2008/02/20

Social Researchers

Power reviewsから「Merchant and Customer Perspectives On Customer Reviews and User-Generated Content」という新しい調査が出ている。これは文字通り、Eコマースにおける消費者の製品・サービスレビュー効果を分析したものだ。

その調査の消費者セクションに、「ソーシャルリサーチャー」という定義がある。これは製品・サービスの購入前に、必ずあるいは大抵、カスタマーレビューを探し、読むことにしている消費者、オンラインショッパーを言う。Power reviewsの調査では65%が「ソーシャルリサーチャー」に当てはまるとしている。またこのグループは、アクセスする領域のすべてでレビューに関与、関係する率が、平均的なオンラインショッパーより20%も高い、彼らの特徴は以下の通り。
  • 78% 10分以上レビューを読む
  • 86% レビューは非常に重要、あるいはとても重要だと判断している
  • 76% レビューの「最高評価を受けている製品」リストは非常に重要、あるいはとても重要だと判断している
  • 64% 買う予定の製品の半分以上をオンラインでリサーチする(ショップ・Web・通販で買おうとも)
この背景を元に小売側はWebサイトにレビューセクションを設け、積極的に「ソーシャルリサーチャー」を支援している。カスタマーレビューを追加することによるもっとも期待する項目3つを以下にあげている。上位3項目は58%:カスタマーの経験、47%:カスタマーロイヤルティ構築、42%:販売増加となっており、製品・サービスを購入したカスタマーのユーザ経験を活用し、コミュニティ構築からエンゲージメントを増強、拡張したいということが明らかだ。だが、当然のごとく、その効果を推し測ることはそう簡単ではない。下のように効果が分からないというのが63%にも達している。ただし、「レビューが多ければ、ないものよりと同等あるいはそれ以上売上が伸び、一方では返品が減少している。それはカスタマーがより告知されているからだ」というコメントが多くの小売業者から寄せられているようだ。
また、平均購買単価に関して次のコメントもある。「評価の高いレビューがあると、カスタマーは松竹梅のうち、松や竹を選択するので単価があがる」

Source:Powerreviews.com
Source:Power Reviews / New Study (pdf)
注:ダウンロードにはユーザ登録必要

このソーシャルリサーチャーという点はB2Cだけに特異な傾向、現象だろうか。当然、B2Bにも適用される。購買プロセスがB2Cに比べ長期、多人数、かつ多様な権限による決定プロセス、そして大きな予算規模に見合うROIが求められるだけに、「既存ユーザの声」はB2Bバイヤーにとってそれこそ「天の声」になる。

また、カスタマーレビューとは、「someone like me」 が評価するため、もっとも信頼がおけると多くの調査でも判断されている。これもB2Cであれ、B2Bであれ同様に適用される。

この調査は最後に「ロイヤルティ」を取り上げている。「カスタマーレビューがカスタマーロイヤルティにインパクトを与えている明白な証拠はあるか?」という設問に対して、量販店大手は、「レビューを書き込んだカスタマーは通常より20%~30%もリピート率が高い」と回答し、別の業者は「リピート客が20%増加した」と答えている。新規顧客を獲得するには既存顧客保持に必要なコストの5倍がかかるといわれているが、そのROIは明らかではないだろうか。

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