Siemensは2007年11月28日に新しい組織構造を発表している。
組織改革の前提となっているのは、世界中で進む都市化が要求するインフラ、寿命延長によるヘルスケア、そして気候変動だ。
それまで8グループに分割していた体制を、産業、エネルギー、ヘルスケアという3つのセクターに分類しなおし、合計15部門として、2008年1月から新体制で臨むというものだ。
ここまで簡潔、分かり易い企業資料をあまり見たことがない。また、ドイツ国内売上は全体の17%でしかなく、米が27%、欧が32%、アジアが15%というシェアからしても当然といえば当然だが、Webサイトは英語資料を豊富に提供している。ここに国内だけではなく、世界のステークホルダーを大きく意識した企業経営が見て取れる。
Source:Siemens The company 2008 (pdf)
そしてSiemensは1.45億㌦の広告キャンペーンを開始している。これは上の3つのセクター、産業、エネルギー、ヘルスケアからの「アンサー」として展開されている。オンライン広告のバナーとして見つけたものには以下の3パターンがある。
先月から、いくつかの新しいTVCFを流しているようだ。
Source:BtoB Online / An inconvenient lack of metrics
1.45億㌦という予算は、MSが1.5億㌦をかけているWindows Server 2008などのキャンペーンと同等規模で、B2Bの代名詞のようなSiemensとしても大規模なものだろう。だが、Siemens.comへ行くと分かるようにWebビジター調査もやっており、バナー広告をクリックしてやってくるユーザの目的、コンテンツ、デモグラフィック、ジオグラフィックなどをきちんと収集している。単純に金をかけて新しいSiemensを告知し、認知向上、トラフィック誘導だけを目的としてはいない。少しでもユーザを理解しようという態度がある。
リニューアルされたWebサイト、バナー広告、出稿メディアなどを見ると、グローバルなステークホルダーに訴えかける姿勢がある。そしてこの露出は出稿国のメディアや対象ターゲットに留まらない。特に米国Webサイトでの露出は世界へ流出してゆく。この点、Siemensはそれを意識しているかのように見える。上記のWebビジター調査は独語と英語で行われており、英語Webサイトから飛んでくるユーザも考慮している。そしてその英語Webサイトから飛んでくるユーザが該当国のユーザだけではないことも意識したジオグラフィック設問もある。
参考:Overwhelming exposure and Spillover (Online Ad 2008/04/10)
ただし、Siemens自体は2000~2006年にかけての19億㌦もの不正支出が明らかとなり、大きなスキャンダルとなった。昨年、会長やCEOが辞任し、国内ではすでに2.9億㌦の制裁金を課され、米国でも何らかの課徴金が課されるようだ。今年に入っても前会長のHeinrich von Piererが、1998年に20億㌦で受注し、99年にキャンセルされたアルゼンチン内務省に電子ID文書納入契約の復活を目的として支払われた1,000万㌦の賄賂を承認したのではないかという話が持ち上がってきている。
Source:Spiegel / Electronics Giant Braces for a Slap from Uncle Sam
Source:Spiegel / Witness Links Pierer to Illicit Payments
このダークサイドを打ち消したいという意図も否定はできないが、新生Simensが実施するこのB2Bブランドキャンペーンの今後に期待したい。
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