2010/01/25

Toyota Risk Management

以前、「Toyota Floor Mat Campaign」というエントリを書いた。

BrandChannelの記事を、
400万台以上のリコールを行っているToyota USAのWebサイトには、大量リコールをうかがわせるものはなく、ただ、「NEWS ALERT Important Information on Floor Mat Campaign」とページ左下に、あくまでも目立たなく小さな告知があるだけだ。
また、昔、FordのPinto/Explorerがメカニカルな問題を隠ぺい、軽視、あるいは危険性公表を怠ったために受けたダメージを例に引き、Toyotaはデトロイト、大昔のデトロイトの流儀に危険なほど似ているとまで書いている。
と紹介した。

参考:Toyota Floor Mat Campaign (Online Ad 2009/12/14)

ところが、先週、Toyotaはまず、米国で230万台のリコールを発表、欧州でもリコールの準備をしているという報道があった。

Source:NYTimes.com / Toyota Issues a 2nd Recall
Source:朝日新聞 / トヨタ、米で新たに230万台リコール

以前、12月14日前後では「NEWS ALERT  Important information on Floor Mat Campaign」だったが、
今回、1月23日は、「NEWS ALERT Imporant information On Safety Recall Campaign」となっている。
そこで上の赤セクションをクリックすると、1月21日付の「Toyota Files Voluntary Safety Recall on Select Toyota Division Vehicles for Sticking Accelerator Pedal」というリリースが読める。今回のリコールを(あくまでも当局の強制ではなく)自発的に行うこと、限定された車種だけに適用され、ごく稀にしか起こらないと説明している。

Source:Toyota.com / Toyota Consumer Safety Advisory

ところがJust-Autoによれば、Toyotaのリコール発表は、ABC Newsがプライムタイムで「意図しない加速問題」を番組で取り上げる数時間前に出されたとのことだ。このABC Newsは、「ニュージャージーに住むKevin HaggertyというToyota車オーナーが車のアクセルの電気系統不具合をToyotaのディーラーに見せ、ディーラーはセンサーとアクセルを取り換えた」ことを伝えたらしい。

Source:Just-Auto / US: Toyota recalls 2.3m more cars as media eyes acceleration claims

今まで構造的な不具合はないとしていたToyotaに、エレクトロニクス系統の不具合の可能性があることを認めさせるような番組が報道される数時間前に、やっと、リコールを発表したというのが真相のようだ。

Facebook、Twitterにおける対応も同じだ。リコールが公表され、顧客・ユーザがFacebook、Twitterに書き込みだして、初めててリコールを告知している。その後、殺到している顧客からの問合せ電話回線がつながりにくいための「謝罪」が来ているが、リコール関係で公式Web以上の情報はない。


こう見てくると、まず企業・ブランドの公式Webサイトで顧客対応や危機管理はできないのが自明だ。顔の見えない者同士が建前だけで言いたいこと、聞かせたいこと、見せたいことを並べ立てるだけの公式Webサイトにおいて、わざわざ突っ込みを入れられかねない事柄、リコール情報を大仰に掲示するわけにはいかない。Web担当も法務、広報、財務など社内組織の複数から許可、承認を受けた上で公式Webページを改訂、更新するしかないわけだ。

しかし、ソーシャルメディアスペースにおいて、そんな建前は成立しない。製品・サービスを購買し、利用している既存顧客にCレベルから語れる言葉はない。製品・サービスを開発、検証、販売、保守している担当者の言葉がなければ既存顧客に届く言葉とはならない。対応を受けた顧客がそのコンテンツを他ユーザと共有するだけに、オープン、対等、双方向のメッセージでなければ意味がない。

また、オープンなソーシャルメディアスペースでは、企業・ブランドがアナウンスする前に情報感度の高いユーザは最新情報を複数サイトにあっという間に書き込む。そのユーザの友人やフォロワーは、自分のフォロワーに転送、共有する。全体トレンドの方向性を決めかねないほどのパワーが発揮されるスペースだ。そのスペースで後出しでは、告知効果もしれている。

だからこそ、FacebookやTwitterといったスペースで真摯に顧客・ユーザと直接対応しなければならないはずだが...?

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