慢 性関節リウマチ、乾癬(訂正:全身性強皮症)とクローン病という難病と戦う3人の患者をフィーチャーしたこのドキュメンタリ映画は、これら難病治療に用いられるRemicade を出しているJohnson & Johnsonの医薬部門、Centocorがスポンサーとなり、映画制作の最初から配給までの全プロセスで資金提供されたものだ。ただし、 Remicadeという製品名を映画内で明示的に表示してはいない。その代わり、慢性関節リウマチ、乾癬(訂正:全身性強皮症)とクローン病など自己免疫障害の治療に認可された Remicadeとして焦点が当てられている。
以前にも特定疾病患者がドキュメンタリ映画を制作したことはあるが、専門家によれば、ここまで最初から最後まで資金提供を受けたドキュメンタリはないそうだ。
「INNERSTATE」は、発症、診断、そして闘病までを旅のイメージに重ね合わせ、患者が目指す最終目的地、すなわち難病とバランスを取りながら、どのような人生、生活を送ってゆくのかを力強く訴えかけている。
なお、映画に出演した3人にお金は支払われていないし、RemicadeはBiologic薬、生きている細胞の培養組織で造られる薬だということで映画は副作用についても説明している。
YouTubeに「INNERSTATE」のOfficial Trailerが上がっている。
Source:NYTimes.com / Drug Gets a Cameo in a Film Backed by Its Maker
参考:myINNERSTATE.com
Remicadeは米国で23億㌦、全世界で30億㌦の売上があるが、競合メーカーから類似品が発売され始めたため、熾烈な競争にあるらしい。そのためマーケターとして、競合との効果的な差異化を目指した末に、
- プッシュ型ではなく、よりソフトなプル型のアプローチ
- 難病を詳しく知ってもらい、理解してもらうためのCause Marketing、社会貢献型マーケティング手法を採用
- 無料鑑賞という強烈なインセンティブを追加し
- 闘病生活を送る3人のたくましい生き方を裏側から支える治療薬としてのスタンスを強くアピール
- 独自サイトおよびYouTubeを活用したオンライン露出を最大化する
社会貢献型のマーケティングでは、Dove Evolutionが有名だが、この「INNERSTATE」が同様に注目を集め、難病、そして患者に光が当たり、結果として治療薬の販売が増加すれば、広告とエンタテイメントを融合した手法が再度、脚光を浴びるだろう。
い つまでもゴリゴリのプッシュ型マーケティングではなく、プル型、そして参加型のマーケティングでなければ、共感も、共有もしてくれない。特に、社会貢献型 のパターンであれば共感、共有した人々が、通常以上に自主的にコンテンツを広め、拡散するという大きな貢献をしてくれる。そのためにも、敷居を低くし、難 病と闘う患者の声を聞いてもらうアドバテイメントは有効だ。
訂正:乾癬を全身性強皮症と訂正しました 2007/3/11
変更:本記事のURLをhttp://dramrollonline.blogspot.com/2007/02/business-trend-toward-blending.htmlへ変更しました。(変更前はbrendingとなっていました)2007/3/11
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