2008/10/29

Your Shot - Nikon USA Blog

4月17日に「Fortune 500 Business Blogs」を書いた中で、Nikon USAの「Your Shot」に触れた。

このサイト自体は2月27日にアップされているNikonのプレスリリースを見ると、リニューアルされたNikonusa.comのWebサイトに関するデザイン、レイアウト、コンテンツ表示、サイト改善のための提案・意見などを交換するフォーラムだったわけだ。

3月や4月にアクセスしたときは、エントリに対して数件のコメントがあったり、コメントへのレスポンスがあったりと、ユーザとのやり取りが見られた。

参考:Fortune 500 Business Blogs (Online Ad 2008/04/17)
Source:Nikon Press Release

ところが、先週、YourShotへアクセスすると「About Nikon」へリダイレクトされてしまった。どうやらYourShotは閉鎖されてしまったようだ。プレスリリースでは数ヶ月、数年にわたり、サイトコンテンツや利便性に対するフィードバックを受け付けると書いてあるが、8ヶ月で幕を下ろしたことになる。

実は、5月末ごろの「Let Us Know What You Want To Read」というエントリが最後のもので、その後の5ヶ月間でエントリも、コメントもなかった(はずだ)。終わるべくして終わったということも言えるが、いかにももったない。

一方、Kodakの「1000 words blog」は先月で2周年を迎えている。10数人のBloggerが代わる代わる記事を書き込み、日常生活や様々なイベントなどでKodakを使った記録写真、スナップショット、風景写真をアップしている。写真やビデオを撮るコツやヒントを教えてくれるし、時には数10件を上回るユーザのコメントに対しても丁寧にレスポンスを返している。

Bloggerの中でもJenny Cisneyはチーフブロガーとして北京オリンピックに参加し、会場や北京市内、万里の長城などでの写真を載せている。

写真を撮る楽しさや、写真を家族や友人達と見る楽しさも伝わってくる。

このBlogの活況や成功に気を良くして、KodaはBlogに加えてKodakTubeをYouTubeに開設している。

また、TwitterやFlickr、del.icio.us、そしてFacebookなどでもKodakのページ、スペースなどを活用し始めている。

Blogだけではなく、ユーザと情報やコンテンツを共有し、Kodakブランドやその製品を伝え、理解し、消費してもらうための努力を、他のWeb 2.0スペースへ拡大している。

Source:Kodak / A Thousand Words (Jenny Cisney)
Source:KodakTube

この2社のWeb 2.0対応の違いは;
  • Blog開設目的の違い

    Nikon USA:新しくリニューアルしたWebサイトに対してだけのスペースとして開設

    Kodak:写真を撮る楽しさを伝え、ユーザとのオープンな会話を広げるためのスペースとして開設
に集約される。

目的が大きく違うため、Nikon USAの場合はコーポレート・インターネットコミュニケーションマネージャのJoeのみ(最後にひとつエントリを書き込んだFrancesも参加)が対応し、Kodakの場合はチーフブロガーのJenny Cisney以下、様々な国、部署の10名以上が執筆していた。Nikonの場合はWebサイトというスタティックな話題に限定されているため盛り上がらず、Kodakは新鮮、豊富で広範なコンテンツがトラフィックを呼び、コメントを書き込むユーザ達とも、KodakのBlogを引用したり、リンクを張るBlogger達とも多様な会話が成立している。

Blogを開設すれば予想以上の反応があり、目的に沿った結果がいとも簡単に得られるわけではない。また、Blog自体が自己増殖してくれるわけでもない。

Nikon USAは、リニューアルしたWebサイトに対するフィードバックではなく、リニューアル前にユーザの意見、アドバイスを募るスペースを開設し、それらをリニューアルに活かすと同時にリニューアル後のユーザとの会話スペースを構築するベースとするべきだった。ユーザからのフィードバックという貴重な情報を入手できるチャネル、それらアーリーアダプターであり、インフルエンサーであるユーザとのオープンな会話チャネルを確保するべきだった。

Kodakに限らず、成功している企業Blogは「Push to Pull」、「Publish Content」、「Brand Become Media」というフロー、システムに乗っている。「Push to Pull」の入り口まで進んだNikon USAがアクセスが少なく開設目的に役立っていないとか、目的を達成したからといった理由でYour Shotを閉鎖したのではなく、次のステップへ歩を進める準備段階へ入ったのだと期待したい。

参考:Global Online Branding Presentation (Online Ad 2008/09/24)

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