2008/12/09

NYT Facebook Campaign

11月5日にFacebookを使ってNYTがキャンペーンを実施した。

これはNYTの社長、Scott Heekin-Canedyによると、FacebookでNYTのファンを増やし、インタラクティブ・ニュースセンターとしてのNYTimes.comの認知を向上させ、Facebookコミュニティ・ユーザとの間で大統領選挙結果に関してエンゲージメントを確立することが目的だった。

ということで、Obama氏が次期大統領に選出された後、「大統領として最初に何をすべきか?」という質問を投げかけたところ、40万人以上が回答し、それまで4.9万人だったNYTのファンは16.4万人以上(現在は、18.4万人)増加した。
それに加え、NYTはFacebookのフロントページにロードブロックを仕掛け、Obama氏のビデオをフィーチャーした下の広告を出稿している。ここでも「大統領として何をすべきか?」という問いに対するコメントを募集している。この広告は6,830万回視聴され、34,000件以上のコメントが寄せられた。この視聴回数だけで広告費支出の4.3倍の価値があるとHeekin-Canedyは語っている。
FacebookのNYTのページ
Source:Facebook / The New York Times
Source:NYT / Times 3 Highlight from The NYT Business (pdf)
Source:MarketingVox / NYT Fan Figures

Heekin-Canedyは、最後に「FacebookのNYTファンはその後も継続して増加を続けており、将来のマーケティングメッセージを飛躍させるパワフル、無料のWOMになる」と記している。

紙媒体の購読・広告売上が減少する中、世界の新聞とも称されるNYTにしてもオンラインを強化してはいるが光明は見えない。しかし、メディアがシフトしている現状を見れば、紙に留まっていても結果は見えている。とするとオンライン戦略を強化するしか術はなく、それもWeb 1.0では時代遅れ。当然、Web 2.0的アプローチを取らなければならない。コミュニティ、ユーザと直接、会話チャネルを構築し、EpidemicやPandemicを発生させるソースと手段を獲得する必要がある。

参考:Infection, Epidemic and Pandemic (Online Ad 2006/10/16)

自分の首を絞めかねない戦略をとらざるを得ないレガシーメディアの代表格、NYTだが、少なくとも今、ユーザ・ターゲットがどこに存在し、何を消費し、何をリンク、共有、参加しているかは把握している。このスペースに参加しなければならない必要性も理解している。ところが、自身がオンラインメディア化しなければならないはずの大半の企業・ブランドには、まだNYTほどの危機感はない。

Tribuneが破産法適用申請を検討しているとWSJが報道している。この話は何も米国に限った話ではない。日本でも、欧州でも同じだ。危機感のない既成メディアはCSMのようにオンラインでしか生き延びることができず紙は消滅するしかない。

Source:WSJ / Tribune Co. Taps Lazard,Weighs Filing for Chapter 11
Source:Christian Science Monitor / Monitor shifts from print to Web-based strategy

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