュニケーションチャネルとして理解し、そこでの会話者を信頼する米国トヨタの違いだ。

変な例えだが、「両手を差し伸べてつながりましょう」と声をかけるべきところで、「相手が信頼できないために利き手に匕首を握り、左手を伸ばしてつながろうとはしているが、重心を前足にかけていつでも後ろへ下がれる」状態に見える。それが【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】といった項目に表れているように思える。


さて、もうひとつある。

7月にトヨタのFacebookページにはトヨタから43本のポストがあり、2,476回のLikeがクリックされ、ファンからのコメントは196本あり、トヨタからのリプライは3回あった。

同時期に米FordのFacebookページにはFordから72本のポストがあり、23,339回のLikeがクリックされ、ファンからのコメントは6,436本あり、Fordからのリプライは14回あった。

当然、運用を開始してから3カ月ちょっとのトヨタと、5~6年は経っているはずのFordではまず、ファン数が違う。3万人強のトヨタに対して、Fordは約78万人だ。

この大きな差からすると、トヨタとFordのポスト、Like、コメント、リプライ数などは無視していい違いのように感じる方がおられるかもしれない。

しかし、実は、もっと大きな差がトヨタとFordのFacebookページにはある。それは、トヨタのファンになったユーザが独自にWallに書き込めない点だ。

トヨタのポストに対して、Likeやコメントはできるが、ファンになったユーザが自分の好き勝手なことをWallに書き込めない。これもあまり見たことはない。
当然、普通であれば下のFordのように、ファンになったユーザがページへ行けば、post、画像、リンク、ビデオもアップすることができる。
しかし、トヨタのページはそうはなっていない。

先ほどのトヨタやFordの7月の統計に入れていないものがある。それは、ファンになったユーザが独自に書き込んだPostやコメント、Likeだし、それに対するリプライだ。

トヨタはファンが書き込めないので「0」だ。Fordの場合、ファンのPost数は1,637件。そのPostに対して2,975回のLike、2,380件のコメント、101件のリプライがアップされている。

これが「本当の意味での会話とユーザとのつながり」 だ。当然、苦情・クレーマー的なPostも40件ある。それら全てをカバーする当然な「会話とユーザとのつながり」が行われている。
この数字を見れば、如何にFordのファンが、オリジナルコンテンツを書込み、それに対してファンが反応し、苦情・トラブル・クレームなどにはFordが対応していることが分かる。

Fordとそのファンの本当の意味でのコミュニティになっている。

一方、トヨタのほうは、先ほどの、【運営】、【注意事項】、【禁止事項】、【準拠法・裁判管轄】に同列につながっているものが、Wallへの書込み禁止なのだ。

どうしても炎上させたくないようだ。

しかし、Faebookは、メーカーとユーザがつながる場所でもあるが、ユーザ同士がつながる場所でもある。そのユーザ同士がつながる場所をメーカーが独占している。ユーザ同士のコミュニケーションを排除している。

残念なことに、触媒として存在し、機能すべきメーカーが、そうではなく、つながりや会話を独占しようとしている。それ以外を拒絶している。

個々のユーザは社会人であり、学生であり、主婦、OLさんであり、ビジネス生活、家庭生活の両方を送っている。個人になればBlogを書き、Twitterを使い、YouTubeにビデオを上げるし、UstやSkypeを使って遠く離れた家族、友人・知人とリアルタイムでコミュニケーションをとっている。

そのコミュニケーションパワーを持つユーザに手かせ足かせ口かせをはめて、ブランドに関連するオリジナルコンテンツの発信と共有を妨げていることに気づかなければならない。ブランドに対する愛着と言ってもいいほどの高い評価、その評価を基に発信されるコンテンツをドブに捨てていることに気づかなければならない。

「Mostly Negative」は9%もいるのだが、「Mostly Positive」は62%もいる。この62%のユーザの貴重な声を台無しにしたり、見殺しにしてしまうことになる。
Source:Keller Fay Group LLC / Single-Source WOM Measurement (pdf)

先ほどのFordの例では、苦情屋・クレーマーが何度も同じことを蒸し返している。Fordのカスタマーサービスがそのたびにリプライを返しているが、何人ものレギュラーユーザ、ロイヤルユーザが自分の立場や理解、コモンセンスを基にコメントしている。彼らを理解しようとしている。メーカー以上に、彼らが愛するブランドを守ろうとしている。

Facebookに限らず、コミュニティとはそういうものだ。そのコミュニティにロイヤルユーザに集ってもらい、あるいはそのコミュニティでロイヤルユーザに育ってもらうためには何が必要だろう?

今の対応がベストなのだろうか?


ああ、そうそう。

トヨタはFacebookだけではなく、Twitter、Ustream、YouTubeにも参加している。例えば、Twitterアカウントを見ると下のようになっている。
そう、もうお分かりだろうが誰もフォローしていないのだ。

以前、ダライラマ14世のTwitterアカウントを見たときと同じ衝撃を受けた。チベット仏教の最高指導者であったとしても他の人間の声を聞く必要はあるだろうと思っていただけに驚いたことを覚えている。

フォローしていないから誰の声も聞いていないとは考えない。当然、バズモニタリングはしているだろう。しかし、アカウントが誰もフォローしていないということは、アカウント宛てのオープンTweetは送れるが、ユーザが直接、メッセージを交換したり、問合せや苦情を送れないことになる。そして、誰もフォローしていないのでオープンTweetがどんなものなのか誰にも分からない。ユーザからどんな声が発信されているのかを誰にも見せないようにしているとしか思えない。

そして、TweetStatsで見ると、リプライは全Tweet168件中の1.78%、RTは1.18%。それもホンダとニッサンのアカウントに対してのTweetだ。残りの97%(163件)くらいはトヨタオリジナルのコンテンツをTweetしているだけということだ。アカウント宛てのオープンTweetは沢山来ているだろうが、それにリプライを返してもいないし、モニターやウォッチしているユーザのTweetをRTしていないのだ。
FordのTwitterの場合は、33,887人をフォローしている。
TweetStatsで見ると、リプライが60.94%、RTが10.05%もある。沢山のユーザからのTweetにリプライを送り、価値があると認めた他ユーザのTweetをRTしている。会話のネタをフォロワーに発信している。そして、残りの30%弱でFordがニュース・情報・コンテンツを発信しているということになる。
GMだって、BMWだって、VWだって、Kiaだって何千人、何万人もフォローしている。しかし、トヨタは誰もフォローしていない。ただの1人もフォローしていない。

一般ユーザにリプライも、彼らのTweetをRTもしていない。

ここの何処にユーザに対する信頼があるのだろう?

この対応からユーザの声を真摯に聞くというメーカーの姿勢が感じられるだろか?

そして、これが日本が誇る大企業、世界的なグローバル企業がFacebookやTwitterという一般消費者とオープン、対等、双方向のコミュニケーションを行うスペースを使ってやるコミュニケーションだろうか?

トヨタ内部でも相当の議論があったとは思う。しかし、もはや「ブランドがブランドコンテンツをコントロールできる時代は過ぎ、消費者・ユーザがコントロールしている」ことを理解しない限り、つぎはぎだらけの対応を行っていても、本当の会話もエンゲージメントも存在しえないし、苦情やユーザのちょっとした提案や思い付きなどから製品やサービスの改善・改良、開発のフィードバックを獲得することもできない。

炎上が怖いからソーシャルメディアを使わなければいいという時代は過ぎた。

Nestleのように炎上しても、何があってもFacebookやTwitterを使い続けなければならない時代なのだ。

消費者・顧客・ユーザを信頼し、価値のあるコンテンツを提供することで企業・ブランドを信頼してもらわなければならない時代なのだ。

そして、とにもかくにも、消費者・顧客・ユーザの声を聞かなければならない時代だし、その姿勢を見せる必要のある時代なのだ。

その時代に、現在のFacebookやTwitterの対応は不十分過ぎると言わざるを得ない。

一体、何のためにFacebookやTwitterを始めたのだろう?
本当にユーザ、消費者とつながるためなのか?
それとも今までのマーケティングコミュニケーションをソーシャル化するだけで、つながる意思はなかったのか?
ユーザ、消費者の声を聞くつもりはないのだろうか?

Ciscoのソーシャルメディアマーケティング部のシニアマネージャ、LaSandra Brillが今年2月、ソーシャルメディアサミットで公開した資料の中に下図がある。
最初のスライドに6点があげられている。曰く、
  1. 双方向コミュニケーション(一方的な一方通行ではなく)
  2. コミュニティ構築(Webサイトではなく)
  3. オーガニック(広告による強制誘導ではなく)
  4. 統合(邪魔するのではなく)
  5. 関係構築(イベント開催ではなく)
  6. 会話に参加(自社ドメインだけではなく)
Ciscoにした処で最初はてんやわんやだった。2005年2月に外向けBlogを開始、2007年のNexusローンチに初めてBlogマーケティングを活用し、2008年Q1のASR1000リリースは3ヶ月間という短期間でソーシャルメディア統合プランを計画実施している。それら経験を踏まえてASR9000リリースが本格的なソーシャルメディア統合プランとして実施されている。その後も各種経験を積み重ね、今では、各種サミット、セミナーなどでその成功しているソーシャルメディア戦略を説明してくれと引っ張りだこになっている。

そのCiscoがまとめているソーシャルメディアのグランドデザインが上図だ。

FacebookやTwitterといったツールの話ではないのだ。

それまでのマインドセットを切換えて、どうやって顧客ユーザに近づけるか、どうしたらオープン、対等な双方向コミュニケーションができるか、どうすれば製品・サービスの価値を伝えられるのか、それこそ昼夜を惜しんで絞り出した結論が下図だ。
Source:How Cisco Operationalizes Social Media for Repeated Success

戦略の中心に来るものが「Listening Focus」になっていると説明するしかない。


ちょうど一年ほど前に、「Open Letter to CEOs in Japan」を書いた。

参考:Open Letter to CEOs in Japan (Online Ad 2010/8/17)

あれは、日本ブランドがガラパゴスブランドに陥る危険性を示し、パラダイムシフトを前提とした新しいグローバル戦略への転換の必要性をCEO達に伝えた(つもりの)資料だった。

当時から不十分な資料に付け加えるべきは、Ciscoのようにトライ&エラーを蓄積した上でインフラを整備し、今日の輝かしいステージを迎えたケーススタディだった。

その上で、マインドセットを切り替えなければ...、と書くべきだった。


最後にひとつだけお願いしたいことがある。

それは、もし「コミュニティ・ガイドライン」の翻訳記事が、NYTだとか、GuardianやTechCrunch、Mashable、BusinessInsider、HuffingtonPostといったメディアに掲載された場合、その内容と、それが示唆するものを世界中のインターネットユーザ、すなわち日本を除く世界中の消費者、既存・潜在顧客はどう受け止めるかを考えてほしいということだ。


追記:(2011/9/19)
Blogのトップ右、プレゼン資料リストにアップしているファイルのダウンロード先をSlideShareへ変更。下のリンクURLは変更なし。

追加:(2011/8/4)
PDFをScribdとSlideShareにアップした。
Scribdは、http://www.scribd.com/doc/61570710/Case-Study-Toyota-on-Facebook
からダウンロード可能、また、Blogの右、プレゼン資料リストにもアップしている。
SlideShareは、http://www.slideshare.net/dramroll/case-study-toyota-on-facebook
からダウンロード可能。

2010/12/28

Global Friendships

FacebookのインターンであるPau Butlerが世界中のFacebookユーザの交友関係を図式化したものをあげている。

CNNなどは中国が空洞になっている点を取上げているが、本質は別の処にある。

それは世界中のFacebookユーザが、英語圏であれ、非英語圏であれ、Facebookというコミュニケーションチャネルを通してつながっているということだ。

世界には英語を学んでいる学生や社会人が10億人いる。日本を除き、どんな国であれ、今時、幼稚園児や小学生だって英語くらい話すのは常識だ。英語さえ理解できれば、Facebookというコミュニケーションチャネルに参加するだけで世界中のユーザとつながることができる。非英語圏のユーザは、英語を理解する国内のアーリーアダプターが翻訳する英語コンテンツを消費することで、英語圏ユーザとつながってゆく。

ここに国境や言語による制限は少ない。米国や欧州で発売されたローカル製品が、様々な交流チャネル、タッチポイントを経由して、アフリカ、南米、東南アジアのFacebookユーザに露出する可能性がある。逆に、インドや中近東、あるいは韓国のニュースが英語圏ユーザに露出、共有される可能性もある。
Source:Facebook / Visualizing Friendships
Source:CNN Japan / フェースブックの世界地図

だから、Volkswagen Internationalは、Das Auto.というFacebookページのInfoタブのMissionにこう書いている。
This is the official Facebook Page of Volkswagen International. We bring “Das Auto” to all Facebook fans and drivers around the world. This is the place to check out for the latest Volkswagen news and entertainment. It is also the place to share your thoughts, pictures or videos of your personal Volkswagen experiences and moments. In order to reach out to a widespread audience, the official language of this page is English.
Source:Facebook / Volkswagen International

Volkswagen本社が各国のFacebookページに加え、本社ページを英語で公開、運用していることを、Facebookの全世界交流つながり図と重ね合わせれば、その意味や目的が良く見えてくる。

と、すると、交流のつながりが空白で漆黒の闇に包まれているかのような中国を問題にするよりも、非英語圏でありながら世界中から太く、明るい交流関係のつながりがある国々と比べ、見方によっては消えそうに弱く、細いつながりしかもたない日本の現状を考えた方がましだ。

日本のグローバル企業が本社予算で現法の広告キャンペーンを支援すること以上にやらなければならないことがあると思うが、いかがだろうか?

2010/08/17

Open Letter to CEOs in Japan

日本企業の最高経営責任者の皆さま

本日は、インターネット、パラダイムシフト、ソーシャルメディア、そして、日本ブランドの危機について理解していただくために筆をとりました。これらファクターが絡み合い、既存の広報、広告、マーケティング戦略を大転換しない限り、日本のグローバルブランドが今後数年のうちにローカルなガラパゴスブランドに転落するという危機感を共有していただきたいと考えています。
  1. まず、インターネットがあります。

    InternetWorldStats.comによれば2010年6月30日時点で、世界の総人口は68.5億人、インターネットユーザ数は19.7億人、普及率28.7%に達しています。そのトップ20には、日本、欧米諸国などに加え、中国、ロシア、インド、ブラジル、イラン、トルコ、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどBRICsおよび途上国が顔を出し、2000年からの伸びが13,000%を越えるイラン、12,000%を越えるベトナムはもとより、BRICsは軒並み1,000%を越えています。OECD加盟国のインターネット普及がこれ以上見込めない中、BRICs、途上国は猛烈な勢いでインターネットが普及しています。
    Source:InternetWorldStats.com / Top 20 countries

    次にブロードバンド化があります。2008年に発表されたEUの世帯別ブロードバンド普及率ですが、蘭が77%でトップ、英独仏は47%、33%、 48%、EU27カ国の平均でも36%に達しています。調査されたのは2007年ですから今日までの3年間に平均普及率は40%をを越え、50%に迫って いるのではないでしょうか。
    Source:EU / E-Communications Household Survey 2008 (pdf)

    米国の最新のデータを見ると、こちらは世帯ではなく、インターネットユーザのBB普及率となっていますが、今年の5月時点でBB化は66%にまで進展しています。
    Source:PEW / Home Broadband 2010 (pdf)

    そして、中国の場合、BB化はもっと猛烈です。今年1月に発表されたCNNICのレポートによれば、3億4,600万人がBBユーザだとしています。これは全インターネットユーザの90.1%にあたり、前年比7,600万人が増加したとしています。
    Source:CNNIC / The 25th Survey Report (pdf)

    このブロードバンド化の進捗は世界で起こっています。

    インターネットは情報通信の基盤でもあり、媒体としての側面もあります。世界のどこにいても、インターネットにアクセスさえできれば、そしてブロードバンド化していれば、IP電話、ビデオ電話、email、chat、Web、Blog、SNSなどを使って地球の裏側にいる人と会話すること、つながることができます。インターネットにアクセスさえできれば、朝日新聞であれ、New York TimesやCNNであれ、BBCであれ、マスメディアのWebサイトへアクセスし、最新ニュースや情報を入手することができます。業界紙・誌のWebサイト、業界フォーラムなども同じですし、企業や団体のWebサイトへアクセスすることができます。

    今まで地理的、時間的、経費的な障害によってコミュニケーションを行うことさえ難しかった人々とコンタクトしたり、ビジネスを行ったり、一緒に社会貢献活動を行うことさえ可能になりました。今までのビジネスのやり方、仕事の仕組みを大きく変えたのがインターネットだと言えます。

    そのインターネット、ブロードバンドが先進国だけではなく、BRICsおよび途上国にも広く普及し始めています。これらは世界がひとつにつながるプラットフォームだと言うことができます。

  2. このインターネットユーザの増大とブロードバンド化がパラダイムシフトへとつながっています。

    上で見てきたように、世界中の一般市民、消費者が、インターネットへアクセスできるようになり、月額固定料金でのブロードバンド化が進捗することによって、常時インターネットにアクセスするユーザが増えてきました。

    その中の先端ユーザ達は独自ドメインを取得し、自分のWebサイトを立ち上げるものも出てきました。企業、団体、マスメディアのWebサイトへアクセスするだけに飽き足らず、自分でWebサイトを立ち上げ、様々な情報やコンテンツを発信するユーザが増えてきたのです。しばらくすると、Blogを書くユーザも出てきました。世界最初のBlogのひとつは1994年に始まったとされていますが、1999年にサービスを開始したBloggerなど無料でBlogサービスを提供するプロバイダーも現れ、2004年頃までには政治、経済面でBlogは大きな影響力を発揮するようになってきました。

    Source:Wikipedia / Blog

    その後、専門家だけではなく、一般ユーザ・消費者が自分の日々の出来事をつづったり、ニュース、映画、ミュージック、セレブ、ブランドに関する意見・評価などをBlogから発信し始め、多くのインターネットユーザがBlogにコメントしたり、購読を始めるようになりました。

    2009年1月時点で、2002年以降にインデックスされたBlogの数は1.33億件、世界でBlog記事を読むユーザ数は3.46億人(2008年3月)に達しています。

    Source:The Future Buzz / Social Media, Web 2.0 and Internet Stats

    これだけBlogやその読者が増えてくると、トップBlogの中には読者数が数万人、数十万人を越えるケースも出てくるようになり、小規模な既存マスメディアサイトのトラフィックを上回る規模のものもあります。Blogによって個人の発信力が飛躍的にアップしてきたため、既存のマスメディアや企業、団体が行う情報発信のボリュームおよびクオリティと肩を並べてきました。

    そして、既存のマスメディアと違い、オープン、対等な関係でコメントしたり、違う意見を戦わせたり、友人や同僚を巻き込んで自分のBlogに発表するといった会話が成り立ってきました。

    また、WebやBlogだけではなく、情報発信の一部として、一般ユーザ・消費者が独自に制作したビデオをYouTubeなどに投稿する例も出てきました。

    中でも下のビデオは2006年6月、二人の知り合いがダイエットコークにメントスを入れた噴出実験を撮影したものです。同様の噴出実験ビデオをいくつも投稿していますが、世界中のユーザが飛びつき、それぞれ数10万回から数百万回も再生されました。
    Source:YouTube / Experiment #10

    彼らだけではなく、ビデオを視聴した他のユーザが同じような実験ビデオを投稿したり、WebやBlogに記事を書き、それを見たり読んだりした他のユーザが友人・知人に話すといったクチコミが広まりました。そのクチコミ露出に後を押され、まず、メントスが彼らのサポーターとなりました。その後もしばらくはだんまりを決め込んでいたコカ・コーラでしたが、売上が5~10%も伸びた結果を無視できず、彼らの実験を支援し始めました。コカ・コーラ本社前、米国各都市、果ては欧州のオランダで噴出実験を披露するキャラバンを展開しました。名にしおう世界のコカ・コーラ社がどこの誰とも分からないポット出のタレント、ビデオクリエイターの力を借りてグローバルなマーケティングを実行したのです。

    企業が大規模予算をかけて製品・サービスのプロモーションを行っている傍らで、たった数十㌦程度の撮影費用しかかけていないユーザのオリジナルビデオが米国や世界のユーザのマインドに刺さり、マスコミも追随して報道することで、商品が飛ぶように売れてゆく。企業がコントロールしていたはずのブランドコントロールが一般消費者の手に渡ったことを示す典型的なビデオだと言えます。

    一般消費者が投稿するビデオが、企業のマーケティング活動に大きく影響するだけではなく、企業のレピュテーションを毀損する例も出てきました。

    下は、ドミノピザ従業員が、唾を吐きかけたり、鼻くそをピザに塗り込めたりした様をビデオで撮影し、投稿したものです。このとんでもないビデオはあっという間にインターネットユーザに広まり、USドミノピザの社長がYouTubeに謝罪ビデオ投稿し、異例の顧客対応を余儀なくされました。

    Domino Pizzaの該当四半期の売上に対して1%から2%の影響があったと決算報告書に記載があります。それほど一般ユーザが作成したビデオは、企業業績に大きな損害を与えるほどの影響力があるわけです。
    Source:DailyMotion / Domino Pizza

    これら以外にも乗客の手荷物取扱を巡り、United Airlinesなどが糾弾された例があります。個人が制作したコンテンツにより、企業が営々と築き上げてきたブランド評価やレピュテーションはもちろん、業績にまで多大な影響を与えるケースもでてきています。そしてのその影響は、例えば米国内だけに止まるのではなく、世界中に露出し、企業・ブランドのレピュテーションを粉々にしてしまうほどのパワーを秘めているのです。

    このセクションの最初にダイエットコークとメントスの噴出実験ビデオを取り上げましたが、同じ年の10月、ANA(全米広告主協会)総会においてP&GのCEO、A.G.Lafleyは、「パワーは消費者が握っている。彼らは考えられるすべての意味で我々のブランドを所有し、ブランドコンテンツ制作に参加し始めている」と語っています。また、Wal-MartのMarketing VP、Stephen F. Quinnは、「消費者が手綱を握っており、消費者にうまく手綱を握らせるものが勝者になる」とまで発言しています。

    Source:NYT / Letting Consumers Control Marketing: Priceless

    企業は、大規模予算を投下してマスメディアを使った一方通行のコミュニケーションを継続してきました。新雑ラテという四大マスメディアはもとより、屋外、DM、展示会、プライベートセミナー・展示会、イベント開催など、すべてのコミュニケーション・チャネルを総動員して露出、リーチ、訴求、認知、想起といった昔からのマーケティング理論を実践してきました。

    しかし、四大マスメディアの露出、訴求力には陰りが見えます。多メディア化が進展し、ユーザを情報洪水が呑み込んでいる現在、TVの視聴率、新聞・雑誌の購読者数、ラジオの聴取率も右肩下がりを続けています。今後、回復する道筋は見えません。

    一方、インターネット、ブロードバンドを手にした消費者は、オリジナルのコンテンツやブランド関連コンテンツを作成し、個人的なネットワーク内で発信、共有するだけではなく、Blogや画像・ビデオ共有サイトなどに投稿することで、世界中のインターネットユーザにコンテンツを提供しています。そして、そのコンテンツを消費し、他のユーザと共有する世界のユーザがいます。

    まさに、情報・コンテンツの出し手は企業やメディア、そしてその受け手は消費者といった今までの固定観念が崩れ、新しいパラダイムが沸き起こってきたわけです。すなわち、一般消費者も情報・コンテンツを提供する出し手となり、他ユーザの制作、発信する情報・コンテンツの受け手となっています。また、受け取った情報・コンテンツを、家族、会社の同僚、学校のクラスメート、地域の知り合いといったオンライン上にある自分のネットワークの人々と共有しています。ここで点から点へ転送されてきた情報・コンテンツが、面で共有されることになります。オープン、対等、双方向の会話が成り立ち、それを閲覧するユーザも巻き込んで会話が拡大してゆくことになります。

    そして、その効果、波及範囲は国内だけに止まらず、世界に波及するということです。

    え?

    「米国、英語のコンテンツは非英語圏のユーザには波及しないだろ!」

    そう考えられるのは無理もありません。

    しかし、そうではありません。下図は、各国のインターネットユーザがアクセスしたコンテンツの言語比率を表しています。当然、豪、ニュージーランド、インド、英、アイルランド、カナダ、南アといった英語圏は英語でのコンテンツ消費が主です。しかし、韓国、台湾、日本、中国、欧州諸国、南米、イスラエルといった非英語圏でも少なからず英語でのコンテンツが消費されています。

    皆さんだって、ご自分でNYT.comやBBC.co.uk、WSJ.comやBloomberg.comへアクセスされているように、英語は情報・コンテンツが世界へ拡散される障害にならないのです。
    Source:comScore State of the Internet, Nov 2009

    え?

    「非英語圏ユーザが英語でコンテンツを消費しているとしても、ほんの少ししかいないじゃないか!!」

    そうです。国によっては違いますが、控え目にみて10%未満といった処でしょうか。でも、この10%未満のユーザ達は、アーリーアダプターと呼ばれる人たちです。非英語圏であろうと英語くらい流暢に話せる各国のアーリーアダプターは、ビジネスや個人目的で最新ニュース、情報、コンテンツを探しています。政治、経済、財務、芸能、スポーツ、IT、ネットワーク、アプリの最新情報、もっとも影響のあるソースと言えば、米国の英語情報・コンテンツです。これらをいち早く入手するため、アーリーアダプターはアンテナを張っています。そして、かれらは自分のWeb、Blog、SNS、Twitterなどで最新情報を自国語に翻訳して国内ユーザと共有しています。

    点と点がつながって、そこから面に拡散されているのです。

    ここで大きな問題があります。

    各国、各地域ごとの営業・販促活動は現地子会社、販社の責任ですが、非英語圏のアーリーアダプターが国境や子会社のテリトリを越えて、英語コンテンツを入手し、国内に露出、共有しているのです。

    例えば、米国子会社にとって非英語圏のアーリーアダプターはターゲットではありません。彼らが如何に米国の英語コンテンツを入手したところで販売につながるわけではありませんから。一方、各国のアーリーアダプターに対して各国子会社、販社ができることはあまりありません。米国以外の子会社や販社が米国へアクセスする各国のアーリーアダプターに米国で何かすることはできませんから。しかし、世界中のインターネットユーザがひとつにつながり、各国のアーリーアダプターが最新の英語ニュース、情報、コンテンツを探しまくり、国内に供給している現在、どこが何をすべきでしょうか?

    企業やメディアが一方的に情報やコンテンツを押し付けている時代から、一般消費者が自分の意見、判断、評価などを発信し始めたこと、そしてそれが消費者間で共有され、点から面に拡散されていること。これが最初のパラダイムシフトです。
    そして、世界のアーリーアダプターが国境を越えて英語コンテンツを入手し、国内に共有し始めたことで、海外子会社や販社の責任や義務を超越した存在になっていること。この世界のアーリーアダプターに対応しなければいけないこと。これが2つめのパラダイムシフトです。

  3. このパラダイムシフトのバックボーンを支えているのがソーシャルメディアです。

    上で紹介したANA総会は2006年でした。2006年というと、今、もっとも注目を集めているFacebookがすべてのインターネットユーザに解放された年ですし、YouTube、Twitter、あるいはLinkedInといったソーシャルメディアサイト・サービス・ツール・プラットフォームが出揃った年でした。
    Figure 1. Distribution of work task interruption
    Source:Social Network Sites: Definition, History, and Scholarship

    それから4年たってみると、Facebookは世界で5億人、Twitterは1億人、LinkedInは0.75億人以上の登録ユーザを抱え、YouTubeでは毎日20億回以上もビデオが再生されています。

    米国の直近データを見ると、2010年6月に米国インターネットユーザがオンラインで消費した時間のうち、22.7%(前年比43%増)はソーシャルネットワークです。インターネットの創生期から幅広く使われてきたemailは8.3%(同28%減)AOLやYahooといったポータル系は4.4%(同19%減)、チャットとして親しまれているIMは4%(同15%減)となっています。
    Source:Mashable / Social Networking Dominates Our Time Spent Online

    情報・コンテンツの配信チャネルや共有スペースとしてもソーシャルメディアは上位を占めています。ニュースの配信を受けるチャネルとして、Twitter、FacebookがEmailを抜いて一位、二位を占めていますし、コンテンツを共有するスペースとしてFacebookが一位、Twitterが三位につけています。
    Source:Silicon Allery Insider

    如何に米国のインターネットユーザが、ソーシャルネットワークにアクセスし、情報・コンテンツを発信しながら、消費・共有・拡散しているかが分かります。

    こういったパターンは何も米国だけに起っているのではなく、全世界共通です。Facebookの登録ユーザ5億人のうち70%は海外ユーザで、Twitterの登録ユーザ1億人のうち60%以上は海外ユーザなのですから。

    このソーシャルメディアが企業のマーケティング戦略に大きな影響を与えています。今年6月、NYにおいてCorporate Social Media Summitが開催されました。ここに講師として参加した欧米各社の担当者21人中、Social Media、Digital、Online、Interactiveといった部門のディレクター、シニアマネージャという肩書がついている人は14人に及びます。三分の二の企業が、いままでの組織ではなく、エンパワーされた世界の消費者が活動しているソーシャルメディア(スペース)を担当する部署をすでに立ち上げているのです。また、既存の部署名のままであっても、Social Media、Digital、Online、Interactiveに関係するコミュニケーションを担当しているのは明らかです。

    それは、今までの仕組みが変わってしまったからです。ソーシャルメディアによってエンパワーされた消費者、ユーザ、顧客は、今までの組織が行っていた既存業務では収まりきらない行動をとり、その影響は他部門に複層して及ぶからです。また、エンパワーされた消費者に対して企業・ブランドからのメッセージを送るには、既存の広報、広告、マーケティングチャネルではうまく行かないからです。

    例えば、Heather Armstrong、別名dooceという女性Bloggerがいます。昨年、彼女は購入したばかりにも関らず故障続きのMayTag洗濯機のトラブルで堪忍袋の緒が切れ、「MayTag製品は決して買わないで。MayTag製品は悪夢よ」というTweetをしました。通常であれば、これはカスタマー・サービスの守備範囲です。根気強く顧客の苦情、トラブルに電話対応をするわけですが、時代が違います。顧客はWeb、Blog、SNS、Chat、SMS、そしてTwitterで顧客対応の一部始終をオープンに公表することができますので、メーカー対顧客のコミュニケーションが青天白日、全世界のインターネットユーザが注視の元に対応しなければなりません。また、悪いことに彼女のTwitterには当時でも100万人以上のフォロワーがいたのです。彼女が行ったTweetは100万人以上のタイムラインに表示されるわけです。小さな通信社、あるいは中堅の地方新聞社に匹敵する露出力がある彼女にカスタマーサービスが対処すべきでしょうか、対処可能でしょうか。すでに発信された彼女のTweetを見たユーザ達への対応はどこが、どうすべきでしょうか。

    この場合、最終的にはMayTagの親会社、WhirlpoolのTwitterアカウントが彼女に対応しました。ここはWhirlpoolのコーポレートコミュニケーション部が管理し、Tweetを行っているアカウントです。企業情報を発信するTwitterアカウントが個別顧客のクレーム対応を行ったことになります。しかし、それも当然です。そのままでは、企業のブランド価値、評価を急落させかねないことになりますし、ひいては販売にも影響が出るかもしれないからです。
    Source:Twitter / WhirlpoolCorp

    ソーシャルメディアパワーを身にまとった消費者に対応するため、企業はまず、新しい組織を作りました。その上で、ユーザ達が自分のブランドに対してBlogやTwitterで何を語っているのかモニタリングを開始しました。上のWhirlpoolがいい例です。自社関連ブランド名、あるいは@dooceをモニタリングしていなければ、傷はもっと深かったはずです。

    また、企業の公式Webサイトにアクセスするユーザにサイトの分かりやすやコンテンツを評価してもらいサイトの改善につなげるためWebビジター調査も開始しています。

    加えて、ブランド情報・コンテンツを共有してもらうため、WebサイトにFacebookやTwitterへのリンクボタンをつけたり、Facebookなどのソーシャルネットワーキングサイトに企業の公式ページを持って、ユーザと会話を始めています。
    Source:Samsung.com/us/

    ソーシャルメディアは一般消費者に力を与えています。インターネットおよびパラダイムシフトがもたらした変革をベースに世界中の消費者が、企業、メディアに匹敵する質と量のニュース、情報、コンテンツの制作、発信を、Blog、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアスペースで行っています。その制作、発信されたニュース、情報、コンテンツを他のユーザ達が消費、共有し、その次のユーザ達につなげています。

    そのため、インターネットおよびパラダイムシフト、そしてソーシャルメディアは、企業そのものの体制、組織、マーケティング戦略をも変革しています。

  4. 最後に、日本ブランドの危機を取上げます。

    インターネット(+ブロードバンド)、パラダイムシフト、ソーシャルメディアが提供するもの、すなわち、
    • オープンで
    • フラット、対等な
    • 双方向のコミュニケーション、エンゲージメントをすること
    から
    • ブランド関連情報が発信され、共有、消費、再露出されている
    • それがひとつの国内だけではなく、世界へ波及する
    • 世界のインターネットユーザはひとつにつながっている
    ことを理解した先進企業はソーシャルメディア戦略を構築し、実行に移しています。

    ソーシャルメディアマーケティング戦略のトップランナーのひとつである米Fordは、一昨年から消費者をソーシャルメディアスペースに巻き込んだFiesta Movementキャンペーンを行っていました。キャンペーンが終了した昨年末時点でFiestaが米国内で販売されれば購買すると8万人が回答していました。もし、Fiesta1台を200万円だとすれば、1,600億円の売り上げにつながるという結果を出しています。また、Explorerの最新モデルをFacebook内で発表したりと積極的にソーシャルメディアを活用しています。

    Fordのソーシャルメディア戦略、キャンペーンから学習した競合、例えばVolkswagenは、2011年モデルのPolo GTIのキャンペーンをFacebookだけで開始しました。また、その公式ページの言語は英語だと宣言し、全世界の消費者に向けてFacebookをタッチポイントとする戦略を開始しています。BMWも同じです。Facebook内に本社管理のページを設け、全世界20カ国の子会社が開設しているFacebookページへのリンクページとして機能させています。BMWの本社ページも英語となっていますので、全世界の消費者に向けたポータルページなのです。

    これら2社が開設しているFacebookページは、独本社が全世界のインターネットユーザに向けたゲートウェイとなっています。ここから世界の消費者にブランド関連ニュース、情報、コンテンツを発信し、彼らに消費、共有してもらい、彼らの友人・知人達に再露出してもらうための場所となっています。また、世界中の消費者が体験したブランド経験、画像でも、ビデオでも、コメントでも、それらを共有してもらうためのスペースとしても機能させています。

    もう、昔と同じように既存マスメディアに広告を出しても、広報記事を掲載してもらっても、それらの情報・コンテンツを消費、共有してくれる消費者がいません。いや、正確には消費者はいるのですが、広告や広報記事を信用してくれる消費者がいないのです。消費者は、企業の広告や広報よりも、専門家の声や判断、社員との会話で得られた情報、あるいは自分と同じような人の意見や評価を信じているのです。Fordを含め、これら企業はそれを理解しています。

    各社は、ターゲットとなる消費者が集うソーシャルメディアスペースにブランド自身が参加し、ファンやフォロワーになってくれる消費者とオープン、対等、双方向のコミュニケーションを行おうとしています。そうすることで、消費者の信頼を獲得しようとしています。

    FordのGlobal VP-MarketingのJim Farleyは、Ad AgeのDigital Conference 2010において、
    15秒のTVCFで我々が聞いてほしいストーリーを話すことはできるが、我々が求めているのは顧客に我々のストーリーを語ってもらうことだ。顧客の信頼をどのように得るかを示してくれたのはデジタルだ。
    と語っています。


    Source:Ad Age / Digital Conference 2010

    また、彼は以前の新車発表・発売に焦点を当てた既存メディアキャンペーンではなく、
    メディアキャンペーン開始前から、そして終了後も継続されるソーシャルメディアスペースでの会話、エンゲージメントの重要性を指摘しています。
    キャンペーンに合わせた一時的な広告や広報活動ではなく、ソーシャルメディアスペースでユーザと、一から会話を紡ぎ、育て、垂れた稲穂をユーザの個人的コネクション、ネットワークに共有してもらう。その中で新しい接ぎ穂が出れば、それも大事に育ててゆく、そのなかで消費者の信頼を獲得するという、Fordの全く新しいパラダイムを惜しげもなく公表しています。

    Ford自体、まだグローバルな展開を見せていませんが、VolkswagenやBMWが学習成果を基にちゃっかりと一歩先のステップを踏み出しているように見えます。

    こういった事例が自動車メーカーだけではなく異業種でも学習されてゆきます。B2C企業だけではなく、B2B企業も同じように学習してゆきます。各国現法はFordをお手本に、本社はVWやBMWをお手本にして、各社の広報、広告、マーケティング戦略にソーシャルメディアが取り入れられてゆきます。そして、世界中の消費者、顧客、ビジネスパートナー、サプライヤーを巻き込んだ会話、エンゲージメントが活発化してゆきます。

    唯一、日本の企業を除いて...。

    日本企業も国内では相応にソーシャルメディア対応を行っていますが、海外、あるいはグローバルな展開は非常に遅れています。

    Facebook、Twitter、YouTubeのファン、フォロワー、購読者を集計し、Famecountというランキングを発表しているサイトがあります。
    Source:Famecount

    Facebook、Twitter、YouTubeというソーシャルメディアスペースの中心に、海外向け、あるいはグローバルな公式ページ、アカウントを持っている日本企業は数えるばかりです。とてもFacebookだけで1,200万人以上のファンをもっているStarbucks、Twitterに150万人以上のフォロワーがいるJetBlue、Dellとは比べられません。

    しかし、Red Bullが3位、Zaraが15位、H&Mが20位、Lacoste、PUMA、BlackBerry、Adidas、Louis Vuitton、Nokiaなど世界の錚々たるブランドがちゃんと顔を出しています。こういった現状では、日本の企業・ブランドはソーシャルメディアスペースに存在していないに等しく、それでなくとも大きい欧米各社との露出ギャップは大きくなるばかりです。

    幸いなことに今のところ、VWやBMW本社のようにFacebookをグローバルブランディングに活用しようとしている企業は限られています。しかし、Best Practiceは様々な場所、スペースでオープンに共有されるものですから、あなたの企業の競合メーカーがいつ、VWやBMW本社のようにソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略を開始してもおかしくありません。

    あなたの競合メーカーがソーシャルメディアを活用したグローバルなマーケティング戦略を開始した時、あなたの企業はそれに対応することができますか?すでに対応するための組織、予算、戦略を準備されていますか?

    上述のSamsung.com/us/は、昨年末にヘッドハンドした人間をソーシャルメディアマネージャとし、今年1月のCESにおけるプレスコンファレンスをTwitterで同時中継したことから始まり、WebやEmailニュースレター、Facebook、YouTube、Twitterなど各種タッチポイントのソーシャル化を推進しています。彼は、今年、6月のCorporate Social Media Summitに講師として招かれプレゼンしていますし、7月には韓国Samsung本社においてCEOおよび100人以上の上層部に次のコミュニケーションプラットフォームのプレゼンをしています。これほど大きな動きをあなたの企業は同じように遂行することができますか?

    あるいは、社内にこういった世界の動きをウォッチし、警鐘を鳴らしている組織、担当者はいますか?

    もし、社内で準備がされておらず、世界の動きをウォッチすることもなく、社内に警鐘が鳴り響いていないのであれば、世界に誇る日本ブランドの価値、評価はとてつもない危機に直面していると言えます。
さて、インターネット、パラダイムシフト、ソーシャルメディア、そして、日本ブランドの危機を説明してきましたが、おさらいの意味でもここでお聞きしたいことがあります。

それは、
  • 世界中の消費者がインターネット、パラダイムシフト、ソーシャルメディア、そして英語と言う共通語でひとつにつながっているということは全くないと考えますか?

  • 広報、広告、マーケティング部といった既存の組織が、ソーシャルメディアによりエンパワーされ、情報・コンテンツの制作・発信力を増し、共有・拡散力も以前とは比べ物にならないほどパワーを持つようになった消費者に対応できると考えますか?

  • 海外のことは海外の子会社、販社に任せておけばよく、各国のアーリーアダプター、インフルエンサーが翻訳し、国内に露出・共有する英語の情報・コンテンツなど気にする必要はないと考えますか?

  • 競合メーカーが各国市場やグローバルブランディングにおいてソーシャル化を進める中、今まで通りの広報、広告、マーケティング戦略を踏襲していても、企業価値、評価、消費者の信頼などは下落しないと考えますか?

  • WSJ、 NYT、WPなど一流マスメディアに広告を出稿し、PR WireやBusinessWireからプレスリリースを流し、CNNやSky、EurosportにCFを出し、Googleに検索広告、Yahooに ディスプレイ広告を出すことから、ソーシャル化、顧客の信頼獲得へと比重を移しているFordの戦略に全く危機感を感じませんか?

  • 物やサービスを売るというマーケティングが、消費者あるいは顧客やユーザとの会話を醸成し、点から面へ広げてゆくマーケティングへ移行しているとは考えませんか?
ということです。

日本航空の破たん原因を調べているコンプライアンス調査委員会が管財人に報告する内容には、組織の肥大化と経営者の 経営判断や全社的な危機意識の欠落が含 まれています。具体的には、営業や経営企画、運航本部といった組織が「縦割り」で横のつながりが乏しく、現場と上層部との間で風通しがわるくなっていたと 指摘しています。その結果、経営者が経営破綻に陥るような重大な事態に気づくのが遅れたとしています。

Source:Asahi.com / 日航破綻「歴代経営者の不作為が要因」

企業規模が大きくなればなるほど「親方日の丸」に近い意識が存在する可能性が高くなり、また、企業規模に慢心したグローバルな「危機意識の欠落」も存在可能性が高くなり、「ガラケー」といったひとつの製品だけではなく、企業全体が日本ローカルなガラパゴスブランドに陥ってしまう危険性が一層、高くなると恐れています。

この危険性を少しでも低くするためには、また、上の6点において少しでも不安や心配の種がおありなら、既存広報、広告、マーケティング戦略を見直し、新しいパラダイムを前提とした戦略への転換を強くお勧めします。


長文になりましたが、是非、厳しい現状を認識いただき、最善、最適な戦略を打ち出されることを願ってやみません。

笠井孝誌
株式会社パワーレップ


追記:Scribdにpdfをアップしました。
Source:Scribd / Dramroll - Open Letter to CEOs in Japan

2010/08/09

Japanese Brands Left Far Behind While Samsung Accelerating

今年6月、NYでCorporate Social Media Summitが開催され、170人以上が参加した。講演者の中にはSamsungのソーシャルメディアマネージャ、Esteban Contrerasがいた。

彼は昨年秋口、コンサルタントとしてSamsungのソーシャルメディア取り組みについてインタビューするため、@SamsungTweetsにコンタクトしたそうだ。他にも何社かインタビューしたそうだが、Samsungとの接触はその後も続き、年末に彼はSamsungに入る決心をしたそうだ。それは、Samsungがソーシャルメディアを本格的にやることを知り、もっといい会社、もっとソーシャルな会社に変身するには自分が必要だと思ったからだそうだ。

今年1月から彼はSamsungのソーシャルメディアマネージャとして腕をふるっている。

現在、Samsung.com/us/のトップページにはTwitter、Facebookへのリンク、Wonderコンテストへのリンクボタンが大きく配置され、ページ底には「My Samsung」として、ユーザ登録・ログイン、検討中の製品、閲覧履歴、製品比較ができるようになっている。
(注:日本からアクセスするとIPフィルタリングによってsamsung.com/jp/にリダイレクトされてしまう。SamsungのemailニュースレターなどからUSサイトへアクセスできる)
Webページの機能拡張に加え、Emailニュースレター受信登録をすると送られてくるemailにモバイル版、「Share This」といった追加機能が付き始めたのは春以降だっただろうか。

彼がソーシャルメディアマネージャになってから3カ月たつか、たたないかのうちにWebページ、Emailニュースレターのソーシャル化が加速してきている。

Samsungのソーシャル化加速を目の当たりにしたUsefulSocialMediaは、入社してから半年目のContrerasをCorporate Social Media Summitに呼び、Samsungの取り組みを紹介したわけだ。

その中にこれから導入するツール、サービス、プラットフォームのモックアップがあった。これはSeesmicをベースに開発しているSamsungチャネルで、統合的なTwitter管理スペース、プラットフォームのようだ。
参考:Samsung Customer Centric (Online Ad 2010/07/29)

さて、SeesmicのLoic Le Meurと言えば知る人ぞ知る、いや、誰でも知っているような有名人だ。その彼が7月22日、下のTweetをしている。
Source:Twitter / Loic

Contrerasは現在、SamsungTweetsを個人的に管理しているようなので、ContrerasとLoci Le Meurが二人して、韓国のSamsung本社においてCEOのイ・ゴンヒ始め、居並ぶ100人以上の役職者を前にSeesmic Lookのプレゼンをしたようだ。

たった一人が組織に加わっただけで、Samsungの最大市場である米国のWebサイト、Emailニュースレターなどのソーシャル化が向上し、Facebook、YouTube、Twitterといったソーシャルメディアスペースにおけるプレゼンスが増強され、消費者・ユーザとのコミュニケーションが改善されてきた。それもたった7カ月かそこらでの話だ。そして、ソーシャル化の次のステージへ進展するための新しいプラットフォームを、本社においてCEOに直接プレゼンする処まで突き抜けている。このスピーディーな動きには目をみはるばかりだ。

ところで、北米や欧州消費者のニーズ、コミュニケーションチャネルが変化してきたことはその地域だけだと思うかもしれない。だから、社外からヘッドハントしてきたContrerasをソーシャルメディアマネージャに据えて、北米対応を行っているのだと。

しかし、その北米や欧州と、その他の国々、特にBRICsの消費者ニーズ、コミュニケーションチャネルに起こっている大変革に違いはない。インターネットユーザ数のトップ10、携帯ユーザ数のトップ5に BRICsは入っている。また、Webアクセストラフィックのシェアを見るとロシアやブラジルはその50%近くがソーシャルメディアスペースになっている。モバイルでのソーシャル化は世界トップかもしれない。北米や欧州と同じように、あるいはそれ以上にソーシャル化が進んでいるのがBRICsなのだ。そして、その後をその他の国々が追っている。

世界中でインターネット、ソーシャルメディア、デジタルネイティブといったキーワードが、今まであった既存のコミュニケーションチャネルを揺り動かし、新しいコアチャネルとして確立してきている。その変化に即してマインドセットを切り替え、Samsungが新しいコアチャネルに適応している典型が北米、米国の対応だ。そして、その対応は何も米国、北米に止まらない。BRICsであろうと、それ以外の途上国であろうと、デジタルネイティブは存在し、アーリーアダプター、クリエーター、インフルエンサーとして力をふるう。その彼らにソーシャルメディアスペース経由でまず、各国子会社がコネクトするようになり、そして、本社がグローバルブランディングを開始するだろうと予想するのは、そんなに難しいことでもない。あるいは、北米対応だけを目指していたにも関わらず、世界各国のユーザがターゲットになっている、できるということを学習するのにそう時間はかからない。だから、本社のグローバルブランディングを実施するまたとないチャネルがソーシャルメディアだと理解するのはもうすぐ先だ。

さて、Samsungは2009年、40周年ミーティングで「ビジョン2020」を発表した。これからの10年間で売上高を400兆ウォンにすること、IT分野 でグローバルリーダーとなり、トップ10に入るグローバル企業になり、トップ5のブランディングパワー、尊敬される企業のトップ10になると宣言した。 Samsungのコアターゲット地域は北米と欧州だが、重点戦略地域として当然、BRICsもあり、 特に中国、インドなどで活動を活発化させている。

そのSamsungがまず北米、米国でソーシャル化を進めている。そして、上の簡単な予想が当たれば、世界のユーザをターゲットとしたグローバルなブランディングが始まる。

このまま、Samsungが北米での対応をトリガーとして、欧州、BRICs、その他途上国でのコミュニケーションをソーシャル化させてきた場合、対抗できる日本のグローバルブランドはいるのだろうか?あるいは、後をついていけるブランドはいるのだろうか?Contrerasをヘッドハントしてから半年やそこらで、米国Webサイトなどを改修、増強し、社内(あるいは社外も含めた)コミュニケーションプラットフォームを本社CEOにプレゼンできる環境が、日本のグローバル企業・ブランドにあるのだろうか?そして、なりよりもまず、社外のリソースをソーシャルメディアマネージャとしてヘッドハントするキャパがあるだろうか?

それは「絶対ない」と確信を持って言える。

縦割りサイロ組織が壁を作り、情報が共有できず、社内にソーシャルメディアのパワーを伝道するアーリーアダプターだけがストレスを積み重ねる中、マインドセットが昔のままの人間は「他人事」、「自分の担当ではない」と横を向いたきり、手も貸してくれない。あるいは社外のリソース、代理店やエージェンシーは、苔むしたビジネスモデルをベースとした提案をするだけで、良くてメガフォンマーケティングをソーシャル化することだけ、本当に企業が必要とする現状認識や新しいアイディア、ソーシャルメディア戦略構築、実施のリソースにはなりえない。

ここで今から5年後の2015年を思い描いていただいた場合、
  • あなたの企業・ブランドは、今のままのコミュニケーション戦略ですか?
  • 既存組織の返り討ちにあってソーシャル化はまだ始まっていませんか?
  • ようやく何年か続けた社内での啓蒙が取締役レベルにやっと上がった段階ですか?
  • それとも既存組織のままで足りない要員、予算を前に何もできないと嘆息していますか?
  • あるいは...
どんな状況になっていると思いますか。

言えることは、このままであれば、5年後の2015年にSamsungは2009年に宣言した通りの企業・ブランドとして世界に君臨しているだろうが、日本のグローバルブランドは価値、そして評価が下落し、単なるローカルなガラパゴスブランドになっているかもしれないということだ。

また、これはエレクトロニクス業界に限らない。B2Cであれ、B2Bであれ、特定業界・業種に限らず海外へ進出している、進出を予定する企業すべてにかかってくる。Samsungであれ、Fordであれ、それぞれの業界、業種におけるBest Practiceがそこかしこでオープンに共有され、それを規模の大小に限らず多くの企業・ブランドが学習してくるわけだ。異業種の事例の中から自社に適用可能なコンセプト、コンポーネント、パーツを取り入れ、その上で新しいアイディアを載せた独自の取り組みが実施される。これはすべての業界に適用される。

そして、これから行われるそういったコミュニケーションと接触し、エンゲージし、価値を見出すユーザが増えてくると、ソーシャルコミュニケーションを前提とする消費者、ユーザ、顧客、ビジネスパートナーが大半を占めてくることになる。そんな状況で10年前のコミュニケーションをやったところで、刺さる処も、響く処もないし、ターゲットのマインドセットにブランドが存在しなくなってしまう。

それだけ、これからの5年は重要だし、動きはグローバルに加速する。海外子会社や販社が担当国や地域単位でやるべきことに加え、日本本社がグローバルにやるべきことがある。

それでは5年後、
  1. ローカルなガラパゴスブランドにならないためには、
  2. レガシーマスメディアに拘泥したままで効果のない広告、広報、マーケティングを続け、消費も共有もされないメッセージを流し続ける羽目にならないためには、
  3. 競合が数百人規模のソーシャル部隊を抱え、世界のユーザとダイレクトにエンゲージするスペースを運営している一方、数人規模のグループで対抗しなければならない羽目に陥らないためには、
  4. 各国子会社、販社の営業、販促活動をソーシャルメディアのグローバルスペースで日本本社が支援するためには、
  5. グローバルなユーザの声、評価、意見を聞き、それをブランドの価値向上、購買プロセスへの落とし込み、ロイヤル・リピートユーザの醸成に結びつけるためには、
  6. ポジティブな消費者・顧客・ユーザの声を育成、増強、拡散するためには、
  7. そして、世界中のソーシャルメディアスペースのユーザから総スカンを食わないためには、
  8. あるいは、Worst Practicesの上位に名を連ねないようにするためには、
どうしたらいいのだろうか?

CEOおよび役職者を対象としたクラッシュコース開催、Webビジター調査、オンラインモニタリング、そして、競合、同+他業界の動向、各種統計、最新事例を調査したり、米国や欧州、その他の国から広報、広告、マーケティング担当者を呼び集めてのヒアリングやクラッシュコース開催などやれることは山ほどある。

もし、これらに興味があればお問い合わせください。