9月24日付けのIAB Smart BriefにNYTのバナー広告が掲載されていた。
バナーをクリックすると、以下のメディアキットページへ飛んでゆく。目を惹いたのは左隅にある「NYTimes.com Self Service Advertising」というセクションだ。
これはキャンペーン予算が1万㌦以下のSMBが直接、アクセスし、自前の広告原稿をアップしたり、できあいの広告案からカスタマイズしたり、掲載セクションを決定し、予算配分などを決めることができるセクションだ。(下をクリックでサイトへ)
SMBの広告サンプルもある。それぞれのimpression数およびCTRが表示されている。(下をクリックでサイトへ)
Source:NYTimes.com / Self-Service Advertising
必要なのは広告原稿ぐらいだが、SMBであっても大方のことはできてしまう。キャンペーン予算1万㌦といえば、レップにとっても大手の広告代理店にとっても1媒体とすれば少ない金額ではない。が、レップも広告代理店も要らないことになる。
NYTの戦略が目覚しい勢いで進化を続けている。
参考:Strategy of NYT -2 (Online Ad 2008/09/25)
参考:Strategy of NYT (Online Ad 2008/09/19)
Googleは検索広告から始まり、新聞そしてTV広告にも手を広げてきている。新聞にしても、TV広告にしても今のところはロングテール対象、あるいは残りスペースを埋めるだけの予算・規模でしかない。しかし、着々と布石をつなげてきている。SOHO、パパママストア、SMBから中堅、大企業、ナショナルブランドへとつながるのは目に見えているし、もし、Googleがそれを考えていないとしたらアホだ。また、それが見えるからこそ、売れ残り在庫セールの必要性が分かりながらメディア側も二の足を踏んでいるし、特に代理店側の反発がある。
それと似たような形でNYTがSMB層へ直接販売チャネルを開いたということだ。劇的に新聞広告が増える見込みなどない現在、ロングテールのオンライン広告販売網を自前で構築するわけだ。レップ・広告代理店の仲介が少ない、不要なロングテール企業に天下のNYTが門戸を開いたということだ。
このことは、SMB規模以上の中堅、大企業、ナショナルブランドに目を開かせる意味もあるかもしれない。スペースバイイング、原稿制作、スケジューリング、エビデンス提出など通常の代理店業務がどこまで必要かということだ。Googleであれ、NYTのSelf-Serviceであれ、あまりその必要性を感じさせない。
中堅以上の企業にとって何が必要かというと、以下の参照でも取り上げたが、デジタルスペースの知識であるし、Pull戦術の知識であったり、ソーシャルメディアや消費者行動を熟知しているかだ。マーケティング、あるいはコンサルティング能力があるかどうかだ。広告売上ではなく、フィービジネスをどこまで計上できるかが問題となる。それは中堅以上の企業にとって、直販ビジネスも大事だが、ブランド認知、ブランド構築を行う重要性を理解しているからだ。
参考:Top 10 Wish List for Agencies of the Future (Online Ad 2008/09/10)
ただし、これは海の向こうの話だ。CMOや、Chief Blogger、Social Marketing Managerなどのいない日本企業はオンラインのマーケティングやコンサルティングを必要としていない。従来どおりの既成メディアに対する広告という一方通行のコミュニケーションを続ける限り、レップも広告代理店も安泰だ。ただし、海の向こう、すなわちWeb 2.0スペースでの話は、海の向こうで終わる話ではなく、全世界の話だ。
参考:The End of Advertising (Online Ad 2008/08/29)
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