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2010/06/03

Samsung 3D TV Promotion

4月20日付のGuardianによると、SamsungはUKだけで800万ポンドの広告費を投下して3DTVのプロモーションをやるようだ。4月27日から発売される3D TVに合わせてTV、プリント、OOH、オンライン広告が3か月間予定されている。

Sony BarviaのPaintや、Play-Dohを仕掛けたMikah Martin-CruzがSamsungに移って、マーケティングディレクターとして腕をふるったようだ。

Source:Guardian / Samsung to launch £8m 3D TV ad campaign

そして、4月30日、筆者が購読しているElectronic HouseというサイトのニュースレターにSamsungがバナーを出稿していた。広告をクリックすると350㌦相当の3Dスターターキットを無料でどうぞというSamsungのサイトへ飛ばされる。
Source:ElectronicHouse

また、5月20日には、オランダで歴史的建築物をスクリーンに見立てて3Dプロジェクターの映写会が開かれた。

この映写会へのトリガーのひとつとして、Foursquareで3Dイベント告知および誘引を行っていた。
もちろん、新しいTwitterアカウントもある。
Source:Foursquare / Samsung 3D event
Source:Twitter / Samsung3Devent

当然、日本のグローバル企業・ブランドも3D TV用プロモーションを行っている(はずだ?)が、どうも旗色が悪いようだ。

言えることは、
  1. 英国Samsungの3D TV露出は英国だけではなく、欧州に限らず全世界にも波及する。当然、米国Samsungの露出も同様。
  2. 広告費以上の効果、共有、再露出がソーシャルメディアスペースで生成される。
  3. レガシー、オンラインだけではなく可能な限りのタッチポイントを利用することで訴求を最大化している。
ということだ。そして、これらマーケティングを理解する役職者がいることだ。

ここが一番大きく、深く、長いギャップとして日本のグローバル企業・ブランドとの間に存在している。多分、ソーシャルメディアスペースから一番遠い存在である役職者の理解なくして、ソーシャルメディアマーケティングは実行できない。そのため、既存予算の一部を抜き出して実験的、トライアル的にやるしかなく、専属組織、人員、予算、外部支援エージェンシーのいない中では期待する結果を得ることは不可能に近い。

役職者にクラッシュコースを提供したP&Gのデジタルビジネス戦略チームのLucas Watsonは、
「P&Gのマーケティング役員に今まで学んだことがないようなやり方でデジタルメディアを学ぶ経験をしてもらい、彼らを鼓舞し、 デジタルメディアに曝したかった」
と語っている。

参考:P&G Digital Hack Night (2009/03/25)

既存の、従来通りの広報、広告、マーケティング、ブランディングだけではだめ。また、それをいか様に拡張したところで、アドホックなグループを作ったところで、ソーシャルメディアスペースには訴求しないことを理解してもらうためには、クラッシュコースを開催するしか道は残っていないのでは...?

2010/05/24

Walk on Water, 3D?

たまには気休めのビデオでも見たい気分だ。

ということでYouTubeに「Walk on Water」というビデオが上っていた。


Source:YouTube / Walk on Water

こんな馬鹿げたビデオでも3Dで撮ったらどうなるんだろうと考えてしまう。

下のグラフはモニター、PC、携帯なども含めた3Dディスプレイ全体の市場規模予想だが、DisplaySearchによれば、2009年に20万台の3D TVが2018年には6,400万台、170億㌦の規模になるとの予測が出ている。



Source:DisplaySearch / 3d revenues forecast

これほど期待される3DTVだが、SonyのEVPでConsumer product devices groupのPresident、Hiroshi Yoshioka氏は、
Poorly executed 3D is harmful, and it threatens its long-term success
と、べガスで開催されたNABコンベンションの基調講演で語っている。

ま、これは多分に、低い3Dクオリティを指摘されているワーナーブラザーズの「Clash of the Titans(タイタンの戦い)」が念頭にあるようだが、普段、我々人間が裸眼で見ている3D映像そのままのように、自然で素晴らしい3Dコンテンツが提供できるかどうかが3D TV普及の鍵になるということだ。

Source:The Hollywood Reporter / Sony exec : Poorly executed 3D threatens biz

ということで、一番の上のビデオを3D化してもあまり意味はなさそうだ。バイラルビデオを除けば。

2010/05/19

Viral Video from Newspaper Publishers

UKのThe Independent、The Sunがバイラルビデオを流している。
The Sunは昨年の11月、The Independentは今年の4月だ。





The Sunのビデオは、Engadget、Huffington Post、Gizmodo、Boing Boing、Technoratiなどが取上げ、11月30日にはDiggのフロントページにも取上げられた。今年4月時点で合計25万回以上のビデオ視聴、RT1,858回、Twitter上におけるCTRは5.2%、コメント154件、お気に入り1,098件という結果だ。期待、希望以上の結果をうけてThe Sunは、60秒のTVCFとして英国で放送したそうだ。

Source:Unruly Media / The Sun - Best Handheld for 40 Years

ま、それを目の当たりにしたIndependentが二匹目のドジョウをねらったという形だ。

新聞社、新聞そのもの、新聞社が新しく開発したサービス、サイトに価値がないわけではない。しかし、どの新聞社も一般事業会社と同じマインドセットなので、それらを旧態依然のコミュニケーションチャネルを通して広報、広告、マーケティングしているだけのように見受けられる。

そのコミュニケーションチャネルは数十年、いや百年以上をかけて築きあげてきたもので今までは効果が実証されてきたかもしれない。しかし、今は違う。情報・コンテンツの送信元が限られていたわが世の春といった時代ではない。この時代にそれを理解しないマーケティングをしても効果は薄い。

The Sunのキャンペーン詳細は上のソースに任せるが、この新しい読者獲得キャンペーンは新聞社に限らず、一般事業会社、企業・ブランドにとって何らかの参考にはなると思うが、どうだろう?

2010/04/21

Viral Video from Cisco

「The Future of Shopping」というビデオがある。YouTubeだけで視聴160万回を越え、Viral Video Chartによれば234のBlogが記事を書き、138件のコメントがあり、2,600のFacebook Shareをたたき出している。

ブティックで店員さんを横に、前後、左右、上下に右手を振りまわしている女性を見ると、ちょっと大丈夫かと思うが、少しすると合点が行く。鏡のようなディスプレイに向かい、バーチャルに服を試着したり、色違いを試したりした後、非接触カードで支払を済ませるまでを描いているビデオだ。


Source:YouTube / The Future of Shopping
Source:ViralVideoChart / The Future of Shopping

このビデオはBtoB OnlineがInteractive Marketing Guide 2010の中で、優秀バイラルビデオの最終候補としてHPとCiscoを選出しているが、そのCiscoのビデオだ。他にも「The Future of Healthcare」、「The Future of Education」があり、3本まとめて選出されている。

Source:BtoB Online / Interactive Marketing Guide 2010 (pdf)

Ciscoのバイラルビデオは、いずれも医療、教育、お買い物といった一般消費者の身近にある近い将来を描き出し、そのバックボーンを支えるCiscoのCatalystスイッチ、TrustSecセキュリティソリューション、G2ルーターを紹介するボーダレスネットワークのプレゼンへトラフィックを誘引している。

Ciscoによればビデオから6,000人がプレゼンへ誘引されたそうだ。SamsungのExtreme Sheep LED Artならいざ知らず、B2Bの総本山的なCiscoのバイラルビデオからIT・ネットワーク系の決定権者6,000人が誘引されたとすると大変な数字だ。

参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)

なぜ、「IT・ネットワーク系の決定権者6,000人が」と書いたかと言うと、簡単にプレゼンを見せてくれるわけではないのだ。氏名から始まり、所属部門、職位、業界、予算規模、世界の従業員数、職務詳細などを入力した後でなければプレゼンは見られないのだ。そこまで情報を入力してもプレゼンを見ようとする決定権者なのだ。

さて、3つのバイラルビデオを合計して約165万回の視聴、6,000回のアクセスからすると直接的CTRは0.36%ということになる。間接的にはFacebookユーザの平均友人数は130人なので2,600のFacebook ShareがあったことからするとFacebookだけで約34万人にビデオが露出した可能性があるし、234のBlogが記事を書いた露出も加えねばならない。BtoB Onlineのようなメディア系での露出もある。

従来からのB2Bマーケティングをやっている限り、こういった新しい試みは試されることもなく、先進企業・ブランドの後塵を拝するだけだ。この新しい試みとはバイラルマーケティングということではない。ターゲットにより近いスペースにタッチポイントを設置し、コンテンツやリンク、引用の共有や拡散を図り、ターゲットに自発的に独自コンテンツを作成してもらうことだ。その独自コンテンツをターゲットの個人的コネクション、リレーションズ、ネットワークで共有してもらうことだ。

B2Bというと対面営業・プレゼン、展示会、電話・Email、DMといったところがマーケティング上位を占め、ソーシャルメディアマーケティングの取り組みはまだまだ遅れている。そして、B2BやB2Cといった分類ではなく、広報、広告、総務、人事、CSR、環境・グリーン、顧客対応・サービスといった企業そのものの各部署の取り組みも遅れている。

デジタル化しただけではターゲットに届かないのだから、CSRレポートをpdf化してWebにアップしてもターゲットに近いスペースに置いたことにはならない。プレス・ニュースリリースをデジタル化し、共有ボタンや画像・動画を張り付けただけではソーシャルメディア化したことにはならない。コンテンツを消費してくれるターゲットが行動する範囲にそれは存在していないのだから。そして、以前からの広報や広告のように、リリースを発信したり、出稿したら手を出さなくてもいいのものではなく、出した後の方が手間暇をかけてメンテナンスをしっかりとやっていかなければならないものなのだから。

2010/03/11

German Online Report 2010

先日、当Blogの独在住読者からドイツのオンライン広告に関するレポートをいただいた。独語なので手が出ないため、レポートにあったコンタクト先、BVDWにメールを送ったところ、わざわざ英語へ翻訳したレポートを送っていただいた。Ich danke für BVDW.

追記:
上のドイツ語を「Vielen Dank, BVDW!」へ訂正します。
詳細は、「German Search Engine (Online Ad 2010/03/19)」を参照のこと。

ということで、2009年のドイツにおけるオンライン広告の現況を紹介する。

まず、ドイツにおけるオンライン広告市場は前年比12%増の40億ユーロに達している。これはTV、新聞に次ぎ三番目のメディアで16.5%のシェアを獲得している。この傾向は2010年も継続すると見られ、OVKは今年のオンライン広告規模を47億ユーロと予想している。
2005年当時、新聞とインターネット広告の差は20%以上あったが、昨年は5%弱にまで縮まってきた。今年とは言わないが、来年には順位が逆転しそうだ。
急激に伸びているオンライン広告の内訳をみると、2008年から2009年にかけて大きく存在感が増したのはビデオだ。通常のバナー、ボタン、レイヤ・フロート、ポップアップ・アンダーなどが軒並み前年比で減少しているにも関わらず、ビデオが160%ととてつもない伸びを示している。このビデオがなければオンライン広告は前年比減だったはずだ。
これほどの急増をうけてBVDWは、Screen Digestのレポートを挿入している。

Screen Digestによれば、2009年ドイツのビデオ広告市場は1億ユーロ強の英国とは開きがあるが、4,250万ユーロの仏よりも大きい。2013年には英国が3億ユーロ強で、仏が1.25億ユーロ、そしてドイツが1.38億ユーロと予想されている。

それにしても2010年から2013年の伸びを計算すると3カ国ともに2009年の2.5倍以上の規模に膨れ上がる計算だ。
さて、ドイツの14歳以上のインターネットユーザは、4,438万人、普及率68.5%だ。それを年代別にみると、14~39歳までの層は普及率90%を越えている。それよりも40~49歳の普及率が82.4%、50~59歳の普及率が67%となっている点に注目したい。

切り分けている年代が違うが、英国の普及率は45-54歳で79%、55-64歳で63%となっている。

Source:Ofcom / UK Adults' media literacy 2009 interim report

若年層はもちろんだが、中高年も欧州のインターネット先進国である英国にドイツが追いついてきたようだ。
他にもいろいろデータがあるが、コンバージョン率を取上げたものがある。

下図のトップに書籍が来ている。これはインターネットユーザの58.2%はオンラインで書籍検索を行い、そのうち38.7%がオンラインで書籍を購入したことになり、コンバージョン率は66.5%となる。
Source:BVDW /Online-Werbemarkt wächst 2009 um zwölf Prozent auf über vier Milliarden Euro
Source:OVK Online Report English

さてさて、今年は英独仏の欧州コア三カ国においてビデオ広告が肝になりそうだ。ただし、ビデオ広告だけを出せばいいというものでもない。当然、バイラルビデオの施策もあっての話だ。昨年のT-Mobileのビデオは視聴1,800万回を越えている。こんな楽しいビデオがたくさん見られるかもしれない。多分、Samsungで?あるいは日本のブランドで?

2010/01/14

Suicide Ad?

たまには少し軽めの話題をひとつ。

まず下のビデオを見ていただこう。


これはVWのPoloのCFで、人種偏見だとされた分、バイラルになっていたビデオだ。

これと同じようにちょっとあぶないビデオが出ている。


自殺しようという男がマフラーからチュープを車内に引き入れて...。

ビデオに登場するAudiはトレードマークを侵害しているとしてYouTubeに上がっていたビデオを削除するようYouTubeに要請した。そのためこのビデオが見られるのはAdlandだけだ。Adlandはビデオ制作とはかかわりなく、単純にビデオをホスティングしているだけだ。また、Adlandによれば、ビデオはemailで送られてきたということだ。


また、AdlandはAudiが「SPEC Ad(ビデオに登場するブランドが金を出したり、制作を承認したものではない広告)であることを」明確に明示するよう依頼してきたことを明らかにしている。


ビデオの出所を隠し、YouTubeにもっともらしく抗議し、唯一、ホスティングしているAdlandにはわざわざAudiとは全く関係ないことを明示させるなど、バイラル化するためにあの手、この手を使っている。このビデオは全欧州やオーストラリアにまで飛び火しているようだが、一体、バイラル化してどんな価値があるのか、どんな価値を期待しているのか分からない。

バイラル化することだけを目的として、ブランドが制作費を負担しているとしたら、クリエイティブエージェンシーの売上増加に寄与しただけだと思うが、いかがでしょうか?

2010/01/12

Lessons from Lenovo

The ConsumeristにLenovoのカスタマーサービスを取上げたエントリ、「Lenovo Ignores Customer, Waits For Gift To Reach Wrong Destination」がある。

12月4日、父親のためにLenovoのThinkPadをオンラインで購入した消費者は、まず自分が住むシカゴにThinkPadを送らせ、セットアップ後、19日にデトロイトに住む父親に届けようとしていた。父親へのXmasプレゼントが台無しになってしまったLenovoとのやり取りの一部始終を読んでいただきたい。

December 7th: The shipping date changes to the 12th. I start to get nervous.

December 9th: The shipping date changes to the 22nd. I send M. an email asking why there is a slip in the date and seeing if there is anything to be done. No response.

December 11th: I call M. and leave a message. No response

December 14th: I call M. again and leave a message. She calls me back and we agree that the best course of action is to have it shipped to a different address. I give her this address, and she says that I'll get a couple of emails over the next few days saying that they have to cancel the order and reissue it to change the address. This seems overly complicated, but hey, if it gets me what I need I'll go with it.

December 16th: I get a shipping confirmation (Woh! Ahead of schedule). Unfortunately, it's to the wrong address. So, I call M. No response.

December 17th: Call to M. No response. Package is spotted in Japan.

December 18th: Call to M. No response. Package is spotted in Alaska

I decide to change my plans and come back on Monday in foolish hopes of getting the computer.

December 21st: Call to M. Package is in Louisville. I call UPS to see if I can have it "predirected", they say I have to wait until they make a delivery attempt or the sender redirects. M. calls back to say that she's put in the request for redirection. I go back to Michigan.

December 22nd: Package is in Louisville getting cleared through customs.

December 23rd: Package is on its way to Chicago and ready for delivery.

December 24th: My neighbor emails me the info notice number so that I can redirect it. I don't have the option on line, so I call. They tell me that they can't redirect it because the sender won't allow it.

Merry Christmas. My dad got a box with a tracking number in it. (Also, Buy.com canceled the laptop stand that I tried ordering for him, so he had nothing under the tree.)

December 26th: I call UPS and they tell me that I need to either freeze it at the warehouse or they'll ship it back.

December 28th: I call M. again. No response. I call another number and wait on hold for 45 minutes and am told by a rep and supervisor that the redirect request was made on the 24th and it takes 2 business days to get processed, so look for the change on the 29th.

December 29th: No change in UPS. No response from M.

December 30th: See December 29th.

So, what do I do here? The laptop is 60 minutes away from my house, and 5 hours away from where it needs to be.”

Source:The Consumerist / Lenovo Ignores Customer, Waits For Gift To Reach Wrong Destination

Consumer Reportsを配信する非営利団体Cosumer Union(寄付などによる年間予算規模2億㌦、職員数600名以上)の子会社、Consumer Media LLCが運営するConsumerist.comに、ここまでボロボロのカスタマーサービスの現状を晒されたLenovoに残されているのは...?

考えるべきは;
  • 担当者にとって対応する消費者は1人だが、その背後には英語がわかる数億のインターネットユーザがいること
  • その数億のインターネットユーザは英語圏だけではなく世界200カ国以上に存在すること
  • 担当者の消費者対応はクローズなコミュニケーションではないこと
  • 企業・ブランドの消費者対応はオープンで累積されてゆくこと
  • 累積された対応・コミュニケーションは世界中から検索されること
  • そして、リアルタイムの対応・コミュニケーションも世界中から検索されること
  • もはや企業・ブランドがコントロールできる情報・コンテンツなど存在しないこと
  • 情報・コンテンツをコントロールしているのは消費者・ユーザであること

  • これを理解、把握しない企業・ブランドは蚊帳の外ではなく、オンラインに存在できないこと
  • 営々と築いてきたブランド評価、価値はオンラインにないこと
  • オンラインに存在しない企業・ブランドに価値はないこと

  • Cレベルの理解を促進しない限り、ボトムアップする時間は残されていないこと
  • Lenovoから学ばない限り、2010年以降、企業・ブランドに未来はないこと
  • ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ (○に思うこと、考えることを挿入してください)

2009/12/17

Amateur Video Power

Mashableの「The 10 Most Innovative Viral Video Ads of 2009」にSamsungの「YouTube HD Camera Trick Challenge」がピックアップされている。

Source:Mashable / The 10 Most Innovative Viral Video Ads of 2009

SamsungのHDカメラを使って室内を撮影している時、手に持ったカメラはないにも関わらず撮影が続けられる。そのトリックは...?


さて、このトリックは何かと言うと...


「なーんだ」、「やっぱり」、あるいは「ほらね」という結果だが、ここまで引きずったSamsungの勝ちだろう。

このビデオは、ViralVideoChartによれば4月14日に発見され、今までに117万回視聴されている。273のblogが記事を書き、コメントは2,111を記録している。(12月16日時点)

Source:ViralVideoChart / HD Camera Trick Challenge

3月にアップされ今までに1,100万回以上視聴された、Extreme Sheep LED Artもあり、Samsungはバイラルビデオをうまく使っている。

参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)

こんなバイラルビデオ上手のSamsungの上を行きそうなのが、日本の5歳の男の子がウクレレを奏でるビデオだ。


Source:YouTube / I'm Yours (ukulele)

このビデオはすでに492万回視聴され、921のBlogが取上げ、21,161件のコメント、6,890件のTweetsがある。(12月16日時点)

こんなビデオが多くのYouTubeユーザに支持されているのを見ると、膨大な予算をかけてプロが制作したビデオがかすんでしまう。

アマチュアのビデオパワーは、企業・ブランドのパワーをはるかに超えている。ユーザが思わず手をたたきたくなる、感情移入したくなる、われ知らず顔がほころび、声に出したくなる、コメントを書きたくなり、友人・知人にemailやTwitterで知らせたくなる、そんなパワーをもったビデオがアマチュアに作れるのだ。たった3カ月間だけ、NHKテレビのウクレレ教室でウクレレを覚えた5歳の子供が世界のユーザを揺り動かしている。この制作費タダに近いビデオが世界を駆け巡っている。

企業・ブランドが巨費を投じて制作する各種コンテンツをはるかに超えるエンゲージメントを獲得するアマチュアビデオは、今までのマーケティング、パブリックリレーションズ、広告などの法則、方式、基本、前提などすべてをひっくり返している。与えるものと、与えられるものといった固定観念や原則をひっくり返し、新しい観念、考え方を要求している。

そして、アマチュアビデオは今までの固定観念を払しょくするだけではなく、企業・ブランドに牙をむくこともある。United航空がかみつかれたように。

Source:ViralVideoChart / I'm Yours (ukulele)
参考:Bad Reputation Fly High (Online Ad 2009/07/29)

2009/11/11

Samsung Viral Videos for Olympic

Samsungのバイラルビデオといえば、「Extreme Sheep LED Art」が有名だ。

参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)

それに続いて新しいバイラルビデオ2本がYouTubeにアップされている。



いずれも、「Experience the Unexpected」、「Become a Samsung Mobile Explorer」というタグが付き、www.samsung.com/vancourver2010へトラフィックを誘導するようになっている。
(クリックでサイトへ)
Source:YouTube / Awesome ice skating warm-up routine
Source:YouTube / Hardest hockey shot ever!!!!

上のマイクロサイトへ行くと、「Discover your every WOW MOMENT」とあり、ユーザに自分の「とっておきの瞬間」をビデオに収めて投稿するように呼び掛けている。その作品に対して投票が行われ、バンクーバーへの旅行、宿泊、携帯電話やいろんなものが当たるようだ。すでに400人近い人たちがエントリしている。しかし、応募要項を読んでいないらしく、中国、韓国、その他の国のユーザが多い。残念ながら応募できるのはカナダ在住のユーザに限られている。

それ以外にも「Team Samsung」、「OR@S」など他の仕掛けも用意されている。

しかし、世界を巻き込むスポーツイベントにしてはカナダだけをターゲットにしたキャンペーンのようだ。オリンピックに参加する世界の国々のユーザを巻き込む仕掛けはこれから出てくるのかもしれないが、もし、カナダに限定されているとすると、ちょっともったいない気がする。

ただ、少なくともウィンタースポーツのスピード感を味わえる動きのあるサイト作りと、カナダの山々を背景にしたサイトデザインは納得の出来栄えではないだろうか。

2009/10/05

Domino Pizza Lesson -2

以前、Domino Pizza Lessonを書いた。以下のビデオにあるように客に出すピザに唾を吐きかけたり、鼻の穴に突っ込んだチーズをピザにトッピングしていたわけだ。

参考:Domino Pizza Lesson (Online Ad 2009/05/7)

この事件をケーススタディとしてMarketingProfsが取上げていたので、紹介する。

まず、Domino Pizzaが執った対策は
  1. 犯人を捜し出して訴える
    全米のチェーン店へ通知し、ビデオに出ている男女2人を特定。チェーンオーナーに解雇を要請。保健所および警察に犯人を通報。
  2. YouTubeからビデオを削除する
    著作権者の要請が必要なため、犯人のうち女性の署名を警察署でもらいYouTubeにビデオ削除を要請。
  3. 顧客に対応する
    プレスリリースを出したり、ニュースカンファレンスを開くのはビデオ視聴を増やすだけで逆効果と判断し、会社への問合せは個別対応とした。しかし、結局、バズはTwitterで広がり始めたため、DominoはWebサイトに事件を公表、Twitterエントリをサイトへ誘引した。直後、YouTubeでのビデオ視聴回数は50万回へ到達した。
  4. バイラルビデオを消火する
    ビデオが投稿されてから3日後、Dominoは社長のPatrick Doyleが事件の顛末を説明するビデオをアップした。TwitterおよびFacebookページにはビデオへのリンクを装備した。
その結果
  1. Dominoからのビデオ投稿3時間後、オリジナルビデオの視聴は100万回を突破。当日、「Domino's」が「Paris Hilton」を検索キーワードで上回る。
  2. Dominoからのビデオ投稿後、米国メインストリームメディアが報道。その後、BBC、中国国営TV、オーストラリアやペルーなどDominoが出店していない国々でも報道された。Dominoによれば合計6,000万のメディアインプレッションとなった。
  3. 月曜日にオリジナルビデオを視聴した10万人は「Dominoのひどい奴らを見ろよ」と感じ、「Dominoは(これに対して)何か対策をしているのか?」へ変わり、Dominoからのビデオがアップされた後は「YouTube世界でどうやれば企業が自分を守れるのか」へ変化した。
この後、MarketingProfsは、Lessons Learnedとして
  1. Line up your ducks ahead of time
  2. Do what you can to curb the propagation
  3. Be honest and state your case
  4. Continue with 'business as ususal'
を挙げている。

Source:MarketingProfs / Case Study: How Domino's Managed a Viral Video Nightmare (要有料登録)

このようなケース、事件はこれからも起きる。その際、Dominoが行った危機対策・管理の前提として何があったのか考えてはいかがだろう。

それは;
  1. オリジナルのビデオが投稿された後、その他のビデオ共有サイトへもコピーがアップされ、The Consumeristでも取上げられたため、ビデオ投稿後数時間でDominoはビデオを知ることになった。ということは、モニタリングしていたということだ。
  2. Twitterで火の手が上がっていることを察知し、Webで公表し、誘引したということは、Twitterのリンク拡散力を理解していたということだ。
  3. その後もプレスリリースを流したり、ニュースカンファレンスを開かず、YouTubeに社長ビデオをアップしたということは、「真実を伝える顧客」はYouTube、すなわち、ソーシャルメディアスペースにいることを理解していたということだ。
そして、次を最後に付け加えなければならない。
  1. このソーシャルメディア時代に、自国対策だけでは不足・不十分
    米国内のビデオ共有サイトは対処できたかもしれないが、DailyMotionなど海外サイトまでは目が届いていない。(削除要請が受け入れられなかったのかもしれないが)
  2. このソーシャルメディア時代に、ブランド関連コンテンツを管理、コントロールすることは不可能
    この理解がない限り、従来型のマーケティング手法を繰り返してしまい、ソーシャルメディアスペースのユーザは離反する。
  3. ソーシャルメディアスペースに参加することが重要

2009/09/02

Viral Video and Twitter

4分を超える長尺だが、「PSA Texting and Driving 'COW' taster 001」というビデオに注目が集まっている。



上のビデオの視聴回数は174万回を超えており、YouTubeには4分フルのものから1~2分に編集されたビデオがいくつも上がっている。Break.comでは「Don't text and drive」として上がっており、視聴回数は約69万回にも上っている(8月29日時点)。

Viral Video Chart(YouTubeだけではなく、Break.comなど他のビデオサイトもモニターしている)ではここ一週間はトップ10に入っており、総視聴回数は385万回を超えている。なにより746のBlogがこのビデオを取上げ、9,231個のコメント、1,692個のTweetsが記録されている。(8月29日時点)

Source:Viral Video Chart

このビデオは英国のGwent Police Authorityが、全てのドライバーの交通事故撲滅、特に若年層や初心者に運転中の携帯電話操作の危険性を強く警告するために作成したものだ。

Source:Gwent Police Authority

ところでこのビデオがバイラル化した原因として、まず考えられるのは、実際の事故かと思わせるほどのリアルで衝撃的な映像がある。しかし、どんなにコンテンツが素晴らしく、感動的で、あるいは衝撃的なものであったとしても、それを伝えるチャネルがなければ画に描いた餅に終わってしまう。

バイラルビデオに関するTubeMogulの調査ではリフェラルトラフィックの大半はBlogからとなっている。(この調査にTwitterは含まれていない)
  • 80.88% Blog
  • 11.18% 検索エンジン
  • 3.66% ソーシャルネットワーク
  • 3.19% ソーシャルブックマーク
  • 0.63% ビデオ検索エンジン
  • 0.05% Email/IM
参考:Asics Viral Video Campaign (Online Ad 2009/06/30)

だから今までビデオのバイラル化を目指す場合、いかにしてタッチポイントを増やすかに各マーケターは注力していた。いかにして多くのBlogに取上げてもらうかが主眼だった。そのため、746のBlogが取上げ、9,231個のコメントを獲得している今回のビデオもバイラル化したといえる。

しかし、それを上回る効果を上げたのはTwitterだろう。1,692回もTweetされたコンテンツは、それぞれのTwitter達が抱えるフォロワー達に広がる。数人のフォロワーしかいないTwitterもいれば、数千人、数万人を超えるフォロワーを抱えるTwitter達もいる。このコネクションの広がりは、ビデオを取上げたBlogの数を凌ぐ。

今後、ビデオのバイラル化にTwitterは欠かせなくなるし、ひょっとするとBlogの影響力を上回る効果を発揮する可能性が高い。

2009/09/01

SAS Globe of Fortune

SASがFacebook Connectを使ったオンラインゲームというか、オンラインコンテストというか、無料で航空券が当たる懸賞抽選サイトを立ち上げたとAdverblogが伝えている。

ただし、このゲームに参加し、航空券をゲットするには18歳以上でFacebookに25人以上の友人を持っていることが条件だ。また、出発地はSAS便が出ているところで、こちらで勝手に別なところを決められない。それと一緒に旅行するFacebookの友人が必要だし、二人で一緒に旅行する動機を書いて送らなければならない。
(下をクリックでサイトへ)
sas_global_fortune02.jpg
こんなに面倒でも、当たったら気の合う二人でタダ旅行を楽しむことができる。
ただし、受付は8月31日、そう、昨日までだったのだが。
sas_global_fortune03.jpg
Source:Adverblog / SAS Globe (Facebook) of Fortune

Facebookにページプレゼンスを持っていないSASにしてもFacebookを使ったマーケティングを開始している。というか、開始せざるを得ないのだ。

ターゲットがどこにいるかを考えると、それはTVでも、新聞・雑誌でも、メディアのWebサイトでもない。ターゲットはソーシャルメディアスペースにいるわけだ。そして、そのソーシャルメディアスペースはユーザの友人コネクションを通してコンテンツ露出を共有し、再露出してくれるスペースとなっているわけだ。

それさえ理解すれば、後は露出方法だけといってもいい。

なお、このAdverblogのエントリページ末尾にKorean Airが広告を載せていた。クリック先は言わずもがなのKorean Airの公式Webサイトだ。DoubleClickというかGoogleのアドネットワークによってKorean Airの広告が、SASのコンテストを書いているAdverblogに配信されたということだ。

SASのFacebookというソーシャルメディアスペースを活用したキャンペーンと比べると、正統派のトラフィック誘引広告だ。それでも広告さえ出していない、いや、出せない他国の航空会社と比べればまだ、いや、ずっとターゲットユーザがどこにいるかを理解しているということになる。

2009/08/28

Susan Boyle Debut Album : Online WOM

8月27日の朝、筆者のFacebookにSusan Boyleからのアップデートがあった。「デビューアルバムの予約受付がPlay.comでできます」というアナウンスだ。

Susanのページにアナウンスがあってから9時間で4,729人が「like(お気に入り:日本語UIでは『いいね』)」とし、すでに409人がコメントを寄せている。
アルバムの申し込みをしたい方は下からどうぞ。
(クリックでPlay.comへ)
一時期の熱狂的なフィーバーからすると毎日数千人のファンが離れていたが、Susan BoyleのFacebookページには現在でも186万人のファンがついている。(8月27日時点)

今回のアナウンスでFacebookユーザ、彼女のFacebookファンの間のみならず、BlogやTwitterで発生するオンラインクチコミは世界中を巡るだろう。

筆者もTwitterで2つほどコメントしておいた。
その後、Twitterでの「Susan Boyle」に関するつぶやきはどうなっているかと検索してみた。驚いたことに、最初のTweetから1分後に、DreamerTweetsがRTしている。そして、その39分後には、citytravelbugがvia DreamerTweetsということでまたRTしていた。
DreamerTweetsには143人のフォロワーがいる。そのフォロワーの中には2,026人のフォロワーを持つtshirthellcindyや、787人のフォロワーを持 つmandysrandyなどがいる。また、パリ在住のcitytravelbugには1,457人のフォロワーがいる。そのフォロワーの中には1,211人のフォロワーを持つsnookerstや、4,017人のフォロワーがいるAdrianEdenなどがいる。

DreamerTweetsやcitytravelbugがRTしたことで、彼らのフォロワーに筆者のコメントがそのまま表示されてゆく。リンクを クリックすることでFacebookのSusan Boyleのページが筆者のフォロワー、彼らのフォロワーへ露出されてゆく。

一面識もないDramrollから発信されたつぶやきが、DreamerTweetsやcitytravelbugへ伝わり、彼らがRTしたことで、彼らのフォロワーにも伝わってゆく。これが「Social Media Revolution」の中で語られている「Word of MouthからWorld of Mouth」への進化だ。対面WOMからオンラインWOMへの進化だ。

参考:Socila Media Revolution (Online Ad 2009/08/19)

Facebook、Twitter、Blogなどのソーシャルメディアスペースで世界のインターネットユーザは幾重にもクロスし、メッシュしながらコネクションがつながっている。オンラインWOMが急拡大していくことは自明の理だ。

そう考えるとWOM=Word of MouthやWorld of Mouthではなく、Web of Mouthといったほうが正しいのかもしれない。

そしてのこのWOMは世界中で発生している。PCからのTwitterトラフィックだけでも4,400万人のユニークユーザがいるが、北米からのユーザはその半分でしかない。残りの2,200万人は欧州から1,100万人、アジア・パシフィックから700万人、南米から400万人だ。

これに携帯や他のモバイルデバイスユーザが加わることになる。

Source:Sillicon Alley Insider / Chart of the Day

このオンラインWOMは、マーケティング戦術としても、広報・PR戦術としても使える手段だ。しかし、それにも関らず、日本の企業がグローバルなブランディング戦術として今までに使った例はない。

なんともったいない。

2009/08/06

Update of Kuroshio Sea

「Proposal to Visit Japan -1」、「Proposal to Churaumi Aquarium -1」で書いてきたKuroshio Sea - Second Larget Aquarium Tank in the Worldの露出、共有、再露出を総括して、Jon RawlinsonがTweetしていた。

参考:Proposal to Visit Japan -1 (Online Ad 2009/07/28)
参考:Proposal to Churaumi Aquarium -1 (Online Ad 2009/08/02)

それによると、
  • 550以上のBlog(Technorati Top100に入る5Blog含む)で取り上げられ
  • YouTube: 1,252,976回視聴、6,429評価、2,690コメント、16,651お気に入り
  • Vimeo: 647,000回視聴、3,650お気に入り、504コメント
  • Break: 604,393回視聴
Kuroshio Seaを取上げたメディア、Blogなど:
  • Businessweek:
  • Huffington Post:
  • Newteevee:
  • Canada.com
  • The Guardian:
  • Kottke.org(Technorati Top 100 Blog)
  • TorrentFreak(Technorati Top 100 Blog)
  • Sundance Channel
  • DailyDish(Technorati Top 100 Blog)
  • PDN
  • Planet5D
  • The Awesomer
  • Kontraband
  • Fubiz
  • Current.com
  • KanyeWest
  • 50Cent
  • Common
  • Netz-Schau(独TVのZDF)
  • Unhull
  • Trendsnow
  • DesignYouTrust
  • WebDesignerDepot
そして、様々な人々から送られたコメントが紹介され、最後にKuroshio Seaを取上げたBlogをリストアップしている。

Source:Twitter / jonrawlinson
Source:Jon Rawlinson

Jonが紹介しているコメントの中に次のものがある。

I sent the link to all of my friends - and we simply can’t stop watching it again and again and again.

Best regards from Cologne,
Sylvia

チェコやチュニジアからのコメントもあり、世界中のインターネットユーザが友人・知人にコンテンツを再露出している。それは同じ町、市、国のこともあれば、外国の友人・知人のこともある。YouTubeのStatistics & Dataを見ればバイラル化が世界に及んでいることがわかる。

お隣の韓国は日本より濃くなっていそうなので、沖縄の美ら海水族館を目指している観光客がたくさんいるのかもしれない。

せっかく、ここまで盛り上がってきた美ら海、Kuroshio Seaブームを活かさずにおくのは本当にもったいない。

2009/07/29

Bad Reputation Fly High

7月27日、「Real Time Search」で、
なぜなら今、ブランドをコントロールしているのは消費者、顧客、ユーザだからだ。彼らの声、意見、アイディアを聞き、疑問、苦情に応えなければ、本来比率 の低いネガティブコメントがオンライン会話の大半を占めてしまう。あるいは、シカトされたブランド価値が暴落してしまう。
と書いた。

参考:Real Time Search (Online Ad 2009/07/27)

上では書き忘れたとてもいいサンプルがある。

カナダのミュージシャン、Dave CarrollとUnited Airlinesの間に昨年起こった手荷物で預けたギターの弁償話だ。1年間、UAと交渉を続けてもラチがあかないと悟ったDaveは、UAとの最後の電話で「今回のことを歌にして世界中の人に知ってもらう歌を3曲作る」と宣言した。

その1曲目が下のビデオだ。まずUAの手荷物取扱のひどさ、ギターの弁償交渉などを歌にしたビデオをご覧いただこう。


Source:YouTube / United Breaks Guitars

7月5日にアップされたビデオは、7月28日までに426万回視聴されている。

そして視聴者は、カナダや米国だけではなく、欧州、南米、南ア、アジア、オセアニアにまで及んでいる。

企業・ブランド側からすると、言葉にならないほどのネガティブキャンペーンになったといえる。

これほどのパワーと影響を見せつけられたUAは白旗を掲げるしかない。下は、最初のビデオがアップされてから2日後にUAがコンタクトし、謝罪と弁償の話があったことを伝えるビデオだ。

Source:YouTube / STATEMENT

企業・ブランドが営々と築き上げてきたブランドレピュテーションがガラガラと音を立てて崩れていったのは、たった一人のビデオだ。それもビデオアップ後2日ほどでタオルを投げる羽目になるほど強烈なアッパーカットだった。これほど威力のあるメディアは他にない。にもかかわらず、ソーシャルメディアスペースを気にもせず、参加もせず、モニターもしないのは自殺行為に近いとしか言えない。

広告効果が可視化できないレガシーメディアに予算をつぎ込むだけでは、ブランド認知はおろか、ブランドレピュテーション・評価が向上する可能性は著しく低い。

Source:WARC / The Digital Divide in Customer Service
Source:DailyMail / United Breaks Guitars

2009/07/21

Bare Essentials of Safety

Airline Branding -2で紹介したAir New Zealandの「Nothing to hide」というビデオ、マーケティングがあった。これでCEOのRob FyfeはNZの「最もセクシーなビジネスマン」に選出されている。

参考:Airline Branding -2 (Online Ad 2009/05/21)

そのAir New Zealandが今度は、機内でのセキュリティ案内をビデオ化している。もちろん、ヌードで。


そして、単なるバイラルビデオだけではなく、「何も包み隠さない」Air New Zealandをお手本として、告白・懺悔をしなさいというWebサイト、携帯サイトも構築している。
Source:ViralBlog / Air New Zealand: Nothing to Hide

上のサイトの告白・懺悔リストの中で面白いやつや、とんでもないものがいくつかある。
Frank:仕事仲間のお弁当を食べて、その罪を彼の秘書になすりつけた。
Peters:お隣の猫を誤って轢いてしまった。
この試みはちょっとおもしろい。ただし、マーケティングフローにどうやって落とし込むことができ、どのような効果が期待できるかが明示できればの話だが…。

2009/06/30

Asics Viral Video Campaign

Asics(アシックス)が欧州でブランドキャンペーンを実施しているとThe Inspiration Roomが伝えている。

「アダムとイブ」「アップとダウン」「芸術と科学」「東と西」という4つのペアがフィーチャーされ、「What’s a left without a right?」というキャンペーンテーマへ落としこまれている。
ASICS Art and Science

オンラインはオランダ、仏、独、オーストリアで展開されている。オンラインも4つのシリーズでキャンペーンが展開されている。下は、「豊胸手術なしのPamela Anderson」をフィーチャーしたパート1だ。


Source:The Inspiration Room / Asics Left and Right

「豊胸手術なしのPamela Anderson」に加え、「McCartneyのいないLennon」、「KITTなしのKnight Rider」、そして、「(オランダサッカー界の伝説)John Cruijffが発音法を習ったら」という4つのバイラルビデオが5月19日から5月26日にかけてアップされている。

Viral Blogによると4本あわせて25万回以上視聴されているそうだ。パート1は視聴回数全体の60%、パート2は24%、パート3は14%、そしてパート4は3%となっている。

Source:Viral Blog / Asics: Imagine Pamela Without Plastic Surgery

YouTubeだけではなく、123video.nlKewego といったオランダローカルのビデオ共有サイトにもアップされ、オランダおよびベルギーのBlogで取り上げられたとは言うものの、合計で25万回の視聴回数は寂しい気がする。

Viral Blogは、「オランダで実施され、最も成功した他のバイラルビデオ例と比べ、世界的な露出が少なかった」と評価している。

ここがポイントだろう。特定国・地域をターゲットとしたバイラルであったとしても、どこから火がつくのかは神のみぞ知るだ。しかし、世界中のインターネットユーザはトップサイト、トップクオリティを持ったコンテンツサイトへアクセスしている。これらサイトでピックアップされ、多くの注目を集めることで、コンテンツは世界中に露出し、消費され、共有、再露出されてゆく。

ローカルサイトからグローバル化を目指すよりは、グローバルのトップサイトからのトップダウンがベストだ。

また、BlogやSNSでの露出も欠かせない。TubeMogulによれば、ユーザがビデオを見つけるのはYouTubeなどビデオ共有サイトへ行って、そこで検索するケースだ。これが45.13%に達している。

そして、リフェラルトラフィックに関して言うとどこがメインというものはないが、リフェラルトラフィックの80.88%はロングテールのBlogからだ。
  • 80.88% Blog
  • 11.18% 検索エンジン
  • 3.66% ソーシャルネットワーク
  • 3.19% ソーシャルブックマーク
  • 0.63% ビデオ検索エンジン
  • 0.05% Email/IM
Source:MarketingVox / Blogs Provide 80% of Referred Traffic to Online Videos
Source:TubeMogul / How do people discover videos online?

2009/05/21

Airline Branding -2

「Airline Branding」で紹介したShashank Nigamが書いているSimpliFlyingというBlogは、「World's Largest Airline Branding Resource」とあるように様々なトピック、データ、情報を提供してくれる。

参考:Airline Branding (Online Ad 2009/02/12)

彼が最近取り上げた中で目を惹いたのはAir New ZealandのTVCFだ。

どこかの航空会社のように何か要求すると追加料金を請求されるのではなく、すべてをありのままに包み隠さず出すのがAir New Zealandということで、「Air New Zealand staff have nothing to hide」というこのビデオに登場するNZ航空関係者全員がヌードになっている。当然、ボディペインティングで隠してはいるが。


メイキングはこちら。


Source:SimpliFlying / The Air New Zealand brand bares all - CEO and Staff go nude in latest TV advertisement

Viral Video Chartによるとビデオは5月11日に発見され、5月20日時点で738,408回視聴され、93のBlogが取り上げ、116個のコメントがある。メイキングのほうのビデオは141,168回視聴され、21のBlogが取り上げ、57個のコメントがある。

そして、言語別のバズは以下の通り。英語を押さえてポルトガル語が43%のバズを発生させている。

メイキングのビデオ;
こちらは英語バズが67%だが、ポルトガル語とセルビア語が17%づつとなっている。

Source:Viral Video Chart / Air New Zealand Staff have nothing to hide
Source:Viral Video Chart / Air New staff bare almost all - behind the scenes

これが本格的にバイラル化するかどうかも興味があるが、それは別として、TVCFの活用法が固まってきたようだ。YouTubeにチャネルを作り、そこで一連のTVCFやメイキングビデオをアップする。YouTubeに装備されているEmail転送、コメント追加、チャネル共有、友人として追加、そしてブックマークやiGoogleへの追加機能などを使って露出を拡散してもらうという方法だ。

(クリックでYouTubeのチャネルへ)
Source:YouTube/ Air New Zealand Nothing to Hide

ただし、残念ながらFacebook、Twitterなど他のソーシャルメディアサイト、ツールは今回のキャンペーンに統合されていなようだ。もったいない。

2009/05/11

Dramatic Shift in Marketing

面白いビデオがアップされている。

企業、マーケター、広告代理店は、マーケティングの現実で起こっている劇的変化に直面している。そして一般消費者へメッセージを伝えることができなくなってきている。

まず、次のビデオをご覧くださいと、Viral Blogは枕をふっている。


この大きな変化は、交換の効く、別ブランドと取り換えができる製品があふれ、ソーシャルメディアが勃興し、成熟しブランドに懐疑的な消費者がいる時代に起こった。だから今、マーケターは人々が製品、広告、ブランドともう一度、エンゲージする新しい方法を見つけなければならないと、Viral Blogは続けている。

Source:Viral Blog / The Dramatic Shift in Marketing Reality

ビデオは、「Let's get the people engaged again!」というテキストで幕を閉じる。

エンゲージしてもらうため、するために必要なことは、対等、オープン、双方向のスペースに参加し、対話することだろう。マス媒体にそのスペースは存在せず、ソーシャルメディアにしか存在しない。そしてコミュニケーションメッセージを一方的に配信する代わりに、ユーザ・顧客・消費者と対話する担当部署、担当者が必要となる。

まだ多くの担当者は劇的変化を無視している。このビデオを鼻で笑い飛ばす担当者のほうが多いだろう。それは洋の東西を問わない。しかし、すでに先進企業は新しい部署、担当者を配置している。それを笑い飛ばすことができるだろうか?

2009/05/07

Domino Pizza Lesson

まず、下のビデオを見て、「えーっ。とんでもない」と思わない人はいないだろう。特にDomino Pizzaの客は。

この上のビデオ(YouTubeのオリジナルは削除されている)がアップされた後、間髪をいれずDomino Pizza USAの社長、Patrick Doyleは謝罪し、ビデオに出た従業員を解雇したこと、そして対応策を発表したビデオをアップした。

通常、最初のビデオがもたらす緊急事態に企業がどのように対応するかというと、MSM (Main Stream Media)を使った公式の発表だ。「このようなことは事実ではありません。弊社は食品衛生法に則り…」といった内容を発表するだけだ。

4月13日にアップされたビデオは48時間以内に100万回視聴され、YouTube以外のサイトへもリポストされていき、タッチポイントはますます増えていくといった状況でMSM、あるいは予算をかけた打ち消し広告を出稿したところで何の効果もなかったろうし、そんなに時間をかけてはいられない。

なんとかしなければと頭を絞ったDomino Pizzaが取ったのは「目には目、歯には歯」の戦術だ。16日にYouTubeに社長のビデオを、最初のビデオを視聴した同じユーザスペースで企業からの公式ビデオとして公表したわけだ。

Source:San Francisco Chronicle / More Marketers are counting on social media

これと同じようなことは昔にもあった。劣悪な気象条件による運航停・休止に追い込まれたJetBlueのCEOが、YouTubeで迷惑をかけた乗客に謝罪したことがある。

参考:JetBlue: Our Promise to You (Online Ad 2007/03/08)

さて、Domino Pizza従業員のビデオがアップされた後、ビデオを見てもピザを頼もうというユーザは15%しかいなかった。社長のビデオがアップされた後、その比率は24%にまでアップした。社長が直々に謝罪したビデオの効果はある程度あったといえるだろう。

しかし、24%にしかアップしていないと見ると、一度落ちたブランドイメージは短期的な修復ではなく、MSMも使った長期的な修復作業、過程が必要だとも言える。

また、社長の謝罪ビデオがあったからこそ、ブランドイメージの急落を一定程度で抑えたということも言える。

どちらにしても、MSMとソーシャルメディアのいずれであろうと、片肺飛行ではもう立ち行かないということだ。ユーザがMSMとソーシャルメディアの両方でコンテンツを消費し、ソーシャルメディアスペースでコンテンツを作成し、共有し、拡散している時代に、MSMだけでコミュニケーションメッセージを配信しているとすると、それはもうレガシーマーケティングであり、レガシー広告であり、レガシーPRだ。

B2Cは無論のこと、B2Bメーカーも、YouTube、Facebook、Twitter、FriendFeed等など、様々なソーシャルメディアスペースに進出している意味を、今、注目を浴びているメディアだからとか、先走っているだけだとか、何の意味があるんだとか考えている方は、次のDomino Pizzaになった場合、ブランドイメージ回復にかかる時間はとてつもなく長期間にわたるだろう。