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2012/09/28

お客様相談センターの対応から見るソーシャルメディア体制

昨年の11月、時事.comで震災関連のビデオを見ていた所、「墓石」のターゲッティング広告が表示された。あまりにも無神経な広告掲載だと感じたのでメーカーにメールした。

以下は、その時の回答だ。
ご指摘の映像に、お墓の宣伝は、確かに問題だと感じましたので、 震災以外の映像も含むすべてのYouTube動画や震災関連記事には、 当社の広告を表示をしないように設定いたしました。 
インターネット広告がどのように表示されるのかについて配慮が十分でなく、 XXXX様にはご不快な思いを抱かせてしまいましたことに 心よりお詫び申し上げます。 
今後ともお気づきの点がございましたら お知らせいただきたく存じます。 この度は本当にありがとうございました。
そして、今週、「教えてGoo」で「がん」や「見舞い品」について見ていた所、「お葬式」のターゲッティング広告が表示された。あまりにも無神経な広告掲載だと感じたので全国規模の大手小売業者にメールした。

以下は、その時の回答だ。
日頃より、弊社をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
この度は、XXXXXの広告につきましてのメールをいただき恐縮いたしております。
お申し出内容を担当部署に伝えましたところ、 
XXXXX事業部の広告が、一部意図しないお客さまに表示されてしまい、お客さまに不快な思いをさせる結果になったことについてお詫び申し上げます。今回は、「教えてgoo」のシステムが、質問内容に関連する広告として当社広告を選び、掲載されたものと思われます。 
当社としては「病気」、「お見舞い」といったことに関連づける意図は全くありません。ご指摘のような点については、防御策も講じていますが、完璧に防げるわけではありませんので、「教えてgoo」で病気や見舞いに対する質問への回答」については、今後出ないようにいたします。 --中略--
と申しておりますので、何卒宜しくお願いいたします。
今後共、弊社をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
前段のお客様相談センターの回答と比べると後段のそれはあまりにも拙い。

回答文面そのものは別格に置くとしても、この小売大手企業の広告主としての知見の無さ、代理店任せで担当部署としての責任の無さ、社内縦割り組織の風通しの悪さなどが透けてくる。そして、覚束なさを埋めてくれるはずの消費者の声に傾ける耳を持ち合わせていないことも見えてくる。

こういった企業がソーシャルメディアを使った広告を出稿するのは難しい、ましてやエンゲージメントが入ってくるソーシャルメディアマーケティングを実行するのは難しい。

英国の小売最大手、TESCOはFacebook、Twitter、YouTube、そしてPinterestをやっている。
そして、TescoのFacebookではこんなやり取りがあった。
ニンジンを買って帰り、ローストチキンを作ろうとニンジンを取り出した時、1本逃げて行っちゃった。1本弁償して
という女性のウォール書込みに対して、 
逃げ出したニンジンの弁償はできません。なぜなら、目の前でニンジンが逃げ出すという新しい経験をされましたし、買った野菜が逃げ出さないように注意しておかなければならないという人生の教訓を学ばれましたから。ただし、逃げ出したニンジンがその理由を書きおいてくれればと思います 
とカスタマーサービスのサムが応えている。
まるで「生協の白石さん」を思い出させる軽妙なやりとりがある。

こんなバカげた時間つぶしの書込みに、ひとひねりしたレスポンスを返すことができるリソースがない限り、全国規模の小売大手企業は、FacebookやTwitterには手を出さない方が無難だ。

ただし、これは何も小売大手企業だけの話でもない。同じようなレベルの話はどの業種にも山ほど転がっている。

Facebookウォールにユーザの書込みを禁止している企業は何社あるのだろう?Facebookをリクルートに使っている企業数が1800社もあるという。そのうちの何社がFacebookを理解しているのだろう?

だから、規模の大小を問わず日本企業にソーシャルメディアは向かないのではとまで思えてくる。


2010/07/23

Mom Influencing and Influenced

先週、BabyCenterというニッチ・バーティカルサイトを紹介した。

参考:Blog and Vertical SNS (Online Ad 2010/07/14)

そこが、「The BabyCenter 2010 Mom Influencer Report」を出している。このレポートでは、Field Experts、Lifecasters、Pros、Audience、Butterfliesという5つのセグメントにソーシャルマムを分類している。

  • Field Experts
    子育て中心の在宅主婦層
    子育てアドバイスをソーシャルメディアを使って発信する。大きなママネットワークを持ち、実体験に即したアドバイスやレコメンドを行う。ソーシャルマムの8%を占める。33%のインフルエンスを持ち、BabyCenterといったコミュニティでは44%のインフルエンスを発揮する。
  • Lifecasters
    ミレニアルママ
    乳幼児を抱え、ソーシャルメディアを活用していつもコネクトしている。子育てだけではなく多くのトピックで相談される。Facebookで最も積極的に活動しており、大きなユーザネットワークおよび「Likes」を獲得している。ソーシャルマムの8%を占める。34%のインフルエンスを持ち、Facebookで47%のインフルエンスを発揮する。
  • Pros
    プロとなったママBlogger
    幼児を抱えたGen X世代でプロのBloggerとしてTwitterやBlogから膨大なネットワークにエンタメやお役立ち情報を発信する。ソーシャルマムの2%を占める。11%のインフルエンスを持ち、Blogで89%、Twitterで69%のインフルエンスを発揮する。
  • Butterflies
    リアルでも忙しい若い社会人
    出産経験がなく忙しい中、Facebookなどで友人とつながり、BabyCenterなどのコミュニティで妊娠、出産情報・アドバイスを受けている。ソーシャルマムの16%を占める。全体として7%のインフルエンスを発揮する。
  • Audience
    助言・アドバイスを聞く大多数のソーシャルマム
    乳幼児から学生まで多様な子供を抱えるママ達で役に立つ情報を求め、質問をし、製品レコメンドを受け入れる。ソーシャルマムの66%を占める。全体として15%のインフルエンスを発揮する。
Source:The BabyCenter / 2010 Mom Influencer Report

影響し、影響される姿は何も女性に限った話ではない。妊娠、出産、子育てといった女性特有の事象に限定されるのではなく、これは車、TV、PCなどに興味をもったり、こんど購買しようという意思を持ったすべての消費者・ユーザ達がそれぞれに影響し、それぞれに影響されるパターンと同じだ。

インフルエンス度数は変動するだろうが、上のセグメント分類や、影響・非影響度、信頼関係、製品推奨といったパターンはどんなケースにも適用される。そして、彼女たちの言葉、コンテンツ、コンテキストが影響し、影響されていることも女性だけの話ではなく、男性も、B2Cでも、B2Bでも同じだ。

ここには広告メッセージはない。ピアの体験、評価、推薦、そして個人ネットワークがある。そのピアやネットワークで共有してくれるメッセージでなければ届かない。

2010/07/16

Attracting Website Visitors

MarketingProfsからE-commerce Factbookのサンプルが出ている。

中に、「企業・ブランドの(小売)Webサイトへアクセスした際、もっとも影響を受けたものは何か?」と聞いている。
トップグループに来るのは、「ブランド:サイト、企業、ブランドに対する親近感」で32%だ。二番目は「Email:企業からのプロモーションemail」で13%。3番目は「広告:インターネット」で12%。

次のグループには、4番目以降の「広告:既存レガシーメディア」が9%、「検索結果」が9%、「(対面)WOM」が8%となっている。

最後のグループには、「その他」が4%、「(オンライン)WOM」が3%、「その他(ギフト)」が2%、「比較サイトからのリンク」が2%、「(レビューサイト)WOM」が2%、「広告(SNS)」が1%、「(Blog/forum)WOM」が1%、そして「その他(モバイル)」が0.3%だ。

Source:MarketingProfs / E-commerce Factbook

この調査は、23,000人のオンラインショッパーに対して「小売Webサイトへアクセスした理由」を聞いたものだ。

こういったオンラインショッパーをターゲットとするビジネスを展開する企業が最もよく使っているのはDMなどのダイレクトマーケティング、および検索広告ではないだろうか?

しかし、アクセス理由のトップに来る「ブランド:サイト、企業、ブランドに対する親近感」は、既存顧客のブランド体験、各種広告、検索、各種WOM、イベント、割引クーポン、DM・emailプロモーション、ソーシャルメディアマーケティングなどの複合要素が組み合わさった結果だ。すなわち、オフライン+オンラインIMCの結果だと言えるから、これがトップに来るのは当然だ。

ところがDM系のEmailプローモーションが二番目に来るのは良しとしても、検索結果(広告)がオンライン広告の後、レガシーマスメディア広告と同じ%しか獲得できていない。クリック詐欺は止まず、キーワード単価は上昇し、ROIが低下する検索広告は、この結果を説明できない。

もうひとつ言えるのは、このアクセス理由トップこそ、ブランディングだということだ。何もセレブをフィーチャーし、「XXXを検索」とTVCFを打つことがブランディングではない。ソーシャルメディアスペースに参加するブランドと会話したいと希望する多くのユーザがいる今こそ、ブランド体験やWOMの共有や拡散から親近感、信頼を勝ち取るブランディングが求められている。

折角、顧客・ユーザ・消費者が手を差し伸べてくれている時、わざわざ、面と向かってメガフォン越しに話をする企業・ブランドはいない。メガフォンに隠されていた「顔」を出し、手を伸ばして握るだけだ。「初めまして」と。

2010/07/14

Blog and Vertical SNS

BabyCenterというサイトがある。「妊娠や子育て」というニッチなトピックにおける最大サイトだそうだ。
Source:BabyCenter

そこから面白いレポートが出ている。

BabyCenterのプロモーショナルレポートなのだが、中に、「他の妊婦とコネクトしたり、妊娠や子育て情報に関しての情報を入手するために最もよく利用するSNSはどこ?」というスライドがあり、
  1. 43% Facebook
  2. 17% BabyCenter
  3. 9%  MySpace
となっている。

しかし、SNSアクセス目的を詳しく見ると、「情報入手」や「製品推奨」といった面でBabyCenterがトップですよというスライドが次に来る。「おつき合い」や「エンタメ」ならFacebookやTwitterがBabyCenterを上回るが、企業・ブランドのマーケティング戦略からすると、女性・Blogネットワークや、BabyCenterといったバーティカルなSNSですよというわけだ。
それは、「妊娠や子育てに関する質問」、「子育てのコツや助言」、「同じ妊婦さんからの情報」といった点で、BabyCenterやCafeMomが、Facebookを上回っていることからも明らかだ。
Source:BabyCenter / Study April 2010 (pdf)

BabyCenterのようなニッチSNSはいくらでもある。FacebookやTwitterがソーシャルマスメディアとするなら、それはソーシャルニッチ・バーティカルメディアと言える。

今後、このソーシャルニッチ・バーティカルメディアの重要性が増してゆく。妊婦などが必要とする(製品)情報がソーシャルマスメディアにはないことを知っているからこそ、彼らはソーシャルニッチ・バーティカルメディアへアクセスしている。FacebookやTwitterが巨大化し、ソーシャルマスメディアになるにつれて、こういったニッチ・バーティカルメディアのニーズが増してゆくはずだ。

一方、ひょっとすると、FacebookやTwitterがレガシーメディア化、あるいはTV化してきているのかもしれない。結局、それを使う企業・ブランドがTVと同じように一方通行のメガフォンマーケティングチャネルとして使っているということだ。

既存マーケティングをソーシャルメディア化するグループと、ソーシャルメディアを含めたIMCを推進するグループに二極化すると考え、最終的にはIMC側が勝利すべきだと考えている。が、単純ソーシャルメディア化グループが、既存組織のまま、既存予算を振り向ける形が主導権を握っているのだろうか...?

参考:Japanese Brand Endangered (Online Ad 2010/06/21)

2010/06/08

UK Internet Users 2009

久しぶりにOfcom(英情報通信庁)を覗いて見たところ「UK Adults' Media Literacy」という新しいレポートが上っていた。

2005年、2007年、2009年と様々な要素、項目を比較している(調査項目によっては2005年はない)。

まず、SNSにプロファイルを持つ比率が倍になっている。2007年に22%だったものが、2009年には44%だ。当然、若年層の伸びが高いのだが、35-44歳、そして45-54歳層の伸び率は若年層のそれを上回っている。また、男性に比べて女性の伸びが大きい。
SNSの中でもMySpace、Beboからユーザが移ったFacebookは90%がプロファイルを持っている。また、今回から調査対象となったTwitterは10%がアカウントを持っている。
さて、SNS利用の中身だが、「日々出会う+たまにしか会わない」友人・家族との会話が延びている。そして、それ以外で伸びているのは「キャンペーンや嘆願・請願・支援依頼」だ。
Source:Ofcom / UK Adults' Media Literacy

中高年、女性、Facebook(+Twitter)というキーワードが見えている。そして、それに加えて、社会貢献、あるいは企業・ブランドのキャンペーンというパターンが顔をのぞかせている。

家族、友人、知人、同僚、友人の友人・知人といった個人ネットワークに加え、キャンペーンを経由して企業や団体などとのエンゲージメントが開始されてきたということだ。また、これはSNSユーザ自身が各種社会貢献活動を支援、先導しているからこそ、SNSにおける企業・ブランドとのエンゲージメントに注目してきたということでもある。

SNSに参加してソーシャル広告を流すだけの企業・ブランドもいるだろう。しかし、参加したスペースでファンを集めるだけ集めて、今までと同じようにブロードキャストしたとしても、その対象はエンゲージすることを求め始めている。広報、広告、マーケティング部では担当したことのないエンゲージメントを求められた時、小手先でかわせるほど簡単な話にはならない。そして、そのやり取りがオープンなことを既存の広報、広告、マーケティング部は理解していない。

2010/02/23

Mobile SNS

以前、Mobile Web Explosionを書いた。

参考:Mobile Web Explosion (Online Ad 2010/02/02)

その際、
この見たこともないような巨大ネットワーク、メディアとSNSが合体し始めている。
と書いたが、そのモバイルとSNSのつながりの一部を示してくれるデータがOfcomから出ていた。

2009年12月にリリースされた「ICMR 2009 Charts」によると、欧米6各国の中でモバイルSNSアクセスの最も高いのは英国で30.9%。すなわちモバイルユーザの30.9%、350万人がSNSへアクセスしている。次いで米国の30.1%、1,750万人、スペインが16.7%、110万人となっている。
Source:Ofcom / The International Communications Market 2009

そして、2月11日、Facebookのモバイルユーザは1億人を突破している。ユーザ数が4億人だから25%ということになる。

Source:Facebook Blog / 100 million and Growing

米英はモバイルSNSがモバイルユーザの30%を越え、世界最大のSNS、Facebookのモバイルユーザは25%を越えている。このモバイル率はこれからも一層上昇してゆく。

音声から、SMS、MMSへ移行する世界のモバイルユーザは、PCで慣れ親しんだSNSへも当然、アクセスすることになる。そして、In the field、On the moveというデバイス属性は通常メディアの域を越える。

モバイルコネクション、モバイルユーザ、そしてデバイス属性を意識したコンテンツクリエイティブ、コンテキスト、そしてまったく新しいアプローチ、コネクションが必要となる。今までのオンラインマーケティングを拡張したとしても筋違いになる可能性が高い、そんなスペースが待ち受けている。

2010/02/01

Top Priority of Digital Marketer

Society of Digital Agenciesというところから、「SoDA 2010 Digital Marketing Outlook」というレポートが出ている。

世界中のマーケティング関連の役員レベルを調査した処、今年のデジタル予算は大幅に増えそうだ。デジタル広告・マーケティング代理店を10数%とすると、レガシー広告代理店は20%弱も「大いに増える」と予想している。そして、ブランドは70%前後も「増える」と予想している。

特に注目すべきは、デジタル広告・マーケティングもレガシー広告代理店も数%「大いに減る」と回答している。が、ブランドは0%だ。
現在の経済状況で「長期的にデジタルマーケティングが増える」と考えているのは、ブランドで60数%だが、それ以外すべての調査対象で70%を超えている。
だからデジタルマーケティングに対応できる人材が必要となる。デジタルマーケティング部門の人員を増やしたのはデジタル広告・マーケティング代理店の25%前後、レガシー広告代理店は30数%もすでに人材を雇用し、まだ募集中のようだ。
最後に、2010年のトッププライオリティを訊いている。

9カテゴリの中で「トッププライオリティ」だとされたのは、「ソーシャルネットワーク・アプリ」がトップで45.4%。僅差で「インフラ」が44.5%だ。そしてゲームを除く、残る7カテゴリともに「重要」とされている率が高い。
Source:Society of Digital Agencies / SoDA 2010 Digital Marketing Outlook

トッププライオリティに挙がっているソーシャルネットワーク・アプリと合体するのはモバイルだ。モバイルのPVが70%程度になっているMixiの例を引くまでもなく、Facebookであれ、MySpaceであれモバイルアクセスが増えている。

今年はごく一部の企業・ブランドにとって、ソーシャルメディアマーケティングを本格化し、モバイルSNSマーケティングを立ち上げてくる年になる。

ただし、それ以外の企業・ブランが活用しようとしているマーケティング戦略は従来からのマーケティング手法をソーシャルメディア化、あるいはモバイル化しただけのものだ。今までの手段、法則、指標で全く違うユーザをターゲットにしている。

与えられた牧草を食み、牧羊犬の指示通りにLEDシートを背負わされ、あっちこっちと動かされて羊文字や絵を描いた、もの言わぬ羊さん達はもういない。籠から逃げ出し、あちらの枝、こちらの枝へと飛びまわり、ピーチク、パーチクとかしましい鳥さん達は、企業・ブランドが振る旗には目もくれず、集団となって駅前に糞を撒き散らす。羊さん達なら牧羊犬の出番もあるが、勝手気ままに空を飛びまわる鳥さん達を先導するのはThought Leader(実践的先駆者)しかいない。牧羊犬で鳥さん達に指示して、こちらの思い通りの巣箱へ誘導することなどできはしない。

SNSとモバイルが合体する時、レガシーマーケティングの終焉は早まる。

2009/12/16

Social connection to E-commerce

OneUpWebから「The 2009 Holiday Special Report」が出ている。

まず、小売、ソーシャルネットワーク、レビューサイトのトラフィック比較をしている。ベンチマークのGoogleと比較するとかすんでしまう小売サイトもあるが、Facebook、eBay、Amazon、そしてWalmartは十分なユニークビジターを獲得している。
そして小売サイトへのリフェラルを見ている。Amazon、Walmart、Best Buy、SearsにしてもGoogleとYahooを除くと、Facebookが必ずトップ5に顔を出している。小売サイトの中でもAmazonへのリフェラルトップ5(Google、Yahooを除く)のうちeBayを除く4サイトがソーシャルメディアスペースとなっている。
Source:OneUpWeb / 2009 Holiday Special Report (pdf)

4サイトともに競合サイトからのリフェラルがあるが、これはリアルでも同じだ。あそこの店とここの店をチェック、比較して薄型TVを買うといった消費者の行動がオンラインでもあるだけだ。

しかし、AmazonのリフェラルトラフィックにFacebook、YouTube、Wikipedia、そしてTwitterが入っているのは、Amazonがいかにソーシャルメディアフレンドリーなのかが見えてくる。各ソーシャルメディアスペースにおけるプレゼンス、コンテンツ発信、対話、そして共有というフローがなければこれほどまで他小売サイトと大きな差はできない。

そして、ソーシャルメディアスペースからのリフェラルが上位を占めるべきは何もE-commerceサイトだけではない。B2Cであれ、B2Bであれユーザ・顧客、ビジネスパートナー、他のステークホルダーからのアクセスが必要なサイトはすべて、Facebook、LinkedIn、Twitter、ブランド独自ソーシャルメディアスペースからの流入トラフィックが必要となる。いつまでもSEOやSMOに縛られている必要はない。というか、検索がらみのタッチポイントよりもコンテンツ生成やコミュニケーションが発生するソーシャルメディアスペースでのマーケティング、メディアリレーションズが求められる。

ソーシャル検索はもうそこまで来ているのだから。

参考:Social Search Impact (Online Ad 2009/10/28)

2009/12/09

Social Media Expertise of Agency

売上500万㌦から5,000万㌦までの小規模代理店6,000社のうち212社が調査に協力して先ごろ、RSW/USから、「Agency New Business Survey」が出てきた。

代理店が新しいビジネスを開拓する困難度、その理由、新しいビジネスを獲得したリソース、新しいビジネスを獲得するための人員採用、採用した人員のスキル、なぜ人員を採用しないのかなどを訊いている。

その中で代理店が新しいビジネスを獲得するため、また代理店の経営陣がソーシャルメディアをどれくらい使っているかを訊いている。

10段階の図があるが、これを「常時(10-9)」「いつも(8-7)」「ときどき(6-5)」「たまに(4-3)」「まるで(2-1)」に分けると、21%が「常時+いつも」ソーシャルメディアを活用しているということになる。そして59%が「たまに+まるで」ソーシャルメディアを活用してない。
次に代理店がどんなソーシャルメディアを使っているか訊いている。代理店にとって新しいビジネスを開拓、推進する人材雇用の面もあるのでLinkedInが最も利用率が高く74%となっている。次にFacebookの67%、Twitterが57%、blogが56%だ。日本ではそこそこ人気のあるTumblrは2%でしかない。
Source:RSW/US

さて、中小規模の代理店は新しいビジネス開拓に大きな困難に立ち向かっているようだ。

コスト削減をセールストークに載せられなければ、既存ビジネスを新規代理店に任せる企業・ブランドはいない。代理店にとっても、企業・ブランドにとっても新しいビジネスとなるとソーシャルメディアぐらいしかない。

そのソーシャルメディアを提案する代理店の能力、習熟、実績、コストを含める提案書に上の図を載せられるだろうか?そしてCDO(Chief Digital Officer)の存在も必要となる。ただし、これは中小代理店に限った話ではない。59%が「たまに+まるで」ソーシャルメディアを活用してないのは中堅、大規模、グローバル規模の代理店にも当てはまる。CDOになると大手でもいる企業は限られてくる。

ソーシャルメディアスペースのスキルが高いだけではなく、ソーシャルメディアスペースを活用するメリット、アドバンテージを提示できない限り、中小代理店に生き残る道は少ない。逆にメリット、アドバンテージを体感できるまで活用が進んでいれば、新しいビジネスを開拓し、大規模代理店の牙城を突き崩す道は開けてくる。

2009/12/08

Global Map of Social Web

先月、Global Web IndexからGlobal Map of Social Webというデータ・図が出ている。
(クリックで拡大)
ちょっと分かりにくいのだが、例えば、下のカナダの例を引くと、
  • ソーシャルネットワークに参加しているユーザは46.2%、1,020万人
  • 写真をアップロードしたことがあるユーザは40.9%、900万人
  • ビデオをアップしたことがあるユーザは14.9%、330万人
  • 自分のblogを書いているユーザは10.6%、230万人
  • Twitterをやっているユーザは5.1%、110万人
ということになる。すべてがPC経由ユーザの数字となっている。
日本の場合、他国と比べてソーシャルメディア比率が低く示されている。これは、モバイル経由ユーザが多いためだ。Global Web Indexによれば、日本の場合、34%以上がモバイル経由となっておりPC経由を上回っているとのこと。英国ではモバイル経由はまだ3%なので、ソーシャルメディアの今後を暗示していると書いている。
Source:Global Web Index / Global Map of Social Web

Global Web Indexのデータは、ちょっと首をかしげたくなるような面がある。だから、図はあまり拡大せず、全体図として俯瞰するのがベストだ。

Blog、Twitter、写真、ビデオ、SNSにしろ、そのすべてが自分を外に対して出す行為、他者とコンテンツを共有する行為であること。世界各国にソーシャルメディアは百万人単位で普及、浸透していること。この動きがこれからも進んでゆくであろうこと。それらが俯瞰できる図だ。

さて、ちょっと話は変わるが、「大半の消費者にとって広告は、めったに、あるいはまったく、使っているブランド製品を切り替える効果はない」というHarris Pollの結果をAdWeekが伝えていた。

曰く、
  • 1%  ブランドを切り替える効果がいつもある
  • 30% ブランドを切り替える効果はたまにある
  • 53% ブランドを切り替える効果はめったにない
  • 11% ブランドを切り替える効果は全くない
広告忌避は55歳以上のコホートが最も高く、16%は全く広告効果はなく、57%もめったにないと答えている。24%はたまに、そして0%がいつもと答えている。

そしてタフなオーディエンスと見られている18-34歳の場合、2%がいつも、36%がたまにと答えている。55歳以上のコホートよりは効果があるようだ。

Source:AdWeek / Do Ads Motivate You to Switch?

これらタフなオーディエンスと見られている18-34歳は、デジタルネイティブ世代であり、彼らが熱中、あるいは没頭しているのがソーシャルメディアだ。

Harris Pollが言う「広告」は、オフもあればオンもあり、そのチャネルごとの効果には言及していないようだ。だが、55歳以上のコホートよりも広告許容があると見られる彼ら、デジタルネイティブが消費するソーシャルメディアに広告を出せばといった短絡思考ではうまくいかない。なぜなら彼らは自己を発現するため、友人・知人・同僚・全くの赤の他人とのコンテンツ共有をするためソーシャルメディアを使っているからだ。そこで突然、邪魔者な広告が顔を出せば結果は見えている。もし、そうでなければFacebookはバナー、リレーショナル、ソーシャル広告で埋まっているはずだが、そうはなっていない。

このHarris Pollのデータを合わせてみるとGlobal Map of Social Webとは、広告効果が減衰してゆく世界図と捉えるのが最も正しい見かたかもしれない。

2009/11/30

Social Media in Inc. 500

マサチューセッツ大学ダートマス校のマーケティングリサーチセンターからInc.500に選出された急成長の未上場企業のソーシャルメディア対応に関するデータが出ている。

まず、どれくらいソーシャルメディアを知っているかと訊いている。SNSが75%、Blogが67%、そして今年から調査が開始されたTwitterが62%だ。掲示板とオンラインビデオの比率が下がっているだけで、その他は全て2007、2008、そして2009年と認知が上ってきている。
次にどのソーシャルメディアを実際に活用しているかを訊いている。SNSがトップの80%、Twitterが二位で52%、そしてBlogが45%だ。掲示板、オンラインビデオ、Wikis、Podcastの活用率が下がってきている。
そして、今使っていないとしたら、これから使おうと考えているのは、Blogがトップで44%、オンラインビデオが36%、掲示板が32%、TwitterはPodcastと同じで27%となっている。
そして、使っているソーシャルメディアがうまくいっているかどうかを訊いている。WikisからTwitterまで80%以上がうまくいっていると答えている。評価が落ちたのはオンラインビデオだけだ。
ただし、これらソーシャルメディアがビジネスやマーケティング戦略に関してどれくらい重要かという判断になると、まだ不明だったり、それほど、ほとんど重要ではないと答えている企業もいる。
しかし、非常に重要、あるいはそこそこ重要だと判断している企業が多いことは間違いがない。
最後に、「ソーシャルメディアで企業名、あるいはブランドをモニタリングしてますか?」もっとも重要な質問をしている。
Inc. 500に選出される企業の68%が「モニタリングしている」と答えている。2007年に50%だったものが68%にまで伸びている。
Source:UMASSD / Social Media in the 2009 Inc.500 (pdf)

どのように「モニタリング」しているのか、その中身は分からないが、少なくとも68%の企業はソーシャルメディアで自社・ブランドがどのように語られているのか「聞き耳」を立てている。

マスメディアキャンペーン後にフォーカスグループからある意味でコントロールされたフィードバックをもらうより、企業・ブランドコンテンツそのものがどのように味付けされ、焼かれたのか、煮られたのか、蒸されたのか、あるいはどんなソーシャルコネクションをたどってそこへ行きついたのかを知る方がよっぽどましだ。そのためには、「聞き耳」戦略しか使いようがない。

Inc.500に選出された未上場企業だからフリーツール・サービスを使っているのが大半だろうが、一部は有料ツール・サービスを使い、深堀しているのだろう。それは自社の潜在顧客、アドボケーター、インフルエンサーを知るというもっとも基本的なマーケティングを行っているだけだ。だが、この「聞き耳」は、予算をかけたレガシーマスメディアキャンペーン効果に匹敵する。

2009/11/20

Razorfish FEED 2009

RazorfishのFEED 2009が出ていた。

まず、Forrester ResearchのNorth American Technographics Benchmark Surveyのデータを引いている。すなわち、「消費者はメディア消費時間の34%をオンラインに費やし、TVには35%。45歳未満の消費者はTVよりもインターネットで時間を消費している」ことから、「Digital Primacy(消費者はまずインターネットに手を伸ばし、動き、コネクトし、そして世界を知る)」という「デジタル最優先」というトレンドに入ったとしている。

Razorfishの調査では、消費者の57%は自身のホームページをカスタマイズし、フィード受信その他をしており、84%は友人とリンクやブックマークを共有している。そして55%はRSSフィードを受けている。

だから、オンラインニュースソースにレガシーニュースメディアサイト以外にも、Facebook、Twitter、その他が入ってきている。
加えて、消費者の84%はニュースソースとしてオンラインに依存し、76%はオンラインビデオを視聴、73%はSNSへアクセスし、62%は音楽を聴取している。また、56%はモバイルでもニュース配信を受けている。モバイルはローケーションベースアプリ、サービスという新しいビジネスを開こうとしており、「Digital Primacy」にモバイルを上乗せすると、「Connected Consumer」という姿が見えてくる。

この「Connected Consumer」をRogersのDiffusion of Innovationに重ねて、レイトマジョリティまでをカバーするとしている。
他にもデータはあるが、ちょっと面白いものがある。それは「どうしてTwitterでブランドをフォローしているのか」だ。

消費者はゲンキンだから、「特売や安売りをゲットするため」が43.5%でトップだが、「今使っている、持っているから」が23.5%、「コンテンツに興味や関心がある」が22.7%、そして、「自分の知っている人がファンだから」が6.3%となっている。
そして、それは「どうしてFacebookやMySpaceでファンや友人になるのか?」を見ても、同じ結果だ。

ここでも「ゲンキンな消費者」が36.9%だが、「今使っている、持っているから」が32.9%、「コンテンツに興味や関心がある」が18.2%、そして、「自分の知っている人がファンだから」が6.2%となっている。
Source:Razorfish / FEED 2009 (pdf)

ブランドへのロイヤルティや個人のソーシャルコネクションからフォローしていたり、ファンになっている消費者が多い。マスのレガシーメディアではできないことが、TwitterやFacebook、MySpaceというソーシャルメディアで実現できる糸口がある。が、それを理解しない限り、下図にあるように、ブランド認知、購買意思、購買決定、ブランド推奨がアップすると言った画は、食べられない餅でしかない。
しかし、大多数がまだ食べられない餅を夢見ている現在、すでに食べられる餅を口にしている先端企業・ブランドも存在する。多くの企業・ブランドは競合情報を競って仕入れているはずだ。しかし、こと、ソーシャルメディアマーケティングのケーススタディ、コスト、ROI、必要要員、予算などは仕入れる情報には含まれていないようだ。

2009/11/04

IAB Social Media Research

一昨日、「Online Friends & WOM」でGlobal Web Indexのデータを取上げたばかりだが、もうひとつGlobal Web Indexの資料を紹介する。

参考:Online Friends & WOM (Online Ad 2009/11/02)

それは10月22日のIAB Europe Councilで行われたプレゼンだ。2010年というのは2009年のミスだと思う。

国ごとにインターネットを利用する理由を聞いたところ、いずれの国も、「友人と連絡を取り合う」がトップだ。中でもロシアは50%を超えている。
そして、ソーシャルネットワークのプロファイル編集とBlog書き込みを見ると、欧州各国の中では英国とロシアのソーシャルネットワーク関与が高い。それにしても中国、韓国、日本のBlog漬が高いというか、ひどい。また、メキシコ、インド、ブラジルといった国でもBlog関与が高い。国や地域でこれほどの違いがあるのはちょっと驚く。
ソーシャルネットワークとBlogに、TwitterとWebを加えてみると、スペイン、イタリア、ロシアと他の欧州諸国では前者がTwitterおよびWebでの活動も盛んに行われていることが分かる。特にイタリアとロシアのTwitter利用は10%を超えている。
Source:SlideShare / Gobal Web Index - IAB Social Media Research

欧州も米国同様にソーシャルネットワークとTwitterということになる。国によってはBlogもということになる。どのソーシャルメディアスペースにしたところでユーザが連絡を取り合い、近況報告に加えて様々なコンテンツを共有していることは間違いがない。

そして、そのコンテンツの中心になるのは、ユーザの身の回りを取り巻くインターネット、携帯、PC、Google、Facebook、ゲーム、ビデオ、音楽などのデジタル関連コンテンツだ。

2009/10/30

Listen, Participate and Engage

10月27日付けeMarketerのニュースレターに「American Brands that Inform」がある。

「ブランドが実行できる米国インターネットユーザにとって最も適した、受け入れられやすいアクション」として以下が挙げられている。当然、「値引き」が五段階評価の3.9でトップ、2番目から5番目まではブランドがやらなくても済む話だが、6、7、8、9、11番目になると、如何にユーザがブランドとエンゲージしたいかが分かる。
  • 6位:ユーザに適した場所に広告する
  • 7位:ユーザが企業・ブランド、あるいはスタッフとやり取りできるプラットフォームを作る
  • 8位:ユーザが製品を使えるライブイベントを開催する
  • 9位:オンラインコミュニティを作る
  • 11位:ユーザが他のユーザと会えるリアルなコミュニティを作る
そして、「米国インターネットユーザが製品購買意思決定のために情報を収集した信頼できるソース」として以下が挙げられている。ここでも当然、家族が五段階評価の4.2でトップ。親友が4.1、業界エキスパートが3.8と来て、「ソーシャルネットワークのコンタクト」が隣人の3.2と同率で4位になっている。基本的に顔の見えない「ソーシャルネットワークのコンタクト」が、顔の見える隣人と同率の信頼を獲得するところまで来ているのが分かる。
Source:eMarketer / American Brands that Inform

プラットフォーム、イベント、コミュニティを作って、ユーザとエンゲージしてくれと言われている企業・ブランドに「聞き耳」戦略がなければ、これらユーザの要望を知ることもできない。それらのスペースで語られるお金に代え難いユーザの意見、アドバイス、批判を無視し、見逃すことになる。

そして、そうこうしている間に、製品購買意思を決定する情報収集プロセスに大きな比重を占めつつある「ソーシャルネットワークのコンタクト」からブランドが語られている。この「ソーシャルネットワークのコンタクト」は、どこからそんな情報を仕入れているかというと、マスメディアもあれば、ソーシャルメディアもある。対面WOMもあれば、オンラインWOMもある。ただ、企業・ブランドがソーシャルメディアスペースに参加し、Facebookファンページでユーザとエンゲージしていたり、Twitterでつぶやいていればいるほど、そのコンタクトがブランド情報を仕入れやすくはなる。

Susan BoyleのファーストアルバムをTweet/RTしたり、Southwestのバックパック話をリレーしている数多の「ソーシャルネットワークのコンタクト」を考えると、対面WOMよりも各種制限がなく、世界中に広がるオンラインWOMが一層、パワーを持ってくることは明らかだ(本BlogでWOMとは、Word of MouthやWorld of Mouthではなく、Web of Mouthを言う)。

参考:Susan Boyle Debut Album: Online WOM (Online Ad 2009/08/28)
参考:Southwest: Brand Royalty (Online Ad 2009/10/26)

そして、ソーシャルメディア専任担当者がいる企業・ブランドは、Facebookでも、Twitterでも、ユーザと対話しながら、ブランド体験を広めてゆくことになる。

2009/10/22

LinkedIn reached 50 million

LinkedIn参加メンバーが5,000万人を超えたようだ。2008年の4月に2,000万人を突破したと書いたから、おおよそ1年半で3,000万人増えたことになる。

参考:LinkedIn passed 20 million users (Online Ad 2008/04/25)

2003年にスタートした時点では100万人増えるのに477日かかったそうだが、今では100万人増えるのに12日しかかからないそうだ。5,000万人の半分は米国以外のユーザで、1,100万人は欧州、インドは300万人、オランダのユーザは人口の30%にも達している。

LinkedInのAboutに下のビデオが上っている。(ちょっとおかしい日本語版もあるので、そちらはAboutへ)



Source:LinkedIn blog
Source:LinkedIn/About

Facebookが3億人、YouTubeが多分3.3~3.5億人、そしてLinkedInが5,000万人と、世界中のユーザがソーシャルメディアスペースに集っている。このパラダイムシフトを受けて、一部ではFacebookをマーケティングの核に据えようとする動きもあるが、まだ、今までの広告中心のマーケティングから完璧に抜け出したケースはない。ただし、Facebookをグローバルなブランディングに活用するため、19の国・地域向けのインタフェース、タブを用意しているブランドはある。

さて、B2B/B2Cであれ、CSRや慈善事業であれ、FMCGやITであれ、もはやソーシャルメディア抜きに語れないところまで来ている。そして、モニタリングしていないと、どの国のユーザがブランドに対して何を言っているか分からず、競合ブランドがどんな新しいマーケティングを行っているのかさえ分からない。

今、ソーシャルメディアスペースの調査さえしないのでは、これからの5年、10年先に、そのブランドが存在しているかどうかさえ怪しいと思える。

2009/10/16

Philanthrophy for New Consumer

BBMGから、「From Legacy to Leadership: Is Philanthropy Ready for the New Consumer?」というホワイトペーパーが出ている。

昨年のリーマンショック以降、経済状況の変化は、個人や企業だけではなく、慈善活動・団体にも重大な変化を及ぼしている。米国の著名団体、Nature Conservancy、AmeriCares、Red Cross、Boys and Girls Clubなどはレイオフやサービス縮小などがアナウンスされている。

そんな中、消費者が重要だと感じる項目にも変化が及んでいる。自身の健康、教育、安全な飲み水といった個人的な事柄がトップ3となっている。その後、疾病、代替エネルギー、労働、貧困など他者、社会、地球など自分から少し離れた事柄、「社会的な意義」が続いている。
こういった変化は何も経済状況にだけ応じておこるものでもない。消費者の意識、消費者を取り巻く環境そのものが変わって来ているからだ。

消費者が社会的な意義を見出す活動そのものが、どのようなメリットを生み出すのか、どのようなインパクトを自身にもたらすのか、そしてそれがどのように見られるかを可視化しなければ、企業が行う慈善活動に賛同し、参加するアクションを起こす消費者は少なくなってきているということだ。

そこでBBMGは、Philanthropy 1.0から、期待される、あるいは、あるべきPhilanthropy 2.0への変化を示している。
Source:BBMG / Whitepaper

あるべきPhilanthropy 2.0として示されているもののうち、
  • 啓発された自己興味
  • 賛同者のコミュニティへ
  • ボトムアップ
  • 多数の声
少なくとも上の4つを生起させているのは、今、消費者に大きな変化、影響を与えているもの、すなわち、ソーシャルメディアスペースではないだろうか?

例えば、FacebookにあるKellogg Careのページがやろうとしていることに上の4つは組み込まれているはずだ。
参考:Cone Summer 2009 Cause Trends Report (Online Ad 2009/10/09)

Kelloggのケースがベストではないが、少なくとも変化する消費者、賛同者、支援者が集うスペースに参加し、そこでの露出と共有を行っている。以前の ままのCSR、慈善活動では立ち行かない状況が見える中、社会、環境を変えつつあるソーシャルメディアスペースを活動に組み込んでいかなければ期待される効果は上がらない。そういうことではないだろうか。

自社Webサイトで様々な慈善活動、社会貢献を紹介している企業・ブランドは多い。しかし、そのコンテンツを紹介しているだけでは変化する消費者の価値観、意識からは離れたものになってしまう。ということは、コンテンツを消費も共有もしてくれないということだ。

Philanthropy 2.0とは、コンテンツ・意義を共有してもらい、可能な形で活動の支援を要請し、活動を広め、支援者やサポーターを育成し、彼らに主導権を取らせるまでに権限を委譲してゆくことを意味する。企業・ブランド、マスメディア、消費者のフレームワークで起きていること、パラダイムシフトを意味している。

2009/10/15

Online Travel Update

最近、HitwiseとExperianが、Global Online Travel Update Webinarをアップしている。

下はUK、豪、USにおけるオンライン消費時間シェアを2006年8月から2009年8月までを見たものだ。3年前と比べると半分には落ちているがUKユーザは3%強の時間を旅行関連で消費している。豪、USは2%前後ということになる。
次に検索エンジンから旅行サイトへのインバウンドトラフィックは3カ国ともに35%を超え、豪は45%近くにまで達している。
UKにおける旅行目的地別の検索シェア、トレンドを見ると、EUおよびUS関連検索シェアが下がり、その他およびUK国内向け検索シェアが上がっている。特にその他が3.4%も伸びている。
そして、旅行サイトへのトラフィックのうち、UKでも3%前後、豪は4%、そしてUSは6%程度がemailから生成されている。
また、旅行サイトへのトラフィックのうち、ソーシャルメディアサイトからはUKおよび豪で4%前後、USは5%程度となっている。
Source:Hitwise / How do people search for travel in the UK?
Source:Webinar / Global Online Travel Updatge

検索、email、SNSといったところがポイントになっている。中でもUK、豪、USの3カ国ともにインバウンドトラフィックのソースとしてシェアが基本的に右肩上がりで来ているSNSだろう。

Hitwise/ExperianのWebinarには、ソーシャルメディアを活用してトラフィック誘引に成功しているケースが3つ、4つ紹介されている。いかにソーシャルメディアスペースへの参加と、オープン、対等、双方向でのエンゲージメントが重要かが分かる。

しかし、何も成功例を参考にするのは旅行関係である必要はないのだが...。

2009/10/09

Cone Summer 2009 Cause Trends Report

Coneが「2009 Spring-Summer Cause Trends」を出している。

これは、今年上半期に注目された社会貢献活動・キャンペーンを収集し、10個のグループトレンドとしてまとめたものだ。
  1. Cause Lite
  2. Seasonal
  3. Home Grown
  4. Feeding America
  5. A la carte cause
  6. Bogo
  7. Ready set activate
  8. Service with a smile
  9. Cause renaissance
  10. Make your mark
Source:Cause Marketing Forum / Cone Summber 2009 Cause Trends Report
Source:Cone / Cause Trends - Spring/Summer 2009

4番目の「Feeding America」に、Kellogg、Snickers、V8、Mottが行っている活動が紹介されている。Kelloggは、Feeding Americaに5㌦以上寄付した顧客に5㌦のクーポンを提供し、加えて一日のシリアル製造量、5,500万食以上をFeeding Americaに寄付。Snickersは2.5万㌦の寄付に相当する300万食を提供する目標を掲げ、V8は100万㌦相当の3,000万食分の新鮮野菜を提供。Mottは、1回1㌦の「お早う、目覚ましコール」で100万食分の食料を提供する活動を行っているようだ。

KelloggはFacebookにページを持ち、20万人以上がファンになっている。
(クリックでページへ)

こういった活動は何もConeや、マスメディアが取り上げるだけではなく、活動をサポートする慈善団体、ボランティア、彼らの友人・知人ネットワーク、そしてソーシャルメディアスペースで露出されてゆく。一緒に活動を行う手助けにもなり、寄付にもつながり、そして活動自体の認知も上がってゆく。

社会貢献、慈善事業をソーシャルメディアスペースに組み込んでいる企業・ブランドが増えてきている。対価やROIでは決して計れない、消費者・顧客・ユーザへのコミットメントはマスではなく、ソーシャルメディアスペースでこそ表明し、発揮すべきなのかもしれない。

2009/10/08

Facebook War Between Ryanair and SAS

Simpliflyingが、RyanairとSASが戦った「喚き合い」を紹介している。

それによると、
数週間前、RyanairはSASの役員、取締役にRyanairの北方100ルートのタダチケットを提供すると表明し、SASのDirector of Communication and EVPであるClaus Sonbergがオスロからロンドンへの便に搭乗した。その模様をFacebookやTwitterで報告した。
そうだ。

ありふれたRyanairのフライト体験報告だったはずのものが、Ryanairはそんなに安くないから始まり、物売りの機内放送はうるさい、コーヒーの不味さ、Ryanairのプレスリリースに載っているロンドンへの航空券価格は嘘だへ発展し、Ryanairの肩を持つユーザも会話に参加してFacebookやTwitterでメッセージやコメントが行き交い、ゴタゴタに輪をかけたようだ。
この「喚き合い」から学ぶべきこととして、SimpliflyingのShashank Nigamは、次の5点を挙げている。
  1. Integrate new media and old media
  2. Don't just talk. Listen, then respond
  3. Add insights from analytics for targeted responses
  4. Give power to the listener
  5. Don't just let the traditional PR team handle it
Source:Simpliflying / Five lessons in crises handling from the Facebook war between Ryanair and SAS Scandinavian Airlines

5番目に挙げられている「Don't just let the traditional PR team handle it」で以下のように解説されている。
伝統的なPRおよびコーポレート・コミュニケーション・チームはレガシーメディアの扱いはうまいが、ニューメディアに関してはそうでもない。もし、危機がソーシャルメディアで起こった場合、ソーシャルメディアのプロに手助けしてもらうことが基本だ。
ソーシャルメディア担当部門がない航空会社の場合、コーポレート・コミュニケーションが対応するべきだが、その場合でも、少なくとも一人や二人、ソーシャルメディアを熟知している人間に補完させるべきだ。
YouTubeにしても、FacebookやTwitterにしてもサービスが開始されてからある程度以上の期間が達ち、欧米企業は様々なマーケティング、広告、PRに本格的に導入し始めている。当然、新しいメディア、ソーシャルメディアでの危機管理もプログラム化されているはずだ。

しかし、実情はたった13%でしかない。
参考:Ford: Online Monitoring (Online Ad 2009/09/17)

だから、Simpliflyingが書くようにPRのソーシャルメディア対応は後れているのかもしれない。本当なのだろうか?

そこで、この解説に対して、PRの専門家からコメントをいただきたい。特に日本のグローバル企業・ブランドの海外向けPRを担当されている方々からのコメントをお待ちします。