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2010/12/21

Difference Between Advanced and Laggard

毎日、ソーシャルメディアというキーワードを聞かない日はない。とに角、ソーシャルメディアが喧しい。バズワードとして十二分に日本中に知れ渡ったようだ。

ただし、それはソーシャルメディアのごく一部である「ツィッター」が取上げられているだけで、ソーシャルメディアそのもの、その本質、現在及び今後への影響を理解した上でソーシャルメディアが語られていることはそう多くはない。

TwitterやUstreamを使って最先端マーケティングをやっていると思っているが、それは違う。新しいツールを使い、苔むしたコミュニケーションメッセージを垂れ流しているだけだ。担当者の自己満足と、上層部の無理解が大手を振って歩いているだけだ。デジタルとか、インタラクティブマーケティング、あるいはソーシャルメディアマーケティング部という部署がある米国企業と比べ、昔からの広報や、広告、製品マーケティングや営業部隊が新しいツールを担当している日本企業は、とてつもなく後れている。

それを端的に表しているものがある。ソーシャルメディア関連の求人数だ。

Google.co.jpで「求人 マーケティング」を検索すると1,160万件がヒットした。Google.comで「job marketing」を検索すると1億1,300万件ヒットした。単純に考えれば米国は日本の約10倍のマーケティング関連求人があると言える。人口、企業数、求職状況を考えれば妥当な差ではないだろうか。

次に同じように今度は、「求人 ソーシャルメディア」、「job social media」を検索すると、google.co.jpは66.5万件、google.comは9,840万件ヒットした。ということは、米国は日本の約150倍のソーシャルメディア関連求人があるということになる。マーケティング求人の15倍の差がついている。それだけ日本にはソーシャルメディア関連求人がないわけだ。企業自体が如何にソーシャルメディア担当者を必要としていないかが分かる。広報や広告、マーケティングのプロは必要だが、ソーシャルメディアのプロは要らないのだ。
(ここまでの検索結果は12月13日)

このソーシャルメディア関連求人の中身はどうなっているか調べてみると、12月18日にgoogle.comで「job social media」を検索すると1億1,300万件がヒットし、「job social media agency」では1,430万件がヒットした。これを単純に考えれば、ソーシャルメディア関連求人のうち12.65%が代理店のもののようだ。米国は企業、メーカー系のソーシャルメディア関連求人が中心になっていると見てもいいのではないだろうか。

次にgoogle.co.jpで「求人 ソーシャルメディア」を検索すると74.5万件、「求人 ソーシャルメディア 代理店」では21.1万件がヒットした。ソーシャルメディア関連求人のうち28.32%が代理店のもののようだ。これを「求人 ソーシャルメディア 制作会社」とすると57万件なので、76.5%が外注系求人のようだ。少なくとも日本のソーシャルメディア関連求人は代理店系、外注先系の求人が多そうだ。

米国の求人サイトはどうだろうということで、「social media」をキーワードとして検索してみると、
  • Monster 1,000件以上
  • Job Search 3,625件
  • Indeed 29,288件
  • Career Builder 3,626件
となった。

日本のハロワや転職サイトを見ると、 これはもう悲惨としか言いようがない。いずれも職種、業種、勤務地などは空白として、キーワードに「ソーシャルメディア」を入れて検索してみた。
  • ハロワ 5件
  • パソナキャリア 4件
  • デューダ 18件
  • JACリクルート 1件
  • リクルートエージェント 2件
  • マイコミエージェント 0件
これらすべてが企業、メーカーの求人だとすると、米国の求人サイトと比べると数百分の一、数千分の一以下の求人しかない。非公開の求人もあるだろうが、上記求人数の10倍、100倍になるとはとても思えない。

日本企業、メーカー系のソーシャルメディア関連求人はこれほどお寒い状況なのだ。

社内のアーリーアダプターが社内伝道しても頭の固い上層部は首を振るだけ、他部署に伝道しても固い縦割りサイロ組織の弊害は越えられない。コンサルタントとして自社にコンタクトしていたEsteban ContrerasをヘッドハントしたSamsungまで行くのは不可能だろうが、既存組織ではできないことがあることさえ分かっていないという状況があるからだ。

参考:Japanese Brands Left Far Behind While Samsung Accelerating (Online Ad / 2010/08/09)

他部署に複層して関るソーシャルメディアマーケティングを行う部署を新設することが必要なのだが、日本のグローバル企業にその動きはない。既存部署のマインドセットのままでは、また、今までのコミュニケーションチャネルと同じコンテンツを供給していてはダメなのだが、本質を理解していないから根本のマインドセットを変えられていない。

既存部署の有志が新しいツールを使って既存手法をソーシャル化したり、あるいは既存部署にツールの担当者を入れて情報発信を行ったとしても、マインドセットが同じなので発信されるコンテンツは、毎日、郵便受けに投げ込まれるポスティングと一緒だ。読まれることも、共有されることもなく、ゴミ箱行きだ。

最悪なのは、代理店、エージェンシーがあげてくるソーシャル提案を鵜呑みにして、昔のままのマインドセット、既存部署、そしてツール主導の広告やマーケティングをやっている企業だ。いや、もっとひどい処も沢山ある。

さて、下はB2Bバイヤーが購買プロセスの3段階で使うコミュニケーションチャネルを、利用頻度と影響力に応じてプロットしたものだ。 利用頻度が高く、影響力の強いチャネルはWOM、展示会・セミナー、サプライヤーWebがあげられ、利用頻度が低く、影響力の弱いチャネルには、DM、LinkedIn、Webinar、雑誌広告があげられている。
それを30歳までのバイヤーでプロットし直してみると、まるっきり画が違う。高頻度、影響大のセクションに展示会・セミナー、DM、そしてWeb検索が顔を出している。また、低頻度、影響大のセクションに入っていたソーシャル系のTwitter、Blog、Facebook、コミュニティサイトが概ね右上へ移動している。
Source:BaseOne / Buyersphere Report (pdf)

B2Bでさえも既存チャネルと違うアプローチが必要になってきている。そして、30歳未満のデジタルネイティブと、30歳以上のデジタルイミグラントとではこんなにも違う。この状況を理解する企業と理解しない企業がいる。古いマインドセットを切換え、新しいチャネルに対応しようとする企業がいるし、そうしない企業もいる。また、苔むした既存チャネルにしがみ付き、既得権を手放そうとしない組織があり、人がいる。
参考:Digital Natives and Immigrants (Online Ad 2010/04/02)

半導体、液晶パネル、TV、リチウムイオン電池と韓国勢にシェア首位を奪われてきた日本企業は、製造メーカーとしても、パラダイムシフトの理解においても二番手、三番手に落ちこぼれている。縮小するしかない国内市場をかかえる日本の企業本社が、グローバルなブランディング、マーケティングをやらない限り、SamsungやLGの後塵を拝するのは間違いのないところだ。なぜなら、デジタルネイティブとイミグラントの差さえ理解しない企業に2011年以降の流れなど読めないし、コミュニケーションさえできないからだ。

2010/06/30

B2B goes Social

一般的にB2Bマーケターのソーシャルメディア対応は遅れているという認識を覆すようなレポートがWhite Horseから出ている。

と、言っても、それはある程度差が埋まってきたというレベルのものだ。例えば、フルタイムのソーシャルメディア担当者数がある。B2Cは54%が担当者を置いているが、B2Bは40%だ。ただし、企業規模からすると小さいと見られるB2B企業の40%が担当者をおいていることはB2C企業の54%に決して引けはとらない。
そして、兼任のマーケターを置いているかという点でB2BはB2Cを上回るといってもいい。B2Bの71%は兼任マーケターを2人以上置いているが、B2Cは62%だ。B2Bの場合、製品ごとや顧客ごとのマーケティングチームがあり、レガシーもやれば、オンラインもやるし、そしてソーシャルメディアもやるマーケターが多いということだ。この点で、B2Cのソーシャルメディア対応よりも一歩先を行っているかもしれない。
次にソーシャルメディアへの参加を見ると、外部フォーラムとPodcastを除きB2Cの参加が上回っていることは事実だ。また、一部のソーシャルメディア、例えば、モニタリング、UGC、バイラル、モバイルなどの差は大きい。モニタリングを除けば、これらはB2B属性とあまりそぐわないから致し方のないところだろう。が、全般を通して見ると、その差は狭まってきていると見て間違いない。
ただし、B2Bにおけるソーシャルメディア化を阻む障害が存在するのは事実だ。特に、「ビジネス適用の不適正」、「既存マーケティング優先」が大きく立ちはだかっている。
Source:White Horse / New Survey

最後のグラフには11項目がソーシャルメディアマーケティング遂行の障害として挙げられている。B2BがB2Cを上回って障害だと挙げられたのは5項目。逆にB2CがB2Bを上回って障害だと挙げられたのは6項目になっている。項目ごとのB2C/B2Bギャップはあるが、項目全体としてみるとB2CよりもB2Bのほうが理解が進み、承認される可能性が高まっていると見てもいいのだろうか?

残念なことに、この調査はLinkedInとか、Twitterとか、個別ソーシャルメディアへの参加、導入、活用に関してデータを開示していない。特に、B2BにおけるLinkedIn活用データを開示してくれれば、上の仮定から「?」が取れて、「見てもいい」と断言できたはずなのだが...、もったいない。

2010/06/22

Social Media at Work

UBM TechWebが「Social Media At Work」というWebinarを開催していた。

それによると、職場での仕事目的のメディア利用時間をメディア別に見ると、B2B Webサイトへのアクセス、B2B雑誌、Eメールニュースレターに次ぎ、4番目にSNSが来ている。ビジネスWebサイト、新聞、ビジネス誌などよりもSNSが仕事に利用されている。そして、IT専門家の40%は、これからの12カ月間でSNS利用時間を増やすと答えている。
どんなSNSへアクセスしているかと言うと、自社公式Blogは当然100%だが、その次に仕事目的で来るのはLinkedInだ。続いてTwitter、YouTube、Facebookと来ている。仕事と個人目的を合計すればTwitterがトップでYouTubeが二位で続いている。
なぜIT専門家がSNSを使っているかと言うと、同僚などとのつながりを、新製品・サービス・技術を知るため、SNSが技術・情報・アドバイスを入手する価値のあるスペースだと認識していたり、購買情報を仕入れたり、新しい企業・ブランドについて知るために活用している。
これほど、B2B業界・関係者やIT専門家が活用しているSNSなのだが、マーケティングとのギャップが指摘されている。すなわち、企業・ブランドのマーケターが評価しているそれぞれのソーシャルメディアスペースと、IT購買決定権者の評価が分かれている。

IT購買決定権者は、企業公式Blog、LinkedIn、Twitterに重きを置いているが、マーケターが力を入れているのはFacebook、Twitterであり、LinkedInはようやく三番目に顔を出している。
最後にソーシャルメディアを活用してB2B向けITマーケティングを行うためのアドバイスが6つ挙げられている。
Source:UBM TechWeb / Social Media At Work

IT購買決定権者とマーケターのソーシャルメディアスペース評価の違い、ギャップは非常に面白い。マーケターは人気、ブーム、注目を集めるFacebook、Twitter、LinkedInの順番になるが、IT購買決定権者は企業公式BlogおよびLinkedInが群を抜いている。

これは企業や役職者・社員が、ソーシャルメディアで共有されるコンテンツを発信し、共有されているかという判断だろう。また、それはオープン、対等、双方向のコミュニケーションをしているかという判断だろうし、タイムリーに質の高いコンテンツを継続的に制作、発信しているかということにもなる。

さて、最後に上げたすべてのアドバイスは、B2Bであれ、B2Cであれ同じことだ。ただし、どちらにしてもまず、1番目と2番目のアドバイスを継続実行し、特に2番目は必ず獲得しなければ企業として何も始められない。ここがネックになるのかしら...。

2010/04/23

LinkedIn for B2B

eMarketerが1月にHubSpotのデータから、LinkedInを使っているB2B企業のうち45%がLinkedInから新しい顧客を獲得したという表を出していた。Blog、Facebook、そしてTwitterよりもLinkedInのほうがB2B企業にとっては効果が高いわけだ。

Companies in North America Who Have Acquired a Customer from a   Social Media Site or Blog, by Customer Focus, January 2010 (% of   respondents in each group)

そして、その高い効果に誘われてB2B企業はLinkedInの活用を一層進めているというデータが出てきた。昨年よりもっと活用するようになった企業は47.8%もいる。
Change* in Use of Select Social Networking Sites for Prospecting/Research According to US B2B Sales Professionals, January 2010 (% of respondents)

Source:eMarketer / Leads for Less with Social Media
Source:eMarketer / B2B Sales Pros Turn to LinkedIn

といってもB2B企業の大半はこれらソーシャルメディアスペースを活用していない。YouTubeを使っていないB2Bが77.9%、Twitterが69.2%、Facebookが63.1%、Blogが51.9%と過半数を越えている。

しかし、一方、YouTubeにしても16.8%は昨年同様、あるいはそれ以上活用している現状がありながら、競合の動きをモニターしていないB2Bが大半だと言いかえることもできる。

ま、すべてのB2B企業がソーシャルメディアを使えないのはわかるが、それにしても如何に従来からのアプローチを強固な縦型サイロ組織で固めているかがわかる。LinkedInに限らず、ソーシャルメディアがB2Cであれ、B2Bであれ、企業のビジネスを変えつつあることは明らかなのだが...。

2010/04/21

Viral Video from Cisco

「The Future of Shopping」というビデオがある。YouTubeだけで視聴160万回を越え、Viral Video Chartによれば234のBlogが記事を書き、138件のコメントがあり、2,600のFacebook Shareをたたき出している。

ブティックで店員さんを横に、前後、左右、上下に右手を振りまわしている女性を見ると、ちょっと大丈夫かと思うが、少しすると合点が行く。鏡のようなディスプレイに向かい、バーチャルに服を試着したり、色違いを試したりした後、非接触カードで支払を済ませるまでを描いているビデオだ。


Source:YouTube / The Future of Shopping
Source:ViralVideoChart / The Future of Shopping

このビデオはBtoB OnlineがInteractive Marketing Guide 2010の中で、優秀バイラルビデオの最終候補としてHPとCiscoを選出しているが、そのCiscoのビデオだ。他にも「The Future of Healthcare」、「The Future of Education」があり、3本まとめて選出されている。

Source:BtoB Online / Interactive Marketing Guide 2010 (pdf)

Ciscoのバイラルビデオは、いずれも医療、教育、お買い物といった一般消費者の身近にある近い将来を描き出し、そのバックボーンを支えるCiscoのCatalystスイッチ、TrustSecセキュリティソリューション、G2ルーターを紹介するボーダレスネットワークのプレゼンへトラフィックを誘引している。

Ciscoによればビデオから6,000人がプレゼンへ誘引されたそうだ。SamsungのExtreme Sheep LED Artならいざ知らず、B2Bの総本山的なCiscoのバイラルビデオからIT・ネットワーク系の決定権者6,000人が誘引されたとすると大変な数字だ。

参考:Extreme Sheep LED Art (Online Ad 2009/03/24)

なぜ、「IT・ネットワーク系の決定権者6,000人が」と書いたかと言うと、簡単にプレゼンを見せてくれるわけではないのだ。氏名から始まり、所属部門、職位、業界、予算規模、世界の従業員数、職務詳細などを入力した後でなければプレゼンは見られないのだ。そこまで情報を入力してもプレゼンを見ようとする決定権者なのだ。

さて、3つのバイラルビデオを合計して約165万回の視聴、6,000回のアクセスからすると直接的CTRは0.36%ということになる。間接的にはFacebookユーザの平均友人数は130人なので2,600のFacebook ShareがあったことからするとFacebookだけで約34万人にビデオが露出した可能性があるし、234のBlogが記事を書いた露出も加えねばならない。BtoB Onlineのようなメディア系での露出もある。

従来からのB2Bマーケティングをやっている限り、こういった新しい試みは試されることもなく、先進企業・ブランドの後塵を拝するだけだ。この新しい試みとはバイラルマーケティングということではない。ターゲットにより近いスペースにタッチポイントを設置し、コンテンツやリンク、引用の共有や拡散を図り、ターゲットに自発的に独自コンテンツを作成してもらうことだ。その独自コンテンツをターゲットの個人的コネクション、リレーションズ、ネットワークで共有してもらうことだ。

B2Bというと対面営業・プレゼン、展示会、電話・Email、DMといったところがマーケティング上位を占め、ソーシャルメディアマーケティングの取り組みはまだまだ遅れている。そして、B2BやB2Cといった分類ではなく、広報、広告、総務、人事、CSR、環境・グリーン、顧客対応・サービスといった企業そのものの各部署の取り組みも遅れている。

デジタル化しただけではターゲットに届かないのだから、CSRレポートをpdf化してWebにアップしてもターゲットに近いスペースに置いたことにはならない。プレス・ニュースリリースをデジタル化し、共有ボタンや画像・動画を張り付けただけではソーシャルメディア化したことにはならない。コンテンツを消費してくれるターゲットが行動する範囲にそれは存在していないのだから。そして、以前からの広報や広告のように、リリースを発信したり、出稿したら手を出さなくてもいいのものではなく、出した後の方が手間暇をかけてメンテナンスをしっかりとやっていかなければならないものなのだから。

2010/03/18

Corporate Blogging

「The Corporate Bloggings and Social Media Trends Survey」というCompendiumのレポートをMarketingProfsが伝えている。

それによると、企業Blogにアクセスしたユーザの81~100%が初めてのビジターだというのは三分の二近い(63.2%)に達している。初めてのビジターが40%以下、すなわち、60%はリピーターだというのは合計しても3.9%しかない。

B2C企業の場合、初めてのビジターがトラフィックの80%以上を占めるという企業が72%。その大半は検索エンジンおよびリフェラルからやってくる。オーガニックな検索結果からのトラフィックが41%以上を占めているのは49%になる。

B2企業の場合、初めてのビジターがトラフィックの60%以上を占めるという企業が64%。オーガニックな検索結果からのトラフィックが41%以上を占めているのは40%になる。

Source:MarketingProfs / Most Business-Blog Traffic From First-Time Visitors

B2C、B2Bでの若干の違いこそあれ、企業Blogへのトラフィックがオーガニック検索、そしてリフェラルであり、そのリフェラルの大半を占めるのはソーシャルメディアスペースにおけるユーザ個人とそのピアリレーションズ、コネクション、ネットワークであるのは間違いない。そしてオーガニック検索にソーシャルメディアスペースでの露出が大きく反映されていることも間違いがない。

初めてのビジターをリピーターに変え、彼らのピアリレーションズ、コネクション、ネットワークにコンテンツを拡散、共有、再露出してもらうためには、企業Blogそのものがソーシャルメディアスペースに参加していなければならない。

企業Blogを立ち上げるだけで、ソーシャルメディアスペースに参加することにはならない。RSSフィードやTweetMemeガジェット、ブックマークおよび共有ツールを装備するだけで参加することにはならない。読者やリンク、引用が増えたところで参加していることにはならない。botが日に何回も、何ページにもわたってクロールしていようが意味はない。

企業Blogがユーザに対して価値を与えるコンテンツを提供していない限り、OOHの巨大看板のように雨風に晒されているだけで、また対話が成立していない限り意味がない。

2010/02/22

LinkedIn 2010

Dynamic LogicからAdReaction 2009というレポートが出ている。

様々な角度から、ブランド、消費者、ソーシャルメディアの結びつき、広告との関係などを調査したものだが、中からいくつか紹介する。

まず、Emailなどオンライン活動の参加度合いを見ている。95%のユーザが積極的に参加・利用するのはemailだが、ニュース・最新情報が76%、3番目にショッピングが来て、7番目、59%がソーシャルネットワーキングに積極的に参加している。これは音楽ダウンロードやBlogよりも高い。
ソーシャルネットワーキングの担い手はだれかと言うと、もう一部のアーリーアダプターやアーリーマジョリティだけではなく、レイトマジョリティの大半にまで及んでいる。下図のように年齢が上がれば上がるほど、2007年比で参加度合いが上っている。45-54歳の67%、55歳以上の55%というのは、ラガードの一部をも取り込んでいそうだ。
Facebook、Facebookと草木もなびく今日この頃だが、ユーザは何もFacebookだけにアクセスしているのではない。MySpaceにも、LinkedInへも行っている。2サイト以上アクセスしているユーザは44%もいる。
ただし、Facebookの優位は増すばかりだ。「6か月前よりもアクセス・利用が増えた+同じ」で見るとFacebookは93%。Twitterが90%に比べるとMySpaceは69%にしか過ぎない。
Source:DynamicLogic (pdf)

以降、DynamicLogicの資料は広告がらみのデータを上げているので、そちらはpdfを参照いただきたい。

上の図にある「Sites Visited」の三番目、42%のユーザがアクセスするLinkedInがある。そして、「利用頻度が同じ」で60%を上げているのもLinkedInだ。FacebookやTwitterに注目が集まるのは当然だろうが、LinkedInは見逃せない。

全世界200カ国に6,000万人のユーザを抱えるLinkedInは、単なる求職、求人募集サイトではない。Cレベルから中間管理職、同窓から専門職グループ、ソーシャルメディアマーケティングからバイオテックネットワークまで様々なプロが登録し、ネットワークを広げている。彼ら自身を消費者ととらえれば高学歴、高収入、そしてアーリーアダプター率が高いと見ることができる。彼らのネットワーク、コネクションに露出してゆくことは非常に意味がある。だからFacebook、Twitterだけではなく、LinkedInも同じ、あるいはそれ以上の評価をすべきだろう。

それは、以下のようにLinkedInのPress Coverageを見るだけでもわかる。

LinkedIn Can Be One of Your Most Valuable Traffic Sources, WebProNews, February 18, 2010

LinkedIn Lands In Microsoft Outlook, PCWorld, February 17, 2010

LinkedIn Quick Tip: Integrate LinkedIn with Outlook, CIO, February 17, 2010

How To Use LinkedIn From Microsoft Outlook, Business Insider, February 17, 2010

Video: LinkedIn Demos Outlook Integration, PocketLint, February 17, 2010

LinkedIn Connects with Microsoft Outlook, 901am, February 17, 2010

LinkedIn Now 60 Million Strong, TechCrunch, February 11, 2010

LinkedIn Quick Tip: How to Reorder Profile Sections, Computerworld, February 9, 2010

First Aid for Your Résumé, The Wall Street Journal, February 7, 2010

What's It Like Working For LinkedIn?, Business Insider, February 4, 2010

LinkedIn Offers Users Increased Control Over Profiles, WebWorkerDaily, February 2, 2010

LinkedIn Quick Tip: Should You Upgrade to a Paid Account?, San Francisco Chronicle, February 2, 2010

Source:LinkedIn / Press Coverage

2010/01/20

B2C/B2B Twitter Effectiveness

先日、MarketingProfsのオンラインセミナー、Naked Truthがあった。

中にB2C、B2BのTwitter利用に関するデータがあったので紹介する。

B2CとしてのTwitterを利用し、効果ありと判断したのは、
  1. リアルタイムのPR・広報トラブルをTwitteでモニター 46.9%
  2. ブランドに否定的Tweetするユーザにコンタクト 44.0%
  3. リンククリックを促進する挑発的な書き込み 40.6% 
そして、B2Bとしては以下が挙げられている。
  1. リアルタイムのPR・広報トラブルをTwitteでモニター 40.7%
  2. Twitterのみを使ったイベント勧誘 37.4%
  3. ブランドに否定的Tweetするユーザにコンタクト 36.7%
Source:MarketingProfs / Nake Truth (有料コンテンツ)

B2Cであれ、B2Bであれ、ブランドの評価・評判・リスクマネージメントにTwitterは欠かせないようだ。当然、Twitterアカウントを持ち、メッセージ、コンテンツを発信し、RTしたり、ハッシュタグを使ったTweet、引用したTweetなどをモニターしているのは言わずもがなで、いずれであれマーケターの40%以上がTwitterでブランドをモニターしている。

そして、露出を最大化するためにTweetする時間帯を選択するといった細かいところまで手を入れている。

ただし、まだTwitterユーザとのエンゲージメントは初歩段階だ。Twitterユーザとのコンタクトから、「ブランドに対する好意的なTweetをさせるために何をするか」ではなく、Twitterをゲートウェイとしてブランド体験をしてもらう仕組みが必要だ。その上でTwitterユーザに自発的なTweetをしてもらう仕組みだ。今までどおりのフローでTwitterを使っても効果は先が知れている。

2010/01/12

Lessons from Lenovo

The ConsumeristにLenovoのカスタマーサービスを取上げたエントリ、「Lenovo Ignores Customer, Waits For Gift To Reach Wrong Destination」がある。

12月4日、父親のためにLenovoのThinkPadをオンラインで購入した消費者は、まず自分が住むシカゴにThinkPadを送らせ、セットアップ後、19日にデトロイトに住む父親に届けようとしていた。父親へのXmasプレゼントが台無しになってしまったLenovoとのやり取りの一部始終を読んでいただきたい。

December 7th: The shipping date changes to the 12th. I start to get nervous.

December 9th: The shipping date changes to the 22nd. I send M. an email asking why there is a slip in the date and seeing if there is anything to be done. No response.

December 11th: I call M. and leave a message. No response

December 14th: I call M. again and leave a message. She calls me back and we agree that the best course of action is to have it shipped to a different address. I give her this address, and she says that I'll get a couple of emails over the next few days saying that they have to cancel the order and reissue it to change the address. This seems overly complicated, but hey, if it gets me what I need I'll go with it.

December 16th: I get a shipping confirmation (Woh! Ahead of schedule). Unfortunately, it's to the wrong address. So, I call M. No response.

December 17th: Call to M. No response. Package is spotted in Japan.

December 18th: Call to M. No response. Package is spotted in Alaska

I decide to change my plans and come back on Monday in foolish hopes of getting the computer.

December 21st: Call to M. Package is in Louisville. I call UPS to see if I can have it "predirected", they say I have to wait until they make a delivery attempt or the sender redirects. M. calls back to say that she's put in the request for redirection. I go back to Michigan.

December 22nd: Package is in Louisville getting cleared through customs.

December 23rd: Package is on its way to Chicago and ready for delivery.

December 24th: My neighbor emails me the info notice number so that I can redirect it. I don't have the option on line, so I call. They tell me that they can't redirect it because the sender won't allow it.

Merry Christmas. My dad got a box with a tracking number in it. (Also, Buy.com canceled the laptop stand that I tried ordering for him, so he had nothing under the tree.)

December 26th: I call UPS and they tell me that I need to either freeze it at the warehouse or they'll ship it back.

December 28th: I call M. again. No response. I call another number and wait on hold for 45 minutes and am told by a rep and supervisor that the redirect request was made on the 24th and it takes 2 business days to get processed, so look for the change on the 29th.

December 29th: No change in UPS. No response from M.

December 30th: See December 29th.

So, what do I do here? The laptop is 60 minutes away from my house, and 5 hours away from where it needs to be.”

Source:The Consumerist / Lenovo Ignores Customer, Waits For Gift To Reach Wrong Destination

Consumer Reportsを配信する非営利団体Cosumer Union(寄付などによる年間予算規模2億㌦、職員数600名以上)の子会社、Consumer Media LLCが運営するConsumerist.comに、ここまでボロボロのカスタマーサービスの現状を晒されたLenovoに残されているのは...?

考えるべきは;
  • 担当者にとって対応する消費者は1人だが、その背後には英語がわかる数億のインターネットユーザがいること
  • その数億のインターネットユーザは英語圏だけではなく世界200カ国以上に存在すること
  • 担当者の消費者対応はクローズなコミュニケーションではないこと
  • 企業・ブランドの消費者対応はオープンで累積されてゆくこと
  • 累積された対応・コミュニケーションは世界中から検索されること
  • そして、リアルタイムの対応・コミュニケーションも世界中から検索されること
  • もはや企業・ブランドがコントロールできる情報・コンテンツなど存在しないこと
  • 情報・コンテンツをコントロールしているのは消費者・ユーザであること

  • これを理解、把握しない企業・ブランドは蚊帳の外ではなく、オンラインに存在できないこと
  • 営々と築いてきたブランド評価、価値はオンラインにないこと
  • オンラインに存在しない企業・ブランドに価値はないこと

  • Cレベルの理解を促進しない限り、ボトムアップする時間は残されていないこと
  • Lenovoから学ばない限り、2010年以降、企業・ブランドに未来はないこと
  • ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ (○に思うこと、考えることを挿入してください)

2010/01/07

B2B 2010 Outlook

250億㌦以上の売上げの企業が5%も占めるB2B企業を対象にしたBtoB Onlineの「2010 Outlook」が出ている。
  • 2009年のマーケティング予算をカットしたのは58%
  • 予算がカットされた分野は
    • 展示会 63%(のマーケターがカット)
    • プリント 63%(同)
    • DM 40%(同)
  • 予算を増やした分野は
    • オンライン 80%(同)
  • 2010年の予算
    • 増やす 39%
    • 減らす 13%
    • 同じ 47%
  • 2010年のマーケティング予算投下メディアは?
    これは当然、73%のマーケターがオンラインメディア予算を増やすと回答している。

  • 2009年オンライン予算のシェアは;
    1-9%が最も多く24%、10-19%が19%、20-29%が18%だ。この3セグメントを合計すると61%にもなる。

  • 2010年のオンライン予算は?
    2009年と比べると、19%以下の予算シェアだったセグメントが30-39%、40-49%セグメントへ移っているようだ。

  • 2010年のオンラインマーケティング戦術?
    マーケターの71%が増やすと回答してトップなのはWebサイト、次に68%のEmail、60%でソーシャルメディア(マーケティング)が来ている。

  • すでに54%のマーケターはソーシャルメディアマーケティングを実施
  • ソーシャルメディアマーケティングの目的トップは60%で「Thought Leadership」(実践的先駆者としてブランドバリューを向上する)
  • 2010年の海外マーケティング予算は?
    海外進出していないため海外予算のないところが40%だが、増やすと回答したのが合計31%いる。30%以上増やすのが3%、20%台が5%、10%台が8%もいる。

Source:BtoB Online / 2010 Outlook survey shows marketing budgets to grow

いつまでも展示会やDMでも、バナー広告やEmailでもない。Webcastsやビデオが60%を超えているのがいい例だ。B2Bだからこそ、個人的リレーションやコネクションがB2Cよりも重要で価値がある。それを培うのはソーシャルメディアスペースに他ならないし、そのコネクションは同じ国、同じ言語に限らない。

オンラインおよびソーシャルメディアマーケティング、その実績、今年の戦略、戦術、予算規模等など、比較するのも憚れるほど彼我の差は歴然、途方もなく大きい。

2009/12/28

2010: Year of Social Media Marketing

MarketingSherpaから「2010 Social Media Marketing Benchmark Report」が出ている。

Executive Summaryには、効果的なソーシャルメディアマーケティング戦略をマッピングしたものがある。まず、頭文字をとってROADというソーシャルメディアマーケティングの戦略ロードマップを示し、それぞれがフェーズ1:実作業なし、プラットフォーム選択時期、フェーズ2:非公式の実作業を不定期に実施、フェーズ3:公式の実作業を定期的に実施という3フェーズに分けてみている。
  • Research まずは何をおいてもモニタリング
  • Objectives ターゲットオーディエンスに沿った目的決定
  • Actions 戦略構築
  • Devices オーディエンス、目的、戦略をベースにプラットフォームを展開開始
それを前提に2,300人のマーケター達がどのロードマップ、どのフェーズにいるかを聞いたのが下の図だ。

すでにフェーズ1(トライアル期間)を過ぎて、フェーズ2(移行期間)に移っているマーケターが平均で40%に上っている。フェーズ3(戦略実行期間)に達しているのは23%だ。
また、ソーシャルメディアマーケティング予算を来年増やすのか、あるいは減らすのかを各業界ごとに示すグラフがある。

Social Connection to E-Commerceでも見たように小売・E-Commerceの流入トラフィックにソーシャルメディアスペースは大きな割合を示していた。

参考:Social Connection to E-Commerce (Online Ad 2009/12/16)

ということで、各業界の中でもマーケターの79%が予算を増やすと回答している小売・E-Commerce業界がトップだ。自分の首を絞めかねない出版・メディア業界も63%、旅行・レジャー業界も52%、そして教育・ヘルスケア業界でも43%が予算を増やすと回答している。
Source:MarketingSherpa / 2010 Social Media Marketing Benchmark Report

ソーシャルマーケティング予算の60%は、Blogを書いたり、コンテンツを制作したり、ソーシャルメディアスペースにおけるモニタリングを行う人件費に 充てられるようだ。また、20%は外部のエージェンシー、コンサルタント、その他サービスプロバイダーに支出されるようだ。

ここまで人件費シェアが高いということなので、MarketingSherpaの調査対象となった2,300人のマーケターの大半は中堅以下の中小企業に属していると見られる。

すそ野が広い中小企業のすでに40%がフェーズ2に入っており、乱暴に平均すると50%以上が来年、ソーシャルメディアマーケティング予算を増やすわけだ。しかし、中小企業なので予算が増えるわけではなく、他の予算から振り替えられることになる。当然、それは新聞・雑誌、ラジオ、あるいは展示会、印刷物、DM予算が削られてくることになる。

今年の春、紹介したIBMのレポートでは、2012年に伝統的、レガシー広告はマーケティング予算の32%へ落ち込むと予想されていた。また、DMやプロモーションと言った伝統的マーケティングも42%へ落ちるとされていた。
参考:Beyond Advertising (Online Ad 2009/04/30)

どうやらIBMの予想をはるかに超えるスピード、幅で伝統的、レガシー広告およびマーケティング予算が削られてゆく2010年になりそうだ。

ということは、伝統的、レガシー広告およびマーケティングに関係する代理店、エージェンシーにとってリーマンショックを上回るダメージを被る年にもなりそうだ。

2009/10/22

LinkedIn reached 50 million

LinkedIn参加メンバーが5,000万人を超えたようだ。2008年の4月に2,000万人を突破したと書いたから、おおよそ1年半で3,000万人増えたことになる。

参考:LinkedIn passed 20 million users (Online Ad 2008/04/25)

2003年にスタートした時点では100万人増えるのに477日かかったそうだが、今では100万人増えるのに12日しかかからないそうだ。5,000万人の半分は米国以外のユーザで、1,100万人は欧州、インドは300万人、オランダのユーザは人口の30%にも達している。

LinkedInのAboutに下のビデオが上っている。(ちょっとおかしい日本語版もあるので、そちらはAboutへ)



Source:LinkedIn blog
Source:LinkedIn/About

Facebookが3億人、YouTubeが多分3.3~3.5億人、そしてLinkedInが5,000万人と、世界中のユーザがソーシャルメディアスペースに集っている。このパラダイムシフトを受けて、一部ではFacebookをマーケティングの核に据えようとする動きもあるが、まだ、今までの広告中心のマーケティングから完璧に抜け出したケースはない。ただし、Facebookをグローバルなブランディングに活用するため、19の国・地域向けのインタフェース、タブを用意しているブランドはある。

さて、B2B/B2Cであれ、CSRや慈善事業であれ、FMCGやITであれ、もはやソーシャルメディア抜きに語れないところまで来ている。そして、モニタリングしていないと、どの国のユーザがブランドに対して何を言っているか分からず、競合ブランドがどんな新しいマーケティングを行っているのかさえ分からない。

今、ソーシャルメディアスペースの調査さえしないのでは、これからの5年、10年先に、そのブランドが存在しているかどうかさえ怪しいと思える。

2009/09/29

Social Media Tips from Kodak

Kodakから「Social Media Tips」という資料が出ている。サブタイトルは、「Sharing lessons learned to help your business grow」だ。

CMOでVPのJeff Hayzlettが巻頭に次のように書いている。
TwitterやFacebookといったソーシャルメディアになぜ時間を費やすのか?それは、今日のメディアシーンで、顧客がいる場所にいる(参加する)ことが絶対的に重要だからだ。Kodakはこのマーケティング哲学をいつも実践してきた。そして、今日、それは、ソーシャルメディア(スペース)でアクティブであることを意味している。

ソーシャルメディアが重要なのは、顧客と双方向での会話を行う機会を与えてくれることだ。顧客に最善を尽くす方法を知ることよりも、顧客から直接それを聞くこと以上に貴重な方法はあるだろうか?ソーシャルメディアは、会話をおこし、顧客からのフィードバックに対応し、そしてアクティブな会話を継続する新しい方法を可能にしてくれる。
内容的には、巻頭に続き、ソーシャルメディアスペースの現状として、Facebook、Twitter、YouTube、Blogを取上げて数字を挙げている。次に、「ソーシャルメディアってのは子供向け」、「米国では人気だが世界では?」「ソーシャルメディアはビジネスで使えない」といった神話を砕き、BlogやTwitterの秘訣10を挙げて、Kodakのメディア戦術を説明している。

それが下の図だ。
この戦術を説明する文としてKodakは次を入れている。
企業は製品、顧客・消費者・ユーザ、あるいはブランドに関する会話を「コントロール」することも、「利用する」こともできない。
この理解の上に、「コンテンツ制作」、「供給」、「エンゲージメント」、「測定」を核とした戦術がある。
戦術に続き、Kodakのソーシャルメディアポリシー、ソーシャルメディア活動の実例を挙げて、最後にKodakのソーシャルメディア展開を示している。
Source:Kodak / Social Media Tips (pdf)

Kodakと言えば、4月にFacebookの戦略を紹介した。

参考:Kodak Facebook Strategy (Online Ad 2009/04/17)

今年初めからソーシャルメディアマーケティングを新しい段階に引き上げていたKodakが、「ソーシャルメディアの秘訣」「企業ビジネスの拡大を支援するため経験を共有する」という資料を公開したということだ。

「Sharing lessons learned to help your business grow」という資料を日本のグローバル企業が出せるのだろうかと考えてしまう。

そして、Kodakが参加しているTwitter、Facebook、YouTube、Flickr、そしてBlogを活用したマーケティングを日本のグローバル企業がやっているだろうかと考えてしまう。

ソーシャルメディアスペースに参加しているのは米国ユーザだけではないし、米国ユーザ向けに制作、供給され、エンゲージし、そして測定されるコンテンツは世界のソーシャルメディアスペースのユーザに共有され、再露出される。例えば、Starbucksのwallに非英語のコメントは7%ある。そして非英語圏ユーザが英語でコメントした数はそれを上回る。世界中のユーザがStarbucksの英語コンテンツを消費、共有、再露出している。この現状を見れば、日本のグローバル企業は米国の一部先進企業を追い抜く勢いでソーシャルメディアスペースに参加する必要がある。

しかし...?

2009/09/25

Email Gone Viral

Silverpopから「Email Gone Viral: Measuring 'Share to Scoail' Performance」という資料が出ている。

B2B/B2C企業合計108社から5,400万人に対して発信された562通のemailが装備しているソーシャルメディア機能を調査したものだ。

すでに米マーケターはEmailに必ず、Facebookへのリンクを装備している。それに続くのはMySpace、Twitter、そしてDiggだ。LinkedInは5位だが、B2Bに限った場合、83%が装備している。
Emailの装備されたソーシャルメディアへのリンクについて、それぞれのリンクに対するクリック比率、Email共有比率を見ると、Facebook、MySpace、Twitterの装備率は高いのだが、クリック比率ではReddit、Bebo、Del.icio.us、LinkedInの方が高くなっている。

SilverpopはReddit、Bebo、Del.icio.us、LinkedInの装備率は低いが、装備された際、email受信者のソーシャル行動やネットワークの目的とマッチしている場合、クリック比率が高くなることをポイントとして挙げている。
全体の平均的なソーシャルEmailのCTRはばらついている。
  • 調査全体の平均CTRは0.5%
  • 最も低くて0.1%以下から38.7%の範囲
  • ソーシャルEmailの8.1%はCTR1%以下
  • ソーシャルEmailの49%はCTR0.1%以下
  • 通常EmailのFTAF転送率(Forward to a Friend)が0.01%から0.1%とすると平均CTRはその5倍以上
全体のEmailクリックに占めるソーシャルクリックはというと;
  • 全体平均で8.7%
  • 中央値は3.1%
  • 最も低くて0.1%から100%の範囲
何が何でもソーシャルメディア機能を付ければクリックしれくれるわけではない。また、約半分は通常のバナー広告と同様の0.1%以下のCTRしか稼げていない。また、ソーシャルクリックはemailクリックの8.7%にしか過ぎないが、emailによってはソーシャルクリックが100%のケースまである。

そこでソーシャルクリックされたEmailメッセージがFacebookなどにアップされた場合、どれくらいの人が追加で閲覧してくれるかというアップリフトを見ると;
  • 平均は1%、中央値は0.06%
  • 上位グループの場合、平均3.9%、中央値は0.6%
  • 最大アップリフトは292%
そして、どのネットワークがアップされたEmailを最も閲覧しているかというと、これは上位グループであろうと、平均であろうとFacebookが断トツだ。
Source:Silverpop / "Emails Gone Viral: Measuring 'Share To Social' Performance"

Samsungを例に挙げるまでもなく、海外メーカーはemailレターにソーシャルメディア機能を装備してきている。

参考:Samsung LED TV Campaign (Online Ad 2009/04/16)

ただし、めったやたらに数打てば当たるというものではない。まだ、大きなばらつきがあるが、ものによっては5%を超えるCTRや、最大292%のEmail閲覧アップリフトをたたき出すことも見えてきた。

これは多分、Emailを送信したB2B/B2C企業がどのソーシャルメディアスペースにどのように参加しているか、どのようにコンテンツを発信し、どのようにユーザとオープンな対話を行っているかが分かれ道になっているということだ。自分はソーシャルメディアスペースに参加せず、Emailにだけリンクを装備し、ユーザのソーシャルネットワークでのコネクションをタダで使おうという安易なアプローチを取る企業がまだ多いからだ。

ただし、こういった安易な輩であったとしても少なくともソーシャルメディアスペースのパワーは理解している。安直な仕掛けでは期待通りの成果が上がらないと学習すれば、当然、ソーシャルメディアスペースに参加することになる。その上で、本格的なソーシャルメディアマーケティングを開始することになる。

ということで、日本のグローバルブランドとの差は開くばかりだ。

2009/08/13

Reason to Re-Visit

Small Business Trendsが、Webサイトに関して犯しやすい4つのエラーを書いている。

サイトの名前通りに中小企業向けのトレンドを発信しているサイト、Small Business Trendsが上げたのは以下の4つ。
  1. Bad Design = No Credibility
  2. Your Conversion Funnels is Too Long
  3. There's No Method Behind The Madness
  4. There's No Reason To Re-Visit
Source:SmallBusinessTrends / 4 Common Site Errors

Small Business Trendsは4番目の「Webサイト再訪理由がない」に関して、
ほとんど全てのSMB(Small to Medium Business:中小企業)のWebサイトが抱える致命的なエラーは、ユーザが再訪する理由がないことだ。Emailアドレス、電話番号は明記してある。それでいい。Webサイトが提供するすべてはそれだからとSMBは考えている
と書いている。

SMBにしてみればemailや電話番号だけしかないというのは大げさにしても、それらに加えて、取り扱う製品・サービスのページもあり、digg、del.icio.us、myspace、facebookなどソーシャルメディア用ツールも装備しているはずだ。しかし、コンテンツがスタティックなままで何カ月もたなざらしではTwitterするトリガーにも、emailや電話で新製品を問い合わせるトリガーにもならない。第一、ソーシャルメディアスペースの住人の口の端に上るようなトピックスがないのでは話にならない。

「再訪する理由のないWebサイト」とは、別にSMBに限った話ではない。グローバル企業・ブランドのWebサイトにも同じように見られるものだ。トップページでJavaやFlashを使い、主力製品を代わる代わる自動で切り替えながら取り上げてはいるが、どこにユーザが再訪する理由や再訪を促進するツールが仕掛けてあるのだろう?

FAQ、メルマガ、登録、お問い合わせ、カタログ請求など必要なパーツはそろっているようだが、再訪する理由にはならない。相応の予算をかけてWebサイトを構築しているわけだが、一度、アクセスしてくれれば全ての情報を取得し、情報・コンテンツを消費してくれると期待できるだろうか?

Webサイトにアクセスするユーザはその時点時点で、必要とする情報・コンテンツは違う。購入前提のユーザもいれば、他社製品と比較しようというユーザもいる。そういったユーザが消費するコンテンツはWebが供給するコンテンツの一部でしかない。単純にどんな製品ラインアップがあるのかチェックしに来たユーザが、機能、仕様、保守、サービスを確認するステージに入った時にもWebサイトを再訪してもらわなければならないはずだ。

そのために、再訪を促す仕組み、ツール、仕掛けが必要となる。流行りの技術を使い、カタログを見栄え良く広げるだけのWebサイトではいつまで経ってもWeb 1.0のままでしかない。

2009/08/05

Digital C-Suite

Forbesから「The Rise of the Digital C-Suite」という資料が出ている。全米で売上高10億㌦以上の企業のトップエグゼクティブ354人を調査し、C-Suite(経営管理職およびトップ層)がどのようにビジネスに関連する情報を調査、入手しているかを調べたものだ。
  • C-Suiteの世代交代によりインターネット利用も変化
  • インターネットはC-Suiteの情報ソースのトップ
  • C-suiteは自分で情報を検索する
  • C-Suiteが使うのは主流の検索エンジン
  • ビデオおよびオンラインネットワークはC-Suiteのツールになりつつある
  • IT部門の管理職は情報収集にインターネットを最も使う
  • 40歳以下の管理職(NetScape世代)はソーシャルメディアツールを活用して最もエンゲージする
といったまとめがある。

まず、世代交代に関してだが、下の図は、50歳未満と、50歳以上のC-Suiteが
  1. ビジネス情報入手に利用するインターネットの頻度
  2. インターネットツール、サービス価値の5段階評価
  3. オンラインツールを利用する%
という比較がある。もう50歳未満と50歳以上ではひょっとすると人種が違うくらいの相違がある。50歳未満のC-Suiteは、PC、携帯、インターネット、iPod、その他のデジタルデバイスが何をするにしても大前提となっている、あるいはそれらがなくてはならない世代なのだ。
もうひとつ世代間で異なるインターネット行動がある。それは、「ビジネス情報を収集するために次をクリックしますか?」と聴かれて、
  1. 検索エンジンのリスティング広告
  2. バナー広告
  3. ポップアップ広告
  4. 他コンテンツへのリンク
  5. Blogエントリからのリンク
を50歳未満のC-Suiteは「しょっちゅうクリックする」と回答する比率が、41%から35%と、圧倒的に50歳以上よりも高い。
そして、IT管理職と非IT管理職を比較している。
  1. 毎日20回以上検索
  2. テキストよりもビデオからの情報収集・入手を優先する
  3. オンラインコミュニティの同僚から受けるアドバイスに価値を認める
  4. 仕事に関するBlogを毎日読む
  5. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードを利用して毎日読む
  6. 仕事関連コンテンツを検索したり、それらを毎日モバイルWAPで読む
  7. 検索結果のリスティング広告をしょっちゅうクリックする
IT管理職は非IT管理職の少なくとも2倍、項目によっては4倍近くまで実行している。
最後にWeb 2.0利用に関して比較している。今回は40歳未満、40~49歳、50歳以上という3段階に分けての比較だ。
  1. 自分自身で仕事関連Blogを書いている。
  2. TwitterなどマイクロBloggingをやっている。
  3. ビジネスおよびニュースコンテンツをRSSフィードから入手している。
  4. モバイルWAPを使って、検索したり、コンテンツを読んでいる。
50歳以上のC-Suiteは見る影もない。50歳未満、40歳未満のC-SuiteがいかにWeb 2.0漬けになっているかが分かる。
Source:Forbes Insights / The Rise of the Digital C-suite

ビジネス誌を使ってC-Suiteに訴求しようというB2Bブランディングがある。しかし、もはやプリントのビジネス誌だけを使ってC-Suiteに訴求できる時代ではない。そして、売上高10億㌦を超える中堅企業以上のC-Suiteに40歳未満、50歳未満のC-Suiteが誕生している今日、彼らの日常行動を支えているのはオンラインであり、検索であり、ソーシャルメディアであることが明白だ。

現在、顕著になりつつあるC-Suiteの行動パターンに則したマーケティングが求められている。しかし、まだまだ今までのメディアプランにおまけとしてオンラインを加えているだけではないだろうか。

どうして頭を切り替えないのだろう。マインドセットをシフトしなければ、今の動きについてゆくことは困難だ。それにもかかわらず、なぜ、新しい動きを見ないのだろう。

それは、企業・ブランド側、そして代理店側の意思決定層が50歳以上だからだろうか?それとも、世界中のインターネットユーザを巻き込み、まったく新しいトレンドをいくつも誕生させてきたWeb 2.0という流れを理解できないからなのだろうか?

2009/04/09

Social Media Marketing Industry Report

MS、HPなど130以上の企業に関するホワイトペーパーを著しているMichael A. Stelznerが「Social Media Marketing Industry Report」を出している。

マーケターがビジネスを伸ばすため、どのようにしてソーシャルメディアを利用しているかを調査したものだ。ただし、回答者880人の70%は従業員100人以下の中小企業経営者(このうちの7割=全体の49%は自営)だ。かなりバイアスがかかっていると感じられるかもしれないが、ソーシャルメディアへの取り組みに中小も大企業、グローバル企業も関係ない。あるのはタテ割り組織、サイロ同士の風通しが悪いことぐらいだ。

それは下の10項目を見れば一目瞭然だ。これはマーケターが答えてもらいたい10の質問をリストアップしたものだ。ここに企業規模の大小は全く関係ない。
  1. ソーシャルメディアの最善戦術は?
  2. ソーシャルメディアの効果測定方法は?
  3. まず何から始めれば?
  4. ソーシャルメディアでの処し方は?
  5. 利用できる最善のサイトおよびツールは?
  6. ソーシャルメディアマーケティングにかかる時間にどう対処すれば?
  7. ターゲットオーディエンスを見つけ、集中するには?
  8. ソーシャルメディアマーケティングをちゃんとした有形の結果へ転換するには?
  9. 各ソーシャルメディアマーケティング同士の連携方法は?
  10. ソーシャルメディアマーケティングは効果があるのか?あるとするとどれくらい?
最後にボーナス質問もある。
  1. 部外者に価値を理解させ、協力してもらうには?
  2. これからの見込みは?
  3. 複雑なソーシャルメディアマーケティングの管理方法は?
  4. トラフィック誘引策は?
  5. コスト効果はあるのか?
ということで調査対象者にいろいろと尋ねている。

ソーシャルメディアマーケティングを利用しているのは88%、従業員100人以下の中小企業経営者の場合は90%を超えている。

これまでのソーシャルメディア利用期間を尋ねると、72%が始めたばかり、あるいは始めてから2~3か月のマーケターだ。始めたばかりのうち、30.2%は自営マーケターで、初めて2~3年のうち、従業員100人以下の中小企業経営者は29.3%となっている。
次にマーケターがソーシャルメディアを利用している時間だが、64%が週に5時間以上、39%が週に10時間以上費やしている。20時間以上という兵も9.6%いる。
これを「ソーシャルメディアマーケティングを始めたばかり」「始めてから2~3か月」「始めてから2~3年」で比較すると、それぞれ週に2時間、週に10時間、週に20時間以上と分かれてくる。

さて、誰もが聞きたいであろう「ソーシャルメディアマーケティングのメリット」は何かという問いだが、トップに来るのは「自社(自営)ビジネスの露出増大」だ。「トラフィックなど増加」「パートナー獲得」などに続き、「検索ランキングアップ」が入っている。

その「自社(自営)ビジネスの露出増大」だが、ソーシャルメディアマーケティングの利用期間によって大きく差が出ている。これを従業員100人までの会社経営者からすると、ビジネスの露出増大に役立ったと84.8%が「強く同意」している。
そして、ソーシャルメディアマーケティングが商談をまとめる役に立ったかどうかを「ソーシャルメディアマーケティングを始めたばかり」「始めてから2~3か月」「始めてから2~3年」のグループで比較すると、「始めてから2~3年」は61.62%も「強く同意」している。が、「始めたばかり」はたったの2~3%しかいない。また、16時間以上ソーシャルメディアを利用している層は50%以上が「強く同意」している。

これ以外にも「ビジネスパートナーの獲得」、「可能性の高い引き合い獲得」、「マーケティングコスト削減」に役立ち、「検索ランキングアップ」、「トラフィックなど増加」などにソーシャルメディアマーケティングが役立ったと「強く同意」する回答者が多い。

そして彼らマーケターたちが使っているツールは以下の通り。「ソーシャルメディアマーケティングを始めたばかり」「始めてから2~3か月」「始めてから2~3年」のグループで見ても、上位4ツール、Twitter、LinkedIn、Blogs、Facebookの順番は変動するが同じだ。
そして彼らが学びたいと思っているツールは以下の通り。この点は、「ソーシャルメディアマーケティングを始めたばかり」「始めてから2~3か月」「始めてから2~3年」のグループで若干違ってくる。初心者はTwitter、中級者はソーシャルブックマーク、上級者はFriendFeedやStunbleUponがトップに入ってくる。
Source:DirectNews / Online Marketer Turning to Social Media
Source:Marketing Whitepapers (pdf)

マーケターは自営であろうが、零細・中小・中堅・大企業であろうと今、最善の戦略、戦術を常に求めている。そして新しいツール、サービス、ユーティリティを勉強しようとしている(はずだ?)。

そこに違いはないが、あるのは流れを理解できない、あるいは流れを止めてしまうサイロの壁だ。この壁が厚く、高いほど、今の消費者、ユーザ、顧客が集うスペースを理解し、そこで彼らが何を語っているかに聞き耳を立て、会話に参加しようとするスタンスからはほど遠くなる。

さて、グローバルブランドを全世界のインターネットユーザが語っている。上にあるようにTwitterを使ったコミュニケーションが最も盛んかもしれない。が、日本のグローバルブランドでTwitter(英語)アカウントを本社で持っている企業はいない。アカウントがあったとしても英、米、独、蘭などの現法、あるいはユーザ会やディーラーが持っているだけだ。本社は顧客の声を聞く気がないのかしら?

参考:Twitter for Customer Service and Branding (Online Ad 2009/03/30)

Razorfishの「Digital Outlook Report 09」にTrends to Watchという章があり、その3番目に「Social Influencer Marketing will go mainstream」が挙げられている。トレンドをウォッチするのではなく、検討する時期だと思うが…。

Source:Razorfish / Digital Outlook Report 09

2009/04/03

Spiceworks for SMB IT Pros

SpiceworksというSMBのIT・ネットワークエンジニア向けに統合管理ツールを無料で提供するベンダーがいる。たかだか2006年にテキサス州のオースティンで産声を上げたばかりの企業だが、すでにユーザベースが50万人を突破している。

5か月前のスライドを見ると、今後の12ヶ月間でユーザベース100万人突破も視野に入っているようだ。

この企業のプロフィットストリームは何かというと下の画面のようにHPなどITベンダーからの広告だ。2007年に27社だった広告主が、2008年には72社に伸びてきている。
NYTによれば、MS、HP、Dell、Intel、ADM、Sonyなどグルーバル企業が名を連ねている。


Source:NYTimes.com / Reaching Tech Folks on Their Turf

NYTがいうように、SpiceworksはGoogleや業界紙・誌ではカバーできないポイントがある。それはIT・ネットワークエンジニア・専門家が業務に従事している最中に露出することができるということだ。それも雑多なデモグラフィックではなく、IT・ネットワークエンジニア・専門家だけがオーディエンスだということだ。

SpiceworksはFacebookにPagesもある。ここでニュース、コミュニティ会話、製品やベンダーのアップデートを行っているそうだ。 
こういったバーチカルなユーザスペースを活用するマーケティングは、本国からでもできるはずだ。Spiceworksだけではなく他にも、IT系の管理職・経営者層をターゲットにしたバーチカルサイトやネットワークが存在する。

既成レガシーメディアやそのオンラインサイトだけではなく、こんなユーザスペースやバーチカルネットを活用することもできるのだが?もったいない。

2009/03/27

Refund for Conference

今年の初めに入場者数が前年比22%も減ったCESに関して書いた。














参考:CES & Internet (Online Ad 2009/01/22)

今年はどんな展示会、コンファレンス、セミナーなども苦しくなるという状況で、ANA (Association of National Advertisers) が奇手に打って出た。
5月13日に開催予定の「Brand Building in Tough Times & Beyond」というコンファレンスの内容に満足行かなければ参加費を返金するという。

Source:Ad Age / ANA Offers Money-Back Guarantee to Conference Goers

アジェンダを見ると;
  • Millercoors:Winning with innovation in a tough economy
  • Wal-mart Stores:Extraordinary performance in tough times
  • Dunkin' Donuts:Positive thinking for tough times
  • Fender Musical Instrument:Building market confidence through consumer engagement
  • そしてANAによるBrand Builing in Tough Timesというサーベイ結果
が披露されて、5月13日の午前8時30分から午後4時までのコンファレンスにANA会員で395㌦、一般参加は495㌦かかる。同じ会社から3人が参加すれば595㌦だ。

昨年よりも参加費を100㌦単位で下げたので、予想参加人数は200人で採算ぎりぎりの線らしい。返金はケースバイケースで判断するというが、もし10人が返金を申し出たら赤字だろう。

今回は業界団体のコンファレンスだが、企業が開催するプライベートショーも同じだろう。参加費は無料だが旅費と時間をかけてまで参加した意味のないプライベートショーの結果を上司にどう説明するのだろう?

日本では東京モーターショーも開催日が短縮され、BMW・VW・ベンツは不参加だし、米国ではWPA (Western Publications Association)のメディア出版カンファレンスが中止になっている。

Source:Asahi.com / 縮む東京モーターショー
Source:BtoB Online / WPA cancels media publishing conference

オンラインの展示会、プライベートショーという手もあるのだが…。

と、書いておいたのだが、

追加:2009/03/27 09:53a.m.

TechRepublicから、たった今、IBMのSystem xおよびBladeCenterサーバに関するバーチャルカンファレンスの案内emailが届いた。(下をクリックで登録サイトへ)

2009/02/09

Targeting or Lead Nurturing

HubSpotが、TechCrunchとMarketingProfsからのReferrals数、コンバージョン率の比較をやっている。

TechCrunchと言えば、「泣く子も黙る」ほどではないが、IT・ハイテク分野でトップのBlogサイトだ。そのTechCrunchは、本Blogでも取り上げたWebsite Grader、Twitter Statsなど合計4回もHubSpotのツール・サービス、資金調達を取り上げている。

下のグラフ(TechCrunchからのReferrals)で明らかなように過去1年間で4回飛びぬけたトラフィックがTechCrunchからきている。











やはり、大手Blogサイトで取り上げられると影響が大きい。

しかし、HubSpotというインバウンドマーケティング手法を奉じるコンサルティング+ソフトウェアプロバイダからすると、合計1,719ビジターのうち、110件が引合となり、13件が案件化したけれど、最終的に顧客契約を結んだのたった2社だった。











当然、Hub Spotが提供するようなSMB向けのマーケティングソフトウェアや、インバウンドマーケティングのコンサルティングを求める顧客は、TechCrunchにはあまりアクセスしていない。

だからHubSpotは、PRターゲットをよく見定めるべきだとして、MarketingProfsの例を出している。HubSpotからすればMarketingProfsへアクセスするユーザは、大企業もいるだろうが、中心はSMBのマーケターだ。彼らのコンサルティングおよびツールを購入してくれる絶好のターゲットになっている。

そのMarketingProfsへHubSpotはバナー広告も出しているが、下のグラフはリンク、引用など非広告からのReferralsトラフィックだ。少なければ7件、多くても月に126件のトラフィックしか来ていない。











ところが、1年間632ビジターのうち、193件が引合となり、11件が案件化し、最終契約に至ったのは6社だった。











これをTechCrunchと比べてみると一目瞭然だ。

Tech
Crunch
Marketing
Profs
ビジターから引合化率
6% 31%
引合から案件化率
12% 6%
案件から最終契約率
15% 55%

Source:HubSpot / Stop Begging TechCrunch to Write About You.

この書き込みに対するコメントにもあるように、HubSpotはTechCrunch経由の顧客の生涯価値や、TechCrunch記事から派生した中小Blogの書き込み、リンクによる引合、案件、契約は見ていない。また、TechCrunchユーザの社内影響力によるオフラインからの案件なども見ていない。

単純にリフェラル数とコンバージョン率を見ているだけだ。単純、明快に、「顧客に最適なターゲティング」をしろという話にしている。だが、奥はもっと深いからなかなか簡単に比較し、片方に落とし込むのは難しい。

だからこのHubSpotの記事を単純に「顧客に最適なターゲティング」をしろという話として読むよりも、「Lead Nurturing」の教訓として読むのが正しい。

TechCrunchから13件の引き合いで2件の成約、MarketingProfsからは11件の引き合いで6件の成約ということは、より要求仕様やスケジュール、予算など購買スキームが確立していると思われるMarketingProfsから生成された引き合いよりも、TechCrunchからの引き合いには、教育、評価、クロージングという「引き合いの醸成」が必要だということだ。

また、フォローアップされた引き合いの中で56%は24か月以内に購買していることからも、いかに「Lead Nurturing」が重要かがわかる。
参考:B2B Lead Nurturing (Online Ad 2008/08/05)